特許第5647691号(P5647691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5647691
(24)【登録日】2014年11月14日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】エンボス加工された流体濾過素子
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/16 20060101AFI20141211BHJP
   B01D 46/52 20060101ALI20141211BHJP
   D06J 1/10 20060101ALI20141211BHJP
   D06C 23/04 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
   B01D39/16 A
   B01D46/52 A
   D06J1/10
   D06C23/04 B
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-535294(P2012-535294)
(86)(22)【出願日】2010年10月19日
(65)【公表番号】特表2013-508143(P2013-508143A)
(43)【公表日】2013年3月7日
(86)【国際出願番号】US2010053153
(87)【国際公開番号】WO2011049926
(87)【国際公開日】20110428
【審査請求日】2013年6月17日
(31)【優先権主張番号】61/252,832
(32)【優先日】2009年10月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512103402
【氏名又は名称】エルピーディー・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082049
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敬一
(72)【発明者】
【氏名】テル・ホースト・ダーク
(72)【発明者】
【氏名】リッポルド・ハンス・ヨアヒム
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−220427(JP,A)
【文献】 実開昭61−115126(JP,U)
【文献】 特開平03−196807(JP,A)
【文献】 特開平02−229509(JP,A)
【文献】 特開2003−284914(JP,A)
【文献】 特開2004−321937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/16、46/52
D06C 23/04
D06J 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の折目と、第1及び第2の折目間に実質的に隣接する複数の平坦なシート壁とを有する形状に平坦な濾過材が折曲され、
各シート壁は、第1のエンボス列と、第1のエンボス列から平行に離間して配置される第2のエンボス列とを備え、
第1のエンボス列は、濾過材の中央に配置される細長い突出エンボス部と、細長い突出エンボス部の両端に配置される遠位エンボス部とを有し、
遠位エンボス部の少なくとも1つは、窪む遠位エンボス部であり、
第2のエンボス列は、2つの細長いエンボス部を有し、一方の細長いエンボス部は、窪み、他方の細長いエンボス部は、突出し、
第1及び第2のエンボス列は、第1の折目からシート壁に沿って第2の折目まで延伸し、
隣接するシート壁のエンボス部間を接着材で接着したことを特徴とする流体濾過素子。
【請求項2】
濾過材の中央に配置される突出エンボス部と各遠位エンボス部との間に複数の第1の空間を第1のエンボス列に沿って形成し、
2つの細長いエンボス部の間に単一の第2の空間を第2のエンボス列に沿って形成し、
第1のエンボス列の複数の第1の空間は、濾過材の異なる面に形成される請求項1に記載の流体濾過素子。
【請求項3】
実質的に均等に離間して複数の第2のエンボス部を配置した請求項1に記載の流体濾過素子。
【請求項4】
複数のシート壁は、第1及び第2の折目を有する壁縁部を有する請求項1に記載の流体濾過素子。
【請求項5】
第1のエンボス列と第2のエンボス列とを交互に形成した請求項1に記載の流体濾過素子。
【請求項6】
第1のエンボス列と第2のエンボス列は、直線状に傾斜する無エンボス部を濾過材に形成した請求項1に記載の流体濾過素子。
【請求項7】
平坦な濾過材を準備する工程と、
