(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2022-2184(P2022-2184A)
(43)【公開日】2022年1月6日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/42 20060101AFI20211210BHJP
【FI】
H01R13/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-106779(P2020-106779)
(22)【出願日】2020年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(72)【発明者】
【氏名】細山田 剛
(72)【発明者】
【氏名】宮本 大智
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE06
5E087FF08
5E087FF12
5E087GG15
5E087MM05
5E087RR06
(57)【要約】
【課題】コンタクトのハウジングへの挿入性を損なわずにコンタクトの所定位置における保持力が向上されたコネクタ
【解決手段】
ランス20は先端部にコンタクト30のボックス部32に係止する係止部21を備え、係止部21はボックス部の幅方向寸法と概ね等しい幅方向の一辺とこの一辺と略等しい高さ方向の一辺とからなる矩形状の係止面211を備える。ボックス部は少なくとも一面に後端部を共有するこの面から外方向に突出する突出し部321を備え、コンタクトが後方から収容室11の正規挿入位置まで挿入された状態で、ボックス部の後端部は係止面211の下寄り部に係止し、突出し部の後端部は係止面の側寄り部に係止する。ランスは係止部の後方に制御部22を備え、コンタクトの収容室への挿入過程で制御部とボックス部の突出し部との摺接でランスがコンタクトの挿入に従って上下方向及び幅方向に変位する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びる収容室の壁面の一部を基端部とする内向き前方に延びるランスを備えたハウジングと前記収容室に後方から挿入されて前記ランスにより所定位置に保持されるコンタクトとからなるコネクタであって、
前記ランスは先端部に前記コンタクトの前方に備わるボックス部の後端部に係止する係止部を備え、前記係止部は前記ボックス部の幅方向寸法と概ね等しい幅方向の一辺とこの一辺と略等しい高さ方向の一辺とからなる矩形状の係止面を備え、
前記ボックス部は少なくとも一面に前記後端部を共有するこの面から外方向に突出する突出し部を備え、
前記コンタクトが後方から前記収容室の正規挿入位置まで挿入された状態で、
前記ボックス部の後端部は前記係止面の下寄り部に係止し、前記突出し部の後端部は前記係止面の側寄り部に係止するところに特徴を有するコネクタ。
【請求項2】
前記ランスは前記先端部の後方に制御部を備え、前記コンタクトの前記収容室への挿入過程で前記制御部と前記ボックス部の突出し部との摺接で前記ランスが前記コンタクトの挿入に従って上下方向及び幅方向に変位するところに特徴を有する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記上下方向の変位と前記幅方向の変位とが同時に生じる過程がるところに特徴を有する請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ボックス部の上面が板材の重ね合わせで、前記突出し部が前記板材の端部の折り曲げで構成されるところに特徴を有する請求項3に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクタのハウジングランスとコンタクトとの係止に関する
【0002】
この分野の技術として特許文献1に記載の技術が知られている。コンタクトの挿入性を維持しつつコンタクトの保持力の向上が図られたコネクタが開示されている。これによれば、コンタクトの保持力の向上を図るために、ハウジングランスの先頭部と、係止時この先頭部に係止するコンタクトボックス部の後端部との当接面積の拡大化がなされている。ハウジングランスの先頭部には、縦方向の一辺に第1係止部と、これに直交する幅方向の一辺に第2係止部とが備わる。これら2つの係止部は端部で角部を形成するようにL字状に備わる。一方コンタクトには、ボックス部後方の幅方向に第1係止部に係止する第1被係止部と、縦方向に第2被係止部に係止する第2被係止部とが備わる。第1被係止部は圧延板材料の重ね合わせ部からなり、第2被係止部は重ね合わせ部の先端の折り曲げ部からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−234655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ハウジングランスの成型で、第1係止部と第2係止部との境界上で段差が生じた場合には、ハウジングランスとコンタクトとの係止部同志の当接面に隙間が生じることとなる。これでは、予定する係止面積が確保されず、十分な保持力が得られなくなるおそれがある。また、このように段差が生じた場合には、コンタクト挿入時の片掛かりが生じたり、挿入フィーリングに違和感が生じたりする場合がある。
【0005】
