特開2021-95404(P2021-95404A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-95404(P2021-95404A)
(43)【公開日】2021年6月24日
(54)【発明の名称】透明洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/898 20060101AFI20210528BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20210528BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20210528BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20210528BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20210528BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20210528BHJP
【FI】
   A61K8/898
   A61K8/39
   A61K8/37
   A61K8/31
   A61Q19/10
   A61Q5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-209816(P2020-209816)
(22)【出願日】2020年12月18日
(31)【優先権主張番号】特願2019-228513(P2019-228513)
(32)【優先日】2019年12月18日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226437
【氏名又は名称】日光ケミカルズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000228729
【氏名又は名称】日本サーファクタント工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301068114
【氏名又は名称】株式会社コスモステクニカルセンター
(72)【発明者】
【氏名】坂田 翔平
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AA122
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC232
4C083AC302
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC711
4C083AC712
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD132
4C083AD161
4C083AD162
4C083BB07
4C083BB13
4C083CC23
4C083CC38
4C083DD01
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】本発明は、油脂を高濃度に含み、優れた起泡性と洗浄性を有する安定な透明洗浄剤尾組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】上記課題を解決するため、下記(a)〜(c)を必須成分として含み、(a)に対する(b)の質量比率(b)/(a)を0.02〜0.28とすることで、優れた起泡性と洗浄性とを有する安定な透明洗浄剤組成物を得た。
(a)アルキルエーテルカルボン酸塩
(b)油脂
(c)水
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)〜(c)を必須成分として含み、(a)に対する(b)の質量比率(b)/(a)が0.02〜0.28である透明洗浄剤組成物。
(a)アルキルエーテルカルボン酸
(b)油脂
(c)水
【請求項2】
成分(a)アルキルエーテルカルボン酸塩の対イオンが有機塩基である、請求項1に記載の透明洗浄剤組成物。
【請求項3】
成分(a)アルキルエーテルカルボン酸塩の対イオンが、モノイソプロピルアミン又はイソプロパノールアミンである請求項1又は2に記載の透明洗浄剤組成物。
【請求項4】
さらに、成分(d)ベタイン系両性界面活性剤を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の透明洗浄剤組成物。
【請求項5】
