【解決手段】対象ブース内の物体の状態を検出する物体検出部と、前記物体の検出結果を規定の状態と比較し、当該比較結果に基づいて異常を判定する異常判定部と、前記対象ブース内を撮影する撮影部と、前記撮影部から出力する映像信号の解像度を前記異常の判定結果に基づいて設定する映像制御部とを備える。
前記物体検出部が、対象ブースの利用者を検出し、前記利用者が前記対象ブース内に存在するときに、前記異常判定部によって前記利用者の状態が異常と判定された場合、前記映像制御部が、前記対象ブース内に前記利用者が存在しない場合と比べて前記撮影部によって撮影された映像信号の解像度を低く設定する請求項1記載のセキュリティ管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〈実施形態1〉
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態は本発明の一例であり、本発明の構成は以下の例には限られない。
【0019】
図1は、本実施形態1に係るセキュリティ管理システム100の構成を示す図である。本実施の形態に係るセキュリティ管理システム100は、カメラ(撮影部)11や、検出部13、制御装置44、警報部45、管理サーバ2を有し、これらがインターネットやLAN(Local Area Network)等のネットワーク5を介して接続されている。セキュリティ管理システム100は、トイレ施設10に設けられたトイレブース(便房)14を管理対象ブースとし、トイレブース14において利用者が残留物を残して退出した場合や、トイレ設備を破壊した場合、トイレ設備を持ち去った場合、利用者がトイレブース内で倒れた場合など、異常が生じた場合に、この異常が生じたことを示す警告を出力する。また、セキュリティ管理システム100は、トイレブースに備えたカメラ11でブース内を撮影し、異常を生じさせた利用者を撮影画像から特定できるようにしている。更に、セキュリティ管理システム100は、この異常を通知する情報(異常通知情報)を所定の通知先、例えばトイレ施設を管理する管理者の用いる管理者端末3へ通知する。なお、
図1では、セキュリティ管理システム100が管理者端末3を含まない例を示したが、セキュリティ管理システム100が、管理者端末3を含んでも良い。
【0020】
トイレ施設10は、例えば百貨店等の商業施設や駅等における、不特定多数の利用者(公衆)が利用する公衆トイレであり、複数の建物の各々や、建物の複数のフロアの各々に備えられる。本実施形態のトイレ施設10は、複数のトイレブース14を有し、各トイレブース14に検出部13及び警報部45を 備えている。検出部13は、対象ブース内の
人又は物の状態を検出する。警報部45は、異常が発生したと判定された場合に、当該異
常の発生を示す警報を出力する。
【0021】
図2はトイレ施設10の一例を示す図である。
図2に示すように、トイレ施設10は、例えば、女性用トイレ施設101、男性用トイレ施設102及び多目的トイレ施設103に区分されている。また、トイレ施設10は、入り口104を除いて周囲が壁面105で囲まれている。即ち、トイレ施設10を利用する利用者は、出入り口104を介してトイレ施設10に出入りする構成となっている。なお、出入り口104は、一カ所に限らず、複数箇所に備えられても良い。各トイレブース14の制御装置44は、異常を検出した場合、管理サーバ2へ通知する。女性用トイレ施設101には大便器41が設けられたトイレブース141が複数設けられ、男性用トイレ施設102には大便器41が設けられたトイレブース141と小便器49が設けられたトイレブース142がそれぞれ複数設けられている。
図2の多目的トイレ施設103は、大便器41の他、オストメイト用設備や乳児用ベッドが備えられた一つのトイレブースである。これに限らず、多目的トイレ施設103は、複数のトイレブースを有しても良い。このように本実施形態のトイレ施設10は、トイレブース14として、大便器41が設けられたトイレブース141と小便器49が設けられたトイレブース142と多目的トイレ施設103とを有している。ここで、トイレブース14とは、扉や壁等で囲まれ、利用時に利用者が一人の状態で用を足すための便器41,49等のトイレ設備1が設けられた空間(室)である。なお、トイレブース14は、一人で利用することに厳密に限定されるものではなく、介助者や乳幼児が利用者と同時に入室可能なものでも良い。また、トイレブース14は、幼児用トイレや小便器49が備えられた空間のように完全に囲われていない空間であっても良い。
【0022】
図3は、大便器41を備えたトイレブース141の一例を示す斜視図、
図4はトイレブース141を示す正面図である。トイレブース141は、左右一対の側壁14L,14R及び後壁14Bにより三方が囲まれ、正面にトイレブース141の出入り口4を開閉する扉9を有する。これら側壁14L、14R、後壁14B、扉9によって囲繞されたトイレブース141の中に大便器41が設置されている。トイレブース141を囲繞する壁14L,14R,14B及び扉9は、床14Fから天井14Cに達する高さとしても良いが、本実施形態では、
図4に示すように左右の側壁14L,14R及び扉9と天井14Cとの間に空間を設けて空気の流通を可能にしている。
【0023】
ここで、左右とは、トイレブース141の外から出入り口4に正対した場合の左側及び右側をいい、前後とは便器41に着座したときの前方及び後方をいい、上下とは、天井14C側(上側)及び便器41の設置面(床)14F側(下側)をいう。
【0024】
左右の側壁14L、14Rは、横断面(水平断面)がJ字形になるように、後端側が直線状で、前端側が左方へ湾曲した形状をなす板材であり(
図2、
図3参照)、隣接するトイレブース141がある場合、左側壁14Lは、左隣に位置する別のトイレブース141の右側壁14Rを兼ね、右側壁14Rは右隣に位置する別のトイレブース141の左側壁14Lを兼ねる。
【0025】
右側壁14Rには、その内側上部にガイドレール8の一端が設置されている(
図3参照)。この右側壁14Rに一端が保持されたガイドレール8は、出入り口4の上部を通り、他端が左側壁14Lに固設されている。なお、
図3には省略したが左隣のトイレブース141の右側壁を兼ねる左側壁14Lのトイレブース内側にもガイドレール8は設置される。このガイドレール8に扉9が垂下された状態で設置され、扉9をガイドレール8に沿って移動させることで出入り口4を開閉する。なお、本実施形態では、扉9が湾曲し、ガイドレール8に沿ってスライドする例を示したが、これに限らず左右側壁及び扉を含む正面を平面とし、トイレブース141の水平断面形状(平面形状)を矩形としても良い。
【0026】
扉9の左側端部には、錠91が設けられ、トイレブース内の利用者によって施錠及び開錠の操作が可能であり、施錠時に左側壁14Lの受け具(不図示)と係合して開扉を抑止する。錠91は、この左側壁14Lと係合する構成に限らず、扉9を閉止できればよく、右側壁14Rと係合する構成や、その他、ガイドレール8、床14F、天井14Cと係合して施錠する構成であっても良い。なお、扉9を自動で開閉するような場合で、利用者が開扉を指示するまで扉9の開動作が行われない構成であれば錠91を省略しても良い。また、扉9には、錠91が施錠されているか否か、或は扉9が閉じられているか否かを検出する開閉センサ92が備えられている。開閉センサ92の検出結果は、トイレブース141が使用中か否かの判定に用いられるため、本実施形態において、開閉センサ92は、検出部13の一形態である。
【0027】
図3、
図4に示すように、各トイレブース141には、便器41、便座装置42、コントローラ43等のトイレ設備1や、カメラ11、物体検出部46、制御装置44、警報部45が備えられている。
【0028】
