特許第5647687号(P5647687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5647687
(24)【登録日】2014年11月14日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】ヒト化抗CDCP1抗体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20141211BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20141211BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20141211BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20141211BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20141211BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20141211BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20141211BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20141211BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20141211BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
   C12N15/00 A
   C07K16/28ZNA
   C07K16/46
   C12P21/08
   C12N1/15
   C12N1/19
   C12N1/21
   C12N5/00 101
   A61K39/395 N
   A61P35/00
【請求項の数】14
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-525932(P2012-525932)
(86)(22)【出願日】2010年8月26日
(65)【公表番号】特表2013-502904(P2013-502904A)
(43)【公表日】2013年1月31日
(86)【国際出願番号】EP2010005244
(87)【国際公開番号】WO2011023389
(87)【国際公開日】20110303
【審査請求日】2012年5月7日
(31)【優先権主張番号】09011046.1
(32)【優先日】2009年8月28日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】10000972.9
(32)【優先日】2010年2月1日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512036384
【氏名又は名称】ロシュ グリクアート アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】アウアー, ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ボッセンマイヤー, ビルギット
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジュ, ギー
(72)【発明者】
【氏名】リフケ, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】メスナー, エッケハルト
(72)【発明者】
【氏名】ニーダーフェルナー, ゲルハルト
【審査官】 菅原 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01396501(EP,A1)
【文献】 特開2007−112734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C12N 15/00−15/09
A61K 39/00−39/44,
49/00−51/00
A61P 1/00−43/00
C07K 1/00−19/00
DB名 UniProt/PDB/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号:3の重鎖可変ドメイン(VH)と、
配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、又は配列番号:24の軽鎖可変ドメイン(VL)を含むことを特徴とするヒトCDCP1に特異的に結合する抗体。
【請求項2】
重鎖可変ドメイン(VH)が配列番号:3であり、
軽鎖可変ドメイン(VL)が配列番号:14である
ことを特徴とする請求項に記載の抗体。
【請求項3】
重鎖可変ドメイン(VH)が配列番号:3であり、
軽鎖可変ドメイン(VL)が配列番号:15である
ことを特徴とする請求項に記載の抗体。
【請求項4】
重鎖可変ドメイン(VH)が配列番号:3であり、
軽鎖可変ドメイン(VL)が配列番号:23である
ことを特徴とする請求項に記載の抗体。
【請求項5】
上記抗体がヒトIgG1サブクラスのものであることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の抗体。
【請求項6】
上記抗体が、糖鎖内のフコースの量が65%以下であるように、Fc領域のAsn297において糖鎖でグリコシル化されることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の抗体。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の体を含有する薬学的組成物。
【請求項8】
癌の治療のための、請求項1から6の何れか一項に記載の抗体。
【請求項9】
癌の治療のための医薬の調製のための、請求項1から6の何れか一項に記載の抗体の使用。
【請求項10】
請求項1から6の何れか一項に記載の体をコードする核酸。
【請求項11】
原核生物又は真核生物宿主細胞中に上記核酸を発現可能な、請求項10に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項12】
請求項11に記載のベクターを含む原核生物又は真核生物細胞。
【請求項13】
原核生物又は真核生物宿主細胞中に請求項10に記載の核酸を発現させ、上記細胞又は細胞培養上清から上記抗体を回収することを特徴とする、請求項1から6の何れか一項に記載の体の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法によって得られる抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトCDCP1に対するヒト化抗体(抗CDCP1抗体)、その製造方法、上記抗体を含む薬学的組成物、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトCDCP1((CUBドメイン含有タンパク質1、B345、CD318、SIMA135、TRASK;配列番号:29及び変異R525Q(つまり、配列番号:29のアミノ酸位置525におけるアルギニン(R)のグルタミン(Q)との置換)及び/又は変異G709D(つまり、配列番号:29のアミノ酸位置709におけるグリセリン(G)のアスパラギン酸(D)との置換)を含む変異体)は3つの細胞外CUBドメインを含む膜貫通タンパク質である。このタンパク質は乳癌、結腸癌及び肺癌において過剰発現することが見出されている。その発現レベルは癌細胞の転移能と相関している(Uekita, T.等, Am. J. Pathol. 172 (2008) 1729-1739)。それは癌細胞株においてチロシンリン酸化されることが示されている。(国際公開第2002/004508号;Scherl-Mostageer, M.等, Oncogene 20 (2001) 4402-8;Hooper, J., D.等, Oncogene 22 (2003) 1783-94;Perry, S., E.等 FEBS Lett. 581 (2007) 1137-42;Brown, T., A.等 J. Biol. Chem. 279 (2004) 14772-14783;Ota, T.等, Nat. Genet. 36 (2004) 40-45)。区別されるアイソフォームをコードする選択的スプライシング転写変異体が報告されている。
【0003】
国際公開第2002/004508号は腫瘍関連抗原B345としてCDCP1に言及している。国際公開第2004/074481号は転移性腫瘍細胞に発現された糖タンパク質抗原SIMA135としてのCDCP1に関している。国際公開第2005/042102号は卵巣癌に関与するタンパク質としてのCDCP1に関している。国際公開第2007/005502号はCDCP1を標的とする疾患の治療方法及び組成物に関している。
【0004】
米国特許出願公開第2004/0053343号(及びConze, T.等, Ann. N. Y. Acad. Sci. 996 (2003) 222-6及びBuehring, H.J.等, Stem Cells 22 (2004) 334-43)はある種の幹細胞集団を同定するためのCDCP1抗体に関する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様は、CUB4抗体(寄託番号DSM ACC2551)の配列番号:1の重鎖可変ドメイン(VH)と配列番号:2の軽鎖可変ドメイン(VL)を含むヒトCDCP1に特異的に結合する抗体において、a)ヒト化されており、b)上記VH配列において、57位にスレオニン(T)の代わりにリジン(K)を、60位にプロリン(P)の代わりにバリン(V)を含むことを特徴とする抗体である(全ての位置はKabatにより番号付けがなされている)。
【0006】
本発明の他の態様は、CUB4抗体(寄託番号DSM ACC2551)の配列番号:1の重鎖可変ドメイン(VH)と配列番号:2の軽鎖可変ドメイン(VL)を含むヒトCDCP1に特異的に結合する抗体において、a)ヒト化されており、b)上記VL配列において、33位にバリン(V)の代わりにロイシン(L)を、47位にトリプトファン(W)を含むことを特徴とする抗体である(全ての位置はKabatにより番号付けがなされている)。
【0007】
本発明の他の態様は、CUB4抗体(寄託番号DSM ACC2551)の配列番号:1の重鎖可変ドメイン(VH)と配列番号:2の軽鎖可変ドメイン(VL)を含むヒトCDCP1に特異的に結合する抗体において、a)ヒト化されており、b)上記VH配列において、57位にスレオニン(T)の代わりにリジン(K)を、60位にプロリン(P)の代わりにバリン(V)を含み;
上記VL配列において、33位にバリン(V)の代わりにロイシン(L)を、47位にトリプトファン(W)を含む抗体である(全ての位置はKabatにより番号付けがなされている)。
【0008】
