(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-97654(P2021-97654A)
(43)【公開日】2021年7月1日
(54)【発明の名称】小動物侵入防止用プレート及び積層構造体
(51)【国際特許分類】
A01M 29/30 20110101AFI20210604BHJP
【FI】
A01M29/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-240156(P2019-240156)
(22)【出願日】2019年12月23日
(71)【出願人】
【識別番号】300086366
【氏名又は名称】株式会社クレアーレ
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 康裕
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA02
2B121AA03
2B121BB30
2B121BB32
2B121BB35
2B121EA05
2B121EA06
2B121FA12
(57)【要約】
【課題】小動物を自由に徘徊させず、または防衛するべき空間に自由に侵入させないことのできる小動物侵入防止用プレート及び積層構造体を提供すること。
【解決手段】本発明に係る小動物侵入防止用プレート1は、小動物が侵入し得る構造物に設置される小動物侵入防止用プレート1であって、第1面11と該第1面の反対の側の第2面12とを有し、前記第1面11及び前記第2面12の少なくとも一部の領域で前記第1面11から前記第2面12に貫通する複数の穿孔部10が形成され、前記穿孔部10を、隣接する他の穿孔部10に対して千鳥配置としたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小動物が侵入し得る構造物に設置される小動物侵入防止用プレートであって、
第1面と該第1面の反対の側の第2面とを有し、
前記第1面及び前記第2面の少なくとも一部の領域で前記第1面から前記第2面に貫通する複数の穿孔部が形成され、
前記穿孔部を、隣接する他の穿孔部に対して千鳥配置としたことを特徴とする小動物侵入防止用プレート。
【請求項2】
請求項1に記載の小動物侵入防止用プレートにおいて、
前記千鳥配置は、前記穿孔部の一つと、これに隣接する二つの穿孔部がなす角度を略60度に設定することを特徴とする小動物侵入防止用プレート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の小動物侵入防止用プレートにおいて、
前記複数の穿孔部は、略同径であることを特徴とする小動物侵入防止用プレート。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の小動物侵入防止用プレートにおいて、
上下方向と略垂直をなす方向に沿う第1折り線及び第2折り線を定義し、
前記第1折り線で山折りされる凸状頂部と、
前記第2折り線で谷折りされる凹状底部とを備えることを特徴とする小動物侵入防止用プレート。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の小動物侵入防止用プレートにおいて、
対象となる小動物の歯の咬む力や首の力など、破壊されることのない必要な強度を満たす厚さのある金属製であることを特徴とする小動物侵入防止用プレート。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の小動物侵入防止用プレートの前記穿孔部を介してネジを木部にねじ込む際に使用する積層構造体であって、
第1の合板と、
前記第1の合板の一方の面の側に形成される第2の合板と、
前記第2の合板の他方の面の側に形成される第3の合板と、
前記第1の合板と前記第2の合板の間に形成される第1のガラスクロスと、
前記第1の合板と前記第3の合板の間に形成される第2のガラスクロスと、
を備える積層構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小動物が侵入し得る構造物に設置される小動物侵入防止用プレート及びこれを用いた積層構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のコンピュータに起因する情報社会は、デジタル情報で管理運営されている。そのため、情報機器同士の配線やケーブル(以下、ケーブル類とする)など、大量のケーブルが建物の上下階など複数階にわたって接続されることも多くなった。
【0003】
情報機器類の減価償却期限による入替、情報機器類の性能向上による入替など、頻繁なケーブルの入替や増設が発生することから、建物の外部にダクト形状の大きめのケースを用意し、内部に次々とケーブルが増加する結果を招く。
【0004】
また、ビルにおいては、地下から導入された水道管やガス管などビルのライフラインに関係する配線や配管類が、エレベータや非常階段などの竪抗の付近に設置されたパイプスペースなどに集約されて上下階に渡って設置されている。
【0005】
これらのケーブルや配管類などは、ネズミ、ハクビシン、アライグマ、イタチなどの小動物がケーブルや配管に掴まって登ることができ、高層化する建物の地下から地上の高層階まで、縦方向に移動する経路となっている。なお、小動物には、ネズミ等の4本足の小動物だけでなく、鳥類等も含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、これらの竪抗やダクトなどに起因する上下方向のケーブル類や配管などのスペースにおいて、小動物の移動を阻止できる装置がなかったことから、小動物は竪抗やダクトにより、上下方向を自由に徘徊してしまう結果となった。