本発明は上述した問題に鑑みてなされたものであり、コンタクトの挿入性を損なわず、コンタクトの保持力が向上されたコネクタの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコネクタは、(1)前後方向に延びる収容室の壁面の一部を基端部とする内向き前方に延びるランスを備えたハウジングと前記収容室に後方から挿入されて前記ランスにより所定位置に保持されるコンタクトとからなるコネクタであって、前記ランスは先端部に前記コンタクトの前方に備わるボックス部の後端部に係止する係止部を備え、前記係止部は前記ボックス部の幅方向寸法と概ね等しい幅方向の一辺とこの一辺と略等しい高さ方向の一辺とからなる矩形状の係止面を備え、前記ボックス部は少なくとも一面に前記後端部を共有するこの面から外方向に突出する突出し部を備え、前記コンタクトが後方から前記収容室の正規挿入位置まで挿入された状態で、前記ボックス部の後端部は前記係止面の下寄り部に係止し、前記突出し部の後端部は前記係止面の側寄り部に係止するところに特徴を有するものである。
【0007】
この発明によれば、ランスの係止面はボックス部の幅方向寸法と概ね等しく、コンタクトの収容室への正規挿入状態で、ボックス部上辺の端部に係止するとともに突出し部の端部にも係止する。なお挿入過程でランスはコンタクトとの当接により挿入路外に変位するのでコンタクトの挿入に影響するものではない。これにより、ハウジング所定位置へのコンタクトの挿入性を損なわずに、所定位置におけるコンタクトの保持力が向上されたコネクタが得られる。
【0008】
好ましくは、本発明に係るコネクタは、(2)前記ランスは前記先端部の後方に制御部を備え、前記コンタクトの前記収容室への挿入過程で前記制御部と前記ボックス部の突出し部との摺接で前記ランスが前記コンタクトの挿入に従って上下方向及び幅方向に変位するところに特徴を有する(1)に記載のものである。
【0009】
この発明によれば、コンタクトの収容室への挿入過程でランスが斜め方向に移動してコンタクトとの干渉を避ける構造なので、コンタクトのハウジング所定部への挿入性を損なわないコネクタが得られる。
【0010】
好ましくは、本発明に係るコネクタは、(3)前記上下方向の変位と前記幅方向の変位とが同時に生じる過程があるところに特徴を有する(2)に記載のものである。
【0011】
この発明によれば、ランスは斜め方向に移動してコンタクトとの干渉を避けるので、コンタクトのハウジング所定部への挿入性を損なわずに挿入されるコネクタが得られる。
【0012】
好ましくは、本発明のコネクタは、(4)前記ボックス部の上面が板材の重ね合わせで、前記突出し部が前記板材の端部の折り曲げ加工で構成されるところに特徴を有する(3)に記載のものである。
【0013】
この発明によれば、ランスの係止部と係止するコンタクトは、板材が重ね合わさる上辺と突出し部で構成されるので、広い面積の係止構造を備えたコネクタが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るコネクタの要部をとらえた透視斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るハウジングの要部をとらえた断面斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るハウジングの縦方向の断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るランスの外観斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るコンタクトの外観斜視図である。
【
図6】
図6は、同コンタクトのハウジングへの挿入方向を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、同コンタクトの収容室内での挿入過程を示す透視断面図であって、(1)は挿入途中、(2)は挿入完了である。
【
図8】
図8は、同コンタクトとランスの挿入過程の関係を示す斜視図であって、(1)はボックス部が制御部の手前位置、(2)はボックス部の突出し部とランスの制御部とが作用する位置、(3)はランスがボックス部に係止する状態(位置)である。
【
図9】
図9は、同コンタクトとランスの挿入過程の関係を示す正面図であって、(1)は制御部と突出し部との係りはじめを示す正面図、(2)はランスが最大に振れている状態を示す正面図、(3)はランスの振れが元の位置に戻りボックス部の後方に係止する状態を示す正面図である。
【
図10】
図10は、ランスがボックス部の後方で係止する状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係るコネクタを図面に従って説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るコネクタの要部をとらえた透視斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係るハウジングの要部をとらえた断面斜視図である。
図3は、本発明の実施形態に係るハウジングの縦方向の断面図である。
図4は、本発明の実施形態に係るランスの外観斜視図である。
図5は、本発明の実施形態に係るコンタクトの外観斜視図である。
図6は、同コンタクトのハウジングへの挿入方向を示す斜視図である。
