【解決手段】式(1)で表されるアミド(A)単位、ポリオキシエチレングリコール(B)単位及びジイソシアネート(C)単位を構成単位としてなるグリコールオリゴマー(ABC);並びに/又は式(1)で表されるアミド(A)単位及びジイソシアネート(C)単位を構成単位としてなるグリコールオリゴマー(AC)を含むことを特徴とする増粘剤を用いる。
Rは炭素数7〜21のアルキル基、アルケニル基又はアリール基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、Cは炭素原子、Oは酸素原子、Nは窒素原子、Hは水素原子、aは1〜50の整数を表す。
グリコールオリゴマー(ABC)において、アミド(A)単位2モル部に対して、ポリオキシエチレングリコール(B)単位が1〜6モル部であり、ジイソシアネート(C)単位がアミド(A)単位及びポリオキシエチレングリコール(B)単位の合計モル部より1モル部少ないモル部であって、
グリコールオリゴマー(AC)において、ジイソシアネート(C)単位がアミド(A)単位のモル部より1モル部少ないモル部である請求項1に記載の増粘剤。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<式(1)で表されるアミド(A)>
炭素数7〜21のアルキル基、アルケニル基又はアリール基(R)としては、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−ウンデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−へプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシル、n−ヘンイコシル、2−エチルヘキシル、2,2,4−トリメチルペンチル、2,2,4−トリメチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、2−メチルドデシル、2−メチルノニル、8−メチルノニル、2−メチルデシル、2−メチルウンデシル、2−メチルトリデシル、7−エチル−2−メチルウンデカン−4−イル、2−メチルペンタデシル、2−ヘキシルデシル、2−メチルヘプタデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシルウンデシル、2−(4−メチルヘキシル)−8−メチルデシル、2−(1,3,3−トリメチルブチル)−5,7,7−トリメチルオクチル、オクタン−2−イル、ノナン−3−イル、デカン−2−イル、デカン−3−イル、ウンデカン−2−イル、ウンデカン−5−イル、トリデカン−2−イル、テトラデカン−7−イル、ヘプタデカン−9−イル、8−ペンタデセニル、8−ヘプタデセニル、10−ヘプタデセニル、8−ノナデセニル、12−ヘンイコセニル、8,11−ヘプタデカジエン−1−イル、10,13−ノナデカジエン−1−イル、12,15−エイコサジエン−1−イル、8,11,14−ヘキサデカトリエン−1−イル、5,8,11−ヘプタデカトリエン−1−イル、4,8,11−ヘキサデカトリエン−1−イル及びノニルフェニル等が挙げられる。これらのうち、増粘性の観点から、アルキル基及びアルケニル基が好ましい。
【0014】
炭素数2〜4のオキシアルキレン基(AO)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレンが含まれる。これらのうち、増粘性の観点から、オキシエチレンを主体的(オキシアルキレン基の全個数に対して少なくとも80個数%、さらに好ましくは少なくとも90個数%)に含むことが好ましく、さらに好ましくはオキシエチレンである。
【0015】
オキシアルキレン基(AO)に複数種類のオキシアルキレンを含む場合、結合形式に制限はなく、ブロック状、ランダム状及びこれらの組み合わせのいずれでもよいが、増粘性の観点からブロック状を含むことが好ましい。
【0016】
aは、1〜50の整数が好ましく、さらに好ましくは2〜40、特に好ましくは5〜25である。この範囲であると、増粘性がさらに良好となる。
【0017】
式(1)で表されるアミド(A)は公知の有機化学合成法により得られる他に、市場からも入手でき、たとえば、プロファンエキストラ24(ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、三洋化成工業株式会社、「プロファン」は同社の登録商標である。)プロファンAA−62EX(ラウリン酸ジエタノールアミド、三洋化成工業株式会社)、スタホームDL(ラウリン酸ジエタノールアミド、日油株式会社、「スタホーム」は同社の登録商標である。)、ブラウノンO−15(ポリオキシエチレンオレイルアミド、青木油脂工業株式会社、「ブラウノン」は同社の登録商標である。)及びブラウノンSD−50(ポリオキシエチレンステアリルアミド、青木油脂工業株式会社)等が挙げられる。
【0018】
