特許第5647621号(P5647621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5647621
(24)【登録日】2014年11月14日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】電気化学バイオセンサのための膜層
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1486 20060101AFI20141211BHJP
   G01N 27/327 20060101ALN20141211BHJP
【FI】
   A61B5/14 340
   !G01N27/30 353B
   !G01N27/30 353J
【請求項の数】16
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2011-543567(P2011-543567)
(86)(22)【出願日】2009年12月14日
(65)【公表番号】特表2012-513821(P2012-513821A)
(43)【公表日】2012年6月21日
(86)【国際出願番号】US2009067874
(87)【国際公開番号】WO2010075029
(87)【国際公開日】20100701
【審査請求日】2012年12月4日
(31)【優先権主張番号】61/140,825
(32)【優先日】2008年12月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/636,117
(32)【優先日】2009年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100062409
【弁理士】
【氏名又は名称】安村 高明
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ペティス, ジェイムズ アール.
(72)【発明者】
【氏名】オビアト, ヘンリー ダブリュー.
【審査官】 門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−048177(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/100717(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0202562(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/100588(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/1486
A61B 5/00
G01N 27/327
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内電気化学バイオセンサであって、該バイオセンサは、
電極表面と、
該電極表面の少なくとも一部分を覆うフラックス制限層と
を備え該フラックス制限層の少なくとも一部分は、親水性ポリマー膜でわれるように構成され
該バイオセンサの生体内使用中に、外部EMFまたは外部RF源による該電気化学バイオセンサの出力信号の途絶低減される、バイオセンサ
【請求項2】
前記外部EMFまたは外部RF源は、電気手術ユニット(ESU)によって生成され、該電気手術ユニットは、約350KHzから約4MHzの間の周波数で動作する単極性または双極性である、請求項1に記載のバイオセンサ
【請求項3】
前記親水性ポリマー膜は、その生体内使用中に、前記電気化学バイオセンサの前記フラックス制限層の周囲で、荷電種を備える境界層の再形成を加速させる、請求項1に記載のバイオセンサ
【請求項4】
前記親水性ポリマー膜は、前記フラックス制限層に共有結合またはイオン結合される、請求項1に記載のバイオセンサ
【請求項5】
前記親水性ポリマー膜は、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、高分子電解質、およびそれらの共重合体から成る群より選択される材料を含む、請求項1、3、4のうちのいずれか1項に記載のバイオセンサ
【請求項6】
前記親水性ポリマー膜は、本質的に不水溶性である、請求項1、3、4のうちのいずれか1項に記載のバイオセンサ
【請求項7】
前記フラックス制限層は、ビニルポリマー、ポリシリコーン、ポリウレタン、およびそれらの共重合体または混合物から成る群より選択される、請求項1に記載のバイオセンサ
【請求項8】
前記フラックス制限層は、ポリエチレン酢酸ビニルである、請求項1に記載のバイオセンサ
【請求項9】
記電極表面を少なくとも部分的に覆う親水性層と、
該電極表面を少なくとも部分的に覆う干渉層と、
干渉層を少なくとも部分的に覆う酵素層と
のうちの少なくとも1つをさらに備える、
請求項1に記載のバイオセンサ
【請求項10】
前記干渉層は、セルロース誘導体を含み、そして、酵素層をさらに含み、該酵素層は、酵素と、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、高分子電解質、およびそれらの共重合体から成る群より選択される材料とを含む、請求項9に記載のバイオセンサ
【請求項11】
電気化学被分析物センサであって、
血液中の被分析物レベルを感知し、被分析物濃度に対応する信号を出力することが可能な生体内バイオセンサであって、
電極表面と、
該電極表面の少なくとも一部分を覆う酵素層と、
該酵素層の少なくとも一部分および該電極表面の少なくとも一部分を覆うフラックス制限層と、
該フラックス制限層の少なくとも一部分を覆う親水性ポリマー膜と
を備える、生体内バイオセンサを備え、
生体内使用中に、外部EMFまたは外部RF源の存在下で操作される場合に、該被分析物センサの出力信号の途絶が低減、防止、または排除される、
電気化学被分析物センサ。
【請求項12】
前記親水性ポリマー膜は、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、高分子電解質、およびそれらの共重合体から成る群より選択される材料を含む、請求項11に記載の電気化学被分析物センサ。
【請求項13】
前記親水性ポリマー膜は、前記フラックス制限層に共有結合またはイオン結合される、請求項11〜12のうちのいずれか1項に記載の電気化学被分析物センサ。
【請求項14】
前記フラックス制限層は、ビニルポリマー、ポリシリコーン、ポリウレタン、およびそれらの共重合体または混合物から成る群より選択される、請求項11に記載の電気化学被分析物センサ。
【請求項15】
前記フラックス制限層は、ポリエチレン酢酸ビニルである、請求項11に記載の電気化学被分析物センサ。
【請求項16】
前記電極表面を少なくとも部分的に覆う親水性層と、
前記電極表面を少なくとも部分的に覆う干渉層と、
干渉層を少なくとも部分的に覆う酵素層と
のうちの少なくとも1つをさらに備える、
請求項11に記載の電気化学被分析物センサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、電気化学被分析物センサの出力信号の電磁場(EMF)および/または無線周波数電磁場(RF)源途絶を防止または排除することに関する。より具体的には、本開示は、電気化学センサのフラックス制限層の少なくとも一部分を覆う親水性ポリマー膜に関する。
【背景技術】
【0002】
実用的な迅速かつ正確な電流測定センサの開発を妨げる多くの問題の中には、センサの出力信号を減衰させる外部電磁力を回避するためのセンサ技術の現在の必要性がある。電流測定センサにおける外部電磁力の影響を低減する試行は、多数の方法で、例えば、別個かつ明確に異なる電気構成要素および遮蔽を使用することによって、対処されてきたが、成功は限定されている。電気手術デバイスを伴う手技中等の、ある場合においては、センサの出力信号の途絶が本質的にないことが理想的となる。残念ながら、市販されている現在の電流測定センサは、EMFまたはRF途絶を生じるか、または引き起こす、電気手術デバイスの同時使用を伴う、特定の医療手技中に必要とされる、性能の必要な保護を達成することが可能ではない場合がある。したがって、EMFまたはRF途絶を生じる、または引き起こす、電気手術デバイスの同時使用中に、患者に存在する被分析物の濃度を判定することができる、電流測定感知を提供するという、満たされていない必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一般に、EMFまたはRF途絶を生じる、または引き起こす、電気手術デバイスと同時に操作される時に、EMFまたはRF途絶を低減または排除する、電気化学被分析物センサおよびセンサアセンブリが開示される。そのようなセンサは、外科的手技中の監視等の、より要求の厳しい感知用途で特に有用である。
【0004】
ポリマー非伝導性外側被覆を有する、被分析物センサ等の電流測定デバイスは、状況および環境によっては、センサがバイアスされると、フラックス制限層の周囲に静電境界層を生じることが、概して知られている。バイアスセンサの動作と同時に生成される外部EMFまたはRF源は、静電境界の途絶を引き起こし、センサの性能に影響を及ぼす場合がある。したがって、センサの外側被覆に隣接して位置付けられる親水性ポリマー膜は、境界層途絶を低減または排除することが考えられる。
【0005】
一局面では、被検体でのバイオセンサの生体内使用中に、外部EMFまたは外部RF源による電気化学バイオセンサの出力信号の途絶を低減する方法が提供される。方法は、生体内電気化学バイオセンサを提供することであって、バイオセンサは、電極表面と、電極表面の少なくとも一部分を覆うフラックス制限層とを備える、ことと、親水性ポリマー膜でフラックス制限層の少なくとも一部分を覆うこととを含む。
【0006】