カメラ11は、トイレブース141の天井14Cに設けられ、天井側からトイレブース内を俯瞰するように撮影する。本例では、天井14Cに一台のカメラ11を設ける構成としたが、これに限らず、カメラ11は、後壁14Bに設けられ、扉9側に撮影レンズを向け、トイレブース141に入室する利用者の正面を撮影するようにしても良い。また、カメラ11は、側壁14Lの出入り口付近に設けられ、撮影レンズを後壁14B側に向け、トイレブース141から退出しようとする利用者の正面を撮影するようにしても良い。また、これら複数の箇所にカメラ11を設けても良い。
【0029】
便座装置42は、洋式の便器41上に設けられ、利用者が着座する座面を加温する機能や温水を吐出して利用者の肛門や局部を洗浄する洗浄機能を有している。また、便座装置42は、利用者が着座しているか否かを検出する着座センサ421を備え、この着座センサ421の検出結果に基づき、利用者が着座しているときに温水の吐出ボタン(不図示)が押されると温水を吐出し、利用者が着座していないときに温水の吐出ボタン(不図示)が押されても温水を吐出しないように、吐出の可否を制御する。また、着座センサ421の検出結果に基づき、利用者が着座していない場合には座面の温度を低くして省電力モードとする制御等を行う。なお、便器41は、洋式に限らず和式であっても良く、和式の便器41が設けられた場合には便座装置42は省略される。
【0030】
コントローラ43は、
図5に示すように、便座装置42の温度設定や洗浄位置の設定などの操作を行う操作部431を有している。また、コントローラ43は、表示部432や、スピーカ433、洗浄ボタン434を有している。この他、非常ボタンや火災報知ボタン、異常無しボタン等、使用状態を入力するボタン(不図示)を備えてもよい。これらのボタンは、表示部に432に表示させ、タッチセンサや操作部431で選択する所謂ソフトウェアキーであってもよい。なお、コントローラ43を検出部13の一形態とし、洗浄ボタン434や使用状態を入力するボタン等に対する操作を対象ブース内の人(利用者)の状態を検出するために用いてもよい。
【0031】
表示部432は、便座の設定温度や洗浄用の温水の温度、洗浄位置の他、制御装置44から受信した情報等を表示する。
【0032】
スピーカ433は、操作部431を操作した際の操作音や、後述の警告に係る音、便器を洗浄する洗浄水が流れる音を模擬する擬音等を出力する。
【0033】
洗浄ボタン434は、便器41に洗浄水を放出する際に利用者によって操作される操作ボタンである。コントローラ43は、洗浄ボタン434が押されたことを検知すると、便
器41のフラッシュ弁(不図示)を開放させて洗浄水を放出させる。
【0034】
警報部45は、管理サーバ2から通知される警報に基づき、警報として音や光を出力する。警報部45は、例えば左右の側壁14L,14Rの上部であって、警報としての光やメッセージを表示する表示部451や音を出力するスピーカ452がトイレブース141の外側へ向けて設けられている。即ち、側壁14L,14Rの上部と天井14Cとの間の空間を介して警報が当該トイレブース内の利用者だけでなく周囲に報知する構成としており、どのトイレブースから警報が発せられているかが分かるようになっている。
【0035】
物体検出部46は、トイレブース14内のトイレ設備1や利用者といった物体の状態を検出する。本例の物体検出部46は、投影部461や変形量算出部462、状態出力部463を備えている。また、カメラ11も物体検出部46の一部を構成している。
【0036】
投影部461は、所定の投影パターンを前記対象ブース内に投影する。投影部461は、例えば光源からの光束の一部を特定のマスクで遮り、このマスクの像を投影面上に投影する構成や、光源からの光速をミラーや回折格子等の光学素子で線状やドット状に導光する構成により、投影面上に明暗のパターンを形成する。なお、この投影パターンは、赤外線等の可視光でない光によって形成されるのが望ましい。また、前記マスクを液晶表示素子で構成し、或は前記ミラーをDMD(Digital Micromirror Device)で構成し、投影パターンを動的に変化させられるようにしてもよい。
【0037】
変形量算出部462は、トイレブース内に投影された投影パターンをカメラ11で撮影して撮影パターンを取得し、所定の高さの平面に投影された場合の前記投影パターンを基準パターンとし、前記基準パターンと比較した場合の前記撮影パターンの変形量を水平面内の位置毎に求める。
【0038】
状態出力部463は、前記変形量に基づいて投影パターンが投影された物体の高さ情報を前記水平面内の位置毎に求めて前記物体の状態として出力する。なお、この投影パターンに基づいて物体の状態を検出する詳細については後述する。
【0039】
物体検出部46は、利用者の身体の部位ごとの位置情報、所謂骨格情報を検出する。例えば利用者の手、腕、頭、顔、肩、腰、足、膝、足先等の位置を検出し、これらの位置関係によって、利用者の姿勢を検出できる。具体的には、足先、膝、腰、肩、頭が、垂直方向に並んでいれば、利用者が立っている状態と検出できる。このとき、利用者の顔の向きによって、利用者が何処に向かって立っているのかも検出できる。更に、足を曲げて腰が便器の座面上に位置していれば、便器に座っていることが検出できる。
【0040】
更に、物体検出部46は、前記位置情報を時系列に取得し、利用者の身体の部位ごとの移動情報を検出する。これにより利用者の動作を検出できる。例えば、手にスマートフォンを持って操作をしている動作や、トイレ設備を所定以上の速さで叩くなど、破壊する動作、便器や汚物入れに両手で触れる動作、注射を行う動作、棚に物を置く動作、着衣を脱ぐ動作などを検出することができる。なお、本例では、利用者に動きがないことを検出する場合も利用者の動作の検出と称する。
【0041】
本例の検出部13は、上述の開閉センサ92やブース内コントローラ43、物体検出部46を含む、この他、火災報知器やトイレブース外の人感センサを含んでもよい。
【0042】
制御装置44は、警報部45や、コントローラ43、便座装置42、物体検出部46等と電気的に接続し、物体検出部46で検出した情報に基づいて、警報部45やコントローラ43を制御する。制御装置44は、例えば
図6に示すように、演算処理部440や、補
助記憶装置443、通信IF(Interface)444、入出力IF(Interface)445、通信バス446を備えたコンピュータである。
【0043】
演算処理部440は、使用状態判定部401、異常判定部402、映像制御部403、出力制御部404を備える。演算処理部440は、Central Processing Unit(CPU)441と、主記憶装置442とを有し、この主記憶装置442に実行可能に展開されたコンピュータプログラムにしたがって、上記使用状態判定部401、異常判定部402、映像制御部403、出力制御部404等の各部としての処理を実行する。CPU441は、MPU(Micro Processor Unit)、マイクロプロセッサ、プロセッサとも呼ばれる。CPU441は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のCPU441がマルチコア構成を有していても良い。上記各部の少なくとも一部の処理は、CPU441以外のプロセッサ、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで行われても良い。また、上記各部の少なくとも一部の処理は、集積回路(IC)、その他のデジタル回路であっても良い。また、上記各部の少なくとも一部にアナログ回路が含まれても良い。集積回路は、LSI,Application Specific Integrated Circuit(ASIC),プログラマブルロ
ジックデバイス(PLD)を含む。PLDは、例えば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含む。上記各部は、プロセッサと集積回路との組み合わせであっても良い。組み
合わせは、例えば、MCU(Micro Controller Unit),SoC(System-on-a-chip),
