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特開2021-99119耐熱ガスケット、自動車の送気系、および耐熱ガスケットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-99119(P2021-99119A)
(43)【公開日】2021年7月1日
(54)【発明の名称】耐熱ガスケット、自動車の送気系、および耐熱ガスケットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/12 20060101AFI20210604BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20210604BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20210604BHJP
   F16L 23/02 20060101ALI20210604BHJP
【FI】
   F16J15/12 H
   F16J15/10 W
   F01N13/08 E
   F16L23/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-230194(P2019-230194)
(22)【出願日】2019年12月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000110804
【氏名又は名称】ニチアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】特許業務法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 正彦
(72)【発明者】
【氏名】安田 学
【テーマコード(参考)】
3G004
3H016
3J040
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004DA11
3G004FA01
3H016AA02
3H016AA05
3H016AB08
3H016AC05
3H016AD05
3H016AD08
3J040AA17
3J040BA04
3J040EA15
3J040EA17
3J040EA45
3J040FA01
3J040FA20
3J040HA01
3J040HA06
3J040HA20
(57)【要約】
【解決課題】簡単な工程で製造可能で均一なシール性を有する耐熱ガスケットを提供する。
【解決手段】 耐熱ガスケットは、円筒形の本体部と、前記本体部の軸方向における両端部に設けられ、端部を折り返して形成した折り返し部と、を備える。前記本体部および前記折り返し部のそれぞれは、円筒形のマイカシート層と、前記マイカシート層の一方の面に設けられる円筒形の第1金属ワイヤメッシュ層と、前記マイカシート層の前記一方の面とは反対側の他方の面に設けられる円筒形の第2金属ワイヤメッシュ層と、を有する。

【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形の本体部と、
前記本体部の軸方向における両端部に設けられ、端部を折り返して形成した折り返し部と、
を備え、
前記本体部および前記折り返し部のそれぞれは、
円筒形のマイカシート層と、
前記マイカシート層の一方の面に設けられる円筒形の第1金属ワイヤメッシュ層と、
前記マイカシート層の前記一方の面とは反対側の他方の面に設けられる円筒形の第2金属ワイヤメッシュ層と、
を有する耐熱ガスケット。
【請求項2】
前記本体部および前記折り返し部のそれぞれは、前記マイカシート層を1層のみ有し、前記第1金属ワイヤメッシュ層を1層のみ有するとともに、第2金属ワイヤメッシュ層を1層のみ有する請求項1に記載の耐熱ガスケット。
【請求項3】
前記本体部および前記折り返し部は、金型によりリング形に圧縮成形された請求項1に記載の耐熱ガスケット。
【請求項4】
第1送気管と、
第2送気管と、
前記第1送気管と前記第2送気管との接続部に介在された請求項1記載の耐熱ガスケットと、
を有する自動車の送気系。
【請求項5】
円筒形のマイカシート層の一方の面に第1金属ワイヤメッシュ層を円筒形に編み上げるとともに、前記一方の面とは反対側の他方の面に第2金属ワイヤメッシュ層を円筒形に編み上げ、
前記マイカシート層、前記第1金属ワイヤメッシュ層、および前記第2金属ワイヤメッシュ層を軸方向に関して所定の長さで切断し、
前記マイカシート層、前記第1金属ワイヤメッシュ層、および前記第2金属ワイヤメッシュ層の前記軸方向の両端部を折り返した折り返し部を形成し、
