【解決手段】本発明の医療用ボアスコープシステムは、ハンドルと、ハンドルから延在する管であって、非導電性材料を含み、可視光に対して不透明な管と、管の先端に配置されたチップアセンブリであって、管の先端を通して撮像するように構成されたイメージセンサを備える、チップアセンブリとを備える。
前記チップアセンブリが、さらに、プリント回路基板を備え、前記プリント回路基板は、前記光源から物理的に離れている、請求項2に記載の医療用ボアスコープシステム。
前記内側管部分が、導電性材料を含み、前記シールド管部分が、前記管内の信号との電磁気的干渉を低減するように構成される、請求項8に記載の医療用ボアスコープシステム。
前記イメージセンサから画像データを受信するように構成されたイメージプロセッサを備えるドングルをさらに備え、前記ドングルは、前記ドングルが複数の異なる医療用ボアスコープに結合できるように、前記医療用ボアスコープの前記ハンドルに取り外し可能に結合可能である、請求項1に記載の医療用ボアスコープシステム。
前記非導電性材料が、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、およびセラミック材料のうち少なくとも1つを含む、請求項13に記載の医療用ボアスコープシステム。
前記イメージセンサが、前記管の先端に配置されたチップアセンブリの一部であり、前記チップアセンブリは、光源とレンズとをさらに備える、請求項17に記載の医療用ボアスコープシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、従来の腹腔鏡システムにはいくつかの欠点がある。例えば、腹腔鏡システムは、光を発生させ、ビデオ画像を処理するために、大規模なスタックを必要とする。光は、典型的には、光ファイバケーブルを介して腹腔鏡に送達される、高輝度キセノン光源である。光ファイバケーブルは壊れやすく、医師の邪魔になる。加えて、高輝度光源は、極めて高温になる場合があり、監視が不適切な場合には、患者をやけどさせたり、患者を覆うドレープを発火させたりすることさえあり得る。加えて、光源は、設定ごとによって、または時間の経過と共に、色または強度が変化するため、頻繁なホワイトバランス調整を必要とし得る。さらに、ロッドレンズは壊れやすいため、使用が特定の条件に限られる、および/または高額な修理または交換を必要とする。実際、壊れたロッドレンズ管の修理に焦点を当てた、完成した二次産業が発展している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示される実施形態は、外部光源または大規模なビデオ画像処理機器の必要性を排除する携帯性の高い医療用ボアスコープシステム(例えば、腹腔鏡システム)を医療従事者に提供するように構成されたシステム、方法、および装置を含み得る。好ましい実施形態が最も適するのは医療分野での使用かもしれないが、様々な他の分野が本開示から利益を得られ得ると企図される。例えば、本明細書で開示される様々な実施形態は、航空機エンジン、他のエンジンおよび/またはタービンの検査および/またはメンテナンス、建物検査、タンク検査、監視、科学捜査などの工業用途を有し得る。多くの医療用途のような、多くのこのような用途は、雑然とし得る領域の視覚的検査、および/または遠隔アクセス点を含むため、本明細書で開示される携帯性および/または使い捨てという特徴は、医療および医療以外の両方の性質の様々な分野および用途に関連して特に有用であり得る。
【0007】
本明細書で開示される一部の実施形態は、使い捨て、または単回使用もしくは使用回数に制限のある使用(例えば、10回の使用)に適する、腹腔鏡本体を提供し得る。一部のこのような実施形態では、システムは、使い捨てを強制するように構成され得る。例えば、一部の実施形態は、例えば、動作期間および/またはボアスコープがオンにされた回数などの使用データを追跡するように構成され得る。一部のこのような実施形態では、システムは、動作パラメータまたは閾値が超過されたと判定したことに応じて、ボアスコープの動作パラメータおよび/または制御パラメータを無効にする、または変更するように構成され得る。
【0008】
一部の実施形態では、ドングルが、例えば型式識別データまたは較正データなどのボアスコープに格納され得る特定のデータについてボアスコープに照会するために使用され得る。次いで、ドングルは、ボアスコープから受信したデータに基づいて、特定の動作パラメータまたは制御パラメータを変更するように構成され得る。例えば、ドングルは、ボアスコープから受信したデータを使用して、ボアスコープによって生成された画像の表示特性を調整するように使用されて、臨床医が、レンズの差および/または異なるボアスコープから受信され得るLED出力の差にかかわらず、同じまたは同様の品質の画像を見ることができるようにし得る。このようにして、単一のドングルを様々な異なるボアスコープと共に使用することもできる。
【0009】
一部の実施形態では、ドングルおよび/またはボアスコープは、追加的または代替的に、例えば、航空業界の文脈における「ブラックボックス」の使用と同様に、政府機関にデータを提供するために使用され得る使用データを取得および格納するように構成されてもよい。ボアスコープの先端または他の場所に1つ以上のセンサを配置してもよい。そのようなセンサは、医療処置の特定の態様を再現するために使用され得る温度、圧力、速度、画像、向きなどの様々なデータを受信するために使用され得る。例えば、一部の実施形態では、そのようなデータは、医療処置の全体を通じて、または医療処置を通して断続的な点で追跡されてもよい。他の実施形態では、特定のイベント、特に、予期していないイベントが、そのようなデータの収集をトリガできる。
【0010】
一部の実施形態では、ドングルおよび/またはボアスコープにクロックおよび/またはタイマーを設けることができる。このクロック/タイマーは、特定の使用データを日付スタンプと相互に関連付けるために使用できる。このようにして、医療処置の特定の態様を使用データと相互に関連付けて、処置の特定の態様を再現し、それが発生した特定の時間または複数の時間を追跡できるようにし得る。ボアスコープが型式識別データを含む実施形態では、特定のドングルと併用されるどのボアスコープが特定の使用データセットに関連付けられているかを判定できるように、このデータを格納して使用データにリンクすることができる。
【0011】
システムはまた、腹腔鏡と通信する携帯画像処理ドングルを含むことができる。ドングルは、ビデオ画像をディスプレイに出力する。ドングルは、非専用ディスプレイを取り付けるため、または汎用コネクタを介して専用ディスプレイを接続するために、例えば、HDMI(登録商標)、USB、またはライトニング(登録商標)コネクタなどの、一般的なディスプレイコネクタを備えることができる。
【0012】
一部の実施形態では、腹腔鏡の本体内に(すなわち、患者の滅菌野に配置される腹腔鏡の部分内に)LEDおよびイメージセンサを配置することによって、腹腔鏡の移動性および/または易廃棄性を実現できる。例えば、一部の実施形態は、第1の管端と第2の管端とを有する医療用ボアスコープ管を備える。第1の管端は、ハンドル本体から遠位にあり得、第2の管端は、ハンドル本体と連絡し得る。第1の管端に光源およびイメージセンサが配置され得る。光源およびイメージセンサには電源が連絡する。データリンクが、イメージセンサをイメージプロセッサに接続し得る。イメージプロセッサは、フレキシブルワイヤを介してハンドル本体に接続されるドングル内に配置され得る。
【0013】
少なくとも1つの代替的な実施形態では、ドングルと通信する代わりに、タブレットまたは携帯電話などのモバイルコンピューティングデバイスを、例えば有線ケーブルおよび/または無線通信リンクなどを介して、ハンドル本体と通信させることができる。このように、モバイルコンピューティングデバイスは、画像データを処理し、処理されたデータを見るためのディスプレイを提供することができる。モバイルコンピューティングデバイスはまた、医療データの共有および画像データの解析に関する追加の一般的な計算機能を提供し得る。
【0014】
追加的な例として、一部の実装形態は、医療用ボアスコープ装置の先端内に配置されたイメージセンサから受信した画像データを処理するための方法を含み得る。本方法は、イメージセンサから受信した画像データを直列化するステップ、または、さもなければ、イメージセンサから画像データを受信および/または処理するステップであって、イメージセンサが医療用ボアスコープ管の第1の端に配置され得る、ステップを含み得る。本方法は、医療用ボアスコープ管を経て医療用ボアスコープ管の第2の端に画像データ(一部の実装形態では、直列化した画像データ)を送信するステップをさらに含み得る。追加的に、本方法は、イメージセンサと通信するドングル内に配置され得るイメージプロセッサにおいて画像データを非直列化するステップ、またはさもなければ処理および/もしくは受信するステップを含むことができる。本方法はまた、画像データから色を補間するステップ、彩度を補正するステップ、フィルタリングしてノイズを除去するステップ、ガンマ符号化するステップ、および/または、イメージプロセッサを使用して画像データをRGBからYUVに変換するステップを含み得る。
【0015】
一部の実施形態では、(例えば、ドングル内の)イメージプロセッサは、ホワイトバランス調整モジュールを備える。ホワイトバランス調整モジュールは、ボアスコープの先端にあるLEDの色スペクトルに基づいて、ホワイトバランスを設定できる。よって、画像処理は、製造段階で事前に較正されてもよく、それにより、ユーザが使用のたびにホワイトバランスを調整する必要がなくなる。
【0016】
好ましい実施形態では、ボアスコープは、所望の被写界深度で事前に焦点を合わせた固定レンズを備え得る。ボアスコープの遠位端に、センサのすぐ遠位に固定距離を置いてレンズを配置して、固定レンズを形成することができる。遠位端にある固定レンズおよびイメージセンサは、事前に焦点を合わせておくことができ、それによって、医師がレンズの焦点合わせをする必要性がなくなる。事前に焦点を合わせられ、ホワイトバランスを事前に較正された固定レンズにより、医師は、最小限の技術的支援または調整で、ボアスコープをモニタに接続し、高品質のイメージングを得ることができる。
【0017】
一部の実施形態による医療用ボアスコープ装置の一例では、装置は、第1の管端と第1の管端の反対側にある第2の管端とを備える管を備え得る。ハンドル本体が、管に結合され得る。発光ダイオードなどの光源が、第1の管端に隣接して配置され、第1の管端で光を発するように構成され得る。装置は、第1の管端に隣接して配置されたイメージセンサと、光源およびイメージセンサのうちの少なくとも1つに電力を供給するように構成され得る、バッテリなどの電源とをさらに備え得る。一部の実施形態では、バッテリまたは他の電源を使用して、光源、イメージセンサ、および/または電力を必要とする装置のその他のコンポーネントに電力を供給し得る。
【0018】
データ通信リンクが、イメージセンサと結合され得る。装置は、イメージセンサから画像データを受信するように構成されたイメージプロセッサを備えるドングルをさらに備え得る。これにより、ポータブルコンピューティングデバイスの標準ディスプレイと装置を結合でき、それによって、コストが低減され、イメージングシステムの移動性/携帯性が高まる。一部の実施形態では、ドングルは、例えばHDMI(登録商標)またはUSBなどの、一般的な、汎用の、および/またはカスタマイズされていないディスプレイコネクタを備えることができ、これによりモバイル汎用コンピューティングデバイスからのディスプレイなどの、一般的な、カスタマイズされていない、非専用ディスプレイを使用して、装置からの画像を表示できるようにし得る。よって、一部の実施形態では、ドングルは、モバイル汎用コンピューティングデバイスと結合するように構成されて、そのようなデバイスのディスプレイを使用して、装置からの画像を表示できるようにする。一部の実施形態では、電源は、ドングルの一部であり得る。
