【解決手段】巻上搬送装置は、移動手段のための第1の駆動手段2と、揚上手段のための第2の駆動手段4と、巻上ロープの軸線方向の角度を検出するロープ角検出手段7と、駆動手段による駆動状態を制御する制御手段9とを備える。制御手段9は、移動手段の移動を制御する搬送制御部と、吊荷を所定の高さまでの揚上を制御する揚上制御部と、吊荷の状態を判別する判別部とを備える。搬送制御部9は、判別部によって判別される吊荷Mの状態を参照しつつ、巻上ロープ5の軸線方向の角度を鉛直方向に誘導する。巻上搬送装置は吊荷角検出手段8をさらに備え、判別部は吊荷角検出手段8による検出値を併せて吊荷Mの状態を判別し、搬送制御部は、吊荷Mの重心から巻上ロープ5の先端に至る方向を、巻上ロープの軸線と併せて鉛直方向に誘導する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<装置の概要>
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例を示す概略図である。本実施形態は、
図1に示すように、トロリー型の巻上搬送装置にかかる制御システムである。この巻上搬送装置には、所定のレールLに沿って直線的に移動するトロリー(移動手段)1と、このトロリー1の移動に必要な駆動力を付与するモータ(第1の駆動手段)2とを備えている。また、このトロリー1には、ウインチ3および駆動モータ(第2の駆動手段)4が搭載され、トロリー1(ウインチ3)から垂下される巻上ロープ5を巻き上げることかできる。
【0018】
吊荷Mを搬送するためには、ウインチ3によって巻上ロープ5を巻き上げて、吊荷Mを浮上させるとともに、トロリー1を移動させて目的とする位置まで移動することとなる。トロリー1の移動には、初期において加速し、最終的には減速させて目的位置で停止させることが必要となるため、その加速・減速時には吊荷に対する搬送時振れが発生し、この時の振れを止めることが要請される。これとともに、地切り(吊荷Mを揚上し、載置場所の表面Nから吊荷Mを浮上させることをいう。以下同じ。)によって発生する振れについても振れ止めすることが要請される。
【0019】
本実施形態は、巻上ロープ5の軸線方向の角度(鉛直方向との間になす角度)を検出するためのレーザセンサ(ロープ角検出手段)7をトロリー1に設置している。このレーザセンサ7によって検出される角度が、鉛直方向と一致する場合、吊荷Mは、トロリー1の直下に存在しているものと判断することかでき、従って、振れ止めに際しては、当該角度が鉛直方向に一致させるようにトロリー1を進行方向に加速・減速させることとなるのである。
【0020】
また、トロリー1の移動(速度・加速度)を制御するために、モータ2はサーボモータとしており、このサーボモータに設けられるエンコーダによって、駆動力の状態(モータの速度)をフィードバックできるものである。なお、駆動手段としてはサーボモータに限定されず、速度を制御できるものであれば他の駆動手段を用いてよい。また、駆動状態のセンシングはエンコーダでなくてもよい。例えば、撮影手段を介して入手できる画像を処理することによりトロリー1の位置、速度および加速度などを解析させるものなどが考えられ得る。
【0021】
さらに、巻上ロープ5の巻き上げ状態を制御するために、ウインチ3を駆動するモータ4もサーボモータとしており、このサーボモータに設けられるエンコーダによって、ウインチ3の駆動状態(巻き上げ速度)をフィードバックできるものである。なお、ここでも上記同様に、駆動手段としてはサーボモータに限定されず、速度を制御できるものであれば他の駆動手段を用いることができ、また、駆動状態のセンシングはエンコーダでなくてもよい。
【0022】
なお、トロリー1を移動させる機構としては種々の形態があり得るが、本実施形態においては、説明の便宜上、モータ(第1の駆動手段)2によって駆動される駆動プーリ21と、反対側に設置される従動プーリ22とを設け、この両プーリ21,22の間に歯付ベルト23を懸架し、この歯付ベルト23の一部にトロリーを固定したものを例示する。但し、搬送装置におけるトロリー1は図示の機構に限定されず、自走式であってもよく、また、直線的に移動させることを前提とすればブーム式のクレーンを用いてもよい。また、吊荷Mには、慣性計測装置(IMU)を設置して、吊荷Mの角度、角速度、加速などを検出させてもよい。この場合、後述するように、吊荷Mの姿勢を計測結果によって判断することができる。
【0023】
上記のように、両モータ2,4のエンコーダの情報、レーザセンサ7の情報(およびIMU8の情報)は、制御装置(制御手段)9によって処理され、制御信号を両モータ2,4に出力するものとしている。この制御装置9は、概略すると処理部91およびサーボドライバ92を備える構成であり、それぞれの検出情報は処理部91に入力され、所望の状態で両モータ2,4を駆動させるために、サーボドライバ92によってそれぞれのサーボモータ2,4に対する制御信号(電圧値)を出力させるものとしている。サーボドライバ92による制御信号はトロリー用モータ2およびウインチ用モータ4へ個別に出力される。図は説明の都合上、単一のサーボドライバ92としているが、個別のサーボドライバによって制御させることもできる。
