【解決手段】支柱部材12は、座部を支持する天板部と基部11との各々の中心部に連結されて天板部を揺動可能に支持する。基部11の支持面11aの支柱部材12より前方または後方の領域には、正逆両方向に回転可能なモータM
座部を支持する天板部と、当該天板部に対向する支持面を備える基部と、当該基部および天板部の各々の中心部に連結されて天板部を揺動可能に支持する支柱部材と、前記天板部を揺動させるための一対の揺動機構とを備え、
前記一対の揺動機構の各々は、正逆両方向に回転可能なモータと、このモータの出力軸と天板部との間に配置かつ両者に連結され、当該モータの回転に伴って上下に変位するリンク機構とを備え、
各揺動機構のモータは、前記出力軸とは反対側の面を前記支柱部材に向けた姿勢をもって前記基部の支持面の前記支柱部材より前方または後方の領域に配備されると共に、一方の揺動機構のモータの軸方向が前記支持面の中心部から左斜めになる方向に合わせられ、他方の揺動機構のモータの軸方向が前記支持面の中心部から右斜めになる方向に合わせられる、
着座式揺動装置。
前記一対の揺動機構の各リンク機構は、基部および天板部の前端縁部または後端縁部に対向する場所に位置づけられると共に、前記天板部の当該リンク機構に対向する箇所に連結される、請求項1に記載された着座式揺動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、小型の家庭用ゲーム装置やスマートフォン用のゲーム用ソフトウェアが普及し、バーチャルリアリティゲームやレーシングゲームなどの従来は業務用のゲーム機でしか提供できなかった体感ゲームについても、家庭用のソフトウェアが開発されつつある。それらのゲームに必要な揺動装置に関しても、家庭用の小型の装置が求められている。
【0006】
特許文献1に記載された揺動装置は、モータやボールネジの軸方向が上下方向に合わせられているため、嵩が高くなり、椅子型以外の形態にすることは困難である。
【0007】
特許文献2に記載された揺動装置は、各モータが水平姿勢で配置されているので、コックピットを普通の座部に置き換えてモータを小型にすることで、嵩の低い小型の装置に改良できる可能性がある。しかし、この装置では、支柱部材を中心とする領域内に各モータを各々の軸方向を領域の幅中心線に平行になる方向に合わせて配備しているため、各リンク機構も幅中央部に近い場所で揺動台を支持する状態になり、揺動台の両端部の支持が不安定になる(特許文献2の
図2,
図3を参照。)。また各リンク機構の間の間隔が狭いと、両者の高さに少し差をもたせただけでも揺動台が大きく傾いてしまい、左右の揺れ幅の制御が難しい。安全性の面でも大きな揺動を生じさせるのが困難である。
【0008】
本発明は上記の問題点に着目してなされたもので、家庭内で利用するのに適した大きさおよび形状を備え、座部やそこに座る利用者を安定して支持しながら、利用者に十分な揺れを体感させることが可能な着座式揺動装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による着座式揺動装置は、座部を支持する天板部と、当該天板部に対向する支持面を備える基部と、当該基部および天板部の各々の中心部に連結されて天板部を揺動可能に支持する支柱部材と、天板部を揺動させるための一対の揺動機構とを備える。
一対の揺動機構の各々は、正逆両方向に回転可能なモータと、このモータの出力軸と天板部との間に配置かつ両者に連結され、当該モータの回転に伴って上下に変位するリンク機構とを備える。
【0010】
各揺動機構のモータは、出力軸とは反対側の面を支柱部材に向けた姿勢をもって基部の支持面の支柱部材より前方または後方の領域に配備される。また一方の揺動機構のモータの軸方向が支持面の中心部から左斜めになる方向に合わせられ、他方の揺動機構のモータの軸方向が支持面の中心部から右斜めになる方向に合わせられる。
【0011】
上記構成によれば、中心部の支柱部材と中心部から見てそれぞれ左斜めおよび右斜めになる位置に配備される2つのリンク機構とによって天板部を支えながら各リンク機構を上下動させることによって、天板部を前後方向(ピッチ軸周り)および左右方向(ロール軸周り)に揺動させることができる。各揺動機構のモータは、出力軸の先端を基部の前方または後方に向け、かつ支柱部材から離れるにつれて互いの間の距離が開くように配備されるので、それぞれのモータの出力軸に連結されたリンク機構の間の間隔を十分に広げることができる。よって、天板部を安定して支持することができ、天板部の揺動の度合いの調整も容易になる。