好ましくは、本発明に係るヒト化抗体は、重鎖可変ドメイン(VH)が配列番号:3であることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、本発明に係るヒト化抗体は、軽鎖可変ドメイン(VL)が配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、又は配列番号:18であることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、本発明に係るヒト化抗体は、
重鎖可変ドメイン(VH)が配列番号:3であり、
軽鎖可変ドメイン(VL)が配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:23、又は配列番号:24であることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、本発明に係るヒト化抗体は、
重鎖可変ドメイン(VH)が配列番号:3であり、
軽鎖可変ドメイン(VL)が配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、又は配列番号:18であることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、本発明に係るヒト化抗体は、上記抗体がヒトIgG1サブクラスであることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、本発明に係るヒト化抗体は、上記抗体がAsn297において糖鎖でグリコシル化され、上記糖鎖内のフコースの量が65%以下であることを特徴とする。
【0014】
本発明の更なる実施態様は、本発明に係るヒト化抗体を含有する薬学的組成物である。
本発明の更なる実施態様は、癌の治療のための本発明に係るヒト化抗体を含有する上記薬学的組成物である。
【0015】
本発明は癌の治療のための本発明に係るヒト化抗体を更に含む。
本発明は癌の治療のための医薬の調製のための本発明に係るヒト化抗体の使用を更に含む。
本発明は本発明に係るヒト化抗体をコードする核酸を提供する。本発明は、原核生物又は真核生物宿主細胞中に上記核酸を発現可能な本発明に係る核酸を含む発現ベクター、及び本発明に係る抗体の組換え生産のためにかかるベクターを含む宿主細胞を更に提供する。
【0016】
本発明は本発明に係るベクターを含む原核生物又は真核生物宿主細胞を更に含む。
【0017】
本発明は、原核生物又は真核生物宿主細胞中に本発明に係る核酸を発現させ、上記細胞又は細胞培養上清から上記抗体を回収することを特徴とする、本発明に係る組換えヒト化抗体の製造方法を更に含む。本発明はかかる組換え方法によって得られる抗体を更に含む。
【0018】
本発明は、癌に罹患している患者を治療する方法であって、本発明に係る抗体の有効量をかかる疾患を有しており(従ってかかる治療法を必要としている)と診断された患者に投与することを含む方法を提供する。該抗体は好ましくは薬学的組成物で投与される。
【0019】
驚いたことに、本発明に係るCDCP1抗体CUB4の特定のヒト化型が従来技術において知られているヒト化由来の他のヒト化型と比較して改善されたCDCP1結合特性を示すことが今見出された。これは、CDRH2、及び/又はCDRL1及び軽鎖のフレームワークにおける特定のアミノ酸変化による。驚いたことに、本発明に係るCDCP1抗体CUB4の特定のヒト化型は、キメラ及びマウスCUB4抗体と比較して改善されたインビボ腫瘍増殖阻害を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
CUB4抗体は、配列番号:1の重鎖可変ドメイン(VH)と配列番号:2の軽鎖可変ドメイン(VL)を有するDE10242146(EP1396501、US7541030)からの寄託番号DSM ACC2551(DSMZ)で寄託された抗体を意味する。上記CUB4抗体はヒトCDCP1に特異的に結合する。(番号DSM ACC2551(DSMZ)の寄託はEberhard-Karls-University Tuebingen, Univcrsitaetsklinikum Tuebingen, Geissweg 3 72076 Tuebingenによってなされた。)
【0021】
ここで使用される「ヒト化されている」なる用語は、配列番号:1のVH及び配列番号:2のVLを有するマウスCUB4抗体に基づいて、ヒト定常領域でのキメラ化後に)上記VH及びVLが、ヒト抗体のフレームワーク領域中にマウスCDRをグラフトさせることによってヒト化されている抗体を意味する(例えばRiechmann, L.等, Nature 332 (1988) 323-327;及びNeuberger, M., S.等, Nature 314 (1985) 268-270;Queen, C.等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 10029-10033;米国特許第5530101号;米国特許第5585089号;米国特許第5693761号;国際公開第90/07861号;及び米国特許第5225539号を参照)。重鎖及び軽鎖可変フレームワーク領域は同じ又は異なったヒト抗体配列由来でありうる。ヒト抗体配列天然に生じるヒト抗体の配列でありうる。ヒト重鎖及び軽鎖可変フレームワーク領域は例えばLefranc, M.P., Current Protocols in Immunology (2000) - Appendix 1P A.1P.1-A.1P.37に列挙され、IMGT,international ImMunoGeneTics information system(登録商標)(http://imgt.cines.fr)又はhttp://vbase.mrc-cpe.cam.ac.ukを介してアクセス可能である。
【0022】
本発明に係るヒト化抗体は、加えて、
a)VHのCDRH2中の特定の変異(変異T57K及びP60V)、及び/又は
b)VLのCDRL1(変異V33L)及びVLのフレームワーク領域に特定の変異(47位bにおけるヒトVLフレームワークアミノ酸からマウスアミノ酸Wへの逆変異)を有している。
【0023】
驚いたことに、ヒト化CUB4抗体におけるこのような変異は、(そのような修飾のないヒト化CUB4抗体と比較して)改善された結合特性を生じる。更に、CDR及び/又はフレームワークにおけるそのような修飾は、(キメラ及びマウス親抗体と比較して)改善されたインビボ増殖阻害を有する本発明に係るヒト化抗体を生じる。
【0024】
本発明の一態様は、CUB4抗体(寄託番号DSM ACC2551)の配列番号:1の重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号:2の軽鎖可変ドメイン(VL)を含むヒトCDCP1に特異的に結合する抗体において、
ヒト化されており、上記VH配列において、(CDRH2において)57位にスレオニン(T)の代わりにリジン(K)を、(CDRH2において)60位にプロリン(P)の代わりにバリン(V)を含む(全ての位置はKabatに従って番号付けられている)ことを特徴とする抗体である。これは、配列番号:1がVHのCDRH2に変異T57K及びP60Vを含むことを意味している。
【0025】
本発明の他の態様は、CUB4抗体(寄託番号DSM ACC2551)の配列番号:1の重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号:2の軽鎖可変ドメイン(VL)を含むヒトCDCP1に特異的に結合する抗体において、
ヒト化されており、上記VL配列において、(CDRH1において)33位にバリン(V)の代わりにロイシン(L)を、47位にトリプトファン(W)を(ヒトVLフレームワーク領域からのアミノ酸の代わりに)含む(全ての位置はKabatに従って番号付けられている)ことを特徴とする抗体である。これは、配列番号:2がCDRL1に変異V33Lを、フレームワーク領域VL中において47位においてヒトからマウスアミノ酸Wへの逆変異を含むことを意味する。
【0026】
本発明の他の態様は、CUB4抗体(寄託番号DSM ACC2551)の配列番号:1の重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号:2の軽鎖可変ドメイン(VL)を含むヒトCDCP1に特異的に結合する抗体において、
ヒト化されており、上記VH配列において、(CDRH2において)57位にスレオニン(T)の代わりにリジン(K)を、(CDRH2において)60位にプロリン(P)の代わりにバリン(V)を含み、
上記VL配列において、33位にバリン(V)の代わりにロイシン(L)を、47位にトリプトファン(W)を含む(全ての位置はKabatに従って番号付けられている)ことを特徴とする抗体である。これは、配列番号:1がVHのCDRH2に変異T57K及びP60Vを含み、配列番号:2がCDRL1に変異V33Lを、VLのフレームワーク領域中において47位においてヒトからマウスアミノ酸Wへの逆変異を含むことを意味する。
【0027】
本発明の他の態様は、CUB4抗体(寄託番号DSM ACC2551)の配列番号:1の重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号:2の軽鎖可変ドメイン(VL)を含むヒトCDCP1に特異的に結合する抗体において、
ヒト化されており、上記VL配列において、
(CDRL1において)33位にバリン(V)の代わりにロイシン(L)を、
47位にトリプトファン(W)を(ヒトVLフレームワーク領域からのアミノ酸の代わりに)含むことを特徴とし、更に上記VL配列において、
21位にメチオニン(M)を(ヒトVLフレームワーク領域からのアミノ酸の代わりに)(更に)含む(全ての位置はKabatに従って番号付けられている)ことを更に特徴とする。
【0028】
本発明の他の態様は、CUB4抗体(寄託番号DSM ACC2551)の配列番号:1の重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号:2の軽鎖可変ドメイン(VL)を含むヒトCDCP1に特異的に結合する抗体において、
ヒト化されており、
上記VH配列において、
(CDRH2において)57位にスレオニン(T)の代わりにリジン(K)を、(CDRH2において)60位にプロリン(P)の代わりにバリン(V)を含み;
上記VL配列において、
(CDRH2において)57位にスレオニン(T)の代わりにリジン(K)を、(CDRH2において)60位にプロリン(P)の代わりにバリン(V)を含み;
上記VL配列において、
33位にバリン(V)の代わりにロイシン(L)を、(ヒトVLフレームワーク領域からのアミノ酸の代わりに)47位にトリプトファン(W)を含み;
上記VL配列において、
21位にメチオニン(M)を(ヒトVLフレームワーク領域からのアミノ酸の代わりに)(更に)含む(全ての位置はKabatに従って番号付けられている)ことを更に特徴とする。
【0029】
本発明の他の態様は、CUB4抗体(寄託番号DSM ACC2551)の配列番号:1の重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号:2の軽鎖可変ドメイン(VL)を含むヒトCDCP1に特異的に結合する抗体において、
ヒト化されており、上記VL配列において、