【0024】
このように、処理部91とサーボドライバ92によって、個々のモータ2,4を制御するための個々の制御部(搬送制御部および揚上制御部)が形成されることとなる。また、処理部91は、レーザセンサ(ロープ角検出手段)7によって検出される巻上ロープ5の角度情報の入力を受け、吊荷Mの状態を判別する判別部を備えるものとしている。なお、上述のようなデータの入出力のためのインターフェース(入出力部)を備える構成としている。
【0025】
ところで、本実施形態は、地切りによって発生する初期振れを振れ止めさせるものであるが、この初期振れは、吊荷Mの重心Gと、巻上ロープ5による巻き上げ方向との不一致による場合が想定される。すなわち、例えば、巻上ロープ5が鉛直方向に一致し、その延長線上に吊荷Mの重心Gが存在する場合には、巻上ロープ5の巻き上げによる地切りの際に初期振れは発生しないが、巻上ロープ5が傾斜している場合、または巻上ロープ5の延長線上に吊荷Mの重心Gが存在しない場合には、巻上ロープ5による巻き上げ時に、巻き上げ力(引っ張り力)は、吊荷Mに対して偶力として作用することとなる。この偶力の作用が吊荷Mの姿勢を不安定化させ、結果として地切りによる初期振れを生じさせることとなるのである。
【0026】
このような吊荷Mの姿勢の不安定化は、例えば、
図1中に示される吊荷Mの底面と、載置場所の表面Nとの関係によって異なり、吊荷Mの底面のうち、搬送方向に向かって前方の端部を前方端(図中右側)Cとし、搬送方向に向かって後方の端部を後方端(図中左側)Dとすると、両端部C,Dのいずれか一方が浮上し、他方が接地している状態があり得る。この場合においても一方が接地した状態で摺動することがあり得る。さらには、両端部C,Dがいずれも接地する状態(すなわち底面全体が設置している状態)で摺動する場合もある。このような不安定な状態は、トロリー1から垂下される巻上ロープ5が当初より鉛直方向であった場合であっても、重心Gの位置が偏っている場合には生じ得るものである。
【0027】
<吊荷の態様変化>
そこで、巻上ロープ5による引っ張り力を作用させる場合の吊荷Mの状態は、次の8つのモードに分類することができる。これを図示すると、
図2に示すような遷移モードとして示すことができる。なお、図中の「Swing」は、浮上した状態を示すが、吊荷Mの態様としては振れ状態にあることを意味する。また、「slide」は摺動している状態を意味し、「stick」は停止状態を意味する。「C」は上記(
図1中)の前方端Cのみが接地している状態、「D」は上記(
図1中)の後方端Dのみが接地している状態、「Planar」は底面全体(両端部C,Dの双方)が接地している状態における接地部分の態様であることを示す。
【0028】
図2に示すように、巻上ロープ5により引っ張り力を受けた吊荷Mは、いずれかの態様を経由して、最終的には浮上し振れ状態「Swing」となる。浮上に至る前段階として、摺動状態「slide」または停止状態「stick」のいずれかの態様があり得る。摺動状態「slide」および停止状態「stick」のいずれの場合においても、底面全体「Planar」が摺動「slide」する態様と、停止「stick」する態様とがある。また、両端部C,Dの一方が浮上し、他方が接地する場合において、前方端Cのみが接地している場合にも摺動「slide」する態様と、停止「stick」する態様とがあり、後方端Dのみが接地している場合にも摺動「slide」する態様と、停止「stick」する態様とがある。
【0029】
従って、摺動状態「slide」および停止状態「stick」は、3種類の接地の状態において生じ得るため、合計6つの態様が生じ、摺動「slide」の後に浮上する(振れる)「Swing」態様と、停止「stick」の後に浮上する(振れる)「Swing」態様とを区別すれば、総合計で8つの態様となり得る。
【0030】
このような8つの態様は、巻上ロープ5の張力、その反力および角度、また吊荷Mの傾斜角や角速度および載置場所表面Nとの摩擦抵抗などを検出すれば、具体的な状態を演算により把握することは可能であるが、ここでは、いずれかの態様を経由して浮上することのみ説明することとした。
【0031】
<吊荷の姿勢>
上記のように、摺動「slide」および停止「stick」の状態を経由して吊荷Mが浮上する状態を具体的な吊荷Mによって説明する。
図3および
図4は、L字形状の吊荷Mを搬送する際の状態変化を示すものである。なお、図において、吊荷Mは、適度な厚み(図の紙面に垂直な方向の厚み)を有する三次元物体による重量物とし、その重心Gは吊荷Mの正面視における中央よりも後方側に位置するものとする。また、
