(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明による位置指示器の幾つかの実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0029】
[第1の実施形態]
図1〜
図4は、この発明による位置指示器の第1の実施形態の構成例を説明するための図である。
図2は、この第1の実施形態の位置指示器1を用いる電子機器200の一例を示すものである。この例では、電子機器200は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置の表示画面200Dを備える高機能携帯電話端末であり、表示画面200Dの下部(裏側)に、電磁誘導方式の位置検出装置202を備えている。
【0030】
この例の電子機器200の筐体は、ペン形状の位置指示器1を収納する収納凹穴201を備えている。使用者は、必要に応じて、収納凹穴201に収納されている位置指示器1を、電子機器200から取り出して、表示画面200Dを入力面として位置指示操作を行う。
【0031】
電子機器200においては、表示画面200D上で、ペン形状の位置指示器1により位置指示操作がされると、表示画面200Dの裏側に設けられた位置検出装置202が、位置指示器1で操作された位置及び筆圧を検出し、電子機器200の位置検出装置202が備えるマイクロコンピュータが、表示画面200Dでの操作位置及び筆圧に応じた表示処理を施す。
【0032】
図1は、この第1の実施形態の位置指示器1の全体の概要を示すものである。
図1(A)は、説明のために、位置指示器1のケース2(筐体)のケース本体2aのみを破断して、その内部を示したものである。また、
図1(B)は、この第1の実施形態の位置指示器1を、芯体4側から軸心方向に見た図である。
【0033】
図1(A)に示すように、位置指示器1は、軸心方向に細長であって、軸心方向の一方が開口とされると共に、軸心方向の他方が閉じられた有底の筒状の筐体を構成するケース2を備える。このケース2は、例えば樹脂などからなるもので、内部に中空部を有する筒形状のケース本体2aと、このケース本体2aと結合されるケースキャップ2bとにより構成されている。
【0034】
この実施形態では、ケース本体2aの中心軸に直交する方向の外形形状(ケース本体2aの横断面の輪郭形状に等しい)は、
図1(B)に示すように、扁平形状とされている。
図1(B)に示す例においては、半径がr1の円形断面の円柱の側面を、当該円柱の中心軸から、半径r1よりも短い距離d1だけ離れた位置の互いに平行な平面によって切断除去した形状に等しい形状とされている。したがって、ケース本体2aの中心軸に直交する方向の外形形状は、
図1(B)に示すように、中心軸を挟んで対向する互いに平行な2直線23、34(前記互いに平行な平面の位置に対応)を有するものとなる。そして、このケース本体2aの内部の中空部も、その横断面形状がケース本体2aの外形形状に応じた扁平形状とされている。
【0035】
このケース本体2aの中空部内には、基板ホルダー3に、芯体4と、コイル5が巻回された磁性体コア、この例ではフェライトコア6とが結合されて収納される。芯体4は、細長の棒状体からなる芯体本体部41と、この芯体本体部41の軸心方向の一端側に形成される先端部42とを備え、芯体4の先端部42は、ケース本体2aのペン先となる軸心方向の一方の端部に形成された開口部21を通じて外部に突出して露呈するようにされる。
【0036】
フェライトコア6は、この例では、中心軸位置に、芯体4の芯体本体部41を挿通するために、芯体本体部41の径R0よりも若干大きい径R1の貫通孔6aを有する柱状形状を備える。このフェライトコア6は、この実施形態では、ケース本体2aの中空部の横断面形状に対応した扁平の横断面形状を有するように構成されている。
【0037】
図3は、この実施形態の位置指示器1のフェライトコア6の構成例を示すものである。
図3(A)は、この例のフェライトコア6の斜視図である。また、
図3(B)は、この例のフェライトコア6を、ケース本体2a内に収納したときに、ケース本体2aの外形形状の2直線23,24に直交する方向となる方向から見た上面図である。また、
図3(C)は、この例のフェライトコア6を、ケース本体2a内に収納したときに、ケース本体2aの外形形状の2直線23,24に平行な方向となる方向から見た側面図である。そして、
図3(D)は、この例のフェライトコア6を、軸心方向の芯体4側から見た図である。さらに、
図3(E)は、
図3(B)のA−A線断面図(フェライトコア6の縦断面図)であり、また、
図3(F)は、