【0019】
一部の実施形態では、第1の管端は、ハンドル本体から遠位にあり、第2の管端は、ハンドル本体に結合される。一部の実施形態では、ドングルは、ハンドル本体に結合されてもよいし、結合可能であってもよい。よって、一部の実施形態、特に、使い捨ての実施形態では、ドングルは、装置から取り外され、元の装置または元の装置の少なくとも一部を廃棄した後に新しい装置に取り付けられるように構成され得る。しかしながら、他の実施形態では、ドングルは、装置の残りの部分と共に、または少なくとも装置の使い捨て部分の残りと共に、使い捨て可能であってもよい。
【0020】
一部の実施形態は、ドングルをハンドル本体に結合するためのフレキシブルワイヤコネクタをさらに備え得る。あるいは、ドングルは、介在するワイヤなしで、ハンドル本体または装置の別の部分に直接電気的に結合されてもよい。例えば、一部の実施形態では、ドングルをハンドル本体または装置の別の部分に差し込むことができる。あるいは、ドングルは、装置と無線で結合されてもよい。
【0021】
一部の実施形態では、装置は、プリント回路基板を含み得る先端アセンブリを備え得る。一部のそのような実施形態では、イメージセンサは、プリント回路基板上に配置されてもよいし、さもなければプリント回路基板に結合されてもよい。一部の実施形態では、光源は、回路基板から間隔を空けて配置されてもよい。よって、一部のこのような実施形態は、回路基板から間隔を空けて光源を配置させるように構成されたスペーサマウントを備えていてもよい。一部の実施形態では、スペーサマウント自体が、プリント回路基板を含み得る。あるいは、スペーサマウントは、回路基板から間隔を空けて光源を配置するためにのみ構成されてもよく、光源は、他の手段によって別の回路基板に結合されてもよい。
【0022】
一部の実施形態では、医療用ボアスコープ装置の少なくとも一部は、使い捨てであってもよい。一部のこのような実施形態では、医療用ボアスコープ装置は、医療用ボアスコープ装置の使用期間および使用回数のうちの少なくとも1つを、事前に設定された値に制限するように構成されてもよい。これは、例えば、使用期間および使用回数のうちの少なくとも1つを、医療用ボアスコープ装置内に配置されたフラッシュメモリコンポーネントまたは別のそのような不揮発性メモリコンポーネントに記録することによって実現され得る。一部の実施形態では、このメモリコンポーネントは、装置の先端アセンブリ内に配置されてもよく、先端アセンブリは、装置の残りの部分から取り外し可能であってもよい。一部のこのような実施形態では、メモリコンポーネントは、先端アセンブリ内に配置されたプリント回路基板上に配置されてもよい。
【0023】
一部の実施形態による医療用ボアスコープシステムの一例では、システムは、医療用ボアスコープを備え得る。医療用ボアスコープは、管に結合されたハンドル本体と、第1の管端に隣接して配置され、第1の管端で光を発するように構成された光源とを備え得る。ボアスコープは、第1の管端に隣接して配置されたイメージセンサと、イメージセンサに結合されたデータ通信リンクとをさらに備え得る。
【0024】
システムは、医療用ボアスコープに結合された視覚表示装置を有する、携帯電話、タブレット、またはラップトップコンピュータなどのモバイル汎用コンピューティングデバイスをさらに備え得る。モバイル汎用コンピューティングデバイスは、ボアスコープのイメージセンサから画像データを受信するように構成されたイメージプロセッサを備え得る。モバイル汎用コンピューティングデバイスの視覚表示装置は、イメージプロセッサから受信した情報を表示するように構成され得る。
【0025】
一部の実装形態による医療用ボアスコープ装置内に配置されたイメージセンサから受信した画像データを処理するための方法の一例では、本方法は、医療用ボアスコープ装置内に配置されたイメージセンサから画像データを受信するステップを含み得る。画像データは、イメージプロセッサに送信されてもよく、イメージプロセッサは、医療用ボアスコープ装置に結合されたドングルまたはモバイル汎用コンピューティングデバイスのいずれかに配置されてもよい。次いで、画像データは、イメージプロセッサを使用して処理され、結果として得られた処理された画像データが、イメージプロセッサから視覚表示装置に送信され得る。
【0026】
一部の実装形態は、医療用ボアスコープ装置を廃棄するステップ、または装置の少なくとも一部を廃棄するステップをさらに含み得る。よって、上述のように、一部の実施形態は、一回だけ使用されるように、または所定の回数および/もしくは所定の時間の期間にわたって使用されるように特に構成され得る。一部のそのような実施形態では、第1の装置または第1の装置の少なくとも一部の廃棄後に、第2の医療用ボアスコープ装置が、ドングルまたはモバイル汎用コンピューティングデバイスのいずれかに結合されてもよい。一部の実装形態および実施形態では、元の医療用ボアスコープ装置および第2の医療用ボアスコープ装置は、両方とも、医療用ボアスコープ装置の使用期間および使用回数のうちの少なくとも1つを、事前に設定された値に制限するように構成されてもよい。よって、一部のこのような実施形態および実装形態では、メモリコンポーネントは、装置に関連付けられたサイクルのオン/オフ、および/または使用時間を格納するように構成されてもよく、装置は、閾値の使用回数および/または使用時間を検出した場合に、コマンドを送信して、装置の動作を停止させる、または装置の使用を制限するように構成され得る。
【0027】
一部の実施形態による医療用ボアスコープシステムの別の例では、システムは、第1の管端と第1の管端の反対側にある第2の管端とを含む管と、第1の管端に隣接して配置され、第1の管端で光を発するように構成された光源と、第1の管端に隣接して配置されたイメージセンサとを備える、医療用ボアスコープを備える。システムは、イメージセンサに結合されたデータ通信リンクと、イメージセンサから画像データを受信するように構成されたイメージプロセッサを備えるドングルとをさらに備えることができる。ドングルは、ドングルが複数の異なる医療用ボアスコープに結合できるように、医療用ボアスコープに取り外し可能に結合可能であり得る。ドングルは、医療用ボアスコープに関連付けられた較正データならびに/または医療用ボアスコープに関連付けられたシリアル番号および型番のうちの少なくとも1つなどの、ボアスコープ固有のパラメータデータの受信および検出のうちの少なくとも1つを行うようにさらに構成され得る。ボアスコープ固有のパラメータデータは、医療用ボアスコープに格納され、医療用ボアスコープに固有のデータを含むことが好ましい。
【0028】
一部の実施形態では、医療用ボアスコープ装置の少なくとも一部は、使い捨てである。一部のこのような実施形態では、医療用ボアスコープ装置の少なくとも一部の使い捨てを強制するために、医療用ボアスコープ装置の使用期間および使用回数のうちの少なくとも1つを判定するように構成され得る。一部のこのような実施形態では、医療用ボアスコープ装置は、使用期間および使用回数のうちの少なくとも1つを検出するためにドングルを使用することによって、医療用ボアスコープ装置の使用期間および使用回数のうちの少なくとも1つを判定するように構成され得る。一部のこのような実施形態では、ドングルは、閾値を超えた医療用ボアスコープ装置の使用を検出した場合に、医療用ボアスコープ装置を無力にすること、警告音を出すこと、視覚的警告を出すこと、および警告信号を送信することのうちの少なくとも1つを行うことによって、医療用ボアスコープ装置の使用期間および使用回数のうちの少なくとも1つを閾値に制限するように構成され得る。
【0029】
一部の実装形態による医療用イメージングのための方法の別の例では、本方法は、第1の医療用ボアスコープ装置にドングルを取り外し可能に結合するステップを含み得る。第1の医療用ボアスコープ装置は使い捨てであり、第1の医療用ボアスコープ装置のメモリコンポーネントに格納されたボアスコープデータを含み得る。本方法は、第1の医療用ボアスコープ装置からドングルでボアスコープデータの少なくとも一部を受信するステップをさらに含み得る。一部の実装形態では、ボアスコープデータのすべてがドングルに送信され得る。
【0030】
本方法は、ドングルおよびボアスコープデータの少なくとも一部を使用して、第1の医療用ボアスコープ装置の動作パラメータを調整するステップをさらに含み得る。画像データはまた、第1の医療用ボアスコープ装置内に配置されたイメージセンサからドングルで受信されてもよく、ドングル内に配置されたイメージプロセッサを用いてドングルで処理されてもよい。次いで、第1の医療用ボアスコープ装置は、ドングルが第2の医療用ボアスコープ装置に結合され得るように廃棄されてもよい。第2の医療用ボアスコープ装置もまた、第2の医療用ボアスコープ装置のメモリコンポーネントに格納されたボアスコープデータを含み得る。第2の医療用ボアスコープ装置のボアスコープデータは、第1の医療用ボアスコープ装置のボアスコープデータとは異なり得る。
【0031】
一部のそのような実装形態では、2つの医療用ボアスコープ装置は、それぞれのボアスコープデータを使用して互いに区別できる。よって、一部の実装形態では、第1の医療用ボアスコープ装置のボアスコープデータは、第1の医療用ボアスコープ装置に固有の情報を含み、第2の医療用ボアスコープ装置のボアスコープデータは、第2の医療用ボアスコープ装置に固有の情報を含み得る。第1の医療用ボアスコープ装置のボアスコープデータは、例えば、第1の医療用ボアスコープに関する型式識別データを含み、第2の医療用ボアスコープ装置のボアスコープデータは、第2の医療用ボアスコープに関する型式識別データを含み得る。代替的または追加的に、第1の医療用ボアスコープ装置のボアスコープデータは、第1の医療用ボアスコープに関する較正データを含み、第2の医療用ボアスコープ装置のボアスコープデータは、第2の医療用ボアスコープに関する較正データを含み得る。
【0032】
一部の実施形態は、第2の医療用ボアスコープ装置に関連付けられた使用データを記録するステップをさらに含み得る。一部のそのような実装形態では、ドングルは、使用データを処理して、第2の医療用ボアスコープ装置が閾値の使用パラメータを超えたか否かを判定するために使用でき、第2の医療用ボアスコープ装置の使用が閾値の使用パラメータを超えたことを検出した場合、ドングルは、第2の医療用ボアスコープ装置を無力にすること、警告音を出すこと、視覚的警告を出すこと、および警告信号を送信することのうちの少なくとも1つを行うために使用され得る。
【0033】
一部の実装形態による医療用ボアスコープから使用データを取得および格納するための方法の特定の例では、本方法は、第1の管端と第1の管端の反対側にある第2の管端とを含む管と、第1の管端に隣接して配置され、第1の管端で光を発するように構成された光源と、第1の管端に隣接して配置されたイメージセンサとを備える、医療用ボアスコープを得るステップを含み得る。本方法は、医療用ボアスコープに、イメージセンサから画像データを受信するように構成されたイメージプロセッサを備えるドングルを結合するステップをさらに含む。医療処置中の医療用ボアスコープからの使用データは、ドングルに格納されてもよく、その後、ドングルは、医療用ボアスコープから取り外されてもよい。次いで、医療処置中の医療用ボアスコープの使用に関する情報を取得するために、使用データは、別のコンピュータまたはシステムに転送されるなど、アクセスされてもよく、および/またはデータは、後でアクセスする場合のためにデータベースに格納されてもよい。
