特開2021-95402(P2021-95402A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファイザー・インクの特許一覧

特開2021-95402キナーゼ阻害剤を用いた潰瘍性大腸炎の処置
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-95402(P2021-95402A)
(43)【公開日】2021年6月24日
(54)【発明の名称】キナーゼ阻害剤を用いた潰瘍性大腸炎の処置
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4985 20060101AFI20210528BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210528BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20210528BHJP
【FI】
   A61K31/4985
   A61P43/00 105
   A61P1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-208048(P2020-208048)
(22)【出願日】2020年12月16日
(31)【優先権主張番号】62/949,995
(32)【優先日】2019年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】ジョティ・パドミニ・ラマクリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ブジク・テーリリアン
(72)【発明者】
【氏名】ダホン・ユー
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA66
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB21
4C086ZC20
4C086ZC41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ヤヌスキナーゼ(JAK)を含む特定のキナーゼを阻害する化合物および類似体を用いて潰瘍性大腸炎を処置するための方法を提供する。
【解決手段】それを必要とする対象に、(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を投与する工程を含む方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を達成する方法であって、以下の工程:
(i) (1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、8週間に至るまでの間、該対象に経口投与し;そして
(ii) (1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、少なくとも52週間、該対象に経口投与する;
を含み、それにより該対象が臨床的寛解を達成し、かつ該対象が内視鏡的奏効を達成する方法。
【請求項2】
対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を達成する方法であって、以下の工程:
(i) (1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、8週間に至るまでの間、該対象に経口投与し;そして
(ii) (1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、少なくとも52週間、該対象に経口投与する;
を含み、それにより該対象が臨床的寛解を達成し、
臨床的寛解が、1以下の排便回数サブスコア、0の直腸出血サブスコア、および1以下の内視鏡サブスコアである、方法。
【請求項3】
対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を達成する方法であって、(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mgの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、少なくとも8週間、該対象に経口投与することを含み;
それにより該対象が、臨床的寛解を達成し、
臨床的寛解が、1以下の排便回数サブスコア、および0の直腸出血サブスコアである、方法。
【請求項4】
さらに該対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を維持することを含む、請求項3に記載の方法であって、(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、少なくとも52週間、該対象に経口投与することを含み、該対象が臨床的寛解を少なくとも52週間維持する、方法。
【請求項5】
対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の臨床的奏功を達成する方法であって、以下の工程:
(i) (1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、8週間に至るまでの間、該対象に経口投与し;そして
(ii) (1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、少なくとも52週間、該対象に経口投与する;
を含み、それにより該対象が臨床的奏功を達成し、
臨床的奏功が、(i)直腸出血サブスコアにおける1以上の減少または(ii)1以下の絶対直腸出血サブスコアを伴う、適応Mayoスコアにおける2ポイント以上のベースラインからの減少かつベースラインからの30%以上の減少である、方法。
【請求項6】
対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の臨床的奏功を達成する方法であって、(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、少なくとも8週間、該対象に経口投与することを含み;
それにより該対象が、臨床的奏功を達成し、