前記折り返し部が形成された前記マイカシート層、前記第1金属ワイヤメッシュ層、および前記第2金属ワイヤメッシュ層を、金型を用いてリング形に圧縮成形する耐熱ガスケットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の排気管同士を接合する接合部に用いられる耐熱ガスケット、自動車の送気系、および耐熱ガスケットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の排気管の継手部に装着される自動車排気管用耐熱ガスケットが知られている。この自動車排気管用耐熱ガスケットは、以下のような工程で製造される。ステンレスをニット編みした筒状体の内側にマイカシートを挿入し、これを半径方向に押し潰して帯状に成形した後に、渦巻状に巻き回す。このように構成した渦巻状の成形素材を金型で押圧することで、筒状の剛性筒体と一体化されたガスケットが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2562754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この自動車排気管用耐熱ガスケットでは、マイカシートを筒状体の内側に挿入し、帯状に成形した後に、渦巻状に巻き回し、金型によって所定形状に成形する工程を経る必要があり、作業工程が煩雑である。
【0005】
また、渦巻状に巻き回す構成を採用しているため、位置によって巻き数にばらつきを生じることとなり、円周方向のすべての箇所において均一なシール性を確保できない可能性がある。さらに、マイカは、成形性が悪いために、製品の寸法を高精度に出すことが難しいといった問題もある。
従って、本発明の目的は、簡単な工程で製造可能で均一なシール性を有する耐熱ガスケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の耐熱ガスケットは、円筒形の本体部と、
前記本体部の軸方向における両端部に設けられ、端部を折り返して形成した折り返し部と、
を備え、
前記本体部および前記折り返し部のそれぞれは、
円筒形のマイカシート層と、
前記マイカシート層の一方の面に設けられる円筒形の第1金属ワイヤメッシュ層と、
前記マイカシート層の前記一方の面とは反対側の他方の面に設けられる円筒形の第2金属ワイヤメッシュ層と、
を有する。
【0007】
また、本発明(2)の耐熱ガスケットは、(1)記載の耐熱ガスケットであって、記本体部および前記折り返し部のそれぞれは、前記マイカシート層を1層のみ有し、前記第1金属ワイヤメッシュ層を1層のみ有するとともに、第2金属ワイヤメッシュ層を1層のみ有する。
【0008】
また、本発明(3)の耐熱ガスケットは、(1)記載の耐熱ガスケットであって、
前記本体部および前記折り返し部は、金型によりリング形に圧縮成形された。
【0009】
また、本発明(4)の自動車の送気系は、
第1送気管と、
第2送気管と、
前記第1送気管と前記第2送気管との接続部に介在された(1)記載の耐熱ガスケットと、
を有する。
【0010】
また、本発明(5)の耐熱ガスケットの製造方法は、円筒形のマイカシート層の一方の面に第1金属ワイヤメッシュ層を円筒形に編み上げるとともに、前記一方の面とは反対側の他方の面に第2金属ワイヤメッシュ層を円筒形に編み上げ、
前記マイカシート層、前記第1金属ワイヤメッシュ層、および前記第2金属ワイヤメッシュ層を軸方向に関して所定の長さで切断し、
前記マイカシート層、前記第1金属ワイヤメッシュ層、および前記第2金属ワイヤメッシュ層の前記軸方向の両端部を折り返した折り返し部を形成し、
前記折り返し部が形成された前記マイカシート層、前記第1金属ワイヤメッシュ層、および前記第2金属ワイヤメッシュ層を、金型を用いてリング形に圧縮成形する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡単な工程で製造可能で均一なシール性を有する耐熱ガスケットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の自動車の送気系およびそれに設置される耐熱ガスケットを示す模式的な断面図である。
図2図1に示す自動車の送気系のVクランプの正面図である。
図3図1に示す耐熱ガスケットの斜視図である。
図4図3に示す耐熱ガスケットの3層構造を示す模式的な斜視図である。
図5図4に示す製造途中の3層構造の軸方向の両端部を内側に折り返して折り返し部を形成した状態を示す模式的な断面図である。
図6図5に示す折り返し部を形成した構造を金型を用いてリング形に圧縮成形する工程を示した断面図である。
図7図6のようにリング形に圧縮成形された耐熱ガスケットを試験するための試験装置の全体構成を示す正面図である。
図8図7のF8部の耐熱ガスケット試験用の治具を拡大して示す断面図である。