互いに離間し、実質的に平行にかつ濾過材上に交互に第1のエンボス列と第2のエンボス列とを配置し、第1のエンボス列の中央に細長い突出エンボス部を配置すると共に、突出エンボス部の両端に少なくとも1つの窪む遠位エンボス部を配置し、一方が窪み他方が突出する2つの細長いエンボス部を第2のエンボス列に形成する工程と、
エンボス部の少なくとも一部に接着材を貼着する工程と、
第1の折目と第2の折目との間で濾過材に複数のシート壁を有する形状に濾過材をジグザク形(パターン)に折り曲げて、第1の折目から第2の折目に向かって延伸する第1のエンボス列と第2のエンボス列とを各シート壁に交互に配置し、隣接するシート壁のエンボス間を接着材で互いに接着する工程とを含むことを特徴とする流体濾過素子の製法。
【請求項8】
中央に配置される細長い突出エンボス部と各遠位エンボス部との間に第1のエンボス列に沿って複数の第1の空間を形成し、
2つの細長いエンボス部の間に第2のエンボス列に沿って単一の第2の空間を形成し、
第1のエンボス列の第1の空間は、濾過材の異なる面に形成される請求項7に記載の流体濾過素子の製法。
【請求項9】
第1のエンボス列と第2のエンボス列とは、直線状に傾斜する無エンボス部を濾過領域として濾過材に形成する請求項7に記載の流体濾過素子の製法。
【請求項10】
濾過材を折曲する工程は、隣接するシート壁のエンボス部を実質的に互いに平行に配置して、シート壁を設ける工程を含む請求項7に記載の流体濾過素子の製法。
【請求項11】
濾過材の単位長さ当たり実質的に一定量の接着糸を濾過材に貼着する工程を含む請求項7に記載の流体濾過素子の製法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体濾過素子及びその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体濾過素子(流体フィルタエレメント)は、流体力学装置及び空気調和技術を含む様々な技術分野で公知の流体濾過器(流体フィルタ)に広く使用されている。一定の流入流量断面の流体濾過素子に屈曲形状、ジグザク構造、襞構造又は皺構造等の波形構造を付与すれば、濾過面積を実質的に増大することができる。襞構造の皺状壁面を互いに固定しかつ互いに支持する異なる種々の濾過設計形態が開発された。平坦な濾過材にエンボス(型押し又は凹凸)加工を施して形成した窪み又は凹部を折曲時に互い接触させて所定の形状を支持する濾過材は、公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,685,833号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の前記流体濾過素子では、折曲加工時に、折り曲げられた濾過材壁の複数のエンボス部を単純に互いに重ね、箱又はフレーム内に強制的に押し込んで外側を固定する「折畳みパッケージ」の一種として濾過素子を最終的に形成した。特に単純な前記流体濾過素子は、変動圧力負荷を生じない使用領域で使用期間の初期に確実かつ十分に所期の機能を発揮すると言えるが、特に、流体駆動機械に使用するとき、付着した塵埃粒子又は塵埃負荷に伴い、ある程度塵埃が充満すると、安定性に重大な問題が発生することが判明した。
【0005】
多くの前記問題を解決するために、エルピーディー・テクノロジーズ社に譲渡された上記特許文献1に開示される濾過素子は、実質的に(ほぼ)隣り合う複数の壁部を形成して折り曲げられかつエンボス加工された平坦な濾過材と、隣り合う壁部の隣接するエンボス部を連結する接着材とを備え、各壁部は、壁部の片側から延伸する第1のエンボス部と、第1のエンボス部に隣接しかつ壁部の他方の片側から延伸する第2のエンボス部とを有する。ほぼ一定の高さに接着材を形成することが望ましい。引用により特許文献1の全内容を本明細書の一部とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主目的は、濾過材の連続する面が異なる方向の2つの面に折れるときの折目の回転中心となる折線を除去するエンボス部を形成した濾過材を提供することにある。
【0007】
本発明による流体濾過素子は、第1及び第2の折目(30, 32)と、第1及び第2の折目(30, 32)間に実質的に隣接する複数の平坦なシート壁(40)とを有する形状に平坦な濾過材(20)が折曲され、各シート壁(40)は、第1のエンボス列(1-a)と、第1のエンボス列(1a)から平行に離間して配置される第2のエンボス列(1-b)とを備える。第1のエンボス列(1-a)は、濾過材(20)の中央に配置される細長い突出エンボス部(12)と、細長い突出エンボス部(12)の両端に配置される遠位エンボス部(10, 10a)とを有し、遠位エンボス部(10, 10a)の少なくとも1つは、窪む遠位エンボス部(10a)であり、第2のエンボス列(1-b)は、2つの細長いエンボス部(14, 14a)を有し、一方の細長いエンボス部(14a)は、窪み、他方の細長いエンボス部(14)は、突出し、第1及び第2のエンボス列(1-a, 1-b)は、第1の折目(30)からシート壁(40)に沿って第2の折目(32)まで延伸し、隣接するシート壁(40)のエンボス部(10, 10a, 12, 14, 14a)間を接着材(34)で接着する。
