特開2021-93410(P2021-93410A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-93410(P2021-93410A)
(43)【公開日】2021年6月17日
(54)【発明の名称】大容量キャパシタ装置及び二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/33 20060101AFI20210521BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20210521BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20210521BHJP
   H01G 4/012 20060101ALI20210521BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20210521BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20210521BHJP
   H01G 4/005 20060101ALI20210521BHJP
【FI】
   H01G4/33 102
   H01G4/38 A
   H01G2/02 101E
   H01G4/012
   H02J1/00 306L
   H02M3/00 G
   H01G4/005
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-221869(P2019-221869)
(22)【出願日】2019年12月9日
(71)【出願人】
【識別番号】510150178
【氏名又は名称】清水 幹治
(71)【出願人】
【識別番号】519415867
【氏名又は名称】エンハンスドホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】清水 幹治
【テーマコード(参考)】
5E082
5G165
5H730
【Fターム(参考)】
5E082AB03
5E082AB04
5E082CC03
5E082CC04
5E082EE03
5E082EE13
5E082EE37
5G165CA02
5G165DA04
5G165HA16
5G165MA01
5G165NA01
5H730AS08
5H730AS17
(57)【要約】
【課題】キャパシタ装置を大容量化する。
【解決手段】第一、第二の電極で誘電体層を挟み、第一、第二の電極と誘電体層との境界面に集電層を設けた大容量キャパシタ装置において、前記集電層は、マイクロ乃至ピコサイズの導電性微粒子が3次元的に相互連結し、かつその導電性微粒子の間隙が所定のガスで満たされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一、第二の電極で誘電体層を挟み、第一、第二の電極と誘電体層との境界面に集電層を設けた大容量キャパシタ装置において、
前記集電層は、マイクロ乃至ピコサイズの導電性微粒子が3次元的に相互連結し、かつその導電性微粒子の間が空隙になっていることを特徴とする大容量キャパシタ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記導電性微粒子は、中実な金属微粒子であることを特徴とする大容量キャパシタ装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記集電層はスパッタリング形成層であることを特徴とする大容量キャパシタ装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記導電性微粒子は、所定のセラミック微粒子を金属で被覆したものであることを特徴とする大容量キャパシタ装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記導電性微粒子は、所定のプラスチック微粒子を金属で被覆したものであることを特徴とする大容量キャパシタ装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記大容量キャパシタ装置は絶縁性シート基材の一方の面に形成されている大容量キャパシタ装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記大容量キャパシタ装置は、多重円筒巻されて円筒状キャパシタユニットを構成していることを特徴とする大容量キャパシタ装置。
【請求項8】
請求項7に記載の大容量キャパシタ装置を2以上と、充放電制御回路とを備えて構成された二次電池。
【請求項9】
請求項1乃至4のいずれか一項において、