図7は、同コンタクトの収容室内での挿入過程を示す透視断面図であって、(1)は挿入途中、(2)は挿入完了である。
図8は、同コンタクトとランスの挿入過程の関係を示す斜視図であって、(1)はボックス部が制御部の手前位置、(2)はボックス部の突出し部とランスの制御部とが作用する位置、(3)はランスがボックス部に係止する状態(位置)である。
図9は、同コンタクトとランスの挿入過程の関係を示す正面図であって、(1)は制御部と突出し部との係りはじめを示す正面図、(2)はランスが最大に振れている状態を示す正面図、(3)はランスの振れが元の位置に戻りボックス部の後方に係止する状態を示す正面図である。
図10は、ランスがボックス部の後方で係止する状態を示す斜視図である。なお、本発明の技術的範囲は本実施形態のコネクタに限定的に解釈されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更をし得るものである。また、説明中の指示方向は図中の方向定義に従う。
【0016】
コネクタ1は、
図1に示されるように、非導電性の合成樹脂からなるハウジング10と、導電性の銅合金等からなるコンタクト30とを備える。ハウジング10は、内部にコンタクト30を収容するための収容室11を備える。収容室11は、コンタクト30を収容、保持するための空間で周囲四方が壁面で構成されている。収容室11は、前方に前開口部13、後方に後開口部12を備える。ハウジング10の中央やや前方の上壁にはランス20が形成され、ランス20の先端部21aは収容室11前方に延び全体的に下方向に傾斜している。収容室11の底壁は、上壁と平行に延びコンタクト30の底面が安定的に定まるように平坦面で構成されている。また、収容室11の左右側面には左壁及び右壁が備わり、隣接する収容室11から区画されている。コンタクト30は、後開口部12から収容室11に挿入され押切り位置まで進んだところで、ランス20によって保持される。
【0017】
ランス20は、
図2−4に示されるように、上壁の一部を基端部とする片持ち梁で上壁の中央部前方から斜め前方に延びている。ランス20の先頭部21aには立方構造の係止部21が備わる。ランス20は、基端部を支点にして全体を撓らせながら上下方向及び左右方向に弾性的に変位する。
【0018】
係止部21の前面には、
図2−4に示されるように、係止面211が備わる。係止面211は矩形状の平坦面である。係止部21の後方には制御部22が備わる。係止部21及び制御部22の構成面は一様に平坦である。
【0019】
制御部22は、
図2−4に示されるように、下面及び側面にテーパー面を備えている。下テーパー面221は、前方で係止部21の下面に連なり後方で基部20aの下面に連なる。側テーパー面222は、前方で係止部21の側面に連なり、後方で側面に連なる。側テーパー面222の前方は、後方に比べて左方向に傾斜している。
【0020】
コンタクト30は、
図5に示されるように、前後方向に沿って延び、後方に電線Wに接続する接続部34と、前方に図示しない相手方コンタクトに接続する接触部31と、そしてその間に連結部とを備える。接続部34は、電線Wの導体部に接続する導体バレル部340と、被覆部に接続する被覆バレル部341とを備える。接触部31は、ボックス構造で先端にボックス部32を備える。
【0021】
ボックス部32は、
図5−6に示されるように、前端に開口部が備わる断面矩形の筒状体で、圧延材の折り曲げ加工で形成される。ボックス部32の前半分は、上面角部が圧延材の付き合せ部になり、後半分は上面で右側面の上端部が直角に左方向に曲げられて既に備わる上面に重ね合わさり重ね合わせ部320を構成する。ボックス部32の後方には切欠き部33が備わる。ボックス部32の後端面は面一の面で構成されている。
【0022】
ボックス部32は、
図5−6に示されるように、上面の重ね合わせ部320の左端に突出し部321が備わる。突出し部321は、重ね合わせ部320の先端が上方に90度曲げ加工された部分である。突出し部321は、ボックス部32の上面から直角に上方向に延びている。重ね合わせ部320の後端面と、突出し部321の後端面とは面一で共通する面を構成する。なお、本実施形態ではボックス部32の上面に突出し部321が備わるが、この形態に限定されるものではなく、たとえば側面から側方向に構成されるものであってもよい。
【0023】
コンタクト30は、
図6に示されるように、ハウジング10の後面に備わる後開口部12から収容室11に挿入される。コンタクト30は、先端部にあるボックス部32の突出し部321が上向く姿勢で後開口部12から挿入される。後開口部12の上部左隅には、コンタクト30の挿入時突出し部321が干渉しないように縦溝部12aが形成されている。コンタクト30を収容室11の押切り位置まで挿入すると、収容室11上壁から斜め前方に延びるランス20にボックス部32が係止する。これにより、コンタクト30はランス20によって保持されることとなる。
【0024】
<ランスの変位>
ランス20は、
図7−8に示されるように、コンタクト30の挿入過程の後半部で、ボックス部32の前面に当接する。この当接開始位置からコンタクト30の挿入量に応じたランス20の移動が開始する。ランス20の移動方向は上方向及び右方向であり、これらの移動は同時に生じる場合があり、そのときランス20は斜め方向に移動する。
【0025】
ランス20は、