臨床的奏功が、(i)直腸出血サブスコアにおける1以上の減少または(ii)1以下の絶対直腸出血サブスコアを伴う、適応Mayoスコアにおける2ポイント以上のベースラインからの減少かつ30%以上のベースラインからの減少である方法。
【請求項7】
さらに該対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の臨床的奏功を維持することを含む、請求項6に記載の方法であって、(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、少なくとも52週間、該対象に経口投与することを含み、該対象が、臨床的奏功を少なくとも52週間維持する、方法。
【請求項8】
対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の内視鏡的寛解を達成する方法であって、以下の工程:
(i) (1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、少なくとも8週間、該対象に経口投与し;そして
(ii) (1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、少なくとも52週間、該対象に経口投与する;
を含み、それにより該対象が内視鏡的寛解を達成し、かつ内視鏡的寛解が0の内視鏡サブスコアである方法。
【請求項9】
さらに該対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の内視鏡的寛解を維持することを含む、請求項8に記載の方法であって、(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、少なくとも52週間、該対象に経口投与することを含み、該対象が内視鏡的寛解を少なくとも52週間維持する、方法。
【請求項10】
対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の内視鏡的改善を達成する方法であって、以下の工程:
(i) (1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、少なくとも8週間、該対象に経口投与し;そして
(ii) (1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、少なくとも52週間、該対象に経口投与する;
を含み、それにより該対象が、内視鏡的改善を達成し、かつ内視鏡的改善が1以下の内視鏡サブスコアである、方法。
【請求項11】
対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の内視鏡的改善を達成する方法であって、(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mgの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、少なくとも8週間、該対象に経口投与することを含み;
それにより該対象が、内視鏡的改善を達成し、かつ内視鏡的改善が、1以下の内視鏡サブスコアである、方法。
【請求項12】
さらに該対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の内視鏡的改善を維持することを含む、請求項11に記載の方法であって、(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、少なくとも52週間、該対象に経口投与することを含み、該対象が、内視鏡的改善を少なくとも52週間維持する、方法。
【請求項13】
対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の内視鏡的奏功を達成する方法であって、(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mgの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、少なくとも8週間、該対象に経口投与することを含み;
それにより該対象が、内視鏡的奏功を達成し、かつ内視鏡的奏功が、Mayo内視鏡サブスコア0または1である、方法。
【請求項14】
さらに中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の内視鏡的奏功を維持することを含む、請求項13に記載の方法であって、(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で、少なくとも52週間、該対象に経口投与することを含み、該対象が内視鏡的奏功を少なくとも52週間維持する、方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の潰瘍性大腸炎の処置のための医薬品の調製のための、化合物(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヤヌスキナーゼ(JAK)を含む特定のキナーゼを阻害する化合物および類似体、特にTyk2の阻害剤、より詳細には化合物(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を用いて潰瘍性大腸炎を処置するための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
プロテインキナーゼは、タンパク質中の特定の残基のリン酸化を触媒する酵素のファミリーであり、大きく分けてチロシンキナーゼおよびセリン/スレオニンキナーゼに分類される。変異、過剰発現または不適切な制御、制御不全もしくは脱制御ならびに成長因子またはサイトカインの過剰産生または産生不足に起因する不適切なキナーゼ活性は、癌、心血管疾患、アレルギー、喘息および他の呼吸器疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝障害ならびに神経障害および神経変性障害、例えばアルツハイマー病を含むがそれらに限定されない多くの疾患に関係していることが示されている。不適切なキナーゼ活性は、前記の疾患および関連する疾患に関係していることが示されている細胞増殖、細胞分化、細胞機能、生存、アポトーシスおよび細胞移動に関連する様々な生物学的細胞応答を誘発する。
