(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-96525(P2021-96525A)
(43)【公開日】2021年6月24日
(54)【発明の名称】工具経路生成方法、工具経路生成装置および工作機械の制御装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/4093 20060101AFI20210528BHJP
G05B 19/4097 20060101ALN20210528BHJP
【FI】
G05B19/4093 D
G05B19/4097 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-225809(P2019-225809)
(22)【出願日】2019年12月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000154990
【氏名又は名称】株式会社牧野フライス製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】安河内 二郎
【テーマコード(参考)】
3C269
【Fターム(参考)】
3C269AB05
3C269AB31
3C269BB03
3C269CC02
3C269EF02
3C269EF63
3C269EF71
3C269MN42
3C269QB02
(57)【要約】
【課題】隣接する工具経路間の段差を最小化または除去すること。
【解決手段】ワークの加工面に沿って生成された工具移動曲面So上を工具Tが移動し、ワークを加工する工具経路Tpを生成する工具経路生成方法において、工具移動曲面So上を工具が移動する経路を定めるための規則である走査方針を設定し、工具移動曲面So上に分割線Cdを配置し、走査方針に基づいて工具移動曲面上を工具が移動するときの軌跡と、分割線との交点の位置を算出し、交点の位置を通過する曲線で曲線補間する移動指令で表される工具経路を生成するようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの加工面に沿って生成された工具移動曲面上を工具が移動し、ワークを加工する工具経路を生成する工具経路生成方法において、
前記工具移動曲面上を工具が移動する経路を定めるための規則である走査方針を設定し、
前記工具移動曲面上に分割線を配置し、
前記走査方針に基づいて前記工具移動曲面上を工具が移動するときの軌跡と、前記分割線との交点の位置を算出し、
前記交点の位置を通過する曲線で曲線補間する移動指令で表される工具経路を生成する工具経路生成方法。
【請求項2】
前記分割線は、前記工具移動曲面上に多数の母点を配置し、前記工具移動曲面に沿う曲線によって前記母点を結んで三角形を形成するように生成される請求項1に記載の工具経路生成方法。
【請求項3】
前記分割線は、前記工具移動曲面上に多数の母点を配置し、前記工具移動曲面に沿う曲線によって前記母点を結んで四角形を形成するように生成される請求項1に記載の工具経路生成方法。
【請求項4】
前記分割線は、前記曲面に対面する平面上に延びる複数の平行線を前記曲面に投影した曲線によって定義される請求項1に記載の工具経路生成方法。
【請求項5】
工具と、該工具に対面するワークとを相対移動させて、前記ワークを加工するためのワークに対する工具の移動経路である工具経路生成装置において、
ワークの加工面に沿って工具移動曲面を生成する工具移動曲面生成部と、
工具が移動する経路を定める走査方針を定義した加工パターンを選択する加工パターン選択部と、
前記工具移動曲面に沿って分割線を生成する分割線生成部と、
前記加工パターン選択部によって選択された加工パターンを前記工具移動曲面に投影して、前記工具移動曲面上を工具が移動するときの軌跡と、前記分割線との交点の位置を算出し、前記交点の位置を通過する曲線で曲線補間する移動指令で表される工具経路を生成する演算部と
を具備することを特徴とした工具経路生成装置。
【請求項6】
前記分割線生成部は、前記工具移動曲面上に多数の母点を配置し、前記工具移動曲面に沿う曲線によって前記母点を結んで三角形を形成するように分割線を生成する請求項5に記載の工具経路生成方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の工具経路生成装置を備えた工作機械の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する工具経路間で生じうる段差を抑制し、これにより高品位な加工面に仕上げることのできる曲線指令を生成する工具経路生成方法、工具経路生成装置および該工具経路生成装置を組み込んだ工作機械の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工具経路を生成するため、CAM(Computer Aided Manufacturing)は、CAD(Computer-Aided Design)が生成したワークの最終的な形状であるモデル形状の表面からオフセットした曲面に沿って工具経路たる曲線を生成するようになっている。