【解決手段】コーヒー揮発性物質10は、制御された手法で使用者の嗅覚系への濃縮送達を可能にする、デバイス12およびシステムによって選択され送達される。嗅覚系は、匂いを嗅ぐことまたは嗅覚作用に使用される感覚系の一部である。この定められた手法でのそのようなコーヒー揮発性物質への嗅覚作用は、特定の所望の結果が実現されるように脳の報酬系を刺激する。一部の実施形態では、所望の結果は、常用癖症状の低減または常用癖離脱の感覚の抑制である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要旨
本発明は、一般に、使用者に揮発性物質を送達するためのシステム、デバイス、および方法に関し、より詳細には、医学的目的または処置などのため、使用者にコーヒー由来の揮発性物質を送達することに関する。
【0011】
本発明の第一の局面では、コーヒー由来の揮発性物質を使用者に送達するためのデバイスであって、ハウジング本体と、ハウジング本体内に配置された、所定量のコーヒー物質であって、コーヒー由来の揮発性物質が、熱を使用せずにハウジング本体内でコーヒー物質から収集可能であるコーヒー物質と、コーヒー由来の揮発性物質を、用量の形でハウジング本体から送達させるための作動可能な機構であって、用量が、常用癖性薬物に等しい強度で使用者の脳内報酬系の腹側被蓋領域または側坐核の嗅覚刺激を引き起こすに十分である、作動可能な機構とを含むデバイスが提供される。
【0012】
典型的には、強度が等価である常用癖性薬物は、ヘロイン、コカイン、アルコール、オピオイド、ニコチン、アンフェタミン、メタンフェタミン、カフェイン、またはそれらの合成類似体である。一部の実施形態では、強度は、常用癖の離脱感覚を抑えるに十分である。
【0013】
一部の実施形態では、コーヒー物質は、挽かれたコーヒーを含み、挽かれたコーヒーの量が10グラムである。一部の実施形態では、コーヒー物質は、丸ごとのコーヒー豆、挽かれたコーヒー、コーヒー油、単一もしくは混合したコーヒー分子、またはこれらの任意の組合せを含むことが理解され得る。
【0014】
一部の実施形態では、所定量のコーヒー物質は、取り外し可能なカートリッジ内に提供される。任意選択で、カートリッジは、少なくとも1つの穿孔可能な壁を有し得、作動機構は、コーヒー由来の揮発性物質の送達が可能になるように、作動したとき穿孔可能な壁を穿孔するように構成された突起を含み得る。
【0015】
一部の実施形態では、カートリッジは、コーヒー物質を内部でさらに加工するように使用者がカートリッジを可逆的に変形し得るに十分可撓性である。取り外し可能なカートリッジは、任意選択で事前に充填かつ密封される、または任意選択で使用者により詰替え可能であることが理解され得る。一部の実施形態では、所定量のコーヒー物質は、複数の取り外し可能なカートリッジ内に提供され、複数の取り外し可能なカートリッジは、ハウジング本体内に位置決め可能である。
【0016】
一部の実施形態では、作動可能な機構が、揮発性物質を推進させるように構成された内部空気流加速器を含む。一部の実施形態では、作動可能な機構は、押下げ可能なボタンを含み、ボタンの押下げは、作動可能な機構を作動させる。
【0017】
一部の実施形態では、デバイスは、ハウジング本体に沿って配置され、かつハウジング本体からコーヒー由来の揮発性物質を通過させるように構成された、少なくとも1つの出口開口をさらに含む。そのような実施形態では、作動可能な機構は、少なくとも1つの出口開口がコーヒー由来の揮発性物質を通過させることを遮断する第1の位置から、少なくとも1つの出口開口を露出させてコーヒー由来の揮発性物質を通過させる第2の位置まで移動可能な少なくとも1つのカバーを含み得る。あるいは、一部の実施形態では、少なくとも1つの出口開口は、コーヒー由来の揮発性物質の前鼻腔および後鼻腔同時送達を提供するように配置構成された複数の出口開口を含む。
【0018】
一部の実施形態では、デバイスハウジング本体は、細長いシャフトの形を有する。そのような実施形態では、作動可能な機構は、細長いシャフトの端部と接合可能なエンドキャップを含み、エンドキャップと細長いシャフトの端部の接合は、作動機構を作動させる。さらに、所定量のコーヒー物質は、少なくとも1つの穿孔可能な壁を有する取り外し可能なカートリッジ内に提供され得、エンドキャップは、エンドキャップを細長いシャフトの端部に接合したとき穿孔可能な壁を穿孔するように構成された突起を含む。一部の実施形態では、細長いシャフトは、紙巻きタバコ、電子タバコ、または葉巻に似ている。一部の実施形態では、細長いシャフトは、ペンまたは筆記用具に似ている。一部の実施形態では、細長いシャフトは、キーチェーン、腕時計、帽子、衣料品、携帯電話ケース、携帯電話、スマートフォン、ディクタフォン、タブレット、コンピューター、音楽プレーヤー、ヘッドフォン、メガネケース、サングラスケース、水筒、またはクリップのレセプタクルに挿入可能である。一部の実施形態では、ハウジング本体は、鼻栓または鼻孔カバーの形を有する。
【0019】
一部の実施形態では、デバイスは、ハウジング本体からのコーヒー物質の送達を阻害するように構成されたフィルターをさらに含むことが理解され得る。さらに、一部の実施形態では、デバイスは、複数の所定の期間に警報を送達するように構成された警報機構をさらに含み、期間が常用癖のパターンに対応することが理解され得る。
【0020】
本発明の第二の局面では、患者の常用癖を処置するための方法であって、作動したときコーヒー由来の揮発性物質を送達するように構成された送達デバイスを提供するステップであって、コーヒー由来の揮発性物質が、熱を使用せずに送達デバイスにより発生し、送達デバイスが、前記揮発性物質を通過させる少なくとも1つの出口開口を含む、ステップと、少なくとも1つの出口開口が、コーヒー由来の揮発性物質によりそれを送達したとき患者の嗅覚刺激を可能にする距離以内にあるように、送達デバイスを患者に対して位置決めするステップと、送達デバイスを、常用癖離脱の感覚があるとき作動させるステップであって、コーヒー由来の揮発性物質の用量を、少なくとも1つの出口開口を通して患者に送達し、それが患者の脳内報酬系の嗅覚刺激を、常用癖離脱の感覚を抑えるに十分な強度で引き起こす、ステップとを含む方法が提供される。
【0021】
一部の実施形態では、常用癖は、ニコチン常用癖、オピオイド常用癖、コカイン常用癖、メタンフェタミン常用癖、ヘロイン常用癖、またはアルコール常用癖を含む。一部の実施形態では、常用癖離脱の感覚は、過敏性、情動不安、不安、うつ病、不眠、または渇望を含む。
【0022】
一部の実施形態では、嗅覚刺激は前鼻腔刺激を含み、送達デバイスを位置決めするステップは、少なくとも1つの出口開口を患者の鼻孔から3cm以内に保持することを含む。別の実施形態では、嗅覚刺激は後鼻腔刺激を含み、送達デバイスを位置決めするステップは、少なくとも1つの出口開口を患者の口腔内に位置決めすることを含む。
【0023】
一部の実施形態では、送達デバイスを提供するステップは、コーヒー物質を送達デバイスに挿入することを含む。一部の実施形態では、コーヒー物質を挿入するステップは、コーヒー物質を含有する事前に充填されたカートリッジを送達デバイスに挿入することを含む。したがって、一部の実施形態では、送達デバイスを作動させるステップは、コーヒー由来の揮発性物質を逃すようにカートリッジを穿孔することを含む。一部の実施形態では、方法は、コーヒー物質を内部でさらに加工するように、カートリッジを可逆的に変形させるステップをさらに含む。
【0024】
一部の実施形態では、送達デバイスを作動させるステップは、少なくとも1つの出口開口の少なくとも1つの上のカバーを開放することを含む。一部の場合には、送達デバイスを作動させるステップは、所定の計画に従って行われる。一部の実施形態では、方法は、送達デバイスを作動させる好ましい時間を示す警報を所定の時間に提供するように、送達デバイスをプログラミングするステップをさらに含む。一部の実施形態では、送達デバイスをプログラミングするステップは、常用癖の処置に関連した計画に従って送達デバイスを作動させる一連の好ましい時間を示す一連の警報を所定の時間に提供するように、送達デバイスをプログラミングすることを含む。
【0025】
一部の実施形態では、方法は、送達デバイスを、キーチェーン、腕時計、帽子、衣料品、携帯電話ケース、携帯電話、スマートフォン、ディクタフォン、タブレット、コンピューター、音楽プレーヤー、ヘッドフォン、メガネケース、サングラスケース、水筒、またはクリップに取着するステップをさらに含む。
【0026】
本発明の第三の局面では、患者の常用癖を処置するためのシステムであって、複数の送達デバイスであって、各送達デバイスが、所定量のコーヒー物質を内部に有し、そこからコーヒー由来の揮発性物質が収集可能であり、用量の形で送達可能である複数の送達デバイスと、常用癖が処置されるように、患者に各用量を投与するための時間系列を定める投与計画とを含むシステムが提供される。
【0027】
一部の実施形態では、複数の送達デバイスのそれぞれの内部にある所定量のコーヒー物質の少なくとも一部は、異なる用量を提供するように異なっている。一部の実施形態では、異なる用量は徐々に減少し、投与計画は、時間系列全体を通して用量を減少させるように定める。
【0028】
一部の実施形態では、常用癖はニコチン常用癖であり、複数の送達デバイスのそれぞれが、紙巻きタバコ、電子タバコ、または葉巻に似ている。
【0029】
一部の実施形態では、各用量は、常用癖性薬物に等しい強度で前記患者の脳内報酬系の腹側被蓋領域または側坐核の嗅覚刺激を引き起こすに十分である。
【0030】
これらおよびその他の実施形態について、添付図面の図に関連して以下の記載においてさらに詳細に説明する。
参照による組込み
【0031】
本明細書で述べる全ての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願のそれぞれが参照により組み込まれるよう特にかつ個々に示される場合と同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
本発明の新規な特徴について、添付される特許請求の範囲で特に述べる。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態について述べている以下の詳細な説明と、添付図面とを参照することによって、得られることになる。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
コーヒー由来の揮発性物質を使用者に送達するためのデバイスであって、
ハウジング本体と、
前記ハウジング本体内に配置された、所定量のコーヒー物質であって、コーヒー由来の揮発性物質が、熱を使用せずに前記ハウジング本体内で前記コーヒー物質から収集可能であるコーヒー物質と、
前記コーヒー由来の揮発性物質を、用量の形で前記ハウジング本体から送達させるための作動可能な機構であって、前記用量が、常用癖性薬物に等しい強度で前記使用者の脳内報酬系の腹側被蓋領域または側坐核の嗅覚刺激を引き起こすに十分である、作動可能な機構と
を含むデバイス。
(項目2)
前記強度が、ヘロイン、コカイン、アルコール、オピオイド、ニコチン、アンフェタミン、メタンフェタミン、カフェイン、またはそれらの合成類似体と等価である、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
前記強度が、常用癖の離脱感覚を抑えるに十分である、上記項目のいずれかに記載のデバイス。
(項目4)
前記コーヒー物質が、挽かれたコーヒーを含み、前記挽かれたコーヒーの量が10グラムである、上記項目のいずれかに記載のデバイス。
(項目5)
前記コーヒー物質が、丸ごとのコーヒー豆、挽かれたコーヒー、コーヒー油、単一もしくは混合したコーヒー分子、またはこれらの任意の組合せを含む、上記項目のいずれかに記載のデバイス。
(項目6)
前記所定量のコーヒー物質が、取り外し可能なカートリッジ内に提供される、上記項目のいずれかに記載のデバイス。
(項目7)
前記カートリッジが、少なくとも1つの穿孔可能な壁を有し、前記作動機構が、前記コーヒー由来の揮発性物質の送達が可能になるように、作動したとき前記穿孔可能な壁を穿孔するように構成された突起を含む、項目6に記載のデバイス。
(項目8)
前記カートリッジが、前記コーヒー物質を内部でさらに加工するように前記使用者が前記カートリッジを可逆的に変形し得るに十分可撓性である、項目6に記載のデバイス。
(項目9)
前記取り外し可能なカートリッジが、事前に充填かつ密封される、項目6に記載のデバイス。
(項目10)
前記取り外し可能なカートリッジが、前記使用者により詰替え可能である、項目6に記載のデバイス。
(項目11)
前記所定量のコーヒー物質が、複数の取り外し可能なカートリッジ内に提供され、前記複数の取り外し可能なカートリッジが、前記ハウジング本体内に位置決め可能である、項目1から5のいずれかに記載のデバイス。
(項目12)
前記作動可能な機構が、前記揮発性物質を推進させるように構成された内部空気流加速器を含む、上記項目のいずれかに記載のデバイス。
(項目13)
前記作動可能な機構が、押下げ可能なボタンを含み、前記ボタンの押下げが、前記作動可能な機構を作動させる、上記項目のいずれかに記載のデバイス。
(項目14)
前記ハウジング本体に沿って配置され、かつ前記ハウジング本体から前記コーヒー由来の揮発性物質を通過させるように構成された、少なくとも1つの出口開口をさらに含む、上記項目のいずれかに記載のデバイス。
(項目15)
前記作動可能な機構が、前記少なくとも1つの出口開口が前記コーヒー由来の揮発性物質を通過させることを遮断する第1の位置から、前記少なくとも1つの出口開口を露出させて前記コーヒー由来の揮発性物質を通過させる第2の位置まで移動可能な少なくとも1つのカバーを含む、項目14に記載のデバイス。
(項目16)
前記少なくとも1つの出口開口が、前記コーヒー由来の揮発性物質の前鼻腔および後鼻腔同時送達を提供するように配置構成された複数の出口開口を含む、項目14に記載のデバイス。
(項目17)
前記ハウジング本体が、細長いシャフトの形を有する、上記項目のいずれかに記載のデバイス。
(項目18)
前記作動可能な機構が、前記細長いシャフトの端部と接合可能なエンドキャップを含み、前記エンドキャップと前記細長いシャフトの端部の接合が、前記作動機構を作動させる、項目17に記載のデバイス。