図9図4に示す製造途中の3層構造の軸方向の両端部を外側に折り返して折り返し部を形成した状態を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の耐熱ガスケットは、円筒形の本体部と、
前記本体部の軸方向における両端部に設けられ、端部を折り返して形成した折り返し部と、
を備え、
前記本体部および前記折り返し部のそれぞれは、
円筒形のマイカシート層と、
前記マイカシート層の一方の面に設けられる円筒形の第1金属ワイヤメッシュ層と、
前記マイカシート層の前記一方の面とは反対側の他方の面に設けられる円筒形の第2金属ワイヤメッシュ層と、
を有するものである。
【0014】
また、本発明の耐熱ガスケットの製造方法は、円筒形のマイカシートの一方の面に第1金属ワイヤメッシュ層を円筒形に編み上げるとともに、前記一方の面とは反対側の他方の面に第2金属ワイヤメッシュ層を円筒形に編み上げ、
前記マイカシート、前記第1金属ワイヤメッシュ層、および前記第2金属ワイヤメッシュ層を軸方向に関して所定の長さで切断し、
前記マイカシート、前記第1金属ワイヤメッシュ層、および前記第2金属ワイヤメッシュ層の前記軸方向の両端部を折り返した折り返し部を形成し、
前記折り返し部が形成された前記マイカシート、前記第1金属ワイヤメッシュ層、および前記第2金属ワイヤメッシュ層を、金型を用いてリング形に圧縮成形するものである。
【0015】
マイカ(マイカシート)に代表されるフィラー材は、膨張黒鉛、マイカ、セラミックファイバー、ロックウールのような無機繊維を用いてもよい。或いはマイカ(マイカシート)に代表されるフィラー材は、タルク、マイカ、バーミキュライトおよびセピオライト等の無機粉体を複合的に使用してもよい。特に、マイカを複合的に使用する場合、フロゴパイト(金雲母)は耐熱性が高く好ましい。フィラー材は、これらを単独で用いてもよいし、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0016】
第1金属ワイヤメッシュ層および第2金属ワイヤメッシュ層は、ステンレス鋼、例えば、SUS304、SUS310等で形成された鋼線を、メッシュ状かつ円筒状に編み上げた網体から形成される。
[実施形態]
【0017】
以下、図1から図9を参照して、耐熱ガスケット11およびそれを用いた送気系12の実施形態について説明する。耐熱ガスケット11は、例えば、自動車の送気系12等の高温環境下での送気管同士の接続に用いられ、隣接する送気管同士を気密かつ液密に接続できるものである。本実施形態の耐熱ガスケット11が好適に適用される自動車の送気系12としては、特に、自動車のターボチャージャー部の送気系や自動車の排気系がある。
【0018】
図1に示すように、自動車の送気系12は、円筒形で金属製の第1排気管13と、第1排気管13に対向するとともに円筒形で金属製の第2排気管14と、第1排気管13に設けられ円盤状で金属製の第1フランジ部15と、第2排気管14に設けられ円盤状で金属製の第2フランジ部16と、第1フランジ部15の接合面15Aから環状に窪んで設けられた凹部17と、凹部17内に介在されたリング形の耐熱ガスケット11と、第1フランジ部15と第2フランジ部16とを挟み込んでこれらを接合させる金属製のVクランプ18と、を備える。
【0019】
図1図2に示すように、Vクランプ18は、断面略V字形で、挟み込み式の継手部材である。Vクランプ18は、円弧状をなした第1円弧部18Aと、円弧状をなした第2円弧部18Bと、これらを一体的に固定するボルト21と、を有する。第1円弧部18Aと第2円弧部18Bによって、第1フランジ部15および第2フランジ部16を取り囲む1個の円周を構成する。第2円弧部18Bは、ボルト21等のねじによって第1円弧部18Aと一体になるように固定される。Vクランプ18は、内側の凹部17に第1フランジ部15と第2フランジ部16とを挟み込んでこれらを一体的に接合できる。Vクランプ18は、ボルト21の締結トルクを調整することで、第1フランジ部15と第2フランジ部16との接合強度を調整できる。
【0020】
図3に示すように、耐熱ガスケット11は、主要な構成材料としてのマイカと、マイカを取り囲むメッシュ状のステンレス鋼線によって、リング形に形成されている。耐熱ガスケット11は、第1排気管13と第2排気管14との接続部(第1フランジ部15、第2フランジ部16)に介在されている。マイカは、耐熱性、耐水性、および気密性を有する。耐熱ガスケット11は、第1金属ワイヤメッシュ層22と、第2金属ワイヤメッシュ層23と、によって外周が取り囲まれている。図5に、圧縮成形する前の3層の構造26を示す。3層の構造26は、円筒形の本体部27と、本体部27の軸方向の両端部に設けられた円筒形の折り返し部28と、を有する。耐熱ガスケット11のこのような本体部27および折り返し部28を有する3層の構造26は、後述するように、金型25によってリング形に圧縮成形された後であっても変化することがない。