(CDRH1において)33位にバリン(V)の代わりにロイシン(L)を、(ヒトVLフレームワーク領域からのアミノ酸の代わりに)47位にトリプトファン(W)を含み;
上記VL配列において、
(ヒトVLフレームワーク領域からのアミノ酸の代わりに)21位にメチオニン(M)を;(CDRL1において)24位にセリン(S)の代わりにグリシン(G)又はアルギニン(R)を、(CDRL1において)25位にバリン(V)の代わりにアラニン(A)を(更に)含む(全ての位置はKabatに従って番号付けられている)ことを更に特徴とする。
【0030】
本発明の他の態様は、CUB4抗体(寄託番号DSM ACC2551)の配列番号:1の重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号:2の軽鎖可変ドメイン(VL)を含むヒトCDCP1に特異的に結合する抗体において、
ヒト化されており、
上記VH配列において、
(CDRH2において)57位にスレオニン(T)の代わりにリジン(K)を、(CDRH2において)60位にプロリン(P)の代わりにバリン(V)を含み;
上記VL配列において、
33位にバリン(V)の代わりにロイシン(L)を、(ヒトVLフレームワーク領域からのアミノ酸の代わりに)47位にトリプトファン(W)を含み;
上記VL配列において、
(ヒトVLフレームワーク領域からのアミノ酸の代わりに)21位にメチオニン(M)を;(CDRL1において)24位にセリン(S)の代わりにグリシン(G)又はアルギニン(R)を、(CDRL1において)25位にバリン(V)の代わりにアラニン(A)を(更に)含む(全ての位置はKabatに従って番号付けられている)ことを更に特徴とする。
【0031】
本発明の他の態様は、CUB4抗体(寄託番号DSM ACC2551)の配列番号:1の重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号:2の軽鎖可変ドメイン(VL)を含むヒトCDCP1に特異的に結合する抗体において、
ヒト化されており、上記VL配列において、
33位にバリン(V)の代わりにロイシン(L)を、(ヒトVLフレームワーク領域からのアミノ酸の代わりに)47位にトリプトファン(W)を含み;
上記VL配列において、
(CDRL1において)24位にセリン(S)の代わりにアルギニン(R)を、(CDRL1において)25位にバリン(V)の代わりにアラニン(A)を(更に)含む(全ての位置はKabatに従って番号付けられている)ことを更に特徴とする。
【0032】
本発明の他の態様は、CUB4抗体(寄託番号DSM ACC2551)の配列番号:1の重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号:2の軽鎖可変ドメイン(VL)を含むヒトCDCP1に特異的に結合する抗体において、
ヒト化されており、
上記VH配列において、
(CDRH2において)57位にスレオニン(T)の代わりにリジン(K)を、(CDRH2において)60位にプロリン(P)の代わりにバリン(V)を含み、
上記VL配列において、
33位にバリン(V)の代わりにロイシン(L)を、(ヒトVLフレームワーク領域からのアミノ酸の代わりに)47位にトリプトファン(W)を含み;
(CDRL1において)24位にセリン(S)の代わりにアルギニン(R)を、(CDRL1において)25位にバリン(V)の代わりにアラニン(A)を(更に)含む(全ての位置はKabatに従って番号付けられている)ことを更に特徴とする。
【0033】
本発明の一実施態様では、本発明に係るヒト化抗体は、重鎖可変ドメイン(VH)が配列番号:3であることを特徴とする。
【0034】
本発明の他の実施態様では、本発明に係るヒト化抗体は、軽鎖可変ドメイン(VL)が配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、又は配列番号:18であることを特徴とする。
【0035】
本発明の他の実施態様では、本発明に係るヒト化抗体は、
重鎖可変ドメイン(VH)が配列番号:3であり、
軽鎖可変ドメイン(VL)が配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:23、又は配列番号:24であることを特徴とする。
【0036】
本発明の他の実施態様では、本発明に係るヒト化抗体は、
重鎖可変ドメイン(VH)が配列番号:3であり、
軽鎖可変ドメイン(VL)が配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、又は配列番号:18であることを特徴とする。
【0037】
本発明の他の実施態様では、本発明に係るヒト化抗体は、
重鎖可変ドメイン(VH)が配列番号:3であり、
軽鎖可変ドメイン(VL)が配列番号:14であることを特徴とする。
【0038】
本発明の他の実施態様では、本発明に係るヒト化抗体は、
重鎖可変ドメイン(VH)が配列番号:3であり、
軽鎖可変ドメイン(VL)が配列番号:15であることを特徴とする。
【0039】
本発明の他の実施態様では、本発明に係るヒト化抗体は、
重鎖可変ドメイン(VH)が配列番号:3であり、
軽鎖可変ドメイン(VL)が配列番号:16であることを特徴とする。
【0040】
本発明の他の実施態様では、本発明に係るヒト化抗体は、
重鎖可変ドメイン(VH)が配列番号:3であり、
軽鎖可変ドメイン(VL)が配列番号:17であることを特徴とする。
【0041】
本発明の他の実施態様では、本発明に係るヒト化抗体は、
重鎖可変ドメイン(VH)が配列番号:3であり、
軽鎖可変ドメイン(VL)が配列番号:18であることを特徴とする。
【0042】
本発明の他の実施態様では、本発明に係るヒト化抗体は、
重鎖可変ドメイン(VH)が配列番号:3であり、
軽鎖可変ドメイン(VL)が配列番号:23であることを特徴とする。
【0043】
本発明の他の実施態様では、本発明に係るヒト化抗体は、上記抗体がヒトIgG1サブクラスのものであることを特徴とする。
【0044】
本発明の他の実施態様では、本発明に係るヒト化抗体は、上記抗体がAsn297において糖鎖でグリコシル化され、上記糖鎖内のフコースの量が65%以下であることを特徴とする。
【0045】
本発明に係るヒト化抗体の好ましい実施態様は、表1に示されるように、ヒト化重鎖可変ドメインVH及びヒト化軽鎖可変ドメインVLの次の組み合わせの一つによって特徴付けられる(次の実施例番号を参照のこと)。
よって、本発明の一実施態様は、配列番号:3の重鎖可変ドメイン(VH)を含むことを特徴とするヒトCDCP1に特異的に結合する抗体である。
【0046】
本発明の一実施態様は、
配列番号:3の重鎖可変ドメイン(VH)と、
配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、又は配列番号:24の軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含むことを特徴とするヒトCDCP1に特異的に結合する抗体である。
【0047】
本発明の一実施態様は、
配列番号:3の重鎖可変ドメイン(VH)と、
配列番号:14の軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含むことを特徴とするヒトCDCP1に特異的に結合する抗体である。
【0048】
本発明の一実施態様は、
配列番号:3の重鎖可変ドメイン(VH)と、
配列番号:15の軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含むことを特徴とするヒトCDCP1に特異的に結合する抗体である。
【0049】
本発明の一実施態様は、
配列番号:3の重鎖可変ドメイン(VH)と、
配列番号:16の軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含むことを特徴とするヒトCDCP1に特異的に結合する抗体である。
【0050】
本発明の一実施態様は、
配列番号:3の重鎖可変ドメイン(VH)と、
配列番号:17の軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含むことを特徴とするヒトCDCP1に特異的に結合する抗体である。
【0051】
本発明の一実施態様は、
配列番号:3の重鎖可変ドメイン(VH)と、
配列番号:18の軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含むことを特徴とするヒトCDCP1に特異的に結合する抗体である。
【0052】
本発明の一実施態様は、
配列番号:3の重鎖可変ドメイン(VH)と、
配列番号:19の軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含むことを特徴とするヒトCDCP1に特異的に結合する抗体である。
【0053】
本発明の一実施態様は、
配列番号:3の重鎖可変ドメイン(VH)と、
配列番号:20の軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含むことを特徴とするヒトCDCP1に特異的に結合する抗体である。
【0054】
本発明の一実施態様は、
配列番号:3の重鎖可変ドメイン(VH)と、
配列番号:21の軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含むことを特徴とするヒトCDCP1に特異的に結合する抗体である。
【0055】
本発明の一実施態様は、
配列番号:3の重鎖可変ドメイン(VH)と、
配列番号:22の軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含むことを特徴とするヒトCDCP1に特異的に結合する抗体である。
【0056】
本発明の一実施態様は、
配列番号:3の重鎖可変ドメイン(VH)と、
配列番号:23の軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含むことを特徴とするヒトCDCP1に特異的に結合する抗体である。
【0057】
本発明の一実施態様は、
配列番号:3の重鎖可変ドメイン(VH)と、
配列番号:24の軽鎖可変ドメイン(VL)と
を含むことを特徴とするヒトCDCP1に特異的に結合する抗体である。
【0058】
本発明に係るヒト化抗体の更に好ましい実施態様は、表2に示されるように、ヒト化重鎖可変ドメインVH及びヒト化軽鎖可変ドメインVLの次の組み合わせの一つによって特徴付けられる。そのような組合せは表2に示されるように次の実施例番号のヒトを含む。
【0059】
よって、本発明の一実施態様は、
配列番号:3の重鎖可変ドメイン(VH)
を含むことを特徴とするヒトCDCP1に特異的に結合する抗体である。
【0060】
本発明の一実施態様は、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、又は配列番号:18の軽鎖可変ドメイン(VL)を含むことを特徴とするヒトCDCP1に特異的に結合する抗体である。
【0061】
本発明の一実施態様は、
配列番号:3の重鎖可変ドメイン(VH)と、
配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、又は配列番号:18の軽鎖可変ドメイン(VL)
を含むことを特徴とするヒトCDCP1に特異的に結合する抗体である。
