特許第5647598号(P5647598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5647598
(24)【登録日】2014年11月14日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】ヘアスタイリング組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20141211BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20141211BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20141211BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20141211BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20141211BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
   A61K8/60
   A61K8/39
   A61K8/81
   A61K8/86
   A61K8/02
   A61Q5/06
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-501172(P2011-501172)
(86)(22)【出願日】2009年3月13日
(65)【公表番号】特表2011-515434(P2011-515434A)
(43)【公表日】2011年5月19日
(86)【国際出願番号】EP2009053015
(87)【国際公開番号】WO2009118253
(87)【国際公開日】20091001
【審査請求日】2012年1月13日
(31)【優先権主張番号】08153572.6
(32)【優先日】2008年3月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590003065
【氏名又は名称】ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】230105223
【弁護士】
【氏名又は名称】城山 康文
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パイ−ニー−ブラウンビル,スーザン
(72)【発明者】
【氏名】ポール,プレム・クマール・チエヤララガン
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−232820(JP,A)
【文献】 特表平08−500614(JP,A)
【文献】 特開平04−283507(JP,A)
【文献】 特開2008−308442(JP,A)
【文献】 特開平04−283508(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/062776(WO,A1)
【文献】 特開2005−206483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/
A61Q
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪をスタイリングする方法であって
i)全組成物の0.2から5重量%の糖であって、マルトトリオース及びマルトテトラオースから選択されるオリゴ糖である糖、および
ii)適切な担体、スタイリングポリマー、または界面活性剤からなる群から選択された少なくとも1種のさらなる成分
を含む非永続的スタイリング組成物を毛髪に適用するステップを含み、それにより毛髪を直毛化しボリュームを低減する、該方法。
【請求項2】
オリゴ糖がシロップの形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ヘアスタイリングポリマーをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
製剤がムースまたはスプレー剤である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
組成物が炭化水素をベースとする噴射剤を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
クリーム、ジェル、またはワックスである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
組成物がリーブイン組成物である、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
毛髪を50℃超の温度に加熱する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
毛髪を直毛化しボリュームを低減するための、マルトトリオース及びマルトテトラオースから選択されるオリゴ糖の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非永続的ヘアスタイリング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の毛髪市場には広範なスタイリング製品がある。特定のヘアスタイルを保持する一般的な方法は、ヘアスプレー、クリーム、ムース、ジェル、ローション、またはワックスを適用することである。これらの組成物中の材料は一般に、皮膜形成剤、樹脂、ゴム、および/または粘着性ポリマーである。良好な保持力は、毛髪の自然な感触と同じく、消費者がスタイリング製品に求める特性の1つである。