【0034】
一部の実装形態では、ドングルはメモリコンポーネントを備え得る。一部のそのような実装形態では、使用データを格納するステップは、使用データをメモリコンポーネントに格納するステップを含み得る。他の実装形態では、医療用ボアスコープはメモリコンポーネントを備え得る。一部のそのような実装形態では、使用データを格納するステップは、使用データをメモリコンポーネントに格納するステップを含み得る。
【0035】
使用データは、例えば、医療処置の期間、医療処置中の予期しない事象に関連付けられた画像、医療処置に関連付けられたタイムスタンプ、医療処置に関連付けられた温度測定値、および医療用ボアスコープに関連付けられたパワーサイクルカウンタのうちの1つ以上を含み得る。
【0036】
一部の実装形態は、医療用ボアスコープによる医療処置の開始時にクロックおよびカウンタのうちの少なくとも1つを開始するステップをさらに含み得る。一部のそのような実装形態は、例えば、医療処置中に取得された画像データ、温度データ、速度データ、方向データなどの感知データと、クロックおよびカウンタのうちの少なくとも1つからの少なくとも1つのタイムスタンプとを相互に関連付けるステップを含み得る。
【0037】
一部の実装形態は、使用データを医療用ボアスコープに関連付けられた型式識別データと関連付けるステップをさらに含み得る。一部の実装形態では、型式識別データは、医療用ボアスコープに関連付けられたシリアル番号および型番のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0038】
本発明の例示的な実装形態のさらなる特徴および利点は、以下の説明に記載され、その説明からその一部が明らかになる、またはそのような例示的な実装形態の実施によって理解され得る。そのような実装形態の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘される器具および組み合わせによって実現され、入手することができる。これらの特徴および他の特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより十分に明らかになる、または以下に示すそのような例示的な実装形態の実施によって理解され得る。加えて、一実施形態に関連して本明細書で開示される特徴、構造、ステップ、または特性は、1つ以上の代替的な実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0039】
本発明の上記および他の利点および特徴が入手され得る方法を説明するために、添付の図面に示す具体的な実施形態を参照することによって、上で簡潔に説明した本発明をより詳細に説明する。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示すものであり、従って、本発明の範囲を限定するものではないという理解の上で、添付の図面を使用して、さらに具体的かつ詳細に本発明を記載および説明する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書で開示される実施形態は、外部光源または大型および/もしくはカスタマイズされたビデオ画像処理機器の必要性を排除し得る、携帯性の高い医療用ボアスコープシステム(例えば、腹腔鏡または内視鏡システム)を医療従事者に提供するように構成されたシステム、方法、および装置を含み得る。一部の実施形態は、使い捨て、または単回使用もしくは使用回数に制限のある使用(例えば、10回の使用)に適する、腹腔鏡本体を備え得る。一部の実施形態では、システムは、腹腔鏡と通信する携帯画像処理ドングルをさらに備え得る。ドングルは、ディスプレイにビデオ画像を出力し得る。ドングルは、非専用ディスプレイを取り付けるため、または汎用コネクタを介して専用ディスプレイを接続するために、HDMI(登録商標)、USB、および/またはライトニングコネクタなどの、1つ以上の一般的なディスプレイコネクタを含むことができる。
【0042】
腹腔鏡の本体内に(すなわち、患者の滅菌野に配置される腹腔鏡の部分内に)LEDおよびイメージセンサを配置することによって、腹腔鏡の移動性および/または易廃棄性が実現される。
【0043】
従って、本明細書で開示する実装形態により、医療従事者は、戦場を含む様々な異なる場所で医療用ボアスコープ技術を利用できる。追加的に、一部の実装形態により、医療従事者は、単一の医療用ボアスコープシステムを使用して、様々な異なる医療用ボアスコープ手技を効率的に行うことができる。例えば、医療従事者は、同一の医療用ボアスコープシステムを使用して、内視鏡手技および腹腔鏡手技の両方を行うことができる。このように、一部の実装形態は、低コストかつ可搬性に優れた医療用ボアスコープシステムを提供することによって、第3世界諸国およびさもなければ医療サービスが不十分な国々において大きな利益を提供し得る。
【0044】
追加的に、一部の実装形態は、様々な異なる医療システムに容易に組み込むことができる。例えば、多くの従来の手術室は、単一の製造業者または製造業者グループからの医療装置と通信するのみの高度に統合されたシステムを備える。対照的に、本明細書で開示する一部の実装形態は、必要な画像処理を実行し、HDMI(登録商標)、VGA、USB、DISPLAY PORT、MINI DISPLAY PORTおよびその他の一般的なプロトコルなどの、様々な異なる汎用プロトコルを介して通信する出力ポートを提供する、単一のドングル装置との通信を提供し得る。従って、一部の実装形態により、医療用ボアスコープシステムが、標準ハイビジョンテレビ、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、およびまたは一般的に使用される通信ポートを備えるその他の表示装置などの様々な従来型の装置と通信できる。
【0045】
図1は、本発明の一実施形態による腹腔鏡手技の説明を示している。特に、
図1は、本発明の一実施形態による腹腔鏡システム100の一実装形態を使用して患者140に対して行われる腹腔鏡手技を示している。具体的には、腹腔鏡110は、患者140の腹部内のポート150に挿入されている。腹腔鏡110は、ドングル120と通信しており、ドングル120は、テレビディスプレイ130に画像データを送信する。送信された画像データは、患者140の腹部内に挿入された腹腔鏡110から受信された情報を含み得る。
【0046】
少なくとも1つの実施形態では、ドングル120は、1つ以上の一般的な出力ポートを備えることができる。例えば、ドングル120は、HDMI(登録商標)ポートを介してテレビディスプレイ130と通信できる。そのため、テレビディスプレイ130は、特別に設計されたコンポーネントである必要はなく、既製のテレビセットであってもよい。同様に、ドングル120は、USBポートなどの一般的なコンピュータ入出力ポートを備えることができる。そのため、ドングル120は、USBポートを介して外部コンピューティングデバイスと通信できる。従って、ドングル120は、汎用コンピュータまたはタブレットもしくはスマートフォンなどのモバイルデバイスと通信する、専用の処理スタックを必要としない通信ポートを提供することができる。
【0047】
追加的に、ドングル120は、内蔵処理ユニットを備えることができる。少なくとも1つの実装形態では、内蔵処理ユニットは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロコントローラ、プログラマブル集積回路、および/またはその他のタイプの処理ユニットを含み得る。処理ユニットは、腹腔鏡110から画像データを受信し、画像データに対して様々な処理機能を行うように構成され得る。例えば、処理ユニットは、ドングルの様々なポートを介してドングル120に接続できる装置によって読み取り可能な様々なビデオおよび画像フォーマットへと画像データをフォーマットできる。
【0048】
処理ユニットはまた、受信した画像データに対して様々な画像処理タスクを実行するように構成され得る。例えば、処理ユニットは、受信した画像データに対して、色補間演算、彩度および補正演算、ノイズフィルタリング、ガンマ補正、および他の同様の画像処理機能を行うことができる。
【0049】
一実施形態では、処理ユニットは、ホワイトバランス調整を行う。ホワイトバランスは、ボアスコープで使用されるLEDの既知の光スペクトルに基づいて事前に較正されてもよい。処理ユニットはまた、ユーザ制御のホワイトバランス、露出、ゲイン、ズーム、またはマクロ設定のための1つ以上のボタンを備え得る。
【0050】
一部の実施形態では、処理ユニットはまた、ディスプレイに送信する表示情報を生成するためのユーザインターフェース(UI)モジュールを備え得る。例えば、ボアスコープの設定のうちの1つ以上は、ユーザが設定を確認および/または変更できるようにディスプレイ上に画像として表示することができる。処理ユニットからUIを生成することにより、汎用テレビまたはモニタ上にビデオ画像を表示できる。
【0051】
図1に示すように、一部の実施形態は、移動性が高く、一般に入手可能な装置との互換性が高い医療用ボアスコープシステムを備え得る。例えば、専用の処理スタックを含むカスタマイズされた医用室を必要とするのとは対照的に、
図1に示す医療用ボアスコープシステムの実装形態は、標準のテレビディスプレイと通信することができ、必要とするのは、小型で容易に携帯できる処理用のドングルだけである。従って、当業者であれば、高価で重量のある機器に容易にアクセスできない医療貧困地域および野戦病院に、このようなシステムが提供し得る利益を理解するはずである。
【0052】
一部の実施形態では、腹腔鏡は、外部光源に接続しないように構成することができる。代わりに、腹腔鏡システム100のための光源が、腹腔鏡110内に配置され得る。一部のこのような実施形態では、光源を腹腔鏡110の遠位端に配置して、患者の組織を直接照らすことができる。一部の実施形態では、ライトパイプまたは光ファイバを使用せずに照明を提供することができ、その結果、照明システムの複雑さを低減し、光の拡散を回避できる。
【0053】
次の図面を参照すると、
図2は、本発明の一実施形態による腹腔鏡システム100を示している。図示の腹腔鏡システム100は、腹腔鏡110とドングル120とを備える。図示の腹腔鏡110は、ハンドル本体200に接続されたボアスコープ管210をさらに備える。ハンドル本体200は、1つ以上の入力コンポーネント212a、212bを備え得る。入力コンポーネント212a、212bは、受信した画像データの様々な属性をリアルタイムで調整するために、医療従事者により使用され得る。例えば、医療従事者は、容易にアクセスできるようにハンドル本体200上に配置されたスライドスイッチまたはノブ212a、212bを使用して、ホワイトバランス、フォーカス、またはズームを操作することができる。他の実施形態では、腹腔鏡110は、ユーザが作動させる機構を有さず(例えば、ボタンなし)、これにより、洗浄および滅菌のコストおよび複雑さが減る。本実施形態では、装置の様々な実施態様が、処理ユニットによって制御され得る。
【0054】
