【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、関節運動する細長い外科用器具に関し、これは、ハンドルアセンブリ、およびこのハンドルアセンブリから遠位方向に延び、そして第1の長手方向軸を規定する細長い本体部分を含む。この細長い外科用器具はまた、上記第1の細長い長手方向軸に実質的に直交する旋回軸回りで上記細長い本体部分の遠位端上に旋回可能に支持されるツールアセンブリを含む。上記細長い外科用器具は、同様に、上記ツールアセンブリを移動させる関節運動機構を含む。
【0008】
上記器具は、少なくとも1つの保持面を有する少なくとも1つの関節運動駆動部材;この少なくとも1つの関節運動駆動部材に隣接して配置されるロッドであって、このロッド上に配置される作動面を有するロッド;および上記作動面を選択的に係合し、そしてその係合を解放し、かつ上記少なくとも1つの関節運動駆動部材の上記少なくとも1つの保持面を選択的に係合し、そしてそれからの係合を解放する関節運動ロックアセンブリを備える。
【0009】
上記少なくとも1つの関節運動駆動部材は、2つの関節運動駆動部材を含み、これら2つの関節運動駆動部材の各々は、上記関節運動ロックアセンブリによる係合および係合の解放のための少なくとも1つの保持面を有する。上記関節運動ロックアセンブリは少なくとも2つの保持面を有し、少なくとも1つの保持面が上記2つの関節運動駆動部材の1つを係合し、そして少なくとも1つのその他の保持面が上記2つの関節運動駆動部材のもう1つを係合する。
【0010】
上記関節運動ロックアセンブリの保持面または複数の保持面は、1つ以上の突出部として構成され得る。これら突出部は、上記の関節運動駆動部材の個々の少なくとも1つの保持面を選択的に係合し、そしてその係合を解放し得る。上記関節運動駆動部材の少なくとも1つの保持面は、上記関節運動アセンブリの個々の突出部を受容するチャンネルとして構成され得る。
【0011】
上記関節運動ロックアセンブリの少なくとも1つの保持面は、各々摩擦面を備え得る。上記関節運動駆動部材または複数の部材の少なくとも1つの保持面は摩擦面を含み得る。
【0012】
1つの実施形態では、上記関節運動ロックアセンブリは、側方に拡張可能である可撓性部材を含み得る。上記関節運動ロックアセンブリは、上記可撓性部材に向かって移動可能な起動部材をさらに含み得る。上記ロッド上に配置される作動面は、このロッドの表面中の移動止めチャンネルとして構成され得る。この移動止めチャンネルは、上記ロッドの運動の際に、上記起動部材を移動させるような形態である少なくとも1つの傾斜面を含み得る。
【0013】
1つの実施形態では、上記可撓性部材は内部スペースを有し、そしてここで、上記ロッドの運動の際に、上記起動部材が上記可撓性部材の内部スペースに入り、そして上記可撓性部材を側方に拡げる。上記起動部材は、上記可撓性部材を係合するための傾斜面を有し得る。
【0014】
上記可撓性部材は、上記起動部材を上記可撓性部材から押し離し、そしてそれによって上記駆動部材を解放し、この駆動部材の移動を可能にするに十分な弾力性を備える形態であり得る。上記可撓性部材は、上記内部スペースにまたがる少なくとも一対の傾斜面を含み得、そして上記起動部材は、上記可撓性部材の傾斜面を係合するこの起動部材の運動が、この可撓性部材の保持面を、個々の関節運動駆動部材の保持面と係合させ、またはそれから係合を解放する形態であり得る。上記可撓性部材は、アパーチャをさらに含み得、そして上記起動部材は、上記可撓性部材のアパーチャとロックして係合し、そしてそれによって受容されるような形態の突出部をさらに含み得る。上記起動部材の突出部は、上記起動部材の運動の間に上記可撓性部材のアパーチャとロックして係合し、そしてそれによって受容され得、上記可撓性部材の傾斜面を係合し、上記関節運動ロック手段の保持面が、上記個々の関節運動駆動部材の保持面を選択的に係合し、そしてそれから係合を解放するようにする。
【0015】
1つの実施形態では、上記細長い本体部分は、各々が少なくとも2つの保持面を有する少なくとも2つの駆動部材、操作レバー、およびベースプレートを含む。このベースプレートは、上記操作レバーに作動可能に連結され得、各々が遠位係合部分および近位係合部分である第1の対および第2の対を有する。この遠位係合部分の第1の対は上記操作レバーの移動に際し、遠位係合アパーチャを交互に係合するような形態であり、その一方、上記近位係合部分の第2の対は上記操作レバーの移動に際し、近位係合アパーチャを交互に係合するような形態である。
