【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。
(A)成分であるベントナイト、またはスメクタイトに属する鉱物は、粉体として固形コンディショナー組成物に配合される。ベントナイトはモンモリロナイトを主成分として、石英、α−クリストバライト、オパールなどの珪酸鉱物を副成分として含み、長石、マイカ、ゼオライトなどの珪酸塩鉱物、カルサイト、ドロマイト、ジプサムなどの炭酸塩鉱物や硫酸塩鉱物、さらにパイライトなどの硫化鉱物を随伴する粘土岩の名称である。また、スメクタイトはモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどの粘土鉱物のグループの名称である。
ベントナイト、またはスメクタイトに属する鉱物は、工業用途として遮水効果・増粘効果があり、土壌汚染・水質汚染対策・環境修復、災害対策等に幅広く使用されている。一方で、衣類の柔軟効果も知られており、粉末衣料用洗剤に添加して柔軟効果を訴求した製品も知られている。
しかしながら、柔軟効果を求めるヘアコンディショナーは一般的に液体で、これら成分を多量に配合すると増粘して品質に問題が生じる場合もある。一方で、固形コンディショナーの場合、高級アルコール、4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤、油脂類等を高温で溶かし、乳化しながら固形化するが、湿度や温度の影響で溶け崩れが発生する場合もある。そこで、(A)成分であるベントナイト、またはスメクタイトに属する鉱物を加える事で溶け崩れが大幅に改善する。さらに、塗布時からすすぎ時までの毛髪の柔軟効果も向上する。
ベントナイトにおいては、主成分のモンモリロナイトが上記効果を発現するため、副成分をできるだけ除去したものが望ましい。また、スメクタイトにおいては、モンモリロナイト、ヘクトライトが望ましい。
【実施例】
【0016】
本発明の効果に関して、以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。なお、以下の記載における処方中の配合量は、特に断りのない限り全量に対する重量%である。また、以下の実施例および比較例における本発明の固形コンディショナー組成物の評価方法は、以下のとおりである。
【0017】
表1、2に示す固形コンディショナー組成物を下記製造手順に従って調整した。
(製造手順)
(1) 表1、2に示す、すべての成分を約90℃に加熱し均一に混合する。
(2) 直径5cm、高さ50cmの円筒の筒で底面を蓋をしたものに混合液を流し込み放冷する。
(3) 室温まで低下し、固化したら筒から押し出し、幅3cmで切り分け下記の評価を実施した。
なお、表1、2に示す固形コンディショナー組成物は、すべて室温で固形となった。
【0018】
(性能評価)
性能評価は8名の女性専門パネラーが、実施例及び比較例の固形コンディショナー組成物を5回使用し、5段階で判定した。その平均を結果として示した。
(塗布のしやすさ)
伸びが悪く塗布ができない:1点、伸びが悪くほとんど塗布ができない:2点、普通に塗布ができる:3点、伸びが良く塗布しやすい:4点、非常に伸びが良くとても塗布しやすい:5点
なお、塗布できない例に関しては以下の性能評価を中止した。
(塗布後の髪の柔らかさ)
塗布前より悪くなった:1点、塗布前よりやや悪くなった:2点、塗布前と変わらない:3点、塗布前よりやや柔らかくなった:4点、塗布前より柔らかくなった:5点
(すすぎ時の髪の柔らかさ)
塗布前より悪くなった:1点、塗布前よりやや悪くなった:2点、塗布前と変わらない:3点、塗布前よりやや柔らかくなった:4点、塗布前より柔らかくなった:5点
(乾燥後の髪の柔らかさ)
使用前より悪くなった:1点、使用前よりやや悪くなった:2点、使用前と変わらない:3点、使用前よりやや柔らかくなった:4点、使用前より柔らかくなった:5点
【0019】
(品質評価)
浴室内保管条件を想定し、高湿下での溶け崩れを確認した。
保管条件:25℃、湿度80%、24時間放置して表面の溶け崩れを確認した。
×:半分以上溶け崩れた、△:表面に溶け崩れを生じた、〇:表面が柔らかくなるが溶け崩れは無い
使用時の条件を想定し、高温・高湿下での溶け崩れを確認した。
なお、使用時に全く溶け崩れないと塗布できないので全く溶け崩れ無いものも×とした。
保管条件:40℃、湿度80%、1時間放置して表面の溶け崩れを確認した
×:ペースト状に溶け崩れた、または全く溶け崩れ無かった、△:半分以上溶け崩れた、〇:表面に溶け崩れを生じた
(溶け崩れ回復性)
繰り返しの使用に耐えられるかを確認した。
保管条件:40℃、湿度80%、1時間放置後、25℃、湿度80%、24時間放置を3回繰り返し、溶け崩れを確認した。
×:ペースト状に溶け崩れた、△:半分以上溶け崩れた、〇:表面が柔らかくなるが溶け崩れは無い
【0020】
実施例
【表1】
【0021】
ベントナイト クニミネ工業社製 モイストナイト(登録商標)S
ヘクトライト クニミネ工業社製 スメクトン(登録商標)SWN
ベヘントリモニウムメトサルフェート クローダジャパン社製 インクロクアット(登録商標) ベヘニル TMS
(組成:ベヘントリモニウムメトサルフェート 30%重量、ステアリルアルコール 35重量%、セタノール 35重量%)
ステアリルアルコール 花王社製 カルコール(登録商標)8098
セタノール 花王社製 カルコール6098
ベヘントリモニウムクロリド 日光ケミカルズ社製 NIKKOL(登録商標) CA−2580
(組成:ベヘントリモニウムクロリド 80重量%、エタノール 20重量%)
オリーブ油 日光ケミカルズ社製 NIKKOL オリーブ油
【0022】
比較例
【表2】
【0023】
評価の結果
本発明の固形コンディショナー組成物の範囲内で調製された実施例1〜8は、伸びが良く塗布しやすく、塗布後、すすぎ時、乾燥後の毛髪を柔らかくして、溶け崩れの無い、性能と品質の評価において優れていた。一方で(A)成分が未配合となる比較例1では、塗布後とすすぎ時の髪の柔らかさが劣り、浴室内保管条件を想定した溶け崩れと、溶け崩れ回復性の評価が劣っていた。高級アルコールの融点が40℃未満となる比較例2では、溶け崩れと、溶け崩れ回復性の評価が劣っていた。(C)成分が範囲未満となる比較例3では、髪の柔らかさが劣っていた。(A)成分が範囲を超える比較例4では、使用時に全く溶け崩れなく、塗布できなかった。(C)成分が範囲を超える比較例5では、溶け崩れと、溶け崩れ回復性の評価が劣っていた。また、水分量が範囲を超える比較例6では、溶け崩れと、溶け崩れ回復性の評価が劣っていた。