【解決手段】ケーブル検査装置10は、橋を支持するケーブル5を非破壊的に検査する。ケーブル検査装置10は、中性子源21と中性子検出装置22を備える。中性子源21は、ケーブル5に中性子線を照射する。中性子検出装置22は、ケーブル5の外部に配置される検出面23を有し、中性子線の照射時にケーブル5から放出され検出面23に入射する中性子のうち、高速中性子のエネルギーよりも低い所定値以下のエネルギーを有する対象中性子を検出し、検出した対象中性子の個数を検出し、その入射個数を計測する。
前記ケーブルの長手方向における前記検出面の寸法は、該長手方向における前記照射領域の寸法よりも大きい、請求項9〜12のいずれか一項に記載のケーブル検査方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0013】
(検査対象の一例である斜張橋)
図1は、本発明のケーブル検査装置10の検査対象となる斜張橋1の一例を示す。斜張橋1は、橋脚2と、橋脚2に支持される橋桁4とを備える。斜張橋1は、複数のケーブル5により支持されている。詳しくは、各ケーブル5は、橋脚2上に設けられた塔3と橋桁4との間に張架され橋桁4を支持する。すなわち、橋桁4は、ケーブル5を介して塔3に支持される。
図1において、各ケーブル5の両端部は、それぞれ、塔3と橋桁4に結合されている。各ケーブル5の一端部は、橋桁4の補強部材(例えばトラス)を介して橋桁4に結合されていてもよい。
【0014】
図2は、1本のケーブル5の断面図である。ケーブル5は、複数(例えば多数)の金属線11と、被覆層12とを含んで構成されている。各金属線11は、例えば鉄が主成分である鋼で形成された鋼線である。被覆層12は、複数の金属線11の束の外周全体を覆う。被覆層12は、ケーブル5の長手方向に延びている。被覆層12は、耐候性が高い材料(例えばポリエチレン、フッ素樹脂等の合成樹脂)で形成されている。被覆層12は、複数の金属線11の束を内部に収容した保護管であってもよい。なお、ケーブル5は、
図2のように、被覆層12の内側において金属線11を束ねる拘束部13が設けられていてもよい。金属線11の束の直径は、例えば100mm以上であってよいが、これに限定されない。また、吊橋、エクストラドーズド橋などの他の橋を支持するケーブルも、上述のケーブル5と同じ構成を有している。したがって、以下で述べるケーブル5は、上述の構成を有するが、斜張橋1を支持するケーブルであっても、吊橋、エクストラドーズド橋などの他の橋を支持するケーブルであってもよい。
【0015】
[第1実施形態]
(ケーブル検査装置の構成)
図3は、本発明の第1実施形態によるケーブル検査装置10の構成例を示す。
図4は、
図3のIV−IV矢視図である。ケーブル検査装置10は、既設の橋を支持するケーブル5を非破壊的に検査する装置である。より詳しくは、ケーブル検査装置10は、ケーブル5の内部に水分が存在するかどうかを検査するために用いられる。ケーブル検査装置10は、ケーブル5に中性子線を照射し、該中性子線の各中性子のうち、ケーブル5から放出された中性子のうち、高速中性子のエネルギーよりも低い所定値以下のエネルギーを有する中性子を検出する。ケーブル検査装置10は、中性子源21と、中性子検出装置22とを備える。
【0016】
中性子源21は、検査対象となるケーブル5の外部からケーブル5に中性子線を照射する。中性子源21は、微小のパルス時間幅(例えば0.1ミリ秒程度)を有するパルス中性子線を放出するように構成されていてもよいし、中性子線を連続的に放出するように構成されていてもよい。中性子源21は、ケーブル5の長手方向(以下で単にケーブル長手方向ともいう)と交差(例えば直交)する方向に中性子線をケーブル5に照射する。
【0017】
中性子源21は、
図1の例では、イオン源21aと加速装置21bとビーム調整器21cとターゲット21dと容器21eと管状遮蔽部材21fを有する。イオン源21aは、例えば、水素イオン(陽子)を発生させる。加速装置21bは、イオン源21aで発生させた陽子を加速する。ビーム調整器21cは、加速装置21bにより加速された陽子ビームの方向や広がりを、ターゲット21dに合わせて調整する複数の磁場コイルを有する。ビーム調整器21cを経た陽子ビームは、ターゲット21dに入射する。これにより、陽子とターゲット21d(例えばベリリウム)との反応により中性子が発生する。ターゲット21dは、中性子およびガンマ線がそれぞれ透過し難い材料で形成された容器21e内に配置されている。容器21eには、容器21eの外面から内部まで貫通する穴が形成されている。この穴には、中性子放出用の管状遮蔽部材21fが取り付けられている。管状遮蔽部材21fは、中性子が透過し難い材料で形成されている。ターゲット21dで発生した中性子は、管状遮蔽部材21fの内部を通ることにより、中性子線として放出されケーブル5に照射される。
【0018】
このような中性子源21は、移動可能な程度に小型に構成することができる。したがって、中性子源21を検査対象の橋へ搬送し、該橋を支持しているケーブル5に中性子線を照射する位置に中性子源21を配置することができる。