【0016】
上記ベースプレートは、複数のノッチをさらに含み得、ここでこれら複数のノッチの各々は、上記旋回部材の関節運動の特定の位置に影響する上記ベースプレートの特定の位置に対応し、そして上記外科用器具は、上記ベースプレート中の複数のノッチの任意の1つとロックして係合し、上記旋回部材の関節運動の特定位置をロックするロックアクチュエーターをさらに含む。
【0017】
上記器具のロッドは、上記ツールアセンブリから外科用ステープルの発射を行うための発射ロッドを備え得る。
【0018】
本発明のさらなる局面では、外科用器具における関節運動を防ぐ方法は、その上に作動面を有するロッドを、この作動面が関節運動ロックアセンブリを係合するように移動させる工程を包含する。この関節運動ロックアセンブリは、少なくとも1つの関節運動駆動部材を係合するように側方にカム運動される可撓性部材を有する。上記方法は、上記起動部材が上記ロッドと係合し、上記作動面が上記起動部材を移動させることを包含し得る。上記起動部材は、上記可撓性部材に向かって移動され得る。特定の実施形態では、上記起動部材は、上記可撓性部材の内部スペース中に移動し、この可撓性部材を側方に拡げる。上記の方法は、上記起動部材を上記ロッド中のチャンネル中に移動させ、そして上記可撓性部材から離れさせる工程をさらに含み得る。上記可撓性部材上の保持面は、上記少なくとも1つの関節運動駆動部材上の保持面と係合するように移動させられ得る。
【0019】
特定の実施形態では、上記可撓性部材は、2方向に側方にカム運動し、2つの関節運動駆動部材を係合する。上記駆動部材は、少なくとも1つの傾斜面に沿ってスライドし得る。好ましい実施形態では、外科用ステープルは、上記ロッドを遠位方向に移動することを含む、上記外科用器具から発射される。
【0020】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)関節運動する細長い外科用器具であって:
ハンドルアセンブリ;
該第ハンドルアセンブリから遠位方向に延び、そして第1の長手方向軸を規定する細長い本体部分;
該細長い本体部分の遠位端上で、該第1の細長い長手方向軸に実質的に直交する旋回軸回りに旋回可能に支持されるツールアセンブリ;
該ツールアセンブリの移動をもたらす関節運動機構;
少なくとも1つの保持面を有する少なくとも1つの関節運動駆動部材であって、該関節運動機構によって作動される1つの関節運動駆動部材;
該少なくとも1つの関節運動駆動部材に隣接して配置されるロッドであって、該ロッド上に配置される作動面を有するロッド;および
該作動面を選択的に係合し、そしてその係合を解放し、かつ該少なくとも1つの関節運動駆動部材の該少なくとも1つの保持面を選択的に係合し、そしてそれからの係合を解放する関節運動ロックアセンブリ、を備える、関節運動する細長い外科用器具。
(項目2)上記少なくとも1つの関節運動駆動部材が、2つの関節運動駆動部材を含み、該2つの関節運動駆動部材の各々が、上記関節運動ロックアセンブリによる係合および係合の解放のための少なくとも1つの保持面を有する、項目1に記載の関節運動する細長い外科用器具。
(項目3)上記関節運動ロックアセンブリが少なくとも2つの保持面を有し、少なくとも1つの保持面が上記2つの関節運動駆動部材の1つを係合し、そして少なくとも1つのその他の保持面が該2つの関節運動駆動部材のもう1つを係合する、項目2に記載の関節運動する細長い外科用器具。
(項目4)上記関節運動ロックアセンブリが、上記少なくとも1つの関節運動駆動部材の少なくとも1つの保持面を選択的に係合し、そしてその係合を解放するための少なくとも1つの突出部を有する、項目1に記載の関節運動する細長い外科用器具。
(項目5)上記少なくとも1つの関節運動駆動部材の少なくとも1つの保持面が、上記少なくとも1つの突出部を受容するためのチャンネルを備える、項目4に記載の関節運動する細長い外科用器具。
(項目6)上記少なくとも1つの関節運動駆動部材の少なくとも1つの保持面が、摩擦面を備える、項目1に記載の関節運動する細長い外科用器具。
(項目7)上記関節運動ロックアセンブリが、上記少なくとも1つの関節運動駆動部材の摩擦面を選択的に係合し、そしてその係合を解放するための少なくとも1つの摩擦面を有する、項目6に記載の関節運動する細長い外科用器具。
