【文献】
初田 真幸,話題の製品と技術,画像ラボ 第22巻 第9号 ,日本,日本工業出版株式会社,2011年 9月10日,第22巻,第85-88頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、チェックアウトシステムを例に本実施形態に係る情報処理装置、店舗システム及びプログラムについて、図面を参照して説明する。店舗システムは、一取引に係る商品の登録、精算を行うPOS端末を備えるチェックアウトシステム(POSシステム)等である。本実施形態は、スーパーマーケット等の店舗に導入されたチェックアウトシステムへの適用例である。
【0009】
図1は、実施形態にかかるチェックアウトシステム1(店舗システム)の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、チェックアウトシステム1は、一取引に係る商品の登録、精算を行うPOS端末11を備える。POS端末11は、チェックアウト台51上のドロワ21上面に載置されている。ドロワ21は、POS端末11によって開放動作の制御を受ける。POS端末11の上面には、オペレータ(店員)によって押下操作されるキーボード22が配置されている。キーボード22を操作するオペレータから見てキーボード22よりも奥側には、オペレータに向けて情報を表示する表示デバイス23が設けられている。表示デバイス23は、その表示面23aに情報を表示する。表示面23aには、タッチパネル26が積層されている。表示デバイス23よりもさらに奥側には、顧客用表示デバイス24が回転自在に立設されている。顧客用表示デバイス24は、その表示面24aに情報を表示する。なお、
図1に示す顧客用表示デバイス24は、表示面24aを
図1中手前側に向けているが、表示面24aが
図1中奥側に向くように顧客用表示デバイス24を回転させることによって、顧客用表示デバイス24は顧客に向けて情報を表示する。
【0010】
POS端末11が載置されているチェックアウト台51とL字を形成するようにして、横長テーブル状のカウンタ台151が配置されている。カウンタ台151の上面には、荷受面152が形成されている。荷受面152には、商品Gを収納する買物カゴ153が載置される。買物カゴ153は、顧客によって持ち込まれる第1の買物カゴ153aと、第1の買物カゴ153aから商品読取装置101を挟んだ位置に載置される第2の買物カゴ153bとに分けて考えることができる。なお、買物カゴ153は、いわゆるカゴ形状のものに限るものではなく、トレー等であってもよい。また、買物カゴ153(第2の買物カゴ153b)は、いわゆるカゴ形状のものに限らず、箱状や袋状等であってもよい。
【0011】
カウンタ台151の荷受面152には、POS端末11とデータ送受信可能に接続された商品読取装置101が設置されている。商品読取装置101は、薄型矩形形状のハウジング102を備える。ハウジング102の正面には読取窓103が配置されている。ハウジング102の上部には、表示・操作部104が取り付けられている。表示・操作部104には、タッチパネル105が表面に積層された表示デバイス106が設けられている。表示デバイス106の右隣にはキーボード107が配設されている。キーボード107の右隣には、図示しないカードリーダのカード読取溝108が設けられている。オペレータから見て表示・操作部104の裏面左奥側には、顧客に情報を提供するための顧客用表示デバイス109が設置されている。
【0012】
このような商品読取装置101は、商品読取部110(
図2参照)を備えている。商品読取部110は、読取窓103の奥側に撮像部164(
図2参照)を配置している。
【0013】
顧客によって持ち込まれた第1の買物カゴ153aには、一取引に係る商品Gが収納されている。第1の買物カゴ153a内の商品Gは、商品読取装置101を操作するオペレータにより第2の買物カゴ153bに移動される。この移動過程で、商品Gが商品読取装置101の読取窓103に向けられる。この際、読取窓103内に配置された撮像部164(
図2参照)は商品Gを撮像する。
【0014】
商品読取装置101では、撮像部164により撮像された画像に含まれる商品Gが、後述するPLUファイルF1(
図3参照)に登録されたどの商品に対応するかを指定させるための画面を表示・操作部104に表示し、指定された商品の商品IDをPOS端末11に通知する。POS端末11では、商品読取装置101から通知される商品IDに基づき、当該商品IDに対応する商品の商品分類、商品名、単価等の売上登録に係る情報を、売上マスタファイル(図示しない)等に記録して売上登録を行う。