さらに、成分(e)ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の透明洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油脂を高濃度に含み、優れた起泡性と洗浄性を有する透明洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、世界のパーソナルケア市場ではクリーンビューティが流行しており、植物性の成分を含むナチュラルコンセプトが好まれるようになっている。一般的に、「クリーン」とは製品やサービスがヒトや環境の健康を考えるべきであるということを意味している。これは、水や食料などの資源や動植物の生態系などを配慮してモノを消費する必要があるということである。それは、化粧品を構成する成分をできるだけ環境に優しい成分にすることや、環境への負荷を抑えるために無駄のない使い方を考える必要があるということである。例えば、洗髪の際に、ヘアトリートメントを必要とせずにシャンプーのみで消費者が満足すれば、水資源の削減に大きく貢献できる。
【0003】
近年、特に日本のヘアケア市場では、透明シャンプーが市場に多く発売されるようになり、その透明の外観が消費者に「クリーン」や「清潔さ」などの印象を与えている。透明シャンプーは、主に親水性の界面活性剤や高分子で構成されたWater−based型の製剤である。また、これらの製剤には微量のオイル成分が含まれる場合もあり、その成分によって様々なコンセプト(ナチュラル、ボタニカル、クリーンなど)が提案されている。しかしながら、これらのオイル成分によってコンディショニング効果を高め、テクスチャーを変化させる透明シャンプーはまだ開発されていない。なぜなら、多量のオイル成分はシャンプーに透明に溶解せず、白濁してしまうからである。一般的に、毛髪のコンディショニング効果や保湿効果を高めるには、シリコーン油や植物油などのオイル成分を用いることが多く、それら成分が毛髪に吸着し、毛髪のコンディショニング効果を向上させている。現在、その多くは、オイル成分を多量に含むヘアトリートメントやヘアミルク、ヘアオイルに依存している。
【0004】
シャンプーはアニオン性ミセルとカチオン化ポリマーによるコアセルベートの生成によって、すすぎ時のコンディショニング効果が高まると報告されている。シャンプーはすすぎ時に水で希釈されるとアニオン性ミセルとカチオン化ポリマーの静電的な相互作用によってコアセルベーションを引き起こし、コアセルベートを生じさせる。このコアセルベートがシャンプーすすぎ時のコンディショニング効果を向上させ、滑らかな感触を与える。カチオン化ポリマーを含むコアセルベートは毛髪への吸着性が高く、カチオン化ポリマーの分子量やカチオン化度によって毛髪表面への吸着力や感触をコントロールすることができる。また、アニオン界面活性剤と両性界面活性剤を併用し、カチオン化度の異なるポリマーを組み合わせることで、様々な感触を有するコアセルベートを形成することができる。
【0005】
しかし、一般的なシャンプーはすすぎ時のコンディショニング効果を付与することはできるが、乾燥後の毛髪に高いコンディショニング効果を付与することはできない。乾燥後の高いコンディショニング効果を達成するためには、アニオン性ミセルに多量のオイル成分を可溶化し、多量のオイル成分をコアセルベート中に取り込ませる必要がある。これはつまり、オイル成分をシャンプーに溶解させた透明の状態を達成する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017−57187号公報
【特許文献2】特開2016−193886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、油脂を高濃度に含み、優れた起泡性と洗浄性を有する安定な透明洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を鋭意検討したところ、下記(a)〜(c)を必須成分として含み、(a)に対する(b)の質量比率(b)/(a)を0.02〜0.28とすることで、優れた起泡性と洗浄性を有する安定な透明洗浄剤組成物を得た。
(a)アルキルエーテルカルボン酸塩
(b)油脂
(c)水
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、天然由来の精油や植物油、エステル油等を洗浄剤組成物に透明に溶解でき、かつ起泡性、洗浄性、安定性、増粘性に優れた洗浄剤組成物を得ることができ、皮膚や毛髪を保湿・補修し、滑らかな感触で、心地よく洗浄することができる。
【0010】