【0003】
スタイリング市場は、所望のスタイリング効果に基づいて様々なサブセットに分類することができ、このようなサブセットの1つは毛髪を直毛化するための製品である。
【0004】
直毛化した毛髪の問題は、ひとたび直毛化工程が行われると、毛髪のボリュームが増し、ふわふわとして見える傾向のあることであり、これは特に湿潤条件において厄介な問題である。
【0005】
糖および糖誘導体は、ヘアケア組成物に添加される数多くの化合物の種類の1つである。US2001/0022967は、活性保持ポリマーおよび糖を含むヘアスタイリング組成物を開示している。
【0006】
WO2004/037217は、サッカリドおよび皮膜形成剤を含む熱活性化耐久性スタイリング組成物を記載している。
【0007】
US5507970は、糖をベースとする界面活性剤、脂肪酸、および単糖またはオリゴ糖を含む洗剤組成物を開示している。この開示の組成物は、毛髪のスタイリングには適していない。
【0008】
WO2008/012733は、永続的に毛髪を形状化するための組成物を開示している。この組成物は、活性剤としてN−アルキル−2−メルカプトアセトアミド、ならびにマルトトリオースを含む種々の膨脹剤および浸透促進剤を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2001/0022967号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/037217号
【特許文献3】米国特許第5507970号明細書
【特許文献4】国際公開第2008/012733号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ある種の糖を用いて、毛髪を直毛化し(ボリュームを低減して)、直毛化したスタイルを維持できることをここに見出した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
i)糖単位間の結合基がα1−4結合である3から7個の糖単位を含むオリゴ糖、および
ii)適切な担体、スタイリングポリマー、または界面活性剤からなる群から選択された少なくとも1種のさらなる成分を含む非永続的ヘアスタイリング組成物を毛髪に適用するステップを含む、毛髪をスタイリングする方法に関する。
【0013】
本発明はさらに、毛髪をスタイリングするための、糖単位間の結合基がα1−4結合である3から7個の糖単位を含むオリゴ糖の使用に関する。
【0014】
さらに好ましくは、オリゴ糖は3から5個の糖単位を含み、特に好ましくは、マルトトリオースおよび/またはマルトテトラオースである。
【0015】
オリゴ糖は、シロップの形態であることができ、好ましいシロップは、マルトテトラオースシロップである(HayashibaraのG4またはG4H)。
【0016】
全組成物に存在するオリゴ糖のレベルは、0.2重量%から5重量%である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の多くの態様において、組成物がスタイリング助剤を含むことが非常に望ましい。
【0018】
本発明のスタイリング助剤として特に有用であるのは、ヘアスタイリングポリマーである。ヘアスタイリングポリマーは周知の商品であり、ポリマーを本質的にカチオン性、アニオン性、両性、または非イオン性にする部分を含有するこのような多くのポリマーが市販され入手可能である。これらのポリマーは合成または天然由来であることができる。
【0019】
ビニルポリマー、特にブロックコポリマーなどのスタイリング助剤が好ましい。
【0020】
ヘアスタイリングポリマーの量は、組成物の総重量に対して、0.1から10重量%、好ましくは0.5から8重量%、より好ましくは0.75から6重量%の範囲であることができる。
【0021】
アニオン性ヘアスタイリングポリマーの例は以下のものである。
【0022】
ビニルアセタートとクロトン酸のコポリマー;
ビニルアセタート、クロトン酸、およびビニルネオデカノアートなどのα分岐飽和脂肪族モノカルボン酸のビニルエステルのターポリマー;
【0023】
メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー(モル比約1:1)であって、このようなコポリマーは、エタノールまたはブタノールなどの1から4個の炭素原子を含有する飽和アルコールで50%エステル化されている;
【0024】
下記のような他のモノマーと共にアニオン性基含有部分としてアクリル酸またはメタクリル酸を含有するアクリル酸コポリマー:アクリル酸またはメタクリル酸と1から22個の炭素原子を有する1種以上の飽和アルコールのエステル(メチルメタクリラート、エチルアクリラート、エチルメタクリラート、n−ブチルアクリラート、t−ブチルアクリラート、t−ブチルメタクリラート、n−ブチルメタクリラート、n−ヘキシルアクリラート、n−オクチルアクリラート、ラウリルメタクリラート、およびベヘニルアクリラートなど);
【0025】
1から6個の炭素原子を有するグリコール(ヒドロキシプロピルメタクリラートおよびヒドロキシエチルアクリラートなど);
【0026】
スチレン;ビニルカプロラクタム;ビニルアセタート;アクリルアミド;アルキル基に1から8個の炭素原子を有するアルキルアクリルアミドおよびメタクリルアミド(メタクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、およびn−オクチルアクリルアミドなど);ならびに他の適合性不飽和モノマー。
