特許第5647699号(P5647699)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5647699基地局システム、移動基地局、サーバ装置、移動基地局の制御方法、更新方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5647699
(24)【登録日】2014年11月14日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】基地局システム、移動基地局、サーバ装置、移動基地局の制御方法、更新方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/18 20090101AFI20141211BHJP
【FI】
   H04W16/18 110
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-10230(P2013-10230)
(22)【出願日】2013年1月23日
(65)【公開番号】特開2014-143527(P2014-143527A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2013年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンクモバイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】細越澤 仁
【審査官】 齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−213160(JP,A)
【文献】 特開2012−009990(JP,A)
【文献】 特開2011−015352(JP,A)
【文献】 特開2011−071845(JP,A)
【文献】 特開2010−147541(JP,A)
【文献】 特開2009−302926(JP,A)
【文献】 特開2006−093778(JP,A)
【文献】 特開2003−319445(JP,A)
【文献】 特開平11−211768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 16/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動基地局と、前記複数の移動基地局のそれぞれと中継回線を介して接続するサーバ装置とを備える基地局システムであって、
前記サーバ装置は、所定の地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報を前記複数の移動基地局のそれぞれに同報通知するための通知手段を備え、
前記複数の移動基地局のそれぞれは、前記サーバ装置から同報通知される前記一部の地域に通信エリアが形成されているか否かを電波測定するための測定手段と、前記サーバ装置から同報通知される前記一部の地域に通信エリアが形成されているか否かの情報を前記サーバ装置に通知するための通知手段とを備え、
前記サーバ装置は、前記複数の移動基地局のそれぞれから通知される前記情報に基づいて前記所定の地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報を更新するための更新手段を備える、基地局システム。
【請求項2】
請求項1に記載の基地局システムであって、
前記複数の移動基地局のそれぞれは、前記サーバ装置から同報通知される前記一部の地域に通信エリアが形成されていない場合に、前記一部の地域に自局の通信エリアを形成する、基地局システム。
【請求項3】
請求項2に記載の基地局システムであって、
前記複数の移動基地局のそれぞれは、前記所定の地域範囲の全体にほぼ隙間無く複数の通信エリアが形成されるまで、前記サーバ装置から同報通知される前記一部の地域に通信エリアが形成されているか否かを電波測定する処理、前記サーバ装置から同報通知される前記一部の地域に通信エリアが形成されているか否かの情報を前記サーバ装置に通知する処理、及び前記サーバ装置から同報通知される前記一部の地域に通信エリアが形成されていない場合に前記一部の地域に自局の通信エリアを形成する処理を繰り返す、基地局システム。
【請求項4】
請求項2に記載の基地局システムであって、
前記複数の移動基地局のそれぞれによる前記一部の地域への通信エリアの形成に先立って前記一部の地域への通信エリアの形成の許可を総務省に電子申請するための申請サーバ装置を更に備える、基地局システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のうち何れか1項に記載の基地局システムであって、
前記所定の地域範囲は、被災前に少なくとも一つ以上の固定基地局によって通信エリアが形成されていた被災地である、基地局システム。
【請求項6】
所定の地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報をサーバ装置から受信するための受信手段と、
前記受信した一部の地域に通信エリアが形成されているか否かを電波測定するための測定手段と、
前記受信した一部の地域に通信エリアが形成されているか否かの情報を前記サーバ装置に送信するための送信手段と、
