特開2021-9390(P2021-9390A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-9390(P2021-9390A)
(43)【公開日】2021年1月28日
(54)【発明の名称】打楽器
(51)【国際特許分類】
   G10D 13/00 20200101AFI20201225BHJP
【FI】
   G10D13/00 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【公開請求】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-117068(P2020-117068)
(22)【出願日】2020年7月7日
(71)【出願人】
【識別番号】720005840
【氏名又は名称】西 尚徳
(72)【発明者】
【氏名】西 尚徳
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ドラムセットの設置、移動において制約となる組み立ての手間を少なくするとともに、小音量での練習、演奏が行える打楽器を提供する。
【解決手段】打楽器は、折り曲げ可能な材料からなる平板状の本体10aと、本体の凸部を本体となす角を90度より小さい角に折り曲げて形成した打面部と、打面部の本体とは反対側の一部を折り曲げて形成した打面支持部と、打面部とは反対側の本体の凸部を本体の面と直角に折り曲げて形成した脚部と、脚部の本体とは反対側の一部を本体側に折り曲げて形成した脚部支持部10fと、打面部上及び本体に設けた打面パッド(バスドラム様部打面パッド22、クローズドハイハット様部打面パッド23、スネアドラム様部打面パッド24、タムタム様部打面パッド25)と、本体に打面支持部および脚支持部を固定する固定部とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り曲げ可能な材料からなる平板状の本体であって、前記の対面する辺に少なくとも一対の凸部を有する平板状の本体と、
前記平板状の本体の凸部を、前記平板状の本体となす角を90度より小さい角に折り曲げて形成した打面部と、
前記打面部の前記平板状の本体側とは反対側の一部を、平板状の本体側に折り曲げて形成した打面支持部と、
前記打面部とは反対側の前記平板状の本体の凸部を、前記平板状の本体の面と該直角に折り曲げて形成した脚部と、
前記脚部の前記平板状の本体とは反対側の一部を、平板状の本体側に折り曲げて形成した脚部支持部と、
前記打面部上、および平板状の本体に設けた打面パッドと、
前記平板状の本体に前記打面支持部および前記脚支持部を固定する固定部とを有することを特徴とする打楽器。
【請求項2】
請求項1記載の打楽器において、前記平板状の本体と前記打面部との間の折り部分、および前記平板状の本体と前記脚部との間の折り部分に、2本の平行した折り線を設けた二重折り曲げ線を有することを特徴とする打楽器。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の打楽器において、前記平板状の本体の少なくとも1カ所で、前記脚部面と該直交する方向を折り曲げ線として折り曲げていることを特徴とする打楽器。
【請求項4】
請求項1または請求項2、請求項3記載の打楽器において、打面支持部側の固定部および脚部側の固定部の一部を、平板状の本体側の固定部に設けられた穴に挿入することによって固定する構造、または面ファスナーやホックによって固定する構造を有することを特徴とする打楽器。
【請求項5】
請求項1または請求項2、請求項3、請求項4記載の打楽器において、打面部の裏面、または打面支持部に、打面部に加えられた打撃による振動により発音する共振部材を備えることを特徴とする打楽器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り曲げ可能な材料からなる平板状の本体により構成される、折りたたみ可能な組み立て式の打楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のように、従来の生のドラムセットの大きさや演奏時に発する大音量の問題を解消するために、電子音源と打撃を感知する打面とで構成された電子ドラムが存在するが、組み立てや電気的な接続の手間がかかり、演奏音を拡声するための音響機器が別途必要である。