【0015】
図2は、POS端末11及び商品読取装置101のハードウェア構成を示すブロック図である。POS端末11は、情報処理を実行する情報処理部としてのマイクロコンピュータ60を備える。マイクロコンピュータ60は、各種演算処理を実行し各部を制御するCPU(Central Processing Unit)61に、ROM(Read Only Memory)62とRAM(Random Access Memory)63とがバス接続されて構成されている。
【0016】
POS端末11のCPU61には、前述したドロワ21、キーボード22、表示デバイス23、タッチパネル26、顧客用表示デバイス24がいずれも各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続されている。これらは、CPU61による制御を受ける。
【0017】
キーボード22は、「1」、「2」、「3」…等の数字や「×」という乗算の演算子が上面に表示されているテンキー22d、仮締めキー22e、及び締めキー22fを含む。
【0018】
POS端末11のCPU61には、HDD64(Hard Disk Drive)が接続されている。HDD64には、プログラムや各種ファイルが記憶されている。HDD64に記憶されているプログラムや各種ファイルは、POS端末11の起動時に、その全部又は一部がRAM63にコピーされてCPU61により順次実行される。HDD64に記憶されているプログラムの一例は、商品販売データ処理用のプログラムPRである。HDD64に記憶されているファイルの一例は、ストアコンピュータSCから配信されて格納されているPLUファイルF1である。
【0019】
PLUファイルF1は、店舗に陳列して販売する商品の各々について、商品を識別するための商品ID、商品が属する分類(商品分類)、販売価格(単価)、商品の画像等の商品マスタデータが記録されたファイルである。
【0020】
図3は、PLUファイルF1のデータ構成を例示する概念図である。
図3に示すように、PLUファイルF1は、商品Gごとに、ユニークに割り当てられた商品ID、商品Gが属する商品分類、商品名、単価等の商品に関する情報と、その商品Gを撮像した商品画像と、「類似度:0.XX」(図示例では「0.50」)という閾値とを、その商品Gのマスタデータとして格納するファイルである。詳細は後述するが、この「類似度:0.XX」という閾値は、商品Gが果物や生鮮品等であり、鮮度が落ち変色した場合等は、予めPLUファイルF1に記憶していた商品の商品画像と比較することで、正規の状態とは異なった物品であると判断することが可能となる。なお、PLUファイルF1は、後述する接続インターフェース65を介し、商品読取装置101が読み出し(参照)可能に構成されている。
【0021】
なお、PLUファイルF1のデータ構成は
図3の例に限らず、例えば、商品画像から読み取ることが可能な各商品についての後述する特徴量(色合いや表面の凹凸状況等)を、対応付けて格納する形態としてもよい。
【0022】
図2に戻り、POS端末11のCPU61には、ストアコンピュータSCとデータ通信を実行するための通信インターフェース25が入出力回路(図示せず)を介して接続されている。ストアコンピュータSCは、店舗のバックヤード等に設置されている。ストアコンピュータSCのHDD(図示せず)には、POS端末11に配信されるPLUファイルF1が格納されている。
【0023】
さらに、POS端末11のCPU61には、商品読取装置101との間でデータ送受信を可能にする接続インターフェース65が接続されている。接続インターフェース65には、商品読取装置101が接続されている。また、POS端末11のCPU61には、レシート等に印字を行うプリンタ66が接続されている。POS端末11は、CPU61の制御の下、一取引の取引内容をレシートに印字する。
【0024】
商品読取装置101も、マイクロコンピュータ160を備える。マイクロコンピュータ160は、CPU161にROM162とRAM163とがバス接続されて構成されている。ROM162には、CPU161によって実行されるプログラムが記憶されている。CPU161には、撮像部164、音声出力部165が各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続されている。撮像部164、音声出力部165は、CPU161によって動作が制御される。表示・操作部104は接続インターフェース176を介して、商品読取部110及びPOS端末11に接続されている。表示・操作部104は、商品読取部110のCPU161、POS端末11のCPU61によって動作が制御される。