【0012】
上記構成において、一対の揺動機構の各リンク機構を基部および天板部の前端縁部または後端縁部に対向する場所に位置づけると共に、天板部の当該リンク機構に対向する箇所に連結すれば、揺動する天板部をより安定して支持することができる。
【0013】
さらに、各モータを中心部から離れるにつれて互いの間隔が広がるように配置することによって、支柱部材の前後および左右の空間に余裕が生じるので、それらの空間に天板部と基部とを繋ぐ弾性部材を配置して、天板部をより安定して支持することができる。また天板部の揺動によって変形した弾性部材の復元力によってモータの負荷を軽減することもできる。
【0014】
さらに本発明では、基部の支柱部材より後方または前方のモータが配備されていない領域内であって各モータの軸の延長線に対応する2箇所に、それぞれ対応関係にあるモータの回転により生じる天板部の変位を計測するための計測手段を設け、これらの計測手段による計測値の範囲があらかじめ定めた範囲に適合するように各モータの回転範囲を定めて当該範囲内で各モータを回転させることができる。こうすることによって、天板部の左右の傾斜の範囲を揃えて揺動の精度を確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、天板部を中心部および中心部から左斜めになる位置ならびに中心部から右斜めになる位置の3箇所で支えながら、中心部以外の2箇所にそれぞれ揺動のための力を加えることによって、天板部を安定して支持しながら揺動の度合いを細かく調整することができる。よって、座部をヒト一人が座るのに適した広さとし、天板部や基部の面も座部に合う大きさにすることによって、座部やそこに座る利用者を安定して支持しながら、利用者に十分な揺動を体感させることができる小型の着座式揺動装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施例にかかる着座式揺動装置S(以下、単に「揺動装置S」という。)の外観を表すものである。この揺動装置Sは、
図2〜7に示す本体部1と、本体部1の上に載せられるクッション20と、クッション20および本体部1を覆うカバー体2とにより構成される。
【0018】
カバー体2は、本体部1の底縁から後述するモータM
A,M
Bが隠れる程度の範囲までを囲む底部部材22と、クッション20と共に揺動装置Sの座部を構成する上部部材21と、底部部材22と上部部材21とを繋ぐ蛇腹状の中間部材23とが一体になった構成のものである。底部部材22は硬質性樹脂により形成され、上部部材21および中間部材23は軟質性樹脂により形成されている。中間部材23が本体部1の天板部10の揺動に応じて変形しながら上部部材21を支持することによって、上部部材21にも天板部10と同様の揺動を生じさせることができる。
【0019】
この実施例の揺動装置Sは、バーチャルリアリティゲームやレーシングゲームなどの体感ゲームにおいて、ゲームの進行に応じた揺れを利用者に体感させるために、ゲーム用のプログラムを実行するゲーム装置と連動して動くように設計されている。ただし、ゲームに限らず、映像再生装置と連動して映画などの映像が示す動きに適した揺れを発生させることもできる。また、フィットネス用の装置として使用することもできる。
【0020】
図2は、本体部1を正面の右側から見た斜視図である。
図3は本体部1を背面側から見た斜視図であり、
図4は
図3中の左側の一部分(揺動機構15Aを含む部分)の拡大斜視図である。
図5は本体部1の基部11の上に配置される構成を表す平面図(天板部10を除いたもの)である。
図6は本体部1の左側面図であり、
図7は本体部1の背面図である。以下、これらの図を参照して、本体部1の構成を詳細に説明する。
【0021】