(項目19)
前記所定量のコーヒー物質が、少なくとも1つの穿孔可能な壁を有する取り外し可能なカートリッジ内に提供され、前記エンドキャップが、前記エンドキャップを前記細長いシャフトの端部に接合したとき穿孔可能な壁を穿孔するように構成された突起を含む、項目18に記載のデバイス。
(項目20)
前記細長いシャフトが、紙巻きタバコ、電子タバコ、または葉巻に似ている、項目17に記載のデバイス。
(項目21)
前記細長いシャフトが、ペンまたは筆記用具に似ている、項目17に記載のデバイス。(項目22)
前記細長いシャフトが、キーチェーン、腕時計、帽子、衣料品、携帯電話ケース、携帯電話、スマートフォン、ディクタフォン、タブレット、コンピューター、音楽プレーヤー、ヘッドフォン、メガネケース、サングラスケース、水筒、またはクリップのレセプタクルに挿入可能であるように構成される、項目17に記載のデバイス。
(項目23)
前記ハウジング本体が、鼻栓または鼻孔カバーの形を有する、項目1に記載のデバイス。
(項目24)
前記ハウジング本体からの前記コーヒー物質の送達を阻害するように構成されたフィルターをさらに含む、上記項目のいずれかに記載のデバイス。
(項目25)
複数の所定の期間に警報を送達するように構成された警報機構をさらに含み、前記期間が常用癖のパターンに対応する、上記項目のいずれかに記載のデバイス。
(項目26)
患者の常用癖を処置する方法であって、
作動したときコーヒー由来の揮発性物質を送達するように構成された送達デバイスを提供するステップであって、前記コーヒー由来の揮発性物質が、熱を使用せずに前記送達デバイスにより発生し、前記送達デバイスが、前記揮発性物質を通過させる少なくとも1つの出口開口を含む、ステップと、
前記少なくとも1つの出口開口が、前記コーヒー由来の揮発性物質によりそれを送達したとき前記患者の嗅覚刺激を可能にする距離以内にあるように、前記送達デバイスを前記患者に対して位置決めするステップと、
前記送達デバイスを、常用癖離脱の感覚があるとき作動させるステップであって、コーヒー由来の揮発性物質の用量を、前記少なくとも1つの出口開口を通して患者に送達し、それが前記患者の脳内報酬系の嗅覚刺激を、前記常用癖離脱の感覚を抑えるに十分な強度で引き起こす、ステップと
を含む方法。
(項目27)
前記常用癖が、ニコチン常用癖、オピオイド常用癖、コカイン常用癖、メタンフェタミン常用癖、ヘロイン常用癖、またはアルコール常用癖を含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記常用癖離脱の感覚が、過敏性、情動不安、不安、うつ病、不眠、または渇望を含む、項目26から27のいずれかに記載の方法。
(項目29)
前記嗅覚刺激が前鼻腔刺激を含み、前記送達デバイスを位置決めするステップが、前記少なくとも1つの出口開口を前記患者の鼻孔から3cm以内に保持することを含む、項目26に記載の方法。
(項目30)
前記嗅覚刺激が後鼻腔刺激を含み、前記送達デバイスを位置決めするステップが、前記少なくとも1つの出口開口を前記患者の口腔内に位置決めすることを含む、項目26に記載の方法。
(項目31)
送達デバイスを提供するステップが、コーヒー物質を前記送達デバイスに挿入することを含む、項目26から30のいずれかに記載の方法。
(項目32)
コーヒー物質を挿入するステップが、前記コーヒー物質を含有する事前に充填されたカートリッジを前記送達デバイスに挿入することを含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記送達デバイスを作動させるステップが、コーヒー由来の揮発性物質を逃すように前記カートリッジを穿孔することを含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記コーヒー物質を内部でさらに加工するように、前記カートリッジを可逆的に変形させるステップをさらに含む、項目32から33のいずれかに記載の方法。
(項目35)
前記送達デバイスを作動させるステップが、前記少なくとも1つの出口開口の少なくとも1つの上のカバーを開放することを含む、項目26から34のいずれかに記載の方法。(項目36)
前記送達デバイスを作動させるステップが、所定の計画に従って行われる、項目26から35のいずれかに記載の方法。
(項目37)
前記送達デバイスを作動させる好ましい時間を示す警報を所定の時間に提供するように、前記送達デバイスをプログラミングするステップをさらに含む、項目26から36のいずれかに記載の方法。
(項目38)
前記送達デバイスをプログラミングするステップが、常用癖の処置に関連した計画に従って前記送達デバイスを作動させる一連の好ましい時間を示す一連の警報を所定の時間に提供するように、前記送達デバイスをプログラミングすることを含む、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記送達デバイスを、キーチェーン、腕時計、帽子、衣料品、携帯電話ケース、携帯電話、スマートフォン、ディクタフォン、タブレット、コンピューター、音楽プレーヤー、ヘッドフォン、メガネケース、サングラスケース、水筒、またはクリップに取着するステップをさらに含む、項目26から38のいずれかに記載の方法。
(項目40)
患者の常用癖を処置するためのシステムであって、
複数の送達デバイスであって、各送達デバイスが、所定量のコーヒー物質を内部に有し、そこからコーヒー由来の揮発性物質が収集可能であり、用量の形で送達可能である複数の送達デバイスと、
前記常用癖が処置されるように、前記患者に各用量を投与するための時間系列を定める投与計画と
を含むシステム。
(項目41)
前記複数の送達デバイスのそれぞれの内部にある前記所定量のコーヒー物質の少なくとも一部が、異なる用量を提供するように異なっている、項目40に記載のシステム。
(項目42)
前記異なる用量が徐々に減少し、前記投与計画が、前記時間系列全体を通して用量を減少させるように定める、項目41に記載のシステム。
(項目43)
前記常用癖がニコチン常用癖であり、前記複数の送達デバイスのそれぞれが、紙巻きタバコ、電子タバコ、または葉巻に似ている、項目41に記載のシステム。
(項目44)
各用量が、常用癖性薬物に等しい強度で前記患者の脳内報酬系の腹側被蓋領域または側坐核の嗅覚刺激を引き起こすに十分である、項目40に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0064】
発明の詳細な説明
次に、開示されるデバイス、システム、および方法の特定の実施形態について、図面を参照しながら説明する。この詳細な説明は、任意の特定の構成要素、特徴、またはステップが本発明に必須であることを示唆しようとするものではない。
【0065】
特に常用癖を処置するために、使用者にコーヒー由来の揮発性物質を送達するためのデバイス、システム、および方法が、提供される。コーヒー揮発性物質は、制御された手法で使用者の嗅覚系への濃縮送達を可能にする、デバイスおよびシステムによって選択され送達される。嗅覚系は、匂いを嗅ぐことまたは嗅覚作用に使用される感覚系の一部である。この定められた手法でのそのようなコーヒー揮発性物質への嗅覚作用は、特定の所望の結果が実現されるように脳の報酬系を刺激する。一部の実施形態では、所望の結果は、常用癖症状の低減または常用癖離脱の感覚の抑制である。これは少なくとも部分的には、このように送達される場合、報酬系を刺激する際のコーヒー揮発性物質の予期せぬ効力に起因して可能であり;そのような効力は、コカイン、オピオイド、およびニコチンなどの刺激薬物と同等である。そのような結果は、そのような吸入が典型的には一般に喜ばしいと見なされる場合であっても、コーヒー店内またはコーヒーを飲むときなどのコーヒー揮発性物質の制御されていない吸入では実現可能ではない。さらに、コーヒーの香りが着いた空気のフレッシュナーまたはアロマテラピーディフューザーの吸入は、制御されないだけでなくコーヒー揮発性物質もおそらく不十分である。
【0066】
新たに淹れたコーヒーの匂いは、広く認識される。世界中の何百万人、同様に何十億人にとって、新たに淹れたコーヒーの香りは、十分にやる気の出る1日の始まりの引き金になる。飲料は、世界中で毎日消費され(毎日、20億杯のコーヒー)、コーヒーは、水およびお茶に次いで3番目に多く消費される飲料になっている。コーヒーを飲まない者の中においても、多くがその芳香を楽しむ。コーヒーの消費は、主にその芳香およびフレーバーに起因し、ほぼ普遍的な快感および満足感を促進させる。しかしコーヒーの消費は様々なリスクおよび欠点をもたらす。コーヒーは、高いカフェイン含量を有し、典型的にはコーヒー8オンス当たり135ミリグラムである。1日にカフェインを500〜600mgよりも多く消費すると、不眠、神経質、情動不安、過敏性、頻拍、および筋肉振戦をももたらし得る。ある研究は、妊娠中1日にカフェイン300mgの消費が、低体重新生児のリスクを増大させ得ることを提示し、一方、その他の調査は、1日にコーヒー4杯を飲むことで、死亡を早めるリスクが増大し得ることを提示する。カフェインは、利尿効果もあり、脱水を増大させる可能性がある。カルシウム、マグネシウム、およびカリウムなどの高い尿中排泄ミネラルは、コーヒー飲料者において留意される。電解質状態の不均衡は、深刻な全身性合併症をもたらす可能性がある。鉄分の吸収も妨げる。さらに、コーヒーの酸性度は、消化障害、消化不良、胸焼け、GERD、および腸内毒素症(腸管内菌叢の不均衡)に関連付けられる。コーヒーの構成成分は、肝臓における正常な薬物代謝および解毒も妨げる可能性があり、肝臓内での正常な解毒過程を調節することが難しくなる。したがって、コーヒーの消費は多くの者に喜ばしいと考えられるが、副作用および健康上のリスクは、多くの使用者にその消費を低減させまたは消費全体を回避させるのに極めて十分である。
【0067】
本発明のデバイス、システム、および方法は、コーヒー由来の揮発性物質への嗅覚作用をコーヒー消費から切り離し、したがってコーヒー消費に関する欠点のない嗅覚作用が可能になる。さらに、本明細書で提供される揮発性物質10および関連ある芳香プロファイルは、1杯のコーヒーを飲むことに由来するものと同じではない。本明細書に記載される方法およびデバイスによるコーヒー由来の揮発性物質10の送達では、飲むことはせず、味にも関連がない。方法およびデバイスは、味、口内感覚、またはその他類似の刺激を含まない、特に前鼻腔および後鼻腔経路を介した嗅覚刺激のみに依拠する。さらに、本明細書に記載される方法およびデバイスは、コーヒーを飲んだときまたは周囲のコーヒー由来の揮発性物質に曝されたときには実現されない、制御された相送達を含む。デバイス、システム、および方法は、脳の報酬系に効果的に刺激を与えるように制御された手法で、コーヒー由来の揮発性物質の嗅覚作用を提供する。
【0068】
図1A〜1Bは、本発明による、使用者または患者Pにコーヒー由来の揮発性物質10を送達する実施例の方法を示す。
図1Aおよび
図1Bは共に、患者Pの鼻腔NC内の嗅球OBへの、コーヒー由来の揮発性物質10の送達を例示する。これらの実施形態では、コーヒー由来の揮発性物質10は、それを送達したときコーヒー由来の揮発性物質10による嗅覚刺激が可能になるように、患者Pに対して位置決めされた送達デバイス12によって提供される。送達デバイス12は、様々な形を有していてもよいことが理解でき、その例を、後続のセクションで説明する。
図1Aは、鼻Nを介して揮発性物質10が送達されるように送達デバイス12が位置決めされている、「前鼻腔」送達経路を示す。このように、デバイス12の一部は、鼻腔NCおよび嗅球OBへの吸入のため、1つまたは複数の鼻孔NOの近くに、接触させて、内部に、または通して位置決めされる。
図1Bは、口または口腔OCを介して揮発性物質10を送達するように送達デバイス12が位置決めされる、「後鼻腔」送達経路を示す。このように、デバイス12の一部は、口腔OCを経て、中咽頭OPおよび鼻咽頭NPに上がり、鼻腔NCおよび嗅球OBに至るように送達するために、唇Lの近く、接触させて、または間に位置決めされる。一部の実施形態では、送達デバイス12は口腔OC内に位置決め可能であることが理解され得る。
【0069】
図2Aは、鼻腔NCおよび嗅球OBにコーヒー由来の揮発性物質10が送達された患者Pを示す。
図2Bは、嗅球OBの一部の拡大図である。嗅球OBは、嗅上皮OEを経てコーヒー由来の揮発性物質10が存在する鼻腔NCに延びる、嗅覚受容細胞ORCの軸索を含有する。コーヒー由来の揮発性物質10は、受容細胞ORCを刺激する。嗅覚受容細胞ORCの軸索が嗅上皮OEから離れるにつれ、それらは合体して多数の束を形成し、一緒になって嗅神経ONを構成し、それが嗅覚情報を処理する脳Bに延びる。受容細胞ORCが揮発性物質10を検出すると、嗅覚情報が脳Bに送られ、匂いを特定する。受容体があるよりも多くの匂いが環境内にあり、任意の所与の香り分子または揮発性物質が受容体の組合せを刺激して独自の再現を脳B内に創出し得ることが公知である。これらの再現は、特定の匂いとして脳Bに記憶される。しかし一部の物質および揮発性物質は、単なる香りの特定よりも大きな影響を脳Bに及ぼす。レクリエーショナルドラッグなどのある特定の物質は、脳内報酬系を刺激することができることが公知である。
脳内報酬系
【0070】
脳内報酬系は、連合学習、誘因的特徴(即ち、動機付け、および報酬に対する欲望または渇望)、および肯定的感情、特に喜びに関する感情を含む、報酬関連認識に関与する一群の脳構造および神経経路である。報酬系を構成する脳構造は、皮質基底核神経節−視床−皮質ループ内に主に位置付けられる。これには中脳辺縁経路が含まれる。中脳辺縁経路は、脳B内のドーパミン作動性経路である。経路は、中脳に位置付けられた腹側被蓋領域VTAを、腹側線条体に位置付けられた側坐核NAおよび嗅結節に接続する。腹側被蓋領域VTAは、内側前脳束を介して側坐核NAに突き出る。腹側被蓋領域VTAは、嗅球OB内で刺激を受けたニューロンによって活性化される、多数のドーパミンニューロンを含む。そのような活性化は、前頭前皮質中のドーパミンの増加と共に側坐核NA中のドーパミンレベルを上昇させる。
【0071】
