特開2021-93797(P2021-93797A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-93797(P2021-93797A)
(43)【公開日】2021年6月17日
(54)【発明の名称】可搬式エンジン発電機
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/04 20060101AFI20210521BHJP
   F02B 63/04 20060101ALI20210521BHJP
【FI】
   H02P9/04 J
   F02B63/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-221841(P2019-221841)
(22)【出願日】2019年12月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】東 知世洋
【テーマコード(参考)】
5H590
【Fターム(参考)】
5H590AA08
5H590CA07
5H590CA24
5H590CC24
5H590CE04
5H590EA05
5H590FC25
5H590FC26
5H590HA02
5H590HA09
5H590HA18
5H590JA02
5H590KK01
(57)【要約】
【課題】多様な使用環境において利便性と安全性とを両立させることが可能な可搬式エンジン発電機を提供する。
【解決手段】可搬式エンジン発電機に備わる操作盤15には、運転状態を表示するモニタ17aと、複数の押しボタンスイッチ22とを一体的に備えた一体型操作装置17が設けられ、複数の押しボタンスイッチは、モニタの表示を切り替え可能な表示切替スイッチ22aの他に、運転操作を行うための複数の運転操作スイッチを有し、一体型操作装置が接続される制御回路には、無線のロック作動信号を受信して運転操作スイッチの入力を規制したロック状態にする運転操作規制手段(コントローラ)を備えている。また、前記複数の押しボタンスイッチは、ロック作動信号の受信を可能又は不可能にする設定スイッチが含まれている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持架台の上部に設けられたケーシング内に、発電機と該発電機を駆動するエンジンとを収容し、前記ケーシングの一側部に操作盤を備えた可搬式エンジン発電機において、
前記操作盤には、前記可搬式エンジン発電機の運転状態を表示するモニタと、複数の押しボタンスイッチとを一体的に備えた一体型操作装置が設けられ、
前記複数の押しボタンスイッチは、前記モニタの表示を切り替え可能な表示切替スイッチの他に、運転操作を行うための複数の運転操作スイッチを有し、
前記一体型操作装置が接続される制御回路には、管理者が発した無線のロック作動信号を受信して前記運転操作スイッチの入力を規制したロック状態にする運転操作規制手段を備えていることを特徴とする可搬式エンジン発電機。
【請求項2】
前記複数の押しボタンスイッチは、前記ロック作動信号の受信を可能又は不可能にする設定スイッチが含まれることを特徴とする請求項1記載の可搬式エンジン発電機。
【請求項3】
前記複数の運転操作スイッチは、負荷の投入と遮断とを切り替え可能な投入・遮断スイッチが含まれ、前記操作盤には、前記モニタに表示された前記運転状態を目視し得る位置でハンドルの操作が可能な遮断器が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の可搬式エンジン発電機。
【請求項4】
前記操作盤には、前記モニタに表示された前記運転状態を目視し得る位置で押しボタンの操作が可能な非常停止スイッチが設けられ、前記制御回路は、前記非常停止スイッチの押し込み操作を受けて、前記ロック状態を解除する発電機停止手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の可搬式エンジン発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬式エンジン発電機に関し、詳しくは、工事現場などに搬入して運転され、負荷に電力を供給可能な可搬式エンジン発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