【0019】
中性子検出装置22は、ケーブル5の外部に配置される検出面23を有する。中性子源21が中性子線をケーブル5に照射した時に、中性子検出装置22は、ケーブル5から放出され検出面23に入射する中性子のうち、高速中性子のエネルギー(10
5eV)よりも低い所定値以下のエネルギーを有する中性子(以下で、単に対象中性子ともいう)を検出し、検出した該対象中性子の個数を計測する。
【0020】
中性子検出装置22は、中性子検出器22a、データ生成部22b、記憶部22c、及びデータ処理部22dを備える。
【0021】
中性子検出器22aは、ケーブル5からの中性子を検出する2次元的な検出面23を有する。ケーブル5内に水が存在する場合、ケーブル5に照射された中性子は、ケーブル5内に存在する水に入射すると、該水により減速されてエネルギーを減ずる(例えば熱中性子になる)。そこで、ケーブル5内の水を欠陥として検出するために、中性子検出器22aは、検出面23に入射する中性子のうち、上記所定値以下のエネルギーを有する対象中性子を検出するように構成されている。この所定値は、1つの実施例では、1meV以上10eV以下の値(例えば数ミリeVから数eVの範囲)である。ただし、本発明によると、上記所定値は、1eV以上1×10eV以下の値であってもよいし、10eV以上1×10
2eV以下の値であってもよいし、1×10
2eV以上1×10
3eV以下の値であってもよいし、1×10
3eV以上1×10
4eV以下の値であってもよいし、他の範囲内の値であってもよい。なお、検出可能な中性子のエネルギー範囲は、中性子の検出器に応じて異なっているので、上述したエネルギー範囲の中性子を検出する検出器を、中性子検出器22aとして選定してよい。また、上述したエネルギー範囲の中性子を検出するように中性子検出器22aの測定系を設計してもよい。
【0022】
第1実施形態では、検出面23は平面であってよい。検査時に、検出面23は、ケーブル5の外周面に対向するように配置される。検出面23に、対象中性子が入射する度に、中性子検出器22aは、該対象中性子を検出して、検出面23における該対象中性子の入射位置を示す検出信号を出力する。
【0023】
データ生成部22bは、中性子検出器22aから出力される各検出信号に基づいて、検出面23における各位置毎に、該位置に入射した対象中性子の個数(以下で単に入射個数ともいう)を表わした検出データを生成して出力する。データ生成部22bは、検出開始時点から検出終了時点までの計測期間にわたって生成された各検出信号に基づいて検出データを生成してよい。中性子源21がパルス中性子線をケーブル5に照射する場合、検出開始時点は、中性子源21がパルス中性子を放出する開始時点であってよい。検出終了時点は、中性子検出器22aが微小単位時間で検出面23に入射する対象中性子の総数が、ピーク時と比べて十分に少なくなる見込み時点であってよく、予め推定により定められてよい。検出データは、検出面23における各位置毎について、計測期間内において該位置に入射した中性子の総数を示す。計測期間の長さは、例えば10分程度であるが、これに限定されない。
【0024】
記憶部22cは、検出データに相当するデータであって、検査対象のケーブル5と構成が同じで健全なケーブルに対して得られる基準データを記憶する。例えば、検査対象のケーブル5と構造(材質や寸法など)が同じであって内部に水等の欠陥部分を含んでいないケーブルに対して、ケーブル検査装置10により上述の検出データを予め取得し、この検出データを基準データとする。この場合、基準データと、実際の検査時の検出データとは、同じケーブル検査装置10により、同じ構造のケーブルについて同じ条件で取得されるのがよい。
【0025】
データ処理部22dは、本実施形態では、検出面23の各位置毎に、基準データの入射個数と検出データの入射個数と差を表わした差分データ(処理データ)を生成して出力する。
【0026】
表示部22eは、データ処理部22dから出力された差分データをその画面に表示する。例えば、表示部22eは、差分データとして、2次元的な検出面23と、この検出面23における各位置において該位置での上記差を表わす指標(例えば色、濃淡、又は数値)とを表示する。なお、差分データの出力先は、この例では表示部22eであるが、他の箇所(例えば適宜の記憶装置)であってもよい。
【0027】
<照射する中性子のエネルギー>
以下において、中性子を金属線11に入射させた場合に、該中性子が金属線11に対して共鳴散乱する該中性子のエネルギーを共鳴散乱エネルギーという。
【0028】
中性子源21は、本実施形態では、共鳴散乱エネルギーを有する中性子を含む中性子線をケーブル5に照射する。この場合、中性子源21がケーブル5に照射する中性子線のうち所定割合の中性子は、共鳴散乱エネルギーを有する。ここで、この所定割合は、15%以上、30%以上、50%以上。70%以上又は80%以上の割合であってよいが、他の値の割合であってもよい。
【0029】