【0062】
「Kabat番号付け」又は「Kabatによる番号付け」又は「EUインデックス」なる用語は、別の記載がない限り、Kabat等(Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5版, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991))におけるEUインデックスを使用する、例えばIgG抗体中における、残基の番号付けとして定義される。
【0063】
ここで使用される「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体組成物」なる用語は、単一のアミノ酸組成の抗体分子の調製物を意味する。
【0064】
「キメラ抗体」なる用語は、通常は組換えDNA技術によって調製される、マウス由来の可変領域、すなわち結合領域と、異なる供給源又は種由来の定常領域の少なくとも一部を含むモノクローナル抗体を意味する。マウス可変領域及びヒト定常領域を含むキメラ抗体が特に好ましい。そのようなマウス/ヒトキメラ抗体は、マウス免疫グロブリン可変領域をコードするDNAセグメントと、ヒト免疫グロブリン定常領域をコードするDNAセグメントを含む発現された免疫グロブリン遺伝子の産物である。本発明によって包含される「キメラ抗体」の他の形態は、クラス又はサブクラスが元の抗体のものから改変され又は変化されたものである。そのような「キメラ」抗体はまた「クラススイッチ抗体」と称される。キメラ抗体を生産するための方法は、今は当該技術分野においてよく知られている一般的な組換えDNA及び遺伝子トランスフェクション技術を含む(例えば、Morrison, S.L.等, Proc. Natl. Acad Sci. USA 81 (1984) 6851-6855;米国特許第5202238号及び第5204244号を参照のこと)。
【0065】
ヒトCDCP1((CUBドメイン含有タンパク質1、B345、CD318、SIMA135、TRASK;配列番号:29及び変異R525Q(つまり、配列番号:29のアミノ酸位置525におけるアルギニン(R)のグルタミン(Q)での置換)及び/又は変異G709D(つまり、配列番号:29のアミノ酸位置709におけるグリセリン(G)のアスパラギン酸(D)での置換)を含む変異体)は3つの細胞外CUBドメインを含む膜貫通タンパク質である。このタンパク質は乳癌、結腸癌及び肺癌において過剰発現することが見出されている。その発現レベルは癌細胞の転移能と相関している(Uekita, T.等, Am. J. Pathol. 172 (2008) 1729-1739)。それは癌細胞株においてチロシンリン酸化されることが示されている。(国際公開第2002/004508号; Scherl-Mostageer, M.等, Oncogene 20 (2001) 4402-8; Hooper, J., D.等, Oncogene 22 (2003) 1783-94; Perry, S., E.等 FEBS Lett. 581 (2007) 1137-42; Brown, T., A.等 J. Biol. Chem. 279 (2004) 14772-14783; Ota, T.等, Nat. Genet. 36 (2004) 40-45)。区別されるアイソフォームをコードする選択的スプライシング転写変異体が報告されている。
【0066】
ここで使用される場合、「ヒトCDCP1に特異的に結合する」とは、ヒトCDCP1抗原に特異的に結合する抗体を意味する。結合親和性は、1.0×10−8mol/l以下(例えば1.0×10−8mol/lから1.0×10−13mol/l)のKD値、好ましくは5.0×10−9mol/l以下(例えば5.0×10−9mol/lから1.0×10−13mol/l)のKD値である。結合親和性は、標準的な結合アッセイ、例えば表面プラズモン共鳴技術(Biacore(登録商標))を用いて決定される。
【0067】
「エピトープ」なる用語は、抗体への特異的結合が可能であるヒトCDCP1のタンパク質決定基を意味する。エピトープは、通常、アミノ酸又は糖側鎖のような分子の化学的に活性な表面グルーピングからなり、通常はエピトープは特異的な三次元構造特性、並びに特異的な電荷特性を有する。コンフォメーション及び非コンフォメーションエピトープは、後者ではなく前者への結合が変性溶媒の存在下で失われることで識別される。
【0068】
ここで使用される「可変ドメイン」(軽鎖の可変ドメイン(VL)、重鎖の可変ドメイン(VH))は、抗体を抗原に結合させることに直接関与する軽鎖及び重鎖の対のそれぞれを示す。可変軽鎖及び重鎖のドメインは、同じ一般構造を有し、各ドメインは、配列が広く保存され、3個の「高頻度可変領域」(又は相補性決定領域、CDR)によって連結される、4個のフレームワーク(FR)領域を含む。フレームワーク領域は、βシートコンフォメーションを採り、CDRは、βシート構造を連結するループを形成しうる。各鎖のCDRは、フレームワーク領域によって三次元構造に保持され、もう一方の鎖由来のCDRと共に抗原結合部位を形成する。抗体の重鎖及び軽鎖CDR3領域は、本発明に係る抗体の結合特異性/親和性に特に重要な役割を果たし、よって本発明の更なる目的を提供する。
【0069】
「フレームワーク」又は「FR」領域は、ここで定義された高頻度可変領域残基以外の可変ドメイン領域である。従って、抗体の軽鎖及び重鎖可変ドメインは、N末端からC末端までドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4を含む。CDR及びFR領域は、Kabat等、Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5版, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(1991)の標準的な定義に従って決定され、及び/又は「高頻度可変ループ」からの残基である。
【0070】
ここで使用される場合の「抗体の抗原結合部分」なる用語は、抗原結合が起因する抗体のアミノ酸残基を意味する。抗体の抗原結合部分は、「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基を含む。本発明の抗体の「抗原結合部分」なる用語は、抗原に対する結合部位の親和性に様々な度合いで寄与する6つの相補性決定領域(CDR)を含んでいる。3つの重鎖可変ドメインCDRs(CDRH1、CDRH2及びCDRH3)及び3つの軽鎖可変ドメインCDRs(CDRL1、CDRL2及びCDRL3)が存在する。「CDRH1」なる用語は、Kabatによって計算される重鎖可変領域のCDR1領域を示す。CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、重鎖(H)又は軽鎖(L)からの各領域を意味する。CDR及びフレームワーク領域(FRs)の度合いは、その領域が上掲のKabat等に従って配列間の可変性に従って定義されているアミノ酸配列の編集されたデータベースとの比較によって決められる。
【0071】
「核酸」又は「核酸分子」なる用語は、ここで使用される場合、DNA分子及びRNA分子を含むことが意図される。核酸分子は、一本鎖又は二本鎖でありうるが、好ましくは二本鎖DNAである。
【0072】
この出願内で使用される「アミノ酸」なる用語は、アラニン(3文字コード:ala、1文字コード:A)、アルギニン(arg、R)、アスパラギン(asn、N)、アスパラギン酸(asp、D)、システイン(cys、C)、グルタミン(gln、Q)、グルタミン酸(glu、E)、グリシン(gly、G)、ヒスチジン(his、H)、イソロイシン(ile、I)、ロイシン(leu、L)、リジン(lys、K)、メチオニン(met、M)、フェニルアラニン(phe、F)、プロリン(pro、P)、セリン(ser、S)、トレオニン(thr、T)、トリプトファン(trp、W)、チロシン(tyr、Y)及びバリン(val、V)を含む天然に存在するカルボキシα−アミノ酸の群を意味する。
【0073】
本発明に係る抗体は、定常領域がヒト由来のものであり、好ましくはヒトIgG1サブクラスのものであることを特徴とする。定常領域は、抗体の重鎖及び軽鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、N末端からC末端方向に、抗体定常重鎖ドメイン1(CH1)、抗体ヒンジ領域(HR)、抗体重鎖定常ドメイン2(CH2)、及び抗体重鎖定常ドメイン3(CH3)、及び場合によってはサブクラスIgEの抗体の場合、抗体重鎖定常ドメイン4(CH4)を含む。軽鎖定常領域は抗体軽鎖定常ドメイン(CL)を含む。抗体軽鎖定常ドメイン(CL)はκ(カッパ)又はλ(ラムダ)でありうる。そのような定常鎖は従来からよく知られており、例えばKabat, E.A.によって記載されている (例えばJohnson, G.及びWu, T., T., Nucleic Acids Res. 28 (2000) 214-218を参照のこと)。例えば、IgG1サブクラスの有用なヒト重鎖定常領域は、配列番号:26のアミノ酸配列を含む。例えば、有用なヒト軽鎖定常領域は、配列番号:27のκ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含み;他の有用なヒト軽鎖定常領域は配列番号:28のλ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。
【0074】
抗体の「Fc部分」は、抗原への抗体の結合に直接的には関与していないが、様々なエフェクター機能を示す。「抗体のFc部分」は当業者にはよく知られた用語であり、抗体のパパイン切断に基づいて定義される。その重鎖の定常領域のアミノ酸配列に依存して、抗体又は免疫グロブリンはIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMというクラスに分類され、これらの幾つかはサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、IgA1、及びIgA2に更に分類されうる。重鎖定常領域によれば、異なるクラスの免疫グロブリンは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
【0075】
抗体のFc部分は、補体活性化、C1q結合及びFcレセプター結合に基づいて、ADCC(抗体依存性細胞媒介細胞傷害性)及びCDC(補体依存性細胞傷害性)に直接的に関与する。補体活性化(CDC)は、殆どのIgG抗体サブクラスのFc部分への補体因子C1qの結合によって開始される。補体系に対する抗体の影響はある種の条件に依存するが、C1qへの結合は、Fc部分において定義された結合部位によって引き起こされる。このような結合部位は従来から知られており、例えばBoakle, R.J.等, Nature 282 (1979) 742-743;Lukas, T.J.等, J. Immunol. 127 (1981) 2555-2560;Brunhouse, R.及びCebra, J.J., Mol. Immunol. 16 (1979) 907-917;Burton, D.R.等, Nature 288 (1980) 338-344; Thommesen, J.E.等, Mol. Immunol. 37 (2000) 995-1004;Idusogie, E.E.等, J. Immunol.164 (2000) 4178-4184;Hezareh, M.等, J. Virology 75 (2001) 12161-12168;Morgan, A.等, Immunology 86 (1995) 319-324; EP0307434によって記載されている。このような結合部位は、例えばL234、L235、D270、N297、E318、K320、K322、P331及びP329(Kabat, E.A.のEUインデックスによる番号付け、以下を参照)である。サブクラスIgG1、IgG2及びIgG3の抗体は、通常、補体活性化及びC1q及びC3結合を示す一方、IgG4は補体系を活性化せず、C1q及びC3に結合しない。