機器の状態を表示するモニタと操作ボタンとを一体的に備えた一体型操作装置の技術は、当該機器に対する操作の容易化が図れ、その上、高度な制御も可能であるため、可搬式エンジン発電機の操作装置として近年利用されるようになってきている。このような可搬式エンジン発電機には、管理者が携帯する遠隔操作器(リモコン)との間で無線通信を行うものが知られており、高次の排ガス規制によってエンジン制御が高度化する状況においても、安全かつ容易に取り扱うことが可能になっている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−14246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の可搬式エンジン発電機は、従来の工事現場用に加えて、災害復旧現場、各種イベント会場などで動力、照明などの負荷に電力を供給するための移動電源として広く使用されている。このような、汎用性の高い可搬式エンジン発電機においては、不特定多数の人が通る使用場所での安全確保が重要な課題である。特に、一体型操作装置を備えたものでは、特徴部分であるモニタが注目されやすく、操作ボタンに容易に触れられることから、管理者以外の者による不用意な操作をなくす必要がある。
【0005】
そこで本発明は、多様な使用環境において利便性と安全性とを両立させることが可能な可搬式エンジン発電機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の可搬式エンジン発電機は、支持架台の上部に設けられたケーシング内に、発電機と該発電機を駆動するエンジンとを収容し、前記ケーシングの一側部に操作盤を備えた可搬式エンジン発電機において、前記操作盤には、前記可搬式エンジン発電機の運転状態を表示するモニタと、複数の押しボタンスイッチとを一体的に備えた一体型操作装置が設けられ、前記複数の押しボタンスイッチは、前記モニタの表示を切り替え可能な表示切替スイッチの他に、運転操作を行うための複数の運転操作スイッチを有し、前記一体型操作装置が接続される制御回路には、管理者が発した無線のロック作動信号を受信して前記運転操作スイッチの入力を規制したロック状態にする運転操作規制手段を備えていることを特徴としている。
【0007】
また、前記複数の押しボタンスイッチは、前記ロック作動信号の受信を可能又は不可能にする設定スイッチが含まれることを特徴としている。さらに、前記複数の運転操作スイッチは、負荷の投入と遮断とを切り替え可能な投入・遮断スイッチが含まれ、前記操作盤には、前記モニタに表示された前記運転状態を目視し得る位置でハンドルの操作が可能な遮断器が設けられていることを特徴としている。
【0008】
また、前記操作盤には、前記モニタに表示された前記運転状態を目視し得る位置で押しボタンの操作が可能な非常停止スイッチが設けられ、前記制御回路は、前記非常停止スイッチの押し込み操作を受けて、前記ロック状態を解除する発電機停止手段を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作が容易なユーザインターフェースとして一体型操作装置を備えた可搬式エンジン発電機の制御回路に、ロック作動信号を受信して運転操作スイッチの入力を規制する運転操作規制手段を備えているので、使用場所で操作盤が露出した状態に置かれても、始動や停止などの運転操作をロック状態にすることが可能となり、管理者以外の者による不用意な操作をなくすことができる。さらには、無線信号で運転操作の規制を行うので、押しボタンスイッチに触れただけではロック状態が解除されず、安全を十分に確保することができる。一方、ロック状態であっても、表示切替スイッチについては操作が可能であるため、使い勝手を損なわずに安心して取り扱える。すなわち、多様な使用環境において利便性と安全性とを両立させることが可能な可搬式エンジン発電機が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一形態例を示す可搬式エンジン発電機の斜視図である。
図2】同じく要部斜視図である。
図3】一体型操作装置の操作パネルを示す図である。
図4】同じくモニタに表示した運転状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図4は、本発明の可搬式エンジン発電機の一形態例を示すもので、可搬式エンジン発電機11は、図1に示すように、支持架台12の上部に防音構造を有する箱形のケーシング13を設け、該ケーシング13内に、図示しないエンジンや、該エンジンによって駆動される発電機、燃料タンク、ラジエータなどの各種機器が収容されている。
【0012】
ケーシング13は、出力制御盤14が配置された前面(図1において手前左側)と、操作盤15が配置された右側面(図1において手前右側)と、これらに対向する後面及び左側面(図示せず)の各面をなす4枚の側壁と、各側壁の上部を覆う天井板13aとによって矩形箱状に形成されている。天井板13aには、ケーシング13の前面に沿う方向を長手方向として、その中間位置に凹部13bが設けられており、該凹部13bの中央には、可搬式エンジン発電機11の重心位置に対応した吊り金具13cが設けられている。また、ケーシング13の前面や後面には、機器の保守作業を行うための複数の点検扉13dが設けられている。さらに、ケーシング13の右側面には、前記操作盤15の位置に対応した操作扉16が設けられており、操作盤15を遮蔽する閉じ状態と、操作可能に開放する開き状態(図1)とに開閉可能になっている。