【0003】
従って、プロテインキナーゼは、療法的介入のための標的としての酵素の重要なクラスであることが分かってきた。特に、細胞性タンパク質チロシンキナーゼのJAKファミリー(JAK1、JAK2、JAK3およびTyk2)は、サイトカインシグナル伝達において中心的な役割を果たしている(Kisseleva et al., Gene, 2002, 285, 1; Yamaoka et al. Genome Biology 2004, 5, 253)。それらの受容体に結合すると、サイトカインは、JAKを活性化し、それは、次いでサイトカイン受容体をリン酸化し、それによってシグナル伝達分子、特に最終的に遺伝子発現につながるシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)ファミリーのメンバーのためのドッキング部位を作り出す。数多くのサイトカインが、JAKファミリーを活性化することが知られている。これらのサイトカインは、インターフェロン(IFN)ファミリー(IFN−アルファ、IFN−ベータ、IFN−オメガ、リミチン(Limitin)、IFN−ガンマ、IL−10、IL−19、IL−20、IL−22)、gp130ファミリー(IL−6、IL−11、OSM、LIF、CNTF、NNT−1/BSF−3、G−CSF、CT−1、レプチン、IL−12、IL−23)、ガンマCファミリー(IL−2、IL−7、TSLP、IL−9、IL−15、IL−21、IL−4、IL−13)、IL−3ファミリー(IL−3、IL−5、GM−CSF)、一本鎖ファミリー(EPO、GH、PRL、TPO)、受容体チロシンキナーゼ(EGF、PDGF、CSF−1、HGF)およびGタンパク質共役受容体(AT1)を含む。
【0004】
Tyk2は、JAK1と対になってI型インターフェロン(IFN)シグナル伝達を媒介し、JAK2と対になってインターロイキン(IL)IL−12およびIL−23シグナルを伝達する。これらの重要なサイトカインの両方が、炎症性腸疾患(IBD)の病態生理に関係していることが示されている。Allocca M, et al., Best Practice & Research Clinical Gastroenterology 2018; 32-33; 95-102。導入相および維持相両方からの臨床試験の結果は、ウステキヌマブ(IL−12/IL−23受容体のp40サブユニットに対するモノクローナル抗体)またはミリキズマブ(IL−23受容体のp19サブユニットに対するモノクローナル抗体)のどちらかによる処置は中等度〜重度の疾患活動性を有する潰瘍性大腸炎(UC)の対象のかなりの割合において臨床的寛解を誘導および維持したことを示している。Sandborn WJ, et al., J Crohn’s and Colitis 2018; 13 (Supp. 1):S024-26; Sandborn WJ, et al., Gastroenterology 2018; 154(6):Supp. 1:S1360-S1361。IL−12およびIL−23は、シグナル伝達のためにTyk2を必要とし、Tyk2に媒介されるシグナル伝達の阻害がUCの処置において有効であり得るという強い可能性を提起している。Floss DM, et al., Mol Biol Cell. 2016; 27(14):2301-16。
【0005】
化合物(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルは、経口で生物学的に利用可能な高選択性Tyk2阻害剤(Tyk2i)である。(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルは、尋常性乾癬および他の自己免疫疾患を有する参加者において研究されている。そのサイトカイン阻害プロファイルに基づいて、(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルは、Tyk2を阻害することにより、T−ヘルパー1(Th1)、T−ヘルパー17(Th17)およびI型IFNシグナル伝達経路を直接標的とすることが期待されている。これは、Th1/Th17およびインターフェロン免疫応答によって駆動される炎症性の病気の処置において療法的利益を提供するはずである。
【0006】
中等度〜重度の潰瘍性大腸炎を有する対象における有効、安全かつ十分に許容される処置に関する満たされていない必要性が、以前として存在する。UCの特徴的な臨床症状は、直腸逼迫およびテネスムスと関係する血性下痢を含む。臨床経過は、増悪および寛解を特徴とする。UCの診断は、臨床的背景に基づいて疑われ、診断検査および感染原因の排除により支持される。Dignass A, Eliakim R, Magro F, et al., J Crohn's Colitis. 2012; 6(10):965-90。UCの最も重篤な腸の徴候は、中毒性巨大結腸および穿孔である。腸外合併症は、関節炎(末梢性または体軸病変)、皮膚の病気(結節性紅斑、アフタ性口内炎および壊疽性膿皮症)、眼の炎症(ぶどう膜炎)および肝機能障害(原発性硬化性胆管炎)を含む。UCを有する対象は、結腸癌に関する増大したリスクがあり、そのリスクは、疾患の持続期間および疾患に冒された結腸の範囲により増大する。Rutter M, Saunders B, Wilkinson K, et al., Gastroenterology, 2004; 126(2):451-9。
【0007】
UCにおける医学的処置の目的は、炎症を制御し、症状を低減することである。利用可能な薬学的療法は、限られており、炎症性プロセスを常に完全に和らげるとは限らず、重大な有害作用を有し得る。軽度〜中等度の活動性UCに関する療法は、5−アミノサリチル酸誘導体および免疫抑制剤を含む。Tyk2のような特定のキナーゼを阻害する化合物および類似体、特に化合物(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルがUCを処置するために有用であるという発見が、本明細書において開示される。従って、本明細書において、より迅速な作用の発現およびより低い有害作用の発生率を有するヒト対象におけるUC症状の重症度を低減する方法が、記載される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Kisseleva et al., Gene, 2002, 285, 1