システムLSI,チップセットなどと呼ばれる。
【0044】
使用状態判定部401は、検出部13による検出結果を所定のタイミングで取得し、当該検出結果に基づいて、対象ブースが使用中か否かを判定する。例えば、本実施形態では、錠91の施錠や、扉9の開閉操作はトイレブース内で行う構成としているため、錠91が施錠された状態、或は扉9が閉じられた状態(開閉センサがオンの状態)を開閉センサ92が検出した場合、トイレブース141内に利用者が入室している状態のため、使用状態判定部401は、トイレブース141が使用状態であると判定する。反対に、錠91が開錠された状態、或は扉9が開かれた状態を開閉センサ92が検出した場合、使用状態判定部401は、トイレブース141が使用状態でないと判定する。これに限らず、使用状態判定部401は、便座装置の着座センサ421が利用者を検出している場合に使用状態と判定し、着座センサ421が利用者を検出していない場合に使用状態でないと判定しても良い。また、使用状態判定部401は、物体検出部46がトイレブース内で利用者を検出している場合に使用状態と判定し、人感センサが利用者を検出していない場合に使用状態でないと判定しても良い。
【0045】
異常判定部402は、検出部13による検出結果を所定のタイミングで取得し、当該検出結果が異常の発生条件を満たしているか否かによって、異常の発生を判定する。
図10は、異常の発生条件を格納した条件テーブル471の一例を示す図である。なお、
図10においては、説明の便宜上、条件が自然言語で示されているが、これに限らず、異常判定部402によって判定可能な情報であればよい。例えば本実施形態では、異常判定部402の機能を提供する演算処理部440によって処理可能な命令やデータとして設定される。
【0046】
図10の条件1によれば、異常判定部402は、施錠状態(例えば開閉センサ92がオンの状態)で、物体検出部46で検出した利用者の身体の最も高い位置が閾値H1以下で、所定時間T1(例えば10秒〜1分)以上動きが無い場合、利用者が床に倒れている可能性があるため、異常と判定する。
図10の条件2によれば、異常判定部402は、施錠状態で、利用者の足が床から閾値H2以上の高さにある場合、利用者が便器等に乗っている可能性があるため、異常と判定する。
図10の条件3によれば、異常判定部402は、
着座センサが利用者を検知した状態が所定時間T2(例えば10分)以上継続し、利用者の手や頭等の部位に動きがない或は痙攣している場合、利用者が急病等で動けなくなっている可能性があるため、異常と判定する。条件4によれば、異常判定部402は、着座センサが利用者を検知せず、施錠状態が所定時間T3(例えば15分)以上継続した場合、利用者が排泄以外のことを行っている可能性があるため、異常と判定する。
【0047】
条件5によれば、異常判定部402は、利用者が便器や汚物入れに両手で所定時間T4(例えば1分)以上触れていること、及び入室後、利用者が着衣を脱ぐ動作を行っていないことを物体検出部46で検出した場合、利用者が盗撮用のカメラ等を設置している可能性があるため、異常と判定する。通常、汚物を捨てる場合には、片手で汚物を持ち、汚物入れの開口から汚物を投入する。また、蓋つきの汚物入れであれば、一方の手で蓋を開け、他方の手で汚物を投入し、蓋を閉めるといった動作になるため、両手で長時間汚物入れに触れる動作は発生しない。これに対し、盗撮用のカメラを設置する場合、片手でカメラを押さえ、他方の手で固定する等の作業を行い、比較的長く便器や汚物入れに手を触れていることになるため、この動作を検出して異常と判定する。なお、通常、便器や汚物入れに深く手を入れることや、長く手を触れることはないため、両手に限らず、片手で所定時間以上触れた場合や、奥まで手を入れる動作を検出した場合に異常と判定しても良い。
【0048】
条件6によれば、異常判定部402は、利用者が注射器を腹部や腿、腕にあてる動作と、その直後に棚や汚物入れに手を伸ばす動作を検出した場合、注射器の針を棚に置いた或は汚物入れに捨てた可能性があるため、異常と判定する。例えば、インシュリンの自己注射やアドレナリンの自己注射をトイレブース内で行っても問題ないが、注射後の針を棚や汚物入れに残すと、他の利用者が怪我をする可能性があるため、異常として検出する。この場合、注射針自体は細く小さいためカメラ11で検出することが難しいが、注射器を扱う利用者の動作を検出することによって、注射針が残されたことを推定する。
【0049】
条件7によれば、異常判定部402は、火災報知器が火や煙を検知した場合、火災の可能性があるため、異常と判定する。
【0050】
また、異常判定部402は、トイレブース141内の物体の検出結果を前記利用者の入室前と前記利用者の退出後で比較し、前記利用者の入室前と退出後で異なっている場合に、異常と判定する。例えば、異常の種別として、不審物の残留、設備の持ち去り、設備の破壊などを判別しても良い。条件8によれば、異常判定部402は、利用者の入室前に存在しなかった物体が利用者の退出後に存在した場合に、当該物体を不審物の残留と判定する。また、条件9によれば、異常判定部402は、利用者の入室前に存在していた物体が利用者の退出後に存在しなくなった場合に、設備の持ち去りと判定する。更に、条件10によれば、異常判定部402は、利用者の入室前に存在していた物体が利用者の退出後に部分的に存在しなくなった場合や形状が変化した場合に、設備の破壊と判定する。また、条件9、10の場合、利用者が当該物体に対して、叩く、分解する等の動作を行っていた場合に異常と判定してもよい。なお、汚物入れや予備のトイレットペーパのように移動可能な設備は、移動可能な物体として、その位置を登録しておき、利用者の退出後、利用者の入室前の位置に存在しなくても、別の位置に存在していた場合には正常な移動と判定し、設備の持ち去りと判定しなくても良い。そして、当該移動可能な物体の位置をこの異動後の位置に更新する。この場合、物体の検出を利用者の入室前と退出後だけでなく、利用中にも行って、当該物体の移動による位置の変化をリアルタイムに検出し、当該物体の位置を追跡することで当該物体が移動したことを確実に検出できるようにしても良い。また、便器の蓋や便座のように所定範囲の移動(例えば開閉)が可能な設備は、所定範囲で移動可能な物体として、その移動可能な範囲を予め登録しておき、利用者の退出後、利用者の入室前の位置に存在しなくても、移動可能な範囲に存在していた場合には正常な移動と判定して設備の持ち去りや破壊と判定せず、移動可能な範囲を超えて移動(存在)してい
た場合に設備の破壊と判定しても良い。更に、トイレットペーパ等の消耗品の位置と消費量の閾値を予め登録しておき、利用者の入室前に存在していた消耗品(物体)が利用者の退出後に存在しなくなった場合でも、存在しなくなった消耗品の量が閾値(例えば1〜2個)以下の場合には、設備の持ち去りと判定せず、存在しなくなった消耗品の量が閾値を超えた場合には、設備の持ち去りと判定しても良い。
【0051】
映像制御部403は、異常判定部402の判定結果に基づき、カメラ11から制御装置44や物体検出部46以外へ出力する映像信号の解像度を設定する。例えば、異常が発生していない場合、カメラ11の映像信号は、制御装置44や物体検出部46に送られ、それ以外、例えば管理者端末3へは送信されない。一方、異常判定部402で異常と判定された場合、カメラ11で撮影した映像信号を管理者端末3へ送信することで、管理者がトイレブース内の状況を直ちに確認できる。このとき、トイレブース内に利用者が存在しない場合、例えば利用者の退出後に残留物が検出されたような場合には、カメラ11で撮影した映像信号をそのままの解像度で管理者端末3へ提供し、トイレブース内に利用者が存在する場合、例えば利用者の動作が異常と判定された場合には、カメラ11で撮影した映像信号をの解像度を利用者が存在しない場合と比べて低くして管理者端末3へ提供する。ここで解像度を低くするとは、映像信号の単位面積当たりの画素数(例えばdpi)を少なくすることや、コントラストや輝度、彩度、シャープネスを変更すること等により、物体の像を描画する程度を低くすることである。なお、本例において、解像度を低くするとは、利用者のプライバシーが確保されるように、利用者の画像が詳細に描画されなければよいので、利用者として認識した部分をぼかすことや、モザイクやマスクを入れること、シルエット画像や抽象的な図形に置き換えることも含む。