脳B内で、ドーパミンは、部分的には「全報酬信号」として機能し、報酬刺激に対する初期相動性ドーパミン応答が、特徴(「欲求」)、値、および報酬の状況に関する情報をコードする。ドーパミンの機能は、腹側被蓋領域VTAおよび黒質からの各軸索投射において変化し;例えば腹側被蓋領域VTA−側坐核NAシェル投射は、誘因特徴を報酬刺激およびその関連するキューに割り当て、腹側被蓋領域VTA−眼窩前頭皮質投射は、それらの誘因特徴に従って異なる目標の値をアップデートし、腹側被蓋領域VTA−扁桃および腹側被蓋領域VTA−海馬投射は、報酬関連の記憶の固定を媒介し、腹側被蓋領域VTA−側坐核NAコアおよび黒質−背側線条体経路は両方とも、報酬刺激の獲得を容易にする学習運動応答に関わる。腹側被蓋領域VTAドーパミン作動性投射内の一部の活性は、報酬予測にも関連付けられるようである。
【0072】
全ての常用癖性薬物は、側坐核NA内のドーパミン神経伝達に直接または間接的に影響を及ぼす。側坐核NAは、薬物の強化効果を媒介することが周知であるが、より最近の調査は、最初に薬物乱用をもたらし次いで常用癖に至る過程における、側坐核NAのシェルおよびコア成分ならびに背側線条体を含む全体としての線条体の役割を強調する。快不快応答の種々の態様に関わる追加の神経構造は、膝下帯状回および中隔−視床下部、扁桃複合体およびその他の基底前脳および脳幹構造、ならびにそれらの相互接続経路を含む。ドーパミン神経伝達は、ドーパミン放出が増大する多くのその他のタイプの楽しい経験、例えば性交、食事を楽しむこと、またはビデオゲームで遊ぶことによっても影響を受ける。コーヒー由来の揮発性物質による脳内報酬系の刺激
【0073】
特定のタイプおよび量のコーヒー由来の揮発性物質10は、嗅球OBに送達される場合に類似した手法で、脳内報酬系を刺激できることが発見された。これはコーヒー由来の揮発性物質10の吸入が制御されるように、患者の脳内報酬系応答を機能的磁気共鳴撮像(fMRI)により測定することによって実現される。腹側被蓋領域VTA、側坐核NA、および扁桃などの快感の領域(脳内報酬系)は、特に新たに挽かれたコーヒーからの、コーヒー由来の揮発性物質10によって、強い刺激を受けることがわかった。さらに、前帯状皮質、眼窩前頭前皮質、背側線条体、腹側淡蒼球、膝下および中隔−視床下部、背側線条体(左および右尾状核、右被殻)、および背側中脳など、その他の皮質および基底前脳構造が刺激を受けた。さらに、左扁桃および海馬も活性化した。側坐核NA活性化は、驚くべき堅牢性を示し(T=7.67)、これは機能的MRI研究においてより低い信号対雑音を一般に示すという事実にも関わらず、最も強力な統計効果であり、相動的手法で提示されるコーヒーの芳香が、予期せぬ効力により脳内報酬系を本質的に回復させることができることを示し、これは強い快感を伴う。このことは、コーヒー由来の揮発性物質10が、嗅覚的影響だけでなく、はるかに洗練された効果を人に引き起こすことを示唆している。
【0074】
これらのfMRI研究には、消費者集団を代表して23名の右利きのボランティア(男性11名)が関与した。人の嗅覚の知覚は、精神物理学的ツールまたはより複雑な臭気発生デバイスシステム、即ち嗅覚測定器を使用して測定できることが公知である。したがって、空気希釈に基づくコンピューター制御された複鼻腔嗅覚測定器を用いて、実験の目的で臭気刺激を送達した。嗅覚測定器を、3.0TeslaのMRIスキャナー(Philips Achieva)と組み合わせて使用して、コーヒー由来の揮発性物質ならびにその他の香りに応答する脳活動を測定した。2つの品質レベル(特選および商用コーヒー)のコーヒー試料を、2つの量で用いた(バイアル当たり、挽かれたコーヒーを1gおよび10g;パイロット実験で得られたこれらの量は、これらの相対量が、感知された芳香強度の2倍差に関連付けられたことを示す)。中性石けんを、fMRI実験用に「中性状態」である対照として用いた。生のコーヒー豆をその後、焙煎し、挽いた。試料の名称は、下記の通りコード化した:
a. 「A」 特選コーヒー
b. 「B」 商用コーヒー
c. 「H」 より高い匂い強度(より高い量のコーヒー;10g)
d. 「L」 より低い匂い強度を示す(より低い量のコーヒー:1g)
e. 「N」 中性石けん
【0075】
約45分間続く(MRIスキャナー内で)fMRI実験は、3.0TeslaのMRスキャナー(Philips Achieva)で行った。臭気刺激の開始は、視覚的に指示し(ヘッドコイル搭載型ミラーを介して参加者から見えるコンピューター画面上の投射画像を介して)、2.5秒の刺激期間の後、1(非常に心地良くない、または非常に弱い)から5(非常に心地良い、または非常に強い)までの視覚的格付け尺度を使用して、快感強度および匂い強度の両方を(個別に)、ボタンボックスを使用してその臭気を格付けした。着臭剤の刺激物を含有する各フラスコ(バイアル)を、それ自体のTeflon管によって、デッドスペースが最小限になるように参加者の鼻から1cm以内に配置された送達ノズルに接続した。送達ノズルは各鼻孔に刺激をもたらし、したがって複鼻腔刺激が生成される。
【0076】
行動データを、平均比較(Tukey検定)を用いた反復測定分散分析(ANOVA)によって統計的に評価した。ANOVAは、特選コーヒーが著しく(p<0.05)高い受け入れ率を示し、快不快尺度で非常に心地良い(4.11±0.66)と報告され、一方、商用コーヒーは、それほど心地良くない(3.15±1.16)と感知された。
【0077】
神経撮像データを、ランダム化群影響分析を使用して、SPM12ソフトウェアで前および後処理した。SPM12ソフトウェアは、SPMソフトウェアをメジャーアップデートしたものであり、先のバージョンよりも、実質的な理論的、アルゴリズム的、構造的、およびインターフェースを強化したものを含有する。統計的パラメトリックマッピング(SPM)は、機能的撮像データに関する仮説を試験するのに使用される、空間的に拡張された統計的仮定の構成および評価を指す。これらの考えは、SPMと呼ばれるソフトウェアでインスタンス化されている。SPM12ソフトウェアパッケージは、脳撮像データシーケンスの分析用に設計されている。シーケンスは、異なるコホートからの一連の画像、または同じ対象からの時間系列とすることができる。現行リリースは、fMRI、PET、SPECT、EEG、およびMEGの分析用に設計される。
【0078】
図3〜4は、有意なレベルZ=7,7(P<0.001 未補正)での脳内報酬系における着実な活性化を示す、MRI画像における高(A−特選コーヒー/H−高濃度)対中性(N)条件を示す。機能的磁気共鳴撮像(fMRI)統計マップは、快感応答を伴う、その他の脳領域の中でも側坐核の活性化(おそらく、間接的なD2およびエンケファリン系刺激を介して)を含む、高濃度での特選コーヒーの芳香(A)の作用を示す。
図3〜4は、全脳ファミリーワイズ誤差補正(P<0.001)で生き残った側坐核内の領域のAH>N対比で、AH−N(厳密な、ファミリーワイズ発見誤差補正、統計的閾値であって、全脳レベルで多重比較を補正するものを使用する)活性を示す。
図3〜4は、中性(石けんのフレグランス)吸入よりも高い匂い強度を持つ特選コーヒーを吸入中の、23名のボランティア参加者に対する中間活性化効果を示す。結果を、多重比較に関して全脳レベルで統計的に補正する(p=0.001、ファミリーワイズ発見レート補正)。
【0079】
効果を、5ボクセルのクラスター基準により、p<0.001で補正された全脳FWEで、閾値化した。非常に着実な活性化が、他の皮質および基底前脳構造、例えば前帯状皮質、眼窩前頭前皮質、背側線条体、腹側淡蒼球、膝下および中隔−視床下部領域、背側線条体(左および右尾状核、右被殻)、および背側中脳に加え、脳内報酬系の一部である側坐核NAおよび腹側被蓋領域VTAで観察された。さらに、左扁桃および海馬も活性化した。側坐核NA活性化は、驚くべき堅牢性(T=7.67)を示し、これはfMRI研究でより低い信号対雑音を一般に示す事実にもかかわらず最強の統計効果であり、相動的手法で提示されるコーヒー由来の揮発性物質10が特に、予期せぬ効力で脳内報酬系を回復させることが可能であることを示し、これは強力な快感を伴うものである。
【0080】
結果は、報酬/動機付け系に関連付けられた神経回路の基本的脳構造を指摘する。このことは、下記の間の比較に対して成り立つ:
a. コーヒー対中性の対比
b. コーヒーA対コーヒーB
c. コーヒーH対L
d. コーヒーA/H対中性
e. 品質と強度との間の相互作用(A/H−A/L)−(B/H−B/L);結果は、快感強度および匂い強度がそれぞれ3〜5の範囲にあるときが最高であった。
【0081】
これは嗅覚系が、感情および快楽も関わる回路に対して強力な連結を有することを示唆している。コーヒーB対コーヒーA、およびコーヒーL対コーヒーHの対比に関しては、同じことは観察されなかった。これらの結果は、尺度の行動データに、および特選コーヒーが商用コーヒーよりも一般に認められるという事実に適合している。
【0082】
側坐核での活性化は、機能的磁気共鳴研究においてその信号が雑音よりも一般に低いという事実にも関わらず、最高の統計効果により驚くほど着実な活性化を示した。これはコーヒーの芳香が、強力な快感を伴う予期せぬ力で、脳内報酬系を特に回復させることが可能であることを示す。
【0083】
このように、機能的磁気共鳴撮像(fMRI)により測定されるヒト脳内報酬系は、特に高品質のコーヒー豆を用いたとき、吸入されたコーヒー由来の揮発性物質10に対して相動的にかつ予期せぬ効力で応答した(コカイン、ニコチンなどの刺激薬物と同等)。その結果、ヒト脳内報酬系を刺激するための、特に腹側被蓋領域VTAニューロンまたは側坐核NAニューロンの嗅覚刺激を刺激薬物と同等の強度で引き起こす、コーヒー由来の揮発性物質10の制御された吸入の様々な方法が提供される。側坐核NAおよび腹側被蓋は、常用癖性薬物が作用する主要な部位である。下記は、常用癖性があると一般に見なされる:ヘロイン、コカイン、アルコール、オピエート、ニコチン、アンフェタミン、およびそれらの合成類似体。これらの薬物は、側坐核NAでのドーパミンの動作を延ばすことによって、またはそこでのおよび同様に腹側被蓋領域VTA内でのニューロンの活性化を刺激することによって、強化信号の処理に対するドーパミンの神経調節性の影響を変化させる。乱用の最も一般的な薬物は、ドーパミンの放出を刺激し、それが報酬および精神運動作用の両方を創出する。強迫的薬物摂取行動は、反復ドーパミン刺激から生ずる中脳辺縁ドーパミン系での永続的な機能的変化の結果である。分子および細胞への適応は、薬物乱用に応答した、腹側被蓋領域VTA内でのおよび中脳辺縁投射に沿った、感作されたドーパミン活性に起因する。神経処理でのこれらの変化は、薬物を求めおよび薬物を摂取する行動が習慣的かつ強迫的になるにつれ、意思決定能力の働きで適応可能な感情信号が徐々に弱まる影響を説明することができる。離脱現象は、薬物が正常な恒常状態を取り戻すことが必要になる苦痛のサイクルを報酬機能の欠陥が開始するために生ずる。
【0084】
さらに臨床試験を行い、4名の喫煙者が、Ethics Committeeにより承認された科学的研究に参加して、本発明による送達デバイスが、喫煙したいという欲望を低減できるかどうか評価した。紙巻きタバコ常用癖に対する一部の介入の効果を測定する手法の1つは、介入前後での渇望尺度の使用によるものである。そのために、参加者は、喫煙衝動に関する調査票(the Questionnaire of Smoking
Urges−Brief)(QSU−B、Araujoら、2007年)に回答した。QSU−Bは、10の肯定的質問から構成される渇望格付け尺度である:
a. 質問1:私は今、紙巻きタバコを吸いたい。
b. 質問2:今、紙巻きタバコを吸うよりも良いものはないと思う。
c. 質問3:可能なら、私は今、吸うであろう。
d. 質問#4:私は、今吸うことができるなら、物事を管理できるであろう。
e. 質問#5:私が何より欲しているのは、紙巻きタバコを吸うことである。
f. 質問6:私には今、紙巻きタバコが必要である。
g. 質問7:紙巻きタバコを吸うことは、この時点で良いことと考える。
h. 質問8:私は今、紙巻きタバコのためなら何でもすると思う。
i. 質問9:吸うことにより、私の落ち込んだ気分が軽くなると思う。
j. 質問10:私は、できる限りすぐに吸いたい。
【0085】
参加者は、「全体として不賛成」から「強く賛成」まで7点のリッカート尺度を使用して質問に答えた。さらに、芳香がどのように快く感知されたか(快感強度)、および芳香がどれほど強力に感知されたか(匂い強度)も評価した。
【0086】
QSU−Bは、下記の相関を有する、点の合計、ファクター1の点、ファクター2の点、およびカテゴリー1〜4の点を合わせたものを用いて分析した:
a. [QSB−U1°FT1]ファクター1(質問1、3、7、および10)−吸入前b. [QSB−U2°FT1]ファクター1(質問1、3、7、および10)−吸入後c. [QSB−U1°FT2)ファクター2(質問4、8、および9)−吸入前
d. [QSB−U2°FT2)ファクター2(質問4、8、および9)−吸入後
e. [QSB−U1°C1]カテゴリー1−吸いたいという欲求(質問1、5、および6)−吸入前
f. [QSB−U2°C1]カテゴリー1−吸いたいという欲求(質問1、5、および6)−吸入後
g. [QSB−U1°C2]カテゴリー2−プラス効果の期待(質問2および7)−吸入前
h. [QSB−U2°C2]カテゴリー2−プラス効果の期待(質問2および7)−吸入後
i. [QSB−U1°C3]カテゴリー3−離脱症状またはマイナス効果の除去(質問4および9)−吸入前
j. [QSB−U2°C3]カテゴリー3−離脱症状またはマイナス効果の除去(質問4および9)−吸入後
k. [QSB−U1°C4]カテゴリー4−喫煙の意図(質問3、8、および10)−吸入前
l. [QSB−U2°C4]カテゴリー4−喫煙の意図(質問3、8、および10)−吸入後
【0087】
種々の禁断時間での渇望のばらつきを、総QSU−Bスコア、QSU−B1°ST(吸入前)、およびQSU−B2°ST(吸入後)により測定した。結果を表1に提示する。
【表1】
【0088】
介入前後に適用される尺度の値を比較すると、渇望は安定なままであるか減じられるかのいずれかであることを観察することができ、したがって、症状を低減させる際に送達デバイスを利用する有効性が示される。
【0089】