前記大容量キャパシタ装置を多重に積層させて並列に接続されている大容量キャパシタ装置。
【請求項10】
請求項8に記載の大容量キャパシタ装置と、充放電制御回路とを備えて構成された二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一、第二の電極と誘電体層との境界面に集電層を設けた大容量キャパシタ装置の改良と、その改良されたキャパシタ装置を用いた二次電池とに関する。
【背景技術】
【0002】
前記のような大容量キャパシタ装置の従来技術として次の特許文献がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5394987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで前記のような大容量化キャパシタ装置においては、その大容量化が普遍的な課題である。本発明は、この課題に対し、新規な構成の集電層を備えた大容量キャパシタ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第一、第二の電極で誘電体層を挟み、第一、第二の電極と誘電体層との境界面に集電層を設けた大容量キャパシタ装置において、前記集電層は、マイクロ乃至ピコサイズの導電性微粒子が3次元的に相互連結し、かつその導電性微粒子の間隙が所定のガスで満たされていることを特徴とするものである。
【0006】
また本発明は、前記キャパシタ装置を2以上と、充放電制御回路とを備えて構成された二次電池である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、大容量キャパシタ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)は一実施形態の基本的な構成図、(b)は集電層の概略断面図である。
図1A】(a)、(b)はいずれも集電層の他例の概略断面図である。
図2】は実施形態の他例の基本的な構成図である。
図3】(a)はキャパシタユニットの基本的な構成図、(b)は二次電池の基本的な構成図である。
図4】二次電池の基本的な回路図である。
図5】二次電池の充放電特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1(a)は、本発明の一実施形態の基本的な構成図である。
この実施形態のキャパシタ装置Aは、第一、第二の電極1、1で誘電体層3を挟み、第一、第二の電極1、2と誘電体層3との境界面に集電層2、2を設けた基本構成であり、絶縁性シート基材4の片面に形成されている。集電層2、2はマイクロ乃至ピコサイズの導電性微粒子2aが3次元的に相互連結し、かつその導電性微粒子2a間が空隙に2dなっている。この空隙2dは所定のガスで満たされている。また第一、第二の電極1、1と、集電層2、2の導電性微粒子2aとは電気的に接続されている。誘電体層3は、例えばチタン酸バリウム等のセラミックからなる。
なおここに云うマイクロサイズ乃至ピコサイズの文言は、導電性微粒子2aの三方向寸法の最大値が1ミリメートル未満かつ1ナノメートル以上であるということである。
また前記ガスは空気であってもよいし、集電層2、2の製造工程で用いられる特定ガスであってもよい。要するに導電性微粒子2aの間隙が固体や液体ではなく、何らかのガスで充填されていればよい。
また第一、第二の電極1、1は、例えば銅、ニッケル等の金属やそれらの合金からなり、出力用リード線5、5に接続されている。
【0010】
図1(b)は、集電層の概略断面図である。
この図に示すように、集電層2は、マイクロ乃至ピコサイズの導電性微粒子2aが3次元的に相互連結した立体網目状の構造であり、導電性微粒子2a間の空隙2dは所定のガスで満たされている。またこの例の導電性微粒子2aは、中実な金属微粒子である。微粒子を形成する金属に特段の制限はなく、第一、第二の電極1、1を形成する金属と同一のものとしてもよく、異なるものとしてもよい。ただしその金属は第一、第二の電極1、1と同等以上の電気伝導性を有することが望ましい。
このような金属微粒子を用いた集電層2、2はスパッタリングで形成できる。すなわち金属蒸気を基材上(例えば誘電層)で微粒子状に急速固化させることで基材に積層された形態、つまりスパッタリング形成層として集電層2、2を形成できる。
あるいは金属微粒子とバインダー樹脂との混練物をプレスや押出によってシート化し(グリーンシート)、これをその金属の融点近くまで加熱処理することによって、バインダー樹脂を消失させかつ金属微粒子を相互に融着させることができ、シート状の集電層2、2を形成できる。