この実施例の揺動装置Sの本体部1は、クッション20を載せるのに適した広さの天面10aを有する天板部10,天面10aと等しい形状および大きさの支持面11aを有する基部11,天板部10と基部11とを各々の中央部で連結する支柱部材12,一対の揺動機構15A,15B,揺動機構15A,15Bの動作を制御する制御装置100(
図8を参照。)などにより構成される。
【0022】
天板部10および基部11は、矩形の4つの角を切り欠いた形(八角形)の面(この実施例では左右の幅が奥行きよりも若干長いが、両長さを一致させてもよい。)を有する板状部材である。支柱部材12は、円柱状の支柱本体12a(
図2,
図5を参照),この支柱本体12aの上端に連続形成される円盤部12b(
図6,7を参照。),円盤部12bに連なる連結ロッド(不図示),当該連結ロッドの上端面に取り付けられたユニバーサルジョイント13などにより構成される。支柱本体12aの底部はボルト等によって基部11に固定される。
【0023】
支柱部材12の円盤部12bの上面には、ユニバーサルジョイント13の一方の軸を天板部10の前後方向に沿う中心線に合わせて支持するための一対の支持部材r1,r2が連結されている。これらの支持部材r1,r2は天板部10に届く高さを有し、天板部10に接する上端面が凸状の曲面となっている(
図7を参照。)。
【0024】
天板部10の裏面には、ユニバーサルジョイント13の他方の軸を天板部10の左右方向に沿う中心線に合わせて支持するための一対の支持部材p1,p2が連結されている。こちらの支持部材p1,p2は円盤部12bとの間に十分な距離が生じる長さに設定される。天板部10は支持部材p1,p2を介してユニバーサルジョイント13に連結されると共に、支持部材r1,r2の上端面に支えられることで、前後および左右の各方向に揺動可能に支持される。
【0025】
揺動機構15Aは、モータM
Aと、当該モータM
Aの出力軸115と天板部10との間に配置かつ両者に連結されるリンク機構L
Aとにより構成される。揺動機構15Bも、揺動機構15Aと同じ構成のモータM
Bおよびリンク機構L
Bにより構成される。
【0026】
モータM
A,M
Bについて、この実施例では、回転方向の切り替え指令に対する応答性を考慮して、DCブラシレスモータを使用する。ただし、これに代えてステッピングモータを使用してもよい。
【0027】
各モータM
A,M
Bは、背面を支柱本体12aの外周面に接触させ、軸を水平かつ斜め後方向に向けて基部11の支持面11aに固定される。
図5の平面図を参照してより具体的に説明すると、正面から見て右手側に位置するモータM
Aの軸は支持面11aの幅中心線に対して時計回り方向に45度回転した方向に合わせられ、正面から見て左手側に位置するモータM
Bの軸は支持面11aの幅中心線に対して半時計回り方向に45度回転した方向に合わせられる。
【0028】
リンク機構L
A,L
Bは、対応するモータ(M
AまたはM
B)の出力軸115の先端部に連結される板カム110、板カム110に連結される第1アーム111、第1アーム111と天板部10の底面とに連結される第2アーム112などにより構成される(
図2,3,4を参照。)。上述した各モータM
A,M
Bの配置によって、各リンク機構L
A,L
Bは、基部11および天板部10の後端縁部の左右のコーナー部(切り欠き部分)に対向する場所に位置づけられ、連結されているモータM
A,M
Bの回転に伴って上下に変位する(後述する
図10,11を参照。)。
【0029】
なお、この実施例では、各リンク機構L
A,L
Bの板カム110と第1アーム111との連結部が機体の幅中央部に対向し、かつ高さ方向中央部に位置する状態(
図3,
図7を参照。)になるときのモータM
A,M
Bの回転位置を各々のモータM
A,M
Bの基準位置として、各モータM
A,M
Bの回転動作を制御している。
【0030】
天板部10と基部11とは、支柱部材12により連結されるほか、各々の前後および左右の各方向に沿う中心線の付近で支柱部材12から等しい距離を隔てた場所にあたる4箇所において、それぞれ引張りバネ16(以下、単に「バネ16」という場合がある。)を介して連結される。天板部10および基部11の上記4箇所にはそれぞれ孔を有する連結具17が設けられ、それらの連結具17の孔にバネ16の両端縁部を挿通させることによって、各バネ16は天板部10と基部11との間に起立姿勢をもって配備される。