【0076】
本発明に係る抗体は、ヒト起源由来のFc部分、好ましくはヒト定常領域の全ての他の部分を含む。ここで使用される場合、「ヒト起源由来のFc部分」なる用語は、サブクラスIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のヒト抗体のFc部分、好ましくは、ヒトIgG1サブクラスのFc部分、ヒトIgG1サブクラス由来の変異Fc部分(好ましくはL234A+L235Aの変異を持つもの)、ヒトIgG4サブクラス由来のFc部分又はヒトIgG4サブクラス由来の変異Fc部分(好ましくはS228Pの変異を持つもの)を示す。最も好ましいものは、配列番号:26又は31のヒトIgGサブクラス、変異L234A及びL235Aを有するヒトIgGサブクラス、配列番号:32のヒトIgGサブクラス、又は変異S228Pを有するヒトIgG4サブクラスのヒト重鎖定常領域である。
【0077】
「抗体依存性細胞性細胞傷害性(ADCC)」なる用語は、エフェクター細胞の存在下での本発明に係る抗体によるヒト標的細胞の溶解を意味する。ADCCは、好ましくは、新鮮に単離されたPBMCのようなエフェクター細胞又は単球もしくはナチュラルキラー(NK)細胞又は永久に増殖するNK細胞株のようなバフィコート由来の精製エフェクター細胞の存在下でCDCP1発現細胞調製物を本発明に係る抗体で処理することによって測定される。
【0078】
「補体依存性細胞傷害性(CDC)」なる用語は、殆どのIgG抗体サブクラスのFc部分への補体因子C1qの結合により開始されるプロセスを意味する。抗体へのC1qの結合は、いわゆる結合部位における定まったタンパク質間相互作用によって引き起こされる。このようなFc部分結合部位は従来から知られている(上記を参照)。このようなFc部分結合部位は、例えばアミノ酸L234、L235、D270、N297、E318、K320、K322、P331、及びP329(KabatのEUインデックスによる番号付け)によって特徴付けられる。サブクラスIgG1、IgG2,及びIgG3の抗体は、C1q及びC3結合を含む補体活性化を通常示す一方、IgG4は補体系を活性化させず、C1q及び/又はC3に結合しない。
【0079】
モノクローナル抗体の細胞媒介性エフェクター機能は、例えば、Umana, P. 等, Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180、及び米国特許第6602684号に記載されているように、それらのオリゴ糖成分を操作することにより亢進せしめることができる。IgG1型抗体は、最も一般的に使用される治療用抗体であり、各CH2ドメインのAsn297に保存されたN結合型グリコシル化部位を有する糖タンパク質である。Asn297に結合する2つの二分複合オリゴ糖は、CH2ドメイン間に埋め込まれ、ポリペプチド骨格との広範な接触を形成し、それらの存在は、抗体が抗体依存性細胞傷害性(ADCC)等のエフェクター機能を媒介する上で必須である(Lifely, M.R.等, Glycobiology 5 (1995) 813-822;Jefferis, R. 等, Immunol. Rev. 163 (1998) 59-76;Wright, A.及び Morrison, S.L., Trends Biotechnol. 15 (1997) 26-32)。Umana, P. 等(Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180及び国際公開第99/54342号は、二分オリゴ糖の形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼであるβ(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(「GnTIII」)のチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における過剰発現が、抗体のインビトロADCC活性を有意に増大させることを示している。Asn297糖鎖の組成の改変又はその消失は、FcγR及びC1qに対する結合にも影響を与える(Umana, P. 等, Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180;Davies, J. 等, Biotechnol. Bioeng. 74 (2001) 288-294;Mimura, Y. 等, J. Biol. Chem. 276 (2001) 45539-45547;Radaev, S. 等, J. Biol. Chem. 276 (2001) 16478-16483;Shields, R.L. 等, J. Biol. Chem. 276 (2001) 6591-6604;Shields, R.L. 等, J. Biol. Chem. 277 (2002) 26733-26740;Simmons, L.C. 等, J. Immunol. Methods 263 (2002) 133-147)。
【0080】
モノクローナル抗体の細胞媒介性エフェクター機能を亢進せしめる方法は、例えば国際公開第2005/044859号、国際公開第2004/065540号、国際公開第2007/031875号、Umana, P.等, Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180、国際公開第99/154342号、国際公開第2005/018572号、国際公開第2006/116260号、国際公開第2006/114700号、国際公開第2004/065540号、国際公開第2005/011735号、国際公開第2005/027966号、国際公開第1997/028267号、米国特許出願公開第2006/0134709号、米国特許出願公開第2005/0054048号、米国特許出願公開第2005/0152894号、国際公開第2003/035835号及び国際公開第2000/061739号又は例えばNiwa, R.等, J. Immunol. Methods 306 (2005) 151-160;Shinkawa, T.等, J. Biol. Chem. 278 (2003) 3466-3473;国際公開第03/055993号及び米国特許出願公開第2005/0249722号に報告されている。
【0081】
よって、本発明の一実施態様では、本発明に係る抗体は、(もしそれがIgG1又はIgG3サブクラスのFc部分を含むならば)Asn297での糖鎖で(Kabatによる番号付け)上記糖鎖内のフコースの量が65%以下であるようにグリコシル化されている。他の実施態様では、上記糖鎖内のフコースの量は5%〜65%、好ましくは20%〜40%である。別の実施態様では、フコースの量はAsn297におけるFc領域のオリゴ糖の0%である。本発明において「Asn297」は、Fc領域のおよそ297位に位置するアミノ酸アスパラギンを意味する。抗体の軽微な配列変異に基づいて、Asn297は、幾つかのアミノ酸(通常は、±3アミノ酸以下)を隔てて297位の上流又は下流に、つまり、294位と300位の間に位置する場合がある。一実施態様では、本発明に係るグリコシル化抗体において、IgGサブクラスは、ヒトIgG1サブクラス、又はIgG3サブクラスのものである。更なる実施態様では、上記糖類内において、N−グリコリルノイラミン酸(NGNA)量は1%以下、及び/又はN末端α−1,3−ガラクトースの量は1%以下である。糖鎖は、好ましくはCHO細胞で組換的に発現される抗体のAsn297に結合したN結合型グリカンの特徴を示す。
【0082】
「CHO細胞で組換的に発現される抗体のAsn297に結合したN結合型グリカンの特徴を示す」という用語は、本発明に係る抗体のAsn297における糖鎖が、フコース残基を除き、例えば国際公開第2006/103100号に報告されたもののように、未修飾CHO細胞に発現された同じ抗体のものとオース残基を除いて同じ構造及び糖残基を有していることを示している。
【0083】
この出願中に使用される「NGNA」なる用語は、糖残基N−グリコリルノイラミン酸を意味する。
【0084】
コアがフコシル化された二分岐複合オリゴ糖グリコシル化が2個までのGal残基で終端するので、ヒトIgG1又はIgG3のグリコシル化はAsn297で生じる。IgG1又はIgG3サブクラスのヒト重鎖定常領域は、上掲のKabat, E.A.等、及び Bruggemann, M. 等, J. Exp. Med. 166 (1987) 1351-1361;Love, T.W.等, Methods Enzymol. 178 (1989) 515-527に詳細に報告されている。これらの構造は、末端Gal残基の量に依存して、G0、G1(α−1,6−又はα−1,3−)、又はG2グリカン残基と命名される(Raju, T.S., Bioprocess Int. 1 (2003) 44-53)。抗体Fc部分のCHO型のグリコシル化は、例えばRoutier, F.H., Glycoconjugate J. 14 (1997) 201-207に記載されている。非糖修飾CHO宿主細胞に組換的に発現される抗体は、通常、Asn297において、少なくとも85%の量でフコシル化されている。抗体の修飾オリゴ糖はハイブリッド又は複合でありうる。好ましくは、二分岐の還元/非フコシル化オリゴ糖はハイブリッドである。他の実施態様では、二分岐の還元/非フコシル化オリゴ糖は複合である。
【0085】
本発明によれば、「フコースの量」とは、MALDI-TOF質量分析法によって測定され、平均値として算出されるAsn297に結合した全ての糖構造(例えば、複合、ハイブリッド及び高マンノース構造)の合計に関連した、Asn297での糖鎖内の前記糖の量を意味する(例えば国際公開第2008/077546号を参照)。フコースの相対量は、MALDI-TOFによる、N−グリコシダーゼFで処理したサンプル中で同定された全ての糖鎖構造(例えば、複合、ハイブリッド及び高マンノース構造それぞれ)に対するフコース含有構造の割合である。
【0086】
本発明に係る抗体は好ましくは組換え手段によって生産される。このような方法は従来から広く知られており、原核及び真核細胞におけるタンパク質の発現と続く抗体ポリペプチドの単離及び通常は薬物学的に許容可能な純度までの精製を含む。タンパク質の発現のためには、軽鎖及び重鎖をコードする核酸又はその断片が標準的な方法によって発現ベクター中に挿入される。発現は、CHO細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、HEK293細胞、COS細胞、酵母、又は大腸菌細胞等の適切な原核又は真核宿主細胞において実施され、抗体は細胞(上清又は溶解後の細胞)から回収される。