【0025】
撮像部164は、カラーCCDイメージセンサやカラーCOMSイメージセンサ等であり、CPU161の制御の下で読取窓103からの撮像を行う撮像手段である。例えば撮像部164では30fpsの動画像の撮像を行う。撮像部164が所定のフレームレートで順次撮像したフレーム画像(撮像画像)はRAM163に保存される。
【0026】
音声出力部165は、予め設定された警告音等を発生するための音声回路とスピーカ等である。音声出力部165は、CPU161の制御の下で警告音等の音声による報知を行う。
【0027】
さらに、CPU161には、POS端末11の接続インターフェース65に接続して、POS端末11との間でデータ送受信を可能にする接続インターフェース175が接続されている。また、CPU161は、接続インターフェース175を介して、表示・操作部104との間でデータ送受信を行う。
【0028】
次に、CPU161、CPU61がプログラムを順次実行することで実現される機能部について、
図4を参照して説明する。
【0029】
図4は、CPU161、CPU61がプログラムを順次実行することで実現される機能構成を示すブロック図である。
図4に示すように、商品読取装置101のCPU161は、プログラムを順次実行することにより、画像取込部1611、商品検出部1612、類似度算出部1613、商品選択部1614、登録商品通知部1615としての機能を備える。また、同様に、POS端末11のCPU61は、売上登録部611としての機能を備える。
【0030】
画像取込部1611は、撮像部164に撮像オン信号を出力して撮像部164に撮像動作を開始させる。画像取込部1611は、撮像動作開始後に撮像部164が撮像してRAM163に保存されたフレーム画像を順次取り込む。画像取込部1611によるフレーム画像の取り込みは、RAM163に保存された順に行われる。
【0031】
商品検出部1612は、画像取込部1611により取り込まれたフレーム画像に含まれる商品Gの全部または一部を、パターンマッチング技術等を用いて検出する。具体的には、取り込まれたフレーム画像を2値化した画像から輪郭線等を抽出する。次いで、直近のフレーム画像から抽出された輪郭線と、今回のフレーム画像から抽出された輪郭線とを比較し、変更があった部分、すなわち、売上登録のために読取窓103に向けられた商品Gの写り込みを検出する。
【0032】
なお、商品Gを検出する別の方法としては、取り込まれたフレーム画像から肌色領域の有無を検出する。次いで、肌色領域が検出された場合、すなわち、店員の手の写り込みが検出された場合は、上述した輪郭線の検出を行うことで、店員の手が把持していると想定される商品の輪郭抽出を試みる。この時、手の形状を示す輪郭と、それ以外の輪郭とが検出された場合は、店員の手が商品を把持していることから、商品の写り込みを検出する。
【0033】
類似度算出部1613は、商品読取装置101の撮像部164により撮像された商品Gの全部または一部の画像から、商品Gの色合いや表面の凹凸状況等の表面の状態を特徴量として読み取る。なお、類似度算出部1613は、処理時間の短縮を図るため、商品Gの輪郭や大きさは考慮しないものとする。
【0034】
また、類似度算出部1613は、PLUファイルF1に登録された各商品(以下、登録商品という)の商品画像から、当該登録商品の色合いや表面の凹凸状況等の表面の状態を特徴量として読み取り、商品Gの特徴量とそれぞれ比較することで、商品GとPLUファイルF1に登録された商品との類似度を算出する。ここで、類似度は、PLUファイルF1に記憶されている各商品の商品画像を100%=「類似度:1.0」とした場合に、商品Gの全部または一部の画像がどの程度類似しているかを示すものである。上述したように、例えば色合いや表面の凹凸状況等の表面の状態に応じて類似度を算出する。なお、例えば、色合いと表面の凹凸状況とでは、重み付けを変えるようにしてもよい。
【0035】
また、類似度算出部1613は、登録商品の各々について算出した類似度が、当該商品に予め定められた閾値(「類似度:0.XX」)を超えたか否かを判定し、類似度がこの閾値を超えた登録商品を商品Gの候補(以下、商品候補という)として認識(判定)する。なお、PLUファイルF1に各商品画像の特徴量が対応付けて格納されている場合には、PLUファイルF1に格納された特徴量を用いて比較する形態としてもよい。