【0031】
基部11の前端縁側のコーナー部の近傍位置には、それぞれ光学式の変位センサ18A,18Bが配備される(
図5にのみ矩形に簡略化して図示する。)。左手側の変位センサ18Aは右手側のモータM
Aの軸の延長線に位置合わせされ、右手側の変位センサ18Bは、左手側のモータM
Bの軸の延長線に位置合わせされる。各変位センサ18A,18Bによって、それぞれの配置位置から天板部10までの距離が計測され、その計測値が制御装置100に入力される。
【0032】
図2〜7では図示を省略したが、制御装置100は、回路基板とこれを保護するケース体とにより構成される。制御装置100は、基部11の端縁部の適所に配備され、カバー体2の底部部材22の適所に設けられたコネクタを介して外部電源に接続される。なお、制御装置100は底部部材22の内面に取り付けることもできる。
【0033】
図8は、上記制御装置100を含む揺動装置S内の電気的構成を表したブロック図である。この実施例の制御装置100には、マイクロコンピュータによる制御部101,モータドライバ102,通信回路103,変位センサ18A,18Bの信号処理回路104A,104Bなどが含まれる。
【0034】
制御部101は、通信回路103を介してゲーム用のアプリケーションソフトウェアを実行するゲーム装置(不図示)との通信を行い、当該ゲーム装置からゲームの進行に応じて天板部10を傾けるための指令信号(ロール軸またはピッチ軸における回転角度や回転速度を表す信号)を受信すると、この指令信号をモータM
A,M
Bの回転位置(どこまで回転させるかを表す目標の位置)や回転速度を表す信号に置き換えてモータドライバ102に出力する。モータドライバ102は、制御部101からの指令信号に従って各モータM
A,M
Bの回転方向や回転量を制御する。
【0035】
この実施例では、各モータM
A,M
Bを、板カム110と第1アーム111との連結部の位置が本体部1の幅中央側の半周の範囲で動くように回転させる。各モータM
A,M
Bの前面を正面視した
図7を参照して言い換えると、モータM
Aは板カム110と第1アーム111との連結部を全周の右半分(正面から見ると左半分)の範囲で動かし、モータM
Bは板カム110と第1アーム111との連結部を全周の左半分(正面から見ると右半分)の範囲で動かす。さらにこの実施例では、起動直後に、上記半周の範囲内でモータM
A,M
Bを実際に動かす範囲をより限定するために、以下の設定処理を実施する。
【0036】
設定処理において、制御部101は、各モータM
A,M
Bを1つずつ、前記の半周の範囲で正逆両方向に繰り返し回転させながら、回転中のモータの軸の延長線上にある変位センサ18A,18Bの計測値を取り込む。すなわち正面から見て右側のモータM
Aを回転させているときは左側の変位センサ18Aの計測値を取得し、正面から見て左側のモータM
Bを回転させているときは右側の変位センサ18Bの計測値を取得する。
【0037】
さらに制御部101は、回転中のモータM
A(またはM
B)について、計測値を取得中の変位センサ18A(または18B)からあらかじめ定めた最上位置(天板部10の前端部の高さの上限とする位置)が得られるときの回転位置と、あらかじめ定めた最下位置(天板部10の前端部の高さの下限とする位置)を表す計測値が得られるときの回転位置とを特定し、これらの位置の間を当該モータの回転範囲として定める。また、この回転範囲の中央位置(最上位置と最下位置との平均値に相当する計測値が得られた位置)がモータの基準位置に設定される。
【0038】
このように、変位センサ18A,18Bによる計測値に基づき、モータM
A,M
B毎に天板部10をあらかじめ定められた高さ範囲で変位させるのに必要な角度範囲を特定し、その範囲内でモータM
A,M
Bを回転させることによって、揺動機構15A,15Bの機械的誤差による影響を軽減でき、天板部10の左右の傾斜の範囲を揃えることができる。モータM
A,M
Bを回転させるときの目標位置も、モータM
A,M
B毎に、最上位置から最下位置までの範囲に対する比率から容易に割り出すことができる。
【0039】