【0021】
すなわち、耐熱ガスケット11の3層の構造26(本体部27、折り返し部28)は、円筒形をなしたマイカシート層24と、マイカシート層24の一方の面(内側)に配置された円筒形の第1金属ワイヤメッシュ層22と、マイカシート層24の一方の面とは反対側の他方の面(外側)に配置された円筒形の第2金属ワイヤメッシュ層23と、を有する。本体部27および折り返し部28のそれぞれは、マイカシート層24を1層のみ有し、第1金属ワイヤメッシュ層22を1層のみ有するとともに、第2金属ワイヤメッシュ層23を1層のみ有する。第1金属ワイヤメッシュ層22および第2金属ワイヤメッシュ層23は、例えば線径0.03〜2.0mmの鋼線を、より好ましくは、線径0.03〜0.5mmの鋼線を円筒形かつメッシュ状に編み上げることで形成される。マイカシート層24は、商業的に入手可能な一般的なマイカシートを用いることができる。
【0022】
図4から図6を参照して、耐熱ガスケット11の製造方法について説明する。耐熱ガスケット11の製造工程では、まず、接着剤等を用いて方形シート状のマイカシート層24の端部同士を接着して円筒形にする。この円筒形のマイカシート層24に対して、編み機によって、マイカシート層24の内側に第1金属ワイヤメッシュ層22を編み上げ、マイカシート層24の外側に第2金属ワイヤメッシュ層23を編み上げる。したがって、マイカシート層24は、内側と外側から金属ワイヤメッシュによって挟み込まれる。
【0023】
このように円筒形で第1金属ワイヤメッシュ層22/マイカシート層24/第2金属ワイヤメッシュ層23の3層を有する構造を、製品毎の指定サイズに切断する。切断後の構造26を図4に示す。
【0024】
このように指定サイズに切断された3層の構造26を、その軸方向の両端部をプレス機械等を用いて内側に折り返す。これによって、図5に示すように、3層の構造26を、円筒形の本体部27と、本体部27の軸方向の両端部に設けられた円筒形の折り返し部28と、を有する形態にする。これによって、次に述べる圧縮成形時および圧縮成型後において、軸方向の両端部に位置する金属ワイヤメッシュの先端が、製品の表面に露出してしまうことが防止される。
【0025】
なお、折り返し部28の折り返し方向は、内側に限られるものではい。図9に示すように、折り返し部28は、3層の構造26の軸方向の両端部をプレス機械等を用いて外側に折り返して形成されてもよい。
【0026】
この図5に示す折り返し部28を含む3層構造26を、金型によって、その円筒形の軸方向Aに加圧・圧縮してリング形に成形する。これによって、図3に示すリング形の耐熱ガスケットが形成される。このようにして、マイカを主要な構成材料とし、表面が第1金属ワイヤメッシュ層22と第2金属ワイヤメッシュ層23とによって覆われたリング形の耐熱ガスケット11が形成される。
【0027】
続いて、図7図8を参照して、本実施形態の耐熱ガスケット11の試験方法について説明する。
【0028】
本実施形態の耐熱ガスケット11の試験に用いられる試験装置31は、コンプレッサ32(エアタンク)と、コンプレッサ32に接続されたレギュレータ33と、レギュレータ33に接続された圧力計34と、圧力計34に接続されたフローメータ35と、フローメータ35に接続され耐熱ガスケット11を把持するための治具36と、を有する。
【0029】
図8に示すように、治具36は、耐熱ガスケット11が嵌め込まれる溝部37Aを有する基台37と、溝部37Aに嵌め込まれた耐熱ガスケット11を溝部37Aの底部38に向けて押圧可能な押圧台41と、を有する。基台37は、フローメータ35から送られる圧縮空気を耐熱ガスケット11の内側に供給するための供給路42を内部に有する。治具36は、耐熱ガスケット11の試験の際に、基台37と押圧台41との間に耐熱ガスケット11を所定の圧力で挟んで保持できる。
【0030】
図7に示すように、コンプレッサ32から供給された高圧に圧縮された圧縮空気は、レギュレータ33で所定の圧力(例えば、10〜100kPa)まで減圧されたうえで、圧力計34でその圧力を測りつつ、およびフローメータを通って治具36内の耐熱ガスケット11の内側に供給される。このとき、耐熱ガスケット11から漏れ出す空気の流量をフローメータ35を用いて計測し、漏れ出す空気の流量が所定の基準値以下である場合には、当該耐熱ガスケット11を合格品とする。