【0008】
本発明による流体濾過素子の製法は、平坦な濾過材(20)を準備する工程と、互いに離間し、実質的に平行にかつ濾過材(20)上に交互に第1のエンボス列(1a)と第2のエンボス列(1b)とを配置し、第1のエンボス列(1a)の中央に細長い突出エンボス部(12)を配置すると共に、突出エンボス部(12)の両端に少なくとも1つの窪む遠位エンボス部(10a)を配置し、一方が窪み他方が突出する2つの細長いエンボス部(14,14a)を第2のエンボス列(1b)に形成する工程と、エンボス部(10, 10a, 12, 14, 14a)の少なくとも一部に接着材(34)を貼着する工程と、第1の折目(30)と第2の折目(32)との間で濾過材(20)に複数のシート壁(40)を有する形状に濾過材(20)をジグザク形(パターン)に折り曲げて、第1の折目(30)から第2の折目(32)に向かって延伸する第1のエンボス列(1-a)と第2のエンボス列(1-b)とを各シート壁(40)に交互に配置し、隣接するシート壁(40)のエンボス(10,10a,12,14,14a)間を接着材(34)で互いに接着する工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付図面について本発明の好適な実施の形態を以下詳細に説明する。
図1】特許文献1によるエンボス加工した濾過材の側面図
図2】エンボス加工して折目折線上に中間エンボス部を設けた濾過材の側面図
図2a図2の濾過材の上面斜視図
図3】本発明によるエンボス加工された濾過材の上面斜視図
図4】本発明による濾過材の側面図(図4a〜図4c)
図5】本発明による濾過素子の実施の形態の流体流動方向に平行な平面でかつ濾過材の平面に直角な面の断面で第1のエンボス列を示す断面図
図6】本発明による濾過素子の実施の形態の流体流動方向に平行な平面でかつ濾過材の平面に直角な面の断面で第1のエンボス列を示す断面図
図7】本発明の濾過素子の実施の形態による流体の流動方向に平行でかつ濾過材の平面に直角な面の断面で示す第2のエンボス列の断面図
図8】濾過材のエンボス部の変形例を示す断面図
図9】濾過材のエンボス部の変形例を示す断面図
図10】濾過材のエンボス部の変形例を示す平面図
図11】エンボス加工した本発明の濾過材の平面図
図12】エンボス加工した濾過媒体の伸縮(アコーディオン)動作を示す略示図
図13】複数の中間エンボス部を有する本発明の濾過媒体の平面図
図14】複数の中間エンボス部と、無エンボス部を表わす傾斜直線とを示す本発明の濾過媒体の平面図
図15】複数の中間エンボス部上の接着材領域を示す本発明の濾過媒体の平面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施の形態は、折目折線を削減するエンボス部を有する濾過材を示す。エンボス部、即ち、周知技術による何らかの手段により濾過材上に窪みが形成される。本発明の一目的は、標準の中間エンボス部を削減して、エンボス加工される濾紙の表面積を減少し、流体の不均一流動特性(空力特性)を改善し、折目の変形を阻止して濾過材内の圧力降下を低減することにある。
【0011】
図1は、特許文献1による濾過材4の壁と濾過材4に形成されるエンボス部1の構造とを示す。図8は、図1に示すシート壁を折り曲げて一連の複数のシート壁に形成した側面図を示す。図1は、互いに平行な複数の列に配列した一連の複数のエンボス部1を設けた平坦な濾過材4を示し、各エンボス部1は、濾過材4の一方の片面から突出する第1のエンボス部と、濾過材4の他方の片面から突出する第2のエンボス部とを有し、全体としてほぼ平坦に形成される。濾過材4に所望の外形構造を形成するのに適するエンボス加工用ローラ又は他の装置を使用して、前記エンボス部を濾過材4に好適に形成できる。濾過材の使用時に、濾過材4に圧力が加わると、濾過材4の一方の片面から他方の片面に向ってエンボス部1を形成した位置上の折線2に沿って濾過材4が屈曲し始める。このため、エンボス部1を有するシート壁が矢印5方向に屈曲する。折線2のため、濾過材4に完全な折目を形成することが極めて困難となり、形状の不安定な濾過材4となる。また、折線2に沿って濾過材4が屈曲すると、濾過材4を通過する流体の圧力が増大して、濾過材4内の流体不均一流動(空力特性の劣化)を招来する欠点がある。
【0012】