【非特許文献2】Yamaoka et al. Genome Biology 2004, 5, 253
【非特許文献3】Allocca M, et al., Best Practice & Research Clinical Gastroenterology 2018; 32-33; 95-102
【非特許文献4】Sandborn WJ, et al., J Crohn’s and Colitis 2018; 13 (Supp. 1):S024-26
【非特許文献5】Sandborn WJ, et al., Gastroenterology 2018; 154(6):Supp. 1:S1360-S1361
【非特許文献6】Floss DM, et al., Mol Biol Cell. 2016; 27(14):2301-16
【非特許文献7】Dignass A, Eliakim R, Magro F, et al., J Crohn's Colitis. 2012; 6(10):965-90
【非特許文献8】Rutter M, Saunders B, Wilkinson K, et al., Gastroenterology, 2004; 126(2):451-9
【発明の概要】
【0009】
本発明は、対象における潰瘍性大腸炎を処置するための方法であって、それを必要とする対象にJAK、例えばTyk2を阻害する本明細書で開示される化合物のいずれかを投与することを含む方法を提供する。
【0010】
ある態様において、本発明は、以下の工程を含む、対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を達成する方法を提供する:
(i) 対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で8週間に至るまでの間経口投与し;そして
(ii) 対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で少なくとも52週間経口投与し;それにより対象は、臨床的寛解を達成し、ここで、対象は、内視鏡的奏効を達成する。
【0011】
別の態様において、本発明は、本明細書で述べられる潰瘍性大腸炎の処置における使用のための医薬品の製造におけるJAK阻害剤(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの使用を提供する。
【0012】
本発明は、例としてのみ与えられた以下の記載からさらに理解されるであろう。本発明はそれほど限定されないが、本発明の様々な側面の理解は、以下の論考および実施例を通して得られるであろう。
【0013】
本明細書で使用される際、“対象”は、ヒトを指す。
用語“有害作用”(AE)は、時間的にJAK阻害剤の投与と関係している対象または臨床試験参加者におけるあらゆる不都合な医学的出来事である。
【0014】
用語“QD”または“Q.D.”は、1日あたり1回投与される用量を意味する。
用語“処置すること”または“処置”は、疾患、障害もしくは病気と関係する症状の緩和、またはそれらの症状のさらなる進行または悪化の停止を意味する。対象の疾患および病気に応じて、用語“処置”は、本明細書で使用される際、治癒的、緩和的および予防的処置の1つ以上を含み得る。処置は、他の療法と組み合わせて本発明の医薬配合物を投与することも含み得る。
【0015】
用語“療法上有効な”は、障害を予防する、またはその重症度を改善する一方で代替療法と典型的に関係する有害な副作用を回避する薬剤の能力を示す。句“療法上有効な”は、句“処置、予防または改善に有効である”と均等であることが理解されるべきであり、両方とも、各薬剤単独での処置を超える疾患の重症度またはその痛みもしくは他の症状および発生の頻度における改善の目標を達成する一方で代替療法と典型的に関係する有害な副作用を回避するであろう併用療法における使用に関する各薬剤の量を修飾することが、意図されている。
【0016】
“薬学的に許容可能な”は、“対象”における使用に適していることを意味する。
用語“中等度〜重度の潰瘍性大腸炎”は、5〜9の適応Mayoスコア(Adapted Mayo score)を有し、2〜3の内視鏡検査サブスコアを有するものとして定義されている。
【0017】
www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03934216
用語“臨床的寛解”は、12点満点のMayoスコアに基づいて、合計Mayoスコアが2以下であり、1より大きい個々のサブスコアがないことである。
【0018】
用語“臨床的奏功”は、直腸出血サブスコアにおける少なくとも1ポイントの減少または0もしくは1の絶対スコアを伴う、少なくとも30%の変化を有する合計Mayoスコアにおける少なくとも3ポイントのベースラインからの減少である。
【0019】
用語“内視鏡的寛解”は、Mayo内視鏡検査サブスコア0を指す。
用語“内視鏡的奏功”は、Mayo内視鏡検査サブスコア0または1を指す。
用語“内視鏡的改善”は、Mayo内視鏡検査サブスコアにおける1ポイント以上の減少または1以下の絶対内視鏡検査スコアを指す。
【0020】
用語“粘膜治癒”は、Mayo内視鏡検査サブスコア0または1、かつGeboes組織学スコア0または1を指す。Aranzazu, J-E., et al. Journal of Crohn's and Colitis, Volume 11(3), 2017, 305-313。
【0021】
用語“症候的寛解”は、合計Mayoスコアが2ポイント以下であり、1ポイントを超える個々のサブスコアがなく、かつ直腸出血および排便回数サブスコアの両方が0であることを指す。
【0022】
用語“深い寛解”は、合計Mayoスコアが2ポイント以下であり、1ポイントを超える個々のサブスコアがなく、かつ内視鏡および直腸出血サブスコアの両方が0であることを指す。
【0023】
用語“臨床的寛解”は、9点満点のMayoスコアに基づいて、合計Mayoスコアが2以下であり、直腸出血サブスコアが0であることである。
