【解決手段】ガラス基板2の一方側主面2b上に、ガラスフリット、顔料、及び溶媒を含むペーストを塗布する工程と、ペーストを塗布したガラス基板2を焼成し、ガラス基板2上に印刷層3を形成する工程と、を備え、ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの間、ペーストの粘度を20000mPa・s以上に維持する、調理器用トッププレート1の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようにガラス基板上に設けられた印刷層の上に耐熱樹脂層や更なる印刷層等を形成する場合などの製造工程では、印刷層のラジアントヒーター部などにマスキングテープが貼り付けられる場合がある。しかしながら、所定の工程の後、このマスキングテープを剥離する際には、印刷層の膜剥がれが生じることがある。
【0007】
本発明の目的は、ガラス基板上に膜剥がれの生じ難い印刷層を形成することができる、調理器用トッププレートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る調理器用トッププレートの製造方法は、ガラス基板の一方側主面上に、ガラスフリット、顔料、及び溶媒を含むペーストを塗布する工程と、前記ペーストを塗布した前記ガラス基板を焼成し、前記ガラス基板上に印刷層を形成する工程と、を備え、前記ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの間、前記ペーストの粘度を20000mPa・s以上に維持することを特徴としている。
【0009】
本発明においては、前記顔料の含有量が、40質量%以上、60質量%以下であることが好ましい。
【0010】
本発明においては、前記顔料の形状が、フレーク状であることが好ましい。
【0011】
本発明においては、前記顔料の平均粒子径が、20μm以上、100μm以下であることが好ましい。
【0012】
本発明においては、前記顔料が、着色顔料及び光沢顔料の双方を含むことが好ましい。
【0013】
本発明においては、前記顔料と前記ガラスフリットとの比重差が、0.3g/cm
3以上であることが好ましい。
【0014】
本発明においては、前記ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの時間が、3時間以下であることが好ましい。
【0015】
本発明においては、前記ガラス基板が、調理器具が載せられる調理面及び該調理面とは反対側の裏面を有し、前記ガラス基板の前記裏面上に前記印刷層を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ガラス基板上に膜剥がれの生じ難い印刷層を形成することができる、調理器用トッププレートの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
【0019】
図1(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係る調理器用トッププレートの製造方法を説明するための模式的断面図である。
【0020】
本実施形態における調理器用トッププレート1(以下、「調理器用トッププレート1」を、単に「トッププレート1」とする)の製造方法では、まず、
図1(a)に示すガラス基板2を用意する。
【0021】
ガラス基板2は、対向している調理面2a及び裏面2bを有する。調理面2aは、鍋やフライパンなどの調理器具が載せられる側の面である。裏面2bは、調理器の内部側において光源や加熱装置と対向する面である。従って、調理面2a及び裏面2bは、表裏の関係にある。
【0022】
ガラス基板2は、波長450nm〜700nmにおける少なくとも一部の光を透過する。ガラス基板2は、有色透明であってもよいが、トッププレート1の美観性をより一層高める観点から、無色透明であることが好ましい。なお、本明細書において、「透明」であるとは、波長450nm〜700nmにおける可視波長域の光透過率が70%以上であることをいう。
【0023】
トッププレート1では、加熱及び冷却が繰り返しなされる。そのため、ガラス基板2は、高い耐熱性及び低い熱膨張係数を有するものであることが好ましい。具体的には、ガラス基板2の軟化温度は、700℃以上であることが好ましく、750℃以上であることがより好ましい。また、ガラス基板2の30℃〜750℃における平均線熱膨張係数は、−10×10
−7/℃〜+60×10
−7/℃の範囲内であることが好ましく、−10×10
−7/℃〜+50×10
−7/℃の範囲内であることがより好ましく、−10×10
