【解決手段】検査装置は、湾曲面を有する対象物を支持するテーブルと、テーブルに支持された対象物を照明光で照明する照明装置と、光学系及びイメージセンサを有する撮像装置と、光学系の視野範囲に配置されている湾曲面の調整用画像を前記撮像装置に撮像させる撮像制御部と、テーブルを傾けて、調整用画像の輝度を調整するテーブル制御部と、を備える。撮像制御部は、調整用画像の輝度が調整された後に、視野範囲に配置されている湾曲面の検査用画像を撮像装置に撮像させる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
実施形態においては、XYZ直交座標系を規定し、XYZ直交座標系を参照しながら各部の位置関係について説明する。水平面内のX軸と平行な方向をX軸方向とする。X軸と直交する水平面内のY軸と平行な方向をY軸方向とする。水平面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。X軸を中心とする回転又は傾斜方向をθX方向とする。Y軸を中心とする回転又は傾斜方向をθY方向とする。Z軸を中心とする回転又は傾斜方向をθZ方向とする。X軸及びY軸を含む平面を適宜、XY平面、と称する。XY平面は、水平面と平行である。Z軸は鉛直線と平行である。Z軸方向は上下方向である。+Z方向は上方向であり、−Z方向は下方向である。Z軸は、XY平面と直交する。
【0011】
[検査装置]
図1は、実施形態に係る検査装置1を模式的に示す図である。実施形態において、検査装置1は、外観検査装置の一種である自動光学検査装置(AOI:Automated Optical Inspection)である。
【0012】
検査装置1は、対象物2を支持するテーブル3と、テーブル3を傾けるテーブル駆動装置4と、テーブル3に支持された対象物2を照明光で照明する照明装置5と、光学系6及びイメージセンサ7を有する撮像装置8と、撮像装置8を移動する撮像移動装置9と、コンピュータシステムを含む制御装置10と、表示データを表示する表示装置11とを備える。
【0013】
対象物2は、検査装置1の検査対象物である。対象物2は、湾曲面12を有する。湾曲面12を有する対象物2として、ミラー、レンズ、及び板金が例示される。湾曲面12は、検査装置1の検査対象である。検査装置1は、湾曲面12の外観検査を実施する。
【0014】
テーブル3は、対象物2の少なくとも一部を支持する支持面13を有する。テーブル3の支持面13は、+Z方向を向く。支持面13は、XY平面と平行である。なお、支持面13は、XY平面に対して傾斜してもよい。対象物2は、湾曲面12が上方を向くように、テーブル3に支持される。対象物2がテーブル3に支持されている状態で、湾曲面12は、上方に突出する。
【0015】
テーブル駆動装置4は、テーブル3をθX方向及びθY方向のそれぞれに傾けることができる。テーブル3が傾くことにより、テーブル3に支持されている対象物2がθX方向及びθY方向のそれぞれに傾く。テーブル駆動装置4は、テーブル3を傾ける動力を発生する複数のアクチュエータ14と、複数のアクチュエータ14を介してテーブル3を支持するベース部材15とを有する。
【0016】
照明装置5は、テーブル3に支持された対象物2の湾曲面12を照明光で照明する。照明装置5は、テーブル3よりも上方に配置される。照明装置5は、傾斜照明装置16と、同軸照明装置17とを有する。
【0017】
傾斜照明装置16は、円環状の複数の光源18と、複数の光源18を支持する支持部材19とを有する。光源18として、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が例示される。光源18は、照明光として白色光を射出する。
【0018】
実施形態において、光源18は、第1の内径を有する第1光源18Aと、第1の内径よりも大きい第2の内径を有する第2光源18Bと、第2の内径よりも大きい第3の内径を有する第3光源18Cとを含む。複数の光源18のうち、第1光源18Aがテーブル3から最も遠い位置に配置され、第1光源18Aに次いで第2光源18Bがテーブル3から遠い位置に配置され、第3光源18Cがテーブル3に最も近い位置に配置される。すなわち、複数の光源18のうち、第1光源18Aが最も高い位置に配置され、第1光源18Aに次いで第2光源18Bが高い位置に配置され、第3光源18Cが最も低い位置に配置される。テーブル3に対象物2が支持されていない場合、第1光源18Aから射出された照明光は、第1入射角度で支持面13に入射する。第2光源18Bから射出された照明光は、第2入射角度で支持面13に入射する。第3光源18Cから射出された照明光は、第3入射角度で支持面13に入射する。第1入射角度と第2入射角度と第3入射角度とは、異なる。