特定のコーヒー由来の揮発性物質10の、制御された吸入を使用して、脳Bにおける類似の刺激効果を提供することにより、刺激薬物の常用癖を処置できることが提示される。しかし、刺激薬物とは異なって、コーヒー由来の揮発性物質10の吸入には、心拍数の不規則性および心臓麻痺のリスク、肺がん、肺気腫、および呼吸の問題などの呼吸器に関する問題、腹痛、嘔吐、便秘、下痢、腎および肝損傷、発作、卒中、脳損傷、および潜在的な死など、有害な身体的副作用がない。同様に、コーヒー由来の揮発性物質10の吸入には、大きな気分の変動、うつ病、不安、パラノイア、暴力、毎日の生活での喜びの、精神病の合併症、幻覚、混乱、および増え続ける量の物質を受容する欲求を創出する物質の効果に対する心理的耐性など、有害な生理的副作用がない。
【0090】
さらに、コーヒー由来の揮発性物質10は、発がん性ではなく安全と見なされ;コーヒー消費に関する大規模な研究が利用可能であり、コーヒー豆が広く使用され、現在のところ、コーヒーを取り扱いまたは匂いを嗅ぐのに適用される米国食品医薬品局からの制約はない。刻みタバコ、および加熱がなされるその他の物質を吸うこととは異なり、コーヒー由来の揮発性物質10は、熱を使用することなく患者に送達され得る。これは加熱プロセスに関係するアーチファクトを回避し、有機および無機物質を加熱するときに一般に生成されるいくつかの毒性化合物を発生させるリスクを低減させる。このように、副生成物は形成されず、患者への送達点で追加の物質、安定化剤、または加熱などの物理的プロセスを必要としない。
コーヒー物質
【0091】
本明細書に記載される送達デバイスおよびシステムを使用して患者Pに送達される揮発性物質10は、全てオリジナルでコーヒーに由来する。しかし揮発性物質10は、コーヒー豆のタイプ、豆の加工、および任意のその他の加工、例えば粉砕またはコーヒー油の抽出に応じて変化してもよい。
【0092】
コーヒーは、成分の芳香に関して非常に複雑なマトリックスを保持する。新たに焙煎したコーヒー豆は、特に挽きたての場合、強く心地良い匂いを放つ。それらは、ハーブおよび花を含む、任意のその他公知の天然産物よりも多くの、1000種近くの揮発性化合物をもたらすことができる。これらは、(豊富な順に)フラン、ピラジン、ケトン、ピロール、フェノール、炭化水素、酸および無水物、アルデヒド、エステル、アルコール、硫黄化合物、およびその他のものを含む、種々のクラスに分けることができる。しかし、これらの化合物の約5%のみが、実際に臭気がし、コーヒーの芳香に影響を及ぼすことができると考えられる。これらの化合物の中では、とりわけ、ピラジンが際立ち、次にフラン、アルデヒド、ケトン、フェノール、および硫黄化合物が続く。
【0093】
焙煎されたコーヒーで感知される芳香は、一般に、少なくとも2、3種の関連ある分子の組合せに由来する。関連ある分子の間での相乗作用は、各臭気化合物が、固有の閾値濃度、即ちそれよりも高い値で感知されかつその他の匂い化合物と相互作用する固有の閾値濃度を有する場合に生ずる。したがって芳香プロファイルは、種々の分子の複合的相互作用およびそれらのそれぞれの濃度に依存する。したがって、一部の化合物が高度な影響を及ぼし得るとしても(単独で高い臭気活性を保有する化合物)、これらは必ずしも、芳香の知覚および主観的体験に寄与しなくてもよい。
【0094】
高品質および低品質のコーヒー種子は、全く異なる芳香プロファイルを示すことが公知である。淹れたコーヒーの官能品質は、生の種子の化学組成および収穫後の加工条件(特に焙煎)に厳密に関係する。コーヒーの取引で世界的に用いられる最も重要な基準は、カップクオリティと、欠陥がある種子およびストレンジ物質の存在である。
【0095】
生のコーヒー豆の品質は、気候および土壌およびコーヒー遺伝子型、種々の穀物管理システム、収穫のタイプおよび時間、チェリー品質および加工、豆の貯蔵、その輸送、および最終的には焙煎プロセスの、複雑な相互作用の結果である。特選コーヒーは、植物種Coffea arabica L.(アラビカ)をベースにする。より高い高度で発生したCoffea arabicaの実は、より多くの粘液を生成することができ、糖およびその他の可溶性固形分中により豊富に存在することができる。実は、ほぼ完璧な条件下で成長し、非常に慎重に加工される。コーヒー豆を、小バッチで焙煎して、理想的なフレーバープロファイルを見出す。このように特選コーヒーは、より高い品質であり、より洗練された芳香と、全く異なるスウィー(swee)およびフローラル/フルーティなフレーバーを有する。商用コーヒーは、植物種Coffea arabica L.(アラビカ)をベースにしてもよいが、コーヒーは、より低い品質のものであり、欠陥、石、棒、破れた豆、細断された豆、および昆虫によって損傷を受けた豆を有するコーヒー豆から作製される。
【0096】
コーヒーチェリーは、プロセスそのものにおいて選択的にピックアップしまたは機械的に分離した後に、いくつかの加工ステップを受けなければならない。特選コーヒーを生成するその能力に関する、ある周知の技法は、熟した完全な実のより良い選択による湿式法である。一般に、この方法により生成されたコーヒーは、より芳香が高く、苦味は少ない。乾燥パーチメントコーヒーは、かび臭い、土臭い、または発酵したフレーバーの発生を回避するために、12%よりも低い水分レベルで貯蔵しなければならない。しかし、コーヒーの心地良い感覚特性のほとんどの要因であるのは、焙煎プロセスである。一般に、芳香のある化合物のほとんどは、ライトミディアムまたはミディアムローストで発生する。よりダークなローストは、揮発性の少ないプロファイルを有し、いくつかの不健康な分子を含有し得る。
【0097】
欠陥のある種子の存在は、コーヒーの芳香にとって有害なものである。欠陥のある種子は、タール様の、発酵した、スモーキーな、木質様の、スパイシーな、革のような、または薬のような、鼻を突くような、焦げたような、ゴムのような臭気として、いくらかマイナスの性質をしばしば有する。それに対して選択された豆は、極めて心地良い匂い(例えば、カラメル、チョコレート、およびナッツノート)をもたらす。
【0098】
全体として、欠陥のある種子は、良い種子の場合と比較して、一部のピラジンおよびピロール、ならびにブチロラクトンおよびヘキサン酸を含む、より高い数および濃度の揮発性化合物を示す。これらは、欠陥のある種子でのみ観察されるので、欠陥のある種子の潜在的なマーカーであると以前から見なされていた。潜在的な焙煎済みの欠陥のある種子のマーカーとして示唆された化合物は:ヘキサン酸、β−リナロール、2−ブチル−3,5−ジメチルピラジン、2−ペンチルフランであった。低品質インジケーターとして示唆された追加の化合物は、2,3,5,6−テトラメチルピラジン、2,3−ブタンジオール、および4−エチルグアイアコール、b−リナロール、ブタン酸2−,3−ジメチルブチル、酢酸2−フェニルエチル、2,3−ブタンジオン、ヘキサン二酸、グアイアコール、2,3−ジヒドロ−2−メチル−1H−ベンゾピロール、3−メチルピペリジン、2−ペンチルピペリジン、3−オクテン−2−オン、2−オクテナール、2−ペンチルフラン、および2−ブチル−3−メチルピラジン、およびフェノールであった。それにも関わらず、これらの化合物のいくつかは、低濃度であるときに心地良いノートに貢献し得る。このように、好ましい実施形態では、より低い頻度で欠陥のある種子およびその他の汚染物質を有する特選コーヒーを、選択されるコーヒー物質として使用する。さらに、ライトミディアムローストが望まれる。
【0099】
2つの主な次元:強度および原子価を使用して、刺激評価の文脈で主観的感情応答を特徴付けることができる。原則としてそれらは独立して主観的体験に寄与することが予期されるが、強度および原子価は、しばしば非対称であり、互いに相互作用し得る。強度および原子価は、評価空間内でしばしば相関する。心地良いまたは嫌悪される刺激は、それらがより強力になるにつれ、典型的にはより心地良くまたは不快になる。コーヒーの芳香の場合、これらの観察内容は保持されるようであるが、いくつかの注意事項に言及する価値がある。一部の人々の場合、高濃度の、より低い品質のコーヒーの匂い(「商用」コーヒー)であっても、心地良いとして体験することができる。コーヒーの強い匂いは、消費者が受け入れる際の非常に重要な特性である。
【0100】
コーヒーの、別の興味をそそる特徴は、飲料が、匂いと同じように良い味がしないようであるということである。実際に、新たに挽かれたコーヒー豆の匂いがする(少なくとも短距離で)心地良い感覚は、1杯のコーヒーから発散される非常に弱い芳香の匂いよりも、全体として強力である。これには2つの理由がある:(1)挽きたてのコーヒーは、選択されたコーヒーの淹れ方とは無関係に、1杯の浸出させたコーヒーの芳香よりも高い揮発性物質を有し(これは主に、全てではない揮発性物質が飲料に抽出されるからである);(2)飲料を飲み込む動作が、芳香の発散を口内から鼻の背面に押し上げ、後鼻腔知覚として公知の「匂いの第2の感覚」を活性化させるが、これはフレーバーに関してそれほど強力ではなく、したがってそれほど満足のいくものではない。これはコーヒーの場合、コーヒーの複雑な芳香が形成されるように組み合わされる分子が唾液によって拭い去られ、飲み込むプロセス中にフレーバーを変化させるという事実によって、フレーバーの知覚が部分的に妨げられるために生ずる。事実、嗅覚作用の感覚は、「二重性」を有する唯一のものであり、即ち、外側から(前鼻腔知覚)または口内から(後鼻腔知覚)感知することができる。
【0101】
特定の実施形態では、本発明は、2〜3例を挙げると、丸ごとのコーヒー豆、挽かれたコーヒー、添加物を含むまたは含まないコーヒー油、単一または混合したコーヒー分子であって、それぞれが天然のまたは合成の供給源からのもの、またはこれらの任意の組合せなどのコーヒー物質を、吸入デバイスまたは送達デバイス12に閉じ込め、使用者に、前鼻腔および/または後鼻腔送達経路を介してコーヒー物質から放出された揮発性物質10を吸入させることによって行うことができる。他の実施形態では、コーヒー物質はさらに、その他の活性および/または不活性物質および担体と共に調製および/または組み合わされて、コーヒー揮発性物質の送達、活性、摂取、またはその他の特性を強化し、制御し、またはその他の手法で影響を及ぼしてもよい。コーヒー物質が、挽かれたコーヒーを含む実施形態では、コーヒーを使用の少し前に、例えば使用前6時間未満、好ましくは使用前1時間未満、しばしば使用前30分未満、通常は使用前15分未満で挽くことが好ましいが、それは有効な芳香の揮発性物質が不安定であり、挽かれたコーヒーが使用前に長時間雰囲気に曝されると有効な芳香の揮発性物質を失う可能性があるからである。あるいは、挽かれたコーヒーは、密封されたパッケージまたは容器に保存されてもよい。例えば挽かれたコーヒーは、高い鮮度の芳香保持による超濃縮安定化コーヒー粉末として形成されてもよいが、そのような保存技法は一般にそれほど好ましくはない。
【0102】
一部の実施形態では、コーヒー物質10gを送達デバイス12内に入れる。しかし、1g、2g、3g、4g、5g、6g、7g、8g、9g、9.5g、10g、10.5g、11g、またはそれよりも多くを含む、その他の量を代わりに使用してもよいことが理解され得る。同様に、0.4〜18g、1〜10g、5〜10g、9〜11g、9.5〜10.5gなどの量を使用してもよい。同様に、0.5gおよび0.25gを含む、1g未満の量を使用してもよい。そのような量は、使用されるコーヒー物質のタイプ(例えば、コーヒーの種類、加工のタイプ、焙煎の程度、粉砕の程度、挽かれたコーヒー対コーヒー油など)および/または所望の効果に応じて異なってもよい。
投与量
【0103】
ほとんどの実施形態では、送達デバイス12が、用量の形でコーヒー由来の揮発性物質10を提供すると理解することができる。典型的には、単回用量は、常用癖性薬物またはレクリエーショナルドラッグに等しい強度などの高強度で、腹側被蓋領域または側坐核などの脳内報酬系の嗅覚刺激を引き起こすに十分なものである。したがって使用者は、コーヒー由来の揮発性物質10の用量から、使用者が常用癖性薬物の使用から得ると考えられるのと同じまたは類似の効果を得ることができ、それによって使用者は、常用癖性薬物の利用およびその有害な副作用を排除することが可能になる。
【0104】
コーヒー由来の揮発性物質10の用量は、送達デバイス12の単一作動でまたは短時間以内での複数の作動で使用者に提供してもよいことが理解され得る。そのような送達は相動的であり、用量は、短時間または相で使用者に提供され、次いでそれらの間では使用者に提供されない。例えば、揮発性物質10は、何秒または何分かけて送達され、次いで再び何時間または何日後に送達され得る。例えば、揮発性物質10は、1〜2分かけて送達され、次いで再び2〜3時間後に送達され得る。そのような投与は、ニコチンおよびその他の精神活性物質などの薬物消費で観察された耐性なしで、ドーパミンスパイクを引き起こす。
【0105】
化学的研究を行って、本発明で使用されるコーヒー物質試料から、特定のコーヒー由来の揮発性物質10の例を決定した。fMR分析(上述)の粉末コーヒー物質試料を、化学分析に使用した。粉末コーヒー物質試料を、プラスチックキャップおよびシリコーンセプタムで密封したfMRIバイアルに入れた。ヘッドスペース−固相マイクロ抽出(HS−SPME)抽出を、10gの粉末コーヒー物質試料およびジビニルベンゼン/カルボキセン/ポリジメチルシロキサン(DVB/CAR/PDMS)(50/30μm)繊維(Supelco Analytical、SupelcoはSigma−Aldrich Corporationの一部である)を使用して実施した。固相マイクロ抽出(SPME)では、ポリマーコーティングされた溶融シリカ繊維を使用して、ヘッドスペース抽出により、分析物を固体試料から吸着させることができる。分析物は、ガスクロマトグラフ(GC)の注入ポート内または固相マイクロ抽出(SPME)/高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)界面の脱着チャンバー内で繊維を曝すことにより、繊維から脱着される。
【0106】