略語“Mayo”は、潰瘍性大腸炎活動性評価のためのMayoスコアリングシステムを意味する。“適応Mayoスコア”は、PGAサブスコアを用いない0〜9の範囲のMayoスコアの3種類のサブスコアを有する適応Mayoスコアシステムを指す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、対象における潰瘍性大腸炎を処置するための方法であって、それを必要とする対象に特定のJAK、例えばTyk2を阻害する化合物を投与することを含む方法に関する。本発明はさらに、そのような阻害剤を含む医薬組成物を提供する。
【0025】
本発明は、以下の工程を含む、対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を達成する方法を提供する:
(i) 対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で8週間に至るまでの間経口投与し;そして
(ii) 対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で少なくとも52週間経口投与し;それにより対象は、臨床的寛解を達成し、ここで、対象は、内視鏡的奏効を達成する。特定の態様において、工程(i)における量は、100mg QDである。他の特定の態様において、工程(i)における量は、200mg QDである。ある態様において、工程(i)における量は、300mg QDである。特定の態様において、工程(i)における量は、400mg QDである。特定の他の態様において、工程(i)における量は、600mg QDである。ある態様において、工程(ii)における量は、200または400mg QDである。
【0026】
特定の態様において、本発明は、以下の工程を含む、対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を達成する方法を提供する:
(i) 対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で8週間に至るまでの間経口投与し;そして
(ii) 対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で少なくとも52週間経口投与し;それにより対象は、臨床的寛解を達成し、ここで、臨床的寛解は、1以下の排便回数サブスコア、0の直腸出血サブスコアおよび1以下の内視鏡サブスコアである。特定の態様において、工程(i)における量は、100mg QDである。他の特定の態様において、工程(i)における量は、200mg QDである。ある態様において、工程(i)における量は、300mg QDである。特定の態様において、工程(i)における量は、400mg QDである。特定の他の態様において、工程(i)における量は、600mg QDである。特定の態様において、工程(ii)における量は、200または400mg QDである。
【0027】
特定の他の態様において、本発明は、対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を達成する方法であって、対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mgの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で少なくとも8週間経口投与することを含む方法を提供し;それにより対象は、臨床的寛解を達成し、ここで、臨床的寛解は、1以下の排便回数サブスコアおよび0の直腸出血サブスコアである。特定の態様において、工程(i)における量は、100mg QDである。他の特定の態様において、工程(i)における量は、200mg QDである。ある態様において、工程(i)における量は、300mg QDである。特定の態様において、工程(i)における量は、400mg QDである。特定の他の態様において、工程(i)における量は、600mg QDである。
【0028】
特定の態様において、本発明は、前記の後者の方法であって、さらに対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を維持することを含み、対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で少なくとも52週間経口投与することを含む方法を提供し、ここで、対象は、臨床的寛解を少なくとも52週間維持する。特定の態様において、その量は、200または400mg QDである。
【0029】
特定の他の態様において、本発明は、以下の工程を含む、対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の臨床的奏功を達成する方法を提供する:
(i) 対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で8週間に至るまでの間経口投与し;そして
(ii) 対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で少なくとも52週間経口投与し;それにより対象は、臨床的奏功を達成し、ここで、臨床的奏功は、(i)直腸出血サブスコアにおける1以上の減少または(ii)1以下の絶対直腸出血サブスコアを伴う適応Mayoスコアにおける2ポイント以上のベースラインからの減少かつベースラインからの30%以上の減少である。特定の態様において、工程(i)における量は、100mg QDである。他の特定の態様において、工程(i)における量は、200mg QDである。ある態様において、工程(i)における量は、300mg QDである。特定の態様において、工程(i)における量は、400mg QDである。特定の他の態様において、工程(i)における量は、600mg QDである。特定の態様において、工程(ii)における量は、200または400mg QDである。
【0030】
ある態様において、本発明は、対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の臨床的奏功を達成する方法であって、対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で少なくとも8週間経口投与することを含む方法を提供し;
