特開2022-1747(P2022-1747A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2022-1747(P2022-1747A)
(43)【公開日】2022年1月6日
(54)【発明の名称】燃料タンク
(51)【国際特許分類】
   F02B 77/00 20060101AFI20211210BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20211210BHJP
【FI】
   F02B77/00 A
   F02M37/00 301D
   F02M37/00 301J
   F02M37/00 301S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-106850(P2020-106850)
(22)【出願日】2020年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】五島 朗
(72)【発明者】
【氏名】東 知世洋
(57)【要約】
【課題】クレーン等で良好に吊り上げて移送させることができる燃料タンクを提供する。
【解決手段】燃料タンク11は、底板11aと側板11bと鏡板11cと天井板11dとを備えた略直方体状に形成され、天井板11dに突条部11eが形成される。燃料タンク11は、底板11aと、側板11bと、側板11bの先端部に連接される天井板11dの半体11fと、天井板11dの半体11fの先端部に連接される突条部11eの半体11gとを一枚の板材を曲げ加工することにより一体に設け、突条部11eの半体11gの板端同士を重合させ、重なり部11hを接合して角筒状に形成し、両端に形成される開口部に鏡板11cを接合して形成され、鏡板11cは、本体部11kの上端中央部から上方に向けて矩形状に突出し、突条部11eの端部に溶接される吊り耳部11mを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井板と、底板と、互いに対向する二対の側板とを備えた直方体状の燃料タンクにおいて、対向する一方の前記側板は、上端中央部に、上方に突出し互いに対向する一対の吊り耳部を備えるとともに、前記天井板に、両端がそれぞれ前記側板に接合する補強部材を設けたことを特徴とする燃料タンク。
【請求項2】
前記補強部材は、前記天井板を上方に突出させ、両端が前記吊り耳部にそれぞれ接合する突条部であることを特徴とする請求項1記載の燃料タンク。
【請求項3】
前記燃料タンクは、前記底板と、対向する他方の前記側板と、他方の前記側板の先端部にそれぞれ連接される前記天井板の半体と、該天井板の半体の先端部にそれぞれ連接される前記突条部の半体とを一枚の板材を曲げ加工することにより一体に設けるとともに、前記突条部の半体の板端同士を重合させ、重なり部を接合して角筒状に形成し、両端に形成される開口部に、前記一方の前記側板をそれぞれ接合することにより形成されることを特徴とする請求項2記載の燃料タンク。
【請求項4】
前記側板の底板側に、前記側板を貫通して一端が燃料タンク内に開口するとともに、他端が前記側板の外側に開口するドレン排出口を設けるとともに、該ドレン排出口の内面の下端部を、前記底板と同一平面上に配置したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の燃料タンク。
【請求項5】
前記底板を前記ドレン排出口に向けて、下方に傾斜させることを特徴とする請求項4項記載の燃料タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクに関し、詳しくは、エンジン作業機に搭載される燃料タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電機等の作業機と該作業機を駆動するエンジンとをケーシング内に備えたエンジン作業機では、ケーシングの下部にエンジンに燃料を供給する燃料タンクを収容したものがある。この燃料タンクは、ゴミや水が沈殿して底部に溜まることから、燃料供給管の下端部を燃料タンクの底部より上方に離間して配置し、燃料と共にゴミや水を吸い上げないようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−263062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1のような燃料タンクでは、タンク内の洗浄等、定期的にメンテナンス作業を行う際に、安定した状態で作業が行えるように、エンジン作業機から搬出し、メンテナンス作業場まで移送されることがあった。しかし、燃料タンク内には、燃料や沈殿した水が残留していることから重量が嵩み、燃料タンクの移送に手間が掛かっていた。