別の局面では、電気化学被分析物センサが提供される。センサは、血液中の被分析物レベルを感知し、被分析物濃度に対応する信号を出力することが可能な生体内バイオセンサを備える。生体内バイオセンサは、電極表面と、電極表面の少なくとも一部分を覆う酵素層と、酵素層の少なくとも一部分および電極表面の少なくとも一部分を覆うフラックス制限層と、フラックス制限層の少なくとも一部分を覆う親水性ポリマー膜とを備える。被分析物センサの出力信号の途絶は、生体内使用中に、外部EMFまたは外部RF源の存在下で操作される時に、防止または排除される。
【0007】
一局面では、外部EMFまたは外部RF源は、電気手術ユニット(ESU)によって生成される。
【0008】
一局面では、電気手術ユニットは、約350KHzから約4MHzの間の周波数で動作する。
【0009】
一局面では、親水性ポリマー膜は、被検体でのその生体内使用中に、電気化学バイオセンサのフラックス制限層の周囲で、荷電種を備える境界層の再形成を加速させる。
【0010】
一局面では、親水性ポリマー膜は、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、高分子電解質、およびそれらの共重合体から成る群より選択される、材料を含む。
【0011】
一局面では、親水性ポリマー膜は、フラックス制限層に共有結合またはイオン結合される。
【0012】
一局面では、電気化学センサはさらに、電極表面層を少なくとも部分的に覆う干渉層を備える。
【0013】
一局面では、電気化学センサはさらに、電極表面を少なくとも部分的に覆う親水性層を備える。
【0014】
一局面では、電気化学センサの干渉層は、セルロース誘導体を含む。
【0015】
一局面では、電気化学センサの干渉層は、酢酸酪酸セルロースを含む。
【0016】
一局面では、電気化学センサはさらに、干渉層を少なくとも部分的に覆う酵素層を備える。
【0017】
一局面では、電気化学センサ酵素層は、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、高分子電解質、およびそれらの共重合体から成る群より選択される、材料を含む、
一局面では、電気化学センサ酵素層は、酵素と、ポリ−N−ビニルピロリドンとを含む。
【0018】
一局面では、電気化学センサ酵素層は、ブドウ糖酸化酵素と、ポリ−N−ビニルピロリドンと、ブドウ糖酸化酵素を固定化するのに十分な量の架橋結合剤とを含む。
【0019】
一局面では、センサのフラックス制限層は、ポリシリコーン、ポリウレタン、およびそれらの共重合体または混合物から成る群より選択される、ポリマーを含む。
【0020】
一局面では、センサのフラックス制限層は、ビニルポリマーを含む。
【0021】
一局面では、センサのフラックス制限層は、酢酸モノマー単位を含む。
【0022】
一局面では、センサのフラックス制限層は、ポリエチレン酢酸ビニルである。
本発明は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
生体内電気化学バイオセンサを提供することであって、該バイオセンサは、
電極表面と、
該電極表面の少なくとも一部分を覆うフラックス制限層と
を備える、ことと、
親水性ポリマー膜で該フラックス制限層の少なくとも一部分を覆うことと、
該バイオセンサの生体内使用中に、外部EMFまたは外部RF源による該電気化学バイオセンサの出力信号の途絶を低減することと
を含む、方法。
(項目2)
上記外部EMFまたは外部RF源は、電気手術ユニット(ESU)によって生成され、該電気手術ユニットは、約350KHzから約4MHzの間の周波数で動作する単極性または双極性である、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記親水性ポリマー膜は、その生体内使用中に、上記電気化学バイオセンサの上記フラックス制限層の周囲で、荷電種を備える境界層の再形成を加速させる、項目1に記載の方法。
(項目4)
上記親水性ポリマー膜は、上記フラックス制限層に共有結合またはイオン結合される、項目1に記載の方法。
(項目5)
上記親水性ポリマー膜は、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、高分子電解質、およびそれらの共重合体から成る群より選択される材料を含む、項目1、3、4のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
上記親水性ポリマー膜は、本質的に不水溶性である、項目1、3、4のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
上記フラックス制限膜は、ビニルポリマー、ポリシリコーン、ポリウレタン、およびそれらの共重合体または混合物から成る群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目8)
上記フラックス制限膜は、ポリエチレン酢酸ビニルである、項目1に記載の方法。
(項目9)
上記電気化学センサはさらに、
上記電極表面を少なくとも部分的に覆う親水性層、または、
該電極表面層を少なくとも部分的に覆う干渉層、または、
干渉層を少なくとも部分的に覆う酵素層
のうちの少なくとも1つを備える、
項目1に記載の方法。
(項目10)
上記干渉層は、セルロース誘導体、好ましくは、酢酸酪酸セルロースを含み、上記酵素層は、酵素と、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、高分子電解質、およびそれらの共重合体から成る群より選択される、材料とを含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
電気化学被分析物センサであって、
血液中の被分析物レベルを感知し、被分析物濃度に対応する信号を出力することが可能な生体内バイオセンサであって、
電極表面と、
該電極表面の少なくとも一部分を覆う酵素層と、
該酵素層の少なくとも一部分および該電極表面の少なくとも一部分を覆うフラックス制限層と、
該フラックス制限層の少なくとも一部分を覆う親水性ポリマー膜と
を備える、生体内バイオセンサを備え、
生体内使用中に、外部EMFまたは外部RF源の存在下で操作される場合に、該被分析物センサの該出力信号の途絶が低減、防止、または排除される、
電気化学被分析物センサ。
(項目12)
上記親水性ポリマー膜は、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、高分子電解質、およびそれらの共重合体から成る群より選択される材料を含む、項目11に記載の電気化学被分析物センサ。
(項目13)
上記親水性ポリマー膜は、上記フラックス制限層に共有結合またはイオン結合される、項目11〜12のうちのいずれか1項に記載の電気化学被分析物センサ。
(項目14)
上記フラックス制限膜は、ビニルポリマー、ポリシリコーン、ポリウレタン、およびそれらの共重合体または混合物から成る群より選択される、項目11に記載の電気化学被分析物センサ。
(項目15)
上記フラックス制限膜は、ポリエチレン酢酸ビニルである、項目11に記載の電気化学被分析物センサ。
(項目16)
上記電極表面を少なくとも部分的に覆う親水性層、または、
上記電極表面層を少なくとも部分的に覆う干渉層であって、好ましくは、セルロース誘導体あるいは酢酸酪酸セルロースである干渉層、または、
該干渉層を少なくとも部分的に覆う酵素層
のうちの少なくとも1つをさらに備える、
項目11に記載の電気化学被分析物センサ。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施形態による、作業電極を有するフレックス回路に結合される電流測定センサを示す。
図2図2は、本発明の実施形態による、親水性ポリマー膜の塗布前の示されたセンサの作業電極部分の垂直断面図である。
図3図3は、本発明の実施形態による、親水性ポリマー膜の塗布後に示された、図2のようなセンサの作業電極部分の垂直断面図である。
図4図4は、本発明の実施形態による、センサアセンブリを伴う多重管腔カテーテルの側面図である。
図5図5は、本発明の実施形態による、図4の多重管腔カテーテルの遠位端の詳細である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
典型的には、電気化学センサは、層を伴って構成され、各層は、標的被分析物の検出と関連付けられる少なくとも1つの機能を有する。例えば、電気化学被分析物センサは、センサの電気活性表面への1つ以上の種のフラックスを制御するための最外層を含み得る。生体内センサの最外層は、典型的には、疎水性であり、本質的にフラックス制限層であるか、またはフラックス制限層として機能する。フラックス制限層を備えるバイアス電気化学被分析物センサの通常の生体内使用中に、静電境界層がフラックス制限層の周囲に形成される。境界層は、少なくとも部分的に、荷電種から成る。いずれの特定の理論にも固執しないが、概して、外部EMFまたはRF源へのバイアス電気化学被分析物センサのフラックス制限層の曝露は、この境界層の途絶を引き起こし、結果として、センサの出力信号を途絶させると考えられる。例えば、EMFまたはRF源への曝露中に、出力信号は、急上昇し、および/またはEMFまたはRF源への曝露前よりも高い出力レベルで停滞状態に達する場合がある。また、センサの出力信号は、そのEMF曝露前またはRF曝露前レベルに戻らない場合があり、潜在的に、センサを動作不能、未較正、および/または低信頼にする。したがって、状況によっては、概して、親水性ポリマー膜が、センサの外側被覆に隣接して採用されるべきであると考えられる。代替として、状況によっては、概して、親水性ポリマー膜が、センサの外側被覆に結合されるべきであると考えられる。出願者らは、本明細書で開示される実施形態が、EMFまたはRF源への曝露と同時に操作される時に、センサ出力信号のEMFまたはRF途絶を実質的に排除または低減することを意外にも判断し、考えている。本明細書では、電気化学被分析物センサと、例えば、電気手術ユニット(ESU)によって生じる、EMFまたはRF源への曝露中の電気化学被分析物センサの出力信号の途絶を低減または排除する方法とが開示され、説明される。