それにより対象は、臨床的奏功を達成し、ここで、臨床的奏功は、(i)直腸出血サブスコアにおける1以上の減少または(ii)1以下の絶対直腸出血サブスコアを伴う、適応Mayoスコアにおける2ポイント以上のベースラインからの減少かつ30%以上のベースラインからの減少である。特定の態様において、工程(i)における量は、100mg QDである。他の特定の態様において、工程(i)における量は、200mg QDである。ある態様において、工程(i)における量は、300mg QDである。特定の態様において、工程(i)における量は、400mg QDである。特定の他の態様において、工程(i)における量は、600mg QDである。
【0031】
他の態様において、本発明は、前記の後者の方法であって、さらに対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の臨床的奏功を維持することを含み、対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で少なくとも52週間経口投与することを含む方法を提供し、ここで、対象は、臨床的寛解奏功を少なくとも52週間維持する。特定の態様において、その量は、200または400mg QDである。
【0032】
特定の態様において、本発明は、以下の工程を含む、対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の内視鏡的寛解を達成する方法を提供する:
(i) 対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で少なくとも8週間経口投与し;そして
(ii) 対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で少なくとも52週間経口投与し;それにより対象は、内視鏡的寛解を達成し、ここで、内視鏡的寛解は、0の内視鏡サブスコアである。特定の態様において、工程(i)における量は、100mg QDである。他の特定の態様において、工程(i)における量は、200mg QDである。ある態様において、工程(i)における量は、300mg QDである。特定の態様において、工程(i)における量は、400mg QDである。特定の他の態様において、工程(i)における量は、600mg QDである。特定の態様において、工程(ii)における量は、200または400mg QDである。
【0033】
他の態様において、本発明は、前記の後者の方法であって、さらに対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の内視鏡的寛解を維持することを含み、対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で少なくとも52週間経口投与することを含む方法を提供し、ここで、対象は、内視鏡的寛解を少なくとも52週間維持する。特定の態様において、その量は、200または400mg QDである。
【0034】
特定の態様において、本発明は、以下の工程を含む、対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の内視鏡的改善を達成する方法を提供する:
(i) 対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で少なくとも8週間経口投与し;そして
(ii) 対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で少なくとも52週間経口投与し;それにより対象は、内視鏡的改善を達成し、ここで、内視鏡的改善は、1以下の内視鏡サブスコアである。特定の態様において、工程(i)における量は、100mg QDである。 他の特定の態様において、工程(i)における量は、200mg QDである。ある態様において、工程(i)における量は、300mg QDである。特定の態様において、工程(i)における量は、400mg QDである。特定の他の態様において、工程(i)における量は、600mg QDである。特定の態様において、工程(ii)における量は、200または400mg QDである。
【0035】
特定の他の態様において、本発明は、対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の内視鏡的改善を達成する方法であって、対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mgの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で少なくとも8週間経口投与することを含む方法を提供し;それにより、対象は、内視鏡的改善を達成し、ここで、内視鏡的改善は、1以下の内視鏡サブスコアである。特定の態様において、工程(i)における量は、100mg QDである。 他の特定の態様において、工程(i)における量は、200mg QDである。ある態様において、工程(i)における量は、300mg QDである。特定の態様において、工程(i)における量は、400mg QDである。特定の他の態様において、工程(i)における量は、600mg QDである。
【0036】
ある態様において、本発明は、前記の後者の方法であって、さらに対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の内視鏡的改善を維持することを含み、対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で少なくとも52週間経口投与することを含む方法を提供し、ここで、対象は、内視鏡的改善を少なくとも52週間維持する。特定の態様において、その量は、200または400mg QDである。
【0037】
特定の他の態様において、本発明は、対象における中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の内視鏡的奏功を達成する方法であって、対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mgの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で少なくとも8週間経口投与することを含む方法を提供し;それにより、対象は、内視鏡的奏功を達成し、ここで、内視鏡的奏功は、Mayo内視鏡サブスコア0または1である。特定の態様において、その量は、100mg QDである。 他の特定の態様において、その量は、200mg QDである。ある態様において、その量は、300mg QDである。特定の態様において、その量は、400mg QDである。 特定の他の態様において、その量は、600mg QDである。
