特開2022-3261(P2022-3261A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェイテクトの特許一覧
<>
  • 特開2022003261-電磁弁及びバルブ装置 図000003
  • 特開2022003261-電磁弁及びバルブ装置 図000004
  • 特開2022003261-電磁弁及びバルブ装置 図000005
  • 特開2022003261-電磁弁及びバルブ装置 図000006
  • 特開2022003261-電磁弁及びバルブ装置 図000007
  • 特開2022003261-電磁弁及びバルブ装置 図000008
  • 特開2022003261-電磁弁及びバルブ装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2022-3261(P2022-3261A)
(43)【公開日】2022年1月11日
(54)【発明の名称】電磁弁及びバルブ装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20211217BHJP
   F17C 13/04 20060101ALI20211217BHJP
【FI】
   F16K31/06 305L
   F17C13/04 301C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-107926(P2020-107926)
(22)【出願日】2020年6月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩本 夏輝
(72)【発明者】
【氏名】沼崎 一志
(72)【発明者】
【氏名】石原 知宏
【テーマコード(参考)】
3E172
3H106
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BD03
3E172DA61
3E172JA02
3E172JA04
3H106DA07
3H106DA13
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB32
3H106DC02
3H106DC17
3H106DD03
3H106EE43
3H106GA23
3H106GA25
3H106GB06
3H106GC18
3H106KK15
3H106KK17
3H106KK31
(57)【要約】
【課題】隙間にて水分が凍結することを抑制できる電磁弁及びバルブ装置を提供すること。
【解決手段】電磁弁40の弁体51は、スリーブ41内に少なくとも一部が嵌挿される本体部52と、スリーブ41の軸線方向の第1端41bよりも弁座26寄りに位置するシール部53と、スリーブ41の第1端41bよりも弁座26寄りに位置し、かつ弁体51の軸線方向に沿うシール部53と本体部52の間から、当該本体部52の外周面よりも径方向外側に張り出すガス規制部54と、を有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブと、
前記スリーブ内を摺動する可動鉄心と、
前記可動鉄心の動作により弁座に接離するシール部を有する弁体と、を備える電磁弁であって、
前記弁体は、前記スリーブ内に少なくとも一部が嵌挿される本体部と、
前記スリーブの軸線方向の端よりも前記弁座寄りに位置する前記シール部と、
前記スリーブの前記軸線方向の端よりも前記弁座寄りに位置し、かつ前記軸線方向における前記シール部と前記本体部の間から当該シール部及び本体部の外周面よりも径方向外側に張り出すガス規制部と、を有していることを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
前記弁体は、前記ガス規制部の外周縁から前記弁座に向けて突出する返し部を有する請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
前記弁体は、前記軸線方向における前記シール部とガス規制部との間に柱状の軸部を有する請求項2に記載の電磁弁。
【請求項4】
前記シール部は前記弁体の径方向に沿った外周側から内周側に向かうに従い前記弁座に近づくように傾斜し、前記シール部の傾斜に沿う仮想線を想定し、前記仮想線を前記ガス規制部に向けて延長した場合、当該仮想線が前記ガス規制部に交差するように前記シール部の傾斜角度が設定されている請求項2又は請求項3に記載の電磁弁。
【請求項5】
タンク内に向けて開口するタンク側開口部と、外部に向けて開口するバルブ側開口部とを連通するガス流路を有するボディと、
前記ボディに搭載され、前記ガス流路を開閉する電磁弁と、を有するバルブ装置であって、
前記ガス流路は、前記バルブ側開口部を含む第1流路と、前記タンク側開口部を含む第2流路を有するとともに、
前記第1流路の中心軸線である第1中心軸線と前記第2流路の中心軸線である第2中心軸線とが交差する交差部を有しており、
前記第1流路は前記タンクに対するガスの充填時に前記第2流路の上流側となり、前記電磁弁は、前記ガスの充填時には前記ガス流路を開くとともに、前記ガスの充填終了時には前記ガス流路を閉じ、前記弁座は、前記交差部よりも反第2流路側となる前記第1流路に配置され、
前記電磁弁は請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の電磁弁であることを特徴とするバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁及びバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高圧のガスを収容するタンクの口金にはバルブ装置が取り付けられる。バルブ装置は、タンクに対するガスの給排を制御する。バルブ装置は、ガスが流れるガス流路を有するボディと、ボディに搭載される電磁弁等の各種バルブとを一体に備える。電磁弁はガス流路を開閉することにより、ガス流路のガスの流動を制御する。例えば特許文献1に開示される電磁弁は、スリーブと、スリーブ内を摺動する可動鉄心と、可動鉄心の動作により弁座に接離する弁体と、を備えている。弁体は、可動鉄心の動作によって弁座に接離することにより、ガス流路に連通する通路を開閉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019−158072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、電磁弁においては、弁体の収容された弁室にガスが流れ込むと、ガスが、スリーブの内周面と弁体の外周面との隙間に入り込む。ガスに水分が含まれていると、隙間に水分が残る。隙間に水分が残った状態で、電磁弁が低温に曝されると、隙間にて水分が凍結し、弁体がスリーブに対して固着するなど電磁弁の作動不良が発生する虞がある。