アミド(A)には、合成の都合上(アミドとアルキレンオキシドとの付加反応)、通常、式(1)で表される化合物(ビス体)の他に、R−CONH (AO)
a−OHで表される化合物(モノ体)が含まれる場合がある。これらを精製してビス体をアミド(A)として用いてもよいが精製費用の観点等からモノ体及びビス体の混合のまま用いてもよい(この場合、モノ体を不純物として使用量を算出する)。
【0019】
アミド(A)として、モノ体及びビス体の混合のまま用いる場合、混合物のモノ体及びビス体の含有モル比率は、以下のようにして算出できる。アミド(A)の原料組成(アミド及びアルキレンオキシドの種類及び量)から、100%モノ体が生成した場合の理論分子量(100%ビス体が生成した場合と一致する)を算出し、モノ体の理論水酸基価(OHVM=56110/理論分子量)と、ビス体の理論水酸基価(OHVB=56110×2/理論分子量)をそれぞれ算出して、次式からモノ体及びビス体の含有モル比率が算出する(mはモノ体の含有モル比率であり、ビス体の含有モル比率は(1−m)である)。
「混合物の実測水酸基価(OHVr)」=(OHVM)×m+(OHVB)×(1−m)
書き換えると、m={(OHVM)−(OHVr)}/{(OHVM)−(OHVB)}
なお、モノ体及びビス体の含有モル比率は核磁気共鳴分光法等の機器分析等によっても得ることができる。
【0020】
アミド(A)として、モノ体及びビス体の混合のまま用いる場合、ビス体の含有モル比率は、0.46〜0.99が好ましく、さらに好ましくは0.5〜0.95、特に好ましくは0.7〜0.9である。また、モノ体の含有モル比率は、0.01〜0.54が好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.5、特に好ましくは0.1〜0.3である。これらの範囲であると、増粘性がさらに良好となる。
【0021】
<ポリオキシエチレングリコール(B)>
ポリオキシエチレングリコール(B)の数平均分子量(Mn)としては、600〜20000が好ましく、さらに好ましくは1000〜10000、特に好ましくは3000〜8000である。数平均分子量は水酸基価(JIS K1557−1:2007)から求めることができる。
【0022】
ポリオキシエチレングリコール(B)は公知の有機化学合成法により得られる他に、市場からも入手でき、たとえば、PEG−600(ポリオキシエチレングリコール、数平均分子量600、三洋化成工業株式会社)、PEG−1000(ポリオキシエチレングリコール、数平均分子量10000、三洋化成工業株式会社)、PEG−2000(ポリオキシエチレングリコール、数平均分子量2000、三洋化成工業株式会社)、PEG−4000N(ポリオキシエチレングリコール、数平均分子量3100、三洋化成工業株式会社)、PEG−6000P(ポリオキシエチレングリコール、平均分子量8600、三洋化成工業株式会社)、PEG−10000(ポリオキシエチレングリコール、数平均分子量11000、三洋化成工業株式会社)及びPEG−20000(ポリオキシエチレングリコール、数平均分子量20000、三洋化成工業株式会社)等が挙げられる。
【0023】
ポリオキシエチレングリコール(B)として、他のアルキレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体(たとえば、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマー及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドランダムポリマー等)も使用できる。この場合、エチレンオキシド単位は、他のアルキレンオキシド単位及びエチレンオキシド単位に基づいて少なくとも90モル%であることが好ましい。また、数平均分子量も上記の範囲であることが好ましい。
【0024】
<ジイソシアネート(C)>
ジイソシアネート(C)としては、炭素数6〜16のアルキレンジイソシアネート及び炭素数6〜16のアリーレンジイソシアネートが含まれる。
【0025】
炭素数6〜16のアルキレンジイソシアネートとしては、ブチレンジイソシネート、ペンチレンジイソシアネート、ヘキシレンジイソシアネート、へプチレンジイソシアネート、オクチレンジイソシアネート、ノニレンジイソシアネート、デシレンジイソシアネート、ウンデシレンジイソシアネート、ドデシレンジイソシアネート、トリデシレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−シクロへキシレンジメチレンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンチレンジイソシアネート、3−メトキシヘキシレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンチレンジイソシアネート、3−ブトキシヘキシレンジイソシアネート、3,5,5−トリメチル−3−メチレン−1,3−シクロへキシレンジイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)及び4,4’−メチレンビスシクロへキシレンジイソシアネート(4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;水添MDI)等が挙げられる。