【0087】
抗体の組換え生産は従来からよく知られており、例えば、Makrides, S.C., Protein Expr. Purif. 17 (1999) 183-202; Geisse, S.等, Protein Expr. Purif. 8 (1996) 271-282; Kaufman, R.J., Mol. Biotechnol. 16 (2000) 151-161; Werner, R.G., Drug Res. 48 (1998) 870-880という概説論文に記載されている。
【0088】
抗体は、全細胞中に、細胞可溶化物中に、又は部分的に精製され又は実質的な純粋な形態で存在しうる。精製は、アルカリ/SDS処理、CsCl分染法、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動法、及び当該技術分野でよく知られた他のものを含む標準的な技術によって、他の細胞性成分又は他の汚染物質、例えば他の細胞性核酸又はタンパク質を除去するために実施される(Ausubel, F.等.(編), Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley Interscience, New York (1987)を参照)。
【0089】
NS0細胞における発現は、例えばBarnes, L.M.等, Cytotechnology 32 (2000) 109-123; Barnes, L.M.等, Biotech. Bioeng. 73 (2001) 261-270によって記載されている。一過性発現は、例えばDurocher, Y.等, Nucl. Acids. Res. 30 (2002) E9によって記載されている。可変ドメインのクローニングは、Orlandi, R.等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 3833-3837; Carter, P.等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 (1992) 4285-4289;及びNorderhaug, L.等, J. Immunol. Methods 204 (1997) 77-87によって記載されている。好ましい一過性発現系(HEK293)は、Schlaeger, E.J.,及びChristensen, K., Cytotechnology 30 (1999) 71-83及びSchlaeger, E.J., J. Immunol. Methods 194 (1996) 191-199によって記載されている。
【0090】
原核生物に適した制御配列には、例えば、プロモーター、場合によってはオペレーター配列、及びリボソーム結合部位が含まれる。真核生物細胞は、プロモーター、エンハンサー及びポリアデニル化シグナルを使用することが知られている。
【0091】
核酸は、別の核酸配列と機能的関係で配されている場合、「作用可能に連結」されている。例えば、プレ配列又は分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドのDNAに作用可能に連結されており;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作用可能に連結されており;又は、リボソーム結合部位は、翻訳を容易にするように配置されている場合、コード配列に作用可能に連結されている。一般に、「作用可能に連結される」とは、連結されるDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合は、近接し、かつ読み枠にあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは近接していなくてもよい。連結は、簡便な制限部位におけるライゲーションによって達成される。このような部位が存在しない場合には、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーが、一般的な手法に従って使用される。
【0092】
モノクローナル抗体は、例えばプロテインA-セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィー等、一般的な免疫グロブリン精製手順により、培養培地から適切に分離される。モノクローナル抗体をコードするDNA及びRNAは、一般的な手順を使用し、容易に単離し配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNA及びRNAの供給源となりうる。ひとたび単離されると、DNAは発現ベクター内に挿入され得、これがついで宿主細胞、例えばそうでないと免疫グロブリンタンパク質を生産しないHEK293細胞、CHO細胞、又は骨髄腫細胞に形質移入され、宿主細胞において組換えモノクローナル抗体の合成が達成される。
【0093】
ここで使用される場合、「細胞」、「細胞株」、及び「細胞培養」という表現は相互に交換可能に用いられ、全てのそのような標記は子孫を含む。従って、「形質転換体」及び「形質転換細胞」という語句は、初代対象細胞及び何度培養が継代されたかに関わらず初代のものから誘導された培養を含む。また、全ての子孫が、意図的な変異あるいは意図しない変異の影響で、DNA含有物において正確に同一であるわけではないことも理解される。元々の形質転換細胞についてスクリーニングしたものと同じ機能又は生物活性を有する変異体子孫が含まれる。区別される標記が意図される場合は、文脈から明らかであろう。
【0094】
ここで使用される「形質転換」なる用語は、宿主細胞中へのベクター/核酸のトランスファープロセスを意味する。恐るべき細胞壁障壁のない細胞が宿主細胞として使用される場合、形質移入は、例えばGraham, F., L.,及びvan der Eb, Virology 52 (1973) 456-467により記載されるようなリン酸カルシウム沈殿法により実施される。しかしながら、核注入又はプロトプラスト融合等による細胞中へのDNAの導入のための他の方法がまた使用されうる。原核生物細胞又は実質的な細胞壁構成を含む細胞が使用される場合、例えば一つの形質移入法は、Cohen, S.N.等, PNAS 69 (1972) 2110-2114により記載される塩化カルシウムを使用するカルシウム処理である。
【0095】
ここで使用される場合、「発現」とは、核酸がmRNAに転写されるプロセス、及び/又は転写されたmRNA(また、転写物とも称される)がその後ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質に翻訳されるプロセスを意味する。転写物及びコードされたポリペプチドは、集合的には、遺伝子産物と称される。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、真核生物細胞における発現は、mRNAのスプライシングを含みうる。
【0096】
「ベクター」とは、挿入される核酸分子を、宿主細胞中及び/又は宿主細胞間にトランスファーする核酸分子、特に自己複製する核酸分子である。該用語は、DNA又はRNAの細胞中への挿入(例えば、染色体組込み)のために主に機能するベクター、DNA又はRNAの複製のために主に機能するベクターの複製、及びDNA又はRNAの転写及び/又は翻訳のために機能する発現ベクターを含む。一を越える記載された機能を提供するベクターもまた含まれる。
【0097】
「発現ベクター」とは、適切な宿主細胞中に導入されると、転写され、ポリペプチドに翻訳され得るポリヌクレオチドである。「発現系」とは、所望される発現産物を生じせしめるように機能しうる発現ベクターから構成される適切な宿主細胞を通常意味する。
【0098】
本発明の一態様は、本発明に係る抗体を含有する薬学的組成物である。本発明の他の態様は、薬学的組成物の製造のための本発明に係る抗体の使用である。本発明の更なる態様は、本発明に係る抗体を含有する薬学的組成物の製造方法である。他の態様では、本発明は、薬学的担体と共に処方されて本発明に係る抗体を含む組成物、例えば薬学的組成物を提供する。
【0099】
更に、CDCP1抗体CUBのそのような特定のヒト化型は、例えば他の抗CDCP1抗体と比較して癌の治療のために特に有用であることが分かった。
【0100】
従って、本発明の一態様は、癌の治療のための上記薬学的組成物である。
本発明の他の態様は、癌の治療のための本発明に係るヒト化抗体である。
本発明の他の態様は、癌の治療のための医薬の製造のための本発明に係るヒト化抗体の使用である。
【0101】
本発明の他の態様は、癌に罹患している患者を、かかる治療を必要とする上記患者に本発明に係るヒト化抗体を投与することにより治療する方法である。
【0102】
ここで使用される場合、「薬学的な担体」は、生理学的に適合性のある任意の全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延化剤等を含む。好ましくは、担体は静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄又は上皮投与(例えば注射又は注入による)に適している。
【0103】
本発明の組成物は当該技術分野において知られている様々な方法によって投与することができる。当業者に理解されるように、投与の経路及び/又は態様は所望される結果に応じて変わる。ある投与経路によって本発明の化合物を投与するためには、その不活性化を防止するための材料で化合物を被覆し、又はそれと共に化合物を同時投与することが必要である場合がある。例えば、化合物はリポソーム又は希釈剤等の適切な担体で被験者に投与されうる。薬物学的に許容可能な希釈剤は、生理食塩水及び緩衝水溶液を含む。薬物学的な担体は、滅菌水溶液又は分散体、及び滅菌注射用溶液又は分散体の即時調製のための滅菌パウダーを含む。薬物学的に活性な物質のためのこのような媒体及び薬剤の使用は当該技術分野で知られている。
【0104】
ここで使用される「非経口投与」及び「非経口的に投与される」なる語句は、通常は注射による、経腸と局所投与以外の投与態様を意味し、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、クモ膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、髄腔内、硬膜外、胸骨内への注射及び注入を含む。
【0105】