【0005】
本発明の目的は、隙間にて水分が凍結することを抑制できる電磁弁及びバルブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するための電磁弁は、スリーブと、前記スリーブ内を摺動する可動鉄心と、前記可動鉄心の動作により弁座に接離するシール部を有する弁体と、を備える電磁弁であって、前記弁体は、前記スリーブ内に少なくとも一部が嵌挿される本体部と、前記スリーブの軸線方向の端よりも前記弁座寄りに位置する前記シール部と、前記スリーブの前記軸線方向の端よりも前記弁座寄りに位置し、かつ前記軸線方向における前記シール部と前記本体部の間から当該シール部及び本体部の外周面よりも径方向外側に張り出すガス規制部と、を有していることを要旨とする。
【0007】
これによれば、ガス規制部により、弁座側からスリーブの端を覆うことができ、結果として、スリーブの内周面と本体部の外周面との隙間をガス規制部によって弁座側から覆うことができる。このため、弁孔から流れ込んだガスの流れをガス規制部によって遮り、隙間に向けてガスを流れ難くすることができる。また、ガス規制部に当たったガスが、ガス規制部付近で滞留するため、ガスが隙間に向けて流れ難くなる。その結果、隙間へのガスの侵入を抑制でき、ガスに含まれる水分が隙間に残りにくくなる。したがって、低温時に、隙間にて水分が凍結することを抑制でき、電磁弁の作動不良の発生を抑制できる。
【0008】
電磁弁について、前記弁体は、前記ガス規制部の外周縁から前記弁座に向けて突出する返し部を有していてもよい。
これによれば、ガスは、ガス規制部に当たった後、ガス規制部の外周縁に向かって流れやすい。そして、ガス規制部の外周縁に流れたガスが返し部によって堰き止められるとともに、弁座に向かうようにガスの流れを案内できる。その結果、ガスが隙間に向けて流れ難くなり、隙間へのガスの侵入を抑制できる。
【0009】
電磁弁について、前記弁体は、前記軸線方向における前記シール部とガス規制部との間に柱状の軸部を有していてもよい。
これによれば、シール部に沿って隙間に向かうガスを、軸部の外周面に沿って流すことができるため、軸部の無い場合と比べると、ガスをガス規制部の内周側に向けて流しやすくなる。つまり、ガスがガス規制部の外周縁側に向けて流れ難くなる。
【0010】
電磁弁について、前記シール部は前記弁体の径方向に沿った外周側から内周側に向かうに従い前記弁座に近づくように傾斜し、前記シール部の傾斜に沿う仮想線を想定し、前記仮想線を前記ガス規制部に向けて延長した場合、当該仮想線が前記ガス規制部に交差するように前記シール部の傾斜角度が設定されていてもよい。
【0011】
これによれば、弁室に入り込んだガスがシール部に沿って流れると、シール部の傾斜により、燃料ガスがガス規制部に向かうようにガスを案内できる。このため、弁室に入り込んだガスをガス規制部に当てて弁座に向けて流し返しやすくなり、燃料ガスを隙間に向けて流れ難くすることができる。
【0012】
上記問題点を解決するためのバルブ装置は、タンク内に向けて開口するタンク側開口部と、外部に向けて開口するバルブ側開口部とを連通するガス流路を有するボディと、前記ボディに搭載され、前記ガス流路を開閉する電磁弁と、を有するバルブ装置であって、前記ガス流路は、前記バルブ側開口部を含む第1流路と、前記タンク側開口部を含む第2流路を有するとともに、前記第1流路の中心軸線である第1中心軸線と前記第2流路の中心軸線である第2中心軸線とが交差する交差部を有しており、前記第1流路は前記タンクに対するガスの充填時に前記第2流路の上流側となり、前記電磁弁は、前記ガスの充填時には前記ガス流路を開くとともに、前記ガスの充填終了時には前記ガス流路を閉じ、前記弁座は、前記交差部よりも反第2流路側となる前記第1流路に配置され、前記電磁弁は請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の電磁弁であることを要旨とする。
【0013】
これによれば、交差部は、ガス流路におけるタンク内部と弁座との間に位置する部位のうち、弁座よりもタンク内部側に位置する。このため、交差部に作用するのは常にタンク内の圧力であり、交差部に作用する圧力の変化が小さい。よって、ガス充填及びガス供給が行われる毎に、第1流路と第2流路の交差部に発生する圧力変動による負荷を小さく抑えることができ、ガス流路への耐圧疲労寿命の悪影響が抑制される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、隙間にて水分が凍結することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】燃料電池自動車のガスタンク、バルブ装置、及び燃料電池を示す概略図。
図2】バルブ装置を示す断面図。
図3】ガス流路の弁室付近を拡大して示す断面図。
図4】第1の実施形態の弁体の閉弁状態を示す部分拡大断面図。
図5】第1の実施形態の弁体の開弁状態を示す部分拡大断面図。
図6】第2の実施形態の弁体の閉弁状態を示す部分拡大断面図。
図7】第2の実施形態の弁体の開弁状態を示す部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、電磁弁及びバルブ装置を具体化した第1の実施形態を図1図5にしたがって説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態のバルブ装置10は、燃料電池自動車Vに搭載される。燃料電池自動車Vは、燃料電池12で発電した電力により走行する車両である。燃料電池自動車Vには、燃料電池12と、燃料電池12に供給する燃料ガスを貯留するタンクとしてのガスタンク11と、ガスタンク11に取り付けられるバルブ装置10と、が搭載されている。本実施形態では、ガスタンク11内の貯留室には燃料ガスとして、高圧の水素ガスが貯留されている。