【0052】
出力制御部404は、異常判定部402の判定結果に基づいて、異常が発生したと判定された場合に、当該異常の発生を示す警告をコントローラ43や警報部45といった出力部から出力させる。ここで警告とは、例えば「異常が発生しました。」のようにコントローラ43の表示部432に表示させる又はスピーカ433から音声出力させるメッセージである。また、警報とは、警告を示す光や音を表示部432やスピーカ433から出力するものであっても良い。また、警報として出力するメッセージを異常の種別毎に登録しておき、不審物の残留の場合に「お忘れ物がございます。」、設備の持ち去りの場合に「設備が持ち出されました。持ち出した設備を元に戻して下さい。」のように、発生した異常の種別と対応するメッセージを出力させても良い。
【0053】
主記憶装置442は、CPU441が読み出したプログラムやデータのキャッシュや、CPUの作業領域として用いられる。主記憶装置442は、具体的には、RAM(Random
Access Memory)やROM(Read Only Memory)等である。
【0054】
補助記憶装置443は、CPU441により実行されるプログラムや、本実施の形態で用いる設定情報、条件テーブル471などを記憶する。補助記憶装置443は、具体的には、HDDやSSD、フラッシュメモリ等である。
【0055】
通信IF444は、他のコンピュータ装置との間でデータを送受信する。通信IF444は、具体的には、有線又は無線のネットワークカード等である。入出力IF445は、入出力装置と接続され、コンピュータのユーザから入力を受け付けたり、ユーザへ情報を出力したりする。本実施形態の入出力IF445は、入出力装置としてコントローラ43が接続され、操作部431による入力を受けたり、表示部432への表示出力、スピーカへの音出力を行ったりする。以上のような構成要素が、通信バス446で接続されている。なお、これらの構成要素は複数設けられていても良いし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。例えば、制御装置44は、トイレブース141毎に設けられていても良いが、複数のトイレブース141に対して一つの制御装置44を設けて、複数のトイレブ
ース141の異常を一つの制御装置で検出して管理サーバ2へ送信すると共に、警報を一つの制御装置44で各トイレブース141のコントローラ43や警報部45へ通知する構成としても良い。
【0056】
また、
図3,
図4では、大便器41等のトイレ設備1を備えたトイレブース141について示したが、多目的トイレ施設103についても同様に大便器41等のトイレ設備1を備え、物体検出部46及び開閉センサ92の検出結果に基づいて異常の発生を判定し、この異常の検出を示す異常検出情報を管理サーバ2へ送信する。
【0057】
図7は、男性用の小便器49等のトイレ設備1を備えたトイレブース142を示す図である。トイレブース142は、上下方向が天井14C及び床14Fによって仕切られ、水平方向の三方が、左右一対の側壁(仕切板)24L,24R及び小便器49の設置面(壁)105により囲まれている。即ち、トイレブース142は、小便器49の正面に壁が無く、完全に囲繞された空間ではない。しかし利用時には、利用者が小便器49の正面に立ち、当該利用者の背面や側壁24L,24Rによって他者からの視界が遮られた空間となるため、この左右一対の側壁24L,24R及び壁105に囲まれた空間をトイレブース142としている。
図7において、左右とは、小便器49の正面に立ち、小便器49に向かって左側及び右側をいい、前後とは便器49の尿を受ける側を前方、壁105への取付面側を後方といい、上下とは、天井14C側及び便器41の設置面(床)14F側をいう。なお、隣接するトイレブース142がある場合、左側壁24Lは、左隣に位置する別のトイレブース142の右側壁24Rを兼ね、右側壁24Rは右隣に位置する別のトイレブース142の左側壁24Lを兼ねる。なお、左右の側壁24L,24Rは、省略してもよく、この左右の側壁24L,24Rを省略した場合には、例えば小便器49の周囲及び小便器49の正面の所定の範囲をトイレブース142として定める。
【0058】
トイレブース142には、小便器49、制御装置44、警報部45、物体検出部46、カメラ11、人感センサ(入退室検出部)47等のトイレ設備1が備えられている。なお、トイレブース141とほぼ同じ機能を有する要素は、同じ符号を付す等して説明を省略する。壁105は、少なくとも下方が内部に空間を有した二重壁となっており、この空間内に給水管や排水管(不図示)が配設されている。
【0059】
小便器49は、壁105に取り付けられ、壁105内部の給水管や排水管と接続されている。人感センサ47は、小便器49上方の壁105に埋設され、小便器49の前に立つ利用者から赤外線を受信した場合に利用中であることを検出し、この利用中であることを検出した後、利用者から赤外線を受信しなくなった場合に排便が完了して利用者が退出したことを検出する。人感センサは、利用者がトイレブース142に入室して小便器49に正対したことや、小便器49の前から退いてトイレブース142から退室したことを検出する入退室検出部の一形態である。
【0060】
トイレブース142において警報部45は、小便器49の上方であって壁105に設けられ、警報としての光やメッセージを表示する表示部451、及び警報としての音を出力するスピーカ453を前方に向けて配置されている。
【0061】
トイレブース142において物体検出部46は、トイレブース141のものと同様にトイレブース内の物体を検出する。例えば物体検出部46は、トイレブース142上部の壁105又は天井14Cに、下方へ向けて設けられ、壁105の小便器49より高い位置に形成された棚145の上等に置かれた物体を検出する。また、物体検出部46は、壁105に形成されたフック151に吊り下げられている物体や床の上等に置かれた物体を検出する。
【0062】
制御装置44は、壁105内に設けられ、警報部45や、物体検出部46、入退室検出部(人感センサ)47等、他のトイレ設備1と電気的に接続されている。制御装置44は、例えば、人感センサ47の検出結果に基づき、利用者が小便器49の利用後、退出したことを検出した場合に、小便器49と接続されたフラッシュバルブ(不図示)を開放し、給水管から洗浄水を供給して小便器49内を洗浄する制御を行う。また、制御装置44は、
図6に示すように、CPU441や主記憶装置442、補助記憶装置443、通信IF(Interface)444、入出力IF(Interface)445、通信バス446を備え、演算処理部440が、使用状態判定部401、異常判定部402、映像制御部403、出力制御部404等の各部の機能を提供する。
【0063】
また、トイレ施設10内には、各トイレブース14のトイレ設備1とは別に、制御装置51、警報部52を備えている。制御装置51は、警報部52と電気的に接続され、ネットワーク5を介し、管理サーバ2からの警報や各トイレブース14の制御装置44からの異常検出情報を受信する。制御装置51のハードウェア構成は各トイレブース14の制御装置44と同様であり、
図6に示すように、CPU441や主記憶装置442、補助記憶装置443、通信IF(Interface)444、入出力IF(Interface)445、通信バス446を備える。
【0064】