ここで使用される「癌」なる用語は、例えば、肺癌、非小細胞肺(NSCL)癌、細気管支肺胞細胞肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部もしくは頚部の癌、皮膚もしくは眼内メラノーマ、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌(stomach cancer、gastric cancer)、結腸癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜の癌腫、子宮頚部の癌腫、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、膀胱癌、腎臓もしくは尿道の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中皮腫、肝細胞癌、胆道癌、中枢神経系(CNS)の新生物、脊髄軸腫瘍、脳幹膠腫、多形膠芽腫、星状細胞腫、シュワン腫、上衣腫、髄芽腫、髄腹腫、扁平上皮癌、下垂体腺腫、リンパ腫、リンパ性白血病、例えば上記癌の何れかの難治性型、又は上記癌の一又は複数の組み合わせでありうる。好ましくは、そのような癌は、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌又は前立腺癌であり、より好ましくは肺癌である。好ましくは、そのような癌は、CDCP1発現又は過剰発現によって、より好ましくはCDCP1過剰発現によって更に特徴付けられる。
【0106】
これらの組成物は、アジュバント、例えば保存料、湿潤剤、乳化剤及び分散剤をまた含みうる。上記の滅菌手順と、様々な抗菌剤や抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等の添加の双方によって、微生物の存在を確実に防止できる。また、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム等を組成物中に含めることが望ましい場合がある。加えて、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含有せしめることにより、注射可能な薬学的形態の長期吸収がもたらされうる。
【0107】
選択される投与経路にかかわらず、適切な水和形態で使用されてもよい本発明の化合物、及び/又は本発明の薬学的組成物は、当業者に知られた一般的な方法により、薬学的に許容可能な投薬形態に製剤化される。
【0108】
本発明の薬学的組成物における活性成分の実際の投薬量レベルは、患者に対して毒性とならないで、特定の患者、組成物、投与態様に対して、所望の治療応答を達成するのに効果的な活性成分量が得られるように変化させうる。選択される投薬量レベルは、用いられる本発明の特定の組成物、投与経路、投与時間、用いられる特定化合物の排出率、治療期間、他の薬剤、用いられる特定の組成物と組み合わせて使用される化合物及び/又は材料、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、一般的健康及び先の医療歴、及び医学分野でよく知られた類似の要因を含む様々な薬物動態学的因子に依存するであろう。
【0109】
組成物は、無菌で、組成物がシリンジにより送達可能な程度に流動的でなければならない。水に加えて、担体は、好ましくは等張緩衝生理食塩水である。
【0110】
適切な流動性が、例えば、レシチンのようなコーティングを使用することによって、分散体の場合は要求される粒子サイズを維持することにより、また界面活性剤を使用することにより維持されうる。多くの場合、組成物中に、等張剤、例えば糖、多価アルコール、例えばマニトール又はソルビトール、及び塩化ナトリウムを含めることが好ましい。
【0111】
次の実施例、配列表及び図面は本発明の理解を助けるために提供されるもので、発明の真の範囲は添付の特許請求の範囲に記載されている。本発明の精神を逸脱しないで記載された手順に変更をなすことができることが理解される。
【0112】
配列表のアミノ酸配列の説明
配列番号:1 CUB4(寄託番号DSM ACC2551)の重鎖可変ドメインVH
配列番号:2 CUB4(寄託番号DSM ACC2551)の軽鎖可変ドメインVL
配列番号:3 hHC4−H − CUB4のヒト化VH
配列番号:4 hHC4−c − CUB4のヒト化VH
配列番号:5 hHC4−a − CUB4のヒト化VH
配列番号:6 hHC4−d − CUB4のヒト化VH
配列番号:7 hHC4−04 − CUB4のヒト化VH
配列番号:8 hHC4−K − CUB4のヒト化VH
配列番号:9 hHC4−K2 − CUB4のヒト化VH
配列番号:10 hHC4−I − CUB4のヒト化VH
配列番号:11 hHC4−07 − CUB4のヒト化VH
配列番号:12 hHC4−03 − CUB4のヒト化VH
配列番号:13 hHC4−b − CUB4のヒト化VH
配列番号:14 hLC4−M − CUB4のヒト化VL
配列番号:15 hLC4−L2 − CUB4のヒト化VL
配列番号:16 hLC4−K − CUB4のヒト化VL
配列番号:17 hLC4−L − CUB4のヒト化VL
配列番号:18 hLC4−J − CUB4のヒト化VL
配列番号:19 hLC4−b − CUB4のヒト化VL
配列番号:20 hLC4−c − CUB4のヒト化VL
配列番号:21 hLC4−a − CUB4のヒト化VL
配列番号:22 hLC4−d − CUB4のヒト化VL
配列番号:23 hLC4−e − CUB4のヒト化VL
配列番号:24 hLC4−f − CUB4のヒト化VL
配列番号:25 hLC4−I − CUB4のヒト化VL
配列番号:26 ヒト由来(白人アロタイプ)のIgG1定常重鎖領域
配列番号:27 ヒト由来のκ定常軽鎖領域
配列番号:28 ヒト由来のλ定常軽鎖領域
配列番号:29 ヒトCDCP1
配列番号:30 ヒトCDCP1の細胞外ドメイン(ECD)含有断片
配列番号:31 ヒト由来(アフリカ系アメリカ人アロタイプ)のIgG1定常重鎖領域
配列番号:32 ヒト由来のIgG4定常重鎖領域
【図面の簡単な説明】
【0113】
図1】マウス(mVH−CUB4)抗体のVHドメインアミノ酸配列(CDRH1、CDRH2及びCDRH3をマーク−太字)及び異なったヒト化CUB4抗CDCP1抗体(本発明に係る特定の修飾をマーク−太字)のVHドメインアミノ酸配列。
図2】マウス(mVL−CUB4)抗体のVLドメインアミノ酸配列(CDRL1、CDRL2及びCDRL3をマーク−太字)及び異なったヒト化CUB4抗CDCP1抗体(本発明に係る特定の修飾をマーク−太字)のVLドメインアミノ酸配列。
図3】異なったヒト化抗CDCP1抗体CUB4の相対的結合比。キメラCUB4((chHC4=ヒトIgG1定常領域を有するマウスVH及びVL)抗体に対する異なったヒト化VH及びVLドメインの組合せのの結合比が示される。
図4】キメラ糖鎖操作(GE)CUB4及び野生型(wt=非糖鎖操作キメラCUB4抗体及び負のヒトIgGコントロールと比較して65%以下のフコースの量の糖鎖操作(GE)ヒト化CUB4抗体番号69GEのインビトロADCC。
図5a】ヒト化CUB4抗体番号69及び135、キメラCUB4抗体及びマウスCUB4抗体のヒト肺癌H322M異種移植片におけるインビボ腫瘍増殖阻害。
図5b】ヒト化CUB4抗体番号69及び135、キメラCUB4抗体及びマウスCUB4抗体のヒト肺癌H322M異種移植片におけるインビボ腫瘍増殖阻害。
【実施例】
【0114】
実施例1
アンチジーン特異的ELISA
ストレプトアビジン結合タンパク質(SBP)に融合させた可溶型CDCP1細胞外ドメイン(CDCP1−ECD)(配列番号:30)をストレプトアビジンプレートに捕捉させた。SBP−CDCP1−ECDに対する抗体の最適な結合を定めるために、MicroCoat, Bernried, Germany (ID-No.1734776-001)によって届けられた384ウェルのポリスチレンプレート(NUNC,ストレプトアビジン被覆)を純粋な及び段階希釈されたHEK293上清(BSA/IMDMバッファー:イスコフ改変ダルベッコ培地に溶解した100mg/mlのBSAフラクションV,Roche 10735078001)で被覆した。マウスCUB4抗体の較正曲線を使用して、マイクロタイタープレートのストレプトアビジン結合能に対するHEK293上清の最適な希釈係数を特定した。標準的なコーティングに対しては、SBP−CDCP1−ECD含有HEK293上清を希釈し(1:15及び1:40の間)、2−8℃で一晩インキュベートした(ウェル当たり25μl)。マイクロタイタープレートの集中的な洗浄が残りの未結合のSBP−CDCP1−ECDを除去するために必要である。
【0115】
ヒト化CUB4抗体及び/又は参照抗体(ヒト定常領域及び配列番号:1及び2のマウスVH及びVLを含むキメラ(chHC4)CUB4抗体)を、未希釈で又は12の段階希釈を使用して試験した。ウェル当たり12.5μlの各試料を室温で90分間、インキュベートした。PBS−T(PBS中の0.1%のTween20)を使用する集中的な洗浄後に、ヒト抗体のために25μlのHRPに結合させた何れかのヤギ抗ヒトIgG抗体(Jackson ImmunoResearch, コード番号:109−036−098,希釈1:10000)を加え、1時間インキュベートした。集中的な洗浄後、抗体の結合をABTS錠(Roche Diagnostics GmbH,カタログ番号:1112422)を用いて検出した。405nm/492nmでの吸光度を、標準的な光度計を使用して測定した。
【0116】
図3には、キメラ(chHC4)CUB4抗体に対するヒト化VH及びVLの異なった組合せの結合比が示される。結果は、
a)VHのCDRH2中の特定の変異(変異T57K及びP60V)(VHドメイン:hHC4−H(配列番号:3)を参照、
及び/又は
b)VLのCDRL1中の特定の変異(変異V33L)及びVLフレームワーク領域における47位でのヒトからマウスアミノ酸Wへの変異;(VLドメイン:hLC4−M(配列番号:14)、hLC4−L2(配列番号:15)、hLC4−K(配列番号:16)、hLC4−L(配列番号:17)、hLC4−J(配列番号:18)を参照)
を持つ特定の修飾されたヒト化抗体が、驚いたことに、そのような特定の修飾のないヒト化CUB4抗体と比較して明らかに改善された結合特性を生じることを示している。
【0117】
実施例2
(ヒトCDCP1の細胞外ドメインECDを含む)配列番号:30のヒトCDCP1の細胞外ドメイン(ECD)含有断片に対する抗CDCP1抗体の結合の特徴付け:
親和性の測定のために、30μg/mlの抗マウスFcγ抗体(ヤギ由来,Jackson Immuno Research JIR115-005-071)を、SPR機器(Biacore T100)での標準的なアミンカップリング及びブロッキングケミストリーによってCM−5センサーチップの表面にカップリングさせた。コンジュゲーション後、異なった抗CDCP1抗体を5μL/分の流量で25℃で注入した後、一連の希釈(0nMから1000nM)のCDCP1 ECDを30μL/分で続けた。結合実験に対する流通バッファーとしてPBS/0.1%BSAを使用した。ついで、チップを60sパルスの10mMのグリセリン−HCl,pH2.0の溶液で再生した。
【0118】
ラングミュアー1:1結合モデルを使用して、熱力学的パラメータ(K,結合定数)及び動態パラメータ(kon速度,koff速度)を計算した。
【0119】
実施例3
糖鎖操作ヒト化CUB4抗体(ヒト化CUB4抗体GE)の調製
アミノ酸配列の配列番号:3及び配列番号:15に対応する完全抗体重鎖及び軽鎖DNA配列(抗体69)を、MPSVプロモーターの制御下で合成ポリA部位の上流において哺乳動物発現ベクター(軽鎖のものと重鎖のもの)中にサブクローニングした(各ベクターはEBV OriP配列を有する)。