【0031】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。耐熱ガスケット11は、円筒形の本体部27と、本体部27の軸方向における両端部に設けられ、端部を内側に折り返して形成した折り返し部28と、を備え、本体部27および折り返し部28のそれぞれは、円筒形のマイカシート層24と、マイカシート層24の一方の面に設けられる円筒形の第1金属ワイヤメッシュ層22と、マイカシート層24の前記一方の面とは反対側の他方の面に設けられる円筒形の第2金属ワイヤメッシュ層23と、を有する。
【0032】
耐熱ガスケットの製造方法は、円筒形のマイカシート層24の一方の面に第1金属ワイヤメッシュ層22を円筒形に編み上げるとともに、前記一方の面とは反対側の他方の面に第2金属ワイヤメッシュ層23を円筒形に編み上げ、マイカシート層24、第1金属ワイヤメッシュ層22、および第2金属ワイヤメッシュ層23を軸方向に関して所定の長さで切断し、マイカシート層24、第1金属ワイヤメッシュ層22、および第2金属ワイヤメッシュ層23の前記軸方向の両端部を折り返した折り返し部28を形成し、折り返し部28が形成されたマイカシート層24、第1金属ワイヤメッシュ層22、および第2金属ワイヤメッシュ層23を、金型25を用いてリング形に圧縮成形する。
【0033】
これらの構成によれば、従来技術のように、マイカシート層24およびそれを取り囲む筒状体を渦巻状に巻き回す工程が必要がなく、耐熱ガスケット11の製造工程を簡略化できる。また、渦巻状に巻き回す構成を採用しないために、位置によって巻き数にばらつきを生じることがなく、円周方向のすべての位置で均一なシール性能を確保することができる。また、端部を折り返す折り返し部28が設けられているために、耐熱ガスケット11をリング形に圧縮成型する際又は圧縮成型後に金属ワイヤメッシュが外側に突出してしまう危険性を防止できる。
【0034】
さらに、マイカを用いることで、耐熱性、耐水性、および気密性を発揮できる。また、マイカが第1金属ワイヤメッシュ層22および第2金属ワイヤメッシュ層23で覆われるために、耐熱ガスケット11の成形性も良好である。また、従来技術に比して、耐熱ガスケット11中における金属ワイヤメッシュ層の存在比を低減できるため、第1フランジ部15と第2フランジ部16との間で耐熱ガスケット11を挟んだ際に働く反力を必要以上に大きくならないようにすることができる。これによって、シール性の確保に必要な最小限の圧力を確保しつつ、第1フランジ部15および第2フランジ部16が耐熱ガスケット11の反力で破損してしまうことを防止できる。
【0035】
本体部27および折り返し部28のそれぞれは、マイカシート層24を1層のみ有し、第1金属ワイヤメッシュ層22を1層のみ有するとともに、第2金属ワイヤメッシュ層23を1層のみ有する。この構成によれば、従来技術に比して、耐熱ガスケット11中において、第1金属ワイヤメッシュ層22および第2金属ワイヤメッシュ層23の存在比を低減して、第1フランジ部15と第2フランジ部16との間で耐熱ガスケット11を挟んだ際に働く反力が必要以上に大きくならないようにすることができる。これによって、シール性の確保に必要な圧力を確保しながら、第1フランジ部15および第2フランジ部16が耐熱ガスケット11の反力で破損してしまうことを防止できる。
【0036】
本体部27および折り返し部28は、金型によりリング形に圧縮成形される。この構成によれば、圧縮成形法を用いることで、耐熱ガスケット11を均一な寸法に形成できるとともに、第1フランジ部15と第2フランジ部16との間で挟んだ際に働く反力を均一にすることができる。
【0037】
自動車の送気系12は、第1送気管13と、第2送気管14と、第1送気管13と第2送気管14との接続部に介在された耐熱ガスケット11と、を有する。この構成によれば、耐熱ガスケット11の反力が適正な範囲に維持されるために、耐熱ガスケット11の過剰な反力によって接続部が破損してしまう危険性を低減できる。
【0038】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。また、上記実施形態同士を適宜に組み合わせて発明を実現することも当然にできる。
【符号の説明】
【0039】
11 耐熱ガスケット
12 送気系
13 第1送気管
14 第2送気管
15 第1フランジ部
15A 接合面
16 第2フランジ部
17 凹部
18 Vクランプ
18A 第1円弧部
18B 第2円弧部
21 ボルト
22 第1金属ワイヤメッシュ層
23 第2金属ワイヤメッシュ層
24 マイカシート層
25 金型
26 構造
27 本体部
28 折り返し部
31 試験装置
32 コンプレッサ
33 レギュレータ
34 圧力計
35 フローメータ
36 治具
37 基台
37A 溝部
38 底部
41 押圧台
42 供給路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9