制御装置51は、各トイレブースの制御装置44から異常検出情報を受信した場合や、管理サーバ2から警報を受信した場合に、警報部52から警報を出力させる。ここで警報とは、利用者に対して異常が発生したことを通知する情報である。
【0065】
図8は管理サーバ2のハードウェア構成を示す図である。管理サーバ2は、演算処理部20、補助記憶装置23、通信IF(Interface)24、入出力IF(Interface)25、通信バス26を有する所謂コンピュータである。
【0066】
演算処理部20は、CPU21や主記憶装置22を備えている。主記憶装置22は、CPU21が読み出したプログラムやデータのキャッシュや、CPU21の作業領域として用いられる。主記憶装置22は、具体的には、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等である。
【0067】
通信IF24は、他のコンピュータ装置との間でデータを送受信する。通信IF24は、具体的には、有線又は無線のネットワークカード等である。入出力IF25は、表示装置やプリンタ等の出力手段や、キーボードやポインティングデバイス等の入力手段、ドライブ装置等の入出力手段が適宜接続される。ドライブ装置は、着脱可能な記憶媒体の読み書き装置であり、例えば、フラッシュメモリカードの入出力装置、USBメモリを接続するUSBのアダプタ等である。また、着脱可能な記憶媒体は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD等のディスク媒体であってもよい。ドライブ装置は、着脱可能な記憶媒体からプログラムを読み出し、記憶装置23に格納する。
【0068】
補助記憶装置23は、CPU21により実行されるプログラムや、本実施の形態で用いる設定情報などを記憶する。補助記憶装置23は、具体的には、HDDやSSD、フラッシュメモリ等である。補助記憶装置23は、ドライブ装置との間で、データを授受する。例えば、補助記憶装置23は、ドライブ装置からインストールされるプログラム等を記憶する。また、補助記憶装置23は、プログラムを読み出し、主記憶装置22に引き渡す。更に補助記憶装置23は、施設情報テーブルを格納する。
【0069】
CPU21は、主記憶装置22に実行可能に展開されたプログラムを実行し、通知部213、警報指示部214の機能を提供する。
【0070】
警報指示部214は、トイレブース14の出力制御部404から異常検出情報を受信し、当該異常検出情報に応じた警報を警報部52から出力させる。例えば「お忘れ物がございます」のように残留物の存在を通知するメッセージや「設備が持ち出されました。持ち出した設備を元に戻して下さい。」のように、異常の発生を通知するメッセージを表示出力或は音声出力させる。なお、各トイレブースの位置を示す情報(位置情報)を予め施設情報テーブルに記憶しておき、異常検出情報に識別情報が含まれていた場合、この識別情報と対応するトイレブース14の位置情報を施設情報テーブルから、抽出し、「手前から○番目のブースに」といった位置情報をメッセージに付加し、「手前から○番目のブースに、お忘れものがございます」のように出力させても良い。
【0071】
図9は、施設情報テーブルの一例を示す図である。施設情報テーブルは、各トイレ施設10の識別情報と、各トイレブース14の識別情報と、各トイレブース14のトイレ施設内における位置を示す位置情報とを対応付けて記憶している。
【0072】
トイレ施設10の識別情報は、管理サーバ2が複数のトイレ施設を管理する場合に各トイレ施設を一意に識別するための情報である。トイレブース14の識別情報は、管理サーバ2が管理する複数のトイレブース14のうち、各トイレブースを一意に識別するための情報である。トイレブース14の位置情報は、「手前から○番目のブース」「左奥から○番目のブース」のように、警報を発する際に何処のトイレブース14に異常が生じているのかを説明する情報である。なお、位置情報は、異常が生じたトイレブース14を示すことができれば良く、例えば、「上部の警告灯が光っているブース」「正面のパネルが点滅している小便器」など、警告部の表示形態を示すものであっても良い。
【0073】
〈セキュリティ管理方法〉
図11は、各トイレブース14の制御装置44が、異常を検出して警報を発する処理を示す図である。制御装置44は、周期的に或は所定のタイミングで
図11の処理を繰り返し実行し、先ず検出部13により、トイレ設備や利用者といったトイレブース14内の物体の状態を検出する(ステップS10)。
【0074】
次に制御装置44は、検出部13による検出結果が条件テーブル471の条件を満たしているか否かによって、異常が生じているか否かを判定する(ステップS20)。ここで、異常が発生していないと判定した場合には(ステップS30、No)、
図11の処理を終了し、異常が発生していると判定した場合には(ステップS30、Yes)、この異常の発生を示す警報を出力する(ステップS30)。
【0075】
ここで警報とは、コントローラ43や警報部45から出力させる警報音やメッセージ、管理サーバ2への通知、制御装置51への通知等である。この段階では、管理者端末3への通知は行わなくてもよい。即ち、ステップS40では、異常と判定したトイレブース内のコントローラ43や警報部45、或は当該トイレブース14が存在するトイレ施設10内の制御装置51により警報部52から警報を出力させる。なお、
図10の条件1〜4のように、トイレブース内に利用者が存在する場合の異常であれば、管理サーバ2や制御装置51に通知しなくても良い。
【0076】
そして、制御装置44は、異常が発生してから所定時間経過したか否かを判定し(ステ
ップS50)、所定時間経過していなければ(ステップS50,No)、ステップS10へ
戻り、再度、検出部13の検出結果を取得して、異常が発生しているか否かを判定する(ステップS20)。例えば、不審物の残留を検知した場合であっても、単に利用者の忘れ物であった場合には、ステップS40において「お忘れ物がございます」のように警報を出力することによって利用者が忘れ物に気付いてとりに戻り、異常が解消することがある。
【0077】
また、条件3に該当した場合であっても、単にトイレブース内で休憩している場合もあるので、ステップS40において「ご気分が悪いようでしたら係員をお呼びします。ご不用でしたら[救助不要]のボタンを押して下さい」のように警報を出力し、異常でなければコントローラ43から異常でない旨の入力をするように案内する。なお、この異常でない旨の入力が行われた場合、制御装置44は、検出部13の検出結果に関わらず異常なしと判定する。
【0078】
なお、警報を出力する際、コントローラ43や警報部45へ出力するタイミングと管理サーバ2へ通知するタイミングとを異ならせても良い。例えば、検出した場合に先ずコントローラ43や警報部45から警報を出力させた後、所定時間(ステップS50よりも短い時間)経過した時点で異常が解消していなければ管理サーバ2や制御装置51へ警報(異常通知情報)を通知し、解消していれば管理サーバ2への警報の通知を行わないこととしても良い。
【0079】
そして、ステップS50で所定時間経過したと判定した場合(ステップS50,Yes)、制御装置44は、トイレブース内に利用者が存在するか否かを判定する(ステップS60)。ここで、トイレブース内に利用者が存在する場合には(ステップS60、Yes)、カメラ11から管理者端末3へ送信する映像信号の解像度を低く設定し(ステップS70)、この解像度を低くした映像信号を管理サーバ2を介して管理者端末3へ送信する(ステップS80)。なお、ステップS60でトイレブース内に利用者が存在しないと判定した場合には、(ステップS60、No)、カメラ11から出力される映像信号の解像度を変更せずに管理サーバ2を介して管理者端末3へ送信される(ステップS70)。
【0080】
これにより管理者は、トイレ施設で発生した異常を知ることができ、カメラ11の映像から異常の状況を確認できる。
【0081】
〈物体検出部46による検出手法〉