【0025】
以下の説明および実施例は、開示された発明のいくつかの例示的実施形態を詳細に例証する。当業者であれば、その範囲によって包含され得る、本発明の多数の変化例および修正があり得ることを認識するであろう。したがって、ある例示的実施形態の説明は、本発明の範囲を限定することを目的としない。
【0026】
(定義)
本明細書で開示される実施形態の種々の局面の理解を促進するために、以下が定義される。
【0027】
本明細書で使用される「被分析物」という用語は、分析され得る、生体液(例えば、血液)中の関心の物質または化学成分を無制限に指す。被分析物は、生体液中に自然に存在し得、被分析物は、体内に導入され得、または、被分析物は、関心の物質の代謝産物、あるいは関心の物質の酵素的に産生された化学反応体または化学産物であり得る。好ましくは、被分析物は、少なくとも1つの酵素と反応し、電流測定的に、またはボルタンメトリー的に検出可能である電気化学的反応生成物を定量的に生じさせることが可能である、化学物質を含む。
【0028】
本明細書で使用される「被分析物測定デバイス」、「センサ」、および「センサアセンブリ」という語句および用語は、少なくとも1つの被分析物の検出を可能にする被分析物測定デバイスの分野を無制限に指す。例えば、センサは、非伝導性部分と、少なくとも1つの作業電極と、参照電極と、対電極(随意的)とを備え得、非伝導性部分上の少なくとも1つの場所に電気化学的反応表面を、非伝導性部分上の別の場所に電気接続を形成し、電気化学反応表面を覆って1つ以上の層を形成する。
【0029】
本明細書で使用される「双極」という用語は、手術器具内に含まれる2つの電極表面を有する電気手術ユニットを無制限に指す。例えば、双極電気手術ユニットは、電流が概して手術器具の2つの電極表面間の空間に制限され、分散または接地パッドが採用されない、手術器具を備える。
【0030】
本明細書で使用される「ブレークイン」という用語は、センサ展開後に、センサからの電気出力が、溶液とのセンサの接触後に実質的に一定の値を達成する継続時間を無制限に指す。ブレークインは、異なる電圧設定を適用することによってセンサ電子機器を構成することを含み、より高い電圧設定から始め、次いで、電圧設定を低減すること、および/または一定の電圧密度における負電流で動作電極を前処理することによって、センサ電子機器を構成することを含む。ブレークインは、膜、層、酵素、および電子機器等のセンサ構成要素のうちの1つ以上の化学/電気平衡を含み、センサ出力の較正前に発生し得る。例えば、センサへの電位入力後に、即時ブレークインは、センサからの実質的に一定の電流出力となる。一例として、溶液との接触後のグルコース電気化学センサの即時ブレークインは、展開後約30分以内の+/−5mg/dLの較正されたグルコース濃度を表す電流出力となる。「ブレークイン」という用語は、文章で十分に裏付けられ、電気化学グルコースセンサの当業者によって理解されるが、(例えば、SMBG計からの)参照グルコースデータが、測定グルコースセンサデータの+/−5mg/dL以内である時として、グルコースセンサについて例示され得る。
【0031】
本明細書で使用される「〜が可能な」という語句は、列挙された構造と関連付けられる機能の列挙を指す時に、列挙された構造が列挙された機能を実際に果たすことができる、全ての条件を含む。例えば、「〜が可能な」という語句は、通常の動作条件、実験または実験室条件、ならびに通常の動作中に発生しない場合がある、または発生しないことがあり得る条件下での、機能の遂行を含む。
【0032】
本明細書で使用される「酢酸酪酸セルロース」という用語は、セルロースを無水酢酸および無水酪酸と接触させることによって得られる化合物を無制限に指す。
【0033】
本明細書で使用される「〜を備える」という用語およびその文法的同等物は、「〜を含む」、「〜を含む」、「〜によって特徴付けられる」と同義であり、包含的または非制約的であり、付加的な列挙されていない要素または方法のステップを除外しない。
【0034】
本明細書で使用される「連続的被分析物感知」および「継続的被分析物感知」(および文法的同等物「連続的に」および「継続的に」)は、連続的、継続的、および/または断続的(しかし定期的)に行われる、被分析物濃度監視の期間を無制限に指す。
【0035】
本明細書で使用される「連続的グルコース感知」は、連続的、継続的、および/または断続的(しかし定期的)に行われる、グルコース濃度監視の期間を無制限に指す。期間は、例えば、わずか1秒から、例えば、最大で1、2、または5分、あるいはそれ以上に及ぶ、時間間隔を置いてもよい。
【0036】
本明細書で使用される「覆う」またはその文法的同等物は、その通常の辞書の定義を無制限に指す。覆うという用語は、1つ以上の介在層を含む。例えば、電極の少なくとも一部部分を覆うフラックス制限層は、フラックス制限層と電極との間の1つ以上の介在層を含む。
【0037】
本明細書で使用される「架橋」および「架橋結合」は、共有結合またはイオン結合を作成することによる接合(例えば、ポリマーおよび/またはタンパク質の隣接鎖)を無制限に指す。架橋結合は、既知の技法、例えば、熱反応、化学反応、またはイオン化放射(例えば、電子ビーム放射、紫外線放射、X線、またはガンマ放射線)によって達成され得る。例えば、親水性ポリマー・酵素組成物とのグルタルアルデヒド等のジアルデヒドの反応は、酵素および/または親水性ポリマーの化学架橋結合をもたらす。
【0038】
本明細書で使用される「出力電流の途絶」という用語は、概して、電気化学センサ信号出力をもたらす任意の外部場を指す。外部場効果は、例えば、信号の急上昇および/または信号の停滞状態を含む。出力電流の途絶は、交流電流によって生じる1つ以上の電磁場によって引き起こされる場合がある。一例は、典型的には、強度が約0.2mGから数百mGに及ぶ、ACベースの電磁場(EMF)を生成することができる、電気手術ユニット(ESU)を含む。別の例は、例えば、典型的には、周囲放射性干渉の結合が起源である伝導性干渉、または、可聴または低無線周波数における、放射無線周波数(RF)源による、容量的に、誘導的に、あるいは直流的に誘発された干渉を含む。そのようなRF源は、電磁場強度が約1から3V/mを越える時に、センサの出力信号の途絶を引き起こす場合があるが、より小さい電磁場強度も途絶を引き起す場合がある。ESUは、生体内センサの出力信号を途絶することが可能なRF源を生成し得る。
【0039】
本明細書で使用される「電気活性表面」という語句は、電気化学反応が行われる電極の表面を無制限に指す。例えば、所定の電位において、Hは、作業電極の活性表面と反応して、2つの陽子(2H+)、2つの電子(2e)、および1つの酸素分子(O)を産生し、それに対して電子が検出可能な電流を産生する。電気活性表面は、その少なくとも一部分の上に、アミノアルキルシランおよび同等物等の、化学または共有結合付着促進剤を含み得る。
【0040】
本明細書で使用される「電気手術ユニット」または「ESU」という語句は、交換可能に、かつ概して、高周波数生成された電気エネルギーを使用して、組織と外科的に相互作用することが可能な医療デバイスを無制限に指す。例えば、ESUは、約350KHzから約4MHz以上の間の周波数を使用し得る。ESUは、約80Wから約500Wの範囲で動作するRF発生器を使用し得る。ESUは、組織の抵抗を感知すること、および/または使用中に電圧および/または電流を調整することが可能なデバイスを含む。ESUの一例は、Bovieユニットである。
【0041】
本明細書で使用される「酵素層」という語句は、関心の被分析物を判定する際に採用される反応物および/または共存反応物に透過性であり得る、1つ以上の領域を備える、透過性または半透過性膜を無制限に指す。一例として、酵素層は、グルコースおよび酸素との電気化反応を触媒して、グルコースの濃度の測定を可能にする、親水性ポリマーの中の固定化ブドウ糖酸化酵素を備える。
【0042】
本明細書で使用される「フラックス制限膜」は、下にある酵素層への1つ以上の被分析物のフラックスを制御する、半透過性膜を指す。一例として、グルコースセンサについて、フラックス制限膜は、好ましくは、酸素を非速度制限超過にする。結果として、グルコース測定の直線性の上限は、フラックス制限膜なしで達成されるよりも、はるかに高い値まで延長させられる。フラックス制限膜は、電気的絶縁材料、例えば、約12未満の誘電率を伴う材料であり得る。
【0043】
本明細書で使用される「干渉物」、「干渉物質」、および「干渉種」は、そうでなければセンサにおける関心の被分析物の測定に干渉して、被分析物測定を正確に表さない信号を生じる、効果および/または種を無制限に指す。例えば、電気化学センサでは、干渉種は、測定される被分析物の酸化電位に実質的に重なる酸化電位を伴う、化合物であり得る。
【0044】
本明細書で使用される「単極」または「一極」という用語は、交換可能に使用され、手術器具内に含まれる1つだけの電極表面を有する、電気手術ユニットを無制限に指す。例えば、単極電気手術ユニットは、電極表面および外部分散または「接地」パッドを有する手術器具を備える。
【0045】
本明細書で使用される「高分子電解質」は、懸垂イオン性基を有する、高分子量材料を指す。高分子電解質の分子量は、数千から数百万ダルトンに及んでもよい。一局面では、高分子電解質は、末端イオン性基を伴い、懸垂イオン性基、例えば、Nafionを本質的に伴わない、ポリマーを除く。
【0046】
本明細書で使用される「被検体」という用語は、哺乳類、特に人間および家畜を無制限に指す。
【0047】
本明細書で使用される「ビニルエステルモノマー単位」という語句は、エステル官能基を有する不飽和単量体の重合化から形成される、物質の化合物または組成物を指す。例えば、ポリエチレン酢酸ビニルポリマーおよびその共重合体は、ビニルエステルモノマー単位を備える化合物である。