揮発性画分抽出法は、Amaralら、2017年から適応させたものであり、平衡時間20分および抽出時間30分を有していた。35℃での加熱は、Agilent 6890N GC炉で行った。n−アルカンのHS−SPME抽出は、試料で特定された物質のLRI[l7]を決定するために、同じ繊維により行った。揮発性画分を、標準の場合と同じカラムおよび同じクロマトグラフィー条件で、Agilent 7820A−5977E GC−MSシステムを使用して分析した。しかしSPME注入は、250℃で1分間(試料)および0.2分間(n−アルカン)、インジェクター内の繊維を脱着することにより、スプリットレスモードで手動で行った。0.75mmの内径(Supelco)に対して線形のSPMEを使用した。注入時間後、繊維をさらに4分間、インジェクター内でそのままにして、完全な清浄化を確実にした。
【0107】
GCMSにより特定されたおよびGC−FIDにより定量された、ヘッドスペースに存在するコーヒー揮発性画分の組成を、表2に提示する。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0108】
図5は、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GCMS)により特定された、ヘッドスペースに存在するコーヒー揮発性物質の組成を示す、クロマトグラムを提供する。GCMSは、試験試料中の種々の物質が特定されるように、ガスクロマトグラフィーと質量分析法との特徴を組み合わせる分析法である。
送達デバイス
【0109】
コーヒー由来の揮発性物質10を、前鼻腔および/または後鼻腔経路を介して使用者に送達するための、様々な送達デバイスが提供される。
【0110】
図6A〜6Bは、使用者が手に持つのに都合良い、細長い形状のハウジング本体を有する送達デバイス12の実施形態を例示する。ハウジング本体は、丸い、楕円、正方形、長方形、円筒形、円錐形、ディスク形状、および同様のものも含めた、様々な形状およびサイズを有していてもよいことが理解され得る。この実施形態では、送達デバイス12は、長さ約103mm、およびその最も広い部分で幅14mmであり、これは都合良いサイズであるが、より大きいまたはより小さい寸法および形状のその他のタイプが可能である。
【0111】
この実施形態では、送達デバイス12は、第1の端部102および第2の端部104を有する細長いシャフト100の形状のハウジング本体を含む。この実施形態では、第1の端部102は、気道管腔106に至る入口開口105を有する。これは送達デバイス12内に空気を流す。気道管腔106は、コーヒー物質110を保持するように構成されたチャンバー108に至る。コーヒー物質110は、2〜3例を挙げると、丸ごとのコーヒー豆、挽かれたコーヒー、添加物を含むまたは含まないコーヒー油、単一または混合したコーヒー分子であって、それぞれが天然のもしくは合成の供給源またはこれらの任意の組合せからのものを含んでいてもよい。一部の実施形態では、コーヒー物質110は、コーヒー由来の揮発性物質10がそこから放出するのを支援するため、使用者によりさらに加工される。例えば、使用者は、丸ごとのコーヒー豆を挽いてもよく、または挽かれたコーヒーを齧り、または咀嚼し、その後にデバイス12に挿入してもよい。
【0112】
一部の実施形態では、チャンバー108は、コーヒー物質110を直接含有しまたは受容するように構成され、しかしこの実施形態では、チャンバー108は、コーヒー物質110を含有するカートリッジ112を含有しまたは受容するように構成される。1回だけの使用のため、送達デバイス12には、チャンバー108に直接またはチャンバー108内に収容されるカートリッジ112内にコーヒー物質110が典型的には事前に充填されている。次いで送達デバイス12を、使用後に処分する。多数回使用する場合、送達デバイス12は詰替え可能でありまたは再充填可能である。そのような場合、チャンバー108は、コーヒー物質110を詰め替えるために使用者が触れることができる。そのような実施形態では、チャンバー108は、表示線、溝、区画、またはチャンバー108に所望の量のコーヒー物質110を充填するのを支援するその他の要素を含んでいてもよい。他の実施形態では、チャンバー108には、内部のカートリッジ112を交換するために使用者が触れることが可能である。カートリッジ112の使用は、カートリッジ112が所定の量のコーヒー物質110を含有しかつ作動中にチャンバー108内に素早く挿入できるので、送達デバイス12の詰替えを容易にする。一部の実施形態では、事前に充填され密封された状態でカートリッジ112は使用者に提供される。他の実施形態では、単に予め調製可能になるように、使用者がカートリッジ112に触れることができ詰め替えることができる。いずれの場合も、使用者は、複数のカートリッジ112を後で使用するために保有していてもよい。一部の実施形態では、カートリッジ112は、コーヒー由来の揮発性物質10の放出を支援するために、カートリッジ112を咀嚼しまたは押圧することなどによって、使用者が内部のコーヒー物質108を破砕できるように柔軟であることが理解され得る。一部の実施形態では、チャンバー108の周りに配置された細長いシャフト100の少なくとも一部が、特にカートリッジ112が使用されない場合、内部のコーヒー物質108を使用者が破砕できるように柔軟であってもよいことも理解され得る。
【0113】
この実施形態では、チャンバー108が、第2の端部104および出口開口116まで延びる揮発性物質管腔114に接続される。したがって空気は、入口開口105を通しておよびチャンバー108を通して送達デバイス12内に運ばれ、このチャンバー108では、コーヒー由来の揮発性物質10がコーヒー物質110からピックアップされる。次いでコーヒー由来の揮発性物質10は、揮発性物質管腔114を通して、出口開口116の外に運ばれる。コーヒー由来の揮発性物質10は、前鼻腔(
図1Aのように)または後鼻腔(
図1Bのように)のいずれかを経て使用者に送達される。前鼻腔送達は、出口開口116が鼻Nの鼻孔NOに向かって方向付けられるように、送達デバイス12を使用者の近くに位置決めすることによって提供される。一部の実施形態では、空気の移動は、鼻Nを通して嗅ぎまたは吸入することなどにより、空気を鼻孔NO内に吸引することによって支援される。後鼻腔送達は、出口開口116が使用者の口腔OCに向かって方向付けられるよう送達デバイス12を使用者の近くに位置決めすることによって提供される。一部の実施形態では、空気の移動は、空気を送達デバイス12に通して口腔OC内に引き出すように、出口開口116から吸うことによって支援される。しかし空気流は、環境内の天然の空気流に起因する可能性があり、または送達デバイス12内のファン型機構などの内部空気流加速器によって発生され得ることが理解され得る。一部の実施形態では、空気流加速器は、電子的に制御される。他の実施形態では、空気流加速器は、使用者が作動させる機械式ポンプ送出機構などにより、機械的に制御される。
【0114】
いずれにせよ空気流は、典型的には、個別の用量が使用者に提供されるように、使用者が作動させる。各用量は、使用者の脳内報酬系に刺激を与えるに十分である。特に、各用量は、コカイン、ヘロイン、オピオイド、メタンフェタミン、またはニコチンなどの常用癖性薬物の使用に等しい強度で、腹側被蓋領域VTAおよび/または側坐核NAなどの脳内報酬系を刺激するに十分である。このように使用者は、使用者が常用癖性薬物の使用から得られるコーヒー由来の揮発性物質10の用量から、同じまたは類似の効果を得ることができ、それによって使用者は、常用癖性薬物の利用およびその有害な副作用を排除することが可能になる。既に述べたように、コーヒー由来の揮発性物質10の用量は、送達デバイス12の1回の作動でまたは短期間内での複数の作動で、使用者に提供されてもよい。そのような送達は相動的になる。
【0115】
使用者は、コーヒー由来の揮発性物質10がデバイス12から放出されない未使用または非作動状態で、送達デバイス12を運ぶことができる。次いで望む場合には、使用者は、コーヒー由来の揮発性物質10の用量が得られるようにデバイス12を作動させることができる。そのような作動は、コーヒー由来の揮発性物質10の所定の用量を典型的には提供する。今後の用量は、新しいデバイス12(使い捨て可能)でまたは同じデバイス12(詰替え可能)で、必要に応じて、望む場合には、投与計画に従って、またはこれらの任意の組合せで送達されてもよい。用量および投与計画は、デバイス12を使用する目的に依存してもよい。例えば、常用癖を処置するための使用は、使用者による常用癖のタイプおよび/または常用癖のレベルに依存してもよい。用量および投与計画は、経時的な常用癖性薬物の使用の減少など、特定の結果を実現する科学的データ支持法に基づいて、医師などにより事前に決定されてもよい。または投与量および頻度は、常用癖離脱の感覚を抑えるに十分な量および間隔など、常用癖症状に応答してもよい。ある場合には、デバイス12は、投与量が望み通りに提供され得る気晴らしの目的で使用されてもよい。
【0116】
一部の実施形態では、送達デバイス12は、コーヒー物質110の単離を支援するために、揮発性物質管腔114または出口開口116に沿って、柔軟なまたは堅い多孔質障壁、ミクロ穿孔壁またはメッシュなどのフィルター118を含む。そのようなフィルター118は、コーヒー物質110と使用者の口または鼻との接触を阻害し、コーヒー物質110を乾燥したままにする。これは、吸入中にコーヒー物質110の粒子が使用者の肺に進入しないことを確実し、したがってあらゆる潜在的な有害作用を回避する上で有益であり得る。一部の実施形態では、送達デバイス12は、入口管腔106に沿って別のフィルター120を含む。
【0117】
デバイス12の部品は、ポリマー、シリコーン、木材、アクリル、紙、金属、綿、およびその他の無毒性材料の任意の組合せで作製することができる。デバイス12は、計量で取扱いが容易であり、その載置部品をリサイクルすることができる。
【0118】
一部の実施形態では、送達デバイス12は、使い捨て可能な部品を置き換えるなどのため、デバイス12の部分を取り外しおよび/または交換し得るモジュール型である。例えば、出口開口116は、口への送達を支援するマウスピースを含んでいてもよい。そのようなマウスピースは、様々な異なる設計と交換可能であってもよく、かつ/または使い捨て可能であってもよい。さらに、チャンバー108および/またはカートリッジ112を、マウスピースのスレッドなど、マウスピースに取着して、マウスピースを取り着けたときチャンバー108および/またはカートリッジ112の送達デバイス12内への挿入が可能になってもよい。このように、チャンバー108および/またはカートリッジ112は、任意の方向でスレッドが付けられるように、対称的であってもよい。同様に、チャンバー108は、デバイス112の外側にあってもよく、使用中はそこに取着可能である。さらに、送達デバイス12またはその部分は、都合良く運ぶためにまたは他のデバイスを使用してコーヒー由来の揮発性物質10の同時送達が提供されるように、その他のデバイスに取着されてもよい。
【0119】
一部の実施形態では、送達デバイス12は、焙煎され挽かれたコーヒーの天然オフガスプロセスに起因したデバイス12内の過剰な圧力の蓄積を解放するのに、一方向弁を含む。外部温度および高度の変化も、デバイス12の内部での圧力発生を引き起こす可能性があることが考えられる。一方向弁は、所定の量よりも多くコーヒーオフガスを放出するように選択されるが、そのような放出の後は密封されたままであり、それによって、容器内のオフガス生成物の、芳香が心地良くなる量が維持される。
【0120】
出口開口116は、細長いシャフト100の任意の適切な表面にあってもよいことが理解され得る。例えば出口開口116は、デバイス12を上向きに傾けることなく、揮発性物質10を鼻Nに向かって方向付けるように、揮発性物質管腔114の側面に沿って配置されてもよい。同様に出口開口は、デバイス12を上向きに傾けることなく、揮発性物質10を鼻Nに向かって方向付けるように、チャンバー108の側面に沿って配置されてもよい。そのような実施形態では、フィルター118を、出口開口116に近位のチャンバー108の側面に沿って配置してもよい。同様に、1つよりも多い出口開口116が存在していてもよい。例えば、
図7は、細長いシャフト100の長軸122に直交する第1の出口開口116と、長軸122に対してある角度で配置された第2の出口開口116’とを有する、送達デバイス12の実施形態を示す。この実施形態では、
図8に示されるように、第2の出口開口116’は、揮発性物質10を鼻腔NCに向かって方向付けるように位置決めされ、一方、第1の出口開口116は、揮発性物質10を口腔OCに向かって方向付けるように位置決めされる。これは前鼻腔および後鼻腔経路を介して嗅球OBへの同時送達を可能にする。元の
図7を参照すると、この実施形態では、フィルター118を、出口開口116、116’の両方に近位に位置決めして、コーヒー物質110を単離するのを支援する。
【0121】
上述のように、送達デバイス12は、様々な形状およびサイズを有していてもよい。特に送達デバイス12は、特定の常用癖に関連した付属品またはデバイスに似せて設計されてもよい。例えば、
図9に示されるように、送達デバイス12は紙巻きタバコに似るように成形されサイズが決められてもよい。これは喫煙常用癖を処置するのに有用であってもよい。ニコチンは、常用癖性があり、深刻なマイナスの結果に直面したときであっても使用者に喫煙させ続ける、タバコシガレット中の化学物質であることが公知である。ニコチンは、タバコの煙を肺に吸入することによって送達された場合に非常に常用癖性があり、それがニコチンを肺循環内に素早く放出する。次いでニコチンは動脈循環に進入し、肺から脳に素早く移動し、腹側被蓋領域(VTA)内のニコチン様コリン受容体に結合する。ニコチンは、VTA内でニコチン受容体に結合した後、ニコチンの強化効果(自己投与を促進させる効果)に重要な報酬に連結される側坐核NAでの神経伝達物質(ドーパミン)の放出をもたらす。先に述べたように、コーヒー由来の揮発性物質10の制御された送達は、ニコチンとして同じまたはより大きい強度で脳内報酬系を刺激することができる。このように使用者は、ニコチン常用癖を処置する紙巻きタバコの代わりにコーヒー由来の揮発性物質10を含有する送達デバイス12を使用してもよい。
【0122】