この曲線は高次な数式になるため、扱い易いように通常は直線、円弧、低次数式の曲線等で補間している。しかし、この補間でのデータ容量の増大を防ぐためには、許容誤差範囲内での近似が必要になる。例えば、特許文献1には、工作機械の数値制御装置において、指令点によって与えられる工具経路をNURBS曲線で補間して平滑化することにより、滑らかな工具経路を生成する工具経路生成方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−305430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、特許文献1に記載の工具経路生成方法では隣接する工具経路の情報を見ていないため、隣接した工具経路間に誤差分の段差が発生する場合があり、加工面の品位を低下させている問題がある。
【0005】
本発明は、こうした従来技術の問題を解決することを技術課題としており、隣接する工具経路間の段差を最小化または除去することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、ワークの加工面に沿って生成された工具移動曲面上を工具が移動し、ワークを加工する工具経路を生成する工具経路生成方法において、前記工具移動曲面上を工具が移動する経路を定めるための規則である走査方針を設定し、前記工具移動曲面上に分割線を配置し、前記走査方針に基づいて前記工具移動曲面上を工具が移動するときの軌跡と、前記分割線との交点の位置を算出し、前記交点の位置を通過する曲線で曲線補間する移動指令で表される工具経路を生成する工具経路生成方法が提供される。
【0007】
更に、本発明によれば、工具と、該工具に対面するワークとを相対移動させて、前記ワークを加工するためのワークに対する工具の移動経路である工具経路生成装置において、ワークの加工面に沿って工具移動曲面を生成する工具移動曲面生成部と、ワークを加工する加工パターンを選択する加工パターン選択部と、前記工具移動曲面に沿って分割線を生成する分割線生成部と、前記加工パターン選択部によって選択された加工パターンを前記加工面に投影して、前記工具移動曲面上を工具が移動するときの軌跡と、前記分割線との交点の位置を算出し、前記交点の位置を通過する曲線で曲線補間する移動指令で表される工具経路を生成する演算部とを具備する工具経路生成装置が提供される。
【0008】
更に、本発明によれば、上記工具経路生成装置を備えた工作機械の制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、1つの加工領域を分割線で複数の曲面に分割し、曲面間の分割線上に曲線の接続点が位置するように平滑化するので、これにより工具経路に対して横断方向の包絡線もうねりが小さくなり、滑らかな加工面を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本願発明の実施形態による工具経路生成装置のブロック図である。
【
図3】
図2の加工パスを工具の中心軸線に垂直な平面に投影した図である。
【
図6】工具がボールエンドミルの場合のオフセット曲面を示す図である。
【
図7】工具がブルノーズエンドミルの場合のオフセット曲面を示す図である。
【
図8】工具がスクエアエンドミルの場合のオフセット曲面を示す図である。
【
図12】加工パスを工具の中心軸線の方向にオフセット曲面へ向けて投影する走査方針を示す図である。
【
図13】曲面の法線がピックフィード方向に向いているとき場合の交点を求める方法を説明する図である。
【
図14】曲面の法線がピックフィード方向に向いているとき場合の交点を求める方法を説明する図である。
【
図15】本発明の好ましい実施形態による工具経路生成装置により生成された工具経路を説明するための図である。
【
図16】従来技術により生成された工具経路を説明するための図である。
【
図17】本発明の工具経路生成装置を備えた工作機械の制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は、本願発明の実施形態による工具経路生成装置10のブロック図である。工具経路生成装置10は、加工領域設定部12、工具移動曲面生成部14、加工パターン選択部16、分割線生成部18、演算部20および記憶部22を主要な構成要素として具備している。工具経路生成装置10は、CPU(中央演算素子)、RAM(ランダムアクセスメモリ)やROM(リードオンリーメモリ)のようなメモリ装置、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)のような記憶デバイス、出入力ポート、および、これらを相互接続する双方向バスを含むコンピュータおよび関連するソフトウェアから構成することができる。