【0018】
ガスタンク11、燃料電池12及びバルブ装置10は、燃料電池自動車Vの後部のフロアパネルの下に搭載されている。ただし、ガスタンク11、燃料電池12及びバルブ装置10の搭載場所は、燃料電池自動車Vの後部のフロアパネルの下に限らず適宜変更してもよく、例えば、燃料電池自動車Vの前部や、トランクルームの下方などであってもよい。また、本実施形態では、バルブ装置10は、燃料電池自動車Vの車体Fの下方からメンテナンスを行えるように、バルブ装置10の下面側を車体Fの下から露出させて搭載されている。
【0019】
図2に示すように、バルブ装置10は、ガスステーション13からガスタンク11への燃料ガスの充填、及びガスタンク11から燃料電池12への燃料ガスの供給を制御する。バルブ装置10は、ボディ20と、ボディ20が有するガス流路30を開閉する電磁弁40と、ガス流路30を手動操作によって開閉する手動弁70と、を有する。本実施形態では、ボディ20の第1方向を車両前後方向Xとし、第1方向に直交する第2方向を車両左右方向Yとし、第1方向及び第2方向に直交する第3方向を車両上下方向Zとする。
【0020】
ボディ20は、例えば、アルミ合金製のブロック状である。ボディ20は、第1方向の第1端面としての前端面20aに第1取付孔21を有し、第1方向の第2端面としての後端面20bに第2取付孔22を有する。また、ボディ20は下端面20cに第3取付孔23を有する。バルブ装置10において、電磁弁40は第1取付孔21に取り付けられることでボディ20に搭載されている。また、手動弁70は、第3取付孔23に取り付けられることでボディ20に搭載されている。第2取付孔22には、継手24が取り付けられている。なお、継手24には配管28が接続されている。配管28からは充填用配管29aと供給配管29bが分岐している。充填用配管29aにはガスステーション13が接続可能であり、供給配管29bには減圧弁14を介して燃料電池12が接続されている。また、ボディ20は、第2方向の端面としての右端面に、後述するタンク側開口部33bを有し、タンク側開口部33bはガスタンク11に向けて開口している。
【0021】
図2又は図3に示すように、第1取付孔21は、段付き孔である。第1取付孔21は、ボディ20の前端面20aに開口する大径孔21bと、大径孔21bよりもボディ20の後端面20b寄りに位置する小径孔21aとを有し、小径孔21aは大径孔21bよりも小径である。小径孔21aと大径孔21bは同軸上に位置する。
【0022】
小径孔21aの内底面21cには、第1接続流路31の軸線方向の両端のうち小径孔21a寄りの第1端が弁孔31aとして開口している。また、第1接続流路31の軸線方向の両端のうち、弁孔31aとは反対側の端である第2端はバルブ側開口部31bとして第2取付孔22の内底面22aに開口している。第1接続流路31は、車両前後方向Xに直線状に延びる流路である。このため、第1接続流路31の中心軸線V1は、車両前後方向Xに直線状に延びている。小径孔21aの底部には弁座26が設けられている。弁座26は、弁孔31aの内周面を、小径孔21aの内底面21cに向けて拡径する形状に形成して構成されている。
【0023】
大径孔21bの内周面には雌ねじが形成されている。つまり、大径孔21bは雌ねじ孔であり、大径孔21bを有する第1取付孔21は、内周面の一部に雌ねじを有する雌ねじ孔であるといえる。そして、大径孔21bには、電磁弁40をボディ20に取り付けるための取付部材38が螺合され、取付部材38によって電磁弁40がボディ20に取り付けられている。
【0024】
ここで、電磁弁40について説明する。電磁弁40は、スリーブ41と、スリーブ41内に固定された固定鉄心47と、スリーブ41内を摺動する可動鉄心49と、可動鉄心49の動作により移動する弁体51と、可動鉄心49を駆動させるソレノイド55と、可動鉄心49を付勢する付勢部材50とを有する。
【0025】
スリーブ41は、円筒状である。スリーブ41の中心軸線Nの延びる方向を、スリーブ41の軸線方向とする。なお、スリーブ41の中心軸線Nは、電磁弁40の中心軸線でもある。本実施形態では、スリーブ41の中心軸線Nは車両前後方向Xに延び、スリーブ41の軸線方向は車両前後方向Xに一致する。スリーブ41の軸線方向の両端のうち、第1取付孔21寄りの端を第1端41bとし、第1端41bと反対側の端を第2端41cとする。スリーブ41は、軸線方向の第1端41b及び第2端41cにおいて開口する。スリーブ41は、軸線方向に延びる摺動孔41aを内部に備える。
【0026】
スリーブ41は、軸線方向の第1端41bを含む挿入部42と、挿入部42よりも第2端41c側に位置する円板状のスリーブ側規制部43と、スリーブ側規制部43よりも第2端41c側に位置する筒状のスリーブ本体44と、を有する。なお、スリーブ41の第2端41cは環状の蓋部45によって構成されている。スリーブ41の内径は、蓋部45を除く部分では軸線方向に一定であり、スリーブ41の外径は、部位によって異なる。
【0027】
具体的には、挿入部42の外径は、スリーブ側規制部43の外径より小さく、かつスリーブ本体44の外径より大きい。なお、本実施形態では、挿入部42の外径をスリーブ本体44の外径より大きくしたが、これに限らず、挿入部42の外径は、スリーブ本体44の外径と同じ又は小さくてもよい。
【0028】
そして、挿入部42の外径は、小径孔21aの内径より僅かに小さく、挿入部42は大径孔21bを介して小径孔21aに挿入されている。挿入部42の外周面にはOリング等のシール部材46が装着されている。シール部材46は、挿入部42の外周面と小径孔21aの内周面に密接し、挿入部42の外周面と小径孔21aの内周面との間を気密にシールする。
【0029】
スリーブ41の第1端41bと小径孔21aの内底面21cとは、スリーブ41の軸線方向に離間している。そして、スリーブ41の第1端41bと、小径孔21aの内周面と、小径孔21aの内底面21cとの間で囲まれる空間には弁室Sが画成されている。弁室Sには、弁孔31aが連通可能であるとともに、弁座26が面している。