一部の実施形態では、ハンドル200は、ユーザが、例えば触感または目視検査によって、装置のどちらの側が上にあり、どちらの側が下にあるかを容易に判断できるようにする、形状、特徴または要素を含み得る。例えば、
図2の実施形態では、ユーザがハンドル200を掴んですぐにおよび/または容易に、どの面が上にあるかを感じることができるように、ノッチ202が設けられており、所望の向きで画像を提供するのに有用であり得る。ノッチ202が突出部などの別の特徴または要素で置き換えられ得る他の実施形態も企図される。あるいは、ハンドル200は、
図11Aおよび
図11Bの実施形態に示されるような非対称形状を備えるができ、これについては以下により詳細に説明する。このような形状により、ユーザは、ハンドルを保持し、触覚的な感触のみに基づいて、装置が好ましい回転方向に保持されているかどうかを判断できる。さらに他の実施形態では、装置の回転方向を直ちに視覚的に確認できるように、ハンドル200の一方の側だけに画像、マーキングなどの可視要素を設けることもできる。外科医または他のユーザが、目視検査および/または触覚によってハンドルの回転方向を判定することを可能にする、本明細書で言及される他の要素、特徴、またはコンポーネントに加えて、ノッチ202は、いずれも、ボアスコープハンドルの回転方向を確認するための手段の例である。
【0055】
図示の実施形態では、腹腔鏡110は、有線接続を介してドングル120と通信する。図示のように、ドングル120は、腹腔鏡110と表示装置との間で通信可能に配置され得る。様々な実施形態では、ドングル120は、様々な異なるサイズおよびフォームファクタを備え得る。例えば、ドングル120は、16立方インチ以下の体積となる任意の寸法を含み得る。対照的に、下限については、ドングル120は、1立方インチ以上の体積となる任意の寸法を含み得る。さらに、ドングル120は、2立方インチ〜14立方インチ、4立方インチ〜12立方インチ、6立方インチ〜10立方インチ、または8立方インチ〜9立方インチの体積を備え得る。
【0056】
上述のように、ドングル120は、様々な画像処理タスクを実行するように構成される処理ユニットを備え得る。例えば、画像処理ユニットは、受信した画像データを、様々な出力ポート230a、230bで読み取り可能なフォーマットへとフォーマットすることができる。ドングル120はまた、複数の出力装置へ同時にデータを配信できるマルチキャスティングモジュールを備え得る。例えば、ドングル120は、医用室の周りの異なる位置に配置された複数の高解像度のテレビディスプレイに画像データを出力できる。追加的に、マルチキャストモジュールは、ドングル120に配置された複数の異なる出力ポートタイプにわたって同時にブロードキャストするように構成されてもよい。例えば、マルチキャストモジュールは、HDMI(登録商標)出力ポートとVGA出力ポートとの両方で同時に画像データを送信できる。このように、複数の異なる表示タイプをドングル120に接続し、ドングル120からそれぞれの出力ポートタイプにわたって同じ情報を受信できる。一部の実施形態では、画像データは、例えば、イーサネット(登録商標)、WIFI、または光ファイバネットワークなどのネットワークを介して同時にユニキャストまたはマルチキャストされてもよい。
【0057】
ドングル120は、特定の長さのコードを用いて腹腔鏡110および/またはディスプレイ130(
図1)に接続されて、コードの絡みを最小にしつつも、ドングルを患者に対して所望の位置に配置できる。例えば、一部の実施形態では、コードは、ドングルを滅菌野の外に配置するように選択される。一部の実施形態では、腹腔鏡とドングルとの間のデータケーブルは、2、4または6フィートより長い、および/または14、12もしくは10フィート未満である、または上述の範囲内とすることができる。一部の実施形態では、ドングルは、14、10、8、4、2、または1フィート未満のコードでモニタに接続されてもよい。ドングルは、ドングルが足で踏まれる可能性がある床の上にドングルを置くのに十分にドングルを保護する保護ケーシング(例えば、ゴム製のケーシング)に入れられてもよい。あるいは、ドングルは、ドングルをベッドの支柱に取り付けるためのクリップを備えてもよい。外部装置または要素にドングルを結合するための追加的な代替手段は、ドングルをモニタに結合するため、またはドングルを標準ラックに取り付けるためのねじおよび/または取り付けプレートを備えてもよい。
【0058】
追加的に、少なくとも1つの実装形態では、ドングル120は、ドングル120、腹腔鏡110、および/またはディスプレイに電力を供給するように構成された電気コンセント220を備えることができる。別の実施形態では、ドングル120は、ドングル120および/または腹腔鏡110に電力を供給するために使用され得る、
図4Aに示すようなバッテリ125などの内蔵電源を備えることができる。一部の実施形態では、バッテリ125は再充電可能であってもよい。さらに、少なくとも1つの実装形態では、ドングル120は、外部装置と通信し、かつ外部装置から電力を受けることができるポート、例えばコンピュータと通信するUSBポートを備えることができる。
【0059】
図3は、腹腔鏡システムの代替的な実施形態を示している。本実装形態では、腹腔鏡システム100は、ハンドル本体200については代替的な形状、入力コンポーネント212a、212bについての代替的な構成、ドングルの代わりにモバイルコンピューティングデバイス300を備える。別の実施形態では、腹腔鏡システム100は、モバイルコンピューティングデバイス300の代わりに、デスクトップコンピュータと通信できる。
【0060】
少なくとも1つの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス300としては、タブレットコンピュータ、スマートフォン、またはラップトップコンピュータが挙げられる。モバイルコンピューティングデバイス300は、腹腔鏡システム100から受信した画像データに対して様々な画像処理タスクを実行するように構成され得る。例えば、モバイルコンピューティングデバイス300は、様々な表示機能、画像編集機能、ビデオおよび画像格納機能、データ共有機能、ならびに他の同様のコンピュータで可能な機能を提供することができる。追加的に、医療従事者が入力コンポーネント212a、212bを調整する場合、調整は、腹腔鏡システム100内で行われる必要がある任意の必要な調整を開始して、医療従事者から受けた調整を実行できる、モバイルコンピューティングデバイス300によって受信されてもよい。
【0061】
モバイルコンピューティングデバイス300は、腹腔鏡システム100と通信するために、カスタムソフトウェアアプリケーションを含み得る。ソフトウェアアプリケーションは、腹腔鏡システム100と通信し、様々な腹腔鏡専用機能を提供するように構成され得る。さらに、ソフトウェアアプリケーションは、モバイルコンピューティングデバイス300が受信した画像を遠隔地にストリーミング可能にするストリーミング機能を備えることができる。このようにして、たとえ医療従事者が遠隔地にいても、医療従事者は仮想的に腹腔鏡手技に参加できる。
【0062】
ここで
図4A〜
図4Cを参照すると、
図4Aは、本発明の一実施形態による取り外し可能なボアスコープ管を有する腹腔鏡の一実装形態を示している。
図4Aに示すシステム100は、上記のような、ボアスコープ管210と、ハンドル本体200と、ドングル120とを備える。追加的に、一部の実施形態では、腹腔鏡システム100は、交換可能なボアスコープ210を備えることができる。例えば、
図4Aのボアスコープ210は、交換可能な管部分400と取り付け点430とを含む。特に、
図4Aの交換可能な管部分400は、特定の直径および長さの腹腔鏡管400を備える。
【0063】
図4Bおよび
図4Cは、交換可能な管部分410、420の様々な実施形態を示している。交換可能な管部分410は、
図4Aに示す腹腔鏡管部分400よりも長く、より細い寸法の腹腔鏡管部分410を含む。
図4Aおよび
図4Bに示す腹腔鏡管400、410とは対照的に、
図4Cは、内視鏡管部分420を示している。
図4Bの腹腔鏡管部分410と
図4Cの内視鏡管部分420との両方とも、同じ取り付け点430と連絡できる。
【0064】
一部の実施形態では、1つ以上の管部分は、焼灼装置または他の電気メス装置などの他の装置からのシールドとして働くことができるプラスチックまたはセラミックの材料などの非導電性材料を含み得る。そのような材料は、管部分全体または管の一部を構成し得る。一部の実施形態では、別の管の上にシールド管を同心円状に配置することができる。一部の実施形態では、ファラデーケージなどの他のシールド技術/特徴が、非導電性管または管部分内に組み込まれていてもよいし、さもなければこれに隣接していてもよい。
【0065】
従って、一部の実装形態では、医療従事者は、特定の処置の必要性を満たすように、様々な異なる管部分の中から選択することができる。例えば、
図4Aに示すようなボアスコープシステムの一実施形態は、様々な異なるボアスコープの長さ、直径、剛性、材料の種類(例えば、スチール、プラスチックなど)、および/または腹腔鏡に組み込まれる手術用器具を要する腹腔鏡手技を行うことができる。少なくとも1つの実装形態では、腹腔鏡管部分はまた、特定の腹腔鏡管部分が硬質でありながら、他の部分が大きな可撓性を有するように、種々の異なるレベルの変形可能性で利用可能であり得る。
【0066】
同様に、一部の実装形態は、異なるボアスコープ属性を同様に必要とする様々な異なる内視鏡手技を実行することができる。例えば、一部の実施形態および実装形態では、乳児、小児、および/または成人のためにサイズ設定された内視鏡と共に、単一の医療用ボアスコープシステムを使用することができる。追加的に、医療従事者が、器具の光学系、器具に組み込まれた特定の外科用器具、器具に組み込まれた特定のセンサ、器具の寸法、構成材料、および/または他の類似の特徴および能力に基づいて、特定の内視鏡管を選択できるように、個々の内視鏡に様々な異なる特徴および能力を組み込むことができる。
【0067】
追加的に、
図4A、
図4B、および
図4Cに開示されているようなボアスコープシステムの実装形態は、個々のボアスコープ部分400、410、420も容易に滅菌および洗浄できるシステムを提供する。例えば、少なくとも1つの実装形態では、新しい滅菌済みのボアスコープ部分400、410、420が手技のたびに使用されるように、ボアスコープ部分400、410、420は、各手技の後に使い捨て可能である。別の実施形態では、ボアスコープ管部分400、410、420は、容易に洗浄および滅菌できるように取り外し可能である。
【0068】
図4Aは、ハンドル本体200から延びる取り付け点430を示しているが、少なくとも1つの実装形態では、ボアスコープ管部分400、410、420は、ハンドル本体200に交換可能に直接接続する。いずれの場合でも、取り付け点430は、取り付け点のどの部分も非滅菌表面と接触しないように配置され得る。このようにして、接点430およびハンドル本体200は、ボアスコープ管部分400、410、420と同じレベルの滅菌を必要としなくてもよい。
【0069】
さらに、少なくとも1つの実装形態では、ボアスコープ管部分400、410、420は、ボアスコープ管部分400、410、420がハンドル本体200から取り外せないように、単一構造に一体化される。この場合、ハンドル本体200は、ドングル120に交換可能に接続することができる。このように、様々なタイプの腹腔鏡および内視鏡は、それぞれのハンドル本体200を含めて、単一のドングル120に交換可能に接続することができる。