図1において示したように、吊荷Mに対し搬送方向の前方と後方の2箇所に玉掛けロープ6を設置したものとし、玉掛けロープ6は、巻上ロープ5の先端51の一箇所に連結されるが、連結位置は固定したものとする。一般的には巻上ロープ5の先端に設けられるフックによって玉掛けロープ6を掛止させた状態である。さらに、巻上ロープ5は可撓性を有するものとする。巻上ロープ5はウインチ3に巻き取られる構成であるが、説明の都合上、トロリー1の中心から延出する状態を示すこととする。
【0032】
そこで、まず、巻上ロープ5を適度に巻き上げると、可撓性を有する巻上ロープ5は十分に緊張した状態となる。この状態が初期状態である(
図3(a)参照)。なお、この初期状態において、説明の便宜上、巻上ロープ5は、鉛直方向に対して敢えて所定の角度θ
1の有する状態とし、吊荷Mの重心Gは、吊荷Mの中心よりも後方側(図中左側)に偏った位置に存在するものとする。
【0033】
上記の初期状態から巻上ロープ5のみを作動(モータ4によって駆動)させ、トロリー1は停止させた状態とする。なお、巻上ロープ5は予め定めた加速度により巻き上げを開始し、その後等速で巻き上げるものとする。ただし、これらの巻き上げの速度・加速度は大きいものではないものとする。巻上ロープ5の巻き上げを開始することによって、吊荷Mに対して引っ張り力が作用することとなり、吊荷Mは巻上ロープ5の軸線方向に引き寄せられることとなる。このとき、巻上ロープ5の角度θ
1が大きい場合には、吊荷Mの底面全体が載置場所表面Nに設置した状態で摺動(Planar slide)することとなる(
図3(b)参照)。その後、巻上ロープ5の角度θ
1が小さくなることにより、当該摺動(Planar slide)の状態は終了する。なお、初期状態における巻上ロープ5の角度θ
1が小さい場合には、吊荷Mの底面全体による摺動(Planar slide)が出現しないことがある。また、トロリー1を進退方向へ移動可能とする(後述の制御状態とする)場合には、巻上ロープ5の角度θ
1を小さくさせるようにトロリー1が移動することから、この場合においても吊荷Mの底面全体による摺動(Planar slide)が出現しないことがある。
【0034】
上記のような吊荷Mの底面全体による摺動(Planar slide)が出現しないか、またはその後においては、吊荷Mの前方端Cまたは後方端Dのうち、軽い側(図は前方端C)が上昇し、他方(図は後方端D)のみが載置場所表面Nに接地した状態となる(
図3(c)参照)。このような一方の端部(前方端C)が上昇して吊荷Mが傾斜するのは、巻上ロープ5による引っ張り力が作用する延長線上に吊荷Mの重心が位置していない場合に出現する態様である。
【0035】
そして、後方端Dが接地する状態は、前記の底面全体による摺動(Planar slide)に継続して出現することから、後方端Dのみによる摺動(D-slide)となる場合がある。これは、摺動(slide)が継続する場合である。その他の態様としては、底面全体が載置場所表面Nに接地した状態で摺動(Planar slide)した後、一時的に停止(Planar stick)し、その後、前方端Cのみが上昇する態様である。この場合は、後方端Dのみが接地した状態での停止(D-stick)した態様となる(
図3(c)参照)。初期状態において巻上ロープ5の角度θ
1が当初より小さい場合には、吊荷Mの底面全体による摺動(Planar slide)の状態は出現せず、停止(Planar stick)の状態から後方端Dのみが接地した摺動(D-slide)または停止(D-stick)の態様となり得る。
【0036】
なお、巻上ロープ5に対する巻き上げ動作は継続されることから、当該巻上ロープ5による引っ張り力が、吊荷Mに対し、上向きの力として作用する分力よりも、横向きの力として作用する分力が勝る場合であって、前方端Cが浮上し、後方端Dのみが接地した状態で摩擦抵抗が小さくなれば、一時的に停止(D-stick)した後に、さらに摺動(D-slide)する態様に変化する場合もあり得る。
【0037】
後方端Dが接地した状態で摺動(D-slide)する場合、摺動せずに停止(D-stick)する態様のいずれかかにおいて、継続して巻上ロープ5が巻き上げられることによって、最終的には後方端Dも浮上する状態となる(
図4(a)参照)。この状態が地切りされた状態である。
【0038】
地切りの直後にあっては、
図4(a)に示しているように、吊荷Mの重心Gは、巻上ロープ5の軸線方向の延長線上に位置するか、または延長線上に近似した位置となることが想定される。これは、巻上ロープ5による引っ張り力が、吊荷Mの重心Gに向かって作用することとるため、吊荷Mの底面全体による摺動(Planar slide)、または後方端Dのみによる摺動(D-slide)に際して、吊荷Mの姿勢がそのように変化するからである。