キャパシタ装置Aの製造方法について若干補足すると、第一、第二の電極1、1、誘電体層2,2は、いずれも予め準備したシート状のものを用いることも可能であり、スパッタリング等によって基材上に所定順序で形成していくことも可能である。
【0011】
本発明は、前記のような特異な構造の集電層2、2に着目したものであり、以下のような効果を奏する。また本発明は、集電層2、2以外の、すなわち第一、第二の電極1、1、誘電体層等については何ら制限しておらず、多様な構成の電極、誘電体層を有する各種キャパシタ装置に広く適用できる。
本発明によれば、集電層2、2に形成された立体網目状の構造は、マイクロ乃至ピコサイズの微細な金属片、薄膜の連続体であり、そのため体積比で巨大な表面積を有する。そのような立体網目状構造の金属を第一、第二の電極1、1に電気的に接続させれば、第一、第二の電極1、1の表面が飛躍的に拡大されることになって、キャパシタ装置Aが大容量される。
【0012】
図1A(a)、(b)はいずれも集電層の他例の概略断面図である。
図1A(a)に示す集電層2では、導電性微粒子2aは、所定のセラミック微粒子2bを金属で被覆したものになっている。セラミックの種別は特に制限されない。
このような導電性微粒子2aを用いた集電層2は、金属で被覆されたセラミック微粒子2bとバインダー樹脂との混練物をシート化し、これをその金属の融点近くまで加熱処理することで形成できる。
この例の効果としては、セラミック微粒子2bの形状、寸法、量の適切な選択によって、立体網目状構造の形状を自由にコントロールできる点である。
図1A(b)に示す集電層2では、導電性微粒子2aは、所定のプラスチック微粒子2cを金属で被覆したものになっている。プラスチックの種別は特に制限されない。この例の集電層2も、前記と同様に、金属で被覆された微粒子とバインダー樹脂との混練物をシート化し、これをその金属の融点近くまで加熱処理することで形成できる。なおプラスチック微粒子2cのプラスチック部分は、加熱処理後に残存する場合もあり、消失する場合もある。この例の効果は、前記と同様である。
【0013】
図2は、実施形態の他例の基本的な構成図である。
この実施形態は、前記実施形態のキャパシタ装置Aを多重に積層させて並列化したものである。並列化されたキャパシタ装置Aのそれぞれは、前記実施形態と同様のものである。このような多重積層による並列化によってキャパシタ装置Aを更に大容量化できる。
【0014】
図3(a)、(b)はそれぞれキャパシタユニット、二次電池の基本的な構成図である。また図4は、二次電池の基本的な回路図、図5は二次電池の充放電特性図である。
このキャパシタユニットは、図1(a)に示したキャパシタ装置Aを多重円筒巻した構成である。このような構成とすれば、大容量かつ小型のキャパシタユニットが得られる。
二次電池Bは、キャパシタ装置Aを2以上と、充放電制御回路Cとを備えて構成されている。充放電制御回路Cは、キャパシタの一般的特性である急速充電、急速放電を、一般的二次電池のような穏やかなものにする装置であり、DC−DCコンバータ等で構成できる。このような二次電池Bは、従来の鉛、ニッカド蓄電池、リチウムイオン蓄電池等を代替できる。
なお図2に示したキャパシタ装置Aと、前記のような充放電制御回路Cとを組み合わせて二次電池Bを構成していてもよい。
【0015】
また本発明によれば、集電層2に用いられる金属が磁化または超伝導化すること、すなわち集電層2の電子流動性を高めることで、キャパシタ装置A、二次電池Bの更なる高性能化が期待できる。
【0016】
また、本発明によれば、導電性微粒子2aを形成するセラミック微粒子2b、プラスチック微粒子2cは、球状、躯体状、テトラポット形状、長繊維状または短繊維状のいずれか、またはそれらを組み合わせた形状を有する。これらの形状のいずれかまたはそれらの組み合わせにより、キャパシタ装置A、二次電池Bの更なる高性能化が期待できる。
【符号の説明】
【0017】
A キャパシタ装置
B 二次電池
C 充放電制御回路
1 電極
2 集電層
2a 導電性微粒子
2b セラミック微粒子
2c プラスチック微粒子
3 誘電体層
4 絶縁性シート基材
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2020年9月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一、第二の電極で誘電体層を挟み、第一、第二の電極と誘電体層との境界面に集電層を設け、前記集電層は、マイクロ乃至ピコサイズの導電性微粒子が3次元的に相互連結し、かつその導電性微粒子の間が空隙になっている大容量キャパシタ装置において、
前記導電性微粒子は、セラミック微粒子を金属で被覆したものであることを特徴とする大容量キャパシタ装置。
【請求項2】