金属線11は、鋼で形成された鋼線であってよい。鋼は大部分が鉄(
56Fe)で構成されている。これに関して、鉄(
56Fe)に対する共鳴散乱エネルギーの範囲は、約10keV以上であり約8MeV以下の範囲である(この範囲は、例えば非特許文献1のデータに基づいている)。したがって、金属線11が鋼線である場合、共鳴散乱エネルギーは、該範囲内のエネルギーである。
【0030】
図5は、上述の中性子源21から放出され、モデレータ(減速材)により減速させない場合の中性子線のエネルギースペクトルの一例を示す。
図5において、横軸は、中性子のエネルギー(運動エネルギー)を示し、縦軸は、単位時間(秒)に単位断面(cm
2)を通過する中性子の数を示す。
【0031】
図5に関連して、中性子は、そのエネルギーに応じて高速中性子、熱中性子などに区分される。高速中性子と熱中性子のエネルギー範囲は、一般的には厳密に定義されていない。本願においては、高速中性子は、現実的には(例えば実施例においては)1×10
5以上(100keV以上)のエネルギーを有する中性子がよいが、これに限定されない。また、本願において、熱中性子は、例えば数十meV(例えば0.05eV)以下のエネルギーを有する中性子であってよいが、これに限定されない。この場合、0.01eV以下のエネルギーを有する中性子は、熱中性子に属してもよいし、熱中性子に属さず冷中性子に属してもよい。
56Feに対する共鳴散乱エネルギーは、高速中性子に属する。
【0032】
中性子源21は、多数の高速中性子を含む中性子線をケーブル5に照射するように構成される。例えば、中性子源21は、熱中性子と高速中性子のうち、実質的に高速中性子のみからなる中性子線をケーブル5に照射するように構成されてよい。この場合、該中性子線には、熱外中性子が含まれてよい。また、該中性子線を構成する高速中性子には、上述した共鳴散乱エネルギー(例えば、
56Feに対する共鳴散乱エネルギー)を有する中性子が多数含まれているのがよい。中性子源21は、熱中性子と高速中性子のうち、実質的に高速中性子のみからなる中性子線をケーブル5に照射するために、ターゲット21dからケーブル5へ中性子線が進行する経路に配置された熱中性子遮蔽材21gを備え、この熱中性子遮蔽材21gを介して中性子線をケーブル5に照射してよい。この場合、熱中性子遮蔽材21gを通過する直前の中性子線は、例えば
図5のエネルギースペクトルを有していてよい。
【0033】
<ケーブルと中性子線と中性子検出器の位置関係>
ケーブル5に照射される直前の中性子線の断面(以下で単に中性子線断面ともいう)は、ケーブル長手方向(
図4の上下方向)における寸法D1が、ケーブル長手方向に直交する方向(
図3の上下方向)の寸法D2よりも大きくてよい。この場合、中性子線断面の形状は、例えば略矩形又は略楕円形(
図4では略矩形)であってよい。寸法D2は、ケーブル5の外径Dc以下(例えばケーブル5の外径と同じ又は金属線11の束の外径と同じ)であってよい。また、中性子線断面は、中性子線の進行方向に見た場合に、ケーブル5の範囲内に収まるのがよい。
図4において、斜線部分は、ケーブル5の外周面において中性子線が照射される照射領域である。
【0034】
共鳴散乱エネルギーを有する中性子がケーブル5に照射された場合、該中性子は、金属線11中で共鳴散乱して金属線11中を伝播するので、ケーブル5への中性子線の照射領域Rからケーブル長手方向に離れた位置からも、散乱された多くの中性子がケーブル5外へ放出される。したがって、検査時に、ケーブル長手方向において、検出面23の一部が照射領域の範囲内に位置し、検出面23の他の部分が照射領域の範囲外に位置するように、中性子検出器22aを配置してよい。なお、検査時に、ケーブル長手方向において、検出面23の全体が照射領域の範囲外に位置するように、中性子検出器22aを配置してもよい。
【0035】
このような場合、検出面23が、ケーブル長手方向における照射領域の範囲外において、照射領域の範囲外と照射領域の範囲内との境界からケーブル長手方向に連続して延びている部分(以下で照射外部分という)の長さをLとする。Lは、ケーブル5の外径Dc又は金属線11の束の外径以上であってもよい(例えば、Lは、該外径の2倍、3倍、5倍、又は7倍以上であってよいが、これに限定されない)。なお、
図4では、検出面23の照射外部分は、長手方向両側に位置し、それぞれ、LとしてL1とL2の長さを有する。
【0036】
<ケーブルの周方向における中性子検出器の配置>
ケーブル5の周方向における中性子検出器22aの配置について説明する。中性子検出器22aは、ケーブル5内において水が存在する水領域の近くに配置されていると、この水領域からの対象中性子を多く検出する。その結果、ケーブル5内に水が存在していることをより確実に検出することが可能となる。
【0037】
図6(A)は、
図3の一部に相当し、
図6(B)〜
図6(D)は、
図6(A)に対して、中性子源21とケーブル5の位置を変えずに、中性子検出器22aの位置を変えた場合を示す。
図6において、水が存在すると想定した水領域をX1〜X4で示している。