【0120】
抗体は、リン酸カルシウム形質移入アプローチ法を使用して、哺乳動物抗体の重鎖及び軽鎖発現ベクターをHEK293−EBNA細胞に同時導入することによって産生させた。対数増殖HEK293−EBNA細胞にリン酸カルシウム法によって形質移入した。未修飾抗体の生産に対しては、細胞を1:1の比の抗体重鎖及び軽鎖発現ベクターだけで形質移入した。糖鎖操作抗体の生産に対しては、細胞に4つのプラスミド、つまり抗体発現のために2つ、融合GnTIIIポリペプチド発現のために一つ(GnT−III発現ベクター)、及びマンノシダーゼII発現のために一つ(ゴルジマンノシダーゼII発現ベクター)をそれぞれ4:4:1:1の比で同時導入した。細胞を、10%のFCSを補填したDMEM培養培地を使用してTフラスコ中で付着単層培養として増殖させ、それらが50及び80%集密になったときに形質移入した。T150フラスコの形質移入では、FCS(最終10%V/Vで)を補填した25mlのDMEM培養培地に形質移入の24時間前に15百万細胞を播種し、細胞を5%CO2雰囲気のインキュベーターに37℃で一晩配した。形質移入される各T150フラスコに対して、DNA、CaCl2及び水の溶液を、軽鎖及び重鎖発現ベクター間に等しく分配された94μgの全プラスミドベクターDNA、469μlの最終容量までの水及び469μlの1MのCaCl2溶液を混合することによって調製した。この溶液に、938μlの50mMのHEPES、280mMのNaCl、1.5mMのNa2HPO4溶液(pH7.05)を加え、直ぐに10秒間混合し、室温で20秒間静置した。懸濁液を、2%のFCSを補填した10mlのDMEMで希釈し、既存の培地の代わりにT150に加えた。ついで、更なる13mlの形質移入培地を加えた。細胞を約17から20時間、37℃、5%CO2でインキュベートし、ついで培地を25mlのDMEM、10%FCSに置換した。条件培養培地を210×gでの15分の遠心分離によって形質移入から7日後に収集し、溶液を滅菌濾過(0.22μmフィルター)し、0.01%w/vの最終濃度のアジ化ナトリウムを加え、4℃に維持した。
【0121】
分泌された抗体の糖鎖操作ヒト化CUB4抗体番号69(ヒト化CUB4抗体番号69GE)をプロテインAアフィニティクロマトグラフィーと、続くカチオン交換クロマトグラフィー及びSuperdex200カラム(Amersham Pharmacia)での最終の分子ふるいクロマトグラフィー工程により、バッファーを25mMのリン酸カリウム、125mMの塩化ナトリウム、100mMのグリシン溶液(pH6.7)に交換し、純粋な単量体IgG1抗体を収集することによって精製した。抗体濃度を280nmでの吸光度から分光光度計を使用して推定した。抗体のFc領域に結合したオリゴ糖をMALDI/TOF−MS(例えば国際公開第2008/077546号に記載された)によって分析した。オリゴ糖は、PNGaseF消化により抗体から酵素的に放出され、抗体はPVDF膜に固定されるか又は溶液中である。得られた放出オリゴ糖を含む消化液はMALDI/TOF−MS分析のために直接調製されるか、又はMALDI/TOF−MS分析のための試料調製の前にEndoHグリコシダーゼで更に消化された。
【0122】
更なる実験では、糖鎖操作ヒト化CUB4抗体(ヒト化CUB4抗体GE)抗体69及び135を、HEK293−EBNA細胞の代わりにCHO細胞において、4つのプラスミド、つまり抗体発現のために2つ、融合GnTIIIポリペプチド発現のために一つ(GnT−III発現ベクター)、及びマンノシダーゼII発現のために一つ(ゴルジマンノシダーゼII発現ベクター)をそれぞれ4:4:1:1の比で同時導入することによって調製した。Asn297における糖鎖内のフコースの分析量は50−10%であった。
【0123】
実施例4
ヒト化CUB4抗体のインビトロADCC
標的細胞PC−3(DSMZ#ACC465,前立腺腺癌,ハムF12栄養分混合物+2mMのL−アラニル−L−グルタミン+10%のFCSで培養)及びH322M(非小細胞肺癌,RPMI1640+2mMのL−アラニル−L−グルタミン+10%のFCSで培養)を対数増殖期においてトリプシン/EDTA(Gibco#25300−054)で集めた。洗浄工程と細胞数及び生存率をチェックした後、必要とされるアリコートを、カルセイン(Invitrogen#C3100MP;1バイアルを50μlのDMSOに再懸濁させ、5mlの培地中5Mio細胞とした)を用いて細胞インキュベーター中で37℃で30分間、標識した。その後、細胞をAIM−V培地で3回洗浄し、細胞数と生存率をチェックし、細胞数を0.3Mio/mlに調整した。
【0124】
一方、エフェクター細胞としてPBMCを、製造者のプロトコル(洗浄工程1×400g及び2×350g、それぞれ10分)に従って密度勾配遠心法(Histopaque-1077, Sigma # H8889)によって調製した。細胞数と生存率をチェックし、細胞数を15Mio/mlに調整した。
【0125】
100μlのカルセイン染色標的細胞を丸底の96ウェルプレートに播種し、50μlの希釈抗体と50μlのエフェクター細胞を添加した。幾つかの実験では、標的細胞を、10mg/mlのRedimune濃度でRedimune(登録商標)NF液(ZLB Behring)と混合した。
【0126】
標的及びエフェクター細胞を抗体なしで同時培養し、標的細胞だけの1%のトリトンX−100溶解によって定量した、最大溶解によって決定される自発的溶解がコントロールとされた。プレートは加湿細胞インキュベーターにおいて37℃で4時間、インキュベートした。
【0127】
標的細胞の死滅は、製造者の指示に従って細胞毒性検出キット(LDH検出キット,Roche #1644793)を使用して損傷細胞からのLDH放出を測定することによって評価した。簡単に言えば、各ウェルからの100μlの上清を、透明な平底の96ウェルプレート中においてキットからの100μlの基質と混合した。基質の色反応のVmax値を少なくとも10分間、490nmでELISAリーダーで定量した。特定の抗体媒介死滅の割合を次のようにして計算した:((A−SR)/(MR−SR)×100、ここでAは特定の抗体濃度におけるVmaxの平均、SRは自発的放出のVmaxの平均、MRは最大放出のVmaxの平均である。
更なる読み取りとして、インタクトな標的細胞のカルセイン保持を、ボレートバッファー(5mMのホウ酸ナトリウム+0.1%のトリトン)に残りの標的細胞を可溶化し、蛍光プレートリーダーでカルセイン蛍光を測定することによって評価した。
【0128】
図4は、キメラ糖鎖操作(GE)CUB4及び野生型(wt=非糖鎖操作キメラCUB4抗体及び負のヒトIgGコントロールのADCCと比較した、65%以下のフコース量の糖鎖操作(GE)ヒト化CUB4抗体番号69GEのインビトロADCCを示している。
【0129】
実施例5
DU−145細胞におけるCDCP1リン酸化の刺激
6ウェル当たり2×10のDu−145細胞をDMEM(Paaカタログ番号E15−0011)2mMのL−グルタミン(Sigmaカタログ番号G7513、2mMのピルビン酸ナトリウム、10%のFCS(PAAカタログ番号E15−0011)中で一晩培養した。細胞を20μg/mlの異なったヒト化CUB4抗体と共に10分間インキュベートした。細胞を、新鮮に調製した氷冷RIPA溶解バッファー(RIPA−Puffer 1%のNP40、1%のDOC、0.1%のSDS、150mMのNaCl、10mMmのTris/HCl,pH7.4、エタノール中1mMのPMSF、10μg/mLアプロチニン、0.4mMのバナジン酸塩)で溶解した。氷上で10分後、細胞可溶化物を10000rpmで10分間遠心分離した。可溶化物を標準的なプロトコルによってSDS−PAGEで分離し、ウェスタンブロット法によってニトロセルロースに移した。ウェスタンブロットは抗ホスホチロシン抗体(4G10)又は抗ホスホCDCP1抗体によって検出した。リン酸化CDCP1の強度を濃度測定スキャニング(Biorad GS 800 濃度計)によって決定した。
全てのヒト化CUB4抗体番号80、番号69、47及び135はDU−145細胞においてCDCP1リン酸化の刺激を示した。
【0130】
実施例6
ヒト化CUB4抗体のインビトロ腫瘍阻害
A)研究名:CDCP1_PZ_H322M_007
本インビボ研究は、NCI−H322M非小細胞肺癌モデルにおけるCUB4抗体のヒト化型とのキメラ抗CDCP1抗体CUB4の効能を比較するために実施した。
H322M非小細胞肺癌細胞はNCIコレクションから取得した。腫瘍細胞株は5%CO2の水飽和雰囲気下37℃で、10%の仔ウシ血清及び2mMのL−グルタミンを補充したRPMI1640培地中で常套的に培養した。継代4を細胞移植に使用した。
ヒト非小細胞肺癌細胞株H322Mをマウスの右側腹部中にマトリゲルと共に皮下的に接種した(5×10細胞)。
動物処置は細胞移植から19日後のランダム化の日に開始した。抗体は、25mg/kgの示された投薬量で実験19、26、33、40、及び47日目に腹腔内でq7dで投与した。また対応するビヒクルを同じ日に投与した。投与体積は10ml/kgであった。
ヒト化CUB4抗体番号69は、配列番号:3及び配列番号:15のVH及びVLに基づく。
ヒト化CUB4抗体番号135は、配列番号:3及び配列番号:23のVH及びVLに基づく。
【0131】
群:
処置群1:ビヒクル
処置群2:キメラCUB4(25mg/kg腹腔内);
処置群3:ヒト化CUB4抗体番号69(25mg/kg腹腔内);
処置群4:ヒト化CUB4抗体番号135(25mg/kg腹腔内);
図5aにおいて、ヒト化CUB4抗体番号69及び番号135及びキメラCUB4抗体のヒト肺癌H322M異種移植片におけるインビボ腫瘍増殖阻害は、キメラCUB4抗体と比較してヒト化CUB4抗体番号69及び番号135の双方のインビボ腫瘍増殖阻害の明らかな改善を示した。
【0132】
B)研究名:CDCP1_PZ_H322M_004
本インビボ研究は、NCI−H322M非小細胞肺癌モデルにおけるキメラ抗CDCP1抗体CUB4(ヒトIgG1定常領域を有するマウスVH及びVL)とのマウス抗CDCP1抗体CUB4の効能を比較するために実施した。
H322M非小細胞肺癌細胞はNCIコレクションから取得した。腫瘍細胞株は5%CO2の水飽和雰囲気下37℃で、10%の仔ウシ血清及び2mMのL−グルタミンを補充したRPMI1640培地中で常套的に培養した。継代4を細胞移植に使用した。
ヒト非小細胞肺癌細胞株H322Mをマウスの右側腹部中にマトリゲルと共に皮下的に接種した(5×10細胞)。
動物処置は細胞移植から17日後のランダム化の日に開始した。抗体は、10mg/kgの示された投薬量で59日目の実験終了まで腹腔内でq7dで投与した。また対応するビヒクルを同じ日に投与した。投与体積は10ml/kgであった。
【0133】
群:
処置群1:ビヒクル
処置群4:マウスCUB4(10mg/kg腹腔内)
処置群5:キメラCUB4(10mg/kg腹腔内)
図5bにおいて、マウスCUB4抗体及びキメラCUB4抗体のヒト肺癌H322M異種移植片におけるインビボ腫瘍増殖阻害は、マウスCUB4抗体と比較してキメラCUB4抗体のインビボ腫瘍増殖阻害の改善が示される。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]