【0038】
特定の態様において、本発明は、後者の方法であって、さらに中等度〜重度の潰瘍性大腸炎の内視鏡的奏功を維持することを含み、対象に(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩を、100、200、300、400、600または1200mg QDの(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの遊離塩基当量を送達するために十分な量で少なくとも52週間経口投与することを含む方法を提供し、ここで、対象は、内視鏡的奏功を少なくとも52週間維持する。特定の態様において、その量は、200または400mg QDである。
【0039】
さらなる態様において、本発明は、本明細書の上記の方法のいずれかに従う潰瘍性大腸炎の処置のための医薬品の調製のための化合物(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0040】
対象における障害を処置するための療法的使用において、本発明の化合物またはその医薬組成物は、経口投与、非経口投与、局所投与、直腸投与、経粘膜投与または腸内投与されることができる。非経口投与は、全身的作用を生じさせるための間接的な注射または冒された領域への直接注射を含む。局所投与は、局所適用によって容易にアクセス可能な皮膚または器官、例えば目または耳の処置を含む。それは、全身的作用を生じさせるための経皮送達も含む。直腸投与は、座薬の形態を含む。好ましい投与経路は、経口、局所および非経口である。
【0041】
本発明の医薬組成物は、当技術分野で周知の方法により、例えば従来の混合、溶解、造粒、糖剤作製、湿式粉砕(levigating)、乳化、カプセル封入(encapsulating)、封入(entrapping)、凍結乾燥プロセスまたは噴霧乾燥により製造されることができる。
【0042】
本発明に従う使用のための医薬組成物は、賦形剤および助剤を含む1種類以上の薬学的に許容可能なキャリヤーを使用して従来の方法で配合されることができ、それは、有効化合物の薬学的に使用されることができる製剤への処理を促進する。適切な製剤は、選択された投与経路に依存する。薬学的に許容可能な賦形剤およびキャリヤーは、当業者には一般的に知られており、従って本発明に含まれる。そのような賦形剤およびキャリヤーは、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Pub. Co., New Jersey (1991)に記載されている。本発明の配合物は、短時間作用性、速放性、長時間作用性および徐放性であるように設計されることができる。従って、医薬配合物は、制御放出のために、または遅い放出のために配合されることもできる。
【0043】
また、投与される初期投与量は、所望の血漿中濃度を迅速に達成するために上記の上限レベルを超えて増加させられることができることは、理解されるべきである。一方で、初期投与量は、最適量よりも少ないことができ、一日投与量は、特定の状況に応じて、処置の過程の間に漸進的に増加させられることができる。所望であれば、一日量は、投与に関して複数用量(例えば1日あたり2〜4回)に分けられることもできる。
【0044】
化学合成
本発明の化合物は、当該技術で知られているあらゆる方法により調製されることができる。特に、本発明の化合物は、それらが開示されている先行技術文献を参照して記載された手順により調製されることができる。
【0045】
(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルを含むTyk2を特異的に阻害する化合物に関して、調製法が、米国特許第10,144,738号において開示されており、その内容は、本明細書にそのまま援用される。
【0046】
実施例
以下の非限定的な実施例は、単に本発明を説明するために与えられている。当業者は、例示されていないがなお本教示の一部を形成している数多くの均等物およびバリエーションが存在することを理解するであろう。
【実施例1】
【0047】
潰瘍性大腸炎の処置の方法
本試験は、4週間に至るまでのスクリーニング期間、8週間の導入処置期間、52週間のオープンラベル延長処置期間および4週間の安全性フォローアップ期間からなる。スクリーニング期間の後、資格のある参加者は、(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリル600mg 1日1回(QD)、300mg QD、100mg QDまたは合わせたプラセボのいずれかを与えられるように、全体で2:2:1:1のランダム化比率でランダムに割り当てられ、以前のUCに関する生物学的処置への曝露およびベースライン時の経口コルチコステロイドの使用に基づいて層別化されるであろう。8週間の導入処置を安全性の所見なしで完了した、または中止基準を満たしていない全ての参加者は、52週間のオープンラベル延長処置期間にロールオーバーする資格があるであろう。資格のある参加者は、(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリル 400mg QDが与えられ、オープンラベル処置期間中に必要であれば用量は200mg QDに段階的に縮小されるであろう。
【実施例2】
【0048】
内視鏡検査
内視鏡検査(大腸内視鏡検査または軟性S状結腸鏡検査)は、セントラルリーダーによる(centrally read)内視鏡サブスコアが合計Mayoスコアの計算のためにベースライン訪問時に利用可能であるようにするために、スクリーニング期間の間に、好ましくは全ての他の適格基準が確認された後、かつベースラインの前の5〜7日(10日を超えない)以内に実施されなければならない。
【0049】