【0038】
中性子検出器22aを配置する位置として、次の正面位置、反対位置、中間位置がある。なお、以下で、ケーブル5の周方向を単に周方向といい、ケーブル5の半径方向を単に半径方向という。
正面位置:照射領域(例えば照射領域の周方向中央)と半径方向に対向する位置。
反対位置:照射領域(例えば照射領域の周方向中央)と反対側に位置する、ケーブル5外周面の箇所(以下で反対側箇所という)と半径方向に対向する位置。
中間位置:周方向において正面位置と反対位置との中間の位置。
なお、中間位置として、
図6(C)と
図6(D)の位置のように、ケーブル5に関して互いに反対側の2つの位置がある。
【0039】
図6(A)の水領域X1が存在する場合には、中性子検出器22aは、この図のように水領域X1に近い上記正面位置に配置された場合には、上記反対位置と上記中間位置への配置と比べて、水領域X1に起因する対象中性子を、大幅に多く検出できる。
図6(B)〜
図6(D)の水領域X2〜X4の各々についても、中性子検出器22aは、該水領域に近い上記反対位置又は上記空間位置に配置された場合には、他の配置と比べて、該水領域に起因する対象中性子を、大幅に多く検出できる。実際の検査では、ケーブル5の外部からケーブル5の内部を見ることができないので、例えば
図6(A)〜(D)のそれぞれの配置のように周方向に中性子検出器22aの配置を変えて、該配置毎に検査を行うのがよい。
【0040】
図7は、円柱の形状を有する鉄に、その側面から中性子線を照射した場合に、鉄の内部で散乱して鉄の外部へ放出される中性子の数のシミュレーション結果である。
図7の横軸は、上記鉄内の中心点から見た角度θを表す。この中心点は、入射中性子線の延長線と上記円柱の軸との交差部の中心点である。角度θは、中性子線の鉄への入射方向とのなす角度である。
図7の縦軸は、鉄の内部で散乱して鉄の外部へ放出される中性子の数を、入射中性子の数に対する比率で示す。より詳しくは、
図7の縦軸は、対応する角度θについて、上記中心点から見て該角度θの方向に存在する微小領域を通過する中性子の数の上記比率を示す。この微小領域は、上記中心点を中心とし上記円柱の半径と同じ半径rを有する球の表面の一部である。微小領域の面積は、2πr
2sinθdθである。
図7について、入射中性子数で放射中性子数を規格化しており、縦軸の数値は「例」としての意味を持つ値である。
【0041】
図7の斜線部分が示すように、相当数の中性子が、鉄内部で散乱して中性子線の照射領域と反対側へ放出されている。具体的には、入射方向に対して30度以内の角度で放出された中性子数は、放出された散乱中性子の総数の7.6%である。したがって、ケーブル5の金属線11が鉄を主成分とする鋼線である場合でも、照射領域の反対側である上記反対位置でも、中性子を検出することができる。したがって、上記反対位置でも、ケーブル5内の水で減速された対象中性子を多く検出できるといえる。
【0042】
(ケーブル検査方法)
図8は、本発明の第1実施形態によるケーブル検査方法を示すフローチャートである。このケーブル検査方法は、橋を支持するケーブル5を検査する方法であり、上述のケーブル検査装置10を用いて行われる。ケーブル検査方法は、ステップS1〜S4を有する。
【0043】
ステップS1では、中性子源21と中性子検出器22aを(橋を支持している状態の)ケーブル5に対して配置する。中性子源21は、ケーブル5の外周面上の所望の領域(照射領域)に中性子線を照射する位置に配置される。本実施形態では、中性子検出器22aは、例えば、上記正面位置、上記反対位置、又は上記中間位置に配置される。この時、中性子源21と中性子検出器22aは、図示しない適宜の支持構造体又は支持装置に支持されてよい。
【0044】
ステップS2では、中性子源21により、ケーブル5の外周面における照射領域に中性子線(例えばパルス中性子線)を照射する。
【0045】
ステップS3では、ステップS2によりケーブル5から外部へ放出される対象中性子を、中性子検出装置22により検出し、該検出された対象中性子の個数を計測する。本実施形態では、ステップS2によりケーブル5から放出され検出面23に入射する対象中性子を検出し、該検出された対象中性子の個数を計測する。ステップS3は、ステップS31〜S33を有していてよい。
【0046】
ステップS31では、検出面23における各位置毎に、中性子検出器22aは上述の検出信号を出力し、データ生成部22bは、検出面23における各位置毎に、該位置に入射した対象中性子の個数を表わした検出データを生成して出力する。
【0047】
ステップS32では、データ処理部22dは、検出面23の各位置毎に、基準データの入射個数とステップS31で出力された検出データの入射個数と差を表わした差分データを生成して出力する。
【0048】
ステップS33では、表示部22eは、ステップS32で出力された差分データを、画面に表示する。例えば、表示部22eは、後述の
図16のようなデータを差分データとして表示する。
【0049】