【0012】
記憶部22には、工具経路を生成するために必要な各種データが格納されている。記憶部22に格納されるデータには、例えば工具の管理番号、工具及び工具ホルダの寸法、形状、工具の材質等の工具に関するデータ(工具データ)、送り速度、工具の回転速度、ピックフィード量、クーラント使用の有無、加工パターン、加工面を複数の加工領域に区分するための領域区分データ、ある加工面を加工する最適な工具を選択するための基礎データ等の加工条件に関するデータ(加工条件データ)、材料の種類、硬さ、引張強さ、弾性係数等の材料に関するデータ(材料データ)が含まれる。なお、入力部32から記憶部22にアクセスして、オペレータにより記憶部22に格納されているデータを修正したり、新たにデータを入力したりできるようにしてもよい。
【0013】
加工領域設定部12はモデル形状提供装置30からモデル形状データを受け取る。モデル形状データは、加工すべきワークの形状、特に仕上げ加工を完了したワークの形状を表すデータである。モデル形状提供装置30は、典型的にはCAD装置とすることができる。過去の製品を再び製造するような場合で、モデル形状データが、コンピュータやデータベースに保存されているようなときには、モデル形状提供装置30は、モデル形状データを格納しているコンピュータやデータベースとすることができる。
【0014】
加工領域設定部12は、モデル形状提供装置30から受け取ったモデル形状データと、記憶部22に格納されているデータとに基づき、ワークの加工すべき表面(加工面)を複数の加工領域に分割する。より詳細には、加工領域設定部12は、モデル形状データからワークの加工面の形状を認識し、記憶部22に格納されている領域区分データと、認識した加工面の形状とに基づいて、加工表面の曲率、傾斜角度及び深さ等を表面パラメータとして、加工面を複数の加工領域に区分する。
【0015】
工具移動曲面生成部14は、加工領域設定部12が設定した加工領域の各々に関して、工具移動曲面を生成する。工具移動曲面に最適な例としては、オフセット曲面So(
図2〜
図4)がある。オフセット曲面Soは、加工に際して工具Tの中心点Otが配置される位置の集合を包含する曲面、または加工面Smを形成するために、加工領域内で工具Tの中心点Otが移動する曲面である。工具移動曲面は、オフセット曲面Soに限定されるものではない。例えば、工具の大きさを無視できる場合には加工面Smを工具移動曲面に指定することができる。
【0016】
工具Tの中心点Otは、工具Tがフライス工具の場合、工具Tの中心軸線Oに沿って、先端面から工具Tのコーナ部、つまり工具Tの先端の円弧状外周部の半径Rだけシャンクに後退した位置である。例えば、
図2に示すように、工具Tがボールエンドミルの場合、先端のボールの中心が工具Tの中心点Otである。工具Tが、
図3に示すように、ブルノーズエンドミルの場合、工具Tのコーナ部の半径Rだけ中心軸線Oに沿って先端面からシャンク側に後退した位置であり、工具Tが、
図4に示すように、スクエアエンドミルの場合、工具Tの先端面と中心軸線Oが交差する位置が工具Tの中心点Otとなる。工具Tの中心点Otの位置は、記憶部22に工具データとして格納されている。
【0017】
本実施形態では、工具移動曲面生成部14は、加工領域設定部12が設定した加工領域の各々に関して、モデル形状データと、工具Tの中心点Otの位置に関するデータに基づいて、工具移動曲面としてオフセット曲面Soを生成する。
【0018】
加工パターン選択部16は、加工領域の各々の表面パラメータに対応させて、当該加工領域を加工する最適な工具および加工パターンを選択すると共に、送り速度、工具の回転数、ピックフィード量等の加工条件を設定する。
図5〜
図8に加工パターンの例を示す。
図5はスキャン(走査)加工パスを示しており、
図6は、
図5の加工パスを工具Tの中心軸線Oに垂直な平面に投影した図である。スキャン加工パスによれば、切削送り方向Dmfに沿って工具T、例えばボールエンドミルを一方向に直線送りしてワークを切削加工し、ピックフィード方向Dpへ工具Tをピックフィードし、ついで、切削送り方向Dmfに沿って工具Tを反対方向に送りつつワークを切削加工し、これを繰り返してワークの加工面が加工される。
【0019】
また、
図7は等高輪郭加工パスを、そして
図8は点Oを中心とする放射加工パスの例を示している。これらの加工パターンは、蓄積されたノウハウを反映させて、加工領域の曲率、傾斜角度、深さ等の表面パラメータと対応させて加工パターンが選択できるように記憶部22に格納されている。また、図示する加工パターンは、一例であって本発明を限定する趣旨ではない。
【0020】
分割線生成部18は、工具移動曲面に沿って延びる複数の曲線よりなる分割線を生成する。本実施形態では、分割線生成部18は、オフセット曲面So上に分割線Cdを生成する。分割線Cdは、例えば、
図9に示すように、オフセット曲面Soに沿って多数の母点Pを配置し、非ユーグリッド幾何学的な形状、