【0048】
(センサシステムおよびセンサアセンブリ)
本明細書で開示される局面は、関心の被分析物の濃度、あるいは外部EMFまたはRF源の存在下で機能することが可能な被分析物の濃度または存在を示す物質を測定する、被分析物センサシステムの使用に関する。センサシステムは、連続デバイスであり、例えば、皮下、経皮(例えば、経皮的)、または血管内デバイスまたはその一部として、使用され得る。被分析物センサは、被分析物感知のための酵素、化学、電気化学、またはそのような方法の組み合わせを使用し得る。出力信号は、典型的には、デバイスを使用し得る患者または医師等のユーザに、関心の被分析物の有用な値を提供するために使用される、未加工信号である。したがって、適切な平滑化、較正、および評価方法が、未加工信号に適用され得る。
【0049】
概して、センサは、複数の層によって包囲される作業電極の露出電気活性表面の少なくとも一部分を備える。好ましくは、干渉層が、生物環境からの露出電極表面の保護および/または干渉物の制限または遮断を提供するように、センサの電気活性表面(作業電極および随意で参照電極)の少なくとも一部分の上に堆積され、かつそれと接触している。酵素層が、干渉層の少なくとも一部分の上に堆積され、かつそれと接触している。一局面では、干渉層および酵素層は、センサの信号出力の迅速な応答および安定化を提供し、および/または、塩および電解質の層または領域等の放浪種で電極の電気活性表面を前処理する必要性を排除し、それは、開示されたセンサの製造を単純化し、ロット間変動を低減する。フラックス制限層は、酵素層への被分析物または共存被分析物のフラックスを制御するように、酵素層および/またはセンサアセンブリの上に堆積される。親水性ポリマー膜は、EMFまたはRF源の存在下で使用される時に、センサの出力信号の途絶を排除または低減するように、フラックス制限層上に塗布される。
【0050】
以下で詳細に説明される1つの例示的実施形態は、グルコースセンサアセンブリとともに、カテーテル等の医療デバイスを利用する。一局面では、被分析物センサアセンブリを伴う医療デバイスは、被検体の血管系に挿入するために提供される。被分析物センサアセンブリを伴う医療デバイスは、センサと関連付けられる電子ユニットと、センサデータを受信および/または処理するための受信機とを、それと関連付けて含み得る。連続グルコースセンサのいくつかの例示的実施形態が、本明細書で例証および説明され得るが、開示された実施形態は、関心の被分析物の濃度の実質的に継続的または実質的に連続的な測定が可能であり、その被分析物の濃度を表す迅速かつ正確な出力信号を提供するための、任意のデバイスに適用可能であり得ることを理解されたい。
【0051】
(電極および電気活性表面)
本明細書で開示されるセンサまたはセンサアセンブリの電極および/または電気活性表面は、プラチナ、プラチナ・イリジウム、パラジウム、黒鉛、金、炭素、伝導性ポリマー、合金、インク、または同等物等の導電性材料を含む。電極は、種々の製造技法(バルク金属加工、基板上への金属の堆積、または同等物)によって形成することができるが、伝導性および/または触媒インクを使用したスクリーン印刷技法から、電極を形成することが有利であり得る。伝導性インクは、プラチナおよび/またはパラジウム等の貴金属で触媒され得る。
【0052】
一局面では、センサまたはセンサアセンブリの電極および/または電気活性表面は、フレックス回路等のフレキシブル基板上に形成される。一局面では、フレックス回路は、センサの一部であり、基板と、伝導性トレースと、電極とを備える。トレースおよび電極は、例えば、スクリーン印刷またはインク堆積技法を使用して、基板上にマスクされ、画像化され得る。トレースおよび電極、ならびに電極の電気活性表面は、プラチナ、プラチナ・イリジウム、パラジウム、黒鉛、金、炭素、伝導性ポリマー、合金、インク、または同等物等の導電性材料から成り得る。
【0053】
一局面では、作業電極において測定されている種によって生成される電流の平衡を保つように、対電極が提供される。グルコースセンサに基づくブドウ糖酸化酵素の場合、作業電極において測定されている種は、Hである。ブドウ糖酸化酵素は、グルコース+O→グルコン酸塩+Hといった反応に従って、過酸化水素およびグルコン酸塩への酸素およびグルコースの変換を触媒する。作業電極によるHの酸化は、存在する任意の酸素、または対電極における他の還元可能種の還元によって、平衡を保たれる。ブドウ糖酸化酵素反応から産生されるHは、作業電極の表面において反応し、2つの陽子(2H)、2つの電子(2e)、および1つの酸素分子(O)を産生する。
【0054】
一局面では、例えば、3電極系(作業、参照、および対電極)、および/または基準減算電極として構成されるか、または付加的な被分析物を測定するために構成される、1つ以上の付加的な作業電極といった、付加的な電極が、センサまたはセンサアセンブリ内に含まれ得る。2つの作業電極は、相互にごく接近して、かつ参照電極にごく接近して位置付けられ得る。例えば、多重電極系が構成され得、第1の作業電極は、グルコースおよび基準を含む第1の信号を測定するように構成され、その上に酵素が配置されていない、第1の作業電極と実質的に同様の付加的な作業電極は、基準のみから成る基準信号を測定するように構成される。このようにして、付加的な電極によって生成される基準信号は、基準変動および電気化学的活性干渉種を実質的に含まない、グルコースのみの信号を生じるように、第1の作業電極の信号から減算され得る。
【0055】
一局面では、センサは、2個から4個の電極を備える。電極は、例えば、対電極(CE)と、作業電極(WE1)と、参照電極(RE)と、随意で第2の作業電極(WE2)とを含み得る。一局面では、センサは、少なくともCEおよびWE1を有する。一局面では、WE2の追加が使用され、それは、センサ測定の精度をさらに向上させ得る。一局面では、第2の対電極(CE2)の追加が使用され得、それは、センサ測定の精度をさらに向上させ得る。
【0056】
電気活性表面は、後続の層のうちの任意のものの塗布の前に処理され得る。表面処理は、例えば、電気活性表面の少なくとも一部分の化学、プラズマ、またはレーザ処理を含み得る。一例として、電極は、1つ以上の付着促進剤と化学的にまたは共有的に接触させられ得る。付着促進剤は、例えば、アミノアルキルアルコキシシラン、エポキシアルキルアルコキシシラン、および同等物を含み得る。例えば、電極のうちの1つ以上は、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含む溶液と化学的にまたは共有的に接触させられ得る。
【0057】
いくつかの代替実施形態では、作業(および/または他の)電極の露出表面積は、電極自体の断面を改変することによって増加させられ得る。作業電極の表面積を増加させることは、被分析物濃度に応答して増加した信号を提供するのに有利であり得、それは順に、例えば、信号対雑音比を向上させるのに役立ち得る。作業電極の断面は、任意の規則的または不規則的、円形または非円形構成によって規定され得る。
【0058】
(親水性層)
一局面では、電気化学センサは、電極/電気活性表面上に親水性層を備え、および/または電極/電気活性表面と直接接触している。親水性層は、ポリ−N−ビニルピロリドン(PVP)、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリビニルアルコール、懸垂イオン性基を伴うポリマー、およびそれらの共重合体または混合物を含む。好ましくは、親水性層は、ポリ−N−ビニルピロリドンまたは高分子電解質を含む。
【0059】
(干渉層)
干渉物は、偽陽性被分析物信号(例えば、非被分析物関連信号)を生じるように、直接的に、または電子伝達剤を介して、センサの電気化学的反応表面において還元または酸化され得る、分子または他の種であり得る。この偽陽性信号は、概して、被検体の被分析物濃度を真の被分析物濃度よりも高く見せさせる。例えば、被検体が干渉物(例えば、アセトアミノフェン)を摂取した低血糖の状況では、人工的に高いグルコース信号が、正常血糖であるか、または場合によっては高血糖であると被検体または医療提供者に考えさせる場合がある。結果として、被検体または医療提供者が、不適切または不適当な治療決定を行う場合がある。
【0060】
一局面では、それを通る1つ以上の干渉種の通過を実質的に制約または排除する干渉層が、センサまたはセンサアセンブリ上に提供される。グルコースセンサにとっての干渉種は、例えば、アセトアミノフェン、アスコルビン酸、ビリルビン、コレステロール、クレアチニン、ドーパミン、エフェドリン、イブプロフフェン、L−ドーパ、メチルドーパ、サリチル酸塩、テトラサイクリン、トラザミド、トルブダミド、トリグリセリド、尿素、および尿酸を含む。干渉層は、標的被分析物種よりも、干渉種のうちの1つ以上に透過性が低いものであり得る。
【0061】
実施形態では、干渉層は、1つ以上のセルロース誘導体から形成される。一局面では、混合エステルセルロース誘導体、例えば、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、ならびに、他のセルロースまたは非セルロース単量体とともに、上記の架橋結合変形を含む、それらの共重合体および三元重合体が使用され得る。セルロース誘導体と同様の性質を有する高分子多糖類等の他のポリマーが、干渉材料として、または上記のセルロース誘導体と組み合わせて使用され得る。セルロースの他のエステルが、混合エステルセルロース誘導体と混合され得る。
【0062】