ステップS4では、ケーブル5に対する中性子源21の位置(すなわち、照射領域)を一定に保った状態で、中性子検出器22aの位置を周方向に変える。その後、再びステップS2,S3を行う。このようにしてステップS2〜S4を繰り返すことにより、中性子検出器22aの各周方向位置について、ステップS2,S3を行う。これらの周方向位置は、例えば、上記正面位置と、上記反対位置と、ケーブル5に関して互いに反対側の2つの上記中間位置であってよい。
【0050】
このようにステップS2〜S4を繰り返しで中性子検出器22aの位置を変えて検査を行うことができる。これにより、水の存在を最も強く示している差分データに対応する中性子検出器22aの位置の近くに水が存在することが分かる。
【0051】
また、上述は、ケーブル5に対する中性子源21の位置を一定にした場合を説明したが、中性子源21の位置(照射領域)をケーブル長手方向に変えて、各照射領域について、上述のようにステップS2〜S4を繰り返し行ってもよい。この場合、ケーブル5の長手方向端部を優先的に照射領域として検査を行うのがよい。水が存在する可能性は、ケーブル5の長手方向端部がケーブル5の他の部分よりも高い傾向にあるからである。
【0052】
<実験例1>
図9(A)(B)は、それぞれ、ケーブル検査装置10によるケーブル5の検査における、中性子源21と中性子検出器22aとケーブル5の配置を示す。
図9(A)(B)における中性子検出器22aの位置は上記正面位置に相当する。
図9(A)の場合には、内部に水が存在しない健全なケーブル5を配置した。
図9(B)の場合には、ケーブル5の内部にアクリル板を配置した。アクリルの水素密度は、水の水素密度とほぼ同じであり、水素に中性子は反応しやすい。したがって、アクリル板24を水とみなせる。
【0053】
実験例1で用いたケーブル5の各金属線11は鋼線であり、鋼線11の束の外径は100mmであり、この束は、ポリエチレン製の保護管12内に配置されている。また、実験例1で用いたアクリル板24は、形状が直方体であり、厚みが5mmであり、ケーブル長辺方向の寸法(この図の紙面と直交する方向の寸法)が300mmであり、短辺方向の寸法が50mmである。
【0054】
図9(A)(B)の各々についてケーブル検査装置10による検査を行った。すなわち、中性子源21により中性子線をケーブル5に照射し、中性子検出器22aによりケーブル5からの対象中性子を検出した。ケーブル5への中性子線の照射方向に見て照射領域が、ケーブル5の長手方向においてアクリル板24の存在範囲内に含まれるように中性子線をケーブル5に照射した。
図9(A)(B)の各々についての検査は、
図9(B)では一部の金属線11の代わりにアクリル板24をケーブル5の内部に配置した点以外は、同じ条件で行われた。
【0055】
図10(A)(B)は、それぞれ、
図9(B)(A)の場合についての検査の結果を示す。
図10(A)(B)において、大きな長方形は、
図10(A)(B)の左右方向に見た場合の2次元的な検出面23を示す。該検出面23は、長手方向における実際の検出面23の一部であり、この一部は、長手方向範囲がアクリル板24と同じ範囲である。
図10(A)(B)のデータは、10分の計測期間にわたる検出面23への対象中性子の入射個数であり、計測開始時点はパルス中性子線のケーブル5への照射時点である。
【0056】
図10(A)(B)において、検出面23の領域A〜Eは、単位面積あたりの対象中性子の入射個数が互いに異なる領域である。領域Aは、単位面積あたりの対象中性子の入射個数が概ね2500以上3000未満の領域であり、領域Bは、単位面積あたりの対象中性子の入射個数が概ね2000以上2500未満の領域であり、領域Cは、単位面積あたりの対象中性子の入射個数が概ね1500以上2000未満の領域であり、領域Dは、単位面積あたりの対象中性子の入射個数が概ね1000以上1500未満の領域であり、領域Eは、単位面積あたりの対象中性子の入射個数が概ね1000未満の領域である。
【0057】
ケーブル5内にアクリル板24(水)が存在する
図10(A)の場合には、健全なケーブル5の
図10(B)の場合と比べて、検出される対象中性子の入射個数が大幅に多くなる。したがって、検出される対象中性子の入射個数に基づいて、ケーブル5内に水が存在するかどうかを検出することができる。
【0058】
<実験例2>
図11(A)〜(D)は、それぞれ、ケーブル検査装置10によるケーブル5の検査における、中性子源21と中性子検出器22aとケーブル5の配置を示す。
図11(A)〜(D)における中性子検出器22aの位置は上記正面位置に相当する。
図11(A)〜(D)では、ケーブル5の内部にアクリル板24を4枚積層して配置した。
図11(A)〜(D)では、4枚のアクリル板24の位置が互いに異なるが、中性子源21と中性子検出器22aの位置は同じである。
【0059】
実験例2で用いたケーブル5の構造(材質や寸法など)は、実験例1で用いたケーブル5と同じである。また、実験例2で用いた各アクリル板24の構造(寸法や形状など)は、実験例1で用いたアクリル板24と同じである。