図7−8に示されるように、当接開始位置でコンタクト30の挿入量に応じて上方向への移動を開始する。当接開始位置で、ボックス部32の前面の上縁部がランス制御部22の下テーパー面221の上端部に当接する。コンタクト30は、挿入量に応じてランス20全体を撓らせながら前進する。挿入に対する変位の割合は下テーパー面221の傾斜角度等によって決定される。コンタクト30の挿入量が増し、ボックス部32前面の上縁部が制御部22の下テーパー面221と、係止部21の下面との交線部に達した位置でランス20の変位量は最大になる(上方傾斜最大位置)。
【0026】
ランス20は、
図7−8に示されるように、上方傾斜最大位置で制御部22の下テーパー面221と、係止部21下面との角部(交線部)でボックス部32上面に当接する。コンタクト30は、ボックス部32の上面を角部(交線部)に摺接させながら収容室11の奥部に進む。この挿入過程でランス20はほぼ一定の上方傾斜角度を維持して進む。
【0027】
当接開始位置から上方傾斜最大位置までの間、ボックス部32の中央部分がランス先頭部21aを通過するあたりで、ボックス部32上面の後方にある突出し部321と、係止部21後方にある制御部22の側テーパー面222との接触が始まる(側テーパー面当接開始位置)。この側テーパー面当接開始位置から上方傾斜最大位置までの間、ランス20には、下テーパー面221及び側テーパー面222を介して上方向及び側方向の2方向の力が作用する。これにより、ランス20は斜め方向に変位する。
【0028】
コンタクト30の挿入量が増し上方傾斜最大位置で、ランス20の上方向変位が最大になると同時に、ランス20の側方向変位も最大になる。このように、ランス20を上方向及び側方向へ変位させることで少ないスペースでランス20をボックス部32の後方位置(係止位置)へと誘導する。
【0029】
コンタクト30をさらに奥部へすすめると、ランス20の係止部21は、
図7−8に示されるように、ボックス部32の後方位置に進み、やがて切欠き部33に嵌る。係止部21が切欠き部33に嵌ることで、ランス先頭部20aに対するボックス部32からの作用はなくなり、斜め方向に変位していたランス20はもとの姿勢へ復元する。ランス20の全体的な復元により先頭部20aとボックス部32との縦中心線は一致し、係止部21はボックス部32の後方位置に位置(係止位置)する。また、係止面211はボックス部32の後面に当接する。この当接により、コンタクト30に後方への抜け出し力が作用したとき、係止面211はボックス部32の後面に係止し、コンタクト30の抜け出しを阻止する。
【0030】
<係止面>
コンタクト30の挿入過程とランス20の変位を前方から眺めると、
図9の(1)に示されるように、コンタクト30が側テーパー面当接開始位置を過ぎるあたりから、ランス20(先頭部)は上方向への移動に加えて、右方向への移動を開始する。コンタクト30の挿入量が増すとともに、ランス20(先頭部20a)はさらに移動し、
図9の(2)に示されるように、上方向への変位量及び右方向への変位量ともに最大値に近づく。このとき、先頭部20aの縦中心線は、コンタクト30の縦中心線から大きく右方向へずれる。また、先頭部20aの横中心線は、コンタクト30の横中心線から大きく上方向へずれる。
【0031】
コンタクト30の挿入量がさらに増すと、ランス20の先頭部20aは切欠き部33に嵌り、
図9の(3)に示されるように、係止面211がボックス部32の後方位置に重なる。これにより、ランス20はもとの姿勢に戻り、ランス20の縦中心線と、ボックス部32の縦中心線とは重なり合う(復元位置)。
【0032】
復元位置でランス20の先頭部20aは、
図9−10に示されるように、ボックス部32後面との当接位置に位置する。ランス20係止面211の下端部の下部係止面211aは、ボックス部32の幅方向係止面322に係止する。また、ランス20の係止面211の側部係止面211bは、ボックス部32の縦方向係止面323に係止する。ここで、幅方向係止面322は、重ね合わせ部320全体を含み、また縦方向係止面323は、突出し部321全体及び重ね合わせ部320の一部を含む。
【0033】
<効果>
このように、ボックス部32に重ね合わせ部320及び突出し部321が備わりこれらによって幅方向係止面322及び縦方向係止面323が構成される。また、ランス20には平坦な係止面211が備わり、係止面211全体が一体的にボックス部32の幅方向係止面322及び縦方向係止面323に係止する。このような係止構造により、コンタクト30に対するランス20の係止面積が増倍されるので安定的にコンタクト30を保持することができる。また、ランス20の係止面は一様な平坦面で構成されるので相手方係止面が平坦である限り予定する係止面積で係止する係止構造が得られる。
【0034】
ランス20はコンタクト30の挿入時、ボックス部32の突出し部321を横方向にかわすので、コネクタ1の小型化を阻害することなく保持力の優れたコネクタ1が得られる。
【符号の説明】
【0035】
1 コネクタ
10 ハウジング
11 収容室
12 後開口部
13 前開口部
20 ランス
20a 基部
21 係止部
211 係止面
22 制御部
221 下テーパー面
222 側テーパー面
30 コンタクト
31 接触部
32 ボックス部
320 重ね合わせ部
321 突出し部
322 幅方向係止部
323 縦方向係止部
33 切欠き部
34 接続部
340 導体バレル部
341 被覆バレル部
35 連結部
W 電線