図12は、本例における物体検出部46が設置される状況を示す。
図2においては、物体検出部46が適用される状況を分かりやすくするために、トイレブース14の内部に物体37が存在する状況を示している。この物体37は、トイレ設備や利用者といった状況を検出する対象の物体である。
【0082】
トイレブース14の付近には投影部461が設置される。投影部461が設置される場所は、典型的にはトイレブース14が設定された建造物の天井14Cである。投影部461は、投影パターン29をトイレブース14の方向に向けて投影する。
図12の例では、この投影パターン29はトイレブース14内の物体37が存在する下方に向けて投影されている。
【0083】
また、
図12に示される投影パターン29は、交互に並んだ明部30と暗部31とからなる市松模様である。典型的な例では、明部30には所定の輝度の赤外線が投影され、暗部31には赤外線が投影されない。赤外線の輝度差によって周期的な明暗の投影パターン29が形成される。この投影パターン29は、輝度差に替えて、明部30と暗部31に対して波長の異なる電磁波を投影するなど、他の方法によって形成することも可能である。すなわち投影パターン29は、第1の光学的特徴量を有する第1領域と第2の光学的特徴量を有する第2領域とが交番的に配列されることによって形成される。
【0084】
投影パターン29は、市松模様に限られず、繰り返し模様(タイル模様)であれば他の種類のパターンでもよい。例えば、三角形の明部と暗部とが交番的に配列されることによって所定の領域内を埋める模様でもよい。こうしたパターンは、それぞれ
図12の明部3
0と暗部31とに相当する第1領域と第2領域とを有する。第1領域と第2領域とは共に閉じた輪郭を有すると、後述する破れ抽出画像の生成が容易である点で好ましい。
【0085】
カメラ11は、投影部461に隣接して天井に設置され、投影パターン29を時系列的に撮影して映像信号を生成する。映像信号は、動画あるいは所定の時間間隔で撮影された静止画を要素とするグループである。
【0086】
また、投影部461は、
図13に示されるように、輝度などの投影条件をメモリから読み込むと共に(ステップS101)、投影パターン29をメモリから読み込む(ステップS102)。投影部461は、投影部461を制御して読み込んだ投影パターン29を投影させる(ステップS103)。投影部461は、投影条件を変更する命令がCPU19から送信されているか否かをモニタする(ステップS104)。投影条件の変更が無い場合は投影パターン29の投影を続ける。一方、投影条件が変更されたときは、ステップS101に戻って新たな投影条件でパターンの投影を行う。
【0087】
図14は、カメラ11の動作を示す。カメラ11は、メモリから感度、絞り、焦点、撮影のタイミングなどの撮影条件を読み込む(ステップS105)。カメラ11は、この撮影条件に従ってトイレブース14内を撮影して時系列的画像(映像信号)を生成する(ステップS106)。映像信号は逐次、カメラ11内のメモリに保存される(ステップS107)。このとき、撮影時刻も共に保存される。カメラ11は、撮影条件を変更する命令がCPU19から送信されているか否かをモニタする(ステップS108)。撮影条件の変更が無い場合はそのまま撮影を続ける。一方、撮影条件が変更されたときは、ステップS105に戻って新たな撮影条件で撮影を行う。カメラ11による撮影は、投影部461による投影パターン29の投影と平行して、トイレブース14を監視する期間中、常時行われる。なお、省電力化を図るため、開閉センサがオンとなった場合、即ち利用者がトイレブース14に入室した間だけ、監視する期間としてもよい。このように、投影部461によってトイレブース14内に投影された投影パターンをカメラ11で撮影し、撮影パターンとしてメモリ中に記憶させる。
【0088】
カメラ11は、撮影した映像信号を、明部30の輝度に近い第1閾値と暗部31の輝度に近い第2閾値とによって2値化して2値化映像信号を生成してもよい。この場合、映像信号メモリ21に保存され以後の処理の対象となるのは、この2値化映像信号である。画像が2値化されると、第1に以下の処理の精度が向上し、第2に被写体の鮮明な映像が見えなくなるために、プライバシー保護の観点から望ましい。
【0089】
図15は、変形量算出部462の動作を示す。変形量算出部462は、カメラ11のメモリに保存された映像信号をリアルタイムで読み込む(ステップS109)。本例では、カメラ11によって撮影された動画(映像信号)から所定の時間間隔で動画を構成するフレーム(1コマの画像)を抽出して読み込む。カメラ11が撮影した映像信号が所定の時間間隔で撮影された静止画であるときは、最新の静止画像を逐次、読み込むこととしてもよい。また、変形量算出部462は、基準パターンをメモリから読み込む(ステップS110)。基準パターンは、基準とする高さの平面に投影した投影パターンに相当するパターンであり、例えば床の高さの平面に投影パターンを投影した場合にカメラ11で撮影されるパターンを基準パターンとする。
【0090】
変形量算出部462は、映像信号を構成する各フレームで撮影された撮影パターンと、所定の高さの平面に投影された場合の基準パターンとを比較し、差分画像を求める(ステップS111)。本例の投影パターンは、天井14Cに設けられた投影部461から床に向かって拡大するように投影されている。このため、投影パターンを構成する明部30及び暗部31は、床側で大きく、天井側で小さく投影される。また、投影パターンを投影す
る投影部461と、この投影パターンを撮影するカメラ11とが所定の距離を隔てて配置されているので、物体37条に投影される明部30及び暗部31は、床面に投影される明部30及び暗部31と比べてずれが生じる。そこで、基準とする高さ(例えば床の高さ)に位置すると仮定される平面を基準面とし、基準面に投影される投影パターンを基準パターンとして、撮影パターンと基準パターンを比較し、ずれた部分をトイレブース内に存在する物体の画像(差分画像)として抽出する。
図17に差分画像の一例を示す。例えば撮影パターンと基準パターンとの差分の絶対値を画素毎に計算して差分画像34を生成する。差分画像34は、明部30に対応する白画素と暗部31に対応する黒画素とからなる2値の画像である。
【0091】
変形量算出部462は、差分画像34のうち、利用者が写っている部分をパターンマッチングによって特定する(ステップS112)。例えば、カメラ11で、トイレブース14内の利用者を撮影した場合に得られる頭や肩、足等の形状やその大きさを標準パターンとして予め記憶しておき、差分画像のうち、この標準パターンと一致する部分を利用者の画像と特定する。更に変形量算出部462は、利用者の画像のうち、頭や胸、腕、足といった所定部位(人体要素)を特定する。
図18は、所定部位の例を示す図である。
図18に示されるように、本例では、頭A1、肩A2,A3、上腕A5,A8、前腕A6,A9、手A7,A10、胸A11、腹A12、背A21、腰A22、大腿A13,A17、膝A14、A18、下腿A15、A19、足(foot)A16,A20を所定部位として特定する。例えば、各所定部位の標準的な形状や大きさを所定部位パターンとして記憶しておき、利用者の画像から所定部位パターンと合致する部分を求めると共に、頭に首や肩が繋がり、肩の両脇に腕が位置するといった各所定部位の位置関係に基づいて、当該利用者の所定部位を特定する。
【0092】
変形量算出部462は、各所定部位の水平面内の位置を求める(ステップS113)。また、変形量算出部462は、各所定部位における撮影パターンの変形量を求め、水平面内の位置と共にメモリに記憶する(ステップS114)。
【0093】
変形量算出部462は、差分画像のうち、利用者以外の部分、即ち利用者以外の物体の水平面内の位置を求める(ステップS115)。このとき、複数の物体が検出された場合には、各物体にIDを付して各物体を区別し、それぞれの位置を求める。また、変形量算出部462は、差分画像のうち、利用者以外の物体における撮影パターンの変形量を求め、水平面内の位置と共にメモリに記憶する(ステップS116)。