【0060】
図11(A)〜(D)の各々についてケーブル検査装置10による検査を行った。すなわち、中性子源21により中性子線をケーブル5に照射し、中性子検出器22aによりケーブル5からの対象中性子を検出した。ケーブル5への中性子線の照射方向に見て照射領域が、ケーブル長手方向においてアクリル板24の存在範囲内に含まれるように中性子線をケーブル5に照射した。
図11(A)〜(D)についての検査は、4枚のアクリル板24の位置が互いに異なる点以外は、同じ条件で行われた。
【0061】
図12(A)〜(D)は、それぞれ、
図11(A)〜(D)の場合についての検査の結果を示す。
図12(A)〜(D)において、大きな長方形は、
図11(A)〜(D)の左右方向に見た場合の2次元的な検出面23を示す。該検出面23は、長手方向における実際の検出面23の一部であり、この一部は、長手方向範囲がアクリル板24と同じ範囲である。
図12(A)〜(D)のデータは、10分の計測期間にわたる検出面23への対象中性子の入射個数に関するデータであり、計測開始時点はパルス中性子線のケーブル5への照射時点である。
【0062】
図12(A)〜(D)は、検出面23の各位置における単位面積あたりの対象中性子の入射個数の、該位置での基準値に対する比率を示している。ここで、基準値は、4枚のアクリル板24をケーブル5内に配置しなかった場合における対象中性子の入射個数であり、具体的には、上述した
図9(A)の検出面23における各位置毎の入射個数である。
【0063】
図12(A)において、領域Aは、上記比率が概ね7以上8未満の領域であり、領域Bは、上記比率が概ね6以上7未満の領域であり、領域Cは、上記比率が概ね4以上6未満の領域であり、領域Dは、上記比率が概ね2以上4未満の領域である。
【0064】
図12(B)と(C)において、領域Eは、上記比率が概ね2以上3未満の領域であり、領域Fは、上記比率が概ね2未満の領域である。
図12(D)において、領域Cは、上記比率が概ね4以上6未満の領域であり、領域Gは、上記比率が概ね3以上4未満の領域であり、領域Hは、上記比率が概ね3未満の領域である。
【0065】
図11(A)と
図12(A)のように、ケーブル5内のアクリル板24(水)の近くであってアクリル板24に対向する位置に中性子検出器22aを配置した場合には、検出面23において上記比率が7以上となる領域が生じ、中性子検出器22aの他の配置(
図11(B)〜(D))よりも、検出面23に入射する対象中性子の個数は大幅に多くなる。
【0066】
<実験例3>
図13(A)〜(D)は、それぞれ、ケーブル検査装置10によるケーブル5の検査における、中性子源21と中性子検出器22aとケーブル5の配置を示す。
図13(A)〜(D)における中性子検出器22aの位置は上記反対位置に相当する。
図13(A)〜(D)では、ケーブル5の内部に1枚のアクリル板24を配置した。
図13(A)〜(D)では、アクリル板24の位置が互いに異なるが、中性子源21と中性子検出器22aの位置は同じである。
【0067】
実験例3で用いたケーブル5の構造は、実験例1で用いたケーブル5と同じである。また、実験例3で用いた各アクリル板24の構造は、実験例1で用いたアクリル板24と同じである。
【0068】
図13(A)〜(D)の各々についてケーブル検査装置10による検査を行った。すなわち、中性子源21により中性子線をケーブル5に照射し、中性子検出器22aによりケーブル5からの対象中性子を検出した。ケーブル5への中性子線の照射方向に見て照射領域が、ケーブル長手方向においてアクリル板24の存在範囲内に含まれるように中性子線をケーブル5に照射した。
図13(A)〜(D)についての検査は、アクリル板24の位置が互いに異なる点以外は、同じ条件で行われた。
【0069】
図14(A)〜(D)は、それぞれ、
図13(A)〜(D)の場合についての検査の結果を示す。
図14(A)〜(D)において、大きな長方形は、
図13(A)〜(D)の左右方向に見た場合の2次元的な検出面23を示す。該検出面23は、長手方向における実際の検出面23の一部であり、この一部は、長手方向範囲がアクリル板24と同じ範囲である。
図14(A)〜(D)のデータは、10分の計測期間にわたる検出面23への対象中性子の入射個数に関するデータであり、計測開始時点はパルス中性子線のケーブル5への照射時点である。
【0070】
図14(A)〜(D)は、検出面23の各位置における単位面積あたりの対象中性子の入射個数の、該位置での基準値に対する比率を示している。ここで、基準値は、
図13(A)においてアクリル板24の代わりに複数の鋼線11を配置した場合に、検出面23の各位置に入射した対象中性子の個数である。
【0071】
図14(A)〜(D)において、領域Aは、上記比率が概ね1.6以上2.0未満の領域であり、領域Bは、上記比率が概ね1.4以上1.6未満の領域であり、領域Cは、上記比率が概ね1.0以上1.4未満の領域であり、領域Dは、上記比率が概ね1.2以上1.4未満の領域であり、領域Eは、上記比率が概ね1.0以上1.2未満の領域であり、領域Fは、上記比率が概ね1.2以上1.3未満の領域であり、領域Gは、上記比率が概ね1.1以上1.2未満の領域であり、領域Hは、上記比率が概ね1.0以上1.1未満の領域である。