【0030】
スリーブ側規制部43は、挿入部42及びスリーブ本体44よりも径方向外側へ突出する円板状である。スリーブ側規制部43の外径は、小径孔21aの内径よりも大きく、かつ大径孔21bの内径より小さい。スリーブ側規制部43は、小径孔21aには挿入されず、大径孔21b内に位置している。スリーブ本体44の一部は大径孔21b内に位置し、その他の部分がボディ20の外側に突出している。
【0031】
固定鉄心47は、スリーブ41内に固定されている。固定鉄心47は、摺動孔41aのうちスリーブ本体44に位置する部分に圧入される円柱状の圧入部47aと、蓋部45を貫通する軸部47bとを有する。圧入部47aにおいて、軸部47b寄りの端面は、蓋部45の内面に接触し、この接触により、スリーブ41から固定鉄心47が抜け出ることが防止されている。
【0032】
圧入部47aの外周面には、Oリング等のシール部材48が装着されている。シール部材48は、圧入部47aの外周面とスリーブ41の内周面に密接し、圧入部47aの外周面とスリーブ41の内周面との間を気密にシールする。軸部47bは外周面に雄ねじを有する。軸部47bは、蓋部45を貫通してスリーブ41の第2端41cよりもスリーブ41の外に突出している。軸部47bにはナット63が螺合されている。
【0033】
スリーブ41の摺動孔41aには、可動鉄心49がスリーブ41の軸線方向へ摺動可能に収容されている。可動鉄心49は円柱状である。可動鉄心49の外径は、スリーブ41の内径より僅かに小さい。可動鉄心49は、固定鉄心47に対向する端面から円柱状に凹むように形成された収容部49aを有する。収容部49a内には付勢部材50が収容されている。付勢部材50としては、例えばコイルばねが挙げられるが、その他にも板ばねやゴムでもよい。要は、可動鉄心49を弁座26に向けて付勢できれば、付勢部材50の構成は適宜変更してもよい。
【0034】
付勢部材50の第1端は、収容部49aの内底面に接触し、付勢部材50の第2端は、固定鉄心47の圧入部47aに接触している。付勢部材50は、圧縮状態で可動鉄心49と固定鉄心47の間に配置され、圧縮状態からの復帰力を付勢力として可動鉄心49を弁座26に向けて付勢している。
【0035】
本実施形態では、付勢部材50の付勢力は、ガスステーション13からの燃料ガスの供給圧力による荷重より小さくなるように設定されている。そして、付勢部材50の付勢力により、後述の弁体51は弁座26に着座している。このときの可動鉄心49と固定鉄心47との離間距離を鉄心間距離R1とする。
【0036】
スリーブ41の摺動孔41aには、弁体51の一部が嵌挿されている。弁体51は、可動鉄心49の軸線方向の両端部のうち、収容部49aの設けられた端部とは反対側の端部に取着されている。
【0037】
図4に示すように、弁体51は、円筒状の本体部52と、本体部52の外周面よりも弁体51の径方向に突出するガス規制部54と、ガス規制部54から弁座26に向けて円錐状に突出するシール部53と、を有する。
【0038】
本体部52の外径は、スリーブ41の内径より僅かに小さい。本体部52の内側には、可動鉄心49から弁体51に向けて突出する連結部49bが挿入されている。連結部49bと本体部52は支持ピン64によって連結されている。本体部52には、支持ピン64が遊挿され、可動鉄心49に弁体51が取着されている。そして、弁体51は、可動鉄心49の動作により移動可能に構成されている。
【0039】
本体部52は、スリーブ41内としての挿入部42内に嵌挿されている。本実施形態では、本体部52の外周面は、挿入部42の内周面に摺接する。このため、弁体51における本体部52の外周面と、スリーブ41の内周面との間には隙間が存在する。
【0040】
ガス規制部54は、弁体51の中心軸線Bの延びる方向において、本体部52とシール部53の間に位置する。ガス規制部54は、本体部52寄りに接触面54aを有し、シール部53寄りにガス規制面54bを有する。接触面54a及びガス規制面54bは、弁体51の径方向に環状に延びる平坦面である。ガス規制部54の外径は、小径孔21aの内径より小さい。このため、ガス規制部54の外周面は、小径孔21aの内周面から離間している。
【0041】
シール部53は、可動鉄心49の動作により弁座26に接離する。シール部53は、スリーブ41の軸線方向に沿って本体部52からシール部53の先端に向かうに従い縮径する。つまり、シール部53は弁体51の径方向に沿った外周側から内周側に向かうに従い弁座26に近づくように傾斜している。シール部53の外周面は円錐状である。スリーブ41の軸線方向に沿うシール部53の断面視において、シール部53の円錐における傾斜に沿う線を仮想線Hとする。仮想線Hは、弁体51の中心軸線Bに対して傾斜角度θ1で傾斜する。したがって、シール部53の外周面は、弁体51の中心軸線Bに対して傾斜角度θ1で傾斜する。
【0042】
シール部53の先端での直径は、弁孔31aの直径より僅かに小さく、シール部53の先端は、弁孔31a内に挿入される。シール部53の先端が弁孔31a内に挿入され、シール面が弁座26に接することにより、弁孔31aが閉じられ、バルブ側開口部31bと弁室Sとの連通が遮断される。電磁弁40において、付勢部材50の付勢力によってシール部53が弁座26に着座し、弁体51によって弁孔31aが閉じられる位置を閉弁位置K1とする。なお、閉弁位置K1では、本体部52の一部が挿入部42に嵌挿されている。
【0043】
閉弁位置K1では、ガス規制部54の接触面54aは、スリーブ41の軸線方向に沿って第1端41bから離間している。閉弁位置K1において、スリーブ41の軸線方向に沿った接触面54aと第1端41bとの離間距離を弁体離間距離R2とする。本実施形態では、弁体離間距離R2は、上記した鉄心間距離R1と同じに設定されている。電磁弁40を、図示するようなパイロット式電磁弁とした場合には、鉄心間距離R1及び弁体離間距離R2の大きさに若干の調整が必要となるが、ここでは、弁体51が可動鉄心49の端部に一体化されているものとして鉄心間距離R1及び弁体離間距離R2の大きさを設定している。
【0044】