−7/℃〜+40×10
−7/℃の範囲内であることがさらに好ましい。従って、ガラス基板2は、ガラス転移温度が高く、低膨張なガラスや、低膨張な結晶化ガラスからなるものであることが好ましい。低膨張な結晶化ガラスの具体例としては、例えば、日本電気硝子社製の「N−0」が挙げられる。なお、ガラス基板2としては、ホウケイ酸ガラスなどを用いてもよい。
【0024】
ガラス基板2の厚みは、特に限定されない。ガラス基板2の厚みは、光透過率などに応じて適宜設定することができる。ガラス基板2の厚みは、例えば、2mm〜6mm程度とすることができる。
【0025】
次に、用意したガラス基板2の裏面2b上に、ガラスフリット、顔料、及び溶媒を含むペーストを塗布する。それによって、
図1(b)に示すように、ガラス基板2の裏面2b上に、ペースト塗布層3Aを形成する。
【0026】
次に、ガラス基板2の裏面2b上に形成したペースト塗布層3Aを焼成する。それによって、
図1(c)に示すように、ガラス基板2の裏面2b上に印刷層3を形成する。
【0027】
本実施形態では、上記ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの間、ペーストの粘度を20000mPa・s以上に維持する。そのため、製造工程において印刷層3に貼り合わせられたマスキングテープなどのテープを剥がす際などにおける、印刷層3の膜剥がれを抑制することができる。なお、この点については、以下のようにして説明することができる。
【0028】
従来、トッププレートの表面に絵付け膜や金属調層、あるいは遮光層としての印刷層を形成する場合、ガラス基板の表面上に、ガラスフリット、顔料、及び溶媒を含むペーストを塗布し加熱乾燥させた後、焼成することにより印刷層が形成されることがある。本発明者らは、このようにペーストを塗布し加熱乾燥させた後、焼成することにより印刷層を形成した場合、印刷層の膜剥がれ等が生じ易いことを見出した。この原因については、以下のように説明することができる。
【0029】
通常、ペーストが垂れるのを防止するために、ガラス基板の上面にペーストを塗布する。ペースト塗布層を加熱乾燥した場合、ペースト塗布層の粘度が低下してガラスフリットより比重の大きい顔料が沈降し易くなる。その結果、印刷層とガラス基板の界面に顔料が堆積し易くなり、印刷層とガラス基板の界面におけるガラスフリットの量が少なくなる。つまり、ガラス基板側に多くの顔料が存在し、ガラス基板と反対側にガラスフリットが多く存在する。このように、印刷層とガラス基板の界面において、ガラス基板との密着性の高いガラスフリットの量が少なくなることから、印刷層とガラス基板との密着性が低下し、膜剥がれが生じ易くなるものと考えられる。
【0030】
これに対して、本実施形態では、上記のようにペーストの塗布時から焼成を開始するまでの間、ペーストの粘度を20000mPa・s以上に維持する。このようにペーストの塗布時から焼成を開始するまでの間、ペーストを高い粘度に維持するので、ペースト中における顔料の配置を均一化させることができ、ガラス基板2の裏面2bと印刷層3との界面に顔料が堆積することを抑制することができる。その結果、印刷層3とガラス基板2の界面において、ガラス基板2との密着性の高いガラスフリットの量を多くすることができ、ガラス基板2の裏面2bと印刷層3との密着性を十分に高めることができる。これにより、印刷層3の膜剥がれを生じ難くできるものと考えられる。従って、印刷層3のラジアントヒーター部などのヒータ部に貼り付けられたマスキングテープ等のテープを剥がす際にも印刷層3の膜剥がれを生じ難くすることができる。
【0031】
本発明においては、ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの間、ペーストの粘度を40000mPa・s以上にすることが好ましく、70000mPa・s以上にすることがより好ましい。ペーストの粘度が上述した下限値以上である場合、印刷層3のガラス基板2からの膜剥がれをより一層生じ難くすることができる。また、ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの間、ペーストの粘度を150000mPa・s以下にすることが好ましく、120000mPa・s以下にすることがより好ましい。ペーストの粘度が上述した上限値以下である場合、ペーストをより一層塗布し易くすることができ、トッププレート1の成膜性をより一層高めることができる。
【0032】