セントラルリーダーによる内視鏡サブスコアは、ベースライン訪問時に入手可能でなければならない。セントラルリーダーによる評価は、試験の適格性に関して合計Mayoスコアを得るために使用されるであろう。日記データおよびスクリーニング期間の間に実施された内視鏡検査に基づく排便回数、直腸出血およびセントラルリーダーによる内視鏡サブスコアならびにベースライン時に得られた医師総合評価(PGA)は、適格性を決定するために使用されるであろう。内視鏡検査報告および病理学報告は、原資料において入手可能でなければならない。
【0050】
内視鏡検査は、8週目および60週目/早期離脱訪問の間にも可能な場合には実施されるが、必要であれば、サイト訪問の−7日前まで実施されることができる。腸管前処置は、現場のルーチンに従って実施されるべきである。内視鏡の位置は、様々なレベルの挿入における器具の長さならびにスクリーニング内視鏡検査の間に見られた腸の形態学的特徴に基づくであろう。内視鏡検査報告ならびに手順の間に撮影されたあらゆる写真および/またはビデオ録画は、参加者のカルテにファイルされるべきである。
【0051】
内視鏡検査サブスコアは、セントラルリーダーに基づくMayoスコアごとに報告され、1のMayo内視鏡検査サブスコアに関して、脆弱性(friability)の存在または非存在が、記録されるであろう。下記の2つの基準のどちらかを満たす参加者は、結腸直腸癌のリスクがあると考えられ、ランダム化の前に大腸内視鏡検査を有しなければならない。大腸内視鏡検査および病理報告(生検が得られた場合)は、原資料において入手可能でなければならない。
【0052】
・参加者が50歳以上である場合、腺腫性ポリープを除外するために、スクリーニングの10年以内の大腸内視鏡検査が、必要とされる。スクリーニング内視鏡検査で同定された腺腫性ポリープを有する参加者は、完全なポリープ切除術の後、病理報告が陰性であった後に適格であろう。
【0053】
・参加者が8年より長い間広範な(すなわち左側より大きい)大腸炎または10年以上の間結腸の左側(すなわち脾屈曲部に対して遠位)に限局した疾患を有していた場合、年齢にかかわらず、スクリーニング訪問の1年以内の大腸内視鏡検査が、異形成に関して調査するために必要とされる。生検で同定された異形成または癌を有する参加者は、除外されるであろう。
【実施例3】
【0054】
参加者の排便日記
試験参加者は、スクリーニング訪問時に開始して試験全体を通して毎日以下の情報を記録するために電子日記を使用するであろう:
・(再燃を有していない場合の)1日あたりの‘通常の’排便回数。この質問は、スクリーニング訪問時にのみ尋ねられるであろう。
【0055】
・UCを有する前の1日あたりの‘通常の’排便回数。この質問は、スクリーニング訪問時にのみ尋ねられるであろう。
・過去24時間にわたって、結果として以下:便通を有しながら血液または粘液または便のいずれかをもたらしたトイレへの移動を含む対象が便通を有した回数が何回であったか。
【0056】
・過去24時間にわたって、対象が便通を有しながらトイレに居る時ではない場合に対象の肛門からの便、血液、粘液または液体の漏れを経験した回数が何回であったか。
・便中の血液の存在(ある場合)。
【0057】
・存在が気付かれた場合のみ、便中の血液の記載(ある場合)。
対象の重症度の全体的印象(PGIS)の質問は、過去24時間にわたる対象の潰瘍性大腸炎の重症度を評価する。一貫した日記の記録を奨励するために、参加者は、スクリーニング訪問時に開始して試験全体を通して連続して日記データを入力するべきである。日記を完了するための指示は、スクリーニング時に参加者に提供され、その後の訪問時に再検討されるであろう。
【実施例4】
【0058】
潰瘍性大腸炎活動性に関するMayoスコア
Mayoスコアは、UCに関する疾患活動性を測定するために設計されたツールである。Mayo採点システムは、4つのサブスコアからなり、それぞれが0〜3で採点され、より高いスコアは、より重度の疾患活動性を示す(下記および節10.9.3参照)。合計Mayoスコアは、4つのサブスコア全てをまとめたものであり、0〜12点の範囲である。
【0059】
・排便回数(サブスコア0〜3)。
・直腸出血(サブスコア0〜3)。
・内視鏡検査における所見(サブスコア0〜3)。
【0060】
・医師の包括的評価(サブスコア0〜3)。
Mayoスコアの計算は、参加者の排便回数および便中のあらゆる量の出血の評価を必要とする。Mayoスコアは、試験訪問に最も近い3日間の有効かつ連続した日に一番最近記録された参加者の排便日記に基づいて計算されるであろう。治験実施施設は、日記の使用法に関して訓練を受け、参加者を日記の使用法に関して訓練するであろう。参加者により入力された日記のデータは、各訪問時に施設により再調査されるであろう。
【0061】
欠落している排便日記のデータがある場合は、Mayoスコアの計算のために、平均が、試験訪問に近い(それがベースライン訪問である場合には試験訪問の前の)5日以内に報告された3つの一番最近の利用可能な日から得られるであろう。Mayoスコアの計算に関して無効な日は、腸の準備、内視鏡検査のための日および内視鏡手技の1日後である。
【0062】
試験訪問に近い(それがベースライン訪問である場合には試験訪問の前の)5日以内に報告された利用可能な有効な日が2日しかない場合、5日以内に報告された日記データがない場合を除き、平均は、限られた利用可能なデータから得られるであろう。この場合、排便回数および直腸出血サブスコアは、欠落しているものとみなされるであろう。直腸出血サブスコアは、平均値が>0〜<1である場合、切り上げられるであろう。
【実施例5】
【0063】
炎症性腸疾患質問票(IBDQ)
IBDQは、UCを含むIBDを有する参加者における疾患特異的な生活の質を測定するための心理測定的に検証されたPROの道具である。IBDQは、32項目で構成され、それは、4つの次元:腸機能、感情状態、全身症状および社会的機能に分類されている。4つの領域は、以下のように採点される:
・腸の症状:10〜70。
・全身症状:5〜35。
・感情機能:12〜84。
・社会的機能:5〜35。
【0064】
合計IBDQスコアは、32〜224の範囲である。合計スコアおよび各領域に関して、より高いスコアは、よりよい生活の質を示す。少なくとも170のスコアは、臨床的寛解に相当し、少なくとも16点の増加は、臨床的に意味のある改善を示すとみなされる。
【外国語明細書】
2021095402000001.pdf