(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0012】
==第1の実施形態==
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態における携帯端末の構成例を示す図である。携帯端末10は、例えば、携帯電話やPDA(Personal Digital Asistance)等の情報処理装置である。携帯端末10は、様々なアプリケーションを実行可能に構成されており、例えば、電子メールを送受信するためのアプリケーションなど、日本語入力が行われるアプリケーションを実行することが可能である。そして、携帯端末10は、日本語入力が行われる際に、携帯端末の現在位置(基準点)付近の施設の名称等を入力語句の候補として提示することが可能な施設情報出力装置として構成されている。
図1には、携帯端末10における施設情報出力装置としての機能に関連する構成が示されている。
【0013】
図1に示すように、携帯端末10は、通信部20、位置情報取得部22、位置情報記憶部24、施設情報取得部26、施設情報記憶部28、方向情報取得部30、方向情報記憶部32、方向算出部34、施設リスト生成部36、施設リスト記憶部38、文字入力受付部40、辞書記憶部42、語句判定部44、語句規則記憶部46、語句候補出力部48、及び制御部50を含んで構成されている。
図1に示した各部は、例えば、携帯端末10において、メモリや記憶装置等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されているプログラムをプロセッサが実行したりすることにより実現することができる。
【0014】
通信部20は、例えば携帯電話のパケット通信網やインターネットなどのネットワークを介して、インターネット上のサーバなどの他の情報処理装置と通信を行うためのものであり、携帯端末10において各種データ通信が行われる際に用いられる。
【0015】
位置情報取得部22は、携帯端末10の現在位置を示す位置情報を取得して位置情報記憶部24に格納するように構成されている。例えば、位置情報取得部22は、GPS(Global Positining System)衛星からの信号を受信することにより現在位置を判定することが可能なGPS受信機を含むことができる。ここで、位置情報には、例えば、緯度・経度などの情報に加えて、位置の精度を示す情報が含まれていることとしてもよい。なお、位置情報取得部22は、所定の間隔で繰り返し位置情報を取得することができる。また、位置情報記憶部24には、携帯端末10の移動距離を判定することが可能なように位置情報が記憶されている。例えば、位置情報記憶部24には、取得された位置情報の履歴が記憶されることとしてもよい。また、位置情報記憶部24に格納されている直近の位置情報で示される位置から所定距離以上離れた位置の位置情報が取得された場合に、位置情報記憶部24に格納されている位置情報が更新されることとしてもよい。
【0016】
施設情報取得部26は、施設の位置を示す施設位置情報と、施設の属性を示す施設属性情報とを含む施設情報が記憶されている施設情報データベースを参照し、携帯端末10の現在位置から所定範囲内にある施設の施設情報を取得して施設情報記憶部28に格納する。
【0017】
なお、施設情報データベースは、例えば、インターネット上の検索サーバに接続された構成とすることができる。そして、施設情報取得部26は、検索サーバに対して現在位置の位置情報を含む検索要求を送信することにより、施設情報を取得することができる。すなわち、施設情報データベースの参照は、携帯端末10が直接的に行うものに限られず、検索サーバ経由などの間接的なものであってもよい。また、検索サーバに送信される検索要求には、位置情報の他に、携帯端末10またはユーザの識別子や、施設のジャンルを特定する情報などが含まれることとしてもよい。そして、検索サーバは、位置情報以外の情報も考慮して施設情報の検索を行うことが可能である。
【0018】
施設位置情報には、施設の位置を示す緯度・経度などの情報が含まれている。また、施設属性情報には、施設の名称や住所などの各種情報が含まれている。なお、施設情報記憶部28に格納される施設情報は、施設情報データベースに格納されている施設情報が有するデータ項目の一部であってもよい。この場合、施設情報記憶部28に格納されるデータ項目の抽出は、検索サーバで行われてもよいし、施設情報取得部26において行われてもよい。また、施設情報によって示される施設には、施設そのもの以外に、イベント等の催事が含まれることとしてもよい。つまり、催事の開催位置を示す情報が施設位置情報に設定され、催事の名称などを示す情報が施設属性情報に設定されることとしてもよい。
【0019】