を備える移動基地局。
【請求項7】
所定の地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報を複数の移動基地局のそれぞれに送信するための送信手段と、
前記一部の地域に通信エリアが形成されているか否かの情報を前記複数の移動基地局のそれぞれから受信する受信手段と、
前記受信した情報に基づいて前記所定の地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報を更新するための更新手段と、
を備えるサーバ装置。
【請求項8】
所定の地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報をサーバ装置から受信し、
前記受信した前記一部の地域に通信エリアが形成されているか否かを電波測定し、
前記受信した一部の地域に通信エリアが形成されているか否かの情報を前記サーバ装置に送信する、移動基地局の制御方法。
【請求項9】
所定の地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報を複数の移動基地局のそれぞれに送信し、
前記一部の地域に通信エリアが形成されているか否かの情報を前記複数の移動基地局のそれぞれから受信し、
前記受信した情報に基づいて前記所定の地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報を更新する、更新方法。
【請求項10】
請求項8に記載の移動基地局の制御方法を移動基地局に実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項9に記載の更新方法をサーバ装置に実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動基地局を用いて所定の地域範囲に通信エリアを形成するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震や津波などの大規模な災害の発生時に通信インフラに障害が生じると、被災地の通信手段が途絶することが懸念されている。被災地で通信手段が途絶すると、被災者の安否の確認、救助者間の連絡、被災地からの的確な被害情報の配信など重要な情報の交換ができなくため、通信インフラを迅速かつ的確に復旧することが必要である。従来では、災害発生によって広範囲にわたり通信不能エリアが生じた場合、復旧対策本部が被災地のどの地域に通信不能エリアが生じているかを一元管理することで、通信不能エリアが生じている地域の位置を移動基地局に通知するとともに、移動基地局から通信電波を放射するための許可を総務省に申請していた。移動基地局は、総務省から許可が下りた旨の通知を復旧対策本部から受けた後に、通信電波を放射し、通信網の仮復旧に努める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、移動基地局から通信電波が実際に届く範囲は、その被災地の現場の状況(地形や電波環境等)に影響されるため、復旧対策本部の机上の計算結果とは必ずしも一致しない。このような誤差に加え、被災地の混乱に伴う連絡の行き違いや誤った情報の連絡等により、復旧対策本部は、通信不能エリアの地域を正確かつリアルタイムに把握することが困難であるため、復旧対策本部が指示する地域に移動基地局が駆けつけても、その地域では、通信エリアが仮復旧している場合があり、通信エリアの迅速かつ的確な仮復旧が困難であった。
【0004】
移動基地局から通信電波が実際に届いている範囲と机上の計算結果との誤差は、被災地で通信エリアを形成する場合に限られるものではなく、例えば、複数の移動基地局を用いてイベント会場に通信エリアを形成する場合にも生じ得る。
【0005】
そこで、本発明は、移動基地局から通信電波が実際に届いている範囲と机上の計算結果との誤差を低減し、所定の地域範囲の中に通信エリアを迅速かつ的確に形成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明に係わる基地局システムは、複数の移動基地局と、複数の移動基地局のそれぞれと中継回線を介して接続するサーバ装置とを備える。サーバ装置は、所定の地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報を複数の移動基地局のそれぞれに同報通知するための通知手段を備える。複数の移動基地局のそれぞれは、サーバ装置から同報通知される一部の地域に通信エリアが形成されているか否かを電波測定するための測定手段と、サーバ装置から同報通知される一部の地域に通信エリアが形成されているか否かの情報をサーバ装置に通知するための通知手段とを備える。サーバ装置は、複数の移動基地局のそれぞれから通知される情報に基づいて所定の地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報を更新するための更新手段を備える。移動基地局による実際の電波測定結果に基づいて、地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報を更新することにより、移動基地局から通信電波が実際に届いている範囲と机上の計算結果との誤差を低減することができる。また、地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報をサーバ装置から各移動基地局に同報通知することにより、各移動基地局は、通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報を共有することができる。これにより、移動基地局が、通信エリアが形成されている一部の地域へ誤って移動することを回避できる。