【0019】
同軸照明装置17は、撮像装置8の光学系6の入射面20の周囲に配置される光源21と、光源21を支持する支持部材22とを有する。光源21は、光学系6の入射面20の周囲に間隔をあけて複数配置される。光源21として、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が例示される。光源21は、照明光として白色光を射出する。
【0020】
光源21は、光学系6の光軸AXと平行な方向に照明光を射出する。実施形態において、光学系6の光軸AXは、Z軸と平行である。テーブル3に対象物2が支持されてなく、支持面13がXY平面と平行である場合、光源21から射出された照明光は、支持面13に垂直に入射する。
【0021】
撮像装置8は、照明装置5で照明された対象物2の湾曲面12を撮像する。撮像装置8は、テーブル3よりも上方に配置される。撮像装置8は、テーブル3に支持されている対象物2の湾曲面12を上方から撮像する。
【0022】
撮像装置8は、光学系6とイメージセンサ7とを有する。光学系6の光軸AXは、円環状の光源18の内側に配置される。イメージセンサ7は、光学系6を介して対象物2の画像34を取得する。イメージセンサ7として、CCD(Couple Charged Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが例示される。撮像装置8により撮像される画像34は、カラー画像である。なお、撮像装置8により撮像される画像34は、モノクロ画像でもよい。
【0023】
撮像移動装置9は、光学系6の光軸AXと直交するXY平面内において撮像装置8を移動させる。撮像移動装置9は、撮像装置8のボディを保持する保持部材23と、保持部材23を介して撮像装置8を移動させる動力を発生するアクチュエータ24とを有する。撮像装置8がXY平面内において移動することにより、照明装置5も、撮像装置8と一緒にXY平面内において移動する。
【0024】
XY平面内において撮像装置8が移動することにより、光学系6の視野範囲25が対象物2に対してX軸方向及びY軸方向に移動する。光学系6の視野範囲25は、撮像装置8の撮像可能範囲である。光学系6の視野範囲25は、湾曲面12よりも小さい。XY平面内において光学系6の視野範囲25と湾曲面12との相対位置が調整されることにより、撮像装置8は、湾曲面12の複数の範囲40のそれぞれを撮像することができる。
【0025】
制御装置10は、テーブル駆動装置4、照明装置5、撮像装置8、及び撮像移動装置9を制御する。制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリ及びストレージを含む記憶装置とを有する。演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施する。なお、制御装置10は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)のような集積回路により構成されてもよい。
【0026】
表示装置11は、表示データを表示させる表示画面を有する。表示装置11として、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescence Display)のようなフラットパネルディスプレイが例示される。表示装置11に表示される表示データは、湾曲面12の画像34を含む。作業者は、表示装置11の表示画面で湾曲面12の状態を確認することができる。
【0027】
[制御装置]
図2は、実施形態に係る制御装置10を示す機能ブロック図である。制御装置10は、照明制御部26と、撮像位置制御部27と、撮像制御部28と、画像取得部29と、画像処理部30と、テーブル制御部31と、表示制御部32と、記憶部33とを有する。