なお、ぺーストの粘度は、例えば、ブルックフィールド回転粘度計(ブルックフィールド社製、「5XHBDV−1」)を用いて、1分間の回転数20の条件で測定することができる。粘度を測定する際の温度は、ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの温度に合わせて適宜選定することができる。
【0033】
ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの温度は、40℃以下であることが好ましく、30℃以下であることがより好ましく、25℃以下であることがさらに好ましい。ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの温度が上述した上限値以下である場合、印刷層3のガラス基板2からの膜剥がれをより一層生じ難くすることができる。また、ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの温度は、−10℃以上であることが好ましく、−5℃以上であることがより好ましい。ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの温度が上述した下限値以上である場合、印刷層3の成膜性をより一層向上させることができる。
【0034】
また、ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの時間は、5時間以下であることが好ましく、3時間以下であることがより好ましく、1時間以下であることがさらに好ましい。ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの時間が上述した上限値以下である場合、印刷層3のガラス基板2からの膜剥がれをより一層生じ難くすることができる。また、ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの時間は、0.01時間以上であることが好ましく、0.1時間以上であることがより好ましい。ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの時間が上述した下限値以上である場合、印刷層3の成膜性をより一層向上させることができる。なお、焼成の開始とは、塗布されたペーストを、3℃/分以上で昇温させ始める時を表す。例えば、数百℃に加熱した焼成炉内にペーストを塗布したガラス基板を投入した時や、バーナー等によりペーストを熱し始める時を表す。
【0035】
なお、ペースト塗布層3Aの焼成温度は、例えば、200℃以上、600℃以下とすることができる。また、ペースト塗布層3Aの焼成時間は、例えば、30分以上、5時間以下とすることができる。
【0036】
ペースト塗布層3Aの厚みは、例えば、27μm以上、33μm以下とすることができる。また、印刷層3の厚みは、例えば、9μm以上、11μm以下とすることができる。
【0037】
ペースト中に含まれるガラスフリットとしては、例えば、B
2O
3−SiO
2系ガラス粉末、ZnO−B
2O
3系ガラス粉末、SiO
2−Al
2O
3系ガラス粉末などを用いることができる。
【0038】
また、ペースト中に含まれるガラスフリットの含有量としては、特に限定されないが、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは45質量%以上であり、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは55質量%以下である。ガラスフリットの含有量が上述した範囲内にある場合、印刷層3のガラス基板2からの膜剥がれをより一層生じ難くすることができる。
【0039】
ペースト中に含まれる顔料としては、特に限定されないが、例えば、着色顔料や光沢顔料を用いることができる。着色顔料及び光沢顔料は、それぞれを単独で用いてもよく、併用してもよい。トッププレート1の意匠性をより一層向上させる観点からは、着色顔料及び光沢顔料を併用することが好ましい。
【0040】
着色顔料は、有色の無機物である限りにおいて特に限定されない。着色顔料としては、例えば、TiO
2粉末、ZrO
2粉末若しくはZrSiO
4粉末などの白色の顔料粉末、Coを含む青色の無機顔料粉末、Coを含む緑色の無機顔料粉末、Ti−Sb−Cr系若しくはTi−Ni系の黄色の無機顔料粉末、Co−Si系の赤色の無機顔料粉末、Feを含む茶色の無機顔料粉末、又はCuを含む黒色の無機顔料粉末などが挙げられる。
【0041】
Coを含む青色の無機顔料粉末の具体例としては、例えば、Co−Al系又はCo−Al−Ti系の無機顔料粉末が挙げられる。Co−Al系の無機顔料粉末の具体例としては、CoAl