一局面では、干渉層は、酢酸酪酸セルロースから形成される。酢酸酪酸セルロースは、アセチル基およびブチル基の両方、およびヒドロキシル基を有する、セルロースポリマーである。約35%以下のアセチル基、約10%から約25%のブチリル基、および残りを構成するヒドロキシル基を有する、酢酸酪酸セルロースが使用され得る。約25%から約34%のアセチル基、および約15から約20%のブチリル基を有する、酢酸酪酸セルロースも使用され得るが、他の量のアセチルおよびブチリル基が使用され得る。好ましい酢酸酪酸セルロースは、約28%から約30%のアセチル基、および約16から約18%ブチリル基を含む。
【0063】
約10,000ダルトンから約75,000ダルトンまでの分子量を伴う酢酸酪酸セルロースが好ましく、好ましくは、約15,000、20,000、または25,000ダルトンから約50,000、55,000、60,000、65,000、または70,000ダルトンまで、より好ましくは、約65,000ダルトンが採用される。しかしながら、ある実施形態では、より高いまたは低い分子量が使用され得、または異なる分子量を有する2つ以上の酢酸酪酸セルロースの混合物が使用され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、干渉層を形成するように、酢酸酪酸セルロースの複数の層が組み合わせられてもよく、例えば、2つ以上の層が採用され得る。単一の溶液の中の異なる分子量を伴う酢酸酪酸セルロースの混合物を採用すること、あるいは、異なる分子量、異なる濃度、および/または異なる化学的性質(例えば、wt%官能基)の酢酸酪酸セルロースを含む異なる溶液から、酢酸酪酸セルロースの複数の層を堆積させることが望ましいことがある。流延溶液または分散液中の付加的な物質、例えば、流延補助物、消泡剤、表面張力修飾剤、官能基化剤、架橋結合剤、他のポリマー物質、結果として生じる層の親水性/疎水性を修正することが可能な物質、および同等物が使用され得る。
【0065】
干渉物質は、センサの電気活性表面に直接、噴霧、流延、被覆、または浸漬され得る。干渉物質の分注は、任意の既知の薄膜技法を使用して行われてもよい。干渉物質の2つ、3つ、またはそれ以上の層が、流延溶液の逐次塗布ならびに硬化および/または乾燥によって形成され得る。
【0066】
流延溶液中の固体の濃度は、(例えば、1回の浸漬または噴霧で)1つの層の中で電極上に十分な量の固体または被膜を堆積させて、そうでなければセンサによって測定される測定種(例えば、H)に重なる、酸化または還元電位への干渉物を遮断するのに十分な層を形成するように調整され得る。例えば、流延溶液の固体の割合は、センサによって測定される干渉物の等価グルコース信号を実質的に防止または低減する、機能的干渉層を形成するのに十分な量を堆積させるために、1つだけの層が必要とされるように調整され得る。干渉材料の十分な量は、約30、20、または10mg/dl未満の干渉物の等価グルコース信号を実質的に防止または低減する量となる。一例として、干渉層は、好ましくは、そうでなければ、干渉層がないセンサによって、アセトアミノフェンによって生じる約30mg/dlの等価グルコース信号応答を実質的に遮断するように構成される。アセトアミノフェンによって生じる、そのような等価グルコース信号応答は、アセトアミノフェンの治療投与量を含む。任意の順序で形成される任意の数の被覆又は層が、本明細書で開示されるセンサの干渉層を形成するために好適であり得る。
【0067】
一局面では、干渉層は、センサの電気活性表面上に直接、または電極の表面と直接接触している物質あるいは層の上に、堆積される。好ましくは、干渉層は、電極の表面と直接接触している介在物質あるいは層を実質的に伴わずに、センサの電気活性表面上に直接堆積される。意外なことに、センサの電気活性表面上に直接堆積された干渉層を備える構成は、被分析物を表す迅速かつ正確な信号を依然として提供しながら、電気活性表面と干渉層との間の介在層の必要性を実質的に排除することが分かっている。
【0068】
干渉層は、約0.05ミクロン以下から約20ミクロン以上、より好ましくは、約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、1、1.5、2、2.5、3、または3.5ミクロンから約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または19.5ミクロンまで、より好ましくは、さらに約1、1.5、または2ミクロンから約2.5から3ミクロンまでの厚さを提供するように塗布され得る。より厚い膜も、ある実施形態では望ましくてもよいが、概して、酵素膜から電極への過酸化水素の拡散率への影響が低いため、概して、より薄い膜が好まれ得る。
【0069】
(酵素層)
本明細書で開示されるセンサまたはセンサアセンブリは、酵素層を含む。酵素層は、親水性ポリマー・酵素組成物で形成され得る。意外なことに、酵素層が干渉層の少なくとも一部分上に直接堆積される構成は、被分析物を表す迅速かつ正確な信号を依然として提供しながら、干渉層と酵素層との間の介在層の必要性を実質的に排除し得ることが分かっている。一局面では、酵素層は、干渉層の少なくとも一部分上に直接堆積された酵素を含む。
【0070】
一局面では、酵素層は、酵素と、ポリ−N−ビニルピロリドン(PVP)、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリビニルアルコール、懸垂イオン性基を伴うポリマー(高分子電解質)、およびそれらの共重合体から選択される、親水性ポリマーとを含む。好ましくは、酵素層は、ポリ−N−ビニルピロリドンを含む。最も好ましくは、酵素層は、ブドウ糖酸化酵素と、ポリ−N−ビニルピロリドンと、酵素を固定化するのに十分な量の架橋結合剤とを含む。酵素層は、参照することにより本明細書に組み込まれる、「Analyte Sensor」と題された、2009年8月27日出願の同時係属米国出願第12/199,782号で説明されている通りであり得る。
【0071】
酵素層の親水性ポリマーの分子量は、好ましくは、逃亡種が、センサ環境から退出することを妨げられるか、または実質的に阻止される、より具体的には、センサが最初に展開された時に、逃亡種が、酵素の環境から退出することを妨げられるか、または実質的に阻止されるようなものである。
【0072】
酵素層の親水性ポリマーはさらに、少なくとも1つのタンパク質および/または天然あるいは合成材料を含み得る。例えば、酵素層の親水性ポリマー・酵素組成物はさらに、例えば、血清アルブミン、ポリアリルアミン、ポリアミン、および同等物、ならびにそれらの組み合わせを含み得る。
【0073】
酵素層の酵素は、好ましくは、センサの中で固定化される。酵素は、親水性ポリマー内に封入され得、架橋結合されるか、または別様にその中で固定化され得る。酵素は、随意で、少なくとも1つのタンパク質および/または天然あるいは合成材料とともに架橋結合されるか、または別様に固定化され得る。一局面では、親水性ポリマー・酵素組成物は、ブドウ糖酸化酵素と、ウシ血清アルブミンと、ポリ−N−ビニルピロリドンとを含む。組成物はさらに、組成物の構成要素を架橋結合するか、または別様に固定化するように、架橋結合剤、例えば、グルタルアルデヒド等のジアルデヒドを含み得る。
【0074】
一局面では、他のタンパク質または天然あるいは合成材料は、酵素層の親水性ポリマー・酵素組成物から実質的に除外され得る。例えば、親水性ポリマー・酵素組成物は、実質的にウシ血清アルブミンを含まないものであり得る。ウシアルブミンを含まない組成物は、種々の政府規制要件を満たすために望ましい場合がある。したがって、一局面では、酵素層は、ブドウ糖酸化酵素と、酵素を架橋結合するか、または別様に固定化するのに十分な量の架橋結合剤、例えば、グルタルアルデヒド等のジアルデヒドとを含む。別の局面では、酵素層は、ブドウ糖酸化酵素と、ポリ−N−ビニルピロリドンと、酵素を架橋結合するか、または別様に固定化するのに十分な量の架橋結合剤とを含む。
【0075】
酵素層の厚さは、約0.05ミクロン以下から約20ミクロン以上、より好ましくは、約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、1、1.5、2、2.5、3、または3.5ミクロンから約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または19.5ミクロンまでであり得る。好ましくは、酵素層は、噴霧または浸漬被覆によって堆積されるが、酵素層を形成する他の方法が使用され得る。酵素層は、被覆溶液の所定の濃度、挿入速度、滞留時間、引出速度、および/または所望の厚さで、1つ以上の層を浸漬被覆および/または噴霧被覆することによって形成され得る。
【0076】
(フラックス制限層)
センサまたはセンサアセンブリは、上記で説明される後続層を覆うフラックス制限層を含み、フラックス制限層は、関心の被分析物のうちの1つ以上の拡散を改変または変化させる。以下は、電気化学グルコースセンサのフラックス制限層を対象とするが、フラックス制限層は、他の被分析物および共存反応物に対しても修正され得る。
【0077】
一局面では、フラックス制限層は、下にある酵素層への酸素および/またはグルコースのフラックスを制御し、好ましくは、非速度制限超過で酸素を提供する、半透過性材料を含む。結果として、グルコース測定の直線性の上限が、フラックス制限層なしで達成されるよりも、はるかに高い値まで延長させられる。一実施形態では、フラックス制限層は、約50:1以下から約400:1以下、好ましくは約200:1の酸素対グルコース透過性比を呈する。被分析物センサへの被分析物および随意で共存被分析物の拡散を制御するために、親水性および疎水性ポリマー領域の両方を伴う膜等の、他のフラックス制限膜が使用されるか、または組み合わせられ得る。例えば、好適な膜は、ポリウレタンまたはポリエーテルウレタン尿素等の疎水性ポリマーマトリクス化合物を含み得る。一局面では、膜の疎水性マトリクスの基礎を形成する材料は、センサデバイスにおいて膜として使用するために適切であるような、かつ関連化合物がそれを通過することを可能にする、例えば、活性酵素または電気化学電極に到達するために、酸素分子が検査中のサンプルから膜を通過することを可能にするのに十分な透過性を有するものとして、当技術分野で公知であるもののうちのいずれかとなり得る。例えば、ビニルポリマー、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサンおよびポリカルボシロキサン等の無機ポリマー、セルロースおよびタンパク質ベースの材料等の天然ポリマー、およびそれらの混合物または組み合わせ等の、非ポリウレタン型膜が使用され得る。好ましくは、フラックス制限層は、誘電(非伝導性)材料である。一局面では、フラックス制限膜は、ビニルポリマー、ポリシリコーン、ポリウレタン、またはそれらの共重合体または混合物から選択される。