方向情報取得部30は、携帯端末10が向いている方向である基準方向を示す方向情報(基準方向情報)を取得して方向情報記憶部32に格納する。この方向情報は、例えば電子コンパスなどのセンサを用いて取得することができる。このようにして取得される方向情報は、携帯端末10のユーザが向いている方向を示すものとして用いることが可能である。なお、方向情報取得部30は、所定の間隔で繰り返し方向情報を取得することができる。また、方向情報取得部30は、電子コンパス以外のセンサを用いて方向情報を取得することとしてもよい。例えば、方向情報取得部30は、携帯端末10の移動方向や傾きを検出可能なセンサの出力に基づいて、携帯端末10の方向情報を取得することとしてもよい。
【0020】
方向算出部34は、施設情報記憶部28に記憶されている施設情報によって示される各施設について、現在位置を基準点とした方向である施設方向を算出する。
図2は、施設方向を算出する具体例を示す図である。
図2には、携帯端末10の現在位置X、施設Aの位置、施設Bの位置が示されている。方向算出部34は、例えば、現在位置及び各施設の緯度・経度に基づいて、現在位置における北を0度とした各施設の角度によって、施設方向を算出することができる。
【0021】
施設リスト生成部36は、方向算出部34によって算出された各施設の施設方向を施設情報と対応づけた施設リストを生成し、施設リスト記憶部38に格納する。さらに、施設リスト生成部36は、施設リスト記憶部38に格納されている施設リストを、携帯端末10の基準方向と各施設の施設方向との差分(角度差)に基づいた優先順位でソートする。例えば、施設リスト生成部36は、角度差が所定角度未満(±n度未満)の施設の優先順位が高くなるようにソートすることができる。例えば、
図2に示される例では、基準方向は315度、施設A、施設Bの方向はそれぞれ45度、300度となっている。ここで、所定角度を±30度とすると、施設Bは、基準方向から所定角度未満に位置しているため、角度差に基づくソートでの優先順位は施設Aよりも高くなり、施設B、施設Aの順序で施設リストが生成される。なお、施設リスト生成部36は、角度差の基準である所定角度を、施設数や施設密度に応じて変更することができる。例えば、施設数が少ないもしくは施設密度が低い地域においては、所定角度を大きくすることとしてもよい。なお、施設数や施設密度の情報は、施設情報取得部26が取得する施設情報のヘッダー等に設定されていることとしてもよいし、施設情報記憶部28に格納されている施設情報に基づいて施設リスト生成部36が算出することとしてもよい。
【0022】
また、施設リスト生成部36は、角度差だけではなく、例えば、現在位置から施設までの距離や、施設の人気度など、施設に関連する他の情報をソートの基準に用いることも可能である。なお、角度差に基づくソートキーは最上位のソートキーであってもよいし、二番目以降のソートキーであってもよい。また、施設リストのソートは、施設リスト記憶部38内での格納順序を変更するものであってもよいし、優先順位を示す情報が施設情報に付与されることとしてもよい。また、施設リストを別途生成するのではなく、施設情報記憶部28に格納されている施設情報に施設方向が付与されることにより施設リストとして用いられることとしてもよい。
【0023】
文字入力受付部40は、ユーザからの文字入力を受け付けるものであり、例えば、電子メールの入力や、検索キーワードの入力の際に用いられる。
図3は、電子メールなどのアプリケーションの画面の一例を示すものである。
図3において、電子メールの本文などの日本語を入力するための領域60において、ユーザが携帯端末10の操作キーを用いて入力する文字が、文字入力受付部40によって受け付けられる。また、文字入力受付部40は、辞書記憶部42を参照することにより、受け付けた文字により構成される語句を漢字等に変換する際の候補を領域62に出力することができる。
【0024】
語句判定部44は、文字入力受付部40を介して入力された語句の次に入力される語句を予測する。具体的には、語句判定部44は、語句規則記憶部46に記憶されている語句規則に基づいて、入力された語句に関連する語句を予測する。例えば、語句規則には、連続して入力される可能性が高い語句の関連性が登録されており、語句判定部44は、このような語句規則に基づいて、語句候補のリストを出力することができる。また、語句判定部44は、ユーザが実際に連続して入力した語句に基づいて語句規則を更新することも可能である。
【0025】