【0027】
ポリマーはまた、ポリジメチルシロキサンなどのグラフト化シリコーンを含有することができる。
【0028】
適切なアニオン性ヘアスタイリングポリマーの具体的な例は以下のものである。
【0029】
National Starchから入手可能なRESYN(登録商標)28−2930(ビニルアセタート/クロトン酸/ビニルネオデカノアートコポリマー);
【0030】
BASFから入手可能なULTRAHOLD(登録商標)8(CTFA名アクリラート/アクリルアミドコポリマー);
【0031】
ISP社から入手可能なGANTREZ(登録商標)ESシリーズ(メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のエステル化コポリマー)。
【0032】
他の適切なアニオン性ヘアスタイリングポリマーには、カルボキシル化ポリウレタンが含まれる。カルボキシル化ポリウレタン樹脂は、ペンダントカルボキシル基を有する線状ヒドロキシル末端コポリマーである。これらのカルボキシル化ポリウレタン樹脂は、少なくとも1つの末端がエトキシル化および/またはプロポキシル化されていることができる。カルボキシル基は、カルボン酸基、またはエステル基のアルキル部分が1から3個の炭素原子を含有するエステル基であることができる。カルボキシル化ポリウレタン樹脂は、CTFA名PVP/ポリカルバミルポリグリコールエステルを有するポリウレタンおよびポリビニルピロリドンのコポリマーであることもできる。適切なカルボキシル化ポリウレタン樹脂は、EP−A−0619111およびUS Patent No.5,000,955に開示されている。他の適切な親水性ポリウレタンは、US Patent No.3,822,238、4,156,066、4,156,067、4,255,550、および4,743,673に開示されている。
【0033】
t−ブチルアミノエチルメタクリラートなどのモノマー由来のカチオン基、ならびにアクリル酸またはメタクリル酸などのモノマー由来のカルボキシル基を含有できる両性ヘアスタイリングポリマーも本発明に用いることができる。両性ヘアスタイリングポリマーの具体的な例の1つは、National StarchおよびChemical Corporationから販売されているAmphomer(登録商標)(オクチルアクリルアミド/アクリラート/ブチルアミノエチルメタクリラートコポリマー)である。
【0034】
非イオン性ヘアスタイリングポリマーの例は、N−ビニルピロリドンのホモポリマー、およびN−ビニルピロリドンとビニルアセタートなどの適合性非イオン性モノマーのコポリマーである。様々な重量平均分子量のN−ビニルピロリドンを含有する非イオン性ポリマーがISP Corporationから市販され入手可能であり、このような材料の具体的な例は、PVP K−90の名称で販売されている平均分子量約630,000を有するN−ビニルピロリドンのホモポリマー、およびPVP K−120の名称で販売されている平均分子量約1,000,000を有するN−ビニルピロリドンのホモポリマーである。
【0035】
他の適切な非イオン性ヘアスタイリングポリマーは、架橋シリコーン樹脂またはゴムである。具体的な例には、EP−A−0240350に記載されているものなどの硬質シリコーンポリマー、およびWO96/31188に記載されているものなどの架橋シリコーンゴムが含まれる。
【0036】
カチオン性ヘアスタイリングポリマーの例は、低級アルキルアミノアクリラートなどのアミノ官能性アクリラートモノマー、またはジメチルアミノエチルメタクリラートなどのメタクリラートモノマーと、N−ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、アルキルメタクリラート(メチルメタクリラートおよびエチルメタクリラートなど)、およびアルキルアクリラート(エチルアクリラートおよびn−ブチルアクリラートなど)などの適合性モノマーとのコポリマーである。
【0037】
適切なカチオン性ヘアスタイリングポリマーの具体的な例は以下のものである。
【0038】
ISP CorporationからCopolymer845、Copolymer937、およびCopolymer958として入手可能な、N−ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリラートのコポリマー;
【0039】
ISP CorporationからStyleze(登録商標)CC10として入手可能な、N−ビニルピロリドンとジメチルアミノプロピルアクリルアミドまたはメタクリルアミドのコポリマー;
【0040】
N−ビニルピロリジンとジメチルアミノエチルメタクリラートのコポリマー;
ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、およびジメチルアミノエチルメタクリラートのコポリマー;
【0041】
ポリクオタニウム−4(ジアリルジモニウムクロリドとヒドロキシエチルセルロースのコポリマー);
【0042】
ISPからGafquat(登録商標)734、755、および755N、ならびにBASFからLuviquat(登録商標)PQ11として入手可能なポリクオタニウム−11(硫酸ジエチルと、ビニルピロリドンおよびジメチルアミノエチルメタクリラートのコポリマーとの反応によって形成);
【0043】
BASFからLuviquat(登録商標)FC370、FC550、FC905、およびHM−552として入手可能なポリクオタニウム−16(メチルビニルイミダゾリウムクロリドおよびビニルピロリドンから形成);