本発明における成分(a)アルキルエーテルカルボン酸塩としては、特に限定されないが、対イオンが有機塩基であることが好ましい。さらに好ましくは、アルキルエーテルカルボン酸塩の有機塩基がモノイソプロピルアミン(MIPA)、トリイソプロパノールアミン(TIPA)等である。アルキル鎖長の炭素数は、限定されるものではないが、8から16が好ましく、アルキル鎖長の構造としては、直鎖に限定されず、分枝も用いることができる。ポリオキシエチレン付加モル数についても、特に限定されるものではないが、2〜12のポリオキシエチレンアルキルエーテルであることが好ましい。このようなアルキルエーテルカルボン酸塩としては、(C10−12)−パレス−2酢酸MIPA、(C10−12)−パレス−3酢酸MIPA、(C10−12)−パレス−4酢酸MIPA、(C10−12)−パレス−6酢酸MIPA、(C10−12)−パレス−10酢酸MIPA、(C10−12)−パレス−12酢酸MIPA、(C12−14)−パレス−2酢酸MIPA、(C12−14)−パレス−3酢酸MIPA、(C12−14)−パレス−4酢酸MIPA、(C12−14)−パレス−6酢酸MIPA、(C12−14)−パレス−10酢酸MIPA、(C12−14)−パレス−12酢酸MIPA、(C10−12)s−パレス−2酢酸MIPA、(C10−12)s−パレス−3酢酸MIPA、(C10−12)s−パレス−4酢酸MIPA、(C10−12)s−パレス−6酢酸MIPA、(C10−12)s−パレス−10酢酸MIPA、(C10−12)s−パレス−12酢酸MIPA、(C12−14)s−パレス−2酢酸MIPA、(C12−14)s−パレス−3酢酸MIPA、(C12−14)s−パレス−4酢酸MIPA、(C12−14)s−パレス−6酢酸MIPA、(C12−14)s−パレス−10酢酸MIPA、(C12−14)s−パレス−12酢酸MIPA、(C10−12)−パレス−2酢酸TIPA、(C10−12)−パレス−3酢酸TIPA、(C10−12)−パレス−4酢酸TIPA、(C10−12)−パレス−6酢酸TIPA、(C10−12)−パレス−10酢酸TIPA、(C10−12)−パレス−12酢酸TIPA、(C12−14)−パレス−2酢酸TIPA、(C12−14)−パレス−3酢酸TIPA、(C12−14)−パレス−4酢酸TIPA、(C12−14)−パレス−6酢酸TIPA、(C12−14)−パレス−10酢酸TIPA、(C12−14)−パレス−12酢酸TIPA、(C10−12)s−パレス−2酢酸TIPA、(C10−12)s−パレス−3酢酸TIPA、(C10−12)s−パレス−4酢酸TIPA、(C10−12)s−パレス−6酢酸TIPA、(C10−12)s−パレス−10酢酸TIPA、(C10−12)s−パレス−12酢酸TIPA、(C12−14)s−パレス−2酢酸TIPA、(C12−14)s−パレス−3酢酸TIPA、(C12−14)s−パレス−4酢酸TIPA、(C12−14)s−パレス−6酢酸TIPA、(C12−14)s−パレス−10酢酸TIPA、(C12−14)s−パレス−12酢酸TIPA等が挙げられる。市販品としては、(C12−14)s−パレス−3酢酸MIPA(製品名:タイポールソフト ECS−390M、泰光油脂油脂化学工業社製)がある。これらは、炭素数やポリオキシエチレン付加モル数を問わず、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】
本発明における成分(b)油脂としては、特に限定されないが、室温で流動性のある液状油であることが好ましい。例えば、ローズ油やラベンダー油等の天然由来の精油、オリーブ油やホホバ油等の植物油脂や動物油脂等の油脂類、ラウリン酸メチルヘプチル(製品名:NIKKOL GS−HML、日光ケミカルズ社製)等のエステル油、スクワラン(製品名:NIKKOL シュガースクワラン、日光ケミカルズ社製)や水添ファルネセン(製品名:NEOSSANCE HEMISQUALANE HF、日光ケミカルズ社製)等の炭化水素油、アモジメチコンやジメチコノール等のシリコーン油、香料等が挙げられる。シア脂やマンゴー種子脂等の固体または半固体の油脂類は、他の液状油と混合溶解または加温溶解して使用することができる。これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
本発明の成分(b)油脂は、配合する油脂の種類によって泡質が異なり、例えば水添ファルネセンは柔らかく滑らかな感触であり、スクワランは硬く濃密な感触を得る。油脂が未配合の場合に比べ、油脂を3〜5%配合した場合に、より泡質が向上し、感触も良好であることから、適度な配合量で様々な感触を実現することができる。
【0013】