さらに、語句規則には、次に入力される語句が施設に関連する語句であるかどうかを予測するための規則が含まれており、語句判定部44は、次に入力される語句が現在位置付近の施設に関連する語句である可能性を判定する。例えば、語句規則には、「これから」という語句の後には、これから向かう先の施設が入力される可能性が高いことが登録されていてもよい。このように、語句規則は、「これから」などの語句に基づいて次に入力される関連語句を予測するためのものであってもよいし、単なる語句ではなく、入力済の文章の文脈や日時など、より複雑な情報に基づいて次に入力される関連語句を予測するためのものであってもよい。
【0026】
語句候補出力部48は、語句判定部44での判定結果に基づいて、次に入力される語句の候補を出力する。この語句候補は、例えば複数の語句候補を優先順位に基づいて並べたリストとなっており、
図3に示した領域62に表示される。具体的には、語句判定部44において、次に入力される語句が現在位置付近の施設に関連する語句であると判定された場合、語句候補出力部48は、施設リスト記憶部38に記憶されている施設リストによって示される施設の名称を、施設リストに設定されている優先順位に従って領域62に出力することができる。一方、語句判定部44において、次に入力される語句が現在位置付近の施設に関連する語句ではないと判定された場合、語句候補出力部48は、語句規則記憶部46に記憶されている語句規則に基づいて予測された語句候補を領域62に出力することができる。また、語句候補出力48は、施設に関する語句候補を出力する際に、施設以外の語句候補についても出力することとしてもよい。なお、施設リスト生成部36、施設リスト記憶部38、及び語句候補出力部48によって、施設情報出力部が構成されている。
【0027】
制御部50は、携帯端末10における各種制御を行うものであり、例えば、電子メール用のアプリケーションや検索用のアプリケーション等の各種アプリケーションの起動や終了、タスク制御等を行うことが可能である。
【0028】
図4は、携帯端末10において文字入力が行われる際の処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、電子メール用のアプリケーションなど、文字入力が行われるアプリケーションが制御部50によって起動されることに伴って実行される。
【0029】
まず、制御部50は、文字入力が行われるアプリケーション(文字入力アプリ)が起動されているかどうか確認する(S401)。文字入力アプリが起動されている場合(S401:Y)、以降の処理が実行される。
【0030】
位置情報取得部22は、GPS衛星からの信号等に基づいて携帯端末10の現在位置を示す位置情報を取得して位置情報記憶部24に格納する(S402)。なお、ここでは、ある期間における位置情報の履歴が位置情報記憶部24に格納されていることとする。施設情報取得部26は、位置情報記憶部24に格納されている位置情報を参照し、携帯端末10が前回測定された位置から所定距離以上(nメートル以上)移動したかどうか確認する(S403)。
【0031】
所定距離以上移動している場合(S403:Y)、施設情報取得部26は、最新の位置情報に基づいて、現在位置から所定範囲内にある施設の施設情報を施設情報データベースを検索して抽出し、施設情報記憶部28に格納する(S404)。そして、方向算出部34は、施設情報記憶部28に格納されている施設情報を参照し、現在位置を基準点とした各施設の施設方向を算出する(S405)。また、施設リスト生成部36は、施設情報を施設方向と対応づけて施設リストを生成し、施設リスト記憶部38に格納する(S406)。
【0032】
続いて、方向情報取得部30は、例えば電子コンパスから方向を取得することにより、現在位置における携帯端末10の基準方向を示す方向情報を取得して方向情報記憶部32に格納する(S407)。そして、施設リスト生成部36は、施設リスト記憶部38に格納されている施設リストと、方向情報記憶部32に記憶されている方向情報とに基づいて、現在位置における携帯端末10の方向(基準方向)と、現在位置を基準とした各施設の方向(施設方向)との角度差に基づいて施設リストをソートして施設リスト記憶部38に格納する(S408)。例えば、施設リスト生成部36は、角度差を一番目のソートキー、現在位置からの距離を二番目のソートキーとして施設リストをソートすることができる。なお、両者の順番を変更してもよいし、別の要素をさらなるソートキーとして追加することも可能である。
【0033】
また、文字入力受付部40は、ユーザからの文字入力を受け付け、辞書記憶部42を参照して仮名漢字変換などを行う(S409)。そして、語句判定部44は、入力された語句が特定のキーワードであるかどうかなどの語句規則に基づいて、次に入力される語句が現在位置付近の施設に関する語句であるかどうかを予測する(S410)。そして、語句候補出力部48は、次に入力される語句が施設に関する語句ではないと予測された場合(S410:N)、語句判定部44が語句規則記憶部46に記憶されている語句規則に従って生成する通常の語句候補リストを語句候補の表示領域に出力する(S411)。一方、次に入力される語句が施設に関する語句であると予測された場合(S410:Y)、語句候補出力部48は、施設リスト記憶部38に記憶されている、ソートされた施設リストの施設名称を語句候補の表示領域に出力する(S412)。