一方、後述するソレノイド55に電力が供給され、可動鉄心49が付勢部材50の付勢力に抗して固定鉄心47に接触するまで移動すると、可動鉄心49とともに弁体51が弁座26から離れる。このとき、鉄心間距離R1は「ゼロ」になる。すると、シール部53が弁座26から離れ、弁孔31aが開かれる。電磁弁40において、シール部53が弁座26から離れ、弁孔31aが開かれる位置を開弁位置K2とする。なお、開弁位置K2では、本体部52の全てが挿入部42に嵌挿されている。
【0045】
開弁位置K2では、バルブ側開口部31bと弁室Sが連通する。開弁位置K2では、ガス規制部54の接触面54aは、スリーブ41の第1端41bに接触している。開弁位置K2において弁体離間距離R2は「ゼロ」になる。したがって、開弁位置K2では、鉄心間距離R1及び弁体離間距離R2が「ゼロ」になる。
【0046】
そして、ガス規制部54の接触面54aがスリーブ41の第1端41bに接触することにより、弁体51における本体部52の外周面と、スリーブ41における挿入部42の内周面との隙間の入口が、ガス規制部54によって弁座26側から閉じられる。
【0047】
ソレノイド55は、電力が供給されることにより、可動鉄心49を駆動させるための動力を発生させるものである。ソレノイド55は、スリーブ本体44の外周側に配置される円筒状のボビン56と、ボビン56の外周に設けられる巻線57と、を有する。
【0048】
電磁弁40は、ソレノイド55を含むスリーブ本体44を覆うカバー58を有する。カバー58の軸線方向の両端のうち、ボディ20から離れた端を第1端とし、ボディ20寄りの端を第2端とする。カバー58は、筒状の外周壁59と、外周壁59における第1端に設けられる天板60と、外周壁59の内側で二重筒構造を形成し、かつ外周壁59における第2端に連続する内周壁61とを有する。
【0049】
カバー58は、外周壁59の第2端にて開口する筒状である。カバー58は、天板60の中央部に貫通孔60aを有する。また、カバー58の内周壁61の内周面には、巻線57の巻かれたボビン56が一体化されている。このため、カバー58にはソレノイド55が一体化されている。
【0050】
カバー58の貫通孔60aには、スリーブ41の蓋部45を貫通した固定鉄心47の軸部47bが貫通している。カバー58を貫通した軸部47bの雄ねじには上記したようにナット63が螺合されている。軸部47bに対するナット63の螺合により、カバー58が電磁弁40に取り付けられるとともに、カバー58によってソレノイド55が覆われている。
【0051】
上記構成の電磁弁40は、取付部材38によってボディ20に取り付けられている。取付部材38は、スリーブ本体44が挿入される環状である。取付部材38は、外周面に雄ねじを有するナットである。取付部材38の雄ねじが、大径孔21bの雌ねじに螺合されることにより、スリーブ41がボディ20に取り付けられる。
【0052】
取付部材38は、内周部にナット側規制部38aを有する。取付部材38の中心軸線Rが延びる方向を取付部材38の軸線方向とする。ナット側規制部38aは、取付部材38の軸線方向における第1取付孔21内に位置する端面から環状に凹むように形成されている。ナット側規制部38aの内周面での取付部材38の内径は、スリーブ側規制部43の外径より僅かに大きい。スリーブ側規制部43は、ナット側規制部38aの内側に配置される。ナット側規制部38aの内底面は、取付部材38の径方向へ平坦に延びる環状面である。そして、ナット側規制部38aの内底面には、スリーブ側規制部43における第2端41c寄りの環状面が接触する。
【0053】
取付部材38は、軸線方向におけるボディ20の外側にフランジ39を有する。フランジ39での取付部材38の外径は、雄ねじでの取付部材38の外径より大きく、かつ大径孔21bの内径より大きい。取付部材38は、フランジ39がボディ20の前端面20aに接触するまで大径孔21bに螺合されている。
【0054】
フランジ39がボディ20の前端面20aに接触するまで取付部材38が大径孔21bに螺合されることにより、スリーブ41がボディ20に取り付けられ、電磁弁40がボディ20に取り付けられる。また、ナット側規制部38aの内底面は、スリーブ側規制部43の環状面に接触し、この接触により、スリーブ41の取付部材38からの抜け出しが防止されている。
【0055】
ボディ20において、第2取付孔22は内周面に雌ねじが形成された雌ねじ孔である。第2取付孔22には、継手24が螺着されている。継手24は、第2取付孔22に螺合される雄ねじを外周面に有する接続部24aと、接続部24aからボディ20の外に向けて突出するコネクタ部24bとを有する。また、継手24は、当該継手24の中心軸線Lに沿って延びる継手内流路24cを有する。継手内流路24cの軸線方向の両端のうち、ボディ20寄りの端を第1端とし、第1端とは反対側の端を第2端とする。継手内流路24cの第1端は、第1接続流路31のバルブ側開口部31bに連通し、継手内流路24cの第2端は、コネクタ部24bの端面から外部に向けて開口している。したがって、バルブ側開口部31bは外部に開口しているといえる。コネクタ部24bには、インレット及びアウトレット共用の配管28が接続され、配管28の内部は継手内流路24cに連通している。
【0056】
ボディ20において、第3取付孔23は、段付き孔である。第3取付孔23は、ボディ20の下端面20cに開口する締結孔23bと、締結孔23bより奥に位置するガイド孔23aと、を有する。締結孔23bはガイド孔23aより大径である。ガイド孔23aと締結孔23bは同軸上に設けられている。ガイド孔23aは、手動弁70の移動を案内するための孔である。ガイド孔23aの内周面の周方向の一部にはタンク側開口部33bが開口している。
【0057】
締結孔23bは内周面に雌ねじが形成された雌ねじ孔である。締結孔23bには、手動弁70をボディ20に取り付けるための締結部材80が螺合され、締結部材80によって手動弁70がボディ20に取り付けられている。
【0058】
手動弁70は、ガイド孔23aに挿入されるガイド部71と、ガイド部71の中心軸線Jの延びる軸線方向の両端のうち、ガイド孔23a寄りの第1端から突出する弁部72と、ガイド部71の軸線方向の両端のうち、第1端とは反対側の第2端から突出する螺子部73と、螺子部73からガイド部71とは反対側へ突出する操作部74と、を有する。
【0059】