【0039】
ところが、例えば、吊荷Mと載置場所表面Nとの間の摩擦係数が極端に小さい場合には、吊荷Mの摺動による慣性力により、吊荷Mの重心Gは巻上ロープ5の延長線上よりも前方へ移動することがある(
図4(b)参照)。上記とは逆に、摩擦抵抗が大きい場合は、重心Gは巻上ロープ5の延長線上よりも遅れた状態となり得る(
図4(c)参照)。しかしながら、巻上ロープ5が可撓性を有するものであり、吊荷Mが重量物であることから、地切り後には、早期に吊荷Mの重心Gは巻上ロープ5の延長線上に位置することとなるものと想定される。
【0040】
一方、吊荷Mの重心位置が前方に配置される場合は、また異なる態様となる。例えば、
図5に示すように、上記と同様のL字形状の吊荷Mを搬送する場合であるが、その向きが前後反転している場合には、その重心Gが吊荷Mの中央よりも前方側に位置する初期状態となる(
図5(a)参照)。このような場合には、例えば、摺動(slide)することなく、後方端Dのみを浮上させ、前方端Cが接地した状態で摺動(C-slide)する場合、または摺動せずに停止(C-stick)する場合となることも想定され得る。このような場合においても、巻上ロープ5の角度θ
1は吊荷Mの姿勢の変化(傾斜)に伴って小さくなる(
図5(b)参照)。その後、継続して巻上ロープ5を巻き上げることで、その状態が維持されつつ、または前方端Cが僅かに摺動(C-slide)して再度停止(C-stick)した後、全体が浮上する(地切りされる)こととなる(
図5(c)参照)。
【0041】
他方、長尺な棒状の吊荷Mを搬送する状態を
図6および
図7に示す。吊荷Mは一様に同じ太さとし、重心は長手方向の中央に配置されるものとする。このような棒状の吊荷Mを搬送する場合には、これらの図に示されるように、玉掛けロープを使用せず、巻上ロープ5の先端を吊荷Mの前方端Cに直接連結して引き上げる場合があり得る。この場合においても、前述の8つの態様はあり得るが、吊荷Mの底面全体による摺動(Planar slide)または停止(Planar stick)する状態は省略されるものと思われる。そして、前方端Cに連結された巻上ロープ5を巻き上げることにより、前方端Cのみが上昇し、他方の後方端Dのみが載置場所表面Nに接地した状態となり、摺動(D-slide)することとなる(
図6(b)および(c)参照)。この摺動(D-slide)によって移動する距離は、比較的長くなり得るものであり、棒状の吊荷Mの軸線が巻上ロープ5の軸線と同程度に起立状態となるまで継続されるものと想定される(
図7(a)参照)。その後も継続的に巻上ロープ5が巻き上げられることによって、後方端Dも浮上し、全体として地切りされることとなる(
図7(b)参照)。
【0042】
また、上記のような地切りの状態は、ジブクレーンにおいても同様である。
図8は、ジブクレーン10を使用する場合の地切りの状態を示している。この図に示されているように、ジブクレーン10のアーム11の先端から巻上ロープ5が吊下され、この巻上ロープ5の下端において玉掛けロープ6と連結される。アーム11は、マスト上部にある本体部から延出された状態で起立方向および傾倒方向へ角度を変更させることができるものであり、また、本体部にウインチ3を備え、巻上ロープ5を巻き上げることができるものである。そこで、吊荷Mの移動に際しては、アーム11を起立させることによることができるほか、ウインチ3の作動を同時に操作することができる。アーム11の起立のみで、巻上ロープ5を上昇させ、かつ吊荷Mの水平方向への移動も可能であることから、アーム11の駆動をもって、移動手段および揚上手段とみなすことができる。また、ウインチ3を揚上手段とし、アーム11の起立または旋回を移動手段として作動させることもできる。
【0043】
ところで、吊荷Mを所定の目標位置まで移動させるためには、アーム11(または同時にウインチ3)を操作することとなる。このとき、まずは地切りのための揚上を先行させる場合、上述のトロリー1を使用する状態(
図3参照)と同様に、初期の状態(
図8(a)参照)から巻上ロープ5を上昇させる(または巻き上げる)。これにより、吊荷Mに対して引っ張り力が作用することとなり、吊荷Mは巻上ロープ5の軸線方向に引き寄せられることとなる。そして、巻上ロープ5の角度θ
1が大きい場合には、吊荷Mの底面全体が載置場所表面Nに設置した状態で摺動(Planar slide)することとなる(
図8(b)参照)。また、その後、巻上ロープ5の角度θ
1が小さくなれば、当該摺動(Planar slide)の状態は終了する。なお、この場合においても、吊荷Mと巻上ロープ5との関係により、吊荷Mの底面全体による摺動(Planar slide)が出現しないことがあり得る。その後においては、軽い側(図は前方端C)が上昇することから、他方(図は後方端D)のみが載置場所表面Nに接地した状態となる(