【0034】
文字入力受付部40は、表示された語句候補の中から語句を決定する指示があるかどうかを判定する(S413)。語句候補の中から語句を決定する指示がない場合(S413:N)、位置情報を取得する処理(S402)に戻り、処理が繰り返される。一方、語句候補の中から語句を決定する指示がなされると(S413:Y)、文字入力受付部40は決定された語句を文字の入力領域に表示する(S414)。
【0035】
制御部50は、文字入力アプリの終了が指示されたかどうかを判定し(S415)、終了指示が行われていない間は(S415:N)、位置情報を取得する処理(S402)に戻り、処理が繰り返される。一方、文字入力アプリの終了指示が行われると(S415:Y)、制御部50は文字入力アプリの終了処理を実行する(S416)。
【0036】
このような処理により、文字入力の際の語句候補として現在位置付近の施設の名称を表示する場合、携帯端末10の方向と各施設の方向との角度差に応じてソートされた順序で施設の名称が表示されることとなる。つまり、
図5に示すように、ユーザが向いている方向にある斜線範囲内の施設の優先順位が高い状態で語句候補が表示されるため、施設名称を語句候補の中から選択する際の操作性を向上させることが可能となる。
【0037】
==第2の実施形態==
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の情報処理システムは、
図6に示す携帯端末100と、
図7に示すサーバ200とを含んで構成される。第2の実施形態においては、携帯端末100からの検索要求に基づいてサーバ200において現在位置付近の施設の検索が実行される。そして、検索された施設の情報は、携帯端末100の方向と各施設の方向との角度差を考慮した優先順位で携帯端末100に提供される。
【0038】
図6は、携帯端末100の構成例を示す図である。
図6に示すように、携帯端末100は、通信部20、位置情報取得部22、位置情報記憶部24、方向情報取得部30、方向情報記憶部32、施設情報取得部110、施設情報記憶部112、施設情報出力部114、地図情報取得部116、地図情報記憶部118、地図情報出力部120、及び制御部50を含んで構成される。
図6に示した各部は、例えば、携帯端末100において、メモリや記憶装置等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されているプログラムをプロセッサが実行したりすることにより実現することができる。なお、
図1に示した携帯端末10と同一または同等の機能を有する構成については同一の符号を付与して説明を省略する。
【0039】
施設情報取得部110は、施設情報の検索要求をサーバ200に送信し、該検索要求に応じてサーバ200から送信されてくる施設情報を施設情報記憶部112に格納する。ここで、サーバ200に送信される検索要求には、位置情報取得部22によって取得された現在位置の位置情報と、方向情報取得部30によって取得された携帯端末100の方向を示す方向情報とが含まれる。さらに、検索要求には、施設を絞りこむためのジャンルやキーワードなどを含めることも可能である。また、検索要求には、ユーザもしくは携帯端末100の識別子などの情報も含まれる。
【0040】
図8は、検索要求を生成する際の画面の一例を示している。施設情報取得部110は、例えば
図8に示すような画面において、検索対象とする施設のジャンルの指定を受け付けると、位置情報及び方向情報に加えて、ジャンルを指定するための情報を付加した検索要求を生成し、サーバ200に送信することができる。
【0041】
また、施設情報取得部110は、施設情報を複数段階に分けて取得することも可能である。例えば、施設情報取得部110は、最初の検索要求に応じて、施設の名称や位置等の簡単な情報のみを施設情報として取得し、その後、その中から選択された施設に対する検索要求をサーバ200に送信することにより、さらに詳細な施設情報を取得することとしてもよい。
【0042】
図6に戻り、施設情報出力部114は、施設情報取得部110によって取得された施設情報をディスプレイに出力する。例えば、施設情報出力部114は、
図9に示すように、施設名称の一覧を表示することができる。そして、この一覧の中からある施設が選択されると、施設情報出力部114は、