【0013】
出力制御盤14は、ケーシング13の前面下部に設置され、機内側に向かって陥没した端子収容空間14aを有して形成されている。この端子収容空間14aには、図示は省略するが、例えば、三相4線式交流の高電圧を出力するための接続端子や、単相交流の低電圧を出力するための接続端子及びコンセントが各組毎に横並びに設けられている。これにより、負荷に対応した高電圧あるいは低電圧の出力が得られる。
【0014】
操作盤15は、図2に示すように、ケーシング13の右側面上部に設置され、発電機及びエンジンを制御したり、状態を監視したりするための一体型操作装置17や、単相用及び三相用の遮断器18,19、緊急時の非常停止スイッチ20、電源用のキースイッチ(図示せず)などを備えている。これらの機器は、ケーシング13内に設けられた制御回路にそれぞれ接続され、地上から操作可能な高さ位置に集約配置されている。具体的には、一体型操作装置17に備わるモニタ17aの表示を目視し得る位置で、各遮断器18,19及び非常停止スイッチ20の操作がそれぞれ可能になっている。ここで、目視し得る位置で操作が可能な状態とは、少なくとも一体型操作装置17と遮断器18,19と非常停止スイッチ20とが、上下あるいは左右方向に並んで配置された状態を意味する。また、モニタ17aの表示は、操作扉16を閉じた状態において、矩形状の透明窓部16aから目視することができる。
【0015】
遮断器18,19及び非常停止スイッチ20は、それぞれ周知の構造であって、前記一体型操作装置17とは独立して入力操作が可能になっている。遮断器18,19は、大きさの異なる大小のハンドル18a,19aを上下位置にそれぞれ切替操作することで接点を開閉し、発電機と負荷とを接続又は遮断するものである。一方、非常停止スイッチ20は、円形の押しボタン20aを押し込み操作して接点を強制的に開き、この状態で保持(ロック)することが可能となっている。非常停止スイッチ20を復帰(リセット)させるには、例えば、押しボタン20aを引き戻す方式や、捻回する方式がある。
【0016】
また、非常停止スイッチ20は、操作盤15に設けられた他のスイッチ類から、大きさや色の点で、視覚的に区別しやすい状態で設けられている。具体的には、非常停止スイッチ20の押しボタン20aは、他のスイッチ類よりも大きく、手のひらで叩いて操作することができる程度の大きさに形成されている。また、押しボタン20aは、他のスイッチ類とは異なる色であって、外部から目立ちやすい赤色としている。
【0017】
一体型操作装置17は、図3に示すように、制御基板を収容した外殻の操作パネル(表面)17bに、可搬式エンジン発電機11の運転状態を表示するモニタ17aと、複数の押しボタンスイッチ22とを一体的に備えている。操作パネル17bには、モニタ17a及び押しボタンスイッチ22の外形に対応した大きさの取付孔が設けられ、該取付孔にモニタ17a及び押しボタンスイッチ22をそれぞれ嵌め込むことにより、表面に突起物がない滑らかな状態となる。手の指で押しボタンスイッチ22を押圧操作すると、内蔵するアクチュエータが押圧され、接点が閉じて制御基板に操作信号が出力される。
【0018】
押しボタンスイッチ22は、モニタ17aの表示を切り替え可能な表示切替スイッチ22aの他に、運転操作を行うための複数の運転操作スイッチとして、例えば、負荷の投入と遮断とを切り替え可能な投入・遮断スイッチ22b,22c及びエンジンの始動・停止スイッチ22d,22e、さらには、これらの運転操作について、無線操作装置(リモコンキー)から行う遠隔操作モードと、操作パネル17bから行う手動操作モードとを選択的に切り替え可能な設定スイッチである遠隔・手動設定スイッチ22f,22gを有している。
【0019】
表示切替スイッチ22aは、上下左右の4つの領域での押圧操作により、それぞれスイッチをオン/オフ可能な多方向操作ボタンとして機能する。スイッチ操作を行うと、図4(A)乃至(E)の5つのモード(表示態様)に示すように、発電機の状態として、例えば、出力中の電圧や周波数などが、エンジンの状態として、例えば、冷却水温度や燃料残量などがそれぞれ択一的にモニタ17aに表示される。これにより、操作者は、モードの表示を適宜切り替えながら必要な確認や運転操作が行える。
【0020】
ここで、可搬式エンジン発電機11は、移動電源として様々な用途に使用されることから、不特定多数の人が通る使用場所での安全確保が重要である。特に、一体型操作装置17を備えたものでは、特徴部分であるモニタ17aが注目されやすく、押しボタンスイッチ22に容易に触れられることから、管理者以外の者による不用意な操作をなくす必要がある。そこで、一体型操作装置17が接続される制御回路には、管理者が発した無線操作装置からの信号を受信可能な受信機と、該受信機で受信したロック作動信号に基づいて、運転操作スイッチ22b,22c,22d,22e及び設定スイッチ22f,22gの入力をそれぞれ規制したロック状態にする運転操作規制手段とを備えている。これに加えて、無線通信が行えない不測の状況下では、少しでも早くロック状態から脱する必要性もあることから、制御回路には、前記非常停止スイッチ20の押し込み操作を受けて、前記ロック状態を解除する発電機停止手段を備えている。