【0078】
一局面では、フラックス制限層は、ポリエチレンオキシド成分を含む。例えば、ポリエチレンオキシドを含む疎水性・親水性共重合体は、約20%の親水性ポリエチレンオキシドを含む、ポリウレタンポリマーである。共重合体のポリエチレンオキシドは、共重合体の疎水性部分(例えば、ウレタン部分)および疎水性ポリマー成分から分離するように熱力学的に駆動される。最終混合物を形成するために使用される、共重合体の20%のポリエチレンオキシドベースの軟質断片部分は、膜の吸水および後続のグルコース透過性に影響を及ぼす。
【0079】
一局面では、フラックス制限膜は、シリコーンおよびウレタンポリマー等の縮合重合体および/またはそれらの共重合体または混合物を実質的に除外する。そのような除外された縮合重合体は、典型的には、そうでなければ浸出した場合に毒性である、および/または完全に除去しにくい場合がある、残留重金属触媒材料を含有し、したがって、そのようなセンサでの使用を、安全性および/または費用について望ましくなくする。
【0080】
別の局面では、フラックス制限層を含む材料は、関連化合物がそれを通過することを可能にし、例えば、活性酵素または電気化学電極に到達するために酸素分子が通過することを可能にするのに十分な透過性を有する、センサデバイスで使用するために適切なビニルポリマーであり得る。フラックス制限層を作製するために使用され得る材料の実施例は、ビニルエステルモノマー単位を有するビニルポリマーを含む。好ましい実施形態では、フラックス制限膜は、ポリエチレン酢酸ビニル(EVAポリマー)を含む。他の局面では、フラックス制限膜は、EVAポリマーと混合されたポリ(メタクリル酸メチル−co−メタクリル酸ブチル)を含む。EVAポリマーまたはその混合物は、例えば、ジグリシジルエーテルと架橋結合され得る。EVAの被膜は非常に弾性的であり、それは、例えば、静脈生体構造の中への蛇行性経路をナビゲートするための弾力性をセンサに提供し得る。
【0081】
EVAポリマーは、約40WT%の酢酸ビニル(EVA−40)の組成物を有する発生源から提供され得る。EVAポリマーは、好ましくは、センサまたはセンサアセンブリ上に分注するための溶媒に溶解させられる。溶媒は、センサ基板および酵素電極への付着を推進するように、および効果的に塗布(例えば、噴霧被覆または浸漬被覆)され得る溶液を形成するように、EVAポリマーを溶解させるその能力に対して選択されるべきである。シクロヘキサノン、パラキシリレン、およびテトラヒドロフラン等の溶媒が、この目的で好適であり得る。溶液は、約0.5wt%から約6.0wt%のEVAポリマーを含み得る。加えて、溶媒は、基礎酵素に関する問題を防止するように、必要以上の撹拌を伴わずに蒸発するのに十分揮発性となるべきであるが、噴霧過程に関する問題を生じるほど揮発性となるべきではない。好ましい実施形態では、フラックス制限膜の酢酸ビニル成分は、約20%の酢酸ビニルを含む。好ましい実施形態では、フラックス制限膜は、約0.05ミクロン以下から約20ミクロン以上、より好ましくは、約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、1、1.5、2、2.5、3、または3.5ミクロンから約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または19.5ミクロンまで、より好ましくは、さらに約5、5.5、または6ミクロンから約6.5、7、7.5、または8ミクロンまでの層厚さを生じさせるように、酵素層上に堆積される。フラックス制限膜は、噴霧被覆または浸漬被覆によって、酵素層上に堆積され得る。一局面では、フラックス制限膜は、約1wt.%から約5wt.%のEVAポリマーおよび約95wt.%から約99wt.%の溶媒の溶液を浸漬被覆することによって、酵素層上に堆積される。
【0082】
一局面では、酵素層を覆うフラックス制限膜と、干渉層と、電気活性表面の少なくとも一部分とを備える、電気化学被分析物センサが提供される。したがって、センサは、少なくとも1つの電気活性表面と、電気活性表面の少なくとも一部分と接触し、それを少なくとも部分的に覆うセルロース誘導体を含む干渉層を備える干渉層と、親水性ポリマー・酵素組成物を含む酵素層であって、酵素層の一部分が、干渉層と接触し、それを少なくとも部分的に覆う、酵素層と、酵素層、干渉層、および電気活性表面の少なくとも一部分を覆うフラックス制限膜とを備える。
【0083】
(親水性ポリマー膜)
電気化学センサは、フラックス制限層に隣接する親水性ポリマー膜を備える。親水性ポリマー膜は、ポリ−N−ビニルピロリドン(PVP)、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、懸垂イオン性基を伴うポリマー(高分子電解質)、およびそれらの共重合体から形成され得る。したがって、一局面では、「親水性ポリマー膜」は、上記で説明される「親水性層」と同じ材料または異なる材料を含み得る。一局面では、「親水性ポリマー膜」は、「親水性層」と同じ材料を含む。
【0084】
一局面では、親水性ポリマー膜は、本質的に不水溶性である。本明細書で使用される「不水溶性」という語句は、過剰な水に曝露されると、平衡量まで膨張または別様に吸収し得るが、水溶液の中に溶解しない、親水性ポリマー膜を指す。そのようなものとして、不水溶性材料は、概して、水の吸収中に、その元の物理的構造を維持し、したがって、その環境から離れた、またはその環境との流動および拡散に抵抗するのに十分な物理的完全性を持たなければならない。本明細書で使用されるように、材料は、過剰な水の中へ溶解し溶液を形成すること、および/または、その初期被膜形態を失うことに実質的に抵抗し、水溶液の全体を通して本質的に分子状に分散することに抵抗する場合に、不水溶性と見なされる。したがって、一局面では、親水性ポリマー膜は、使用中、例えば、生体内使用中に、フラックス制限層を劣化させないか、またはフラックス制限層から拡散しない。
【0085】
一局面では、親水性ポリマー膜は、センサのフラックス制限層に隣接する。概して、フラックス制限層は、センサの最外層であるが、他の化学物質または材料が、フラックス制限層ならびに親水性ポリマー膜上に存在し得る。一局面では、親水性ポリマー膜は、従来の被覆および/または浸漬および/または噴霧技法を使用して、フラックス制限層上に被覆される。親水性膜の厚さがセンサの他の性能要件に物質的に影響を及ぼさない、および/またはホストまたは他のデバイスにセンサを導入する能力に物質的に影響を及ぼさないならば、親水性ポリマー膜の厚さは、日常的な実験方法を使用して、EMFまたはRF途絶の最適な低減または排除を提供するように選択され得る。
【0086】
一局面では、親水性ポリマー膜は、高分子電解質である。高分子電解質は、懸垂イオン性基を有する、高分子量材料である。電解質として、高分子電解質は、電荷中和および電荷伝達能力等の安定したセンサ機能に必要とされる、有利なイオン特性を呈する。それらの大きいサイズにより、高分子電解質は、周辺媒体への電解種の拡散を実質的に低減または排除する。したがって、高分子電解質は、センサの周囲で電気的中性を実質的に維持し、および/または外部EMFまたはRF源に曝露された時に出力信号途絶を低減または排除し得る。
【0087】
一局面では、高分子電解質がポリ酸から成り得る一方で、他の局面は、高分子電解質としてポリ塩基または両性高分子電解質を利用し得る。さらなる局面は、高分子電解質塩またはポリ塩を含む、高分子電解質を利用し得る。
【0088】
一局面では、高分子電解質は、薬学的に容認可能なポリ塩を含む。薬学的に容認可能なポリ塩は、人間で使用するために安全かつ効果的なものである。例えば、薬学的に容認可能なポリ塩は、とりわけ、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素、リン酸二水素、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、(重)炭酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオエート、ヘキシン−1,6−ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、安息香酸メチル、ニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、酪酸フェニル、クエン酸塩、乳酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、マンデル酸塩を含む、対イオンを伴うポリカチオン、または、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、および亜鉛等の元素から、あるいはベンザルコニウム、ピリジニウム、第4アルキルまたはアルキルアンモニウム、または他の有機カチオン等の有機化合物からの陽性対イオンを伴うポリアニオンを含み得る。
【0089】
概して、高分子電解質は、多数のイオン性基を有し、したがって、高電荷であり得る。一局面では、高分子電解質は、複数のイオン性基を伴う高分子電解質から成り得る。さらなる局面では、高分子電解質層は、末端オン性基(例えば、Nafion)がない高電荷高分子電解質から成り得る。