なお、回転範囲を決めるための最上位置および最下位置についても、事前に各モータM
A,M
Bを1つずつ回転させながら、その軸の延長線上に位置する変位センサ18A,18Bの計測値を取り込み、双方のセンサの計測値の変動範囲の共通部分の中にある2つの位置を選ぶ方法により定めることができる。
【0040】
各モータM
A,M
Bの回転に伴う天板部10の変位を計測する手段は変位センサ18A,18Bに限らず、
図9の模式図に示すような構成の計測手段に置き換えてもよい。
【0041】
図9に示す計測手段は、基部11の上に起立配備されるリニアポテンショメータ30と、天板部10から鉛直方向に向かって延び出る検出用ロッド32と、検出用ロッド32の先端部をリニアポテンショメータ30のスライダー31に連結する連結部材33とにより構成される。リニアポテンショメータ30や検出用ロッド32は、基部11および天板部10の厚み部分に設けられたボールジョイント34やその受け部材35によって支持される。
【0042】
上記構成において、天板部10が上昇または下降すると、検出用ロッド32やスライダー31も同じ方向に移動する。スライダー31の毎時の位置を表す電圧信号は制御装置100に入力されてディジタル変換され、その変換後の値が天板部10の位置を示す指標として使用される。
【0043】
図9に示した計測手段も、変位センサ18A,18Bと同様に2つ導入され、それぞれが各モータM
A,M
Bの軸の延長線に位置合わせされる。制御部101は、各計測手段から得た計測値を用いて前述したのと同様の設定処理を実施する。
【0044】
設定処理によってモータM
A,M
Bの回転範囲が定められると、制御部100は、各モータM
A,M
Bを各々の基準位置まで回転させて停止させ、以後、外部のゲーム装置からの指令信号に応じて、モータドライバ102と協働して天板部10を指令どおりに動かすための制御を実行する。
【0045】
たとえば、天板部10を前後方向(支持部材p1,p2の間のピッチ軸の周り)に揺動させる場合には、各モータM
A,M
Bを互いに反対となる方向に回転させることによって、
図10(a)(b)(c)に示すように、各揺動機構15A,15Bのリンク機構L
A,L
Bを同じ方向に移動させる。すなわち天板部10を前傾姿勢にするときはリンク機構L
A,L
Bを共に上昇させ(
図10(b))、天板部10を後傾姿勢にするときはリンク機構L
A,L
Bを共に下降させる(
図10(c))。
【0046】
天板部10を左右方向(支持部材r1,r2の間のロール軸の周り)に揺動させる場合には、各モータM
A,M
Bを同じ方向に回転させることによって、
図11(a)(b)(c)に示すように、各揺動機構15A,15Bのリンク機構L
A,L
Bを互いに反対となる方向に移動させて、各々の高さが異なる状態になるようにする。
【0047】
これらの制御を基本として、ピッチ軸周りへの揺動によって前傾姿勢または後傾姿勢になった天板部10をロール軸周りにも揺動させたり、モータM
A,M
Bのいずれか一方のみを回転させることで天板部10の左右方向の傾きを微調整するなど、様々なパターンの制御を実施することができる。
【0048】
図2〜7に示した構成の揺動装置では、中心部の支柱部材12と共に天板部10を支えるリンク機構L
A,L
Bが天板部10の後端部の左右のコーナー部(切り欠き部分)の近くに配置されているので、揺動の際の天板部10の後端部を安定して支持することができる。また、リンク機構L
A,L
Bが十分な間隔を隔てて配置されることによって、リンク機構L
A,L
Bの高さの差の変化に対する天板部10の傾きの変化を緩やかにできるので、天板部10の傾きをきめ細かく調節することができる。
【0049】
さらに、ユニバーサルジョイント13による揺動軸が天板部10の直下に設けられていることや、支柱部材12の前後左右に一定の距離を隔てて配置された4つの引張りバネ16によって天板部10が均等に支えられていることによって、天板部10が必要以上に揺れるのを防ぐことができる。
【0050】
天板部10の傾きを変更するためにモータM
A,M
Bの回転方向が切り替えられるときには、天板部10の上方への変位が生じた場所の下で伸張していた引張りバネ16の復元力によって、モータM