【0007】
複数の移動基地局のそれぞれは、サーバ装置から同報通知される一部の地域に通信エリアが形成されていない場合に当該一部の地域に自局の通信エリアを形成してもよい。
【0008】
複数の移動基地局のそれぞれは、所定の地域範囲の全体にほぼ隙間無く複数の通信エリアが形成されるまで、サーバ装置から同報通知される一部の地域に通信エリアが形成されているか否かを電波測定する処理、サーバ装置から同報通知される一部の地域に通信エリアが形成されているか否かの情報をサーバ装置に通知する処理、及びサーバ装置から同報通知される一部の地域に通信エリアが形成されていない場合に一部の地域に自局の通信エリアを形成する処理を繰り返してもよい。複数の移動基地局の連携により地域範囲全体に迅速かつ確実に通信エリアを形成できる。
【0009】
本発明に係わる基地局システムは、複数の移動基地局のそれぞれによる一部の地域への通信エリアの形成に先立って当該一部の地域への通信エリアの形成の許可を総務省に電子申請するための申請サーバ装置を更に備えてもよい。総務省への許可申請を自動化し、人手を省くことにより、迅速かつ確実に通信エリアを形成できる。
【0010】
所定の地域範囲は、例えば、被災前に少なくとも一つ以上の固定基地局によって通信エリアが形成されていた被災地である。本発明の基地局システムによれば、被災地の通信インフラを迅速かつ的確に復旧することができる。
【0011】
本発明に係わる移動基地局は、所定の地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報をサーバ装置から受信するための受信手段と、受信した一部の地域に通信エリアが形成されているか否かを電波測定するための測定手段と、受信した一部の地域に通信エリアが形成されているか否かの情報をサーバ装置に送信するための送信手段と、を備える。
【0012】
本発明に係わるサーバ装置は、所定の地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報を複数の移動基地局のそれぞれに送信するための送信手段と、一部の地域に通信エリアが形成されているか否かの情報を複数の移動基地局のそれぞれから受信する受信手段と、受信した情報に基づいて所定の地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報を更新するための更新手段と、を備える。
【0013】
本発明に係わる移動基地局の制御方法は、所定の地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報をサーバ装置から受信し、受信した一部の地域に通信エリアが形成されているか否かを電波測定し、受信した一部の地域に通信エリアが形成されているか否かの情報をサーバ装置に送信する。
【0014】
本発明に係わる更新方法は、所定の地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報を複数の移動基地局のそれぞれに送信し、一部の地域に通信エリアが形成されているか否かの情報を複数の移動基地局のそれぞれから受信し、受信した情報に基づいて所定の地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報を更新する。
【0015】
本発明に係わるコンピュータプログラムは、本発明に係わる移動基地局の制御方法を移動基地局に実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0016】
本発明の他の観点に係わるコンピュータプログラムは、本発明に係わる更新法をサーバ装置に実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、移動基地局から通信電波が実際に届いている範囲と机上の計算結果との誤差を低減し、所定の地域範囲の中に通信エリアを迅速かつ的確に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係わる基地局システムの構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係わる通信エリアの形成過程を示す説明図である。
図3】本実施形態に係わる移動基地局の処理の流れを記述するフローチャートである。
図4】本実施形態に係わるサーバ装置の処理の流れを記述するフローチャートである。