図3(C)のB−B線断面図(フェライトコア6の横断面図)である。
【0038】
この実施形態では、フェライトコア6は、柱状の構成を備えると共に、その中心軸位置に直径R1の貫通孔6aを有する。そして、このフェライトコア6の中心軸に直交する方向の外形形状は、
図3(D)に示すように、ケース本体2aの横断面の輪郭形状に応じた扁平形状とされている。すなわち、フェライトコア6は、半径がr2の円形断面の円柱の側面部を、当該円柱の中心軸から半径r2よりも短い距離d2(d2<r2)の位置であって、かつ、当該円柱の中心軸を挟んで対向する2つの位置を含む軸心方向の平面(
図3(D)及び
図3(F)の直線61及び62を含む平面)によって切断除去した形状に等しい形状とされている。
【0039】
したがって、柱状のフェライトコア6は、側面部に、中心軸を挟んで互いに平行な平面61P及び62Pを備えると共に、この平行な2つの平面61P,62Pの間を、曲面63C及び64Cで連結した形状を有する。この曲面63C及び64Cの存在により、フェライトコア6は、扁平形状であっても、コイル5の線材をフェライトコア6の外表面にぴったりと密着させて巻回させることができる。
【0040】
すなわち、フェライトコア6の外表面と、当該フェライトコア6に巻回されるコイル5の線材との間に隙間が生じると、
(1)生じた隙間の分だけ、透磁率が下がるため、コイル5に鎖交する磁束に応じた誘導電流が生起しにくくなる
(2)生じた隙間に水分が付着することによる特性の変化を引き起こし、透磁率が変化してしまう
(3)隙間のために、コイルの断面の形状が変化しやすく、透磁率が変化してしまう
などの不具合を生じる。
【0041】
これに対して、この実施形態のフェライトコア6は、曲面63C及び64Cによりコイル5の線材はフェライトコア6の外表面との密着性が向上し、上記のような不具合を軽減することができる。
【0042】
なお、曲面63C及び64Cは、上述の例のような円弧の一部である必要はなく、例えば楕円の一部や、その他の任意の曲面であってもよいし、また、曲面ではなく、折れ線状に、複数個の角部を備えるものであってもよい。ただし、フェライトコア6の中心軸から当該曲面までの距離は、常に、中心軸から平面61P及び62Pまでの距離よりも大きいものであることが望ましい。
【0043】
フェライトコア6の平行な2つの平面61P,62Pの間の距離D0(=2×d2)は、このフェライトコア6を中空部に収納するケース本体2aの2直線23,24間の距離(2×d1)が、
図2の電子機器200の厚さに応じて設定される収納凹穴201の、当該厚さ方向の長さよりも短くなるような値に選定される。
【0044】
一方、フェライトコア6の横断面において、平面61P,62Pに沿う長手方向の長さは、電子機器200の厚さによる制約はなく、位置指示器1の持ちやすさ、使用しやすさと、フェライトコア6の強度を考慮した長さであって、電子機器200の収納凹穴201の大きさに応じたものに選定される。
【0045】
そして、この実施形態では、貫通孔6aに芯体4が挿通されたときに、芯体4の先端部
42側となるフェライトコア6の軸心方向の端部には、芯体4の先端部42側に向かって先細となるように形成されたテーパ部65が形成されている。
【0046】
この実施形態においては、
図3(D)に示すように、芯体4の先端部
42側となるフェライトコア6の軸心方向の端面には、貫通孔6aの径R1より大きい径であって、貫通孔6aと同心円の外周円66との間で形成される円環状平面67が形成されている。この円環状平面67は、フェライトコア6の中心軸方向とは直交する方向の平面(端面)となっている。
【0047】
テーパ部65は、
図3(B)に示すように、柱状のフェライトコア6の側周面から、この円環状平面67の外周円に、所定角度で直線的に向かう傾斜面を備える。このテーパ部65の傾斜面は、この例では、その稜線の延長方向がフェライトコア6の中心軸位置に集中するように形成されている。したがって、テーパ部65は、円錐形の周側面の一部であり、当該円錐形の頂角θに応じた傾斜面となっているものである。この例では、前記頂角θは、例えば60度とされている。
【0048】
そして、この実施形態では、
図3(D)に示すように、円環状平面67の外周円66の半径は、ほぼ距離d2と等しくされている。このため、この実施形態では、テーパ部65は、曲面63C及び64Cから円環状平面67の外周円に向かうように形成されている。つまり、この例のテーパ部65は、フェライトコア6の横断面方向において、長手方向にのみ形成されている。
【0049】