喫煙常用癖は、ニコチンに対する生理的常用癖に加え、様々な行動常用癖を含むことも公知である。例えば、喫煙者は、その口の利用、蒸気中での呼吸など、紙巻きタバコを保持する感覚に慣れている。さらに、喫煙との行動関連性は、ニコチンに対する生理的常用癖が低減されまたは存在しない場合であっても、刻みタバコに対する渇望を活性化する誘因−状況または感覚として作用し得る。例示的な行動および状況は、2〜3例を挙げると、その日のある特定の時間(朝一番に、モーニングコーヒーと共に、または作業時の休憩中に)、食後、アルコールを飲んだとき、ある特定の場所にいるもしくはある特定の友人と一緒にいるとき、紙巻きタバコを見たまたは嗅いだとき、電話で話している間、ストレスを感じたとき、または気持ちが沈んだときを含んでいてもよい。紙巻きタバコの形状およびサイズを有する送達デバイス12は、同じ紙巻きタバコ関連の習慣をシミュレートし、したがって行動常用癖に立ち向かうことができる。送達デバイス12のそのような形状は、習慣の類似性に起因して、さらにより有効になり得る。このように送達デバイス12は、電子タバコにも存在するニコチンおよび毒性元素なしで、使用者に喫煙の儀式を模倣させる。送達デバイス12は、加熱する必要性がなく、常用癖の潜在性の低い可能性を有する。同時に低プロファイル設計は、それを喫煙行動に関係付けることなく非喫煙者に使用させる。
【0123】
図9〜10を参照すると、送達デバイス12のこの実施形態は、第1の端部102および第2の端部104を有する細長いシャフト100を含む。この実施形態では、第1の端部102は、気道管腔106に至る入口開口105を有する。これは空気を送達デバイス12に流入させる。気道管腔106は、コーヒー物質110を保持するように構成されたチャンバー108に繋がる。コーヒー物質110は、2〜3例を挙げると、丸ごとのコーヒー豆、挽かれたコーヒー、添加剤を含むまたは含まないコーヒー油、単一または混合したコーヒー分子を含んでいてもよく、それぞれは天然のもしくは合成の供給源からのものであり、またはこれらの任意の組合せを含んでいてもよい。一部の実施形態では、コーヒー物質110は、そこからコーヒー由来の揮発性物質10が放出されるのを支援するため、使用者によりさらに加工される。例えば、使用者は、丸ごとのコーヒー豆を挽いてもよく、または挽かれたコーヒーを齧り、もしくは咀嚼してもよく、その後にデバイス12に挿入される。
【0124】
この実施形態では、チャンバー108が、第2の端部104および出口開口116に延びる揮発性物質管腔114に接続される。したがって空気は、入口開口105を通してかつチャンバー108を通して送達デバイス12内に運ばれ、そのチャンバー108内で、コーヒー物質110からコーヒー由来の揮発性物質10がピックアップされる。次いでコーヒー由来の揮発性物質10は、揮発性物質管腔114を通して出口開口116の外に運ばれる。この実施形態では、送達デバイス12は、フィルター118、例えば柔軟なまたは堅い多孔質障壁、ミクロ穿孔壁またはメッシュを、揮発性物質管腔114に沿って出口開口116の近位に含むことにより、コーヒー物質110の単離を支援する。そのようなフィルター118は、コーヒー物質110と使用者の口との接触を阻害し、コーヒー物質110を乾燥状態に保つ。これは、吸入中にコーヒー物質110の粒子が使用者の肺に進入しないことを確実にし、したがってあらゆる潜在的な有害作用を回避する上で有益であり得る。
【0125】
この実施形態では、コーヒー由来の揮発性物質10は、使用者が喫煙動作を模倣しながら、典型的には後鼻腔から使用者に送達される(
図1Bのように)。したがって、空気の移動は、空気が送達デバイス12を通って口腔OC内に引き込まれるように、出口開口116を吸うことによって典型的には支援される。しかし、非喫煙者は、前鼻腔送達を含む様々なその他の手法で、この送達デバイス12の設計を利用し得ることが理解できる。
【0126】
いずれにせよ空気流は、個別の用量が使用者に提供されるよう、使用者により典型的には作動する。各用量は、使用者の脳内報酬系を刺激するに十分である。特に、各用量は、腹側被蓋領域VTAおよび/または側坐核NAなど、脳内報酬系を、紙巻きタバコの使用に等しい強度で刺激するに十分である。このように、使用者は、使用者が紙巻きタバコから得られるコーヒー由来の揮発性物質10の用量から、同じまたは類似の効果を得ることができ、それによって使用者は、喫煙およびその有害な副作用を排除することができる。
【0127】
図9から10の送達デバイス12は、典型的には単回使用向けである。各デバイス12は、個包装され、チャンバー108に事前に投入された所望の量のコーヒー物質110を備えていてもよい。あるいは、複数の送達デバイス12は、ひとパックの紙巻きタバコを模倣するように、
図11に示されるように箱130に入れて包装されてもよい。そのような装飾は、喫煙者に馴染みがあり、紙巻きタバコの習慣を容易に代えることができる。複数の送達デバイス12における送達デバイス12のそれぞれは、同じであってもよいと理解され得る(即ち、同じ量の同じタイプのコーヒー物質110を内部に有する)。複数の送達デバイス12における送達デバイス12の少なくとも一部は、異なっていてもよいことが理解され得る。一部の実施形態では、送達デバイス12の少なくとも一部が、使用者に異なる投与量が提供されるように、異なる量の同じタイプのコーヒー物質110を有する。これは、使用者が喫煙習慣を抑えるときに助けになり得る。したがって、個々の送達デバイス12は、各デバイス12で使用者に少ない投与量のコーヒー由来の揮発性物質10が提供されるように、コーヒー物質110の量を少なくすることによって様々であってもよい。一部の実施形態では、送達デバイス12の少なくとも一部は、「様々なパック」を提供するなど、異なるタイプのコーヒー物質110を内部に有すると理解され得る。
【0128】
図12〜14は、コーヒー物質110を含有する、作動可能なカートリッジ112を有する送達デバイス12の実施形態を示す。
図12は、この実施形態の斜視図を提供し、送達デバイス12は、第1の端部102および第2の端部104を有する細長いシャフト100を含む。デバイス12は、第1の端部102に挿入可能なエンドキャップ140を含む。
図13に示されるように、エンドキャップ140は、気道管腔106に至る入口開口105を含む。さらに、エンドキャップ140は、先の尖ったまたは斜めになった刃など、膜を穿孔するために構成された刃を有する第1の突起142を含む。一部の実施形態では、エンドキャップ140は、第1の端部102を通してシャフト100内の場所までカートリッジ112を挿入できるように、取り外し可能でもある。しかし一部の実施形態では、エンドキャップ140を取り外しできず、カートリッジ112はシャフト100内に予め投入されることが理解され得る。この実施形態では、カートリッジ112は、シャフト100に挿入されたときに、第1の突起142に面する、膜などの穿孔可能な表面144を有するカプセルを含む。
【0129】
この実施形態では、チャンバー108は、内部で方向付けられた第2の突起146を有し、第2の突起146は、先の尖ったまたは傾斜のついた刃など、膜を穿孔するように構成された刃を有する。同様に、カートリッジ112は、シャフト100に配置されたとき、第2の突起146に面する膜など、追加の穿孔可能な表面144’を有する。
【0130】
カートリッジ112は、2〜3例を挙げると、丸ごとのコーヒー豆、挽かれたコーヒー、添加物を含むまたは含まないコーヒー油、単一または混合したコーヒー分子であって、それぞれが天然のもしくは合成の供給源からのもの、またはこれらの任意の組合せを含んでいてもよい、コーヒー物質110を保持する。この実施形態では、コーヒー物質110は、カートリッジ112内に密封される。一部の実施形態では、カートリッジ112は、窒素およびアルゴンの包含などによって不活性雰囲気を維持する。任意選択で、カートリッジ112に使用者が触れることができる場合、使用者はカートリッジ112を操作して、指の間でカートリッジ112を押圧し、またはカートリッジ112を咀嚼して内部のコーヒー物質110を破砕しもしくは活性化するなど、コーヒー物質110をさらに加工してもよい。次いで使用者は、カートリッジ112を細長いシャフト100に挿入し、エンドキャップ140を、細長いシャフト100の第1の端部102に挿入する。使用者は、使用時点までこの配置構成を維持してもよい。使用者が、コーヒー由来の揮発性物質10の用量を望む場合、使用者は、
図14に示されるようにエンドキャップ140を第1の端部102内に押圧することによって、デバイス12を作動させる。そのような押圧は、第1の突起142を穿孔可能な表面144に挿入させ、第2の突起146を追加の穿孔可能な表面144’に挿入させる。これはカートリッジ112を活性化させ、コーヒー由来の揮発性物質10を、第2の端部104および出口開口116まで延びる揮発性物質管腔114に進入させる。したがって空気は、送達デバイス12内に、入口開口105を通しておよびカートリッジ112を通して運ばれ、そこでコーヒー物質110からコーヒー由来の揮発性物質10をピックアップする。次いでコーヒー由来の揮発性物質10は、揮発性物質管腔114を通して、出口開口116の外に運ばれる。この実施形態では、送達デバイス12は、柔軟なまたは堅い多孔質障壁、ミクロ穿孔壁またはメッシュなどのフィルター118を、揮発性物質管腔114に沿って出口開口116の近位に含むことにより、コーヒー物質110の単離が支援される。この気流は、典型的には使用者が作動させて、使用者に個別の用量を提供する。各用量は、使用者の脳内報酬系を刺激するに十分である。使用後、デバイス12は、カートリッジが取り外し可能である場合に処分され、次いでカートリッジ112は、取り外され、かつ新たなカートリッジ112と置き換えられてもよい。
【0131】
一部の実施形態では、多数のカートリッジ112が同時に送達デバイス12内に投入されてもよいことが理解され得る。例えば、一部の実施形態では、2つのカートリッジ112は、第1の端部102へのエンドキャップ140の進行が両方のカートリッジ112の穿刺を引き起こすように、投入されてもよい。これは、使用者へのコーヒー由来の揮発性物質10の2倍用量を提供する。カートリッジ102内のコーヒー物質110の量および/またはタイプは、様々な組合せで一緒に使用される場合、個別化された投与量を創出するように様々であってもよいことが理解され得る。同様に、カートリッジ112の数は、個別化用量を提供するように様々であってもよい。
【0132】
1つまたは複数のカートリッジ112を、様々な方法および設計によって1つまたは複数のチャンバー108内に投入してもよいことも、理解され得る。
図15A〜15Bは、側面投入送達デバイス12の実施形態を示す。この実施形態では、細長いシャフト100が、その周方向壁に沿って開口141を含む。開口は、
図15Aに示されるように、そこを通してカートリッジ112をシャフト100内のチャンバー108に挿入するために、サイズ決めされ、成形される。
図15Bは、開口141を通して挿入されかつチャンバー108内に存在する、カートリッジ112を示す。
図16Aは、開口141の隣に存在するカートリッジ112を備えた、
図15Aの送達デバイス12の側断面図を提供する。同様に、
図16Bは、チャンバー108内に存在するカートリッジ112を備えた、
図15Bの送達デバイス12の側断面図を提供する。
図15Bは、第1および第2の突起142、146で穿孔することによってカートリッジ112を起動させるように内部を進行する、エンドキャップ140も示す。カートリッジ112の起動は、コーヒー由来の揮発性物質10を、第2の端部104および出口開口116に延びる揮発性物質管腔114に進入させる。したがって空気は、入口開口105を通して、およびカートリッジ112を介して送達デバイス12に運ばれ、そこでコーヒー物質110からコーヒー由来の揮発性物質10がピックアップされる。次いでコーヒー由来の揮発性物質10を、揮発性物質管腔114に通して出口開口116から外に運ぶ。使用後、カートリッジ112は取り外され、新たなカートリッジ112に置き換えられる。
【0133】
図17は、コーヒー由来の揮発性物質10を送達デバイス12の外にかつ使用者に向かって推進させるように、細長いシャフト100内に内部空気流加速器160を含む、送達デバイス12の実施形態を示す。この実施形態では、機構160は、カートリッジ112に近位のシャフト100内に配置される。シャフト100に沿った1つまたは複数の側面ポート162は、コーヒー物質110の揮発性物質10をカートリッジ112から出口開口116を通して使用者まで推進させるように、1つまたは複数の側面ポート162を通して空気が引き出されるよう機構160と位置合わせされる。この実施形態では、空気流加速器160は、バッテリー164によって電力が供給され、電子部品166によって制御される。したがって使用者は、作動ボタン168またはその他の作動機構を押すことによってデバイス12を作動させてもよく、内部空気流加速器160が揮発性物質10を推進させる。一部の実施形態では、電子部品166は、空気流加速器160の作動を所定の時間維持するようにタイマーを含む。他の実施形態では、電子部品166は、揮発性物質の濃度などの変数を検知する1つまたは複数のセンサーと通信し、この電子部品166は、検知された情報に従って空気流加速器160の作動を維持する。一部の実施形態では、電子部品は事前にプログラムされ、他の実施形態では、電子部品は使用者によりプログラム可能である。
【0134】
送達デバイス12は、使用者の体験を強化する様々な特徴を含んでもよいことが理解され得る。例えば、一部の実施形態では、送達デバイス12は、コーヒー由来の揮発性物質10の用量を送達するのに好ましい時間であることを示す警報を使用者に送達するように構成された、警報特徴または機構を含む。警報は、ビープまたはアラームなどの聴覚、点滅または着色LED光などの視覚、または両方であってもよい。そのような警報は、異なるタイプの注意喚起の表示を提供するよう様々であってもよい。一部の実施形態では、警報特徴は、複数の所定の期間に警報を送達するように構成される。ある場合には、所定の期間は、常用癖のパターンに対応する。例えば、喫煙者が典型的には毎時間紙巻きタバコを欲する場合、警報特徴は、喫煙常用癖を抑える際に使用者を支援するため、毎時間警報を送達するように構成されてもよい。したがって所定の期間は、常用癖のパターンに対応してもよい。一部の実施形態では、送達デバイス12は、警報特徴が事前にプログラムされる。他の実施形態では、警報特徴は、プログラム可能である。一部の実施形態では、送達デバイス12をプログラミングすることにより、送達デバイス12は、常用癖の処置に関する計画に従って、送達デバイス12を作動させるように、一連の好ましい時間を示す所定の時間で一連の警報を提供できるようになる。