【0026】
炭素数6〜16のアリーレンジイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジメチレンジイソシアネート(m−キシリレンジイソシアネート)、フェニレンジイソシアネート、メチル−1,3−フェニレンジイソシアネート(m−トリレンジイソシアネート)、エチル−1,3−フェニレンジイソシアネート、イソプロピル−1,3−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタリレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート及び4,4’−メチレンビスフェニレンジイソシアネート(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート;MDI)等が挙げられる。これらのうち、増粘性の観点から、炭素数8〜10のアルキレンジイソシアネート及びアリーレンジイソシアネートが好ましい。
【0027】
グリコールオリゴマー(ABC)において、アミド(A)単位2モル部に対して、ポリオキシエチレングリコール(B)単位は1〜6モル部が好ましく、さらに好ましく1〜4モル部、特に好ましくは1〜3モル部である。この範囲であると、増粘性がさらに良好となる。
【0028】
グリコールオリゴマー(ABC)において、ジイソシアネート(C)単位がアミド(A)単位及びポリオキシエチレングリコール(B)単位の合計モル部より1モル部少ないモル部であることが好ましい。また、グリコールオリゴマー(AC)において、ジイソシアネート(C)単位がアミド(A)単位のモル部より1モル部少ないモル部であることが好ましい。
【0029】
グリコールオリゴマー(ABC)及びグリコールオリゴマー(AC)は、公知のウレタン化反応を用いて合成することができる。公知のウレタン化反応としては、グリコールオリゴマー(ABC)において、アミド(A)、ポリオキシエチレングリコール(B)及びジイソシアネート(C)を反応させる方法;グリコールオリゴマー(AC)において、アミド(A)及びジイソシアネート(C)を反応させる方法等が挙げられる。グリコールオリゴマー(ABC)において、一括仕込みによる合成方法でもよく、またポリオキシエチレングリコール(B)とジイソシアネート(C)とを反応させて反応体を得た後、この反応体とアミド(A)とを反応させる合成方法、あるいはアミド(A)とジイソシアネート(C)とを反応させて反応体を得た後、この反応体とポリオキシエチレングリコール(B)とを反応させる合成方法でもよい。反応により一部副生成物ができる場合があるが、副生成物との混合物で使用できる。
【0030】
上記のようなウレタン化反応の場合、反応温度は、40〜130℃が好ましく、さらに好ましくは70〜100℃である。
【0031】
上記のようなウレタン化反応の場合、反応溶媒が使用できる。
反応溶媒としては、活性水素原子を含有しない溶媒であれば制限なく、芳香族溶剤(トルエン及びキシレン等)、脂肪族溶剤(石油エーテル及びn−ヘキサン等)、脂環式溶剤(シクロヘキサン、シクロヘキサノン及びデカリン等)、ハロゲン溶剤(クロロホルム、四塩化炭素、エチレンジクロライド及びクロルベンゼン等)、エステル溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル及び酢酸ペンチル等)、ケトン溶剤(メチルエチルケトン、ジエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)等が使用できる。
【0032】
上記のような反応させる場合、反応触媒が使用できる。反応触媒としては、ウレタン化反応に用いられる反応触媒であれば制限なく、アミン(トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘプタメチルジエチレントリアミン、N−メチルモルホリン及びベンジルトリエチルアンモニウムハイドロオキシド等)、金属化合物(塩化第1スズ、塩化第2スズ、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、ジブチルチンジラウレート、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、チタン酸テトラ-n-ブチル、ナフテン酸カリウム及び三塩化アンチモン等)等が使用できる。反応触媒を使用する場合、反応触媒の使用量は、アミド(A)、ポリオキシエチレングリコール(B)及びジイソシアネート(C)の合計量又はアミド(A)及びジイソシアネート(C)の合計重量に基づいて、0.001〜1重量%程度である。反応触媒は反応初期に加えることが好ましいが、反応初期及び/又は反応途中に分割して添加してもよい。