【0094】
図16は、状態出力部463の動作を示す。状態出力部463は、変形量算出部462によって算出された各物体の水平面内の位置及び変形量をメモリから順次読み込む(ステップS117)。
【0095】
状態出力部463は、各物体における撮影パターンの変形量に基づいて、当該物体の高さの情報を算出し(ステップS118)、水平面内の位置及び高さを例えば三次元座標系上の座標とし、物体の位置の状態として出力する(ステップS119)。また、これを各物体について繰り返し(ステップS120)、時間的に連続する各フレームについて行うことで、各物体の位置の変化が移動情報となる。
【0096】
図19は、撮影パターンのずれ量に基づいて物体37(
図12)の高さを算出する方法を説明するための図である。点Bは投影部461の位置を示す。点Cはカメラ11のレンズ(センサ)の位置、ピンホールカメラの光学系ではピンホールに相当する位置を示す。点Bと点Cは床面に対する高さが同じであり、かつ水平面内の互いの距離がDであるとする。点Cからカメラ11内で画像が結像する画像平面までの距離をfxとする。投影部461、カメラ11と床面との距離をHBとする。この距離HBは、予め物体検出部46の
メモリに登録される。床面から物体37の上面までの距離をhとする。物体37の上面とセンサとの距離はZ=HB−hである。
【0097】
点Bから投影部461が床面の方向に投影パターン29を投影する。この投影パターン29の所定部位が物体37が存在しなかったとしたら床面に投影されるはずの位置(基準平面上の位置)を点Aとする。このパターン29が物体37の上面に投影されたことによるパターン29のずれのカメラ11の画像平面における大きさ(ずれ計測用画像80、82から検出される)をSpとする。Spの原因である物体37の上面における実際のパターン29のずれの大きさ(物体37が存在する場合と存在しない場合のパターン29の所定部位のずれの大きさ)をSとする。この場合、次の式が成り立つ。
【数1】
一方、三角形ABCにおいて、三角形と平行線の関係より、次の式が成り立つ。
【数2】
数式(1)、数式(2)より、物体37の床面からの高さは次式によって得られる。
【数3】
物体検出部46は、このような計算によって物体37の高さを算出することができる。
【0098】
図20は、トイレブース14内を示す図、
図21は、トイレブース14内に投影パターンを投影した状態を示す図である。
図20に示されるように、トイレブース14内には、便器41や棚145など、種々のトイレ設備(物体)が設けられている。これらのトイレ設備に投影パターンが照射されると、
図21に示されるように、床面と比べて高さに応じてズレた投影パターンが形成される。
【0099】
また、
図22は、利用者が便器に座っている状態、
図23は、利用者が便器に向かって立っている状態、
図24は、利用者が便器に背を向けて退出しようとしている状態を示している。なお、
図21〜
図24の投影パターンは、便宜上、一部を省略するなど、模式的に示している。
【0100】
図22に示される利用者は、水平面内の位置が便器41の位置と一致しており、頭A1及び肩A2,A3の位置が
図23,
図24と比べて低く、便器41の座面と近い高さに大腿A13,A17、膝A14、A18が検出されていることから、利用者が便器に座っている状態であることが検出できる。
【0101】
図23に示される利用者は、便器41の前に位置し、頭A1、肩A2,A3、胸A4の位置から正常に立っている状態と判定されるが、同様の姿勢で、水平面内の位置が便器41と一致し、頭A1の高さが
図23の場合より高くなっている場合、便器に乗っている可能性があり、異常と判定される。
【0102】
このように利用者やトイレ設備の位置や高さを検出することで、トイレ内の状況を把握でき、精度良く異常の判定を行うことができる。
【0103】
〈実施形態の効果〉
上記のように、本実施形態のセキュリティ管理装置によれば、トイレブース内の物体の状態を検出し、
図10の条件テーブルに規定した状態と比較し、
図10条件を満たしている場合に異常と判定し、カメラ11によって撮影した映像信号の解像度を設定することにより、トイレブース内を撮影した映像信号が不必要に高い解像度で出力されてしまうことがなく、利用者のプライバシーを確保しつつセキュリティの管理を行うことができる。
【0104】
また、本実施形態のセキュリティ管理装置は、利用者がトイレブース14内に存在するときに、異常判定部402によって利用者の状態が異常と判定された場合、映像制御部403が、トイレブース内に利用者が存在しない場合と比べてカメラ11によって撮影された映像信号の解像度を低く設定する。
【0105】
これにより、利用者が退出後にトイレブース内に不審物が残っていた場合には、映像信号を高い解像度で管理者端末3へ送信し、管理者が映像信号によって不審物を詳細に確認することができる。一方、トイレブース内に利用者が存在する状態で異常が発生した場合には、管理者端末3に送信される映像信号の解像度が低く設定されるので、利用者のプライバシーを確保することができる。
【0106】
また、本実施形態では、利用者の所定の部位毎に位置情報や移動情報を求め、これに基づいて異常の判定を行うので、トイレブース内における利用者の姿勢や動作を詳細に把握でき、精度良く異常の発生を検出できる。例えば、利用者が床に倒れている場合や、動きがない場合に異常と判定する。
【0107】
また、便器や汚物入れ等に所定時間以上触れている動作を検出した場合に、異常と判定する。更に、注射を行う動作の後、棚145や汚物入れに手を伸ばす動作をした場合に、異常と判定する。注射針や小型のカメラ自体を画像処理によって発見するためには、高精細のカメラで使用中のトイレブース内を撮影しなければならず、利用者のプライバシーを確保するのが難しくなる。このため本実施形態では、注射針や小型のカメラ自体を検出するのではなく、利用者の動作を検出し、利用者が、盗撮用のカメラを設置するような動作や、注射後の針を棚に置く或は汚物入れに捨てるような動作を行った場合に異常と判定する。これにより、利用者のプライバシーを確保しつつ、盗撮用カメラの設置や注射針の残留といった異常を検出できる。
【0108】
また、本実施形態では、投影パターンをトイレブース内に投影し、トイレブース内に投影された投影パターンをカメラ11で撮影して撮影パターンとし、基準パターンと比較した場合の変形量に基づいて前記物体の高さ情報を求め、当該物体の高さ情報を前記物体の状態として異常の判定に用いた。
【0109】
これにより、利用者を詳細に撮影するのではなく、利用者に投影された投影パターンを撮影した2値画像(撮影パターン)に基づいて、異常を判定できるので、利用者のプライバシーを確保しつつ、異常を検出することができる。
【0110】
〈実施形態2〉
前述の実施形態1では、トイレブース内に利用者が存在する場合には、警告を出力し、所定時間待っても異常が解消されない場合に、低い解像度の映像信号を管理者端末3へ送信するが、利用者が急病で動けなくなっているような場合には、一刻も早く救助できるように、速やかに管理者へ通知されることが望ましい。また、利用者が急病で動けなくなっているような場合には、管理者等がドアを開けて救助することになるので、解像度を低くせずに映像信号を管理者端末3へ送信したとしても利用者の不利益は少ないと考えられる。
【0111】
そこで、本実施形態2では、緊急性の高い異常が発生したと判定した場合には、映像信号の解像度を低くせずに直ちに管理者端末3へ送信する構成としている。また、本実施形態2では、解像度を低下させない映像信号が不適切に送信されないように、緊急性が高い異常が発生したことを外部サーバでチェックする構成としている。この他の構成は前述の実施形態1と同じであるため、同一の要素には送付号を付すなどして再度の説明を省略している。