【0072】
図13と
図14のように、中性子検出器22aを上記反対位置に配置した場合でも、アクリル板24が無い場合よりも対象中性子の入射個数が大幅に多くなっていることが分かる。したがって、上記反対位置に中性子検出器22aを配置した場合でも、ケーブル5内に水分が存在するかを検査することができる。
図13(C)のようにアクリル板24が照射領域と反対側に存在する場合でも、中性子検出器22aを、
図14(C)のアクリル板24の近くに配置することで、このアクリル板24(水分)を検出できることが分かる。
【0073】
<実験例4>
図15は、ケーブル検査装置10によるケーブル5の検査における、中性子源21と中性子検出器22aとケーブル5の配置を示す。
図15における中性子検出器22aの位置は上記正面位置に相当する。
【0074】
実験例4で用いたケーブル5の各金属線11は鋼線であり、鋼線11の束の外径は185mmであり、この束は、ポリエチレン製の保護管12内に配置されている。また、実験例4では、直径6mmの8本のアクリル棒25と直径1mmの5本のアクリル棒25を、
図15のようにケーブル5の内部において白い楕円で囲んだ領域に配置した。これらのアクリル棒25は、いずれも長さが500mmであり、ケーブル5内における同じ長手方向位置に配置した。
【0075】
図15についてケーブル検査装置10による検査を行った。すなわち、中性子源21により中性子線をケーブル5に照射し、中性子検出器22aによりケーブル5からの対象中性子を検出した。ケーブル5への中性子線の照射方向に見て照射領域が、ケーブル長手方向においてアクリル板24の存在範囲内に含まれるように中性子線をケーブル5に照射した。
【0076】
図16は、
図15についての検査の結果を示す。
図16において、大きな長方形は、
図16の左右方向に見た場合の2次元的な検出面23を示す。該検出面23は、長手方向における実際の検出面23の一部であり、この一部は、長手方向範囲が各アクリル棒25と同じ範囲である。
図16のデータは、10分の計測期間にわたる検出面23への熱中性子の入射個数に関するデータであり、計測開始時点はパルス中性子線のケーブル5への照射時点である。
【0077】
図16は、差分データを表わしている。すなわち、
図16は、検出面23の各位置における単位面積あたりの入射個数の、該位置での基準値との差を示している。ここで、基準値は、検出面23の各位置における単位面積あたりの入射個数であって、アクリル棒25をケーブル5内に1本も配置しなかった場合における該入射個数であり、具体的には、
図15においてアクリル棒25の領域に複数の鋼棒を充填した場合の該入射個数である。基準値を求めた際の検査は、他の点では
図15についての検査と同じ条件で行われた。
【0078】
図16において、各位置での上記差を、該差の最小値に対する比率で示している。すなわち、
図16において、領域Aは、上記比率が概ね1.4以上1.7未満の領域であり、領域Bは、上記比率が概ね1.2以上1.4未満の領域であり、領域Cは、上記比率が概ね1.0以上1.2未満の領域である。
【0079】
図16の差分データのように、その値(ここでは、上記差の最小値に対する比率)がゼロから実質的に増加している領域が存在する場合には、ケーブル5内に水分が存在していると判断できる。このように、ゼロから実質的に増加しているかどうかは、差分データを見ることで直ぐに認識することができる。また、差分データの値が最も高い領域に相当する位置に水分が存在していると推定できる。
【0080】
(第1実施形態の効果)
上述した第1実施形態よると、ケーブル5に中性子線を照射した場合、ケーブル5内に水が存在すると、中性子は水と反応してそのエネルギーを減ずる。したがって、エネルギーを減じた中性子に相当する対象中性子の検出個数に基づいて、ケーブル5内に水が存在しているかを判断できる。
【0081】
中性子源21は、共鳴散乱エネルギーを有する中性子を含む中性子線をケーブル5に照射する。したがって、中性子は、ケーブル5内で散乱する確率が高くなるので、ケーブル5内で散乱しながら進行する距離が長くなり、その結果、ケーブル5の周方向及び長手方向において広範囲にわたって、ケーブル5の外周面から散乱後の中性子が放出される。よって、照射領域よりも広い範囲にわたってケーブル5内に水が存在するかを検査できる。
【0082】
例えば、検出面23のケーブル長手方向の寸法は、照射領域のケーブル長手方向の寸法よりも大きくてよい。この場合、ケーブル5の照射領域から長手方向にずれた、検出面23における領域への対象中性子の入射個数が所定の閾値よりも多い場合には、該領域に近い(例えば該領域に対向する)ケーブル5内の位置に水が存在すると判断できる。
【0083】
[第2実施形態]