また音響機器を通して聴くことになる演奏音は、打楽器本来の演奏感を体験しづらい。
【0003】
また特許文献2のように、吸音性のある部材を付加した打面を用いた、単調な打撃音を発するのみの練習用パッドと呼ばれる小型のドラム練習台もあるが、主に演奏に備えての身体的な基礎訓練用であり、ドラムやドラムセットの音色や演奏実感は得られない。
【0004】
さらに特許文献3のように、ミュートと呼ばれる弱音器をアコースティックのドラムの打面部分に取り付け、振動を制御することによってドラムの音量を下げるための後付け部材があるが、音色調整の意味合いが大きく、根本的な音量の低減の効果は少ない。
さらに大がかりなミュートを施すと音色や演奏感覚も損なわれる。
また、ドラムの組み立てや分解、運搬に手間がかかる問題の解決にはならない。
【0005】
【特許文献1】特開2007‐206633
【特許文献2】実全昭63‐074677
【特許文献3】特開2018‐146749
【0006】
以上説明したように、従来技術では、大きく重く組み立てや分解、運搬に手間がかかるとともに、演奏時には大音量を発する打楽器、特にドラムセットの練習や演奏の際の問題点を解消できるに至っていない。
すなわち、制約の多い場所におけるドラムセットの練習、演奏を行う際に小型軽量で、設置、移動が容易、かつ小音量なドラムセット様式の打楽器が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はドラムセットの設置、移動において制約となる組み立ての手間を少なくするとともに、小音量での練習、演奏が行える打楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明の打楽器は、折り曲げ可能な材料からなる平板状の本体であって、前記の対面する辺に少なくとも一対の凸部を有する平板状の本体と、前記平板状の本体の凸部を前記平板状の本体となす角を90度より小さい角に折り曲げて形成した打面部と、前記打面部の前記平板状の本体側とは反対側の一部を平板状の本体側に折り曲げて形成した打面支持部と、前記打面部とは反対側の前記平板状の本体の凸部を前記平板状の本体の面と該直角に折り曲げて形成した脚部と、前記脚部の前記平板状の本体とは反対側の一部を平板状の本体側に折り曲げて形成した脚部支持部と、前記打面部上におよび平板状の本体に設けた打面パッドと、前記平板状の本体に前記打面支持部および前記脚支持部を固定する固定部とを有することを特徴とする打楽器としている。
【0009】
また、請求項2記載の本発明の打楽器は、前記平板状の本体と前記打面部との間の折り部分、および前記平板状の本体と前記脚部との間の折り部分に、2本の平行した折り線を設けた二重折り曲げ線を有することを特徴とする打楽器としている。
【0010】
また、請求項3記載の本発明の打楽器は、前記平板状の本体の少なくとも1カ所で、前記脚部面と該直交する方向を折り曲げ線として折り曲げていることを特徴とする打楽器としている。
【0011】
また、請求項4記載の本発明の打楽器は、打面支持部側の固定部および脚部側の固定部の一部を、平板状の本体側の固定部に設けられた穴に挿入することによって固定する構造、または面ファスナーやホックによって固定する構造を有することを特徴とする打楽器としている。
【0012】
また、請求項5記載の本発明の打楽器は、打面部の裏面、または打面支持部に、打面部に加えられた打撃による振動により発音する共振部材を備えることを特徴とする打楽器としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば組み立て、折りたたみが容易で、小型、軽量で小音量でドラムセット様式の練習、演奏が可能な打楽器として提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る第一実施形態の打楽器の展開図である。
図2】本発明に係る第一実施形態の打楽器の斜視図である。
図3】本発明に係る第一実施形態の打楽器の打面部分の拡大図である。
図4】本発明に係る第一実施形態の打楽器の共鳴部材取り付け例を示す図である。
図5】本発明に係る第一実施形態の打楽器の折りたたみ時の形態を示す図である。