【0036】
このように画像中に含まれる物体を認識することは一般物体認識(generic object recognition)と呼ばれている。このような一般物体認識については、下記の文献において各種認識技術が解説されている。
柳井 啓司,“一般物体認識の現状と今後”,情報処理学会論文誌,Vol.48,No.SIG16 [平成22年8月10日検索],インターネット<URL: http://mm.cs.uec.ac.jp/IPSJ-TCVIM-Yanai.pdf >
【0037】
また、画像をオブジェクトごとに領域分割することによって一般物体認識を行う技術が、下記の文献において解説されている。
Jamie Shottonら,“Semantic Texton Forests for Image Categorization and Segmentation”,[平成22年8月10日検索],インターネット<URL: http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.145.3036&rep=rep1&type=pdf >
【0038】
なお、撮像された商品Gの画像と、PLUファイルF1に登録された登録商品の商品画像との類似度の算出方法は特に問わないものとする。例えば、撮像された商品Gの画像と、PLUファイルF1に登録された各登録商品との類似度を絶対評価として算出してもよいし、相対評価として算出してもよい。
【0039】
前者の算出方法を用いる場合、撮像された商品Gの画像と、PLUファイルF1に登録された各登録商品とを1対1で比較し、この比較の結果導出される類似度をそのまま採用すればよい。また、後者の算出方法を用いる場合、例えば、PLUファイルF1に5つの登録商品(商品GA、GB、GC、GD、GE)が登録されていたとすると、撮像された商品Gは、商品GAに対して類似度が0.6、商品GBに対しては類似度が0.1、商品GCに対しては類似度が0.1、商品GDに対しては類似度が0.1、商品GEに対しては類似度が0.1等、各登録商品との類似度の総和が1.0(100%)となるよう算出する。
【0040】
商品選択部1614は、PLUファイルF1をもとに、PLUファイルF1に登録された各商品の一覧表を表示デバイス106に表示させる表示制御手段として機能する。また、商品選択部1614は、操作者からタッチパネル105のタッチ操作を受け付けることで、一覧表の中の商品の選択を受け付ける選択受付手段として機能する。商品選択部1614は、選択が受け付けられた商品を売上の登録を行う商品として、その商品を示す情報(例えば、商品IDや商品名等)を登録商品通知部1615に出力する。また、商品選択部1614は、表示デバイス106に表示させる一覧表の中で、類似度算出部1613により算出された類似度の高い商品を、他の商品とは別の表示態様で表示させる。なお、商品選択部1614が行う一覧表の表示と、商品の選択とに係る商品選択処理の詳細は後述する。
【0041】
なお、本実施形態では商品候補が単一の登録商品である場合に、その登録商品が商品Gであるとして、一覧表の中から商品の選択を行う処理を省略する形態とするが、これに限らず、単一の商品候補を他の商品とは別の表示態様で表示デバイス106に表示することで、オペレータへの確認を求める形態としてもよい。また、本実施形態では、商品選択部1614は、商品名の一覧表を表示デバイス106に表示する形態とするが、他の商品情報の一覧表でもよく、例えば商品名や商品価格等の文字情報のみを表示させてもよく、また、文字情報と商品画像とをあわせて表示させてもよい。
【0042】
登録商品通知部1615は、商品選択部1614が指示した登録商品に対応する商品IDを、タッチパネル105又はキーボード107を介して別途入力された販売個数とともにPOS端末11に通知する。なお、商品IDの通知は、登録商品通知部1615がPLUファイルF1から読み出した商品IDを直接通知する形態としてもよいし、商品IDを特定することが可能な商品画像のファイル名や商品名を通知する形態としてもよいし、その商品IDの格納場所(PLUファイルF1での格納アドレス)をPOS端末11に通知する形態としてもよい。
【0043】