【0028】
照明制御部26は、照明装置5に制御指令を出力して、テーブル3に支持されている対象物2を照明光で照明させる。実施形態において、照明制御部26は、同軸照明装置17に制御指令を出力して、テーブル3に支持されている対象物2を照明光で照明させる。
【0029】
撮像位置制御部27は、撮像移動装置9に制御指令を出して、XY平面内において撮像装置8を移動させる。撮像位置制御部27は、撮像移動装置9に制御指令を出力して、XY平面内における光学系6の視野範囲25とテーブル3に支持されている対象物2との相対位置を調整する。
【0030】
撮像制御部28は、撮像装置8に制御指令を出力して、光学系6の視野範囲25に配置されている湾曲面12の画像34を撮像させる。撮像制御部28は、撮像装置8に制御指令を出力して、湾曲面12を撮像させるタイミング、シャッター速度、及び光学系6の絞りの少なくとも一つを含む撮像条件を制御する。
【0031】
画像取得部29は、光学系6の視野範囲25に配置されている湾曲面12の画像34を撮像装置8から取得する。
【0032】
実施形態において、撮像装置8により撮像される画像34は、調整用画像34Aと、検査用画像34Bとを含む。画像取得部29が取得する画像34は、調整用画像34Aと、検査用画像34Bとを含む。
【0033】
画像処理部30は、画像取得部29により取得された湾曲面12の画像34を処理する。画像処理部30は、画像34の輝度を算出する。画像34は、複数の画素35により構成される。実施形態において、画像処理部30は、画像34を構成する複数の画素35のそれぞれの輝度を算出する。
【0034】
テーブル制御部31は、テーブル駆動装置4に制御指令を出力して、テーブル3を傾ける。テーブル制御部31は、画像処理部30により算出された調整用画像34Aの輝度に基づいて、テーブル3を傾ける。テーブル制御部31は、テーブル3を傾けて、調整用画像34Aの輝度を調整する。
【0035】
実施形態において、テーブル制御部31は、画像処理部30の算出結果に基づいて、調整用画像34Aを構成する複数の画素35のそれぞれの輝度が予め定められている輝度閾値36以上になるように、テーブル3を傾ける。また、テーブル制御部31は、画像処理部30の算出結果に基づいて、調整用画像34Aにおける画素35の輝度の最大値と最小値との差が予め定められている差分閾値37以下になるように、テーブル3を傾ける。
【0036】
表示制御部32は、画像取得部29により取得された湾曲面12の画像34を表示装置11に表示させる。
【0037】
記憶部33は、予め定められている輝度閾値36及び差分閾値37を記憶する。記憶部33は、画像取得部29により取得された湾曲面12の画像34を記憶する。
【0038】
[検査方法]
図3は、実施形態に係る検査方法を示すフローチャートである。対象物2がテーブル3の支持面13に設置される。対象物2は、湾曲面12と撮像装置8とが対向するように、テーブル3に支持される(ステップS1)。
【0039】
図1に示したように、実施形態において、検査対象である湾曲面12は、上方に突出する。すなわち、実施形態において、検査対象である湾曲面12は、撮像装置8に向かって突出する凸面である。
【0040】
図4は、実施形態に係るテーブル3に支持された対象物2を上方から見た図である。
図4に示すように、湾曲面12に複数の範囲40が設定される。1つの範囲40の外形及び寸法は、視野範囲25の外形及び寸法と実質的に等しい。
【0041】
照明制御部26は、同軸照明装置17に制御指令を出力して、テーブル3に支持されている対象物2の湾曲面12の照明を開始する。対象物2の湾曲面12は、同軸照明装置17の光源21から射出された照明光で照明される(ステップS2)。
【0042】
カウンタiが初期値である「1」に設定される(ステップS3)。
【0043】
撮像位置制御部27は、撮像装置8の光学系6の視野範囲25に湾曲面12の第i範囲40が配置されるように、撮像移動装置9に制御指令を出力する(ステップS4)。
【0044】
カウンタiが「1」である場合、撮像位置制御部27は、撮像装置8の光学系6の視野範囲25に湾曲面12の第1範囲41が配置されるように、撮像移動装置9に制御指令を出力する。