図5】本実施形態に係わる申請サーバ装置の処理の流れを記述するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は実施例1に係わる基地局システム100の構成を示すブロック図である。基地局システム100は、複数の移動基地局10と、複数の移動基地局10のそれぞれの配置を管理するためのサーバ装置30とを備える。各移動基地局10は、自局に在圏する移動機との間で交わされる無線信号を処理するための無線処理部11と、移動基地局10とサーバ装置30との間で衛星通信を行うための衛星通信部16と、移動基地局10が地上を移動するための機構である移動部17と、移動基地局10の各部を制御する制御部15とを備える。無線処理部11は、アンテナ12と、アンテナ12を介して移動機との間で通信電波を送受信するための送受信部13と、通信電波の強度を測定する測定部14とを備える。移動基地局10の例として、例えば、移動通信用の基地局を搭載した車両を挙げることができる。
【0020】
移動通信の基幹回線網であるコアネットワーク20には、複数の移動基地局10のそれぞれと衛星中継回線を介して接続する衛星通信装置40と、複数の移動基地局10のそれぞれの配置を管理するためのサーバ装置30と、移動基地局10による通信エリアの形成に先立って通信エリアの形成の許可をインターネット網60経由で総務省70に電子申請する申請サーバ装置50とが接続されている。サーバ装置30は、衛星通信装置40に接続する通信インタフェース31と、所定の地域範囲の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域の位置情報を登録するデータベース33と、サーバ装置30の各部を制御する制御部32とを備える。
【0021】
図2は実施例1に係わる通信エリアの形成過程を示す説明図である。符号400は、複数の移動基地局10による通信エリアの形成が予定されている所定の地域範囲を示している。地域範囲400は、例えば、被災前に少なくとも一つ以上の固定基地局によって通信エリアが形成されていた被災地である。符号200は、地域範囲400の中で移動基地局10によって通信エリアが形成されている一部の地域を示し、符号300は、地域範囲400の中で通信エリアが未だ形成されていない一部の地域を示している。サーバ装置30は、地域範囲400の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域300の位置情報を保持及び管理しており、地域300の位置情報を各移動基地局10に衛星回線経由で同報通知する。地域300の位置情報を受信した各移動基地局10は、地域300へ移動し、測定部14を用いて地域300に通信エリアが形成されているか否かを電波測定する。各移動基地局10は、地域300に通信エリアが形成されているか否かの情報をサーバ装置30及び申請サーバ装置50に通知する。サーバ装置30は、複数の移動基地局10のそれぞれから通知される情報に基づいて地域範囲400の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域300の位置情報を更新する。移動基地局10による実際の電波測定結果に基づいて、地域範囲400の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域300の位置情報を更新することにより、移動基地局10から通信電波が実際に届いている範囲と机上の計算結果との誤差を低減することができる。特に、被災地では、地形の変形等により電波の伝播環境が変わっている場合があり、机上の計算では、移動基地局10からの通信電波が届いている範囲を正確に求めるのが困難であるが、移動基地局10とサーバ装置30との連携により、斯かる困難を解消できる。また、地域範囲400の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域300の位置情報をサーバ装置30から各移動基地局10に同報通知することにより、各移動基地局10は、通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域300の位置情報を共有することができる。これにより、移動基地局10が、通信エリアが形成されている一部の地域200へ誤って移動することを回避できる。
【0022】
申請サーバ装置50は、地域300に通信エリアが形成されているか否かの情報を各移動基地局10から衛星回線経由で受信し、地域300に通信エリアが形成されているか否かを判定する。申請サーバ装置50は、地域300に通信エリアが形成されていない場合に、複数の移動基地局10のそれぞれによる一部の地域300への通信エリアの形成に先立って、一部の地域300への通信エリアの形成の許可を総務省70に電子申請する。総務省から電波放射の許可が下りると、申請サーバ装置50は、各移動基地局10に許可通知を送信する。各移動基地局10は、電波放射の許可通知を申請サーバ50から受信すると、地域300に通信エリアを形成する。
【0023】
各移動基地局10は、地域範囲400の全体にほぼ隙間無く複数の通信エリアが形成されるまで、サーバ装置30から同報通知される一部の地域300に通信エリアが形成されているか否かを電波測定する処理、地域300に通信エリアが形成されているか否かの情報をサーバ装置30に通知する処理、及び一部の地域300に通信エリアが形成されていない場合に当該一部の地域300に自局の通信エリアを形成する処理を繰り返す。
【0024】