売上登録部611は、登録商品通知部1615により通知された商品IDと販売個数とに基づいて、対応する商品の売上登録を行う。具体的に、売上登録部611は、PLUファイルF1を参照して、通知された商品ID及び当該商品IDに対応する商品分類、商品名、単価等を、販売個数とともに売上マスタファイル等に記録して売上登録を行う。
【0044】
次に、チェックアウトシステム1の動作について詳細に説明する。
図5は、本実施形態にかかるチェックアウトシステム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0045】
先ず、商品読取装置101側の動作について説明する。
図5に示すように、POS端末11による商品登録の開始等に応じて処理が開始されると、画像取込部1611は、撮像部164に撮像オン信号を出力して撮像部164による撮像を開始する(S11)。
【0046】
次いで、画像取込部1611は、撮像部164が撮像してRAM163に保存されたフレーム画像(画像データ)を取り込む(S12)。次いで、商品検出部1612は、画像取込部1611が取り込んだフレーム画像から商品Gの全部または一部の検出を行う(S13)。次いで、類似度算出部1613は、商品Gの全部または一部の画像から商品Gの特徴量を読み取り、PLUファイルF1に登録された各商品画像の特徴量と比較することで類似度を算出する(S14)。
【0047】
次いで、類似度算出部1613は、登録商品の各々について算出した類似度が、当該商品に予め定められた閾値(「類似度:0.XX」)を超えたか否かを判定し、類似度がこの閾値を超えた登録商品を商品Gの商品候補として抽出する(S15)。
【0048】
図6は、読取窓103における読取領域Rの例を示す概念図である。具体的には、
図6は商品Gを読み取る際の読取領域Rを例示する概念図である。
図6に示すように、操作者(店員)の手Hによる商品Gの移動過程において、読取領域Rに商品Gが映り込んだ場合は、その読取領域Rを撮像したフレーム画像からS13で商品Gの全部または一部が検出される。この商品Gの全部または一部の検出により、S14では商品Gの認識が行われることとなる。
【0049】
次いで、商品選択部1614は、S15で認識された商品候補(登録商品)の個数が複数か否かを判定する(S16)。ここで、商品候補とされた登録商品の個数が一つと判定した場合(S16:No)、商品選択部1614は、この登録商品が商品Gに対応すると判断する。そして、商品選択部1614は、この登録商品を指示する情報を別途入力された販売個数とともに登録商品通知部1615に出力し、S18に移行する。
【0050】
一方、商品候補(登録商品)の個数が複数と判定した場合(S16:Yes)、商品選択部1614は、S17の商品選択処理に移行する。ここで、S17の商品選択処理の動作について説明する。
【0051】
図7は、商品選択処理の動作の一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、商品選択処理が開始されると、商品選択部1614は、商品候補となった商品のデータ(商品ID、商品分類、商品名、単価、商品画像等)をPLUファイルF1から読み出す(S171)。次いで、商品選択部1614は、商品候補となった商品が属する分類をもとに、一覧表示する商品の分類を決定する(S172)。
【0052】
具体的には、商品選択部1614は、商品候補となった商品が属する分類を、一覧表示する商品の分類とする。なお、商品候補となった各商品の分類が互いに異なる場合は、商品候補となった商品数の多い分類を、一覧表示する商品の分類としてよい。
【0053】
次いで、商品選択部1614は、商品候補となった商品の選択画面を表示デバイス106に表示させ、操作者からタッチパネル105のタッチ操作を受け付けることで、選択画面に表示した一覧表の中の商品の選択を受け付ける(S173)。具体的には、商品選択部1614は、PLUファイルF1をもとに、PLUファイルF1に登録された各商品の分類ごとに作成された一覧表の中から、一覧表示する商品の分類として決定された一覧表を選択画面に表示させる。そして、商品選択部1614は、選択画面に表示させる一覧表の中で類似度算出部1613により算出された類似度の高い商品、すなわち商品候補となった商品を、他の商品とは別の表示態様で表示させる。
【0054】
図8は、分類ごとの商品一覧表T1、T2、T3の一例を示す概念図である。