【0044】
BASFからLuviquat(登録商標)Holdとして入手可能なポリクオタニウム−46(ビニルカプロラクタムおよびビニルピロリドンとメチルビニルイミダゾリウムメトスルファートとの反応によって調製)。
【0045】
適切な天然由来のヘアスタイリングポリマーの例には、シェラック、アルギン酸塩、ゼラチン、ペクチン、セルロース誘導体、およびキトサン、またはこれらの塩および誘導体が含まれる。市販され入手可能な例には、Kytamer(登録商標)(Amerchol)およびAmaze(登録商標)(National Starch)が含まれる。
【0046】
同様に本発明の組成物の任意の成分として用いるのに適しているのは、WO93/03703に記載されているイオン性コポリマー、WO93/23446に開示されているポリシロキサングラフト化ポリマー、WO95/00106またはWO95/32703に記載されているシリコーン含有ポリカルボン酸コポリマー、WO95/01383、WO95/06078、WO95/06079、およびWO95/01384に記載されている熱可塑性エラストマーコポリマー、WO95/04518またはWO95/05800に開示されているシリコーングラフト化粘着性ポリマー、WO96/21417に教示されているシリコーンマクログラフト化コポリマー、WO96/32918のシリコーンマクロマー、WO98/48770またはWO98/48771またはWO98/48772またはWO98/48776の粘着性ポリマー、WO98/51261のグラフトポリマー、ならびにWO98/51755に記載されているグラフト化コポリマーである。
【0047】
上記の幾つかのポリマーでは、溶解性/分散性を促進するために、一部の酸性基を中和する必要のある可能性がある。適切な中和剤の例には、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD)、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(AEPD)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−1−ブタノール(AB);モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、モノイソプロパノールアミン(MIPA)、ジイソプロパノール−アミン(DIPA)、トリイソプロパノールアミン(TIPA)、およびジメチルステアラミン(DMS)が含まれる。US4,874,604に記載されているように、ステアラミドプロピルジメチルアミンまたはラウラミドプロピルジメチルアミンなどの長鎖アミン中和剤を用いることができる。同様に適しているのは無機中和剤であり、この例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびホウ砂が含まれる。上記の任意の中和剤の混合物を用いることができる。中和剤の量は、全組成物の約0.001から約10重量%の範囲となる。
【0048】
本発明の組成物は、ヘアスタイリング用のヘアケア組成物に製剤化される。これらの組成物は、好ましくは非永続的にヒトの毛髪をスタイリングするために用いられ、より好ましくは、このように包装され、ラベルを付けられる。非永続的にという用語は、スタイリング工程中に内部シスチン−ジスルフィド結合が破壊されないことを意味する。これは、このヘアケア組成物に還元剤が存在しないことを意味する。
【0049】
これらの製品は適用後、毛髪に残留させたままで、すぐに洗い落とさない(適用後1時間以内)ことが好ましい。このような製品はリーブイン組成物として知られている。
【0050】
好ましい製品形態は、ムース、スプレー剤、およびエアロゾルなどのリーブオン製剤である。
【0051】
別のスタイリング形態には、ジェル、ワックス、およびクリームが含まれる。
【0052】
このようなスタイリング製品はしばしば、担体およびさらなる追加成分を含む。このような製品の製剤化に必要とされる担体および追加成分は製品の種類によって異なり、当業者によって慣例的に選択されることができる。以下はこれらの幾つかの担体および追加成分の説明である。
【0053】
本発明のヘアケア組成物は、毛髪への適用に適している担体、またはこのような担体の混合物を含むことができる。これらの担体は、組成物の約0.5%から約99.5%、好ましくは5.0%から約99.5%、より好ましくは約10.0%から約98.0%存在する。本明細書において使用される、「毛髪への適用に適している」という句は、この担体が毛髪の美観を損なわず、または美観に悪影響を与えず、この下の皮膚を刺激しないことを意味する。
【0054】
本発明による組成物は、緩衝剤またはpH調整剤を含む。好ましい緩衝剤またはpH調整剤には、グリシン/水酸化ナトリウム、クエン酸、乳酸、コハク酸、酢酸、およびこれらの塩などの弱酸および塩基が含まれる。しばしばクエン酸ナトリウムおよびクエン酸などの緩衝剤系の混合物が用いられる。
【0055】
本発明のヘアケア組成物と共に用いるのに適した担体には、例えばヘアスプレー、ムース、トニック、ウォーター、クリーム、ジェル、シャンプー、コンディショナー、およびリンスの製剤化に用いられるものが含まれる。適切な担体の選択は製剤化される特定の製品によって決まることになる。本発明で用いられる担体には、ヘアケア組成物に従来用いられる広範な成分を含むことができる。これらの担体は、用いられるスタイリング化合物を溶解または分散するための溶媒を含有することができ、水、C−Cアルコール、低級アルキルアセタート、およびこれらの混合物が好ましい。担体はまた、アセトン、炭化水素(イソブタン、ヘキサン、デセンなど)、ハロゲン化炭化水素(Freonなど)、およびシクロメチコンなどの揮発性シリコーンなどの多様な追加材料も含有できる。