図9では三角形を形成するように、オフセット曲面Soに沿う曲線によって該母点Pを結ぶことによって生成することができる。つまり、曲面に描くため厳密な意味の三角形でなく、3つの頂点(母点P)を曲面(オフセット曲面So)に沿って最短の経路でつないだ擬似的な三角形、或いは、ある平面に描いた三角形をオフセット曲面Soに投影した擬似的な三角形となる。三角形状の分割線Cdを生成するために、ドロネー三角形分割法を用いてもよい。
【0021】
分割線Cdは、
図9に示す三角形状のみならず、平行線(
図10)や格子(
図11)を用いてもよい。平行線状の分割線Cdは、オフセット曲面Soに沿った2つの母点Pを通る擬似的な平行線であり、格子上の分割線Cdは、頂点(母点P)の数を4点に増やした擬似的な格子である。分割線Cdは、オフセット曲面Soに対面する平面上に配置された複数の三角形や四角形、平行線をオフセット曲面Soに投影した曲線によって定義してもよい。
【0022】
また、
図13に示すように、曲面の極点近傍では、走査方針に基づいてオフセット曲面So上を工具Tが移動するときの工具Tの中心点Otの軌跡である曲線Cが、分割線Cdと交わらない場合がある。その場合は、
図14に示すように、該曲面の極点Peを求め、該曲面に沿って極点Peを通過する曲線C′を作成するようにする。例えば、曲面の極点を三角形の内部に含む場合は、極点Peを通過する曲線C′で2つの三角形に分割する処理をするようにできる。
【0023】
演算部20は、走査方針に基づいてオフセット曲面So上を工具Tが移動するときの工具Tの中心点Otの軌跡である曲線Cと、分割線Cdとの交点Piの位置を算出する。走査方針は、例えば、オフセット曲面Soと交差する複数のX−Z平面とすることができる。この例では、X−Z平面とオフセット曲面So上の分割線Cdとの交点Piの位置が演算により求められる。或いは、走査方針として、
図12に示すように、加工パターン選択部16が選択した加工パスを工具Tの中心軸線Oの方向にオフセット曲面Soへ向けて投影し、投影され曲線Cと分割線Cdとの交点Piを求めるようにしてもよい。或いは、X−Y平面を走査方針にしてもよい。この場合は、
図4の等高輪郭加工パスと分割線Cdとの交点Piが求められる。走査方針は、ワークの加工領域間または加工面間の境界線に沿った3次元の曲線Cをオフセット曲面Soに投影することとしてもよい。
【0024】
ついで、演算部20は、こうして生成した曲線Cと、分割線Cdとの交点Piを演算し、交点Piによって与えられる曲線Cに沿った点列をベジェ曲線、B‐スプライン曲線、NURBS曲線、単純平均、加重平均等の手法を用いて平滑化する。例えば、演算部20は、交点Piにおける曲線Cの接線ベクトルVtを求め、該接線ベクトルVtを用いて交点Piを結ぶナーブス曲線で補間、平滑化することができる。演算部20は、ついで、平滑化した曲線に基づいて、移動指令で表される工具経路Tp(
図15)を生成する。こうして生成された移動指令で表される工具経路Tpは、工作機械の制御装置100へ出力することができる。
【0025】
例えば、NURBS等のスプライン曲線を用いて工具経路を生成している従来の工具経路生成方法では、
図16に示すように、個々の工具経路Tpは接続点における経路誤差がなく、かつ曲率が連続的に変化していても、工具経路Tpの横断方向に包絡線が滑らかにならず、つまり、隣接する工具経路Tp間で段差を生じ、滑らかな加工面を得ることができないことがある。これに対して、本実施形態によれば、1つの加工領域を分割線Cdで複数の曲面に分割し、曲面間の分割線Cd上に曲線Cの接続点(交点Pi)が位置するように平滑化しているので、
図15に示すように、工具経路Tpに対して横断方向の包絡線もうねりが小さくなり、滑らかな加工面を得ることが可能となる。
【0026】
上記の工具経路生成装置10は、工作機械の制御装置とは独立のCAM装置として構成することができるが、
図17に示すように、制御装置の一部として構成してもよい。
図17において、制御装置100は、
図1の工具経路生成装置10と同様の構成を有した工具経路生成部102、読取解釈部104、補間演算部106、サーボ制御部108を主要な構成として備えている。
【0027】
読取解釈部104は、工具経路生成部102から移動指令で表される工具経路(加工プログラム)を読み込む。読取解釈部104は、移動指令を補間演算部106に送出する。補間演算部106は、補間周期毎の位置指令値を演算する。例えば、補間演算部106は、移動指令に基づいて設定された時間間隔ごとの移動量を算出する。補間演算部106は、位置指令値をサーボ制御部108に送出する。サーボ制御部108は、位置指令値に基づいてX軸およびY軸などの各送り軸の移動量を算出し、工作機械110の各軸サーボモータを駆動する。
【0028】