ガイド部71は、円柱状である。ガイド部71は、ガイド孔23a内を摺動する。弁部72は、弁室Sに連通する第2接続流路32の第2端32bを開閉する。なお、第2接続流路32は、第1取付孔21の小径孔21aと、第3取付孔23のガイド孔23aとを接続する。第2接続流路32の軸線方向の両端のうち、小径孔21a寄りの端を第1端32aとし、ガイド孔23a寄りの端を第2端32bとする。第1端32aは小径孔21aの内周面に開口し、第2端32bは、第3取付孔23の内底面23cに開口している。第2接続流路32は、車両上下方向Zに直線状に延びる流路である。このため、第2接続流路32の中心軸線V2は、車両上下方向Zに直線状に延びている。
【0060】
螺子部73は外周面に雄ねじを有する。螺子部73の外径は、ガイド部71より大きい。操作部74は、螺子部73より小径であり、六角柱状である。操作部74は、工具としてのスパナによって手動操作される部位である。なお、操作部74の形状は適宜変更してもよく、操作部74の形状に応じて、操作部74を手動操作するための工具の形状も変更される。
【0061】
締結部材80は、環状である。締結部材80は内周面に雌ねじ孔を有するとともに、外周面に雄ねじを有するナットである。締結部材80は、締結孔23bに締結されている。締結部材80の内側には、手動弁70の螺子部73が螺着されている。
【0062】
そして、操作部74を手動操作して螺子部73を締結部材80に対し螺進又は螺退させることにより、ガイド部71をガイド孔23a内で摺動させて弁部72を第2接続流路32の第2端32bに対し接離させることができる。そして、第2接続流路32の第2端32bを弁部72によって開閉して、タンク側開口部33bを介して第2接続流路32とガスタンク11を連通又は遮断させることができる。つまり、操作部74の手動操作によって、タンク側開口部33bを開閉させることができる。
【0063】
ボディ20内のガス流路30は、バルブ側開口部31bとタンク側開口部33bとを連通する流路である。ガス流路30は、第1接続流路31及び弁室Sを含む第1流路A1と、弁室S、第2接続流路32、及びガイド孔23aを含む第2流路A2とを有する。第1接続流路31はバルブ側開口部31bを有するため、第1流路A1はバルブ側開口部31bを含む。また、ガイド孔23aは、タンク側開口部33bを有するため、第2流路A2はタンク側開口部33bを含む。
【0064】
第1流路A1の中心軸線を第1中心軸線L1とすると、第1中心軸線L1は、第1接続流路31の中心軸線V1と一致する。第1中心軸線L1をバルブ側開口部31bとは反対側へ延長した位置にある弁室Sの一部は、第1接続流路31に含まれているといえる。また、第2流路A2の中心軸線を第2中心軸線L2とすると、第2中心軸線L2は、第2接続流路32の中心軸線V2と一致する。第2中心軸線L2をガイド孔23aとは反対側へ延長した位置にある弁室Sの一部は、第2接続流路32に含まれているといえる。
【0065】
そして、ガス流路30は、第1流路A1の第1中心軸線L1と第2流路A2の第2中心軸線L2とが相互に交差する交差部Aを有している。本実施形態では、交差部Aは弁室Sに位置している。そして、電磁弁40の弁体51が接離する弁座26は、交差部Aよりも反第2流路A2側となる第1流路A1に配置されている。
【0066】
また、第1流路A1の第1中心軸線L1をバルブ側開口部31bとは反対側へ延長した延長線上には、電磁弁40の中心軸線となるスリーブ41の中心軸線Nが位置する。つまり、第1流路A1の第1中心軸線L1を車両前後方向Xに延長した位置に、電磁弁40が位置している。一方、第2流路A2の第2中心軸線L2は、手動弁70の中心軸線となるガイド部71の中心軸線Jと一致する。つまり、第2流路A2の第2中心軸線L2を車両上下方向Zに延長した位置に、手動弁70が位置している。電磁弁40と手動弁70は、ガス流路30上におけるバルブ側開口部31b側から電磁弁40及び手動弁70の順に配置されている。
【0067】
ガス流路30は、ガスステーション13からガスタンク11への燃料ガスの充填時は、充填流路として機能し、ガスタンク11から燃料電池12への燃料ガスの供給時は、供給流路として機能する。
【0068】
ここで、第1流路A1の圧力を圧力P1とする。また、ガスタンク11の貯留室の圧力をタンク圧P2とし、弁室Sの圧力を弁室圧P3とする。電磁弁40が閉弁位置K1にあり、かつ手動弁70によってタンク側開口部33bと第2流路A2が連通した状態では、圧力P1は、タンク圧P2より小さい(P1<P2)。このとき、弁室Sは、第2接続流路32、ガイド孔23a及びタンク側開口部33bを介してガスタンク11の貯留室に連通しているため、弁室圧P3はタンク圧P2と等しくなる(P3=P2)。
【0069】
ガスタンク11に燃料ガスを充填する場合には、手動弁70によってタンク側開口部33bを第2接続流路32に連通させた状態でガスステーション13から燃料ガスが供給されると、第1流路A1の圧力P1が燃料ガスの供給圧力となり、付勢部材50の付勢力に抗して、弁体51のシール部53が弁座26から離れる。すなわち、電磁弁40が開弁位置K2を取り、弁孔31aが開かれる。
【0070】
すると、燃料ガスは、弁室Sを介して第2接続流路32、ガイド孔23a、及びタンク側開口部33bを流れてガスタンク11の貯留室に貯留される。したがって、ガスタンク11に対する燃料ガスの充填時、第1流路A1は、第2流路A2の上流側となる。
【0071】
そして、燃料ガスの充填が終了し、燃料ガスの供給が停止されると、第1流路A1の圧力P1が低下し、付勢部材50の付勢力により、弁体51のシール部53が弁座26に着座する。すなわち、電磁弁40が閉弁位置K1を取る。つまり、電磁弁40は、ガスタンク11に対する燃料ガスの充填時にはガス流路30を開くとともに、燃料ガスの充填終了時にはガス流路30を閉じる。
【0072】
ガスタンク11の貯留室の燃料ガスを燃料電池12に供給する場合、手動弁70によってタンク側開口部33bを第2接続流路32に連通させた状態で電磁弁40のソレノイド55が励磁される。この励磁により、可動鉄心49が付勢部材50の付勢力に抗して固定鉄心47に引き寄せられ、可動鉄心49が固定鉄心47に接触する。すると、可動鉄心49に取着された弁体51が弁座26から離れ、シール部53が弁座26から離れる。すなわち、電磁弁40が開弁位置K2を取り、弁孔31aが開かれる。