【0045】
図5は、実施形態に係る光学系6の視野範囲25に湾曲面12の第1範囲41が配置されている状態を模式的に示す図である。
図5に示すように、撮像位置制御部27は、撮像装置8をXY平面内において移動させて、光学系6の視野範囲25に湾曲面12の第1範囲41が配置されるように、XY平面内における光学系6の視野範囲25と湾曲面12との相対位置を調整する。
【0046】
撮像制御部28は、光学系6の視野範囲25に配置されている湾曲面12の調整用画像34Aを撮像装置8に撮像させる。画像取得部29は、撮像装置8から第1範囲41の調整用画像34Aを取得する(ステップS5)。
【0047】
図6は、実施形態に係る湾曲面12の第1範囲41の調整用画像34Aを模式的に示す図である。
図6に示すように、第1範囲41の調整用画像34Aにおいて、輝度が低い第1領域51と、輝度が高い第2領域52とが存在する場合がある。
【0048】
図5に示すように、光軸AXに対する第1範囲41の角度により、第1範囲41の第1部分61に入射した照明光は撮像装置8に反射されず、第1範囲41の第2部分62に入射した照明光は撮像装置8に反射される可能性がある。湾曲面12の第1部分61は、調整用画像34Aの第1領域51に対応する。湾曲面12の第2部分62は、調整用画像34Aの第2領域52に対応する。
【0049】
画像処理部30は、画像取得部29により取得された第1範囲41の調整用画像34Aの輝度を算出する。調整用画像34Aは、複数の画素35により構成される。実施形態において、画像処理部30は、調整用画像34Aを構成する複数の画素35のそれぞれの輝度を算出する(ステップS6)。
【0050】
テーブル制御部31は、画像処理部30により算出された調整用画像34Aの輝度に基づいて、テーブル3を傾ける。実施形態において、テーブル制御部31は、画像処理部30の算出結果に基づいて、調整用画像34Aを構成する複数の画素35のそれぞれの輝度が予め定められている輝度閾値36以上になるように、テーブル3を傾ける(ステップS7)。
【0051】
すなわち、テーブル制御部31は、画像処理部30の算出結果を監視しながら、調整用画像34Aの全体が明るい白色になるように、テーブル3に支持されている対象物2を傾ける。
【0052】
図7は、実施形態に係るテーブル制御部31の処理を説明するための図である。
図7に示すように、テーブル制御部31は、第1範囲41の調整用画像34Aにおいて第1領域51の輝度が高くなるように、テーブル3を傾ける。
【0053】
例えば、第1範囲41の調整用画像34Aにおいて輝度が輝度閾値36未満の第1領域51と輝度閾値36以上の第2領域52とが存在する場合、テーブル制御部31は、第1領域51に対応する湾曲面12の第1部分61が撮像装置8に接近するように、すなわち、第1部分61が+Z方向に移動するように、テーブル3を傾ける。なお、テーブル制御部31は、第2領域52に対応する湾曲面12の第2部分62が撮像装置8から離隔するように、すなわち、第2部分62が−Z方向に移動するように、テーブル3を傾けてもよい。
【0054】
図8は、実施形態に係るテーブル3が傾けられた後の湾曲面12の第1範囲41の調整用画像34Aを模式的に示す図である。
図8に示すように、テーブル3が傾けられることにより、輝度が低い第1領域51が無くなり、調整用画像34Aの全体が明るい白色になる。すなわち、第1範囲41の調整用画像34Aを構成する複数の画素35のそれぞれの輝度が輝度閾値36以上になる。
【0055】
また、テーブル制御部31は、画像処理部30の算出結果に基づいて、調整用画像34Aにおける画素35の輝度の最大値と最小値との差が予め定められている差分閾値37以下になるように、テーブル3を傾ける(ステップS8)。
【0056】
すなわち、テーブル制御部31は、画像処理部30の算出結果を監視しながら、調整用画像34Aの輝度の分布が均一になるように、テーブル3に支持されている対象物2を傾ける。
【0057】
ステップS7及びステップS8の処理により、調整用画像34Aを構成する複数の画素35のそれぞれの輝度が輝度閾値36以上になり、且つ、調整用画像34Aの輝度の分布が均一になるように、テーブル3が傾けられる。