【0005】
このため、燃料タンクをクレーン等で吊り上げて移送することが望まれているが、燃料タンクは、エンジン作業機に重量制限があることから、極力、軽量化が求められ、板厚が薄く抑えられている。このため、側板の上部に吊り耳部を突設し、該吊り耳部にロープを掛け渡してクレーン等で吊り上げようとすると、吊り耳部の強度が不足するおそれがあった。
【0006】
そこで本発明は、クレーン等で良好に吊り上げて移送させることができる燃料タンクを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の燃料タンクは、天井板と、底板と、互いに対向する二対の側板とを備えた直方体状の燃料タンクにおいて、対向する一方の前記側板は、上端中央部に、上方に突出し互いに対向する一対の吊り耳部を備えるとともに、前記天井板に、両端がそれぞれ前記側板に接合する補強部材を設けたことを特徴としている。
【0008】
また、前記補強部材は、前記天井板を上方に突出させ、両端が前記吊り耳部にそれぞれ接合する突条部であると好ましい。
【0009】
さらに、前記燃料タンクは、前記底板と、対向する他方の前記側板と、他方の前記側板の先端部にそれぞれ連接される前記天井板の半体と、該天井板の半体の先端部にそれぞれ連接される前記突条部の半体とを一枚の板材を曲げ加工することにより一体に設けるとともに、前記突条部の半体の板端同士を重合させ、重なり部を接合して角筒状に形成し、両端に形成される開口部に、前記一方の前記側板をそれぞれ接合することにより形成されると好適である。
【0010】
また、前記一方の側板の底板側に、前記一方の側板を貫通して一端が燃料タンク内に開口するとともに、他端が前記一方の側板の外側に開口するドレン排出口を設けるとともに、該ドレン排出口の内面の下端部を、前記底板と同一平面上に配置すると好ましい。
【0011】
さらに、前記底板を前記ドレン排出口に向けて、下方に傾斜させるとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の燃料タンクによれば、対向する一方の側板は、上端中央部に、互いに対向する吊り耳部を備え、天井板に、両端が一方の側板にそれぞれ接合する補強部材を設けたことにより、強度を確保した吊り構造を設けることができる。これにより、メンテナンス時に内部に燃料や沈殿した水が残留していても、燃料タンクを良好に吊り上げて移送させることができ、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0013】
また、補強部材を、天井板を上方に突出させ、両端が吊り耳部にそれぞれ接合する突条部で形成することにより、燃料タンクの重量を、極力増大させることなく、燃料タンクに強度を備えた吊り構造を設けることができる。また、燃料を燃料タンクに供給する際に、天井板の内側に、液面の上限よりも上方に形成される突条部による空間部が設けられることから、誤って、燃料を入れ過ぎることがあっても、余剰分が空間部に導入され、燃料が給油管から溢れることを防止できる。
【0014】
さらに、燃料タンクは、底板と、対向する他方の側板と、他方の側板の先端部にそれぞれ連接される天井板の半体と、該天井板の半体の先端部にそれぞれ連接される突条部の半体とを一枚の板材を曲げ加工することにより一体に設け、突条部の半体の板端同士を重合させ、重なり部を接合して角筒状に形成するとともに、両端に形成される開口部に、前記一方の前記側板をそれぞれ接合することにより形成されることにより、吊り耳部を備えた燃料タンクを安価に形成することができる。
【0015】
さらに、側板の底板側に、側板を貫通して一端が燃料タンク内に開口するとともに、他端が側板の外側に開口するドレン排出口を設けるとともに、該ドレン排出口の内面の下端部を、底板と同一平面上に配置したことにより、燃料タンク内に沈殿するゴミや水を外部に良好に排出させることができる。
【0016】
また、底板をドレン排出口に向けて、下方に傾斜させることにより、燃料タンク内に沈殿するゴミや水をより確実に外部に排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1形態例を示す燃料タンクの斜視図である。
図2図1のII−II断面図である。
図3】燃料タンクを収容したエンジン作業機の説明図である。
図4】本発明の第2形態例を示す燃料タンクの側面図である。
図5図4のV−V断面図である。