図6】本発明に係る第一実施形態の打楽器を収納箱に収納している状態を示す斜視図である。
図7】本発明に係る第二実施形態の打楽器の展開図である。
図8】本発明に係る第二実施形態の打楽器の斜視図である。
図9】本発明に係る第三実施形態の打楽器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第一実施形態)
以下、本発明に係る打楽器の第一実施形態を図1から図6を参照しながら説明する。
なお、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法比率は適宜調整されている。
【0016】
図1は、本発明に係る第一実施形態の打楽器の展開図である。
平板状の本体の素材は、切り抜き加工、折り曲げ形成のための折り曲げ線の加工が可能で、軽量かつ自立可能な強度を有する、例えばダンボール紙や合成樹脂製の中空ボードなどが考えられる。
【0017】
平板状の本体は、三対の凸部を有し、それぞれが三組の打面部と脚部を構成するが、内一組の構造を例に説明する。平板状の本体の、対面する一組の凸部の一方である打面部10bを、打面部二重折り曲げ線11aにて平板状の本体となす角を90度より小さい角に折り曲げて形成する。
さらに打面支持部10cを打面支持部折り曲げ線11bにて平板状の本体の側へ折り曲げ形成し、打面支持部側固定部10dを本体側打面支持部固定部11eに固定する。
平板状の本体のもう一方の凸部である脚部10eを、脚部二重折り曲げ線11cにて平板状の本体となす角を該直角に折り曲げて形成し、さらに脚支持部折り曲げ線11dを折り曲げ形成して、脚支持部側固定部10gを本体側脚支持部固定部11fに固定することにより、平板状の本体の両端にそれぞれ3つの面によって構成された三角トラス状構造を有する形状となる。
他の二組の打面部と脚部も同様に形成するが、脚部の折り曲げ方向は部位によってよって異なる。
【0018】
打面支持部側固定部10dと本体側打面支持部固定部11e、および脚支持部側固定部10gと本体側脚支持部固定部11fは、打楽器本体の組み立て時、および折りたたみ時に容易に固定、および固定解除できる構造、例えば平板状の本体側に設けた穴に支持部側の固定部を挿入する構造や、面ファスナーまたはホックを用いた構造を用いることが考えられる。
【0019】
図2は、本発明に係る第一実施形態の打楽器の斜視図である。
打楽器本体の各打面の配置は、おおよそドラムセットに準じたものとなる。
図2(a)の打面パッド22、23、34、35は、各打面に粘着、あるいは接着固定されたシートで、演奏時のスティックなどの打撃による衝撃から打面部を保護するとともに、音質と音量、および演奏上重要な反発力を調整する。
打面パッドの素材は、衝撃吸収性と反発性を有し、かつ耐久性を備える、例えばスポンジ状ゴムなどを用いることが考えられる。
フットペダル取り付け部10nは、既存のバスドラム用フットペダルに共通した取り付けクランプに対応する平板状の凸構造で、打楽器本体の下部に備える。
【0020】
図2の(b)は、打楽器本体10の下部に備えられたバスドラム用フットペダル取り付け部10nに、既存のバスドラム用フットペダル30を取り付けた図である。 打楽器本体の中央部分には、バスドラム様打面パッド22を備え、バスドラム用フットペダル30によって打撃を加えることでバスドラムを模した音色を発することが可能である。
【0021】
図2の(b)に示すように、打楽器本体には本体延長部支持部10kと、本体延長部支持部折り線11gと、本体延長部支持部固定部10mを備える。
本体延長部支持部10kを、本体延長部支持部折り線11gにて折り曲げて形成し、本体延長部支持部固定部10mを、脚支持部10fにて固定することで、打楽器本体の左右両端を演奏者に近づけて取り囲む配置とする事が可能となり、演奏性を向上させることができるとともに、組み立てた状態の打楽器本体の設置安定度も向上する。
また、本体延長部支持部折り線11gは、打楽器本体の鉛直方向の強度を向上させるとともに、収納時の折りたたみの際の折り曲げ線としても機能する。
【0022】
図3は、本発明に係る第一実施形態の打楽器の打面部分の拡大図である。
この三角トラス状構造の一つの角である打面部二重折り曲げ線11aは、折り線が二本設けられているため、平板状の本体の素材の弾性と併せ純粋な三角トラス構造と比較して柔軟性を備え、打面部10bをスティックなどによって打撃を加えた際に、打面部10bは打撃方向と同方向に振動しやすい構造となる。