図8(c)参照)。そして、継続的に巻上ロープ5が上昇される(または巻き上げられる)ことにより、吊荷Mは地切りされることとなる。
【0044】
なお、特に図示してはいないが、ジブクレーン10による場合においても、アーム11の先端には、巻上ロープ5の角度を検出するためのレーザセンサが設けられ、アーム11の角度および角速度ならびにウインチ3の巻き上げ速度等は、エンコーダその他の検出装置によって検出されるものである。また、このようにジブクレーン10によって吊荷Mを搬送させることも可能あるが、吊荷Mの搬送状態はトロリー1による場合と実質的に同様であるから、以降においてはトロリー1による搬送を中心に説明することとする。従って、以降において、トロリー1の搬送および巻上ロープ5の巻き上げに関する部分は、ジブクレーン10におけるアーム11の角度変更とウインチ3の操作による場合を含むこととして説明する。
【0045】
<地切りの検知>
上記のように、各種形状の吊荷Mを搬送する場合においても、トロリー1を停止させた状態で巻上ロープのみを巻き上げる場合には、吊荷Mの状態が変化する過程において、巻上ロープ5の角度θ
1は、徐々に減少する。長尺な棒状の吊荷Mを揚上する場合は巻上ロープ5の角度θ
1が一時的に拡大することもあり得るが、最終的には徐々に減少することとなる。本実施形態では、上述したように、レーザセンサ7によって巻上ロープ5の角度θ
1を検出していることから、この角度θ
1の変化量により、地切り中であることを検知することができる。
【0046】
すなわち、載置場所表面Nから浮上した吊荷Mは、トロリー1(巻上ロープ5の基点)を中心に揺動することとなり、巻上ロープ5の角度θ
1が“0”まで減少した後、さらに“−”の値を検出することとなる。このときの角度変化における角速度も検出されることから、巻上ロープ5の角度θ
1が“0”へ向かう際の角速度によって、単なる角度θ
1の減少でないことを検知し得ることとなる。この状態は、前記の摺動(slide)および停止(stick)では生じない態様であることから、地切り後における吊荷Mの初期振れであることを検出し得る。このように、初期振れを検出した時点で、トロリー1の移動を開始し、振れ止め制御を行うこととなる。
【0047】
なお、地切りの状態は、上述のように巻上ロープ5の角度θ
1の検出値によって検知するほかに、画像によって検知してもよく、または、吊荷Mの姿勢の変化をIMUによって検出し、その傾斜に係る角速度、移動に係る加速度などを検出することによって検知してもよい。
【0048】
これは、当初よりトロリー1を移動させる制御系とする場合、すなわちトロリー1の駆動制御と巻上ロープ5の巻き上げ制御とを同時に行う場合、巻上ロープ5の角度θ
1の変化のみで地切りの状態を判別することは困難となることから、画像処理またはIMUによる吊荷Mの状態を検出させて、地切りの状態を判断するのである。
【0049】
画像によって検知する場合は、撮影手段によって取得される画像を分析することにより、吊荷Mの全体の位置(前方端Cおよび後方端Dの各位置)を検出することで、地切りの状態を検知させることができる。さらに、吊荷Mと載置場所表面Nとの境界部分のみを解析し、両者間に連続する部分がなく、前方端Cから後方端Dに至る範囲の全体に間隙が生じた状態を閾値として、地切りの状態を検知させてもよい。
【0050】
また、IMUによって検知する場合は、吊荷Mの姿勢(傾斜角度)の変化および当該傾斜角度に伴う位置の変化を検出することにより、吊荷Mの傾斜に伴う上昇か、地切りに伴う上昇かを区別することで、地切りのタイミングを検出することができる。特に、吊荷Mは姿勢こそ変化するものの形状自体は変化しないことから、IMUが設置される初期の位置情報を予め与えることにより、吊荷Mの傾斜角とIMUの高さを演算すれば、前方端Cおよび後方端Dの高さを算出することができる。その算出結果により、両端部C,Dが浮上するまで移動した状態をもって地切りとして検知させることができる。
【0051】
<振れ止め制御>
図9および
図10に示すように、吊荷Mの振れはトロリー1に移動によって制御される。制御方法はフィードバック制御であり、基本的には、巻上ロープ5が鉛直方向との間に生じさせている角度θ
1を検出しつつ、この角度θ
1を小さくさせる(最終的には“0”となる)ようにトロリー1を進退方向へ移動させるものである。トロリー1の移動による振れ止め制御は、地切り中から開始させてもよいが、地切り後に開始させてもよい。地切り後に振れ止め制御を開始させる場合には、上記のように、吊荷Mが姿勢を変化させつつ地切りされることとなり、その直後よりトロリー1の移動を制御し、目標位置まで搬送させることとなる。地切りの直後より、吊荷Mは、振れ始めることから、巻上ロープ5の角度θ