2O
4粉末などが挙げられる。Co−Al−Ti系の無機顔料粉末の具体例としては、CoAl
2O
4−TiO
2−Li
2O粉末などが挙げられる。
【0042】
Coを含む緑色の無機顔料粉末の具体例としては、例えば、Co−Al−Cr系又はCo−Ni−Ti−Zn系の無機顔料粉末が挙げられる。Co−Al−Cr系の無機顔料粉末の具体例としては、Co(Al,Cr)
2O
4粉末などが挙げられる。Co−Ni−Ti−Zn系の無機顔料粉末の具体例としては、(Co,Ni,Zn)
2TiO
4粉末などが挙げられる。
【0043】
Feを含む茶色の無機顔料粉末の具体例としては、例えば、Fe−Zn系の無機顔料粉末が挙げられる。Fe−Zn系の無機顔料粉末の具体例としては、(Zn,Fe)Fe
2O
4粉末などが挙げられる。
【0044】
Cuを含む黒色の無機顔料粉末の具体例としては、例えば、Cu−Cr系の無機顔料粉末やCu−Fe系の無機顔料粉末が挙げられる。Cu−Cr系の無機顔料粉末の具体例としては、Cu(Cr,Mn)
2O
4粉末や、Cu−Cr−Mn粉末などが挙げられる。また、Cu−Fe系の無機顔料粉末の具体例としては、Cu−Fe−Mn粉末などが挙げられる。
【0045】
これらの着色顔料は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
【0046】
光沢顔料は、トッププレート1のメタリック感を向上させることができる顔料である。光沢顔料としては、例えば、カオリン、タルク、セリサイト、ピロフェライト、マイカ、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等を用いることができる。なかでも、天然のマイカを粉砕することにより得られたフレークを基材としてその表面を金属酸化物で被覆したパール顔料を用いることが好ましい。また、アルミナフレーク、シリカフレーク、フレーク状ガラスなど、人工的に作られたフレークを基材としてその表面を金属酸化物で被覆したエフェクト顔料を用いてもよい。なお、パール顔料やエフェクト顔料に用いられる金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉄等が挙げられる。
【0047】
これらの光沢顔料は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。また、上記光沢顔料の代わりに、光沢のない体質顔料を用いてもよい。
【0048】
これらの顔料の形状としては、特に限定されないが、フレーク状や球状であることが好ましく、フレーク状であることがより好ましい。この場合、印刷層3の膜剥がれが生じ易いことから、本実施形態の製造方法を適用することにより印刷層3の膜剥がれをより一層効果的に抑制することができる。
【0049】
顔料の平均粒子径としては、特に限定されず、好ましくは20μm以上であり、より好ましくは40μm以上であり、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは80μm以下である。顔料の平均粒子径が上述した下限値以上である場合、トッププレート1の意匠性をより一層向上させることができる。また、顔料の平均粒子径が上述した上限値以下である場合、印刷層3の膜剥がれをより一層生じ難くすることができる。
【0050】
なお、顔料の平均粒子径は、レーザー回折法により、体積基準分布で算出した平均粒子径をいう。
【0051】
ペースト中に含まれる顔料の比重は、好ましくは2.8g/cm
3以上であり、より好ましくは3.0g/cm
3以上であり、好ましくは6.0g/cm
3以下である。顔料の比重が上述した範囲内である場合、本実施形態の製造方法を適用することにより印刷層3の膜剥がれをより一層効果的に抑制することができる。
【0052】
また、顔料とガラスフリットとの比重差(顔料の比重−ガラスフリットの比重)は、好ましくは0.3g/cm
3以上であり、より好ましくは0.5g/cm
3以上であり、好ましくは3.0g/cm
3以下である。顔料とガラスフリットとの比重差が上述した範囲内である場合、本実施形態の製造方法を適用することにより印刷層3の膜剥がれをより一層効果的に抑制することができる。
【0053】
なお、ガラスフリットの比重は、例えば、2.0g/cm
3以上、2.8g/cm
3以下とすることができる。
【0054】