以下で、本発明の第2実施形態について説明するが、以下で説明しない点は、第1実施形態の場合と同じであってよい。
【0084】
(ケーブル検査装置の構成)
図17は、本発明の第2実施形態によるケーブル検査装置10の構成例を示す。第2実施形態では、中性子検出器22aの検出面23は、ケーブル5を配置可能な内側空間を周方向に囲むように形成されている。すなわち、
図17のように該内側空間にケーブル5が位置するように中性子検出器22aを配置した状態で、検出面23は、ケーブル5の周方向にケーブル5を囲んでいる。
【0085】
このような中性子検出器22a(検出面23)は、上記内側空間の周方向に1周するように延びていてよい。この場合、検出面23を有する中性子検出器22aは、上記内側空間の周方向において複数に分割された分割部(
図17の例では、2つの分割部22a1,22a2)を有していてよい。この構成で、複数の分割部は、ケーブル5を周方向に囲むように配置可能である。この状態で、複数の分割部同士を互いに適宜の結合手段で結合させてもよい。適宜の結合手段は、例えば、中性子検出器22aの外周全体を周方向に巻き付けるロープ若しくはテープ、又は、各分割部の外周面に設けたフランジ部同士を結合させるボルトであってよいが、これらに限定されない。また、
図17の状態で、各分割部22a1,22a2は、図示しない支持構造体又は支持装置に支持されてよい。
【0086】
データ生成部22bは、第1実施形態と同様に、中性子検出器22aから出力される各検出信号に基づいて、検出面23における各位置毎(特にケーブル5の周方向における各位置毎)に、該位置に入射した中性子の個数を表わした検出データを生成して出力する。
【0087】
(ケーブル検査方法)
本発明の第2実施形態によるケーブル検査方法では、第2実施形態によるケーブル検査装置10を用いて行われ、第1実施形態のケーブル検査方法と以下で説明する点が相違する。
【0088】
上述のステップS1において、中性子源21と中性子検出器22aをケーブル5に対して配置する。この時、中性子検出器22aは、
図17を参照して上述したようにケーブル5を囲むように配置される。
【0089】
ステップS2は、第1実施形態の場合と同じである。
【0090】
ステップS31では、検出面23における各位置毎に、中性子検出器22aは上述の検出信号を出力し、データ生成部22bは、検出面23における各位置毎に、該位置に入射した対象中性子の個数を表わした検出データを生成して出力する。
【0091】
ステップS32では、データ処理部22dは、検出面23の各位置毎に、基準データの入射個数とステップS31で出力された検出データの入射個数と差を表わした差分データを生成して出力する。ステップS33は、第1実施形態の場合と同じである。
【0092】
第1実施形態と違って、ステップS4は省略され、ステップS2〜S4は繰り返されない。
【0093】
(第2実施形態の効果)
上述した第2実施形態によると、中性子検出器22aは、ケーブル4を囲むように配置可能である。したがって、第1実施形態と違って、ステップS4において中性子検出器22aの位置を周方向に変えることが不要になる。
【0094】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ケーブル検査装置10およびケーブル検査方法は、上述した複数の事項の全て有していなくてもよく、上述した複数の事項のうち一部のみを有していてもよい。また、ケーブル検査装置10およびケーブル検査方法は、上述した作用効果の全てを奏するものなくてもよく、上述した作用効果の一部のみを奏するものであってもよい。
【0095】
また、本発明によると、上述した第1実施形態又は第2実施形態に対して以下の変更例1〜3のいずれかを単独で採用してもよいし、変更例1〜3の2つ以上を任意に組み合わせて採用してもよい。この場合、以下で述べない点は、上述した第1実施形態又は第2実施形態と同じであってよい。
【0096】
(変更例1)
データ処理部22dは、検出面23の各位置毎に、基準データの入射個数と検出データの入射個数との比率(例えば基準データの入射個数に対する検出データの入射個数の比率)を表わした比率データ(処理データ)を生成して出力してもよい。
【0097】
(変更例2)
データ生成部22bは、検出面23全体に入射した対象中性子の総数を表わした検出データを生成して出力してもよい。この場合、基準データは、健全なケーブルに関するデータであって、検出面23全体に入射した対象中性子の総数を表わしたデータであってよく、データ処理部22dは、基準データの総数と検出データの総数との差又は比率を表わした処理データを生成して出力してよい。
【0098】
(変更例3)
上述では、中性子源21は、イオン源21a、加速装置21b、ターゲット21dなどを有するものであったが、これらを備えたものでなくてもよい。すなわち、ケーブル5に中性子線を照射する中性子源は、RI(radioisotope)線源であってもよい。このRI線源は、例えば、
252Cfであってよいが、これに限定されない。