1の変化(角度および角速度)によって、振れ状態であることが判明すると、トロリー1の移動による振れ止め制御が開始される。他方、地切り中から振れ止め制御を開始する場合には、地切り中においてトロリー1は進退することとなり、吊荷Mの姿勢の変化に対しても振れ止め制御が作用することとなる。ただし、巻上ロープ5の巻き上げ速度により地切り中の時間(制御開始から地切りまでの時間)が極めて短い場合、または吊荷Mの姿勢が当初より安定している場合のように、特殊な事情がある場合には、地切り後に制御を開始した状態に近似することとなる。
【0052】
制御方法は、上記巻上ロープ5の角度θ
1が大きく変化するとき、すなわち角度θ
1が“+”から“0”へ変化するときの角速度により“−”に達する状態(
図9(a)および
図10(a)参照)となることを予測し、その“−”の程度に応じて、トロリー1を前進させるのである。このときの前進の速度(加速度)を調整して振れ止めすることとなる(
図9(b)および
図10(b)参照)。また、揺り戻しにより、角度θ
1が“−”から“0”または“+”へ変化する(
図9(c)および
図10(c)参照)。このときの角速度により“+”に達する程度に応じて、トロリー1を後退させることとなる。なお、トロリー1は、目標位置まで移動(吊荷Mを搬送)するものであるため、振れ止め制御のための前進のみならず、搬送のための前進が付加されることから、巻上ロープ5の角度θ
1が“+”から“0”および“−”へ変化するときにトロリー1を大きく前進させることで、その目的を達成させるものとなる。
【0053】
また、
図9および
図10において示されているように、地切り後の吊荷Mの姿勢は、必ずしも重心Gの位置が巻上ロープ5の延長線上に存在するものではないことから、最終的な吊荷Mの振れ止めを完了させるためには、巻上ロープ5が鉛直方法に一致した状態で、吊荷Mの重心Gの位置が巻上ロープ5の延長線上に存在させる必要がある。従って、巻上ロープ5の先端(玉掛けロープ6との連結位置)と重心Gとを結ぶ線が鉛直方向に対して有する角度をθ
2とすると、最終的には、この角度θ
2が“0”となることが要請される。そこで、トロリー1の進退移動による振れ止め制御においても、角度θ
2を検出し、これを小さくするようにトロリー1を移動させることとなる。この場合も、角度の“−”、“0”、“+”の変化時の角速度に応じてトロリー1を進退させることとなる。現実には、巻上ロープ5の角度θ
1の変化との合算により、具体的な進退速度(加速度)が決定されることとなる。
【0054】
なお、重心Gの位置にかかる角度θ
2の変化は、前述のIMUによる傾斜角の変化によって取得することができる。一般的に、重心Gの位置における振れは、巻上ロープ5よりも遅れることから、巻上ロープ5の振れとの比較により検出が可能である。また、重心Gの位置にかかる角度θ
2の変化(吊荷Mの固有の振れ)は、最終的には巻上ロープ5の角度θ
1の変化(全体の振れ)か収束されることから、巻上ロープ5の角度θ
1のみについてフィードバック制御する構成とした場合であっても、全体としての振れ止め制御が可能である。
【0055】
このように、トロリー1は、目標位置まで搬送させるものであることから、当該搬送による振れも検出しつつ、最終的には、目標位置に到達するまでの間に振れを減衰させるのである。なお、トロリー1の移動は、速度を制御することにより、結果的にトロリー1の加速度を変化させることによって振れ止めするのである。また、トロリー1は、搬送を伴うことから、基本的には前進方向への移動が多くなり、条件によって後退する現象を生じさせずに加速および減速を繰り返す場合があり得る。これは、振れ止めのためのトロリー1の加速度と、搬送のための加速度とが、加算または減算される結果によるものである。
【0056】
トロリー1の移動に係る制御は、トロリー用のサーボモータ(第1の駆動手段)2に対し、サーボドライバ92の出力によって行われ、巻上ロープ5の巻上制御は、ウインチ3を駆動するためのサーボモータ4に対し、同様にサーボドライバ92の出力によって行われる。従って、制御信号は速度を制御するための電圧値であり、これを変化させることによって加速度制御を行うことができる。また、両サーボモータ2,4に設けられるエンコーダの情報は、レーザセンサ7による巻上ロープ5の角度情報(角度および角速度)とともに処理部91に入力され、フィードバック制御によりサーボモータ2,4の出力値が制御されるものである。
【0057】
巻上ロープ5の角度θ
1のみについてフィードバック制御する構成とした場合にあっては、巻上ロープ5の長さをl
1、巻上ロープ5の目標位置における長さをl
d、巻上ロープ5の角度(鉛直方向との間の角度)をθ
1、トロリー1の移動距離をx、トロリー1、トロリー1の目標位置までの移動距離をx
dとすると、上記の両モータ2,4に対して制御すべき加速度の値は次式によって算出することができる。