図2図2a及び図9は、中間エンボス部3を設けた濾過材4を示す。図9は、中間エンボス部3の位置を示す折り曲げられた一連の複数のシート壁の側面図である。また、図2及び図2aは、シート壁にエンボス部1と中間エンボス部3とを設けた濾過材4を示す。複数のエンボス部1間に交互に中間エンボス部3が配置される。図2aに示すように、中間エンボス部3を配置すると、濾過材4の剛性が増加して、折目の折線2に沿う濾過材4の折曲又は屈曲を抑制して、不都合な前記特性(圧力降下)の発生を防止できる。中間エンボス部、即ち窪み3により、図1の折線2に沿う濾過材4のシート壁の剛性が強化されるが、追加されるエンボス部により濾過器の製造費が増加すると共に、濾過器の有効濾過面積が減少する。
【0013】
図3は、エンボス部10,10a,12,14,14aの本発明による好適な配列を示す。細長い突出エンボス部12を濾過材4の中央に配置すると共に、細長い突出エンボス部12の各端部に遠位エンボス部10,10aを配置した第1のエンボス列10,10a,12を図3に示す。第1のエンボス列に形成される少なくとも1つの遠位エンボス部10aは、突出エンボス部10,12とは反対側に濾過材4のシート面から延伸して窪む。エンボス部10,12,10aから横方向に離間する位置に細長い2つのエンボス部14,14aを有する第2のエンボス列も形成される。エンボス部の突出部と窪み部とを交互に設けると、窪むエンボス部と突出エンボス部との間の形状変化位置を回避して、従来の構造に見られる折線2の発生を防止することができる。細長いエンボス部14aの少なくとも1つは、窪む。
【0014】
図4aび図4bは、第1のエンボス列1-a及び第2のエンボス列1-bをそれぞれ示す。濾過器構造に濾過材を折曲すると、第1のエンボス列1-a及び第2のエンボス列1-bは、濾過材に沿って互いに平行に延伸し、各エンボス部の突出部と窪み部とが重なり合うので、図1の濾過材4に見られる折線の形成を防止できる。
【0015】
図5及び図6は、エンボス部14,14aを設けた本発明の濾過器の一部を示す。本発明に使用する濾過媒体20は、濾過羊毛繊維(フィルタフリース)又は不織布等の材料から形成され、ガラス繊維、合成樹脂繊維等の材料から通常製造される。2つの折曲縁部30,32間に濾過媒体20のシート壁40を形成し、エンボス部14,14aを単一の平面内に好適に形成し、図5及び図6に示す「V」型に濾過媒体20を折曲しかつ、隣接するシート壁40のエンボス部14,14aに対してほぼ平行にかつ等間隔にエンボス部14,14aを配置して、エンボス部14,14aの平面をシート壁40の平面に向って形成することが好ましい。
【0016】
エンボス部14,14aの領域の両側に熱溶解性の接着糸34が取り付けられる。図5及び図6に示す状態に濾過媒体20を折り曲げると、熱溶解性の接着糸34は、一体に結合して、相互に接続される接着支持部が形成される。接着糸34の固化後、互いに隣接する折曲シート壁40は、接着糸34の接着支持部により、両側から適所に強固にそれぞれ固定され、従来の構造より実質的に強度が改善される。
【0017】
図7は、エンボス部10,12,10aを設けた本発明によるフィルタの一部を示す。本発明で使用する濾過媒体20は、濾過羊毛繊維(フィルタフリース)又は不織布等の材料から形成され、ガラス繊維、合成樹脂繊維等から通常製造される。2つの折曲縁部30,32間に濾過媒体20のシート壁40を形成し、単一の平面内に好適に形成されるエンボス部10,10a,12をシート壁40の平面に相対して配置するのが好ましく、図7に示す「V」型に濾過媒体20を折曲しかつ、隣接するシート壁40のエンボス部10,10a,12に対してほぼ平行にかつ等間隔にエンボス部10,10a,12を配置して、エンボス部10,10a,12の平面をシート壁40の平面に向って形成することが好ましい。
【0018】
エンボス部10a領域のみの両側と、エンボス部10及び12とに同時に熱溶解性の接着糸34が貼着される。図7に示す状態に濾過媒体20を折り曲げると、熱溶解性の接着糸34は、一体に結合して、相互に連結される接着支持部が形成される。熱溶解性の接着糸34の固化後、互いに隣接する折曲シート壁40は、接着糸34の接着支持部により、両側から適所に強固にそれぞれ固定され、従来の構造より実質的に強度が改善される。
【0019】