工作機械110は、主軸(図示せず)の先端部にボールエンドミルのような回転工具を装着し、該回転工具に対面するようにテーブル(図示せず)に固定されたワーク(図示せず)に対して主軸をX、Y、Zの直交3軸方向に相対移動させて、該ワークを加工する立形または横形マシニングセンタとすることができる。
【符号の説明】
【0029】
10 工具経路生成装置
12 加工領域設定部
14 工具移動曲面生成部
16 加工パターン選択部
18 分割線生成部
20 演算部
22 記憶部
30 モデル形状提供装置
32 入力部
100 制御装置
102 工具経路生成部
104 読取解釈部
106 補間演算部
108 サーボ制御部
110 工作機械
【手続補正書】
【提出日】2021年3月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、ワークの加工面に沿って生成された工具移動曲面上を工具が移動し、ワークを加工する工具経路を生成する工具経路生成方法において、前記工具移動曲面上を工具が移動する経路を定めるための規則である走査方針を設定し、前記工具移動曲面
に沿って延びる複数の曲線よりなる分割線
(Cd)を前記工具移動曲面上に生成し、前記走査方針に基づいて前記工具移動曲面上を工具が移動するときの軌跡と、前記分割線
(Cd)との交点
(Pi)の位置を算出し、前記交点
(Pi)の位置を通過する曲線
(C)で曲線補間する移動指令で表される工具経路を生成する工具経路生成方法が提供される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
更に、本発明によれば、工具と、該工具に対面するワークとを相対移動させて、前記ワークを加工するためのワークに対する工具の移動経路である工具経路生成装置において、ワークの加工面に沿って工具移動曲面を生成する工具移動曲面生成部と、
工具が移動する経路を定める走査方針を定義した加工パターンを選択する加工パターン選択部と、前記工具移動曲面に沿って
延びる複数の曲線よりなる分割線
(Cd)を
前記工具移動曲面上に生成する分割線生成部と、前記加工パターン選択部によって選択された加工パターンを前記
工具移動曲面に投影して、前記工具移動曲面上を工具が移動するときの軌跡と、前記分割線
(Cd)との交点
(Pi)の位置を算出し、前記交点
(Pi)の位置を通過する曲線
(C)で曲線補間する移動指令で表される工具経路を生成する演算部とを具備する工具経路生成装置が提供される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの加工面に沿って生成された工具移動曲面上を工具が移動し、ワークを加工する工具経路を生成する工具経路生成方法において、
前記工具移動曲面上を工具が移動する経路を定めるための規則である走査方針を設定し、
前記工具移動曲面に沿って延びる複数の曲線よりなる分割線(Cd)を前記工具移動曲面上に生成し、
前記走査方針に基づいて前記工具移動曲面上を工具が移動するときの軌跡と、前記分割線(Cd)との交点(Pi)の位置を算出し、
前記交点(Pi)の位置を通過する曲線(C)で曲線補間する移動指令で表される工具経路を生成する工具経路生成方法。
【請求項2】
前記分割線(Cd)は、前記工具移動曲面上に多数の母点を配置し、前記工具移動曲面に沿って前記母点を結んで三角形を形成するように生成された曲線である請求項1に記載の工具経路生成方法。
【請求項3】
前記分割線(Cd)は、前記工具移動曲面上に多数の母点を配置し、前記工具移動曲面に沿って前記母点を結んで四角形を形成するように生成された曲線である請求項1に記載の工具経路生成方法。
【請求項4】
前記分割線(Cd)は、前記工具移動曲面に対面する平面上に延びる複数の平行線を前記工具移動曲面に投影した曲線である請求項1に記載の工具経路生成方法。
【請求項5】
工具と、該工具に対面するワークとを相対移動させて、前記ワークを加工するためのワークに対する工具の移動経路である工具経路生成装置において、
ワークの加工面に沿って工具移動曲面を生成する工具移動曲面生成部と、
工具が移動する経路を定める走査方針を定義した加工パターンを選択する加工パターン選択部と、
前記工具移動曲面に沿って延びる複数の曲線よりなる分割線(Cd)を前記工具移動曲面上に生成する分割線生成部と、
前記加工パターン選択部によって選択された加工パターンを前記工具移動曲面に投影して、前記工具移動曲面上を工具が移動するときの軌跡と、前記分割線(Cd)との交点(Pi)の位置を算出し、前記交点(Pi)の位置を通過する曲線(C)で曲線補間する移動指令で表される工具経路を生成する演算部と
を具備することを特徴とした工具経路生成装置。
【請求項6】
前記分割線生成部は、前記工具移動曲面上に多数の母点を配置し、前記工具移動曲面に沿う曲線によって前記母点を結んで三角形を形成するように分割線(Cd)を生成する請求項5に記載の工具経路生成装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の工具経路生成装置を備えた工作機械の制御装置。