A,M
Bにかかる負荷が軽減される。各引張りバネ16が支柱部材12の前後および左右にそれぞれ一定の距離を隔てて配置されていることによって、天板部10がどのように傾いても、上方に変位した箇所にあるバネ16が付勢され、その箇所が下方に変位するようにモータM
A,M
Bの回転方向が切り替えられたときの当該バネ16の復元力によってモータM
A,M
Bの負荷が軽減され、回転方向を速やかに切り替えることができる。
【0051】
この実施例では、2つのモータM
A,M
Bの軸が幅中心線に対してなす角度が45度付近になるように各モータM
A,M
Bの姿勢を定めたことによって、4つの引張りバネ16を本体部の前後および左右の各方向に沿う中心線上に配置することができる。ただし、各バネ16の配置位置は各中心線から若干ずれた場所であってもよい。またバネ16の数は4個に限らず、たとえば、支柱部材12を中心とする2つの同心円上にそれぞれ4個ずつ配置(すなわち、4方位にそれぞれ2個のバネ16を配置)してもよい。
【0052】
モータM
A,M
Bの軸を幅中心線から45度回転させた方向に合わせることも必須ではなく、リンク機構L
A,L
Bを後端部の左右のコーナー部に近い場所に位置づけられることを条件としてモータM
A,M
Bの軸方向を変更してもよい。
【0053】
上記の実施例とは逆に、各揺動機構15A,15Bの各モータM
A,M
Bをそれぞれの出力軸115を前方に向け、かつ支柱部材12から離れるにつれて互いの間隔が広がるようにして、基部11の支持面11aの支柱部材12より前方の領域に配備することによって、リンク機構L
A,L
Bを天板部10の前端縁部の左右のコーナー部(切り欠き部分)の近傍位置に連結してもよい。このように変更した場合でも、天板部10を中心部および前端縁部の左右のコーナー部の3箇所で安定して支えながら、揺動の度合いを細かく調整することができる。また、引っ張りバネ16も
図5と同様の4箇所に配備することができるので、それらの支えによって天板部10を穏やかに揺動させることができる。
【0054】
揺動機構15A,15Bが支柱部材12より前方に配備される場合にも、機体の後部の各モータM
A,M
Bの軸の延長線に対応する位置に、それぞれ変位センサ18A,18B等の変位計測手段を設け、それらによる計測値に基づいて各モータM
A,M
Bの回転動作を精度良く制御することができる。
【0055】
天板部10の天面10aや基部11の支持面11aも、上記実施例のような形状に限らず、切り欠きのない矩形にしても良いし、円形または楕円形としてもよい。また基部11の支持面11aを天面10aより少し大きくしてもよいし、支持面11aと天面10aとの形状を異ならせてもよい。これらをいずれの形状にしても、また各揺動機構15A,15Bを支柱部材12の前方および後方のいずれに配置する場合でも、各揺動機構15A,15BのモータM
A,M
Bを、軸方向を基部の幅中央部に対して斜めに向けた水平姿勢にして基部11の支持面11aに配備することによって、各モータM
A,M
Bを互いの軸を平行かつ前後方向に向けて配置する場合よりも奥行きを短くすることができる。また特許文献1のような嵩の高い装置にはならないので、揺動装置Sの設置場所の自由度を大きくすることができる。
【0056】
たとえば、
図12に示すように床の上に揺動装置Sを置いてその上に座わることができる。また、
図13に示すように、椅子CHの座面の上に揺動装置Sを置いてその上に座わることもできる。基部11の底面全体を水平姿勢で安定させて支持できるのであれば、ソファーやマットレスなどの上で使用することもできる。
【0057】
基部11の底面全体が水平姿勢で支持されるならば、天板部10やその上のクッション20および上部部材21による座部をしっかり揺動させることができ、その上に座る利用者も十分な姿勢の変化を体験することができる。ただし、揺動中に利用者の身体が座部から滑り落ちないようにするには、利用者が後方側に身体の重心をかけて座部に座るように促す必要がある。この観点から、表面のカバー体2に着脱式の背もたれを取り付けられるようにし、
図12の例のように背もたれになるものがない場所で使用されるときには、その背もたれを取り付けて使用するようにしてもよい。