【0056】
ヘアケア組成物がヘアスプレー、トニック、ジェル、またはムースであるとき、好ましい溶媒には、水、エタノール、揮発性シリコーン誘導体、およびこれらの混合物が含まれる。このような混合物に用いられる溶媒は、互いに混和性または非混和性であってもよい。ムースおよびエアロゾルヘアスプレーは、材料を泡(ムースの場合)または微細な均一のスプレー剤(エアロゾルヘアスプレーの場合)として送達するために、任意の従来の噴射剤を用いることもできる。適切な噴射剤の例には、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、プロパン、n−ブタン、またはイソブタンなどの材料が含まれる。低粘度を有するトニックまたはヘアスプレー製品は、乳化剤を用いることもできる。適切な乳化剤の例には、非イオン性、カチオン性、アニオン性界面活性剤、またはこれらの混合物が含まれる。このような乳化剤が用いられる場合、好ましくは組成物の総重量に対して約0.01重量%から約7.5重量%のレベルで存在する。噴射剤のレベルは所望どおりに調節できるが、一般にムース組成物の場合、総重量に対して約3重量%から約30重量%、エアロゾルヘアスプレー組成物の場合、総重量に対して約15重量%から約50重量%である。
【0057】
ヘアスタイリングワックス、クリーム、またはジェルはまた、典型的に0.01重量%から10重量%の量で、典型的に構造化剤(structurant)または増粘剤を含有する。
【0058】
適切なスプレー容器は当分野で周知であり、従来の非エアロゾルポンプ式スプレー、即ち「アトマイザ」、上記の噴射剤を有するエアロゾル容器または缶、および噴射剤として圧縮空気を用いるポンプ式エアロゾル容器が含まれる。
【0059】
この製剤は、界面活性剤、毛髪に適したカチオン性コンディショナー、第四級シリコーンポリマー、シリコーンをベースとするコンディショナーおよびこれらのエマルション、ならびにアミノ官能性シリコーンおよびこれらのエマルションなどのコンディショニング材料を含むことができる。
【0060】
すべての製品形態に適したさらなる一般的な成分には、サンスクリーン剤、ふけ防止活性剤、ヘアシャンプーおよびコンディショナー組成物用のカルボン酸ポリマー増粘剤、本発明の組成物の種々の担体成分を乳化するための乳化剤が含まれる。
【0061】
本発明の組成物はまた、ヘアケアに適した添加剤を含有することができる。一般にこのような成分は、個々に全組成物の2重量%まで、好ましくは1重量%までのレベルで含まれる。適切なヘアケア添加剤には、アミノ酸、糖、およびセラミドが含まれる。
【0062】
本発明の方法は、本発明の組成物を適用するステップ、好ましくはその後50℃超、より好ましくは100℃超、より好ましくは180℃超の温度に加熱するステップを含む。
【0063】
以下の非限定的な実施例は、本発明の好ましい実施形態をさらに例示する。実施例および本明細書を通じて言及されるすべてのパーセントは、別段の指示のない限り、総重量に対する重量によるものである。
【実施例】
【0064】
用いたヘアピース(hair switch)は、欧州人のウェーブのかかった暗褐色の毛髪であった(ウェーブ値6)。
【0065】
実験1:
実験1:長さ26cmおよび重量2gmの欧州人のウェーブのかかった暗褐色ヘアピースを2%糖水溶液に浸漬し、湿潤時に櫛を用いて直毛にスタイリングした。これらを20℃および相対湿度50%で放置して乾燥した。乾燥した時点で、ヘアピースを10回櫛ですき、写真を撮った。ヘアピースのボリュームおよびフェレ長は、糖の直毛化効果を示す。すべての数字は2から6回の実験の平均である。
【0066】
【表1】
この表から、本発明の実施例は、比較例と比較して直毛化およびボリューム低減の効果をもたらすことがわかる。
ハローデックス(Hallodex)は、マルトシルトレハロース(糖基間の結合がすべてα1−4結合とは限らない。)であることに留意されたい。
【0067】
実験2
コーミングクリーム製剤の詳細を以下に示す。
【0068】
【表2】
長さ26cmおよび重量2gmの欧州人のウェーブのかかった暗褐色ヘアピースを、コーミングクリーム0.1gで処理した。ヘアピースを20℃および相対湿度50%で放置して乾燥した。乾燥した時点で、ヘアピースを10回櫛ですき、写真を撮り、ボリュームおよびフェレを測定した。すべての数字は2から6回の実験の平均である。
【0069】
【表3】
【0070】
実験3
この実験では、ヘアピースをホットアイロンで直毛化した。直毛化および抗湿効果が認められた。下記の表は、2%マルトトリオース水溶液0.5gmをヘアピースにポンプ式スプレーし、5回アイロンを施し、相対湿度80%および30℃で3時間後の最終ボリュームを示す。
【0071】
【表4】
マルトトリオースは、相当な抗湿効果を示す。
【0072】
実験4
マルトトリオースをムース製剤で送達した。
このムース製剤を以下に示す。
【0073】
【表5】
【0074】
示したボリュームは、欧州人のウェーブのかかった毛髪(上記)に製品0.5gmを適用した場合である。ヘアピースはホットアイロンを用いて直毛化した。
【0075】
下記の表は、相対湿度80%および30℃で1.5時間後のマルトトリオースを適用したヘアピースの最終ボリュームを示す。
【0076】
【表6】