【0033】
本発明の増粘剤には、グリコールオリゴマー(ABC)及び/又はグリコールオリゴマー(AC)以外に、添加剤(高分子型粘弾性調整剤、消泡剤、湿潤剤、分散剤及び/又は造膜調整剤等)及び/又は溶剤を含有させることができる。
【0034】
高分子型粘弾性調整剤としてはSNシックナー617及び同618(サンノプコ株式会社)等、消泡剤としてはSNデフォーマー399、同1311及び同1315(サンノプコ株式会社)等、湿潤剤としてはSNウエット125、同126、同366、同980及び同984(サンノプコ株式会社)等、分散剤としてはSNディスパーサント5040、同9228及びカラースパース188A(サンノプコ株式会社)等、造膜調整剤としてはテキサノール(イーストマンケミカル社、「テキサノール」は吉村油化学株式会社の登録商標である。)等が挙げられる。溶剤としては水、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル及びポリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0035】
本発明の水系樹脂エマルション組成物において、上記の増粘剤の含有量(重量%)は、水系樹脂エマルションの重量に基づいて、0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.05〜5である。この範囲であると、さらに優れた増粘性を発揮する。
【0036】
水系樹脂エマルションとしては、アクリル樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルション、アクリルスチレン樹脂エマルション、シリコーン樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、SBラテックス、SBRラテックス、ABSラテックス、NBRラテックス及びCRラテックス等が挙げられる。これらのうち、エポキシ樹脂エマルションが好ましい。
【0037】
本発明の水系塗料組成物において、上記の増粘剤の含有量(重量%)は、水系塗料の重量に基づいて、0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.05〜5である。この範囲であると、さらに優れた増粘性を発揮する。
【0038】
水系塗料としては、水系樹脂エマルション、顔料、水及び添加剤等を含有することが好ましい。
【0039】
水系樹脂エマルションとしては、アクリル樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルション、アクリルスチレン樹脂エマルション、シリコーン樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション及びフッ素樹脂エマルション等が挙げられる。これらのうち、エポキシ樹脂エマルションが好ましい。
【0040】
顔料としては、無機顔料(炭酸カルシウム、酸化チタン、サチンホワイト、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、石膏、シリカ及びフェライト等)及び有機顔料(ポリスチレンピグメント等)が挙げられる。添加剤としては、消泡剤、分散剤、レベリング剤、湿潤剤及び粘弾性調整剤等が挙げられる。
【0041】
本発明の水系樹脂エマルション組成物又は水系塗料組成物は、水系樹脂エマルション又は水系塗料と上記の増粘剤とを混合してもよく、溶剤(上記と同じでもの等)で上記の増粘剤を希釈してからこの希釈液と水系樹脂エマルション又は水系塗料とを混合してもよい。
【0042】
水系塗料と上記の増粘剤を混合する場合、グラインディングステージ(混練工程)で添加してもよく、レットダウンステージ(調整工程)で添加してもよい。
【0043】
本発明の増粘剤は、水系樹脂エマルションや水系塗料以外も適用でき、工業用洗浄剤、工業用研磨剤、化粧品及び農薬等にも好適である。
【実施例】
【0044】
以下、特記しない限り、部又は%は重量部又は重量%を意味する。
<実施例1>
アミド(a1;ドコセン酸アミド(エルカ酸アミド)1モルとエチレンオキシド10モルとを反応させて得たドコセン酸アミドエチレンオキシド10モル付加体、水酸基価123mgKOH/g、ビス体の含有モル比率:0.7)1553部(2モル部)及びポリオキシエチレングリコール(b1;ポリオキシエチレングリコール、PEG−6000P、数平均分子量8600、三洋化成工業株式会社)8600部(1モル部)を均一混合し、減圧下(5Torrゲージ圧)90℃で脱水し、混合物の水分量(カールフィッシャー法)を0.02%とした。次いで70℃に冷却した後、ジイソシアネート(c1;m−キシレンジイソシアネート、東京化成工業株式会社)376部(2モル部)及びチタン酸テトラ−n−ブチル5部を加えて、窒素気流下80〜85℃で6時間反応させて、本発明の増粘剤1を得た。