図10に示すように、選択された施設の詳細情報を表示することができる。前述したように、施設の詳細情報は、施設情報取得部110が最初に取得した施設情報に含まれていてもよいし、施設が選択された際に施設情報取得部110によってさらに取得されることとしてもよい。
【0043】
図6に戻り、地図情報取得部116は、地図サーバにアクセスすることにより、必要な地図情報を取得して地図情報記憶部118に格納することができる。例えば、地図情報取得部116は、施設情報に含まれる、施設付近の地図情報へのリンク情報を用いて地図サーバから地図情報を取得することができる。また、地図情報取得部116は、現在位置や任意の位置を基準とした地図情報を地図サーバから取得することも可能である。例えば、地図情報取得部116は、
図10に示した画面において、地図を表示するための項目が選択されると、施設情報に含まれる、施設の位置情報や、地図情報へのリンク情報などを用いて地図サーバから地図情報を取得することができる。
【0044】
図6に戻り、地図情報出力部120は、地図情報記憶部118に格納されている地図情報に基づいて、携帯端末100のディスプレイに地図を表示する。
図11には、地図が表示された画面の一例が示されている。
【0045】
図7を参照してサーバ200の構成例を説明する。サーバ200は、施設情報出力装置の一例であり、
図7に示すように、通信部210、検索要求受信部212、位置情報記憶部214、施設情報取得部216、施設情報記憶部218、方向算出部220、施設リスト生成部222、施設リスト記憶部224、及び施設情報送信部226を含んで構成される。
図7に示した各部は、例えば、サーバ200において、メモリや記憶装置等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されているプログラムをプロセッサが実行したりすることにより実現することができる。
【0046】
通信部210は、携帯端末100やその他の情報処理装置と通信を行うためのものであり、サーバ200において各種データ通信が行われる際に用いられる。
【0047】
検索要求受信部212は、携帯端末100から送信されてくる検索要求を受信する。また、検索要求受信部212は、検索要求に含まれる、ユーザまたは携帯端末100の識別子、携帯端末100の現在位置を示す位置情報、及び携帯端末100の方向を示す方向情報を対応づけて位置情報記憶部214に格納する。なお、位置情報記憶部214には、携帯端末100の移動距離を把握することができるように位置情報が格納されている。例えば、位置情報記憶部214には、位置情報の履歴を格納することができる。このように、検索要求受信部212は、検索要求に含まれる位置情報及び方向情報を取得するものであり、位置情報取得部及び方向情報取得部を構成する。また、施設要求受信部212は、施設の詳細情報を取得するための検索要求を受信することも可能である。
【0048】
施設情報取得部216は、検索要求受信部212によって受信された検索要求に基づいて施設情報データベースを検索し、該当する施設情報を取得して施設情報記憶部218に格納する。なお、施設情報データベースはサーバ200が備えることとしてもよいし、検索サーバ等の別の情報処理装置が備えることとしてもよい。
【0049】
方向算出部220は、施設情報記憶部218に記憶されている施設情報によって示される各施設について、携帯端末100の現在位置を基準点とした方向である施設方向を算出する。
【0050】
施設リスト生成部222は、方向算出部220によって算出された各施設の施設方向を施設情報と対応づけた施設リストを生成し、施設リスト記憶部224に格納する。さらに、施設リスト生成部222は、施設リスト記憶部224に格納されている施設リストを、携帯端末100の基準方向と各施設の施設方向との角度差に基づいた優先順位でソートする。なお、施設リストをソートする手法については、第1の実施形態の場合と同様である。
【0051】
施設情報送信部226は、検索要求受信部212で受信された検索要求に応じた施設情報を携帯端末100に送信する。なお、施設情報送信部226は、複数の施設の施設情報を送信する際には、施設リスト記憶部224に格納されている施設リストに基づいて、施設情報を角度差で優先順位付けしたうえで送信する。ここで、施設情報の優先順位付けは、携帯端末100に送信されるデータの順序により行われてもよいし、送信されるデータに優先順位を示す情報が付与されることにより行われてもよい。なお、施設リスト生成部222、施設リスト記憶部224、及び施設情報送信部226によって、施設情報出力部が構成されている。
【0052】
図12は、携帯端末100の最寄施設を検索する処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、携帯端末100において最寄施設を検索するためのアプリケーションが起動されることに伴って実行される。