【0073】
すると、ガスタンク11の貯留室の燃料ガスは、ガイド孔23a、第2接続流路32を流れ、弁室Sを介して第1接続流路31に流れる。そして、燃料ガスは、継手内流路24c、配管28、及び供給配管29bを介して減圧弁14によって減圧された後、燃料電池12に供給される。ソレノイド55が消磁すると、付勢部材50の付勢力等により、弁体51のシール部53が弁座26に着座する。すなわち、電磁弁40が閉弁位置K1を取る。
【0074】
次に、電磁弁40及びバルブ装置10の作用を説明する。
ガスステーション13からガスタンク11に燃料ガスを充填するとき、電磁弁40の弁体51が燃料ガスの供給圧力によって弁座26から離れ、開弁位置K2を取る。このとき、図5に示すように、ガス規制部54の接触面54aがスリーブ41の第1端41bに接触し、第1端41bよりも弁座26側からガス規制部54によってスリーブ41の第1端41bが覆われる。つまり、スリーブ41の内周面と本体部52の外周面との隙間がガス規制部54によって覆われる。詳細には、隙間の入口がガス規制部54によって閉じられる。
【0075】
ガスステーション13からの燃料ガスが弁孔31aを通じて弁室Sに流れ込むが、弁室Sに流れ込んだ燃料ガスは、弁体51のシール部53の外周面に沿って流れ、弁体51の隙間に向かう。しかし、シール部53に沿って流れた燃料ガスは、ガス規制部54のガス規制面54bに当たり、弁座26に向けて流し返される。つまり、弁室Sに流れ込んだ燃料ガスは、ガス規制部54によって隙間に向けた流れが遮られるとともに、ガス規制部54の周囲に滞留する。その後、弁室Sに流れ込んだ燃料ガスは、弁室Sから第2流路A2に流れ込み、ガスタンク11に充填される。
【0076】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1−1)ガスステーション13からガスタンク11への燃料ガスの充填時、電磁弁40の開弁位置K2では、ガス規制部54によって、スリーブ41の内周面と弁体51の外周面との隙間を覆うことができる。このため、弁室S内で隙間に向かう燃料ガスをガス規制部54によって遮り、ガス規制部54の周囲で滞留させることができる。その結果、隙間に向けて燃料ガスを流れ難くすることができ、隙間への燃料ガスの侵入を抑制できる。その結果、燃料ガスに含まれる水分が隙間に残ることを抑制できる。このため、低温時に、隙間にて水分が凍結することを抑制でき、電磁弁40の作動不良の発生を抑制できる。作動不良である弁体51の閉弁固着や開弁固着を抑制することで、燃料ガスの充填放出機能が発揮できなくなることや、弁体51が開弁固着してガス流路30の遮断ができなくなることを回避できる。
【0077】
(1−2)ガス規制面54bは、弁体51の径方向に環状に延びる平坦面である。このため、隙間に向かう燃料ガスが当たりやすく、しかも、弁座26に向けて流し返しやすい。このため、隙間に向けて燃料ガスを流れ難くすることができ、隙間への燃料ガスの侵入を抑制できる。
【0078】
(1−3)第1流路A1と第2流路A2の交差部Aは、ガス流路30におけるガスタンク11内部と弁座26との間に位置する部位のうち、弁座26よりもガスタンク11内部側に位置する。このため、交差部Aに作用するのは常にガスタンク11内の圧力であり、交差部Aに作用する圧力の変化が小さい。よって、ガス充填及びガス供給が行われる毎に、交差部Aに発生する圧力変動による負荷を小さく抑えることができ、ガス流路30への耐圧疲労寿命の悪影響が抑制される。
【0079】
(1−4)鉄心間距離R1と弁体離間距離R2を同じにした。これにより、開弁位置K2では、ガス規制部54の接触面54aがスリーブ41の第1端41bに接触し、スリーブ41と弁体51の隙間の入口がガス規制部54によって閉じられる。その結果、弁室Sに流れ込んだガスの隙間への侵入をより一層抑制しやすい。
【0080】
(第2の実施形態)
次に、電磁弁及びバルブ装置を具体化した第2の実施形態を図6図7にしたがって説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の弁体を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0081】
図6に示すように、弁体51は、本体部52と、ガス規制部54と、円柱状の軸部90と、シール部53とが並んで構成されている。
ガス規制部54は外周縁に返し部54dを有する。返し部54dは、ガス規制部54の外周縁から弁座26に向けて環状に突出する。返し部54dは、ガス規制面54bに対し直交している。
【0082】
返し部54dにおける弁座26に向けた突出方向の先端にはテーパ面54eが設けられている。テーパ面54eは、弁体51の径方向に沿った外周側から内周側に向かうに従い弁座26に近づくように傾斜する。なお、本実施形態では、弁体51の中心軸線Bに対するテーパ面54eの傾斜角度θ2は、シール部53の傾斜角度θ1より大きい。言い換えると、シール部53の傾斜角度θ1は、テーパ面54eの傾斜角度θ2より小さい。
【0083】
シール部53の円錐における傾斜に沿う仮想線Hをガス規制部54に向けて延長した場合、仮想線Hは、ガス規制部54におけるガス規制面54bに交差する。シール部53の傾斜角度θ1は、仮想線Hがガス規制部54のガス規制面54bに交差する角度に設定されている。上記したように、傾斜角度θ1は、傾斜角度θ2よりも小さい。このため、仮想線Hがガス規制部54に交差するとは、仮想線Hが返し部54dの内周面に交差する場合は含むが、仮想線Hがテーパ面54eに沿う場合は含まない。
【0084】
軸部90の外径は、本体部52の外径より小さい。つまり、軸部90は、本体部52より小径の円柱状である。そして、軸部90の外周面と、返し部54dの内周面とは、ガス規制面54bによって繋がっている。弁体51は、軸部90の外周面と、返し部54dの内周面と、ガス規制面54bとによって画成される滞留部91を備える。
【0085】