第一、第二の電極で誘電体層を挟み、第一、第二の電極と誘電体層との境界面に集電層を設け、前記集電層は、マイクロ乃至ピコサイズの導電性微粒子が3次元的に相互連結し、かつその導電性微粒子の間が空隙になっている大容量キャパシタ装置において、
前記導電性微粒子は、プラスチック微粒子を金属で被覆したものであることを特徴とする大容量キャパシタ装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記大容量キャパシタ装置は絶縁性シート基材の一方の面に形成されている大容量キャパシタ装置。
【請求項4】
請求項において、
前記大容量キャパシタ装置は、多重円筒巻されて円筒状キャパシタユニットを構成していることを特徴とする大容量キャパシタ装置。
【請求項5】
請求項に記載の大容量キャパシタ装置を2以上と、充放電制御回路とを備えて構成された二次電池。
【請求項6】
請求項1又は2において、
前記大容量キャパシタ装置を多重に積層させて並列に接続されている大容量キャパシタ装置。
【請求項7】
請求項に記載の大容量キャパシタ装置と、充放電制御回路とを備えて構成された二次電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、第一、第二の電極で誘電体層を挟み、第一、第二の電極と誘電体層との境界面に集電層を設け、集電層を、マイクロ乃至ピコサイズの導電性微粒子が3次元的に相互連結し、かつその導電性微粒子の間を空隙にしている大容量キャパシタ装置において、前記導電性微粒子を、セラミック微粒子を金属で被覆した構造にしたものである。
また、請求項2に記載の本発明は、第一、第二の電極で誘電体層を挟み、第一、第二の電極と誘電体層との境界面に集電層を設け、マイクロ乃至ピコサイズの導電性微粒子が3次元的に相互連結し、かつその導電性微粒子の間を空隙にしている大容量キャパシタ装置において、前記導電性微粒子を、プラスチック微粒子を金属で被覆した構造にしたものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
また本発明は、前記キャパシタ装置と、充放電制御回路とを備えて構成された二次電池である。
【手続補正書】
【提出日】2020年12月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一、第二の電極で誘電体層を挟み、第一、第二の電極と誘電体層との境界面に集電層を設けた大容量キャパシタ装置において、
前記集電層は、セラミック微粒子を金属で被覆したマイクロ乃至ピコサイズの導電性微粒子が融着によって3次元的に相互連結された構造であり、かつその導電性微粒子の間が空隙になっていることを特徴とする大容量キャパシタ装置。
【請求項2】
第一、第二の電極で誘電体層を挟み、第一、第二の電極と誘電体層との境界面に集電層を設けた大容量キャパシタ装置において、
前記集電層は、プラスチック微粒子を金属で被覆したマイクロ乃至ピコサイズの導電性微粒子が融着によって3次元的に相互連結された構造であり、かつその導電性微粒子の間が空隙になっていることを特徴とする大容量キャパシタ装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記大容量キャパシタ装置は絶縁性シート基材の一方の面に形成されており、かつ多重円筒巻されて円筒状キャパシタユニットを構成していることを特徴とする大容量キャパシタ装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記大容量キャパシタ装置多重に積層させて並列に接続されている大容量キャパシタ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の大容量キャパシタ装置と、充放電制御回路とを備えて構成された二次電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、第一、第二の電極で誘電体層を挟み、第一、第二の電極と誘電体層との境界面に集電層を設けた大容量キャパシタ装置において、前記集電層は、セラミック微粒子を金属で被覆したマイクロ乃至ピコサイズの導電性微粒子が融着によって3次元的に相互連結された構造であり、かつその導電性微粒子の間が空隙になっていることを特徴とする大容量キャパシタ装置である。
また、請求項2に記載の本発明は、第一、第二の電極で誘電体層を挟み、第一、第二の電極と誘電体層との境界面に集電層を設けた大容量キャパシタ装置において、前記集電層は、プラスチック微粒子を金属で被覆したマイクロ乃至ピコサイズの導電性微粒子が融着によって3次元的に相互連結された構造であり、かつその導電性微粒子の間が空隙になっていることを特徴とする大容量キャパシタ装置である。