【0059】
なお、上式におけるk
1〜k
3ならびにK
1、K
2、α
1およびα
2はそれぞれの制御パラメータを示し、各パラメータの値については、k
1=14、k
2=16.5、k
3=35、K
1=5.95、K
2=0.4、α
1=1、α
2=1.5とすることができる。
【0060】
上式から明らかなとおり、巻上ロープ5の制御は、目標とする巻き上げ位置(長さ)まで巻上ロープ5の角度に基づくことなく制御されるが、トロリー1の移動は、巻上ロープ5の角度によって変化するものとなっている。
【0061】
他方、トロリー1の移動を当初より制御する場合は、さらに、吊荷Mの姿勢を考慮する必要があり、吊荷Mの重心Gの角度(鉛直方向との間の角度)を算出し、当該重心の角度をθ
2として、次式により加速度を求めることができる。
【0063】
なお、上式におけるk
1〜k
4ならびにK
1、K
2、α
1およびα
2はそれぞれの制御パラメータを示し、各パラメータの値については、k
1=14、k
2=16.5、k
3=35、k
4=5,K
1=5.95、K
2=0.4、α
1=1、α
2=1.5とすることができる。
【0064】
この場合も巻上ロープ5の制御は、両角度に基づくことなく制御されるが、トロリー1の移動は、両角度の変化の状態に応じて加速度を変化しつつ制御されるものとなっている。
【0065】
ここで、地切り中における制御にあっては、吊荷Mの底面と載置場所表面Nとの摩擦状態によって吊荷の姿勢が異なることから、ロバストなコントローラとするため、そのゲインKを求める必要がある。そこで、コントローラのゲインKは、吊荷の状態に応じて8の態様があり、そのうち振れ状態を除けば、6の態様について存在する。従って、K
i(i=1〜6(各slideおよび各stick))を求めることとなる。また、摩擦状態μは、接触する両者の摩擦係数によって決定するが、複数の摩擦状態(μ
1〜μ
j)について求めるものとする。これをまとめると次の表に示すようになる。
【0067】
ここで、上記のような複数の摩擦状態(μ
1〜μ
n)の中から最適なコントローラのゲインKを求めるために、予め複数の想定し得る摩擦状態の全てについてゲインK
ij(i=1,2,・・・6;j=1,2,・・・n)を用意しておき、下式のように、θ
1およびθ
2が最小となるロバストなコントローラのゲインを求めるのである。この場合における複数の摩擦状態におけるゲインK
ijは、シミュレーションによるものであってもよく、実験によるものであってもよい。想定される複数の条件において、摩擦の影響を小さくし得る共通のゲインを求めるものである。すなわち、下式に示すように、評価関数Jを最小にするコントローラのゲインを求めることとなる。
【0069】
なお、地切り後は、吊荷が空中で振れる態様となり、摩擦状態は無関係となるため、下式のように、θ
1およびθ
2が最小となるコントローラのゲインを求めることとなる。
【実施例】
【0071】
<実験1>
上記のような制御システムにより、載置場所から吊荷を揚上しつつ目標位置まで搬送する際の振れ止め制御の状態を実験した。この実験は、載置場所表面からトロリーまでの高さを1.2mとし、正面視における略L字形(
図1に示す形状)の吊荷の重量を5kgとし、巻上ロープの長さを0.3mまで巻き上げ、トロリーによって1.2m先まで搬送する際の振れ止めの状態をシミュレーションしたものである。搬送装置および振れ止め制御システムの構成は
図1に示した構成としており、巻上ロープの巻き上げ開始と同時にトロリーの移動を制御した場合と、地切り後からトロリーの移動を制御した場合について行った。その実験結果を
図11に示す。図中のグラフにおいて、横軸は全て時間(秒)であり、実線による表示は地切り中から振れ止め制御を行った場合を示し、破線による表示は地切り直後から振れ止め制御を開始した場合である。なお、比較のために、
図12には振れ止め制御せずに所定位置まで揚上搬送させた場合の状態を示す。
【0072】
なお、巻上ロープの巻き上げにおける速度は、巻き上げ開始直後における加速と所定の巻上ロープ長さに到達する直前の減速を除き等速とした。また、「Mode」は、前述の8つの態様(振れは1種類として合計7つの態様)の変化を示すものであり、縦軸の「0」〜「6」は、図中に注記するように、各態様を示したものである。
【0073】
この結果を参照すると、巻上ロープの巻き上げが開始されると、僅かな時間における吊荷の底面による停止状態(Planar stick)の後、吊荷の底面による摺動状態(Planar slide)となり、さらに前方端Cのみが浮上しつつ摺動する状態(後方端Dによる摺動状態:D-slide)を経て揚上(地切り)されていることが明確に判断できる。なお、地切りまでの時間は、約1.7秒であった。
【0074】