【0058】
撮像制御部28は、ステップS7及びステップS8において調整用画像34Aの輝度が調整された後に、光学系6の視野範囲25に配置されている湾曲面12の検査用画像34Bを撮像装置8に撮像させる。撮像制御部28は、調整用画像34Aの輝度が調整された後のテーブル3の傾きを維持した状態で、検査用画像34Bを撮像装置8に撮像させる。すなわち、検査装置1は、調整用画像34Aを構成する複数の画素35のそれぞれの輝度が輝度閾値36以上になり、且つ、調整用画像34Aの輝度の分布が均一になるように、テーブル3を傾けた後、そのテーブル3の傾きを維持した状態で、検査用画像34Bの撮像に移行する。検査用画像34Bは、ステップS7及びステップS8において輝度が調整された後の調整用画像34Aと同一の画像34である。画像取得部29は、撮像装置8から第1範囲41の検査用画像34Bを取得する(ステップS9)。
【0059】
ステップS9において取得された第1範囲41の検査用画像34Bは、湾曲面12の外観検査用の画像34である。表示制御部32は、ステップS9において取得された第1範囲41の検査用画像34Bを表示装置11に表示させる(ステップS10)。
【0060】
図9は、実施形態に係る表示装置11に表示された第1範囲41の検査用画像34Bを模式的に示す図である。第1範囲41に異常が存在しない場合、第1範囲41の検査用画像34Bは、白色で表示される。第1範囲41に異常が存在する場合、第1範囲41の検査用画像34Bにおいて、異常部分38は、黒色で表示される。第1範囲41の異常として、第1範囲41に対する異物の付着又は第1範囲41の一部の損傷が例示される。異常部分38が存在する場合、異常部分38に入射した照明光は、撮像装置8に反射されない。その結果、画像34において、異常部分38は、黒色になる。作業者は、表示装置11に表示された検査用画像34Bを確認することにより、第1範囲41の異常の有無を判定することができる。
【0061】
なお、画像処理部30が、ステップS9において取得された検査用画像34Bを画像処理して、第1範囲41の異常の有無を判定してもよい。
【0062】
撮像位置制御部27は、湾曲面12の検査が終了したか否かを判定する(ステップS11)。
【0063】
ステップS11において、湾曲面12の検査が終了していないと判定された場合(ステップS11:No)、カウンタiがインクリメントされる(ステップS12)。
【0064】
ステップS12において、カウンタiがインクリメントされた後、ステップS4の処理に戻る。
【0065】
カウンタiが「2」に設定された場合、撮像位置制御部27は、撮像装置8の光学系6の視野範囲25に湾曲面12の第2範囲42が配置されるように、撮像移動装置9に制御指令を出力する(ステップS4)。
【0066】
図10は、実施形態に係る光学系6の視野範囲25に湾曲面12の第2範囲42が配置されている状態を模式的に示す図である。
図10に示すように、撮像位置制御部27は、撮像装置8をXY平面内において移動させて、光学系6の視野範囲25に湾曲面12の第2範囲42が配置されるように、XY平面内における光学系6の視野範囲25と湾曲面12との相対位置を調整することができる。
【0067】
以下、湾曲面12の第2範囲42について、上述のステップS5からステップS10の処理が実施される。すなわち、撮像制御部28は、光学系6の視野範囲25に配置されている湾曲面12の第2範囲42の調整用画像34Aを撮像装置8に撮像させる。テーブル制御部31は、画像処理部30の算出結果に基づいて、テーブル3を傾けて、第2範囲42の調整用画像34Aの輝度を調整する。撮像制御部28は、第2範囲42の調整用画像34Aの輝度が調整された後に、光学系6の視野範囲25に配置されている第2範囲42の検査用画像34Bを撮像装置8に撮像させる。表示制御部32は、第2範囲42の検査用画像34Bを表示装置11に表示させる。
【0068】
湾曲面12の第2範囲42について、ステップS4からステップS10までの処理が終了した後、撮像位置制御部27は、湾曲面12の検査が終了したか否かを判定する(ステップS11)。
【0069】