【0053】
まず、携帯端末100の制御部50は、最寄施設を検索するためのアプリケーション(検索アプリ)が起動されているかどうか確認する(S1201)。検索アプリが起動されている場合(S1201:Y)、以降の処理が実行される。
【0054】
携帯端末100の施設情報取得部110は、検索アプリにおいて、施設情報を検索するための検索キーが入力されたかどうか判定する(S1202)。ここで、検索キーとは、施設情報を抽出する際のキーとなる情報であり、例えば、ジャンルやキーワード等である。
【0055】
検索キーが入力されると(S1202:Y)、携帯端末100では、位置情報取得部22が、携帯端末100の現在位置を示す位置情報を取得するとともに、方向情報取得部30が、携帯端末100の方向(基準方向)を示す方向情報を取得する(S1203)。そして、携帯端末100の施設情報取得部110は、検索キー、位置情報、及び方向情報を含む検索要求をサーバ200へ送信する(S1204)。
【0056】
サーバ200の検索要求受信部212は、携帯端末100から送信されてくる検索要求を受信し、検索要求に含まれる位置情報及び方向情報を位置情報記憶部214に格納する(S1205)。サーバ200の施設情報取得部216は、検索要求に含まれる検索キー及び位置情報に基づいて施設情報データベースを検索して施設情報を抽出し、施設情報記憶部218に格納する(S1206)。そして、サーバ200の方向算出部220は、施設情報記憶部218に格納されている施設情報を参照し、現在位置を基準点とした各施設の施設方向を算出する(S1207)。また、サーバ200の施設リスト生成部222は、施設情報を施設方向と対応づけて施設リストを生成し、施設リスト記憶部224に格納する(S1208)。さらに、施設リスト生成部222は、施設リスト記憶部224に格納されている施設リストと、位置情報記憶部214に記憶されている方向情報とに基づいて、携帯端末100の方向(基準方向)と、携帯端末100の現在位置を基準とした各施設の方向(施設方向)との角度差に基づいて施設リストをソートして施設リスト記憶部224に格納する(S1209)。そして、サーバ200の施設情報送信部226は、ソートされた施設情報を携帯端末100に送信する(S1210)。
【0057】
携帯端末100の施設情報取得部110は、サーバ200から送信されてくる施設情報を受信して施設情報記憶部112に格納する(S1211)。そして、携帯端末100の施設情報出力部114は、例えば
図9に示したように、施設情報のリストをディスプレイに表示する(S1212)。
【0058】
携帯端末100の施設情報取得部110は、リスト表示された施設情報によって示される複数の施設の中から1つの施設を選択するユーザ入力を待機する(S1213)。そして、施設を選択するユーザ入力が行われると(S1213:Y)、施設情報取得部110は、選択された施設の詳細情報を取得するための選択情報(検索要求)をサーバ200に送信する。
【0059】
サーバ200の検索要求受信部212は、携帯端末100から送信されてくる選択情報を受信する(S1215)。そして、サーバ200では、施設情報取得部216が、選択された施設の詳細情報を施設情報データベースから取得し、施設情報送信部226が、詳細情報を携帯端末100へ送信する(S1216)。
【0060】
携帯端末100の施設情報取得部110は、サーバ200から送信されてくる詳細情報を受信して施設情報記憶部112に格納する(S1217)。そして、携帯端末100の施設情報出力部114は、例えば
図10に示したように、施設の詳細情報をディスプレイに表示する(S1218)。
【0061】
携帯端末100の制御部50は、検索アプリの終了が指示されたかどうかを判定し(S1219)、終了指示が行われていない間は(S1219:N)、検索キーの入力を判定する処理(S1202)に戻り、処理が繰り返される。一方、検索アプリの終了指示が行われると(S1219:Y)、制御部50は本処理を終了させる。
【0062】
このような処理により、最寄施設の検索結果を表示する場合、携帯端末100の方向と各施設の方向との角度差に応じてソートされた順序で施設の名称が表示されることとなる。つまり、
図5に示すように、ユーザが向いている方向にある斜線範囲内の施設の優先順位が高い状態で検索結果が表示されるため、検索結果の中から所望の施設を選択する際の操作性を向上させることが可能となる。
【0063】
なお、