【0135】
一部の実施形態では、警報特徴は、コンピューターデバイス、例えばスマートフォン、パーソナルコンピューター、またはその他類似のデバイス、例えば携帯電話、WiFi、またはBluetooth(登録商標)通信を介するものなど、コンピューターデバイスを使用して遠隔からプログラム可能である。これは警報特徴を、使用者によってまたは使用者に関連した健康管理チームによって、遠隔から設定しまたは修正するのを可能にする。一部の実施形態では、警報特徴のそのようなプログラミングは、直接入力(キー入力された情報または音声命令など)に応答する。例示的な状況は、健康管理提供者からの命令、渇望、離脱症状、またはパニックの瞬間(例えば、自殺行動、または違法薬物を消費しようとしている)などの事象を示す使用者の入力を含む。一部の実施形態では、警報特徴のそのようなプログラミングは、強度情報(軽、中、重)と一緒に、収集データ、例えば利用データ/コンプライアンス、健康データ、渇望パターン、離脱パターン、またはストレスの多いまたは多事の瞬間のロギングの分析に応答する。一部の実施形態では、警報特徴は、送達デバイス12に提供されるデータに応答して自動的に修正される。
【0136】
一部の実施形態では、送達デバイス12自体は、デバイス12内のインジケーターまたはセンサーに基づいてデータを収集する。例えば、利用データは、送達デバイス12によって収集されてもよい。利用データのそのような収集は、使用者および/または使用者に関連付けられた健康管理チームに、使用のパターンを分析させて、例えばコンプライアンスを確実にし、変化を追跡し、投与計画を修正するなどしてもよい。
【0137】
一部の実施形態では、送達デバイス12および/または送達デバイス12と通信するコンピューターデバイスによって収集されたデータは、別の使用者または外部システム、例えば医師または使用者に関連付けられる健康管理チームに伝送されてもよいことが理解され得る。したがって、その他を使用者の行動または感情に対して警報してもよい。上述の警報特徴およびその他の通信特徴のこれらの態様は、電子部品166および/またはその他の電子部品によって提供されてもよいことが理解され得る。同様に、一部の実施形態では、送達デバイス12は、追加のソフトウェア特徴をロードする能力を含む。
【0138】
一部の実施形態では、送達デバイス12は、処置がなされる特定の常用癖の態様をシミュレートする特徴を含む。例えば、一部の実施形態では、送達デバイス12は、喫煙の体験を模倣する蒸気の分散を含む。そのような蒸気は、視覚効果のためである。同様に、一部の実施形態では、送達デバイス12は、赤色または琥珀色のLED光によって提供されるなど、照明された端部を含む。そのような光は、火が付いた紙巻きタバコの先に似せる視覚効果のためである。これらの特徴のそれぞれは、典型的には内部バッテリーにより電力が供給される。
【0139】
図18は、送達デバイス12と共に使用されるステーション180を示す。一部の実施形態では、ステーション180は、送達デバイス12内のバッテリー164などのバッテリーを再充電するのに使用される。そのような実施形態では、ステーション180は、細長いシャフト100の第1の端部102を挿入するための充電ポート182を含む。充電ポート182は、バッテリーが再充電可能であるとき、エネルギーをバッテリー164に供給する。一部の実施形態では、ステーション180を使用して、コーヒー物質110を含む送達デバイス12を「再充電」する。ステーション180は、ステーション180内の加圧容器からの注入などにより、チャンバー180を詰め替えてもよい。またはステーション180は、交換してもよくまたは新しいカートリッジ112を送達デバイス12内に投入してもよい。
【0140】
前述のように、送達デバイス12は、様々な形状およびサイズを有していてもよい。特に、送達デバイス12は、便利になりかつ傍観者には明らかではないように、毎日使うデバイスに似るよう設計されてもよい。例えば、
図19に示されるように、送達デバイス12は、ペンまたはその他の筆記用具に似るように成形されサイズ決めされてもよい。一部の実施形態では、送達デバイス12は、似ているデバイスとしても機能しながら(例えば、送達デバイス12は、ペンとしても機能し得る)、コーヒー由来の揮発性物質10を送達する。この実施形態では、送達デバイス12は、ペンの形状を有する細長いシャフト100を含む。細長いシャフト100は、書くための第1の端部102と、コーヒー由来の揮発性物質10の吸入のため使用者に向けて方向付けられてもよい第2の端部104とを有する。
【0141】
図20は、
図19の送達デバイス12の上面図である。同様に
図21は、
図20の送達デバイス12の部分断面を有する側面図である。
図20〜21に示されるように、コーヒー物質110を含有するカートリッジ112は、細長いシャフト100内に配置される。やはりコーヒー物質110は、2〜3例を挙げると、丸ごとのコーヒー豆、挽かれたコーヒー、添加物を含むまたは含まないコーヒー油、単一または混合したコーヒー分子であって、それぞれが天然のまたは合成の供給源からのもの、またはこれらの任意の組合せを含んでいてもよい。この実施形態では、複数の通気孔200が、細長いシャフト100に沿って配置され、カートリッジ112内への空気の入口流、およびカートリッジ112の外から使用者に向かうコーヒー由来の揮発性物質10の出口流の両方が可能になる。この実施形態では、通気孔200上に1つまたは複数のカバー202の位置決めをする、細長いシャフト100の部分を回転させることにより、閉鎖可能である。
図22Aは、「閉鎖」位置にあるデバイス12を示し、1つまたは複数のカバー202が通気孔200を塞ぐ。
図22Bは、
図22Aの通気孔200およびカバー202の拡大図である。使用者は、使用されていないとき、デバイス12を閉鎖位置に保持する。これは揮発性物質10が逃げないことを確実にする。使用者が用量を受けるのを望むとき、使用者は、通気孔200を塞ぐ状態から1つまたは複数のカバー202が移動するように、細長いシャフト100の部分を捻ることなどにより機構を作動させて通気孔200を開放する。
図23Aは、「開放」位置にあるデバイス12を示し、1つまたは複数のカバー202は、通気孔200を妨げる状態から開放される。
図23Bは、
図23Aの開放通気孔200の拡大図である。
【0142】
したがって空気は、送達デバイス12内に、通気孔200を通して運ばれ、そこでコーヒー物質110から、コーヒー由来の揮発性物質10をピックアップする。次いでコーヒー由来の揮発性物質10は、同様に通気孔200を通して使用者まで運ばれる。この実施形態では、コーヒー由来の揮発性物質10は、典型的には使用者の前鼻腔に送達されるが(
図1Aのように)、それは人々にとってペンの後端を顔および鼻の近くに保持することが一般的だからである。しかし使用者は、揮発性物質10を後鼻腔に送達してもよいことが理解されるが、それは人々にとってペンの後端をその口内に配置することが一般的ではないからである。
【0143】
いずれにせよ、空気流は、典型的には使用者により作動して、使用者に個別の用量を提供する。各用量は、使用者の脳内報酬系を刺激するに十分である。特に各用量は、腹側被蓋領域VTAおよび/または側坐核NAなどの脳内報酬系を著しく刺激するに十分である。
【0144】
送達デバイス12は、同様に成形され、無線ペンマウス、デジタルペン、スマートペン、または同様のものに似るようにかつ/または機能するように、類似して成形され、構成されてもよいことが、理解され得る。これらのタイプのペンは、使用者の手書きまたはブラシストロークを獲得しかつ「ペンと紙」を使用して創出された手書きアナログ情報をデジタルデータに変換する入力デバイスとして働き、データを様々な適用例で利用することが可能になる。このタイプのペンは、通常、デジタルノートブックと併せて使用されるが、データは、異なる適用例に、または単にグラフィックとして使用することもできる。入力デバイスは、デジタル化されるとコンピューターにアップロードされそのモニター上に表示することができる、手書きデータを獲得する。次いでデータを、手書きソフトウェア(OCR)により解釈して、ペンをテキスト入力インターフェースとして働かせることができ、かつ異なる適用例にまたは単なるグラフィックとして使用することができる。いずれにしても、送達デバイス12は、本明細書に記載されるコーヒー由来の揮発性物質10を送達すると考えられる。
【0145】
送達デバイス12は、2〜3例を挙げると、キーチェーン、腕時計、帽子、衣服、携帯電話ケース、携帯電話、スマートフォン、ディクタフォン、タブレット、コンピューター、音楽プレーヤー、ヘッドフォン、メガネケース、サングラスケース、水筒、および衣服に留めるクリップなど、様々な消費者デバイスに取着されまたは組み込まれるように成形され構成されてもよいことが理解され得る。
【0146】
図24A〜24Bは、揮発性物質計量分配スマートウォッチ300を形成するスマートウォッチに組み込まれた送達デバイス12の実施形態を示す。この実施形態では、揮発性物質計量分配スマートウォッチ300は、リストストラップ302と、「面」およびその内部に収容された電子部品を有する時計本体304とを含む。この実施形態では、時計本体304は、コーヒー物質110を含有するカートリッジ112を受容するためのレセプタクル306を含む。カートリッジ112は、少なくとも1つの通気孔308を含み、カートリッジ112内への空気の入口流と、カートリッジ112から外に出て使用者に向かうコーヒー由来の揮発性物質10の出口流との両方が可能になる。カートリッジ112は、様々な機構によりコーヒー由来の揮発性物質10を放出するように起動させてもよい。一部の実施形態では、レセプタクル306内へのカートリッジ112の挿入は、揮発性物質の放出を作動させる。したがって使用者は、カートリッジ112をレセプタクル内に配置して、用量を受容し、使用しないときはカートリッジ112を取り外す。他の実施形態では、揮発性物質10の放出は、時計本体304内の電子部品によって作動される。例えば、電子部品は、所定の時間にまたは所定の計画に従って揮発性物質10を放出するようにプログラム可能であってもよい。あるいは、電子部品は単にリマインダーシステムとして働いてもよく、使用者は、リマインダーシステムに応答して揮発性物質10の放出を作動させる。揮発性物質計量分配スマートウォッチ300は、2〜3例を挙げると:1)投与情報の追跡(タイプ、量、タイミングなどを含む)、2)常用癖処置指標の追跡、3)患者の行動/活動の追跡、4)バイタルサインの追跡、および5)使用者フィードバックの追跡を含む、様々な特徴を提供してもよいことが理解され得る。そのような追跡情報は、時計300上に表示されかつ/またはソーシャルメディアなどの様々なソースに伝送され得る。そのような特徴は、送達デバイス12がその他のタイプのスマートデバイス、例えばスマートフォンやコンピューターに組み込まれたときに提供されてもよいことが理解され得る。カートリッジ112を受容するためのレセプタクル306は、スマートウォッチ300またはその他のスマートデバイスに組み込まれまたは取着可能であってもよいことが、やはり理解され得る。同様に、コーヒー物質は、揮発性物質10を分散させるマイクロチップまたはアロマストリップ(紙、織物、またはその他のコーヒー物質を含有する吸収剤材料)の使用によるような、その他の機構によってスマートウォッチ300またはその他のスマートデバイスにより運ばれまたは取着されてもよい。
【0147】
一部の実施形態では、送達デバイス12は、吸入器またはネブライザーの形または形状を有する。
図25A〜25B、26は、揮発性物質計量分配吸入器400の実施形態を示す。
図25Aは斜視図を提供し、
図26Bは側面図を提供する。
図26は、吸入器400の内部機構を示す。この実施形態では、揮発性物質計量分配吸入器400は、コーヒー油またはコーヒー分子などのコーヒー物質110を含有するキャニスター402を含む。キャニスター402は、ホルダー404内に位置決め可能であり、新たなコーヒー物質110による詰替えまたは新たに事前に充填されたキャニスター402での置き換えのため、取り外し可能である。キャニスター402は、キャニスター402から引き出されるコーヒー物質110の量を計量する絞り弁406に接合可能である。次いで計量された量は、ノズル408に進行し、物質110を、ミストまたはエアロゾルとして出口開口410から外に噴霧する。コーヒー物質110がこの形で放出されたら、コーヒー由来の揮発性物質10は容易に空気媒介される。絞り弁406は、制御された送達を可能にし、本発明による脳内報酬系を刺激するに十分な揮発性物質10の特定の用量を提供する。後鼻腔送達では、出口開口410は、口の近くに保持することができ、または口内に挿入することができる。これはコーヒー由来の揮発性物質10を、嗅球OBまで上方に移行させる。前鼻腔送達では、出口開口410を鼻の近くに保持することができ、コーヒー由来の揮発性物質10を鼻腔に通して嗅球OBまで移行させる。出口開口410は、鼻および口の近くに、任意の距離で、前鼻腔および後鼻腔経路を介した同時送達のために、保持することもできることが理解され得る。
【0148】
ネブライザーの形を有する送達デバイス12は、液体コーヒー物質またはコーヒー分子のミストまたはエアロゾルを同様に送達できると理解され得る。ネブライザーは、酸素、圧縮空気、または超音波出力を使用して、溶液および懸濁液を小さいエアロゾルの液滴に分解し、この液滴を、デバイスのマウスピースまたは出口開口から直接吸入することができる。機械式ネブライザーの例示的なタイプには、軟質ミスト吸入器および人の力によるネブライザーが含まれる。電気式ネブライザーの例示的なタイプには、噴射式ネブライザー(またはアトマイザー)、超音波ネブライザー、および振動メッシュ技術によるネブライザーが含まれる。デバイス12は、本発明による脳内報酬系を刺激するに十分な、揮発性物質10の特定用量を提供すると考えられる。
【0149】
一部の実施形態では、送達デバイス12は、噴霧容器またはエアロゾル容器の形または形状を有する。