【0021】
運転操作規制手段及び発電機停止手段は、データ処理や判定などの各種演算処理を行うコントローラ(CPU)に対応している。また、ロック作動信号の受信は、手動設定スイッチ22gにて手動操作モードを選択した状態では不可能であるが、遠隔設定スイッチ22fにて遠隔操作モードを選択した状態では可能となる。
【0022】
可搬式エンジン発電機11の運転中にロック作動信号を受信すると、コントローラでは、運転操作スイッチ22b,22c,22d,22e及び設定スイッチ22f,22gの入力を無効にする。すなわち、押しボタンスイッチ22のうちの表示切替スイッチ22aを除く他のスイッチからの入力を無効にする。一方、可搬式エンジン発電機11の運転中に非常停止スイッチ20を押し込み操作すると、制御信号はアンロック作動信号となってコントローラに送信される。コントローラでは、必要な判定処理を行った上で、エンジン制御部(ECU)に対してエンジン停止信号を送信するとともに、無効にされた運転操作スイッチの入力を有効にする。エンジンを停止した状態では、非常停止スイッチ20を復帰させるなどの必要な操作を行った後、始動スイッチ22dの操作によってエンジンを再始動することが可能になる。
【0023】
このように形成された可搬式エンジン発電機11を使用する場合、機材センターや倉庫などのストック施設において、トラックなどの運搬車の荷台に搭載され、電線や各種機材と共にあるいは別々に現場に配送される。このとき、点検扉13dや操作扉16などの開閉部は閉じ状態で施錠されている。現場に到着すると、吊り金具13cを使用して吊り上げられ、所定の場所に設置される。
【0024】
可搬式エンジン発電機11を設置した後は、操作扉16を解錠して開き状態にするとともに、負荷との間で電線の接続を行う。例えば、三相4線式交流の高電圧(400V)を出力するためには、出力制御盤14において4個一組の接続端子に4本の電線をそれぞれ接続するとともに、必要なアース接地が行われる。負荷に電線を接続した状態で、操作盤15のキースイッチを回動操作して一体型操作装置17を起動すると、モニタ17aに初期画面が表示される。ここで、初期状態(デフォルト状態)においては手動操作モードが設定される。
【0025】
表示切替スイッチ22aの選択操作によって高電圧出力に対応したモードとし、始動スイッチ22dを操作すると、制御信号がコントローラに送信される。コントローラでは、必要な判定処理を行った上で、エンジン制御部に対してエンジン始動信号を送信する。これにより、クランキング回路が作動状態となってエンジンが始動するとともに、発電機が高電圧での発電状態となる。こうして、可搬式エンジン発電機11の運転が開始され、投入スイッチ22bを操作することによって、例えば、電気器具や電動機に対して電力供給が行われる。
【0026】
ところで、運転中の可搬式エンジン発電機11から一時的に離れる場合、管理者以外の者による不用意な操作をなくす必要がある。以下では、可搬式エンジン発電機11のロック機能(いたずら防止機能)について、その設定及び解除方法を説明する。まず、操作パネル17bの遠隔設定スイッチ22fを操作して、手動操作モードから遠隔操作モードへ変更し、ロック作動信号の受信を可能な状態にする。
【0027】
続いて、手元の無線操作装置によってスイッチ操作を行うと、可搬式エンジン発電機11のコントローラでは、無線操作装置からのロック作動信号を受けて、運転操作スイッチ22b,22c,22d,22e及び設定スイッチ22f,22gの入力をそれぞれ規制したロック状態にする。これにより、操作パネル17bから行う運転操作が不能となり、意図しない第三者による運転操作が防止される。
【0028】
ここで、管理者不在の状況、つまりロック機能が働いている状況において、現場の作業者が可搬式エンジン発電機11の動作に何らかの異常を感じた場合、あるいは、モニタ17aの表示から、その異常にいち早く気づいた場合などの非常時には、操作盤15の非常停止スイッチ20を操作することで、コントローラによるエンジン停止制御が即時に実行され、さらには、ロック状態を解除して運転操作スイッチ22b,22c,22d,22e及び設定スイッチ22f,22gによる入力が可能な状態、すなわち、運転操作が可能な状態に復帰する。この場合、必要な措置を講じて安全確保を図った上で、始動スイッチ22dの操作によってエンジンの再始動が行える。
【0029】