図3は実施例1に係わる移動基地局10の処理の流れを記述するフローチャートである。移動基地局10は、地域範囲400の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域300の位置情報を衛星回線経由でサーバ装置30から受信すると(ステップ301;YES)、全地球測位システム等を利用して現在位置を確認しながら地域300へ移動する(ステップ302)。移動基地局10は、地域300に通信エリアが形成されているか否かを電波測定し(ステップ303)、地域300に通信エリアが形成されているか否かの情報を衛星回線経由でサーバ装置30に通知する(ステップ304)。ここで、地域300に通信エリアが形成されていない場合には(ステップ305;YES)、移動基地局10は、電波放射の許可通知を申請サーバ50から受信するのを待って(ステップ306;YES)、電波を放射して自局の通信エリアを形成する(ステップ307)。一方、地域300に通信エリアが形成されている場合には(ステップ305;NO)、ステップ301の処理に戻る。移動基地局10の制御部15は、プロセッサ及び記憶資源を備えており、ステップ301〜307の処理は、記憶資源に格納されたコンピュータプログラムをプロセッサが実行することにより制御される。
【0025】
図4は実施例1に係わるサーバ装置30の処理の流れを記述するフローチャートである。サーバ装置30は、地域範囲400の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域300の位置情報を衛星回線経由で各移動基地局10に同報通知する(ステップ401)。サーバ装置30は、地域300に通信エリアが形成されているか否かの情報を衛星回線経由で各移動基地局10から受信すると(ステップ402;YES)、複数の移動基地局10のそれぞれから通知される情報に基づいて地域範囲400の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域300の位置情報を更新する(ステップ403)。ここで、地域範囲400の全体にほぼ隙間無く複数の通信エリアが形成された場合には(ステップ404;YES)、処理を終了する。一方、通信エリアが形成されていない地域300が地域範囲400内に残っている場合には(ステップ404;NO)、ステップ401に戻る。サーバ装置30の制御部32は、プロセッサ及び記憶資源を備えており、ステップ401〜404の処理は、記憶資源に格納されたコンピュータプログラムをプロセッサが実行することにより制御される。
【0026】
図5は実施例1に係わる申請サーバ装置50の処理の流れを記述するフローチャートである。申請サーバ装置50は、地域300に通信エリアが形成されているか否かの情報を各移動基地局10から衛星回線経由で受信すると(ステップ501)、地域300に通信エリアが形成されているか否かを判定する(ステップ502)。地域300に通信エリアが形成されていない場合には(ステップ502;YES)、申請サーバ装置50は、移動基地局10による地域300への通信エリアの形成に先立って、地域300への通信エリアの形成の許可を総務省70に電子申請する(ステップ503)。総務省70から電波放射の許可が下りると(ステップ504;YES)、申請サーバ装置50は、移動基地局10に電波放射の許可通知を送信する(ステップ505)。申請サーバ装置50は、プロセッサ及び記憶資源を備えており、ステップ501〜505の処理は、記憶資源に格納されたコンピュータプログラムをプロセッサが実行することにより制御される。
【0027】
なお、上述の説明では、地域範囲400の一例として被災地を例示したが、地域範囲400は、例えば、複数の移動基地局10による通信エリアの一時的な形成が予定されているイベント会場でもよい。この場合、地域範囲400全体について予め電波放射の許可を総務省70から得ればよいので、申請サーバ装置50を省略してもよい。また、移動基地局10が行う処理のうちステップ306を省略してもよい。
【0028】
本実施形態によれば、サーバ装置30は、移動基地局10による実際の電波測定結果に基づいて、地域範囲400の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域300の位置情報を更新することにより、移動基地局10から通信電波が実際に届いている範囲と机上の計算結果との誤差を低減することができる。また、地域範囲400の中で通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域300の位置情報をサーバ装置30から各移動基地局10に同報通知することにより、各移動基地局10は、通信エリアが形成されていないと見込まれる一部の地域300の位置情報を共有することができる。これにより、移動基地局10が、通信エリアが形成されている一部の地域200へ誤って移動することを回避できる。
【符号の説明】
【0029】
10…移動基地局
11…無線処理部
12…アンテナ
13…送受信部
14…測定部
15…制御部
16…衛星通信部
17…移動部
20…コアネットワーク
30…サーバ装置
31…通信インタフェース
32…制御部
33…データベース
40…衛星通信装置
50…申請サーバ
60…インターネット網
70…総務省
100…基地局システム
図1
図2
図3
図4
図5