図8に示すように、商品一覧表T1、T2、T3は、PLUファイルF1に登録された各商品の分類(例えば「野菜」、「お肉」、「果物」等)ごとに、PLUファイルF1に登録された商品を商品ID順、商品名の五十音順、単価の高い順などの所定の条件で縦横に並べたものである。この、商品一覧表T1、T2、T3は、PLUファイルF1に登録された各商品を更新した際に作成し、HDD64に予め記憶しておいてもよいし、選択画面を表示する際にPLUファイルF1を読み出して作成してもよい。
【0055】
図9は、選択画面G10の一例を示す概念図である。
図9に示すように、S173では、一覧表示する商品の分類として決定された商品一覧表T1を選択画面G10に表示させる。ここで、商品一覧表T1に表示される商品の中で、商品候補となった商品T11、T12、T13については、網掛け表示により他の商品とは異なる表示態様とする。
【0056】
このように、商品候補となった商品T11、T12、T13の表示態様を他の商品とは異なる表示態様とすることで、商品T11、T12、T13を判別しやすくしている。また、PLUファイルF1に変更がない限りは商品一覧表T1、T2、T3における商品の並び順に変更がないことから、習熟した店員においては商品一覧表T1、T2、T3における商品の並び順は見慣れたものとなる。したがって、習熟した店員は、表示態様の異なる商品T11、T12、T13の位置から、直感的に商品候補となった商品T11、T12、T13を識別することができ、商品選択を効率的に行うことができる。
【0057】
また、選択画面G10には、商品の分類ごとの商品一覧表T1、T2、T3を切り替える選択ボタンBが表示される。選択ボタンBは、商品候補となった商品が属する分類に対応した選択ボタンB11、B12が他の分類の選択ボタンとは異なる表示態様として網掛け表示される。このように、商品候補となった商品が属する分類に対応した選択ボタンB11、選択ボタンB12の表示態様を他の分類とは異なる表示態様とすることで、商品候補となった商品が属する分類の一覧表を判別しやすくしている。
【0058】
なお、商品選択部1614は、上述した商品T11、12、13、選択ボタンB11、B12における表示態様を互いに異ならせてもよい。例えば、商品選択部1614は、商品T11、T12、T13について、類似度算出部1613により算出された類似度の高い順に網掛け表示の濃さを変化させてもよい。このように、商品候補となっている商品T11、T12、T13について、類似度の高い順に網掛け表示の濃さを変化させることで、類似度算出部1613により類似度が高く算出された商品を分り易くすることができる。同様に、商品選択部1614は、選択ボタンB11、B12について、商品候補となった商品数の多い順に高い順に網掛け表示の濃さを変化させてもよい。
【0059】
図10は、選択画面G20の一例を示す概念図である。
図10に示すように、商品選択部1614は、囲み線表示で表示態様を異ならせてもよい。具体的には、商品T11、T12、T13、選択ボタンB11、B12の枠を囲んで表示する線の線種を、他の商品、選択ボタンと異ならせてもよい(図示例では太線)。また、商品T11、12、13、選択ボタンB11、B12における線種は、類似度の高い順、商品候補となった商品数の多い順に太くして互いに異ならせてもよい。また、商品T11、T12、T13、選択ボタンB11、B12の枠を囲んで表示する線の色を、他の商品、選択ボタンと異ならせてもよい。一般物体認識では、認識対象の商品Gの写り方・角度により、登録されている商品と商品Gとの類似度が変化するため、認識精度が十分でないことがある。したがって、上述したように複数の商品候補を提示させて、操作者の確認を行うことが、一般物体認識を用いて正確な商品登録を行う際に有効である。
【0060】
図11は、選択画面G30の一例を示す概念図である。
図11に示すように、商品選択部1614は、アイコン画像を付与して表示態様を異ならせてもよい。具体的には、商品選択部1614は、商品T11、T12、T13に対応した位置に、商品T11、T12、T13のアイコン画像G31、G32、G33を表示させる。このアイコン画像G31、G32、G33は、商品T11、T12、T13に対応する商品画像をPLUファイルF1より読み出して作成したものであってよい。また、商品選択部1614は、選択ボタンB11、B12に対応した位置に、選択ボタンB11、B12の分類に対応したアイコン画像G41、G42を表示させる。このアイコン画像G41、G42は、分類に属する商品の中から象徴的な商品の商品画像をもとに予め作成したものであってもよいし、分類に属する商品の商品画像をPLUファイルF1よりランダムに読み出して作成したものであってもよい。
【0061】