【0070】
図5は、別の実施形態による、ハンドル本体に接続された交換可能なボアスコープ管の実装形態を示している。特に、
図5は、ピンラッチ接続500を介して接続されているボアスコープ管210とハンドル本体200とを示している。ピンラッチ接続500は、ボアスコープ管210の本体から延びる1つ以上のピン510を備えることができる。1つ以上のピン510は、ハンドル本体200の受け穴530内に形成された1つ以上のラッチ520が受けることができる。1つ以上のピン510と1つ以上のラッチ520とは、1つ以上のピン510のそれぞれを受けることができるのが、特定のラッチ520だけであり、従って、ボアスコープ管210は、ハンドル本体200に対して特定の向きとなることが必要になるように、間隔を空けて配置されてもよい。
【0071】
様々な別の実施形態は、ピンラッチ接続500以外のコネクタを備え得る。例えば、ボアスコープ管210とハンドル本体200とは、ねじ接続、クランプ接続、圧入嵌め接続、またはその他の一般的な接続タイプによって接続できる。少なくとも1つの実装形態では、接続タイプによって、ボアスコープ管210とハンドル本体200との間の回転運動を制限することが望ましい場合がある。これは、使用中にボアスコープ管210がハンドル本体200から外れることを防止するために必要であり得る。
【0072】
少なくとも1つの実装形態では、ボアスコープ管210はまた、ボアスコープ管210の底部の周りに配置された電気的接続点540を備え得る。電気的接続点540は、ハンドル本体200から電力を受け、ボアスコープ管210内の器具とハンドル本体200内のコンポーネントとの間の通信経路を提供するように構成できる。電気的接続点540は、ボアスコープ管210の底部円周の周囲に配置された導電性接続パッドとして示されているが、他の実装形態では、電気的接続点540は、ボアスコープ管210がハンドル本体200に接触する任意の場所に配置することができる。追加的に、電気的接続点540は、ピンソケット接続、磁気接続、誘導接続、およびその他の一般的な接続タイプを含み得る。同様に、光ファイバまたは他の何らかの通信媒体が使用される場合、適切な接続点をボアスコープ管210およびハンドル本体200に組み込むこともできる。
【0073】
図6Aおよび
図6Bならびに
図7は、別の実施形態によるボアスコープ管の先端600の一実施形態を示している。図示の先端600は、ハンドル本体200から遠位のボアスコープ管の部分を含み、患者の中に最初に挿入されるボアスコープの部分である。先端600は、1つ以上のLEDライト610、イメージセンサ620、スルーポート670、および他の医療用ボアスコープコンポーネントを含む様々な特徴を備え得る。少なくとも1つの実施形態では、1つ以上のLED610は、様々な異なる色および強度を備え得る。異なるLED610は、医療従事者によって個別にアドレス指定可能かつ制御可能であってもよいし、ボアスコープ管内、ハンドル本体200内、またはドングル120内の処理ユニットによって自動的に制御されてもよい。
【0074】
図6Aおよび
図6Bは、本発明の一部の実施形態によるボアスコープの先端600で使用され得る例示的なコンポーネントを示している。
図6Aは分解図を示し、
図6Bは断面図を示している。先端600は、ハウジング614と、レンズアセンブリ611と、カバーガラス635と、発光ダイオード(LED)610と、配線616と、スペーサマウント617と、イメージセンサ620と、プリント回路基板(PCB)640と、組み付けねじ623とを含む。センサ620は、PCB640に直接取り付けることができ、PCB640は、PCB640を固定するためにハウジング614に取り付けることができる。レンズアセンブリ611は、適切な焦点を提供するためにイメージセンサ620から特定の距離に取り付けられた光学部品530(すなわち、レンズ)を含む。ねじ山613により、レンズアセンブリ611がハウジング614に対して移動されて、イメージセンサ620と光学素子530との間の間隔621を変化させることができる。カバーガラス635は、患者の体内の流体がレンズアセンブリ611に接触することを防ぐために、ハウジング614に対して密閉されてもよい。カバーガラス635はまた、レンズアセンブリを、(保護されていなければ)レンズを焦点外に動かしてしまうであろう、突き当てから防ぐことができる。
【0075】
イメージセンサ620は、カスタムメードのCMOSセンサ、既製のCMOSセンサ、またはその他のデジタル撮像装置を備え得る。追加的に、イメージセンサ620は、720p、720i、1080p、1080i、および他の同様の高解像度フォーマットを含むが、これに限定されない様々な異なる解像度で、画像およびビデオを取り込むように構成できる。イメージセンサ620はまた、0.8μm、1μm、もしくは2μmより大きく、および/または4μm、3μm、2μmより小さい画素サイズ、または前述のより大きいおよびより小さいサイズのいずれかの範囲内の画素サイズを含み得る。
【0076】
LED610は、ハウジング614に取り付けられ得る。好ましい実施形態では、LED610は、光のトンネリングを最小化するために、ハウジング614の端部と本質的に同一平面に取り付けられる。LED610は、LED610をハウジング614と同一平面に配置することを助けるために、PCB640から離して取り付けてもよい。例えば、LED610は、ハウジング614の端部から3mm、2mm、または1mm以内とすることができる。LED610に電力を供給するためにワイヤ616を使用して、PCB640から離したLED610の取り付けを実現できる。LED610は、光学的に純粋なエポキシまたは他の適切な方法を用いてハウジング614に取り付けられ得る。LED610上にカバーガラスを使用することもできる(図示せず)。
【0077】
一部の実施形態では、LED610をPCB640に取り付けることができ、ライトガイドを使用して、先端600の遠位端にある開口部に光を導くことができる。一実施形態では、ライトガイドは、20cm、10cm、5cm、または2cm未満であり得る。LED610は、先端600に配置することが好ましいが、ライトパイプの使用により、ボアスコープ管内のまたはボアスコープのハンドル内の中間位置に配置されてもよい。しかしながら、LED610は、光源へ外部ケーブルを取り付ける必要がないように、ボアスコープ内に配置される。LED610をボアスコープ内に配置することにより、光が移動しなければならない距離が最小限に抑えられ、異なる発光スペクトルを有する光源が取り付けられる可能性が排除される。次いで、ボアスコープ内に埋め込まれたLED610は、製造時にホワイトバランス調整されて、ユーザからの入力が最小限であるかまたは全くない状態で適切な組織の色が保証され得る。
【0078】
LED610を取り囲むハウジング614の部分は、イメージセンサ620への横方向の露光からLED610を光学的に隔離するために使用される。例えば、LED610は、カバーガラス635から横方向に隔離されている。この隔離は、光が組織から反射される前に、カバーガラス635またはイメージセンサ620に拡散または反射するのを防止する。LED610とイメージセンサ620とが密接しているため、この隔離は、使用可能な信号雑音比を達成するために重要である。LED610は、イメージセンサ620の遠位に取り付けられることが好ましく、カバーガラス635の遠位に取り付けられることがさらに好ましい。
【0079】
少なくとも1つの実装形態では、LED610およびイメージセンサ620は、共通のプリント回路基板640に取り付けることができる。LED610およびイメージセンサ620は、1つ以上のワイヤを介してハンドル本体200と通信できる。追加的に、LED610およびイメージセンサ620は、複数のワイヤを介して電力を受けることができる。好ましい実施形態では、イメージセンサ620および/またはPCB640は、画素データを事前処理し、比較的大きな距離(例えば、50、75、または100cmを超える)にわたって送信され得る直列化データストリームを出力できる。好ましい実施形態では、先端600から出力される画像データは、MIPIまたはLVDSインターフェースから直列化されたデータである。画像データは、少なくとも8ビットまたは少なくとも12ビットであってもよく、データは、RGBデータまたはベイヤーデータであってもよい。
【0080】
本発明の様々な実施形態は、様々な光学構成を提供できる。例えば、少なくとも1つの実施形態では、光学系は、光学系が高い被写界深度を含むように、小さな開口を有する固定ゼロ度レンズ630として構成することができる。追加的に、光学系は、多くの従来のCMOS光学系に典型的な1mの代わりに10cmで焦点を合わせるように構成することができる。特に、光学系は、約15mmの前方被写界深度および約100mmの後方被写界深度を有する約90度の視野を含み得る。
【0081】
追加的に、少なくとも1つの実施形態では、光学系は、魚眼レンズまたは広角レンズを含み得る。このような実施形態では、ドングル120はまた、レンズからの歪みの少なくとも一部が最終的な画像から除去されるように、広角レンズまたは魚眼レンズから受け取られた画像を平滑化するように構成された画像処理コンポーネントを備え得る。少なくとも1つの実施形態では、医療従事者が所望の光学特性に基づいて特定のボアスコープ管を選択できるように、交換可能なボアスコープ管が様々な異なる光学系で利用可能である。
【0082】
少なくとも1つの実装形態では、ボアスコープは、少なくとも30cm、50cm、もしくは70cmで、および/または120cm、100cm、もしくは90cm未満の範囲に及ぶ、ならびに/または上述の範囲内である被写界深度を有する固定レンズを有する。焦点範囲の下限は、20cm、15cm、10cm、または5cm未満であってよく、焦点範囲の上限は、50cm、70mm、90cm、または110cmより大きくてもよい。本開示の目的のために、レンズは、レンズが2ピクセル未満のスポットサイズを生成する場合、焦点が合っているとみなされ得る。
【0083】
レンズのF値は、選択された被写界深度で十分な光を提供するように選択される。レンズは、2.5、3.5、5.5、7.5、または10以上のF値を有し得る。
【0084】
図6および
図7は、角度が0度のスコープを示す。しかしながら、レンズはまた、角度の付いた(すなわち、ボアスコープ管の軸線に対して)レンズを有していてもよい。レンズの角度は、15度、25度、もしくは45度以上、および/または65度、50度、もしくは35度以下であってもよい。視野の角度は、60度、75度、もしくは90度よりも大きい、および/または110度、100度、もしくは90度未満、または上述の範囲内であってもよい。一実施形態では、光学系は、約2mmの焦点距離と約2.4のF値とを含み得る。
【0085】
一部の実施形態では、ユーザがスコープを回転させている際に、ソフトウェアによる画像回転を使用して、ディスプレイ上で画像の好ましい向きを維持することができる。一部のそのような実施形態では、システムおよび/または装置は、ハンドル上のダイヤルなどによって、装置上で画像の回転を制御できるように構成され得る。一部の実施形態では、所望の画像の向き/回転を容易にするために、加速度計などの1つ以上の回転、向き、および/または傾斜のセンサを設けることができる。
【0086】