また、打楽器本体を折りたたむ際には、二本の折り線により合計して180度を超えて折り曲げることが可能となり、収納性を向上できる。
打面部分は、一般なドラムとは異なり共鳴胴を有していないため小音量である。
この構造は、すべての三角トラス状構造の打面部分に共通である。
【0023】
図4は、本発明に係る第一実施形態の打楽器の共鳴部材取り付け例を示す図である。
打楽器本体は、共振部材を取り付けることで、スティックなどで打面部に打撃を与えた際の振動により共振部材が共振し、他の打楽器を模した音色の発音が可能となる。
図4(a)の音色付加用共振部材ジングル20は、一般的にタンバリンなどに装備される小型の組みシンバルで、打面部10hの裏側や打面支持部10cなどに緩衝材を介してネジなどを用いて取り付けることで、打面部10hに打撃を加えた際の振動により共振しクローズドハイハットシンバルを模した音色を発することが可能である。
図4(b)の音色付加用共振部材スナッピー21は、一般的にスネアドラムに装備される響き線で、打面部10bの裏側や打面支持部10cなどに粘着テープなどを用いて取り付けることで、打面部10bに打撃を加えた際の振動により共振しスネアドラムを模した音色を発することが可能である。
【0024】
この第一実施形態で、バスドラム、クローズドハイハット、スネアドラム、タムタムの4つの打面を備え、既存のバスドラム用フットペダルを取り付けることでドラムセット様式の基礎的な練習、演奏を行うことが可能となる。
【0025】
図5は、本発明に係る第一実施形態の打楽器の折りたたみ時の形態を示す図である。
【0026】
図6は、本発明に係る第一実施形態の打楽器を収納箱に収納している状態を示す斜視図である。
折りたたみ状態の打楽器本体を、収納箱40に収納する様子の図であり、保管、移動を容易に行うことができる。収納箱40には、取っ手40aを備える。
【0027】
(第二実施形態)
以下、本発明に係る打楽器の第二実施形態を図7から図10を参照しながら説明する。
なお、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法比率は適宜調整されている。
【0028】
図7は、本発明に係る第二実施形態の打楽器の展開図である。
本実施形態に係る打楽器を一対のみの打面部と脚部を備える単一打楽器本体とした際の組み立て前の平板状の本体の展開形である。
【0029】
図8は、本発明に係る第二実施形態の打楽器の斜視図である。
図8(a)は平板状の本体の展開形を組み立てた使用時の単一打楽器本体打楽器の全体構成を示す図であり、図8(b)は折りたたみ形態の図である。
【0030】
図9は、本発明に係る第三実施形態の打楽器の斜視図である。
図9の(a)は、打面を打撃した際の強度を上げることが可能であるが、打面の振動が抑えられるため、共鳴部材を取り付ける場合には共振しづらく適さない。
図9の(b)は、打面を打撃した際の強度を上げることが可能であるが、複数の打面を備えるドラムセット様式とする場合、演奏者を取り巻く構成としづらく適さない。
全体の構成による要求によって形態を選択する。
【符号の説明】
【0031】
10a 平面状本体
10b 打面部
10c 打面支持部
10d 打面支持部側固定部
10e 脚部
10f 脚支持部
10g 脚支持部側固定部
10h 打面部
10i 打面支持部
10j 本体延長部
10k 本体延長部支持部
10m 本体延長部支持部固定部
10n バスドラム用フットペダル取り付け部
11a 打面部二重折り曲げ線
11b 打面支持部折り曲げ線
11c 脚部二重折り曲げ線
11d 脚支持部折り曲げ線
11e 本体側打面支持部固定部
11f 本体側脚支持部固定部
11g 本体延長部支持部折り線
20 音色付加用共振部材ジングル
21 音色付加用共振部材スナッピー
22 バスドラム様部打面パッド
23 クローズドハイハット様部打面パッド
24 スネアドラム様部打面パッド
25 タムタム様部打面パッド
30 既製バスドラム用フットペダル(別途)
40 収納箱
40a 収納箱取っ手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9