このように、操作が容易なユーザインターフェースとして一体型操作装置17を備えた可搬式エンジン発電機11の制御回路に、ロック作動信号を受信して運転操作スイッチの入力を規制する運転操作規制手段(コントローラ)を備えているので、使用場所で操作盤15が露出した状態に置かれても、始動や停止などの運転操作をロック状態にすることが可能となり、管理者以外の者による不用意な操作をなくすことができる。さらには、無線信号で運転操作の規制を行うので、押しボタンスイッチ22に触れただけではロック状態が解除されず、安全を十分に確保することができる。一方、ロック状態であっても、表示切替スイッチ22aについては操作が可能であるため、使い勝手を損なわずに安心して取り扱える。すなわち、多様な使用環境において利便性と安全性とを両立させることが可能な可搬式エンジン発電機11が実現される。
【0030】
また、複数の押しボタンスイッチ22が、ロック作動信号の受信を可能又は不可能にする設定スイッチである遠隔・手動設定スイッチ22f,22gを含むので、運転操作についてロック機能を働かせたいという操作者の意図が確実に反映される。さらに、運転操作スイッチが、負荷の投入と遮断とを切り替え可能な投入・遮断スイッチ22b,22cを含み、操作盤15に対して、モニタ17aに表示した運転状態を目視し得る位置でハンドル18a,19aの操作が可能な遮断器18,19を設けているので、ロック状態にあっても、遮断器18,19からのハンドル操作が独立して許容されることから、この種の可搬式エンジン発電機の取り扱いに精通しているベテランユーザにとって操作感が保たれ、必要時に自己の判断で遮断器18,19を操作することができる。
【0031】
また、操作盤15に対して、モニタ17aに表示された運転状態を目視し得る位置で押しボタン20aの操作が可能な非常停止スイッチ20を設け、制御回路に非常停止スイッチ20の押し込み操作を受けて、ロック状態を解除する発電機停止手段(コントローラ)を備えているので、無線通信が行えない不測の状況下であっても、ロック状態から素早く脱することができる。
【0032】
とりわけ、モニタ17aの表示を目視で確認しながら遮断器18,19及び非常停止スイッチ20の操作が可能であるため、可搬式エンジン発電機11として操作性に優れたユーザインターフェースが得られるだけでなく、機器類の機能的な配置と相俟って、デザイン性も良好なものとなる。この点、操作パネル17bの各スイッチと各遮断器18,19と非常停止スイッチ20とは、相互に近接して配置されるものの、外観において形状や色に顕著な差異があることから、利用者には、状況に応じた適切な操作が容易に行えるという効果が期待できる。一方、第三者には、遮断器の入切操作など例外的な操作をしようとする契機にならないことから、危険につながる行為の抑止効果が期待できる。
【0033】
なお、本発明は、前記形態例に限定されるものではなく、一体型操作装置は、操作を行うための入力部を本体に備えたものであればよく、押しボタンスイッチで構成する他、モニタに表示される文字や絵などの操作キーを操作可能なタッチパネル式で構成してもよい。また、遮断器や非常停止スイッチなどの配置は、モニタの表示を目視し得る位置で操作可能であればよく、操作性を損なわない範囲で適宜に変更することができる。
【0034】
さらに、無線操作装置には、ロック状態の作動及び解除を行う機能を有していればリモコンキーの他、スマートフォンやタブレットPCなどのモバイル端末を採用することができる。加えて、ロック状態においては、一体型操作装置のモニタにその旨を表示させてもよい。この場合、ロック状態であることが注意喚起されるので、実際には故障ではないのに故障であると誤解するおそれがなくなる。したがって、可搬式エンジン発電機の安全で安心な使用環境を提供することが可能となる。
【0035】
また、一体型操作装置は、可搬式エンジン発電機の使用経験が浅いユーザにとっては有用な支援となるが、ベテランユーザにとっては不要な場合もある。この場合、例えば、従来からの操作手段として用いられているキースイッチを設け、該キースイッチを回動操作してエンジンの始動、運転、停止を行うことができる。これにより、幅広い層の利用者からはもとよりのこと、可搬式エンジン発電機を扱う事業者からも高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになる。
【符号の説明】
【0036】
11…可搬式エンジン発電機、12…支持架台、13…ケーシング、13a…天井板、13b…凹部、13c…吊り金具、13d…点検扉、14…出力制御盤、14a…端子収容空間、15…操作盤、16…操作扉、16a…透明窓部、17…一体型操作装置、17a…モニタ、17b…操作パネル、18…遮断器、18a…ハンドル、19…遮断器、19a…ハンドル、20…非常停止スイッチ、20a…押しボタン、22…押しボタンスイッチ、22a…表示切替スイッチ、22b…投入スイッチ、22c…遮断スイッチ、22d…始動スイッチ、22e…停止スイッチ、22f…遠隔設定スイッチ、22g…手動設定スイッチ
図1
図2
図3
図4