図7は、イメージセンサ620の円周に3つのLEDを有する実施形態を示している。スルーポート670は、医療用ボアスコープ管の長さを少なくとも部分的に上方に延びる通路を備え得る。少なくとも1つの実施形態では、スルーポート670は、医療従事者が医療器具をスルーポート670を通して患者に挿入可能とするように構成され得る。例えば、医療従事者は、ボアスコープによって識別された特定の組織を生検のために除去することができるように、スルーポート670を通して生検用器具を挿入できる。
【0087】
一部の実施形態では、医療従事者の患者内視野に影響を及ぼす様々な光学系を提供することに加えて、医療用ボアスコープは、関節運動可能な部分を含み得る。例えば、
図8は、関節運動可能な先端を有する腹腔鏡の別の実施形態を示している。具体的には、ボアスコープ管210は、先端600がボアスコープ管210に平行な方向以外の方向に向くことができるようにする関節点800を含む。少なくとも1つの実装形態では、関節点800は、ボアスコープ管210に対して任意の方向に最大90度まで関節運動できる。このように、先端600は、関節点800から半径方向外側に延びる完全な半球内で動くことができる。
【0088】
先端600の関節運動を制御するために様々な異なるスキームを使用することができるが、例示的なスキームとして、1つ以上のスライダ810をハンドル本体200に沿って配置することができる。少なくとも1つの実施形態では、スライダ(複数可)810は、医療用ボアスコープを介して受信した画像の様々な属性を操作することができる1つ以上の入力コンポーネント212a、212bの近くに配置され得る。スライダ810のそれぞれは、単一のそれぞれの軸に沿って関節点800を関節運動させるように構成することができる。そうして、スライダ810の組み合わせを使用する一部の実施形態で、医療従事者は、関節点800から外側に延びる半球に沿った任意の点と合うように先端600を配置できる。
【0089】
患者内でボアスコープの先端600の関節運動を制御することにより、医療従事者は、患者内の様々な表面をより容易に見ることができる。これは、さもなければ視野が先端600から直接前方に制限され得る固定レンズシステムにおいて特定の利益をもたらすことができる。
【0090】
従って、
図1から
図8および対応する文章は、交換可能なボアスコープ管と、ボアスコープ管の先端内にあるデジタルイメージセンサと、を備える、医療用ボアスコープを利用するための1つ以上の方法、システム、および/または装置を例示、さもなければ説明している。当業者であれば、本発明の実装形態が、特定の結果を実現するための1つ以上の動作またはステップを含む方法に関して説明することもできることを理解するはずである。例えば、
図9は、医療用ボアスコープ器具から受信した画像データを処理するための方法における一連の動作の流れ図を示している。以下、
図1から
図8に示したコンポーネントおよびモジュールに関連して、
図9の動作/ステップを説明する。
【0091】
例えば、
図9は、医療用ボアスコープ器具から受信した画像データを処理するための方法を実装するための流れ図を示しており、本方法は、画像データを直列化する動作900を含み得る。動作900は、イメージセンサから受信した画像データを直列化することを含み、イメージセンサは、医療用ボアスコープ管の第1の端部に配置されている。例えば、
図6Aは、イメージセンサ620を備える医療用ボアスコープ管210の先端600を示している。イメージセンサ620を介して受信した情報は、医療用ボアスコープ管210を経て送信される前に直列化される。
【0092】
図9はまた、本方法が、画像データを送信する動作910を含み得ることを示している。動作910は、医療用ボアスコープ管を経て医療用ボアスコープ管の第2の端部に直列化した画像データを送信するステップを含む。例えば、
図6Aは、医療用ボアスコープ管210の第2の端部にイメージセンサを接続する電気通信経路を示している。
【0093】
追加的に、
図9は、本方法が、画像データを非直列化する動作920を含み得ることを示している。動作920は、イメージプロセッサで画像データを非直列化することを含むことができ、イメージプロセッサは、イメージセンサと通信するドングル内に配置される。例えば、
図2は、腹腔鏡110と通信するドングル120を示している。ドングル120は、イメージセンサ620から送信されたデータを受信し、受信したデータを非直列化するイメージプロセッサを備える。
【0094】
図9はまた、本方法が、色を補間する動作930を含み得ることを示している。動作930は、イメージプロセッサを使用して画像データから色を補間することを含む。例えば、
図2は、腹腔鏡110と通信するドングル120を示している。ドングル120は、イメージセンサ620から受信した画像データから色情報を補間するように構成されたイメージプロセッサを備える。
【0095】
加えて、
図9は、本方法が、彩度を補正する動作940を含み得ることを示している。動作940は、イメージプロセッサを使用して彩度を補正することを含む。例えば、
図2は、腹腔鏡110と通信するドングルを示している。ドングル120は、イメージセンサ620から受信した画像データ内の彩度を補正するように構成されたイメージプロセッサを備える。
【0096】
図9はまた、本方法が、ノイズをフィルタリングして除去する動作950を含み得ることを示している。動作950は、イメージプロセッサを使用して画像データからノイズをフィルタリングして除去することを含み得る。例えば、
図2は、腹腔鏡110と通信するドングルを示している。ドングル120は、イメージセンサ620から受信した画像データのノイズをフィルタリングして除去するように構成されたイメージプロセッサを備える。
【0097】
さらに、
図9は、本方法が、画像をガンマ符号化する動作960を含み得ることを示している。動作960は、イメージプロセッサを使用して画像データをガンマ符号化することを含み得る。例えば、
図2は、腹腔鏡110と通信するドングルを示している。ドングルは、イメージセンサ620から受信した画像データをガンマ符号化するように構成されたイメージプロセッサを備え得る。
【0098】
さらにまた、
図9は、本方法が、画像データを変換する動作970を含み得ることを示している。動作970は、画像データをRGBからYUVに変換することを含み得る。例えば、
図2は、腹腔鏡110と通信するドングルを示している。ドングルは、イメージセンサ620から受信したRGBデータをYUVデータに変換するように構成されたイメージプロセッサを備え得る。
【0099】
図9に示す実装形態に加えて、少なくとも1つの実装形態では、ドングル120内に配置されたイメージプロセッサを使用してデータを処理する代わりに、データをイメージセンサからタブレットなどのモバイルコンピューティングデバイスに送信できる。本実施形態では、タブレットを使用して、必要な画像処理および画像表示を行うことができる。
【0100】
図10Aおよび
図10Bは、ボアスコープ管の先端内に配置されるように、および/またはボアスコープ管の先端を形成するように構成された先端アセンブリ1000の別の実施形態の分解図である。図示の実施形態では、先端アセンブリ1000は、ハウジング1014の内部カラー1022を挿入することによって、管の遠位端に挿入されるように構成される。当然のことながら、ボアスコープ管の外側にアセンブリ1000を挿入すること、またはボアスコープ管の遠位端にアセンブリ1000を結合することなど、様々な代替的実施形態が企図される。
【0101】
先端アセンブリ600と同様に、先端アセンブリ1000は、ハンドル本体200などのハンドル本体に結合されてもよく、典型的には、最初に患者に挿入されるボアスコープの部分を含むであろう。先端アセンブリ1000は、LEDライトなどの1つ以上の光源1010、1つ以上のイメージセンサ1020、および/または他の医療用ボアスコープコンポーネントを備える。光源1010は、医療従事者によって手動で制御可能であってもよいし、ボアスコープ管、ハンドル本体、ドングル、および/または携帯電話もしくはタブレットコンピュータなどのモバイル汎用コンピューティングデバイス内の処理ユニットによって自動的に制御されてもよい。
【0102】
先端アセンブリ1000は、プリント回路基板(PCB)1040をさらに備える。イメージセンサ(複数可)1020は、PCB1040と直接結合することができる。しかしながら、光源(複数可)1010は、PCB1040から間隔を空けて配置され得る。より詳細には、光源(複数可)1010は、PCB1040から光源(複数可)1010を物理的に分離する、および/または先端の遠位端により近くに光源(複数可)1010を配置するように構成されたスペーサマウント1017上に配置され得る。一部の好ましい実施形態では、光源(複数可)1010は、ハウジング1014の遠位端および/または先端アセンブリ1000自体と同一平面になるように、または少なくとも実質的に同一平面になるように配置され得る。これは、陰影効果を防止したり、あるいは、より良い画像を作成したりするのに役立ち得る。よって、図示の実施形態では、光源/LED1010は、ハウジング1014内に形成された空洞1019(
図10B参照)内に配置される。空洞1019を画定するハウジング1014の周囲は、先端アセンブリ1000の遠位端と同一平面にあり得る。
【0103】
先端アセンブリ1000は、レンズアセンブリ1011と、カバーガラス1035と、アセンブリ1000の様々なコンポーネントを所定の位置に固定するために使用され得る締結具1018および1023などの1つ以上の締結具とをさらに備える。1つ以上のレンズまたは他の光学部品を、レンズアセンブリ1011内に形成されたレンズ空洞1012内に配置して、イメージセンサ1020に所望のフォーカスを提供することができる。レンズアセンブリ1011は、ハウジング1014内に形成されたレンズハウジング空洞1015内に配置することができる。一部の実施形態では、イメージセンサ1020とレンズアセンブリ1011内のレンズとの間の間隔を変えるために、アセンブリ600におけるねじ山613のようなねじ山を設けることにより、レンズアセンブリ1011がハウジング1014に対して移動できるようにし得る。
【0104】
カバーガラス1035は、流体がレンズアセンブリ1011に接触するのを、または、さもなければ先端アセンブリ1000に入ることを防ぐためにハウジング1014に対して密閉されてもよく、保護機能を果たしてもよい。図示の実施形態では、カバーガラス1035は、光源/LED1010は覆わずに、(レンズアセンブリ1011内の)レンズおよびその関連イメージセンサ1020を覆うように特に構成される。これは、光源/LED1010からの反射光がイメージセンサ1020に入り、結果として生じる画像をぼかすのを避けるために有用であり得る。
【0105】
光源/LED1010を取り囲むハウジング1014の部分は、イメージセンサ1020への横方向の露光から光源/LED1010を光学的に隔離するために使用することができる。例えば、上述のように、光源/LED1010は、カバーガラス1035から隔離され、組織から光が反射される前に、光がイメージセンサ1020へと反射するのを防止する。加えて、これも上述のように、光源/LEDは、画質をさらに改善するためには、イメージセンサ1020が取り付けられ得るPCB1040から離れて設置されることが好ましい。一部の実施形態では、光源/LED1010は、イメージセンサ1020に対して遠位に配置され、カバーガラス1035に対しても遠位に配置され得る。しかしながら、他の実施形態では、光源/LED1010は、カバーガラス1035と同一平面上に配置されてもよいし、カバーガラス1035に対して陥凹して/近位に配置されてもよい。