濾過材4の不都合な伸縮(アコーディオン)動作(引張力又は圧縮力により蛇腹状に伸縮する動作)を図12に示す。伸縮動作は、濾過材4の折目が変形し、変形折目(不完全V形状)に流体の不均一流動(不良空気力学)による濾過器の圧力降下を増加する原因となる。図12は、エンボス部が横に拡張されるときに発生する不良屈曲状態を示す。長さxは、エンボス部の理想的な断面形態を示す。図10の断面F12を参照されたい。空気流が濾過媒体20を通過するとき、圧力が増大して、長さyに示すように、エンボス部が横に拡張し始める。折目が形成された濾過媒体20は、平坦になり始め、折曲状態の維持に対する抵抗力を失う。濾過媒体20に対する圧力が増大し続けると、長さx+yに示すように、エンボス部の形状が崩壊する。エンボス部が拡張し形状が崩壊すると、図12第3に示すように、折目も拡張して形状が崩壊する。本発明では、複数の中間エンボス部により、エンボス部の横方向拡張を抑制する濾過材の平坦なエンボスの無い無エンボス部41を残しながら、無エンボス部41により、エンボス部の横方向拡張を抑制することができる。要するに、折目とエンボス部の拡張を防止する濾過領域の無エンボス部41(図11に斜線領域で示す)を濾過媒体に形成し配置することが好ましい。
【0020】
本発明で利用するエンボス部の形態により、図1に示す濾過材4での折線2の発生と、図12に示す濾過材4の伸縮動作とを同時に除去し抑制することができる。図5図7は、図3及び図11に示すように、折り曲げられかつ接着された濾過器の濾過媒体20の幾何学的形態を示す。複数の窪みを設ける形態により、濾過媒体20の非エンボス部に所望の斜線40を形成して、水平の折線2を除去し抑制することができる。濾過媒体20に非エンボス部とエンボス部とを形成する形態により、濾過材4の伸縮作用を低減し、濾過材4の内部に空気を圧送できるように複数のエンボス部を互いに重ねて、濾過媒体20を支持することができる。
【0021】
図11に示すように、主中間エンボス部12は、斜線40の上方と下方との両方に配置される。中間エンボス部12は、二重の作用・機能を生ずる。エンボス部12は、折目状の濾過媒体20を極力直線状に保持すると同時に、濾過媒体20の伸縮作用を最小限に抑制する作用・機能があり、濾過装置内を所定の圧力に維持することができる。斜線40は、濾過媒体20を通過する流体の圧力降下を減少させて、濾過装置を通る流体の流動圧力及び動圧抵抗を一層減少する作用・機能がある。図3図7に示す現行の形態により、濾過媒体20のシート壁の変形に起因する圧力降下を低減して、濾過器の所望の流量特性を維持することができる。
【0022】
図5図7は、濾過媒体20の折目30を示し、折目30は、図3及び図11に例示するエンボス部に対し横にかつ濾過材4の折曲縁部に沿って延伸する。エンボス列1-a,1-bの好適な幾何学的配置により、折り曲げ時に、第1のエンボス部1-aが互いに向き合うと同時に、第2のエンボス部1-bも互いに向き合う利点がある。エンボス列1-aとエンボス列1-bとを互いにほぼ平行に配置すると、エンボス列1-aとエンボス列1-bに対し、接着材を一定流量で容易に貼着させることができ、これにより、本発明に必要なように、単位長さ当りの接着材の量又は高さを一定にすることができる。
【0023】
図13は、突出する(凸状)エンボス部(+表示)と、窪む(凹状)エンボス部(−表示)及びそれらの組み合わせたエンボス部とを含む複数の中間エンボス部を有する本発明の濾過媒体を示す。中間エンボス部数の増加により、濾過材の強度が向上(増大)し、これにより、濾過材に作用する流体圧力、例えば空気圧力に起因するシート壁の屈曲を減少できることが判明した。
【0024】
図14は、複数の中間エンボス部を備える濾過媒体に形成される非エンボス部の複数の直線状傾斜線を示す。図示のように、非エンボス部の交差する斜線は、シート壁にトラス補強構造(菱形トラス構造)を与えて、エンボス部の伸縮又は拡張を防止することができる。
【0025】
図15は、複数の中間エンボス部を有する濾過媒体上に接着材を配置した構造を示す。
【0026】
本明細書に詳記し図面に明示した説明は、本発明を実行する最良の形態を単に示すに過ぎず、本実施の形態では、形状、大きさ、部材の配置及び動作の詳細を変更することができ、本開示を前記説明に限定されないことを理解すべきである。むしろ、本明細書及び図面の開示は、図面に明示しかつ特許請求の範囲に記載する本発明の精神及び範囲を逸脱しない実施の形態の全変更を包含する。
【符号の説明】
【0027】
(1)・・エンボス部、 (1-a)・・第1のエンボス列、 (1-b)・・第2のエンボス列、 (2)・・折線、 (3)・・中間エンボス部、 (4)・・濾過材、 (10,10a,12,14,14a)・・エンボス部、 (10,10a)・・遠位エンボス部、 (12)・・細長い突出エンボス部、 (14,14a)・・細長いエンボス部、 (20)・・濾過媒体、 (30)・・折目、 (30,32)・・折曲縁部、 (34)・・接着糸、 (40)・・シート壁、
図1
図2
図2a
図3
図4
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図15