【0045】
<実施例2>
「アミド(a1)1553部(2モル部)」を「アミド(a2;オクタデセン酸アミドにエチレンオキシド50モル付加させて得たオクタデセン酸アミドエチレンオキシド50モル付加体、水酸基価43mgKOH/g、ビス体の含有モル比率:0.9)4965部(2モル部)」に変更したこと、「ポリオキシエチレングリコール(b1)8600部(1モル部)」を「ポリオキシエチレングリコール(b2;ポリオキシエチレングリコール、PEG−4000N、数平均分子量3100、三洋化成工業株式会社)9300部(3モル部)」に変更したこと及び「ジイソシアネート(c1)376部(2モル部)」を「ジイソシアネート(c1)752部(4モル部)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の増粘剤2を得た。
【0046】
<実施例3>
「アミド(a1)1553部(2モル部)」を「アミド(a3;ブラウノン SD−50(オクタデカン酸アミドエチレンオキシド50モル付加体、水酸基価45mgKOH/g、ビス体の含有モル比率:1)4967部(2モル部)」に変更したこと及び「ジイソシアネート(c1)376部(2モル部)」を「ジイソシアネート(c2;ヘキメチレンジイソシアネート、東京化成工業株式会社)336部(2モル部)」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の増粘剤3を得た。
【0047】
<実施例4>
アミド(a1)1553部(2モル部)を減圧下(5Torrゲージ圧)90℃で脱水し、混合物の水分量(カールフィッシャー法)を0.02%とした。次いで70℃に冷却した後、ジイソシアネート(c1)188部(1モル部)及びチタン酸テトラ−n−ブチル5部を加えて、窒素気流下80〜85℃で6時間反応させて、本発明の増粘剤4を得た。
【0048】
<実施例5>
アミド(a3)4967部(2モル部)を減圧下(5Torrゲージ圧)90℃で脱水し、混合物の水分量(カールフィッシャー法)を0.02%とした。次いで70℃に冷却した後、ジイソシアネート(c1)188部(1モル部)及びチタン酸テトラ−n−ブチル5部を加えて、窒素気流下80〜85℃で6時間反応させて、本発明の増粘剤5を得た。
【0049】
<比較例>
特許文献1(特開2000−239649号公報)の実施例1の記載に基づいて、2−エチルヘキサノール11.8部(2モル部)、ポリエチレングリコール(分子量6000)272.4部(1モル部)及びトリレンジイソシアネート15.8部(2モル部)を反応させて、比較用の増粘剤H1を得た。
【0050】
本発明の増粘剤1〜5及び比較用の増粘剤H1のそれぞれ30部を、水40部及びトリエチレングリコールモノブチルエーテル30部で希釈して、それぞれ、評価試料を調製して、増粘性を評価した。
【0051】
<評価1>
水系エポキシ樹脂エマルション(jERW1155R55、三菱ケミカル株式会社、濃度55%、「jER」は三菱ケミカル株式会社の登録商標である。)80部、ブチルセロソルブ(三協化学株式会社)20部、消泡剤(SNデフォーマー399、サンノプコ株式会社)0.1部及び評価試料3部を均一混合し、25℃で1時間静置させた後、TVB15粘度計(東機産業株式会社、25℃、60rpm)で粘度を測定し、下表に示した。また、測定試料を混合しなかったこと以外上記と同様にしてブランクの粘度を測定し、下表に示した。
【0052】
【表1】
【0053】
<評価2>
表2に示した組成及び使用量でグラインディング工程及びレットダウン工程を経て水系ベース塗料を調製し、この水系ベース塗料1000部と消泡剤(SNデフォーマー399、サンノプコ株式会社)0.1部及び評価試料3部とを均一混合し、25℃で1時間静置させた後、TVB15粘度計(東機産業株式会社、25℃、60rpm)で粘度を測定し、下表に示した。また、測定試料を混合しなかったこと以外上記と同様にしてブランクの粘度を測定し、表3に示した。
【0054】
【表2】
【0055】
※1 増粘剤、サンノプコ株式会社
※2 湿潤剤、サンノプコ株式会社
※3 分散剤、サンノプコ株式会社
※4 ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ザ ダウ ケミカルコンパニー、「ダワノール」は同社の登録商標である。
※5 タルク、日本タルク株式会社
※6 酸化チタン、石原産業株式会社、「タイペーク」は同社の登録商標である。
※7 リン酸亜鉛、東邦顔料工業株式会社、「エキスパート」は同社の登録商標である。
※8 水系エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社、濃度55%
【0056】
【表3】
【0057】
以上の通り、水系樹脂エマルションや水系塗料に本発明の増粘剤を適用すると、比較用の増粘剤に比べて、優れた増粘性を発揮した。