この図に示されるように、本実験の結果、巻上ロープの巻き上げおよびトロリーの移動は、操作開始後約8秒に達するよりも前に目標位置に到達しており、振れ止め状態は、当初より制御した場合は約8秒後に振れ止め状態に到達し、地切り後に制御を開始した場合でも、約10秒後には振れ止め状態に到達している。これに対し、制御されていない状態において約8秒後に目標位置まで吊荷を移動させた場合(
図12参照)には、地切り後から振れはじめ、到達後も振れが減衰しない状態となった。両者の違いから、この実験例による振れ止め制御の効果が明確になった。
【0075】
また、上記実験結果によれば、巻上ロープの角度θ
1と重心の角度θ
2は、地切りされるまでの約1.7秒間は、徐々に角度を小さくするように変動し、地切り後に“0”を通過して“−”に至っている。その後、トロリーの移動により、徐々に減衰され、当初よりトロリー制御を行った場合で約7秒後、地切り後にトロリー制御を行った場合でも9秒後には振れを解消させることができている。このとき、地切り直後の重心の角度θ
2は大きく変動しているのに対し、巻上ロープの角度θ
1は、地切り直後を除けば比較的緩やかに変動している。これは、地切りによる初期振れの影響とみることができるが、全体としては、巻上ロープの角度θ
1が大きく変動する中での微細な変動とみることもできる。従って、地切りによる吊荷の振れは、重心の角度θ
2を変動させるが、結果として、巻上ロープに伝達される振れが巻上ロープの角度θ
1を変動させることとなることを示しており、巻上ロープの角度θ
1を減少させるようにトロリーの移動を制御させることで、地切りに伴う振れおよび搬送による振れの双方を減衰させることができると判断される。
【0076】
<実験2>
上記と同じ条件において、吊荷の形状のみを変更した実験を行った。ここでの実験は、長尺な棒状の吊荷について、前方端に巻上ロープを連結して揚上搬送させた場合であり、その他の条件は実験1と同様とした。その結果を
図13に示す。図中のグラフにおける横軸、実線および破線の表示は
図11の場合と同様である。なお、比較のために、
図14には振れ止め制御せずに所定位置まで揚上搬送させた場合の状態を示す。
【0077】
この結果を参照すると、巻上ロープの巻き上げが開始されると、当初は前方端Cのみが浮上し、後方端Dが停止した状態(D-stich)が継続し、その後、後方端Dによる揺動状態(D-slide)を経て揚上(地切り)されていることが明確に判断できる。なお、地切りまでの時間は、約2秒であった。
【0078】
この図に示されるように、本実験の結果、巻上ロープの巻き上げおよびトロリーの移動は、操作開始後約5秒に達するよりも前に目標位置に到達しており、振れ止め状態は、いずれの制御状態においても約5秒後に振れ止め状態に到達している。これに対し、制御されていない状態において約5秒後に目標位置まで吊荷を移動させた場合(
図14参照)には、地切り後から振れはじめ、到達後も振れが減衰しない状態となった。特に、地切り後において、規則的な振れではなく、細かな振動を含むものとなっており、これは、初期振れと搬送振れとが相互に影響したものと考えられる。このように、初期振れが搬送振れに大きく影響を与える条件においても、本実施例による制御によって振れ止めを実現できることが明確になった。
【0079】
また、上記実験結果によれば、巻上ロープの角度θ
1は、地切りされるまでの約2秒間は、徐々に大きくなるように変動し、地切り後に大きく反転している。他方、重心の角度θ
2は、逆に徐々に小さくするように変動し、地切り後に小刻みに変動している。その後、トロリーの移動により、徐々に減衰されている。このとき、地切り直後の重心の角度θ
2は小刻みに変動しているのに対し、巻上ロープの角度θ
1は、比較的緩やかに変動している。この場合も実験1と同様に、地切りによる初期振れの影響があるが、全体としては、巻上ロープの角度θ
1が大きく変動する中での微細な変動とみることができる。従って、実験1と同様に、地切りによる吊荷の振れは、重心の角度θ
2を変動させるが、結果として、巻上ロープに伝達される振れが巻上ロープの角度θ
1を変動させることとなることを示しており、巻上ロープの角度θ
1を減少させるようにトロリーの移動を制御させることで、地切りに伴う振れおよび搬送による振れの双方を減衰させることができると判断される。
【0080】
本発明の実施形態および実施例は上記のとおりであるが、これらは本発明の一例を示すものであって、本発明がこれらの実施形態に限定されるものではない。従って、移動手段としてはトロリーに限定されず、他の自走式の走行体であってもよい。また、本発明の実施形態としては、トロリー式の搬送装置を中心に説明したが、ブーム式搬送装置(ジブクレーン)とする場合においても、同様に地切りがなされ、巻上ロープとの角度θ
1(および吊荷の角度θ
2)を検出しつつフィードバック制御によって、目標位置までの搬送と振れ止めを行い得るものである。