図27は、コーヒー由来の揮発性物質の計量分配噴霧容器500の実施形態を示す。噴霧容器500は、液体コーヒー物質に直接働く容積式ポンプを使用する。ポンプは、液体コーヒー物質を、ボトルの底からサイフォン管まで引き上げ、強制的にノズルに通す。ノズルは、流れの噴出、ミストのエアロゾル化、または噴霧の計量分配の間で選択されるように、調整可能であってもそうでなくてもよい。
図27は、鼻噴霧ボトルと同様に機能する噴霧容器500を示す。ここで噴霧容器500は、出口開口504からコーヒー物質110のミストまたは噴霧が放出されるように指で押し下げられるフランジ502を含む。コーヒー物質110がこの形で放出されると、コーヒー由来の揮発性物質10は容易に空気媒介される。容器500は、制御送達を可能にし、本発明による脳内報酬系を刺激するに十分な揮発性物質10の特定用量を提供する。前鼻腔送達では、出口開口504は、鼻Nの近くに保持することができまたは鼻孔NO内を通過することができ、そのためコーヒー由来の揮発性物質10は、鼻腔を通して嗅球OBまで移行することが可能になる。後鼻腔送達では、出口開口504は、口の近くに保持することができまたは口内に挿入することができる。このためコーヒー由来の揮発性物質10は、嗅球OBまで上方に移行可能になる。出口開口504は、鼻および口の近くに、任意の距離で、前鼻腔および後鼻腔経路を介した同時送達のために、保持することもできることが理解され得る。
【0150】
図28は、コーヒー由来の揮発性物質のエアロゾル容器550の実施形態を示す。噴霧容器500は、使用者の努力により動力が提供される計量分配を有するが、エアロゾル容器550は、使用者が弁を単に作動させるように、かつコーヒー物質110が圧力下で計量分配されるように構成される。コーヒー物質110は、出口開口552から出現する。コーヒー物質110がこの形で放出されると、コーヒー由来の揮発性物質10は容易に空気媒介される。容器500は、制御送達を可能にし、本発明による脳内報酬系を刺激するに十分な、揮発性物質10の特定用量を提供する。
【0151】
吸入器400、ネブライザー、噴霧容器500、およびエアロゾル容器550は全て、吸入用にコーヒー由来の揮発性物質10を発生させる手法で使用するために、構成されることが理解され得る。揮発性物質10は、本発明により報酬系を刺激する嗅球OBを刺激する。挽かれたコーヒーなど、コーヒー物質微粒子の肺への吸入を回避することが望ましい。したがって、これらのタイプの送達デバイスは、好ましくは、コーヒー油またはコーヒー分子などの液体コーヒー物質と共に使用される。そのような液体物質は、舌の上、皮膚の上、または肺への液体そのものの吸入が回避される解剖学的な別の部分に噴霧されてもよい。同様に、そのような液体物質は、空気中に、液体そのものが肺の中に吸入されない距離で、噴霧されてもよい。
【0152】
一部の実施形態では、送達デバイス12は、鼻栓または鼻孔カバーの形または形状を有する。
図29A〜29Cは、コーヒー由来の揮発性物質の計量分配鼻栓600の実施形態を示す。
図29Aは鼻栓600の斜視図を提供し、
図29Bは、鼻栓600の側断面図を提供する。この実施形態では、鼻栓600は、コーヒー物質110を受容するための、少なくとも1つのレセプタクル602を含む。コーヒー物質110は、レセプタクル602そのものに、使用者により事前に充填されても挿入されてもよい。またはコーヒー物質110は、カートリッジ、カプセル、パウチ、ポッド、またはレセプタクル602に挿入されるその他の容器に含有されてもよい。したがって、鼻栓600は、レセプタクル設計に応じて単回使用または再使用可能であってもよい。コーヒー物質110は、2〜3例を挙げると、丸ごとのコーヒー豆、挽かれたコーヒー、添加物を含むまたは含まないコーヒー油、単一または混合したコーヒー分子であって、それぞれが天然のまたは合成の供給源からのもの、またはこれらの任意の組合せを含む、様々な形をとってもよい。栓600が反転したときに位置を維持できない物質は、カートリッジ、カプセル、パウチ、ポッド、またはレセプタクル内に位置を維持できるその他の容器に配置できると考えられる。そのようなカートリッジ、カプセル、パウチ、ポッド、またはその他の容器は、多孔質材料から構成されると考えられ、少なくとも1つの開口を含んで、コーヒー由来の揮発性物質10を放出させると考えられる。またはレセプタクル602は、密封され、コーヒー物質110が内部に保持されると考えられる。同様に、一部の実施形態では、コーヒー物質110は、位置を維持するレセプタクル602内の多孔質材料に浸出される。各レセプタクル602は、コーヒー物質110からコーヒー由来の揮発性物質10を分散させるための出口開口604を含む。一部の実施形態では、鼻栓600は、2つのレセプタクル602を接続し、かつそれらの間で所定の距離を維持し互いに対して位置合わせする、ブリッジ606を含む。
図29Cは、使用中の
図29A〜29Bの実施形態を示す。この実施形態では、2つのレセプタクル602、602’が存在し、それぞれは鼻Nの鼻孔NOに挿入され、一方、ブリッジ606は、鼻Nの外側に存在したままである。したがってブリッジ606は、鼻孔の自然な間隔に等しい距離で、レセプタクル602、602’を保持するようにサイズ決めされ、構成される。一部の実施形態では、ブリッジ606は、種々のサイズの鼻に適応させるために距離を調整するよう順応性がある。同様に、一部の実施形態では、ブリッジ606は、自然な解剖学的相違を調整するために、レセプタクル602、602’の間で位置合わせを調整するよう順応性がある。レセプタクル602、602’が鼻孔NO内に位置決めされると、コーヒー由来の揮発性物質10は、鼻腔NC内に計量分配され、嗅球OBを刺激する。一部の実施形態では、使用者は、レセプタクルを通して吸入し、揮発性物質10を鼻腔NC引き入れられる。用量は、装着計画と一緒に内部に含有されるコーヒー物質110のタイプおよび量によって制御される。したがって、制御された送達が実現され、本発明による脳内報酬系を刺激するに十分な揮発性物質10の特定の用量が提供される。
【0153】
一部の実施形態では、レセプタクル604、604’がブリッジ606によって接続されず、個々に使用されることが理解され得る。同様に、一部の実施形態では、ただ1つのレセプタクル604が、コーヒー物質110を含むことが理解され得る。さらに、一部の実施形態では、コーヒー物質110は、カプセルまたは類似の容器に入れて包装され、鼻孔NOに直接挿入されることが理解され得る。そのような実施形態では、カプセルまたは類似の容器が、多孔質材料から構成されると考えられ、またはコーヒー由来の揮発性物質10を放出させる少なくとも1つの開口を含むと考えられる。そのような位置決めは、傍観者から見えない状態での個別の利用を可能にすると考えられる。
【0154】
図30A〜30Cは、コーヒー由来の揮発性物質の計量分配鼻孔カバー650の実施形態を示す。
図30Aは、鼻孔カバー650の斜視図を提供する。この実施形態では、鼻孔カバー650は、メッシュ材料652および接着裏地654を含む。メッシュ材料652には、コーヒー物質110を浸出させる。メッシュ材料652は、鼻Nの鼻孔NOを覆うようにサイズ決めされ、成形される。したがって、典型的には円形または楕円形である。接着裏地654は、鼻孔NOの周りの外側の皮膚に接着するように、サイズ決めされ、成形される。
図30Bは、鼻孔カバー650の包装の実施形態を示す。この実施形態では、包装は、使用していないときにはそこにカバー650が接着されるシート660を含む。接着裏地654は、シート660にカバー650が接着するように、メッシュ材料652の周りに接着剤を含む。この実施形態では、接着裏地654は、そのメッシュ652とは反対側に、接着剤を含まない。シート660および接着したカバー650は、使用していないときにコーヒー由来の揮発性物質10が放出されないことを確実にするために、使用していないときには気密パッケージ内に保存される。
【0155】
図30Cは、使用中の
図30Aの実施形態を示す。ここで各鼻孔カバー650は、各メッシュ材料652が各鼻孔NOと位置合わせされるように、使用者の鼻Nに接着させた状態で示される。接着裏地654は、鼻孔NOの周りの皮膚に接着する。したがって、使用者が鼻孔NOを通して、したがってコーヒー物質110を浸出されたメッシュ材料652を通して吸入するにつれ、コーヒー由来の揮発性物質10は鼻腔NO内に引き込まれ、嗅球OBを刺激する。用量は、装着計画と一緒に内部に含有されるコーヒー物質110のタイプおよび量によって制御される。したがって制御された送達が実現され、本発明による脳内報酬系を刺激するに十分な、揮発性物質10の特定の用量が提供される。
常用癖
【0156】
上述のように、本明細書に記載されるデバイス、システム、および方法は、コーヒー由来の揮発性物質を使用者に送達するために、特に常用癖の処置のために提供される。コーヒー揮発性物質は、制御された手法で使用者の嗅球系に集中送達される、デバイスおよびシステムによって選択され送達される。この定められた手法でのそのようなコーヒー揮発性物質に対する嗅覚作用は、特定の所望の結果が実現されるように脳の報酬系を刺激する。一部の実施形態では、所望の結果は、常用癖症状の低減または常用癖離脱の感覚の抑制である。これは、少なくとも部分的には、このように送達されたときに報酬系を刺激する際のコーヒー揮発性物質の予期せぬ効力に起因して可能であり;そのような効力は、コカイン、オピオイド、およびニコチンなどの刺激薬物と同等である。常用癖性薬物は、ドーパミンのレベルを直接上昇させることによる脳の報酬系(自然報酬でなされるよりもなお多くの、最大10倍よりも多い)の過剰刺激によって、恍惚状態を生み出す。乱用の薬物は、天然報酬への応答では見られない力と持続性を持って腹側被蓋領域VTA−側坐核NA経路に影響を及ぼす。
【0157】
上述の送達デバイス12のいずれかを使用して、特定の常用癖を処置してもよいことが理解され得る。例えば、ニコチン常用癖の患者は、紙巻きタバコに似せた送達デバイスを好む可能性があり、しかしそのような患者は、鼻カバーなどのより個別の送達デバイスを代わりに好む可能性がある。上述の送達デバイスのいずれかを特殊化して、特定の用量を提供してもよいことも、理解され得る。そのような用量は、常用癖の特定のタイプ(例えば、ヘロイン、コカイン、アルコール、オピオイド、ニコチン、メタンフェタミン、カフェインなど)および/または常用癖の特定のレベルに対応するように選択されてもよい。同様に、送達デバイス12(任意選択で、異なる量を提供する)は、経時的に常用癖を効果的に処置するように、投与計画と一緒に、患者に対して定められてもよい。同様に送達デバイス12は、「禁煙処置プラン」などの所望の処置プランに従って事前に包装されてもよい。
【0158】
送達デバイスは、所定のプランに従うのではなく、必要に応じて代わりに使用されてもよいことが理解され得る。そのような場合、使用者は、常用癖離脱の感覚があるとき、典型的には送達デバイスを作動させる。離脱症状の例には、情緒不安定、不安、うつ病、過敏性、情動不安、不眠、発汗、ホットフラッシュ、食欲不振、食欲増加、痛みに対する感受性増大、およびインフルエンザのような症状、例えば脱力、体の痛み、および頭痛が含まれる。送達デバイスの作動は、常用癖離脱の感覚を抑えるに十分な強度で脳内報酬系の嗅覚刺激が引き起こされるように、コーヒー由来の揮発性物質を患者に送達する。
【0159】
送達デバイス12は、行動常用癖ならびに物質に対する常用癖を処置するのに使用されてもよいことが理解され得る。行動常用癖は、個人の身体的、精神的、社会的、または経済的な幸福に対するマイナスの結果にも関わらず、報酬非薬物関連行動、時々、自然報酬と呼ばれる、に係る強迫を含む常用癖の形である。その例には、2〜3例を挙げると、セックス、ギャンブル、買い物、食事、エクセサイズ、ビデオゲーム、テレビ、およびポルノグラフィーに対する常用癖が含まれる。行動常用癖に関する従来の処置の選択肢には、心理療法、例えば認知行動療法(CBT)が含まれる。現在、一般に行動常用癖の処置に関して承認された医薬品はない。しかし、本発明によるコーヒー由来の揮発性物質の送達は、行動常用癖を処置するのに使用されてもよい。一部の実施形態では、使用者は、衝動、欲望、または欲求の感覚があるとき送達デバイスを作動させて、常用癖行動に関与する。送達デバイスの作動は、コーヒー由来の揮発性物質を使用者に送達して、脳内報酬系の嗅覚刺激を、感覚を抑えるに十分な強度で引き起こす。その結果、脳内報酬系は、行動に関与することなく刺激を受け、常用癖を減退させまたは消失させることができる。
娯楽
【0160】
本発明の送達デバイスは、刺激薬物と同等の強度で脳内報酬系を刺激することが可能であり、したがってそのような薬物の常用癖を処置することができるが、送達デバイスは、単に娯楽目的で使用してもよいことが理解され得る。このように送達デバイスは、レクリエーション目的で快不快(心地良い、または報いのある)の体験に関連付けられた神経および/または心理学的状態を誘発させるために使用されてもよい。
その他の物質
【0161】
本発明の送達デバイスは、コーヒー由来の揮発性物質を送達するためコーヒー物質と共に使用されることが記載されるが、送達デバイスには、種々の効果のためにその他の揮発性物質を送達するその他の物質を充填してもよいことが、理解され得る。神経学的効果は、少しでもあるとしたら、使用される物質および生成される揮発性物質に依存すると考えられる。同様に、追加の物質および添加物をコーヒー物質に含めて、追加の効果を得てもよいことが理解され得る。そのような効果のタイプおよび強度は、添加される物質および生成される揮発性物質に依存すると考えられる。
【0162】
本発明の好ましい実施形態を、本明細書に示し説明してきたが、そのような実施形態は単なる例として提供されることが、当業者に明らかにされよう。ここで数多くの変形例、変更例、および置換例が、本発明から逸脱することなく当業者なら思い浮かぶであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替例を、本発明の実施に際して用いてもよいことを、理解すべきである。下記の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造とそれらの均等物は、それによって包含されるものとする。