S173に次いで、商品選択部1614は、選択ボタンBの選択操作による分類の変更の有無を判定する(S174)。選択ボタンBの選択操作により分類の変更がある場合(S174:YES)、商品選択部1614は、S172に処理を戻し、選択ボタンBの選択操作により選択された分類を一覧表示する商品の分類として決定し、選択画面を表示させることとなる。
【0062】
選択ボタンBの選択操作による分類の変更がない場合(S174:NO)、商品選択部1614は、タッチパネル105のタッチ操作により一覧表に表示された商品の選択が行われたか否かを判定する(S175)。商品の選択が行われていない場合(S175:NO)、商品選択部1614はS174へ処理を戻す。商品の選択が行われた場合(S175:YES)、商品選択部1614は、選択された商品を売上登録する商品として(S176)、処理を終了する。
【0063】
図5に戻り、登録商品通知部1615は、商品選択部1614から指示された売上登録する商品に対応する商品IDを、タッチパネル105又はキーボード107を介して別途入力された販売個数とともにPOS端末11に通知する(S18)。ここで、販売個数の入力は、タッチパネル105や表示・操作部104を介して行われるものとするが、その入力方法は特に問わず、例えば表示デバイス106に表示された商品画像に対するタッチ回数を販売個数としてもよい。
【0064】
次いで、CPU161は、POS端末11から商品登録の終了通知等による業務終了の有無を判定する(S19)。業務を継続する場合(S19:No)、CPU161は、S12へ処理を戻して処理を継続させる。業務を終了する場合(S19:Yes)、画像取込部1611は、撮像部164に撮像オフ信号を出力して撮像部164による撮像を終了し(S20)、処理を終了する。
【0065】
次に、POS端末11側の動作について説明する。
図5に示すように、キーボード22の操作指示による商品登録の開始等に応じて処理が開始されると、CPU61は、商品読取装置101から通知された、商品Gの商品IDとその販売個数とを受信する(S31)。
【0066】
次いで、売上登録部611は、S31で受信した商品ID及び販売個数に基づいて、PLUファイルF1から商品種別や単価等を読み出し、商品読取装置101で読み取られた商品Gの売上を登録する(S32)。
【0067】
続いて、CPU61は、キーボード22の操作指示による売上登録の終了等による業務終了の有無を判定する(S33)。業務を継続する場合(S33:No)、CPU61は、S31へ再び戻り処理を継続させる。業務を終了する場合(S33:Yes)、CPU61は処理を終了する。
【0068】
以上のように、情報処理装置としての商品読取装置101では、撮像部164が撮像した画像を取り込み、PLUファイルF1に登録された各商品について、予め記憶された商品の特徴量と、撮像部164で撮像された物体の特徴量とが、どの程度類似しているかを示す類似度を類似度算出部1613で算出する。商品読取装置101の商品選択部1614では、PLUファイルF1をもとに、PLUファイルF1に登録された各商品の一覧表を表示デバイス106に表示させ、一覧表の中で類似度の高い商品の表示態様を、他の商品と異ならせて表示させる。また、商品選択部1614では、一覧表の中の商品の選択をタッチパネル105で受け付ける。したがって、習熟した店員(操作者)は、見慣れた一覧表の中の表示態様が異なる商品の位置から直感的に類似度の高い商品を識別することができ、撮像された物体に対応する商品の選定を、より効率的に行うことができる。
【0069】
なお、本実施形態の各装置で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施形態の各装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0070】
さらに、本実施形態の各装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。また、PLUファイルF1のマスタデータは、POS端末11に記憶される以外に、商品読取装置101が記憶してもよく、また、通信可能なサーバ装置上に記憶されてもよい。
【0071】
本実施形態の各装置で実行されるプログラムは、上述した機能構成を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記機能構成が主記憶装置上にロードされ、主記憶装置上に生成されるようになっている。