図12に示した処理において、携帯端末100の施設情報取得部216は、携帯端末100の方向が変化するたびに検索要求を新たに生成してサーバ200に送信することとしてもよい。これにより、例えば、ユーザが現在位置において携帯端末100を様々な方向に向けることにより、各方向にどのような施設があるか知ることができる。また、目的とする施設が決まっているが方向がわからない場合に、携帯端末100の方向に応じて動的に変化する施設情報によって、この施設がどの方向にあるのかを知ることも可能である。なお、施設情報取得部216は、検索要求が多量に生成されることを抑制するために、携帯端末100の方向が所定角度以上変化したときに検索要求を生成することとしてもよい。
【0064】
また、第2の実施形態では、現在位置を基準点として施設情報が検索されることとしたが、検索の基準点は現在位置以外であってもよい。例えば、基準点の位置と、基準点における基準方向とが、携帯端末100においてユーザ入力により指定されることとしてもよい。
図13には、基準点の位置及び基準方向を指定するためのユーザ入力画面の一例が示されている。
図13に示すように、例えば、携帯端末100に表示された地図上において、基準点及び基準点からの方位が入力されることにより、基準点の位置及び基準方向が指定されるようにすることができる。この場合、施設情報取得部216は、このように指定された基準点の位置を示す位置情報と、基準方向を示す方向情報とが含まれる検索要求を生成してサーバ200に送信することとすればよい。これにより、現在位置以外の基準点付近の施設についても、基準点における方向が考慮された優先順位で施設のリストを取得することが可能となる。
【0065】
なお、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0066】
例えば、本実施形態では、基準点における方向である基準方向として水平方向を用いる場合について説明したが、基準方向は水平方向に限られず、垂直方向を含んでもよい。垂直方向を用いる場合、例えば、ジャイロセンサなどを用いることにより垂直方向を示す方向情報を取得することができる。そして、例えば、基準点や施設の位置情報に高度を示す情報が含まれる場合であれば、基準点から施設までの方向である施設方向として、水平方向に加えて垂直方向を算出することが可能となる。これにより、垂直方向も考慮した優先順位で施設属性情報を出力することが可能となる。具体的には、例えば、携帯端末が上方に向けられた場合は、ユーザが現在居る階よりも上の階の施設の優先順位を高くすることができる。同様に、例えば、携帯端末が下方に向けられた場合は、地下街の施設など、ユーザが現在居る階よりも下の階の施設の優先順位を高くすることができる。
【0067】
なお、基準方向として垂直方向のみが用いられることとしてもよい。この場合、例えば、ユーザ端末の向けられた垂直方向に応じて、上方/下方の程度を示す基準方向が特定されるようにすることができる。そして、基準位置から各施設までの上方/下方の程度を示す施設方向が特定され、基準方向と施設方向との差分(高度差)に基づいた優先順位で施設属性情報が出力されるようにすることができる。具体的には、例えば、ユーザが百貨店の1階に居る場合に、携帯端末の向けられた方向に応じて、基準方向(例えば3階上)が特定され、基準方向と、各施設の施設方向(例えば1階との階層差)との差分に基づいた優先順位で施設属性情報が出力されるようにすることができる。また、基準方向として水平方向を用いるか垂直方向を用いるかを、携帯端末での操作で切り替え可能としてもよい。
【0068】
また、例えば、本実施形態では、
図3や
図9に示したように、施設の名称等の施設属性情報が優先順位に従って一列に表示される例を示したが、施設属性情報の表示態様はこれに限られず、優先順位を考慮したものであればよい。例えば、施設属性情報は、縦・横に複数列設けられたマトリックス状に表示されたり、奥行方向に三次元的に表示されたりしてもよい。
【0069】
また、例えば、本実施形態では、携帯端末の方向と各施設の方向との角度差に応じてソートされた順序で施設の名称が表示されることとしたが、表示対象の施設は、携帯端末が向けられている方向の施設のみであってもよい。例えば、
図16(a)に示すように、携帯端末との角度差が所定角度(例えば30度)以内の施設のみが表示対象とされてもよい。また、例えば、
図16(b)に示すように、携帯端末の周辺エリアを90度ごとに4等分したうえで、携帯端末が向けられている方向のエリア内の施設情報がサーバからダウンロードされ、携帯端末において表示されることとしてもよい。
【0070】
また、例えば、本実施形態では、文字入力アプリケーションがスタンドアローン方式で実行され、施設検索アプリケーションがサーバ/クライアント方式で実行されることとしたが、文字入力アプリケーションがサーバ/クライアント方式で実行され、施設検索アプリケーションがスタンドアローン方式で実行されてもよい。