本発明の洗浄剤組成物において、成分(a)アルキルエーテルカルボン酸塩に対する成分(b)油脂の質量比率(b)/(a)は0.02〜0.28であり、好ましくは0.04〜0.2であり、より好ましくは0.12〜0.2である。質量比率(b)/(a)が0.28を超える場合には、成分(b)の割合が多くなるため、起泡性に劣る。成分(a)と成分(b)の質量比率(b)/(a)を0.02〜0.28とすることで、起泡性を向上させることができる。液状油は皮脂等の油と相溶性に優れるため、洗浄性は質量比率に依らず、成分(b)の割合が多いほど、十分に保湿され、乾燥を防ぐことができる。一方、質量比率(b)/(a)の下限値は0.02であるが、成分(a)の配合量が多い場合は、乾燥や指通りに影響を与える場合もある。
【0014】
本発明における成分(c)水としては、特に限定されず、精製水、蒸留水、イオン交換水等が挙げられる。
【0015】
本発明における成分(d)ベタイン系両性界面活性剤は、本発明を構成する必須成分ではないが、油脂の溶解性をより高める効果や、起泡性を向上させる効果、アニオン性界面活性剤の刺激緩和と使用感の向上のために用いる場合がある。成分(d)ベタイン系両性界面活性剤としては、例えば、コカミドプロピルベタイン(製品名:NIKKOL AM−3130N、日光ケミカルズ社製)やラウリルベタイン(製品名:NIKKOL AM−301、日光ケミカルズ社製)が挙げられる。
【0016】
本発明における成分(e)ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、本発明を構成する必須成分ではないが、配合することで油脂成分の溶解性を高める効果を有する。成分(e)ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ラウレス−2(製品名:NIKKOL BL−2)やラウレス−4(製品名:NIKKOL BL−4.2、日光ケミカルズ社製)が挙げられ、特にラウレス−4を配合することで、成分(a)単独よりもさらに2倍量の油脂成分を透明に溶解することができる。
【0017】
本発明の洗浄剤組成物は、液状油を多量に含むことで、皮膚や毛髪を保湿・補修し、滑らかな感触で、心地よく洗浄できる。顔、身体、手、頭皮、毛髪等を適度に洗浄し、併せてそれらの乾燥を適度に防ぐことができる。
【0018】
さらに、本発明の洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、シャンプーなどの洗浄剤組成物に含まれる汎用性の高い成分を添加することができる。例えば、ココイルメチルタウリンNa(製品名:NIKKOL CMT−30、日光ケミカルズ社製)やラウロイルメチルアラニンNa(製品名:NIKKOL アラニネート LN−30、日光ケミカルズ社製)などのアニオン性界面活性剤、コカミドプロピルベタイン(製品名:NIKKOL AM−3130N、日光ケミカルズ社製)やラウリルベタイン(製品名:NIKKOL AM−301、日光ケミカルズ社製)などの両性界面活性剤、(カプリリル/カプリル)グルコシド(製品名:GreenAPG 0810、日光ケミカルズ社製)やPPG−24グリセレス−24(製品名:NIKKOL SG−G2424、日光ケミカルズ社製)などのノニオン界面活性剤、グリセリンやDPGなどのポリオール類、ポリクオタニウム−10やポリクオタニウム−7などのカチオン性高分子、クエン酸やアルギニンなどのpH緩衝剤、安息香酸Naやフェノキシエタノールなどの防腐剤、加水分解タンパク、ペプチド、アミノ酸、ビタミン、紫外線吸収剤などを配合することができる。
【0019】
本発明の洗浄剤組成物の剤形は特に限定されるものではないが、透明液体状または透明ジェル状が好ましい。シャンプー等の毛髪洗浄剤をはじめ、ボディソープやハンドソープ、洗顔料、クレンジング料などの皮膚洗浄剤に応用することができる。
【0020】
本発明の透明洗浄剤組成物の透明とは、常温にて目視で透明であることを特徴としており、より具体的には、紫外線可視分光光度計(製品名:Jasco V−650、日本分光社製)を用いて、室温で固定波長測定(620nm)を行い、透過率が99.5%以上を「透明」としている。
【0021】
以下に本発明の実施例を挙げて、本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の例において、配合量の記載は特に断りのない限り質量%を意味する。
【実施例】
【0022】
1.試料の調製
表1に示される発明品および比較品をそれぞれ調製し、各評価を実施した。
室温にて、A相とB相を撹拌混合後に、C相を加え、均一になるまで混合し、本発明品及び比較品とした。
成分(a)として、(C12−14)s−パレス−3酢酸MIPA(製品名:タイポールソフトECS−390M、泰光油脂化学工業社製)を用いた。さらに、成分(a)の比較として、ラウレス−5カルボン酸Na(製品名:NIKKOL AKYPO RLM45NV、日光ケミカルズ社製)、トリデセス−4カルボン酸Na(製品名:NIKKOL ECT−3NEX、日光ケミカルズ社製)を用いた。