【0106】
よって、図示の実施形態は、一方はレンズおよび/またはイメージセンサ1020(カバーガラス1035)を覆い、他方は光源/LED1010を覆う、互いに物理的に分離された2つの透明な媒体を含む。図示の実施形態では、光源/LED1010を覆う透明な媒体は、光源/LED1010を包むエポキシを含み得る。しかしながら、別個の透明なカバーが、ハウジング1014の遠位端と同一平面上にある空洞1019の遠位端など、光源/LED1010の遠位に配置される、他の実施形態も企図される。光源/LED1010が、アセンブリ1000の外面に隣接して密閉され、透明な光源カバーが不要である、さらに他の実施形態が企図される。しかしながら、どのようなカバーが使用されても、上述のように、反射のぼけを避けるために、光源とレンズ/イメージセンサとの両方に広がらないことが好ましい。
【0107】
イメージセンサ1020は、CMOSセンサまたは当業者に入手可能なその他のイメージセンサを含むことができ、720p、720i、1080p、1080i、および他の同様の高解像度フォーマットを含むが、これに限定されない様々な異なる解像度で、画像および/またはビデオを取り込むように構成できる。
【0108】
上述のように、光源/LED1010は、ハウジング1014に取り付けられてもよい。好ましい実施形態では、光源/LED1010は、光のトンネリングを最小限にするように、(一部の実施形態では、アセンブリ1000の端部と一致してもよい)ハウジング1014の端部と同一平面に、または少なくとも実質的に同一平面に取り付けることができる。しかしながら、他の実施形態では、光源/LED1010は、ハウジング1014の遠位端および/またはアセンブリ1000の遠位端から陥凹していても、それを超えて延びていてもよい。
【0109】
一部の実施形態では、光源/LED1010およびイメージセンサ1020は、同じPCB1040に結合されてもよい。このような実施形態では、上述のように、光源/LED1010をPCB1040から物理的に分離することが依然として有用であり得る。しかしながら、他の実施形態では、光源/LED1010およびイメージセンサ1020に異なるPCBを設けることができる。例えば、一部の実施形態では、スペーサマウント1017は、光源/LED1010およびイメージセンサ1020が別個のPCBに電気的に結合されるように、追加的または代替的にPCBを備え得る。そのような実施形態では、スペーサマウント1017は、PCBと、イメージセンサ1020が配置され得る他のPCB1040から間隔を空けて光源/LED1010を配置するための手段との両方としての役割を果たすことができる。
【0110】
スペーサマウント/PCB1017および/またはPCB1040などのPCBのうちの1つ以上は、装置の使用期間および/または使用回数を記録するように構成され得る、フラッシュメモリコンポーネント1042または他の不揮発性メモリコンポーネントなどの、コンポーネントを含み得る。この特徴は、事前に設定された回数または時間の期間を超える、装置の使い捨てコンポーネント(一部の実施形態では、画像処理のためのドングル以外のボアスコープ装置全体)の使用を防止する、または少なくとも抑制するために使用され得る。
【0111】
よって、例えば、一部の実施形態では、メモリコンポーネントが、装置に関連付けられたサイクルのオン/オフを格納するように構成されてもよく、閾値の使用回数を検出した場合に、コマンドを送信して、装置の動作を無効にさせる、またはさもなければ装置の使用を制限するように構成され得る。同様に、他の実施形態では、メモリコンポーネントは、装置がオンである、および/または動作している時間の期間を追跡および/または記録するように構成されてもよい。装置は、閾値の使用時間の期間を検出するとコマンドを受信し、装置の動作を無効にしたり、さもなければ装置の使用を制限したりするように構成することができる。
【0112】
一部の実施形態では、閾値は1回限りの使用であってもよい。換言すれば、一部の実施形態は、単一の手技における装置の使用を可能にするように特に構成することができ、そして、さらなる使用の試みを排除する、または少なくとも抑制することができる。
【0113】
代替的な実施形態では、メモリコンポーネントは、先端アセンブリ1000内の他の場所、またはボアスコープ装置内の他の場所に配置されてもよい。一部の実施形態では、先端アセンブリは、使用回数および/または使用期間の指示を提供するために、スマートチップ、電子カウンタ、または時間ベースのロックアウトを含み得る。次いで、このようなデータは、フラッシュメモリコンポーネントまたは先端アセンブリ内のPCB上にある他の不揮発性メモリコンポーネントなどの先端アセンブリに格納されてもよい。
【0114】
閾値の使用回数および/もしくは使用期間を検出するための方法のステップ、ならびに/または閾値を検出したときに装置の動作を無効にする、またはさもなければ使用を制限するための方法のステップは、先端/装置または代替的にドングルもしくは汎用モバイルコンピューティングデバイスに配置された非一時的機械可読媒体に格納された機械可読命令を使用して実装され得る。
【0115】
一部の実施形態では、ドングルは、閾値を超える使用条件などの特定の条件を受信および/または検出したことに応じて、ボアスコープの使用を制限するように構成されてもよい。よって、一部の実施形態では、ドングルは、ボアスコープに照会するように構成されてもよく、例えば、ボアスコープ装置の閾値の使用期間および閾値の使用回数のうちの少なくとも1つが超過されたことを検出または判定したことに応じて、ボアスコープを無効にする、警告音を出す、視覚的警告を出す、および/または警告信号を送信して、ボアスコープのさらなる使用を禁止または防止するように試みることができる。
【0116】
一部の実施形態では、使用データは、ボアスコープ装置自体内の代わりに、またはそれに加えて、ドングルに格納されてもよい。よって、ドングルは、時間数、パワーサイクル数、タイムスタンプなどの使用データをボアスコープから受信するように構成されてもよく、あるいは、そのデータの一部または全部を自体で検出するように構成されてもよい。例えば、一部の実施形態では、電源投入またはパワーサイクルを検出し、タイマーまたはクロックを開始するように、ドングルを構成することができる。電源オフまたは第2のパワーサイクルを検出すると、タイマー/クロックを停止するように、ドングルを構成することができる。このようにして、ボアスコープ自体にデータを格納する必要はなく、その結果、特に使い捨ての医療用ボアスコープ装置について、コストを制限し得る。
【0117】
この使用データは、生成されたのがボアスコープでもドングルでも、記録保持のために単純に格納されてもよく、あるいは、上記のように、閾値条件を検出する場合など、1つ以上の動作をもたらすように構成されてもよい。
【0118】
一部の実施形態では、代替的または追加的に、PCB1040および/またはさもなければ先端アセンブリ1000に、他の命令、設定またはデータを格納することができる。例えば、一部の実施形態では、ズーム設定、照明設定、画像処理設定、または他の同様の設定もしくはデータは、PCB1040上に配置された非一時的メモリおよび/または先端アセンブリ1000に格納され得る。このようなデータは、追加的または代替的に、先端アセンブリ1000および/またはボアスコープの1つ以上の他のコンポーネントが1回の使用もしくは制限された使用回数の後に廃棄され得るように、先端アセンブリ1000と取り外し可能に結合されるように構成され得るドングルに格納されてもよい。
【0119】
図11Aおよび
図11Bは、代替的な実施形態によるボアスコープシステム用のハンドル本体1100を示している。ハンドル本体1100は、そこからボアスコープ管が延び得る遠位端1102を備える。ハンドル本体1100は、そこから1つ以上のワイヤが延び得る近位端1104をさらに備える。上述のように、このようなワイヤは、一部の実施形態では、ドングルおよび/またはモバイルコンピューティングデバイスと結合され得る。
【0120】
遠位端1102のポート1106は、ボアスコープ管を受けるように構成され得る。一部の実施形態では、ボアスコープ管は、ポート1106に取り外し可能に結合され得る。あるいは、ボアスコープ管は、ポート1106でハンドル本体1100に永続的に固定され得る。同様に、近位端1104において、イメージングデータをドングル、コンピューティングデバイス、および/またはディスプレイに配信するために、1つ以上のワイヤが内部に延びることができる、別のポート1108が設けられてもよい。
【0121】
ハンドル本体1100は、近位端1104に隣接する狭窄ステム1110をさらに備え、これにより、ユーザは、手技中にハンドル本体1100が所望の回転方向にあることを触覚的または視覚的のどちらかの確認によって確認することができる。狭窄ステム1110はまた、ハンドル本体1100の底面に凹部1115を部分的に画定する。凹部1115はまた、手技中にハンドル本体1100が所望の回転方向にあることを触覚的または視覚的のどちらかの確認によって確認する能力を提供する。使用の際、外科医/ユーザは、使用中凹部1115内で静止している、最も典型的には小指および/または薬指などのユーザの指のうちの1つ以上を用いてハンドル本体1100を保持することが予想される。よって、凹部1115および/または狭窄ステム1110は、ボアスコープハンドルの回転方向を確認するための手段の追加的な例である。
【0122】
一部の実施形態では、ドングルおよび/または先端アセンブリ1000などのボアスコープを使用して、規制上の記録保持、インシデント報告、または一般的な記録保持に有用であり得るデータを格納することができる。換言すれば、ドングルおよび/またはボアスコープは、航空業界の「ブラックボックス」と同様に機能するように構成され得る。より具体的には、一部の実施形態では、使用データは、医療処置中に医療用ボアスコープから取得され、ボアスコープ装置自体またはドングルのどちらかに格納されて、後で、医療処置中の医療用ボアスコープの使用に関する情報を取得するためにアクセスできるようにされてもよい。このような情報により、規制機関、裁判所などが、特定の手技中に何が起こったのか、および/または何時であったのかを判断できる。または、そのような情報は、社内/院内の記録保持の目的で単純に使用できる。一部の実施形態では、1つ以上のイベントおよび医療処置を行うために使用される装置の状況をより良く取得および格納できるように、使用データは、時間データおよび/または型式/装置識別データなどの他のデータと相互に関連付けされ得る。ドングルは、格納されたデータと特定の手技を行うために使用された装置との間のリンクを維持しながら、取り外されて他のボアスコープと共に使用されるので、型式/装置識別データを提供することは、ブラックボックスデータを格納するためにドングルが使用される実施形態に関連して特に有用であり得る。
【0123】
このような使用データにより、医療処置の特定の態様を再現できる。一部の実施形態および実装形態では、使用データは、例えば、医療処置の期間、医療処置中に予想外の事象によってトリガされる画像などの医療処置に関連付けられた画像、医療処置に関連付けられたタイムスタンプ、医療処置に関連付けられた温度測定値、ボアスコープの向き、ボアスコープの位置、医療処置中のボアスコープのピーク速度などのボアスコープの速度、および医療用ボアスコープに関連付けられたパワーサイクルカウンタのうちの1つ以上を含み得る。