図6】本発明の第3形態例を示すエンジン作業機の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1乃至図3は、本発明の燃料タンクの第1形態例を示す図である。図3は、本発明の燃料タンク11を収容したエンジン作業機を示すもので、エンジン作業機21は、床台22の上部に配設されたケーシング21aの内部に、作業機の一つである発電機(図示せず)と、該発電機を駆動するエンジン23と、燃料タンク11,ラジエータ24,マフラ25等の機器とを収容している。
【0019】
エンジン23とマフラ25との間には、ラジエータ24を装着した仕切壁21bが設けられ、この仕切壁21bによってケーシング21a内が、発電機やエンジン23を収容したエンジン室21cと、マフラ25を含む排気管25aと燃料タンク11とを収容した排風室21dとに区画されている。
【0020】
排風室21dは、天井壁21eに、発電機やエンジン23を冷却した後の空気や排ガスを外部に放出するための排風口21fが設けられている。排風口21fの下方には、仕切壁21bに対向する側壁21gから仕切壁21bに向けて、排風口21fから浸入する雨水を排水口21hに導くガイド板21iが取り付けられ、ガイド板21iの下方に燃料タンク11が配置されている。
【0021】
燃料タンク11は、底板11aと、対向する側板11b,11b(本発明の他方の側板)と、対向する鏡板11c,11c(本発明の一方の側板)と、天井板11dとを備えた略直方体状に形成され、天井板11dには、突条部11e(本発明の補強部材)が形成される。また、この燃料タンク11は、底板11aと、側板11b,11bと、側板11b,11bの先端部にそれぞれ連接される天井板11dの半体11f,11fと、天井板11dの半体11f,11fの先端部にそれぞれ連接される突条部11eの半体11g,11gとを一枚の板材を曲げ加工することにより一体に設け、突条部11eの半体11gの板端同士を重合させ、重なり部11hを接合して角筒状に形成し、両端に形成される開口部に鏡板11c,11cをそれぞれ接合することにより形成される。
【0022】
突条部11eの半体11gは、天井板11dの半体11fの先端部からそれぞれ立ち上がる立上げ片11iと、該立上げ片11iの上部を内曲げ形成してなる上面11jとを有し、上面11jの板端同士を重合させて前記重なり部11hが形成され、重なり部11hを溶接することにより、突条部11eは、断面コ字状に形成される。
【0023】
底板11aは、鏡板11c,11c近傍の下部に、鏡板11cと平行に取り付けられるチャンネル部材で形成された第1脚部12,12と、該第1脚部12,12の中央部を、第1脚部12,12と直交する方向に繋ぎ、両端が鏡板11c,11cにそれぞれ連結されるチャンネル部材で形成された第2脚部13とが取り付けられている。
【0024】
各鏡板11cは、底板11aと側板11b,11bと天井板11dの半体11f,11fとに溶接される本体部11kと、該本体部11kの上端中央部から上方に向けて矩形状に突出し、突条部11eの端部に溶接される吊り耳部11mとが一体に形成されている。また、吊り耳部11mの上方両隅には、燃料タンク11の吊り上げ時に吊り具を装着する挿通孔11n,11nが形成されている。さらに、燃料タンク11の内側には、各鏡板11cと、突条部11eの上面11jと、第2脚部13とにそれぞれ接合される補強用チャンネル部材14,14が取り付けられている。
【0025】
一方の天井板11dの半体11fの突条部11eの近傍には、下端が燃料タンク11内に開口し、天井板11dの半体11fから斜め上方に向けて突出する筒状の給油管15が設けられ、この給油管15を介して燃料タンク11内に燃料が供給される。さらに、図示を省略するが、エンジン23に燃料を供給する燃料供給パイプや、エンジン23から戻る燃料を燃料タンク内に導入する燃料戻りパイプが、天井板11dの半体11fを貫通して設けられ、燃料供給管は、従来の燃料タンクと同様に、ゴミや水が沈殿して燃料タンク11の底部に溜まることから、下端部を燃料タンク11の底部より上方に離間して配置させている。
【0026】
このように形成された燃料タンク11は、タンク内の洗浄等、メンテナンス作業を行う際には、エンジン作業機21から搬出された後、各吊り耳部11mに設けられた挿通孔11n,11nに吊り具を装着し、クレーン等で吊って、メンテナンス作業が行われる場所まで移送される。この時、吊り耳部11m,11mには、突条部11eが連結されており、さらに、燃料タンク11の内部に、鏡板11c,11cと、突条部11eの上面11jと、第2脚部13とにそれぞれ接合する補強用チャンネル部材14,14が取り付けられていることから、吊り耳部11m,11mの強度が確保され、燃料タンク11内に、燃料や沈殿した水が残留していても、燃料タンク11を良好に吊り上げて移送させることができ、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0027】