図4を参照して説明したように、湾曲面12に複数の範囲40が設定される。複数の範囲40のそれぞれについて、ステップS4からステップS10までの処理が終了することにより、湾曲面12の検査が終了したと判定される(ステップS11:Yes)。
【0070】
このように、実施形態において、撮像制御部28は、湾曲面12の第1範囲41の調整用画像34Aの輝度が調整された後に、第1範囲41の検査用画像34Bを撮像装置8に撮像させ、湾曲面12の第2範囲42の調整用画像34Aの輝度が調整された後に、第2範囲42の検査用画像34Bを撮像装置8に撮像させる。湾曲面12にN個の範囲40が設定されている場合、N個の範囲40のそれぞれについて、ステップS4からステップS10の処理が実施される。N個の範囲40のそれぞれについて、調整用画像34Aの輝度の調整と検査用画像34Bの取得とが終了するまで、対象物2は、テーブル3に支持され続ける。このように、複数の範囲40のそれぞれについて、調整用画像34Aの輝度の調整と検査用画像34Bの取得とが、ステップアンドリピート方式で実施される。
【0071】
[コンピュータシステム]
図11は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の制御装置10は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。制御装置10の機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、コンピュータプログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0072】
コンピュータプログラムは、上述の実施形態に従って、コンピュータシステム1000に、湾曲面12を有する対象物2を照明光で照明することと、撮像装置8の光学系6の視野範囲25に配置されている湾曲面12の調整用画像34Aを撮像させることと、対象物2を傾けて、調整用画像34Aの輝度を調整することと、調整用画像34Aの輝度が調整された後に、視野範囲25に配置されている湾曲面12の検査用画像34Bを撮像させることと、を実行させることができる。
【0073】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、湾曲面12の検査用画像34Bが取得される前に、湾曲面12の調整用画像34Aが取得される。テーブル3を傾けることにより、調整用画像34Aの輝度が調整される。実施形態においては、調整用画像34Aの全体が明るい白色になるように、テーブル3が傾けられる。調整用画像34Aの輝度が調整された後、湾曲面12の検査用画像34Bが取得される。これにより、湾曲面12を有する対象物2の外観検査が適正に実施される。上述のように、湾曲面12の異常部分38は、画像34において黒色になる。実施形態においては、検査用画像34Bを取得する前に、調整用画像34Aの全体が明るい白色になるように、対象物2の傾きが調整される。輝度が調整された後の調整用画像34Aは、検査用画像34Bと同一の画像34である。検査用画像34Bに異常部分38が存在する場合、白色と黒色とのコントラストにより、検査用画像34Bから異常部分38が高精度に発見される。これにより、湾曲面12の外観検査が適正に実施される。
【0074】
実施形態において、テーブル制御部31は、調整用画像34Aの輝度を監視しながら、調整用画像34Aの全体が明るい白色になるように、テーブル3を傾ける。例えば傾斜センサの検出データに基づいてテーブル3が傾けられる場合、テーブル3と対象物2との位置決めを高精度に実施する必要がある。実施形態によれば、調整用画像34Aの輝度に基づいて、調整用画像34Aの全体が明るい白色になるようにテーブル3を傾けるフィードバック制御が実施される。そのため、テーブル3と対象物2との位置決めが高精度に実施されなくても、テーブル制御部31は、調整用画像34Aの全体が明るい白色になるように、テーブル3を傾けることができる。
【0075】
テーブル制御部31は、調整用画像34Aを構成する複数の画素35のそれぞれの輝度が予め定められている輝度閾値36以上になるように、テーブル3を傾ける。これにより、テーブル制御部31は、調整用画像34Aの全体を明るい白色にすることができる。
【0076】