【0090】
一局面では、高分子電解質は、スルホン酸塩官能性を備える高分子電解質から成り得る。高分子電解質をスルホン酸塩官能性と組み合わせることは、スルホン酸基が強酸の塩であり、したがって、局所pHにほとんど影響を及ぼさないため、被分析物センサに有利であり得る。例えば、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)等のスルホン酸ポリスチレン、またはスルホン酸ポリスチレンの共重合体、およびポリ(4−スチレンスルホン酸−co−マレイン酸)Na塩等のマレイン酸、またはそれらの混合物が利用され得る。
【0091】
さらなる局面では、高分子電解質は、ヘパリンから成り得る。ヘパリンは、スルホン酸塩官能性を伴う自然発生多糖類高分子電解質である。一局面では、ベンザルコニウムヘパリンが高分子電解質として使用される。ヘパリンの他の塩、好ましくは、ヘパリンの薬学的に容認可能な塩が使用され得る。ベンザルコニウムヘパリンは、医療デバイス上の抗凝固剤として頻繁に使用されるか、または患者体内の血液凝固を阻止するために使用される。したがって、ベンザルコニウムヘパリン等のヘパリン高分子電解質の1つの利点は、センサから放出されるいずれのヘパリン高分子電解質も、被検体において毒性反応を引き起こす可能性が低いことである。
【0092】
別の局面では、高分子電解質は、カルボン酸官能性を備え得る。カルボン酸官能性を伴う好適な高分子電解質の実施例は、ポリアクリル酸およびポリアルキルアクリル酸を含み、アルキルは、C−Cである。一局面では、カルボン酸官能性を伴う高分子電解質は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、およびそれらの共重合体または混合物を含む。
【0093】
任意の他の非毒性高分子電解質塩を、親水性ポリマー膜として利用することができる。ポリマー科学の当業者であれば、ポリイオン(正または負電荷との反復結合を含むポリマー)および関連対イオンの非常に多種多様な可能な組み合わせを理解することができ、上記のリストは決して包括的ではなく、親水性ポリマー膜として比較的不溶性の高分子電解質を形成するように、1つ以上のポリアニオンおよび1つ以上のポリカチオンの可能な組み合わせを含む、他の可能な組み合わせが含まれると考えられることを認識するであろう。
【0094】
一局面では、親水性膜は、センサのフラックス制限層に結合される。例えば、親水性膜は、センサのフラックス制限層に共有結合またはイオン結合され得る。一例として、フラックス制限層の官能基は、親水性膜の全体または一部に共有結合またはイオン結合し得る。代替として、フラックス制限層は、親水性膜の全体または一部に共有結合またはイオン結合するように、化学的に修飾され得る。フラックス制限層の化学修飾は、ガスプラズマ処理または化学的還元/酸化過程を含み得る。親水性膜との共有結合は、1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)またはN−ヒドロキシスクシンイミド、あるいは他の水溶性カルボジイミド等の、当技術分野で公知の結合剤を採用し得、かつN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホ−NHS)等のエンハンサとともに採用され得るが、代替として、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)等の他の好適なエンハンサを使用することができる。
【0095】
バイオセンサのフラックス制限層上に配置された時の親水性膜は、センサによって生成される出力信号の途絶を低減または排除する。典型的には、電気化学センサ出力信号は、測定されている標的被分析物の濃度に比例する電流である。生体内環境では、そのような標的被分析物は、グルコースであり得る。センサの使用中に、出力信号は、信号を被分析物濃度値に変換する制御ユニットによって受信される。センサに近接する、十分な強度および持続時間の外部EMFまたはRF源の場合に、フラックス制限層上に配置された親水性膜がないと、出力信号は、急上昇し、および/または平坦になり、またはそうでなければ標的被分析物濃度を正確に表すことができない場合がある。したがって、親水性ポリマー膜の使用は、センサ出力の急上昇および/または平坦化を低減し得、さらに、標的被分析物濃度を正確に表すことを再開または復帰するように、出力信号を提供し得る。
【0096】
(生物活性剤)
いくつかの代替実施形態では、生物活性がセンサに隣接する生物環境中に拡散するように、生物活性剤が上記のセンサシステムに随意で組み込まれてもよい。加えて、または代替として、生物活性剤は、出口部位または埋込部位で局所的に投与され得る。好適な生物活性剤は、センサおよびその構成要素のうちのいずれかに対する被検体の組織応答を修正するものを含む。例えば、生物活性剤は、抗炎症薬、抗感染症薬、麻酔薬、炎症性物質、成長因子、免疫抑制薬、抗血小板薬、抗凝固剤、抗増殖剤、ACE阻害剤、細胞毒性薬、抗障壁細胞化合物、血管新生誘発化合物、アンチセンス分子、またはそれらの混合物から選択され得る。
【0097】
(静脈内挿入のために適合されたフレキシブル基板センサアセンブリ)
一局面では、電気化学被分析物センサアセンブリは、被検体の血管系への静脈内挿入のために構成され得る。静脈内挿入に好適なデバイスの限定空間内にセンサを収容するために、センサアセンブリは、フレックス回路等のフレキシブル基板を備え得る。例えば、フレックス回路のフレキシブル基板は、熱可塑性物質または熱硬化性樹脂等の非伝導性材料上に被覆される、薄い伝導性電極として構成され得る。伝導性トレースは、非伝導性材料上に形成され、薄い伝導性電極に電気的に結合され得る。フレックス回路の電極は、上記で説明される通りであり得る。
【0098】
フレックス回路は、少なくとも1つの参照電極と、少なくとも1つの作業電極とを備え得、少なくとも1つの作業電極は、電気化学的に検出可能な種との相互作用時に検出可能な電気出力を提供することが可能な電気活性表面を有する。フレックス回路はさらに、少なくとも1つの対電極を備え得る。一局面では、フレックス回路は、2つ以上の作業電極と、2つ以上の対電極とを含む。一局面では、フレックス回路は、2つ以上の作業電極と、2つ以上のブランク電極と、2つ以上の対電極とを含む。
【0099】
セルロース誘導体を含む干渉層は、フレックス回路の作業電極の電気活性表面の一部分と直接接触し、かつそれを少なくとも部分的に覆って配置され得る。電気化学的に検出可能な種を提供するよう、被分析物と酵素的に相互作用することが可能な親水性ポリマー・酵素組成物を含む酵素層は、その少なくとも一部分が干渉層と直接接触し、かつそれを少なくとも部分的に覆って配置され得る。関心の被分析物のフラックスを改変する膜等の膜は、親水性ポリマー層、干渉層、およびフレックス回路の電気活性表面の少なくとも一部分を覆うように配置され得る。フレックス回路は、好ましくは、制御ユニットに電気的に構成可能となるように構成される。フレックス回路の電極およびその構造の実施例は、それらの全体で参照することにより本明細書に組み込まれる、同時係属米国出願第2007/0202672号および第2007/0200254号で見出される。
【0100】
上記で説明されるようなセンサアセンブリに適合可能な医療デバイスは、中心静脈カテーテル(CVC)、肺動脈カテーテル(PAC)、CVCまたはPACを通した、あるいは末梢IVカテーテルを通した挿入のためのプローブ、末梢に挿入したカテーテル(PICC)、スワンガンツカテーテル、動静脈血管理保護(VAMP)システムへの導入器またはアタッチメントを含むが、それらに限定されない。任意のサイズ/種類の中心静脈カテーテル(CVC)または静脈内デバイスが、使用され得、またはセンサアセンブリとともに使用するために適合され得る。
【0101】
先述の論議について、センサまたはセンサアセンブリの実装は、カテーテル内に配置されるものとして開示されているが、上記で説明されるような他のデバイスが構想され、本明細書で開示される実施形態の局面に組み込まれる。センサアセンブリは、好ましくは、カテーテル管類のOD(外径)と同一平面になるよう、カテーテルに適用される。これは、例えば、センサに陥凹を提供するように管類のODを熱変形させることによって、達成され得る。センサアセンブリは、定位置で接着され、屈曲/剥離に抵抗し、ウレタンCVC管類ならびにセンサの材料に付着する、接着剤(すなわち、ウレタン、2成分エポキシ、アクリル等)で密閉され得る。はんだ付け、抵抗溶接、または伝導性エポキシによって、小径電気ワイヤがセンサアセンブリに取り付けられ得る。これらのワイヤは、センサの近位端からカテーテル管腔のうちの1つを通って、次いで、カテーテルの近位端まで移動し得る。この点で、ワイヤは、電気コネクタにはんだ付けされ得る。
【0102】
本明細書で開示されるようなセンサアセンブリは、種々の方法でカテーテルに追加され得る。例えば、開口部がカテーテル本体に提供され得、センサまたはセンサアセンブリは、センサが直接血液接触するように、開口部において管腔の内側に載置され得る。一局面では、センサまたはセンサアセンブリは、カテーテルの全ての注入ポートに近接して位置付けられ得る。この構成では、センサは、被分析物の血液濃度の代わりに、そうでなければ検出可能な注入液濃度を測定することを妨げられるか、または最低限化される。別の局面で、取付方法は、カテーテル本体の外側のくぼみであり、くぼみの内側にセンサを固定することであり得る。これは、任意の添加された注入液の温度効果からセンサを部分的に隔離するという追加利点を有し得る。陥凹の各端は、1)センサの遠位端を固定し、2)管腔がセンサワイヤをカテーテルの近位端にあるコネクタまで運ぶことを可能にするように、薄く剥いだ開口部を有し得る。
【0103】