【0112】
本実施形態2のセキュリティ管理システムは、
図25に示されるように、ネットワーク5を介して外部サーバ6と接続している。外部サーバ6は、
図8に示される管理サーバ2っと同様に、演算処理部(CPU・主記憶装置等)、補助記憶装置、通信IF(Interface)等からなる情報処理装置(コンピュータ)である。外部サーバ6は、管理者端末3を
使用する管理者の管理が及ばない装置であり、例えば信頼できる第三者機関等が運営する装置である。
【0113】
図26は、実施形態2における制御装置44が、異常を検出して警報を発する処理を示す図である。制御装置44は、周期的に或は所定のタイミングで
図26の処理を繰り返し実行する。なお、物体の状態を検出し、警告を行うまでのステップS10〜S40までの処理は
図11と同じである。ステップS40の警告後、制御装置44は、緊急性の高い異常か否かを判定する(ステップS45)。例えば、
図10の条件1を満たす異常であれば緊急性が高いと判定し、それ以外の異常であれば、緊急性が低いと判定する。なお、これに限らず、どのような条件で緊急性が高いと判定するのかは、任意に設定できる。そして、制御装置44は、緊急性が高いと判定された場合に(ステップS45、Yes)、ステップS83へ移行して解像度を低下させずに映像信号を暗号化する。
【0114】
そして、制御装置44は、暗号化した映像信号を管理サーバ2を介して管理者端末3へ送信する(ステップS85)。また、制御装置44は、ステップS10で検出した物体の状態や、異常が発生したと判定したトイレブースの識別情報等、映像信号以外の所定の情報と、前記映像信号を復号化する復号化キー(パスワード)を外部サーバ(不図示)へ送信する(ステップS87)。なお、緊急性が高くないと判定された場合には(ステップS45、No)、ステップS50へ移行して前述の
図11と同様の処理を行う。
【0115】
一方、外部サーバ6は、
図27に示されるように、制御装置44が、ステップS87にて管理サーバ2を介して送信した情報を受信する(ステップS131)。制御装置44は、受信した物体の状態について、
図10と同様の条件テーブルに基づき、緊急性が高い異常か否かを判定する(ステップS132)。緊急性が高いと判定された場合(ステップS132,Yes)、異常と判定されたトイレブースの識別情報と物体の状態を検出したト
イレブースの識別情報が一致しているか、物体の状態の検出時刻と映像信号の撮影時刻が対応しているか、送信先の管理者端末のアドレスが登録済のものかなど、受信した情報が適正か否かを判定し、適正と判定された場合(ステップS133,Yes)、映像信号を復号化する復号化キー(パスワード)を管理者端末3へ送信する(ステップS134)。なお、ステップS132で緊急性が高くないと判定された場合や(ステップS132,No)、ステップS133で適正でないと判定された場合は(ステップS133,No)、制御装置44及び管理者端末3へ、エラーを通知し(ステップS135)、
図27の処理を終了する。
【0116】
また、管理者端末3は、
図28に示されるように、管理サーバ2を介して映像信号を受信する(ステップS141)。
【0117】
次に、管理者端末3は、外部サーバ6に接続し、復号化キーを要求する(ステップS142)。そして、復号化キーを受信した場合(ステップS143,Yes)、管理者端末3は、受信した復号化1キーで映像信号を復号化し(ステップS144)、映像を表示装置に表示させる(ステップS145)。なお、ステップS143で復号化キーを受信できなかった場合、即ちエラーを受信した場合(ステップS143、No)、
図28の処理を終了する。
【0118】
以上のように本実施形態2のセキュリティ管理システムによれば、緊急性の高い異常が発生した場合には、直ちに管理者端末3へ異常が通知され、解像度が低下されていない映像信号を管理者が速やかに確認することができる。例えば、利用者の顔色や意識の有無等を確認し、救急車の手配や救助の要請を遅滞なく行うことができる。
【0119】
また、外部サーバ6で、物体の状況やその他の情報をチェックし、適正な場合にのみ復号化キーを管理者端末3へ送り、映像信号の表示を可能としたことにより、制御装置44の条件テーブルを不正に操作したり、検出部13の信号を偽装して、解像度が低下されていない映像信号が、不正に表示されることを防止している。
【0120】
〈変形例1〉
前述の実施形態1,2では、
図15のステップS110において、基準面を平面とし、基準パターンと撮影パターンを比較して差分画像を求める構成としたが、
図21のように利用者が入室する前のトイレブース内に投影パターンを投影し、これを撮影したものを背景パターンとし、この背景パターンと撮影パターンを比較してステップS110の差分画像を求めても良い。これにより差分画像として求められる物体は、トイレブース内に定常的に存在する物体以外であり、利用者や、利用者が持ち込んだ物体、利用者が移動させた物体のみとなる。このため、トイレ設備等の物体を検出する処理が少なくなり、処理の負荷が軽減する。
【0121】
〈変形例2〉
前述の実施形態1,2では、トイレブース内の物体に投影パターンを投影し、これを撮影した撮影パターンと基準パターンを比較し、撮影パターンと基準パターンのずれに基づいて物体の高さを求める構成としたが、これに限らず、ToF(Time Of Flight )距離
画像センサを用いてもよい。
【0122】
例えば
図29に示されるように、ToF(Time Of Flight )距離画像センサを用い、
光源76から測定対象の物体(被写体)へ計測光を照射し、物体で反射された計測光を光学系77で結像させ、受光素子78の受光面上に物体の像(被写体像)を形成する。
【0123】
このとき、光源76から照射される計測光は、強度が変調されており、受光素子78で
受光される反射光と比べると、この変調された強度の位相が被写体と受光素子との距離(光路長)に応じてシフトする。例えば、物体と受光素子との距離が長くなると、位相の遅延(シフト量)が大きくなる。そこで、演算部79は、受光素子78の各画素で受光した反射光における位相のシフト量に基づいて、物体との距離を画素毎に求める。
【0124】
受光素子78(
図29)の各画素は、受光面上に配列されており、この受光面上の各画素の位置は、物体が存在する空間における位置と対応している。このため、制御装置44は、各動作部位が撮影された画素の受光面上の位置および当該画素における物体との距離に基づき、物体が存在する三次元空間内における各物体の三次元座標を求めることができる。また、ToF距離画像センサを用いることにより、カメラと同様に物体の画像を得ることができるので、パターンマッチング等の画像処理が容易となり、例えば利用者の所定の部位を精度良く特定できる。
【0125】
この物体の特定や位置の検出を例えば1/30fpsといった所定の周期で撮影されたフレーム(1コマの画像)毎に求めることで、時間的に連続する各フレームにおける各物体の位置の変化を当該物体の移動情報として検出できる。
【0126】
また、ToF距離画像センサに限らず、三次元レーザースキャナで対象物体をスキャンするものや、ステレオカメラで対象物体を撮影し、視差に基づいて画像中の物体との距離を求めるもの、所定のパターン光を対象物体に投影し、対象物体上に投影されたパターンの変化に応じて対象物体との距離を求めるもので対象物体の状態を検出する構成であっても良い。
【0127】
〈その他〉
本発明は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記事項を組み合わせて用いても良い。また、上記実施形態では、トイレブース14を対象ブースとした例を示したが、これに限らず、対象ブースは、シャワーブースや更衣室、フィッティングルーム、カプセルホテル等、利用者のプライバシーを確保するため、使用時の撮影が行えない場所であれば良い。