成分(b)として、アモジメチコン(製品名:KF−8004、信越化学工業社製)、水添ファルネセン(製品名:NEOSSANCE HEMISQUALANE HF、日光ケミカルズ社製)、イソステアリン酸メチルヘプチル(製品名:NIKKOL GS−MHIS、日光ケミカルズ社製)、スクワラン(製品名:NIKKOL シュガースクワラン、日光ケミカルズ社製)をそれぞれ用いた。
【0023】
2.透明性評価
上記1.で調製した試料を用い、透明性を評価した。溶解性は、試料調製の翌日の溶液の外観を目視で観察し、透明であるものを〇、不透明であるものを×とした。さらに、紫外可視分光光度計(製品名:Jasco V−650、日本分光社製)を用いて、室温で固定波長測定(620nm)を行い、透過率が99.5%以上を「透明」とした。結果を表1に示した。
【0024】
3.起泡性評価
上記1.で調製した試料を用い、その起泡性を評価した。起泡性は各製剤0.5%水溶液を300mLに調製し、電動ミキサー(製品名:Pure Black、TESCOM社製)で20秒、室温下で攪拌し、直後の泡量を比較した。泡量の目盛り90mm以上を◎、80mm以上を〇、80mm未満は×とした。結果を表1に示した。
【0025】
4.洗浄性評価
上記1.で調製した試料を用い、その洗浄性を評価した。洗浄性は各製剤5%水溶液を調製し、表2に示す人工皮脂を用いて評価した。
スライドガラスに、表面に凹凸のあるテープ(製品名:トランスポア サージカルテープ、3M社製)を1.5cm四方に切り取って、貼り付け、その上に0.036gの人工皮脂を均一に塗布し、1時間乾燥させた。その後、各製剤5%水溶液を0.05g滴下し、指で20回馴染ませた後、コットンで10回タップして、コットンへの人工皮脂の吸着量の度合いを目視で観察した。人工皮脂が吸着され、洗浄力が高いものを〇、吸着が少なく洗浄力が低いものを×とした。結果を表1に示した。
【0026】
5.使用感評価
上記1.で調製した試料を用い、その使用感を評価した。
専門の官能評価者による評価(毛髪に対する指通りの良さ)を行った結果、指通りが非常に良いものを◎、指通りが良いものを〇、指通りが良くないものを△とした。結果を表1に示した。
【0027】
6.粘度測定
粘度は25℃における粘度をB型粘度計(製品名:VISCOMETER TVB−10、東機産業社製)を用いて測定し、pHはガラス電極式水素イオン濃度指示計(製品名:PH/ION METER F−72、堀場製作所社製)を用いて直接測定した。
【0028】
7.結果
表1より、質量比率(b)/(a)が0.02〜0.28の範囲において、透明性、起泡性、洗浄性の全てにおいて優れた結果を示した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
以下に、本発明の応用例を示す。配合量は質量%である。処方例1〜3は、実施例1に記載の方法にて評価を行い、優れた結果を得た。
【0032】
処方例1:オイルインシャンプー
(A)ポリクオタニウム−10 0.5(質量%)
コカミドプロピルベタイン 3.0
安息香酸ナトリウム 0.6
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.01
水 残余
(B)(C12−14)s−パレス−3酢酸MIPA 20.0
水添ポリイソブテン 3.0
ラウリン酸プロピレングリコール 1.0
ラベンダー油 0.3
調製方法:A相を加温・均一溶解する。均一溶解後、加温を停止する。B相を室温で均一混合し、A相へ投入する。室温まで冷却し、透明溶解を確認後、調製終了とする。
粘度:2140 mPa・s
pH:5.25
【0033】
処方例2:オイルシャワー(オイルインボディソープ)
(A)(C12−14)s−パレス−3酢酸MIPA 75.0(質量%)
アーモンド油 20.0
香料 1.0
(B)水 残余
調製方法:A相を均一溶解する。A相をB相へ投入し、透明溶解を確認後、調製終了とする。
粘度:340mPa・s
pH:5.81
【0034】
処方例3:泡ハンドソープ
(A)グリセリン 5.0(質量%)
(C12−14)s−パレス−3酢酸MIPA 5.0
水添ファルネセン 1.0
ラベンダー油 0.3
フェノキシエタノール 0.5
(B)水 残余
調製方法:A相を均一混合する。A相をB相に投入する。加温し、透明溶解を確認後、調製終了とする。
粘度:10mPa・s
pH:5.71
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、天然由来の精油や植物油、エステル油等を洗浄剤組成物に透明に溶解でき、かつ起泡性、洗浄性、安定性、増粘性に優れた洗浄剤組成物を得ることができ、皮膚や毛髪を保湿・補修し、滑らかな感触で、心地よく洗浄できる組成物への利用が可能である。