テーブル制御部31は、調整用画像34Aにおける画素35の輝度の最大値と最小値との差が差分閾値37以下になるように、テーブル3を傾ける。これにより、テーブル制御部31は、調整用画像34Aの輝度の分布を均一にすることができる。
【0077】
撮像制御部28は、調整用画像34Aの輝度が調整された後のテーブル3の傾きを維持した状態で、検査用画像34Bを撮像装置8に撮像させる。すなわち、調整用画像34Aの全体が明るい白色になるようにテーブル3が傾けられた後、テーブル3の傾きが維持された状態で、検査用画像34Bが撮像される。これにより、湾曲面12の外観検査は、適正に且つ効率良く実施される。
【0078】
照明装置5は、光学系6の入射面20の周囲に配置される光源21を有する同軸照明装置17を含む。同軸照明装置17の光源21は、光学系6の光軸AXと平行なZ軸方向に照明光を射出する。これにより、画像34の輝度が十分に高くなる。すなわち、画像34の全体が明るい白色になる。
【0079】
対象物2は、湾曲面12と撮像装置8とが対向するように、テーブル3に支持される。検査対象の湾曲面12は、撮像装置8に向かって突出する。調整用画像34Aにおいて輝度が輝度閾値36未満の第1領域51と輝度閾値36以上の第2領域52とが存在する場合、テーブル制御部31は、第1領域51に対応する湾曲面12の第1部分61が撮像装置8に接近するように、又は、第2領域52に対応する湾曲面12の第2部分62が撮像装置8から離隔するように、テーブル3を傾ける。これにより、テーブル制御部31は、調整用画像34Aの輝度に基づいて、調整用画像34Aの全体が明るい白色になるように、テーブル3を適正に傾けることができる。
【0080】
テーブル3と撮像装置8とは、光学系6の光軸AXと直交するXY平面内において相対移動可能である。撮像制御部28は、湾曲面12の第1範囲41の調整用画像34Aの輝度が調整された後に、第1範囲41の検査用画像34Bを撮像装置8に撮像させ、湾曲面12の第2範囲42の調整用画像34Aの輝度が調整された後に、第2範囲42の検査用画像34Bを撮像装置8に撮像させる。すなわち、湾曲面12に設定された複数の範囲40のそれぞれについて、ステップアンドリピート方式で、調整用画像34Aを用いる輝度の調整、及び検査用画像34Bを用いる湾曲面12の外観検査が効率良く実施される。また、湾曲面12が視野範囲25より大きくても、湾曲面12の全体の外観検査が円滑に実施される。
【0081】
撮像装置8により撮像された湾曲面12の検査用画像34Bは、表示装置11に表示される。これにより、作業者は、表示装置11の表示画面を確認して、湾曲面12の異常の有無を確認することができる。
【0082】
[その他の実施形態]
上述の実施形態においては、検査対象である湾曲面12は、撮像装置8に向かって突出する凸面であることとした。検査対象である湾曲面12は、撮像装置8に対して窪む凹面でもよい。
【0083】
図12は、その他の実施形態に係るテーブル制御部31の処理を説明するための図である。
図12に示すように、検査対象である湾曲面12は、撮像装置8に対して窪む凹面である。範囲40の調整用画像34Aにおいて輝度が輝度閾値36未満の第1領域51と輝度閾値36以上の第2領域52とが存在する場合、テーブル制御部31は、第1領域51に対応する湾曲面12の第1部分61が撮像装置8から離隔するように、テーブル3を傾ける。これにより、テーブル制御部31は、調整用画像34Aの全体を明るい白色にすることができる。なお、テーブル制御部31は、第2領域52に対応する湾曲面12の第2部分62が撮像装置8に接近するように、テーブル3を傾けてもよい。
【0084】
上述の実施形態においては、撮像移動装置9により撮像装置8がXY平面内において移動することによって、視野範囲25と湾曲面12との相対位置が変更されることとした。テーブル3がXY平面内において移動してもよいし、テーブル3及び撮像装置8の両方がXY平面内において移動してもよい。テーブル3と撮像装置8とは、光学系6の光軸AXと直交するX軸方向及びY軸方向のそれぞれに相対移動可能であればよい。
【0085】
上述の実施形態においては、同軸照明装置17が湾曲面12を照明することとした。傾斜照明装置16が湾曲面12を照明してもよい。