また、燃料タンク11は、底板11aと側板11b,11bと天井板11dの半体11f,11fと突条部11eの半体11g,11gとを一枚の板材を曲げ加工することにより一体に設け、突条部11eの半体11gの板端同士を重合させ、重なり部11hを接合して角筒状に形成することにより、溶接箇所を減少させることができ、燃料タンク11の重量を極力増大させることなく、安価に形成することができる。
【0028】
さらに、図2に示されるように、給油管15を介して燃料の液面を視認しながら燃料を燃料タンク11内に供給する際に、天井板11dの半体11fの内側には、液面の上限よりも上方に形成される突条部11eによる空間部E1が形成されていることから、誤って、燃料を入れ過ぎることがあっても、余剰分が空間部E1に導入され、燃料が給油管15から溢れることを防止できる。
【0029】
尚、燃料タンク11は、上述の形態例のように、補強用チャンネル部材14を設けていなくても差し支えない。
【0030】
図4乃至図6は、本発明の他の形態例を示すもので、第1形態例と同様の構成要素を示すものには、同一の符号をそれぞれ付して、その詳細な説明は省略する。
【0031】
図4及び図5は、本発明の第2形態例を示すもので、本形態例の燃料タンク31に設けられる各第1脚部32は、一方の側板11b側から他方の側板11b側に向けて、漸次、高さ寸法が長く形成され、燃料タンク11は、設置した状態で底板11aが、一方の側板11b側に対して他方の側板11b側が相対的に高くなるように傾斜する。
【0032】
また、一方の鏡板11cの本体部11kには、一方の側板11b側の底板11a近傍に、ドレン排出口33が設けられている。ドレン排出口33は、本体部11kを貫通して、一端が燃料タンク11内に開口するとともに、他端が鏡板11cの外側に開口する円筒状に形成され、ドレン排出口33の内周面の下端部33aは、底板11aと同一平面上に配置される。
【0033】
本形態例は、上述のように、傾斜して設けられる燃料タンク11の低い位置にドレン排出口33が設けられるとともに、ドレン排出口33の内周面の下端部33aが、底板11aと同一平面上に配置されることから、燃料タンク11の底板11aの低い位置に溜まるゴミや水等を確実に外部に排出させることができる。
【0034】
図6は、本発明の第3形態例を示すもので、本形態例の燃料タンク41は、天井板41aが平坦状の一枚板で形成され、天井板41aの内面に、両端が側板11b,11bの上部に接合するチャンネル部材で形成された補強部材42が溶接されている。
【0035】
本形態例は、上述のように天井板41aの内面に、形鋼等の部材を追加する簡単な構造で天井板41aの曲げ強度を大きくすることができる。
【0036】
尚、本発明の燃料タンクは、上述の各形態例に限らず、補強部材の形状は、天井板を断面円弧状に曲げ加工したものや断面三角形状に曲げ加工したもの等、任意である。また、燃料タンクは、底板と側板と天井板と突条部とを曲げ加工することにより一体に形成するものに限らず、直方体状に形成されるものであれば、どのように形成されるものでもよい。さらに、ドレン排出口は、燃料タンクの底板側に設けられれば、どの位置に設けられていても差し支えなく、例えば、ドレン排出口を側板の底板側中央部に設け、底板を中央部に向けて下方に傾斜させることもできる。また、底板をドレン排出口に向けて傾斜させていなくても差し支えない。また、燃料タンクが収容されるエンジン作業機は、発電機の他、コンプレッサやポンプや建設機械の油圧ユニット等を駆動する各種のエンジン作業機が挙げられる。
【符号の説明】
【0037】
11…燃料タンク、11a…底板、11b…側板、11c…鏡板、11d…天井板、11e…突条部、11f…天井板の半体、11g…突条部の半体、11h…重なり部、11i…立上げ片、11j…上面、11k…本体部、11m…吊り耳部、11n…挿通孔、12…第1脚部、13…第2脚部、14…補強用チャンネル部材、15…給油管、21…エンジン作業機、21a…ケーシング、21b…仕切壁、21c…エンジン室、21d…排風室、21e…天井壁、21f…排風口、21g…側壁、21h…排水口、21i…ガイド板、22…床台、23…エンジン、24…ラジエータ、25…マフラ、25a…排気管、31…燃料タンク、32…第1脚部、33…ドレン排出口、33a…下端面、41…燃料タンク、41a…天井板、42…補強部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6