ペースト中に含まれる顔料の含有量は、特に限定されない。ペースト中に含まれる顔料の含有量は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは42質量%以上であり、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは58質量%以下である。顔料の含有量が上述した下限値以上である場合、トッププレート1の意匠性をより一層向上させることができる。また、顔料の含有量が上述した上限値以下である場合、印刷層3の膜剥がれをより一層生じ難くすることができる。
【0055】
ペースト中に含まれる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、互応化学製のビークル「KFA−794」などを用いることができる。
【0056】
ペースト中に含まれる溶媒の含有量は、特に限定されない。ペースト中に含まれる溶媒の含有量は、好ましくは23質量%以上であり、より好ましくは28質量%以上であり、好ましくは41質量%以下であり、より好ましくは38質量%以下である。溶媒の含有量が上述した範囲内にある場合、ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの粘度を適度に大きくすることができ、印刷層3の膜剥がれをより一層生じ難くすることができる。
【0057】
なお、上記実施形態では、ガラス基板2の調理面2aの上には、膜が形成されていない例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、調理面2aの上に、意匠性向上やヒータ位置の表示等のために、必要に応じて装飾被膜を形成してもよい。ガラス基板2の裏面2b側にも、耐熱樹脂層や装飾被膜などの膜がさらに形成されていてもよい。
【0058】
以下、本発明について、実施例に基づいてさらに詳細を説明する。但し、以下の実施例は、単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
【0059】
(実施例及び比較例)
まず、ガラスフリット(比重:2.4g/cm
3)と、青色の着色顔料粉末(比重:4.2g/cm
3)及び黒色の着色顔料粉末(比重:5.3g/cm
3)と、光沢顔料粉末としてのマイカ(表面を酸化チタンでコーティングしたもの、比重:2.8g/cm
3、平均粒子径:53μm)と、溶媒としての「KFA−794」とをそれぞれ質量比(ガラスフリット:着色顔料粉末:光沢顔料粉末:溶媒)で、50:12:38:200の割合となるように混合し、ペーストを作製した。
【0060】
次に、このペーストをガラス基板としての透明結晶化ガラス板(日本電気硝子社製、商品名「N−0」、30℃〜750℃における平均線熱膨張係数:0.5×10
−7/℃、厚み:4mm)全体の上に、厚みが30μmとなるように、スクリーン印刷により塗布した。その後、炉内を830℃に保持した焼成炉で30分間焼成した。それによって、ガラス基板の一方側主面上に、印刷層を形成して、トッププレートを得た。
【0061】
なお、実施例では、ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの間の温度を、表1に示す温度(24℃〜36℃)にそれぞれ維持した各トッププレートのサンプルを作製した。一方、比較例では、ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの間の温度を、45℃、50℃にそれぞれ維持した各トッププレートを作製した。各実施例及び各比較例において、ペーストの塗布時から焼成を開始するまでの時間は、いずれも30分とした。また、各温度における粘度は、ブルックフィールド回転粘度計(ブルックフィールド社製、「5XHBDV−1」)を用いて、回転数20の条件で測定した。各温度における粘度は、以下の表1に示す通りである。なお、表中、24℃〜36℃までが実施例であり、45℃及び50℃が比較例である。
【0063】
表1より、温度が40℃以下である実施例においては、全て粘度が20000mPa・s以上になっていることがわかる。一方、温度が45℃以上である比較例においては、全て粘度が20000mPa・s未満になっていることがわかる。
【0064】
また、実施例及び比較例で得られた各トッププレートにおける印刷層の膜剥がれを評価した。具体的には、各トッププレートの印刷された部位に耐熱テープを指で押し付けてからテープを剥がし、テープを貼り付けた面積に対する膜剥がれ部分の面積の割合(膜剥がれ部分の面積/テープを貼り付けた面積)を求めた。その結果、実施例のサンプルでは全て5%以下であり、印刷層の膜剥がれが抑制されていることを確認できた。一方、比較例のサンプルでは全て20%以上であり、印刷層の膜剥がれが確認された。