【0124】
代替的または追加的に、パラメータおよび/または較正データは、使用データとは別個にまたは使用データと共にのいずれかで、ドングルおよび/またはボアスコープ装置に格納され、および/またはドングルおよび/または別の装置に送信され得る。例えば、一部の実施形態および実装形態では、例えば、医療用ボアスコープに関連付けられたシリアル番号または型番などの型式識別データを格納してもよい。一部のそのような実施形態では、型式識別データは、例えば、装置の先端にあるメモリコンポーネント内など、ボアスコープ装置内に格納することができる。次いで、そのようなデータにより、検出された特定のボアスコープに従って、ドングルがボアスコープに照会し、動作パラメータおよび/または制御パラメータを調整できる。このようにして、単一のドングルを様々な異なるスコープと共に使用できる。例えば、ドングルは、スコープがHDスコープであるかSDスコープであるか、スコープで使用されるレンズのサイズ、光のタイプおよび/または数などを判定し得る。この情報はまた、その機能に応じてスコープの特定の機能を有効または無効にするためにも使用できる。
【0125】
一部の実施形態および実装形態では、使用データは、上述の「ブラックボックス」の目的のためにのみ使用され得る。他の実施形態および実装形態では、型式識別データのみが取得および格納され得る。あるいは、使用データは、ブラックボックスの目的に加えて、またはブラックボックスの目的の代わりに、異なる目的のために取得および使用することができる。例えば、使用データは、本明細書の別の箇所で説明したように、装置の使用期間および/または使用回数を制限するために使用され得る。一部のこのような実施形態では、使用データは、ボアスコープの1つ以上の部分の使い捨てを強制/制御するために使用され得る。
【0126】
一部の実施形態では、特定のデータは、このようにして、ボアスコープに格納され、装置の使用をさらに制御/制限するために、ドングルによって照会され得る、および/またはドングルに送信され得る。例えば、一部の実施形態では、ボアスコープのメモリコンポーネント内には、許容される使用回数、許容される使用期間、および/または許可された動作設定が格納され、ドングルと結合すると、ドングルによって取得されて、そのような制御パラメータが強制され得る。一部の実施形態では、制御パラメータの閾値が超過されたことを検出した場合に、ドングルは、ボアスコープ装置のさらなる動作を無効にする、または制限するように構成され得る。
【0127】
一部の実施形態および実装形態では、較正データが、ボアスコープ装置および/またはドングルに格納されてもよい。特定の好ましい実施形態では、そのような較正データは、ボアスコープ装置の先端に配置され得るメモリコンポーネント上など、ボアスコープ装置上に格納され、ドングルによって照会され得る、および/またはドングルに送信され得る。そのような較正データと共に動作し得る他のデータが、ドングルに格納されてもよい。例えば、一部の実施形態では、ドングルが、集中データベースに照会することなく、特定のレンズ較正データについてボアスコープに照会し、ボアスコープから受信したレンズデータに従って適切な補正を適用できるように、補正パラメータなどのレンズ較正データが、ボアスコープおよび/またはドングルに格納され得る。較正データの別の例として、特定のLEDが部品ごとに十分な変動を有する場合、および/または複数のLED製造業者が特定のボアスコープまたはボアスコープセットに対して使用される場合に、特定のスコープのLEDの色スペクトルの内容が、スコープ内のメモリコンポーネントに格納され得るように、ホワイトバランスパラメータが、ボアスコープおよび/またはドングルに格納され得、そのような一部の実施形態では、そのようなデータは、手技の前に、ボアスコープの較正に使用するためにドングルに送信され得る。
【0128】
ボアスコープ1200の別の実施形態を
図12Aおよび
図12Bに示す。ボアスコープ1200は、そこからボアスコープ管1220が延びている遠位端1202を有するハンドルを備える。好ましい実施形態では、ボアスコープ管1220は、ポリカーボネートまたはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの非導電性材料を含む。これは、装置の安全性に寄与する、アーク放電の防止などのいくつかの利点を提供し得る。本発明者らは、非導電性の管が、管1220内で生成された信号との電磁干渉(EMI)を防止するか、または少なくとも低減することができる、望ましい電磁気絶縁を提供し得ることも発見した。非導電性の管部分を設けることはまた、EMI遮蔽を提供するために必要な構成を単純化できる。
【0129】
ボアスコープ1200は、近位端1204をさらに備える。ボアスコープ1200は、ドングルに結合され得るワイヤを備えるのではなく、ボアスコープ1200のハンドル内に形成されるポート1235に直接挿入され得るドングル1300を備える。しかしながら、所望であれば他の目的のために、近位端1204にポート1208を依然として形成してもよい。
【0130】
ドングル1300は、メモリ素子1310と、上述のように、ボアスコープ1200のイメージセンサからの画像データを処理するために使用され得るプロセッサ1320とをさらに備える。ドングル1300は、ドングル1300をボアスコープ1200に結合するために使用され得、一部の実施形態では、汎用コンピュータなどの別の装置にドングル1300を結合可能とし得るデータポート1330をさらに備える。このようにして、上述のように、使用データなどのボアスコープ1200から取得されたデータは、メモリ素子1310に格納され、最終的には医療処置後に別のコンピュータに転送され得る。
【0131】
ボアスコープ1200のハンドルは、近位端1204に隣接する狭窄ステム1210をさらに備え、これにより、上述のように、ユーザは、手技中にハンドルが所望の回転方向にあることを触覚的または視覚的のいずれかの検査によって確認することができる。狭窄ステム1210はまた、ハンドル本体の底面に凹部1215を部分的に画定する。凹部1215はまた、手技中にハンドル本体1200が所望の回転方向にあることを触覚的または視覚的のいずれかの検査によって確認する能力を提供する。
【0132】
ボアスコープ管1220は、先端1230を備える。先端1230および/またはボアスコープ1200内の別のコンポーネントは、様々な付加的な機能要素を備え得る。要素のこのような組み合わせの一例が、先端1230の拡大図である
図12Bに示されている。先端1230は、イメージセンサ1260に対して円周状に配置された3つのLED1240を含む。先端1230は、ボアスコープ管1220および/またはボアスコープ1200のハンドルの長さの少なくとも一部分まで延び得る、1つ以上のスルーポート1270をさらに備え得る。先端1230は、上述のように、1つ以上のレンズ1250をさらに備え得る。
【0133】
上述のデータ格納/送信の実施態様のうちの1つ以上を容易にするために、先端1230は、メモリ素子1280と、1つ以上のセンサ1282とをさらに備え得る。使用データなどのデータを収集するのに有用であり得るセンサの例としては、温度センサ、圧力センサ、インピーダンスセンサ、ジャイロスコープ、タイマー、クロックなどが挙げられる。一部の実施形態では、センサ1282のうちの1つ以上は、第2のイメージセンサを備え得る。そのようなイメージセンサは、主たるイメージセンサ1260とは別個に、選択された瞬間に画像を取得するように使用され得る。そのようなセンサ(複数可)から外科手技中に取得されたデータは、メモリ素子1280に格納でき、最終的には、一部の実施形態では、ドングル1300内に配置されたメモリ素子1310などの同様のメモリ素子に送信され得る。
【0134】
ボアスコープ装置とドングルとを備えるボアスコープシステムの使用のための方法1300の一例が、
図13の流れ図に示されている。方法1300は、ドングルがボアスコープと結合され得るステップ1305から始まる。一部の実装形態では、ドングルは、使い捨てボアスコープと結合され得る。次いで、ステップ1310において、ボアスコープは、ドングルによって照会され得る。一部の実装形態では、ステップ1310は、シリアル番号および/または型式識別などの型式識別データについてボアスコープに照会するステップを含み得る。代替的または追加的に、ボアスコープから較正データを取得できる。代替的または追加的に、ボアスコープの望ましくない使用を制限することをドングルが助け得るように、ステップ1310において、使用パラメータおよび/または事前の使用データを取得できる。ステップ1315において、ボアスコープから取得したデータは、後の使用のためにドングルに格納され得る。
【0135】
ステップ1320において、使用パラメータを超えたか否かに関する問い合わせを行うことができる。例えば、上述のように、一部の実装形態では、ボアスコープが以前に使用されたか否か、またはボアスコープが所定の閾値の使用期間または使用回数を超えたか否かに関して、ドングルによって照会を行うことができる。もしそうであれば、ステップ1325において、ボアスコープのさらなる使用が制限され得る。例えば、一部の実装形態では、ドングルは、ステップ1325において、ボアスコープの1つ以上の機能を無効にすることができる。使用パラメータを超えていない場合、プロセス1300は、手技がボアスコープの使用を開始し得るステップ1330に進む。一部の実装形態では、ステップ1330は、装置のさらなる使用の追跡を考慮に入れてクロックまたはカウンタを開始することをさらに含み得る。
【0136】
ステップ1330に続いて、使用データが、ステップ1335において医療処置中に感知され得る。例えば、上述のように、ボアスコープの先端および/または他の場所に配置された1つ以上のセンサを使用して、後の復元のために、手技の様々な態様を追跡および/または記録できる。一部の実装形態では、プロセス1300は、ステップ1320に医療処置に先行させるのに加えて、またはそれに代えて、処置全体の様々な時点でステップ1320に戻ることができる。例えば、一部の実装形態では、ドングルまたはシステムの別の要素が、ボアスコープの使用を追跡、および/または周期的にそのような使用を照会して、処置中に使用データを感知しながら、医療処置中に使用パラメータが超過されたか否かを判定し得る。
【0137】
処置中に取得された使用データは、ステップ1340でドングルに送信され得る。これは、データがステップ1335で収集されるときに行われてもよいし、処置が完了した後に行われてもよい。代替的な実装形態では、使用データは、ドングルではなく、ボアスコープ装置内の先端または別の場所内に単に格納され得る。
【0138】
ステップ1340に続いて、ドングルは、ステップ1345において取り外されて、処置中に取得されたデータの格納を斟酌し得る。一部の実装形態では、次いで、ステップ1350において、スコープの1つ以上の部分を廃棄し、ドングルを新しいボアスコープに結合して使用し得る。
【0139】
本発明は、その趣旨または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実施することができる。記載された実施形態は、すべての点において、例示的なものであって限定的なものではないとみなされるべきである。従って、本発明の範囲は、上記の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味および均等物の範囲内に入るすべての変更は、その範囲内に包含されるべきである。