好ましくは、カテーテルの中のセンサアセンブリの場所は、IV溶液が被分析物測定に影響を及ぼすことを防止または最低限化するように、あらゆる注入ポートの近位(上流)にある。一局面では、センサアセンブリは、カテーテルの注入ポートのうちのいずれかの約2.0mm以上近位にあり得る。
【0104】
別の局面では、センサアセンブリは、センサアセンブリからその機能に干渉し得るあらゆる物質を除去されることを可能にするために、カテーテルの洗浄(すなわち、生理食塩水)が採用され得るように、構成され得る。
【0105】
(センサまたはセンサアセンブリの滅菌)
概して、センサまたはセンサアセンブリ、ならびにセンサが適合されるデバイスは、例えば、被検体で使用する前に滅菌される。滅菌は、放射線(例えば、電子ビームまたはガンマ放射線)、エチレンオキシド、またはフラッシュ紫外線滅菌、あるいは当技術分野で公知の他の手段を使用して達成され得る。
【0106】
センサ、センサアセンブリ、またはセンサを受け取り、および含むように適合されるデバイスの使い捨て部分は、もしあれば、好ましくは、例えば、電子ビームまたはガンマ放射線、あるいは他の公知の方法を使用して滅菌される。完全に組み立てられたデバイス、または使い捨て構成要素のうちのいずれかは、密閉された非通気性容器またはポーチの内側に包装され得る。
【0107】
中心線カテーテルが当技術分野で知られており、典型的には、カテーテルの1つ以上の管腔を通して患者に薬剤を送達するために(異なる薬剤に対して異なる管腔)、病院の集中治療室(ICU)/緊急治療室で使用され得る。中心線カテーテルは、典型的には、一方の端で、注入デバイス(例えば、注入ポンプ、点滴、シリンジポート)に接続され、他方の端で、薬剤を送達するように患者の心臓付近の大動脈または静脈のうちの1つに挿入される。注入デバイスは、患者に必要に応じて、生理食塩水、薬物、ビタミン、薬剤、タンパク質、ペプチド、インスリン、神経伝達物質、または同等物等であるが、それらに限定されない薬剤を送達する。代替実施形態では、中心線カテーテルは、腹腔内領域、リンパ腺、皮下、肺、消化管、または同等物等の、任意の体腔または血管で使用され得、血液以外の体液中の被分析物または治療法を判定し得る。中心線カテーテルは、二重管腔カテーテルであり得る。一局面では、被分析物センサは、中心線カテーテルの1つの管腔に組み込まれ、ユーザの血液および/または体液中の特徴的レベルを判定するために使用される。しかしながら、ホルモン、コレステロール、薬剤、濃度、ウイルス量(例えば、HIV)、または同等物等の他の作用物質、特性、または組成物のレベルを判定するために、さらなる実施形態が使用され得ることが認識されるであろう。したがって、本明細書で開示される局面は、主に、糖尿病/糖尿病症状の治療で使用されるグルコースセンサとの関連で説明され得るが、開示される局面は、血液ガス、pH、温度、および血管系中の他の関心の被分析物を含むが、それらに限定されない、生理的特性がICUで監視される、多種多様な患者治療プログラムに適用可能であり得る。
【0108】
別の局面では、被検体内の被分析物を静脈内測定する方法が提供される。方法は、本明細書で説明されるようなセンサアセンブリを備えるカテーテルを提供するステップと、被検体の血管系にカテーテルを導入するステップとを含む。方法はさらに、被分析物を測定するステップを含む。
【0109】
したがって、ESU等のEMFまたはRF源の存在下で使用される時に、電気化学センサの出力信号の途絶を低減または排除するためのセンサおよび方法が開示され、説明されている。
【0110】
ここで図1を参照すると、図1は、本発明のセンサ実施形態を組み込む、フレックス回路の形態の電流測定センサ11である。1つまたは複数のセンサ11は、基板13(例えば、ポリイミドでラミネート加工された銅箔等のフレックス基板)上に形成され得る。1つ以上の電極15、17、および19が、基板13の表面に取り付けられるか、または接着され得る。センサ11は、参照電極15、対電極17、および作業電極19とともに示されている。別の実施形態では、1つ以上の付加的な作業電極が基板13上に含まれ得る。電気ワイヤ210が、酸化または還元反応を持続させるために電極に電力を伝送し得、また、測定されているパラメータを示す検出回路(図示せず)に信号電流を運び得る。測定されているパラメータは、血液化学検査で発生する任意の関心の被分析物であり得、または血液化学検査に由来し得る。一実施形態では、関心の被分析物は、ブドウ糖酸化酵素とのグルコースの反応から形成され、したがって、血中グルコース濃度に比例する濃度を有する、過酸化水素であり得る。
【0111】
図2は、本発明の実施形態による、作業電極19付近の基板13の一部分の垂直断面図を描写する。作業電極19は、少なくとも部分的に親水性層35で被覆され得る。親水性層35は、少なくとも部分的に干渉層50で被覆され得る。干渉層50は、少なくとも部分的に酵素層23で被覆され得、酵素層は、センサが、ある反応物、例えば、血流中で見出されるものに曝露される時に、化学的に反応するように選択される。例えば、グルコースセンサの実施形態では、酵素層23は、黒色アスペルギルス(EC 1.1.3.4)、II型、またはVII型に由来し得るもの等の、ブドウ糖酸化酵素を含み得る。
【0112】
図3は、酵素層23、干渉層50、親水性層35、および電極19の一部分を覆うフラックス制限層25をさらに備える、センサ基板13上の作業電極部位の垂直断面図を示す。フラックス制限層25は、酵素と反応する血液成分の血液から酵素層23への拡散を選択的に可能にし得る。グルコースセンサの実施形態では、膜25は、豊富な酸素を通し、酵素層23へのグルコースを選択的に制限する。加えて、フラックス制限層25は、副層および/または作業電極19に酵素層23を機械的に密閉し得、また、センサ基板13に作業電極19を密閉し得る、接着性を有し得る。本明細書では、フラックス制限層25は、フラックスリミッタとしての機能を果たし得るが、また、酵素/電極境界および電極/基板境界において封止剤またはカプセル材料としての機能を果たし得ることが開示される。親水性ポリマー膜99は、センサが外部MFまたはRF源の存在下で使用される時に、出力信号途絶の低減を提供するように、フラックス制限層を覆って示されている。
【0113】
ここで図4〜5を参照すると、センサまたはセンサアセンブリを伴う中心線カテーテルに適合されるセンサの側面は、いずれの特定の静脈内でバイスに限定することなく、例示的実施形態として論議される。図4は、多重管腔カテーテル内のセンサアセンブリを示す。カテーテルアセンブリ10は、複数の注入ポート11a、11b、11c、11dと、その最近位端における1つ以上の電気コネクタ130とを含み得る。管腔15a、15b、15c、または15dは、それぞれ、各注入ポート11a、11b、11c、または11dを接合点190に接続し得る。同様に、導管170は、電気コネクタ130を接合点190に接続し得、接合点190において、または(示されるように)管腔15a−15dのうちの1つにおいて終端し得る。図4に示された特定の実施形態は、4つの管腔および1つの電気コネクタを有する、多重管腔カテーテルであるが、単一管腔カテーテル、複数の電気コネクタを有するカテーテル等を含む、管腔およびコネクタの他の組み合わせを有する他の実施形態が、本発明の範囲内で可能である。別の実施形態では、管腔のうちの1つおよび電気コネクタは、プローブまたは他のセンサ載置デバイスのために用意され得、または管腔のうちの1つは、その近位端で開口し、プローブまたはセンサ載置デバイスの挿入のために指定され得る。
【0114】
カテーテルアセンブリ10の遠位端は、図5でより詳細に示されている。遠位端に沿った1つ以上の中間場所において、管21は、その外壁を通して形成される1つ以上のポートを規定し得る。これらは、中間ポート25a、25b、および25cと、管21の遠位先端に形成され得る端部ポート25dとを含み得る。端部ポート25a−25dは、それぞれ、管腔15a−15dのうちの1つに対応し得る。つまり、各管腔は、注入ポート11a−11dのうちの1つから管ポート25a−25dのうちの1つまで延在する、独立チャネルを規定し得る。センサアセンブリは、分析される媒体との接触を提供するように、ポートのうちの1つ以上に位置付けることを介して感知環境に提示され得る。一局面では、親水性ポリマー膜は、カテーテルの外面上で被覆され得る。
【0115】
別の局面では、被検体内の被分析物を静脈内測定する方法が提供される。方法は、本明細書で説明されるようなセンサアセンブリを備えるカテーテルを提供するステップと、被検体の血管系にカテーテルを導入するステップとを含む。方法はさらに、被分析物を測定するステップを含む。
【0116】
公開または非公開出願、特許、文献参照を含むがそれらに限定されない、本明細書で引用される全ての参考文献は、それらの全体で参照することにより本明細書に組み込まれ、本明細書の一部となる。参照することによって組み込まれる出版物および特許または特許出願が、本明細書に含まれる開示と矛盾する程度まで、本明細書は、任意のそのような矛盾する材料に取って代わり、および/または優先することを目的としている。
【0117】
本明細書で使用される、原料の数量、反応条件等を表す、全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解され得る。したがって、それとは反対に示されない限り、本明細書で記載される数値パラメータは、得られることが求められる所望の性質に応じて変化し得る、近似値であり得る。
【0118】
上記の説明は、いくつかの方法および材料を開示する。これらの説明は、方法および材料の修正、ならびに製造方法および機器の改変の影響を受けやすい。そのような修正は、本開示の考慮または本開示の実践から、当業者にとって明白となるであろう。その結果として、本開示が本明細書で開示される具体的実施形態に限定されることは意図されないが、請求項の真の範囲および精神に入る全ての修正および代替案を網羅することが意図される。
図1-2】
図3
図4
図5