(項目8)上記関節運動ロックアセンブリが、側方に拡張可能である可撓性部材を含む、項目1に記載の関節運動する細長い外科用器具。
(項目9)上記関節運動ロックアセンブリが、上記可撓性部材に向かって移動可能な起動部材を含む、項目8に記載の関節運動する細長い外科用器具。
(項目10)上記ロッドが、上記作動面を上記起動部材と接触させるように移動可能である、項目9に記載の関節運動する細長い外科用器具。
(項目11)上記ロッド上に配置される作動面が、該ロッドの表面中の移動止めチャンネルとして構成される、項目9に記載の関節運動する細長い外科用器具。
(項目12)上記移動止めチャンネルが、上記ロッドの運動の際に、上記起動部材を移動させるような形態である少なくとも1つの傾斜面を含む、項目11に記載の関節運動する細長い外科用器具。
(項目13)上記可撓性部材が内部スペースを有し、そしてここで、上記ロッドの運動の際に、上記起動部材が該可撓性部材の内部スペースに入り、そして該可撓性部材を側方に拡げる、項目8に記載の関節運動する細長い外科用器具。
(項目14)上記起動部材が、上記可撓性部材を係合するための傾斜面を有する、項目9に記載の関節運動する細長い外科用器具。
(項目15)上記細長い本体部分が:
各々が少なくとも2つの保持面を有する少なくとも2つの駆動部材;
操作レバー;および
ベースプレートであって、該操作レバーに作動可能に連結され、各々が遠位係合部分および近位係合部分である第1の対および第2の対を有し、該遠位係合部分の第1の対が該操作レバーの移動に際し、遠位係合アパーチャを交互に係合するような形態であり、該近位係合部分の第2の対が該操作レバーの移動に際し、近位係合アパーチャを交互に係合するような形態である、ベースプレートを備える、項目1に記載の関節運動する細長い外科用器具。
(項目16)上記ロッドが、上記ツールアセンブリから外科用ステープルの発射を行うための発射ロッドである、項目1に記載の関節運動する細長い外科用器具。
(項目17)外科用器具における関節運動を防ぐ方法であって、その上に作動面を有するロッドを、該作動面が関節運動ロックアセンブリを係合するように移動させる工程を包含し、該関節運動ロックアセンブリが、少なくとも1つの関節運動駆動部材を係合するように側方にカム運動させられる可撓性部材を有する、方法。
(項目18)起動部材を上記ロッドと係合する工程をさらに包含し、上記作動面が該起動部材の移動を促す、項目17に記載の方法。
(項目19)上記起動部材が、上記可撓性部材に向かって移動させられる、項目18に記載の方法。
(項目20)上記起動部材が、上記可撓性部材の内部スペース中に移動し、該可撓性部材を側方に拡げる、項目19に記載の方法。
(項目21)上記起動部材を上記ロッド中のチャンネル中に移動させ、そして上記可撓性部材から離れさせる工程をさらに包含する、項目19に記載の方法。
(項目22)上記可撓性部材上の保持面を移動させ、上記少なくとも1つの関節運動駆動部材上の保持面とを係合させる工程をさらに包含する、項目17に記載の方法。
(項目23)2つの関節運動駆動部材を係合するように、上記可撓性部材を2方向に側方にカム運動させる工程をさらに包含する、項目17に記載の方法。
(項目24)上記起動部材を少なくとも1つの傾斜面に沿ってスライドさせる工程をさらに包含する、項目19に記載の方法。
(項目25)上記ロッドを遠位方向に移動することを含む、上記外科用器具から外科用ステープルを発射する工程をさらに包含する、項目17に記載の方法。
【0021】
(摘要)
関節運動する細長い外科用器具は、ハンドルアセンブリ、細長い本体部分、この細長い本体部分の遠位端上に旋回可能に支持されるツールアセンブリを含む。この細長い外科用器具はまた、上記ツールアセンブリを移動させる関節運動機構を含み、この関節運動機構は、上記ツールアセンブリに作動可能に連結される旋回部材を含む。細長い本体は、少なくとも1つの保持面をその中に有する少なくとも1つの関節運動駆動部材;この関節運動駆動に隣接して配置される発射ロッドであって、この発射ロッドの上に配置された関節運動ロック作動面を備える発射ロッド;および上記作動面を選択的に係合し、そしてその係合を解放し、かつ関節運動駆動部材の保持面を選択的に係合し、そしてそれからの係合を解放する関節運動ロックアセンブリ含む。