図7に示すように、ガスステーション13からガスタンク11に燃料ガスを充填するとき、電磁弁40の弁体51が燃料ガスの供給圧力によって弁座26から離れ、開弁位置K2を取る。このとき、ガス規制部54の接触面54aがスリーブ41の第1端41bに接触し、第1端41bよりも弁座26側からガス規制部54によってスリーブ41の第1端41bが覆われる。つまり、スリーブ41の内周面と本体部52の外周面との隙間が覆われる。
【0086】
ガスステーション13からの燃料ガスが弁孔31aを通じて弁室Sに流れ込む。弁室Sに流れ込んだ燃料ガスは、弁体51のシール部53に沿って弁体51の外周面に向けて流れる。
【0087】
シール部53に沿って流れた燃料ガスは、軸部90の外周面に沿って流れた後、ガス規制部54のガス規制面54bに当たり、弁座26に向けて流し返される。つまり、弁室Sに流れ込んだ燃料ガスは、ガス規制部54によって遮られるとともに、ガス規制部54の周囲となる滞留部91に滞留し、弁体51とスリーブ41の隙間に向けて流れ難くなる。
【0088】
また、燃料ガスは、ガス規制部54に当たった後、ガス規制部54の外周縁に向かって流れやすいが、ガス規制部54の外周縁に流れた燃料ガスは返し部54dによって堰き止められるとともに、弁座26に向かうように燃料ガスが案内される。
【0089】
そして、弁室Sに流れ込んだ燃料ガスは、弁室Sから第2流路A2に流れ込み、ガスタンク11に充填される。
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
【0090】
(2−1)ガス規制面54bに沿ってガス規制部54の外周縁に向けて流れた燃料ガスを返し部54dによって堰き止めることができる。さらに、返し部54dにより、弁座26に向かうように燃料ガスの流れを案内できる。このため、弁体51とスリーブ41の隙間に向けて燃料ガスを流れ難くすることができ、隙間への燃料ガスの侵入を抑制できる。
【0091】
(2−2)軸部90の外周面と、返し部54dの内周面と、ガス規制面54bとから滞留部91が画成される。弁室Sに流れ込んだ燃料ガスは、ガス規制部54によって遮られるとともに、滞留部91に滞留するため、燃料ガスを隙間に向けて流れ難くすることができる。
【0092】
(2−3)シール部53に沿って隙間に向かう燃料ガスを、軸部90の外周面に沿って流すことができるため、軸部90の無い場合と比べると、燃料ガスをガス規制部54の内周側に向けて流しやすくなる。つまり、燃料ガスがガス規制部54の外周縁側に向けて流れ難くなり、燃料ガスを隙間に向けて流れ難くすることができる。
【0093】
(2−4)テーパ面54eの傾斜角度θ2をシール部53の傾斜角度θ1より大きくした。このため、テーパ面54eの傾斜角度θ2が、シール部53の傾斜角度θ1より小さい場合と比べると、万一、テーパ面54eに沿って燃料ガスが流れても、燃料ガスを、小径孔21aの内周面に向かうように案内しやすく、弁体51とスリーブ41の隙間に向けては、燃料ガスを流れ難くすることができる。
【0094】
(2−5)シール部53の円錐の傾斜に沿う仮想線Hがガス規制部54に交差するようにシール部53の傾斜角度θ1が設定されている。このため、シール部53に沿って流れる燃料ガスをガス規制部54に当たるように案内でき、弁座26に向けて流し返しやすくなる。その結果、シール部53により、燃料ガスを隙間に向けて流れ難くすることができる。
【0095】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・ガス流路30において、バルブ側開口部31bと弁室Sを繋ぐ流路を第2流路とし、タンク側開口部33bが開口するガイド孔23aと弁室Sを繋ぐ流路を第1流路としてもよい。そして、ガイド孔23aと弁室Sを繋ぐ流路の第1端の周囲に弁座26を形成し、弁座26を、交差部Aよりも第1流路側に配置してもよい。
【0096】
・第2の実施形態において、シール部53の傾斜角度θ1をテーパ面54eの傾斜角度θ2より大きくしてもよいし、シール部53の傾斜角度θ1と、テーパ面54eの傾斜角度θ2とを同じにしてもよい。
【0097】
・第2の実施形態において、返し部54dのテーパ面54eはなくてもよい。
・第1の実施形態において、ガス規制部54に返し部54dを設けてもよく、返し部54dにテーパ面54eを設けてもよい。
【0098】
・弁体51のシール部53は円錐状でなくてもよく、円柱状でもよい。この場合、弁座26は、小径孔21aの内底面21cに向けて拡径する形状でなくてもよい。
・ガス規制部54の外周面と、小径孔21aの内周面との離間距離は適宜調整してもよい。
【0099】
・開弁位置K2では、ガス規制部54の接触面54aがスリーブ41の第1端41bに接触し、スリーブ41と弁体51の隙間の入口がガス規制部54によって閉じられるように、鉄心間距離R1と弁体離間距離R2を同じにした。これに限らず、開弁位置K2では、ガス規制部54の接触面54aがスリーブ41の第1端41bから離れるように、鉄心間距離R1を弁体離間距離R2より小さくしてもよい。
【0100】
・弁体51は、可動鉄心49の一部に形成されていてもよい。
・ボディ20の前端面20aや後端面20bに安全弁や他の配管が接続されていてもよい。
【0101】
・バルブ側開口部31bには、分岐継手を介して充填用配管29aと供給配管29bが接続されていてもよい。
・バルブ装置10は、ボディ20の第1方向が車両左右方向となり、第2方向が車両前後方向となるように燃料電池自動車Vに搭載されていてもよい。
【0102】
・電磁弁40がボディ20の後端面20bに搭載され、継手24がボディ20の前端面20aに搭載されるように、バルブ装置10が燃料電池自動車Vに搭載されていてもよい。
【0103】
・ガスとして水素ガスを記載したが、水素以外のガス(例えば、メタン、プロパン、LPG)や天然ガスであってもよい。
【符号の説明】
【0104】
θ1…傾斜角度
A…交差部
A1…第1流路
A2…第2流路
H…仮想線
L1…第1中心軸線
L2…第2中心軸線
10…バルブ装置
11…ガスタンク
20…ボディ
26…弁座
30…ガス流路
31b…バルブ側開口部
33b…タンク側開口部
40…電磁弁
41…スリーブ
90…軸部
49…可動鉄心
51…弁体
52…本体部
53…シール部
54…ガス規制部
54d…返し部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7