【0007】
そのうえ、従来からある天井裏やインテリジェント化されたビルの床下空間の横方向において自由に徘徊することができる状況になっている。
【0008】
ネズミは門歯等の歯が伸び続ける習性があり、硬いものをガリガリと噛んで歯をすり減らさなければならず、これを怠ると口が閉まらないとか、口が開かないなどの結果となって餓死してしまう。そのため、生後間もなくから、硬いものを噛む習性がある。
【0009】
ケーブル等のダクトや竪抗のパイプスペースなどの状況から、建物内に自由に侵入し、鉄道であれば制御室、信号所、変電室などの情報機器類に対する小動物に起因する被害が発生し、電車が停止してしまうなどの諸問題を発生させ、福島原発においては冷却装置がネズミに起因する漏電の発生により作動できず、メルトダウンになってしまったことは記憶に新しい事例である。
【0010】
高速道路においては、ETC課金システムに不具合が発生したりする。また、住宅など木造建造物においては、漏電火災が発生し、火災発生原因の上位にいつもある。また、企業においては、システムダウンにより全社的な機能停止に陥る。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、小動物を自由に徘徊させず、または防衛するべき空間に自由に侵入させないことのできる小動物侵入防止用プレート及び積層構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る小動物侵入防止用プレートは、小動物が侵入し得る構造物に設置される小動物侵入防止用プレートであって、第1面と該第1面の反対の側の第2面とを有し、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一部の領域で前記第1面から前記第2面に貫通する複数の穿孔部が形成され、前記穿孔部を、隣接する他の穿孔部に対して千鳥配置としたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る小動物侵入防止用プレートにおいては、前記千鳥配置は、前記穿孔部の一つと、これに隣接する二つの穿孔部がなす角度を略60度に設定することが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る小動物侵入防止用プレートにおいては、前記複数の穿孔部は、略同径であることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る小動物侵入防止用プレートにおいては、上下方向と略垂直をなす方向に沿う第1折り線及び第2折り線を定義し、前記第1折り線で山折りされる凸状頂部と、前記第2折り線で谷折りされる凹状底部とを備えることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る小動物侵入防止用プレートにおいては、対象となる小動物の歯の咬む力や首の力など、破壊されることのない必要な強度を満たす厚さのある金属製であることが好ましい。
また、本発明に係る小動物侵入防止用プレートの前記穿孔部を介してネジを木部にねじ込む際に使用する積層構造体であって、第1の合板と、前記第1の合板の一方の面の側に形成される第2の合板と、前記第2の合板の他方の面の側に形成される第3の合板と、前記第1の合板と前記第2の合板の間に形成される第1のガラスクロスと、前記第1の合板と前記第3の合板の間に形成される第2のガラスクロスと、
を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、小動物を自由に徘徊させず、または防衛するべき空間に自由に侵入させないことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】小動物侵入防止用プレートを用いた配管導入構造の概略断面図である。
【
図3】小動物侵入防止用プレートを用いた配管導入構造の使用状態の一例を示す正面図である。
【
図5】小動物侵入防止用プレートを用いた配管導入構造の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下では、本開示に係る一例としての小動物侵入防止用プレートを用いた配管導入構造を、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1は、小動物侵入防止用プレートの正面図である。小動物侵入防止用プレート1は、対象となる小動物の歯の咬む力や首の力など、破壊されることのない必要な強度を満たす厚さのある金属製であることが好ましい。より具体的に、錆びにくい素材として、かつ同時に紫外線に強いという性質も考慮して、ステンレスを選択することができる。ただし、ステンレスであっても厚さが0.6ミリ未満の場合には、ネズミが簡単に曲げてしまうので、厚さが0.6ミリ以上であることが好ましい。同様に、アルミニウムであっても、厚さが1ミリ未満の場合には、ネズミに曲げられてしまう。よって、金属製で、かつ曲げられない強度を有する材料ということになり、ハクビシンやイノシシとなれば、もっと厚い必要性が生じ得る。また、小動物侵入防止用プレート1は、
図1に示すように、基準寸法に基づいて2次元的に規則正しく配置された複数個の穿孔部10を有する。小動物侵入防止用プレート1は、縦幅が約100mmで、横幅は5種類のサイズになっている。
【0021】
なお、穿孔部10の形状は、平面視で、
図1に示す例では円形であるが、本実施形態においては、特に制限的ではなく、例えば、長方形、ひし形、又は平行四辺形等の他の四角形、正三角形、2等辺三角形、又は直角三角形等の三角形、正五角形、又は正六角形等の正多角形を含む多角形、楕円形等であっても良いし、不定形であっても良い。
【0022】
小動物侵入防止用プレート1は、第1面11(
図3参照)と該第1面11の反対の側の第2面12とを有する。穿孔部10は、前記第1面11及び前記第2面12の少なくとも一部の領域で前記第1面11から前記第2面12に貫通するようにして形成される。穿孔部10は、隣接する他の穿孔部10に対して千鳥配置される。この千鳥配置は、前記穿孔部10の一つと、これに隣接する二つの穿孔部10がなす角度を略60度に設定することが好ましい。
【0023】
小動物侵入防止用プレート1においては、前記複数の穿孔部10は、略同径(例えば4.5mm)であることが好ましい。
【0024】
小動物侵入防止用プレート1においては、
図1に示すように、上下方向と略垂直をなす方向に沿う第1折り線L1及び第2折り線L2を定義し、前記第1折り線L1で山折りされる凸状頂部13と、前記第2折り線L2で谷折りされる凹状底部14とを備えることが好ましい。なお、
図1では、符号L1,L2,13,14は、横幅が最も小さいサイズの小動物侵入防止用プレート1についてのみ図示しているが、他の小動物侵入防止用プレート1についても同様の構成である。
【0025】
小動物侵入防止用プレート1において、上部に凸状頂部13を設けるとともに、下部に凹状底部14を設けることで、ケーブルの束など、形状が一定しない場合であっても、それぞれのケーブル状況に如何様にも合わせやすく、ケーブル施工が簡単になる。
【0026】
図2は、小動物侵入防止用プレートを用いた配管導入構造の概略断面図である。凸状頂部13及び凹状底部14は、
図2に示すように、ステンレス板を折り返すことによって、ケーブルCに触れる側に丸みを持たせることができ、ケーブルCの損傷を予防することができる。
【0027】
具体的には、線路沿いの位置や高速道路上の施設など、交通機関に関連する制御室や信号所は、車両等の運行により、常時震度3程度の揺れがあるため、小動物侵入防止用プレート1とケーブルとの接触する面において、折り返しで丸みを持たせることで安全が維持される。
【0028】
図3は、小動物侵入防止用プレートを用いた配管導入構造の使用状態の一例を示す正面図である。
図3に示すように、長丸の穿孔部を通過させるケーブルCの太さは、太さの異なるケーブルCを通すこともあり、小動物の侵入を防ぐために、斜めだったり、上下反対だったり、様々の角度に自由に使用できることで、閉鎖の利便性を向上させることができる。
【0029】
図4は、強化繊維入りネジ受け部材2の正面図である。符号2は、防鼠ケーブル導入器をコンクリート面などに取り付けるための部分と四隅のアンカーボルト用の丸穴を示し、符号20は、防鼠プレートを固定するネジを受け止める積層構造の部材の取付部を示し、符号21は、ケーブルを導入する部分を示す。事前の調査段階で既存配管の数量、本数、ボリュームなどを測定し、その太さの種類や量などによって、予め回避し、
図4に示すように、強化繊維入りネジ受け部材2に対して部分的な開口部などを用意して現場ごとの事情に合わせて変更することとする。
【0030】
図5は、小動物侵入防止用プレート1を用いた配管導入構造の使用状態を示す斜視図である。小動物侵入防止用プレート1を重ねても強化繊維入りネジ受け部材2の同一箇所に丸穴の穿孔部があるため、重ねてネジ止めすれば、大量に保管することが可能となる。この際、防鼠プレートを丸穴状の穿孔部10によって、積層構造の木部にねじ込むが、何回でも同一箇所にネジを抜き差ししても、しっかりと受け止め、小動物が小動物侵入防止用プレート1をくわえて引っ張っても、抜けないように止めるための役割を果たす。そのために、防水タイプの合板を3層に使用し、その間の2層にガラスクロスを挟む構造にしてある。ガラスクロスは、大変優れた特性があり、引っ張り強度においてはビアノ線より強い性能を有する。合板は垂直方向に木材を貼り合わせており、36ミリの間、12ミリの位置と24ミリの位置に、弾力性のある接着剤に挟まれてある。よって、何回抜き差ししても、充分に保持する性能が維持される。
【0031】
以上、本発明の小動物侵入防止用プレートを実施形態に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、この実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0032】
小動物侵入防止用プレート1においては、上下方向と略垂直をなす方向に沿う第1折り線L1及び第2折り線L2を定義し、下部に前記第1折り線L1で山折りされる凸状頂部13を備え、上部に前記第2折り線L2で谷折りされる凹状底部14とを備えてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1・・・小動物侵入防止用プレート
10・・・穿孔部
11・・・第1面
12・・・第2面
L1・・・第1折り線
L2・・・第2折り線