フェライトコアを扁平形状にした場合には、当該フェライトコアの端面が横広がりとなり、従来の真円の端面の場合よりも、磁束を芯体4の先端部42に集中させにくくなる恐れがある。しかし、この例のフェライトコア6の場合には、芯体4の先端部42側の端部は、テーパ部65を備えると共に、テーパ部65は、円環状平面67で終端するように構成されているので、磁束を円環状平面67に集中させることができ、延いては、磁束を芯体4の先端部42に集中させることができる。すなわち、この実施形態のフェライトコア6においては、扁平形状にしたことにより磁束が広がってしまうという問題を、テーパ部65を設けることにより解消している。
【0050】
図4(A)は、
図1(B)のX−X線断面図であり、これは、位置指示器1の軸心位置を通り、かつ、ケース本体2aの外形の前述した2直線23,24(
図1(B)参照)に平行な方向に位置指示器1を切断した要部の断面図である。また、
図4(B)は、
図1(B)のY−Y線断面図であり、これは、位置指示器1の軸心位置を通り、かつ、前記2直線23,24に垂直な方向に位置指示器1を切断した要部の断面図である。さらに、
図4(C)は、基板ホルダー3の特にホルダー部3aに注目した斜視図である。
【0051】
基板ホルダー3は、例えば樹脂により構成され、ケース本体2aの中空部内に収納されたときに、位置指示器1の軸心方向となる長手方向に、感圧用部品ホルダー部3aと、プリント基板載置台部3bとが連続するように構成されている。感圧用部品ホルダー部3aには、感圧用部品(筆圧検出用の複数個の部品)7が収納され、プリント基板載置台部3bには、プリント基板8が載置され、保持される。以下、説明の簡単のため、感圧用部品ホルダー部3aは、ホルダー部3aと略称する。ホルダー部3aは、基板ホルダー3において、最も芯体4側に形成されている。
【0052】
芯体4の芯体本体部41が、フェライトコア6の貫通孔6aを挿通して、ホルダー部3aに収納されている感圧用部品7と結合されている。感圧用部品7の一部の部品は、軸心方向に移動可能な状態でホルダー部3a内に収納されており、芯体本体部41は、感圧用部品7の当該軸心方向に移動可能な一部の部品と結合されている。したがって、芯体4は、フェライトコア6の貫通孔6aを通して、軸心方向に移動可能の状態で、ホルダー3aの感圧用部品7と結合されている。
【0053】
この実施形態では、
図1、
図2、
図4に示すように、プリント基板8には、押下されたときにオンとなり、押下を停止するとオフに戻るプッシュスイッチ(サイドスイッチ)11が設けられていると共に、コイル5と共振回路を構成するコンデンサ12,13が設けられている。更に、プリント基板8には、IC14が設けられている。
【0054】
そして、この例では、位置指示器1のケース本体2aの側周面の、サイドスイッチ11に対応する位置には貫通孔15(
図2参照)が穿かれており、サイドスイッチ11の押下操作子16が、この貫通孔15を通じて当該サイドスイッチ11を押下することができるように露呈するようにされている。
【0055】
共振回路の一部を構成するコンデンサ12,13、また、IC14は、この例ではチップ部品としてプリント基板8に配設される。そして、この実施形態では、トリマーコンデンサ12の静電容量が調整されることで、共振回路の共振周波数が調整される。
【0056】
そして、基板ホルダー3のホルダー部3aには、
図1及び
図4に示すような複数個の部品からなる感圧用部品7が収納される。ホルダー部3aに感圧用部品7が収納されることで、筆圧検出用モジュールが構成される。この筆圧検出用モジュールに、芯体4の芯体本体部41が結合されることで、芯体4の先端部42に印加される筆圧が筆圧検出用モジュールの感圧用部品7で検出される。この場合に、筆圧検出用モジュールは、これを構成する感圧用部品7の一部が、芯体4
の先端部42に印加される筆圧に応じて、芯体4と共に軸心方向に移動することで、筆圧を検出する。
【0057】
なお、芯体4は、基板ホルダー3に対して着脱自在に結合されている。すなわち、この実施形態の位置指示器1では、芯体4は、交換可能の構成とされている。
【0058】
芯体4の芯体本体部41は、この例では断面が円形の細長の棒状体とされており、前述したように、フェライトコア6の貫通孔6aの内径R1よりも小さい外径R0を備える(
図4(B)参照)。また、先端部42は、いわゆる砲弾型の円柱状形状を備え、その外径R2(
図1(B)参照)は、フェライトコア6の貫通孔6aの内径R1よりは大きく、ケース本体2aの開口部21の径R3よりは小さく選定されている。先端部42の外径R2は、例えば1.0mm〜2.0mmとされている。
【0059】
この実施形態では、芯体4の芯体本体部41に対して、外径が先端部
42の外径R2と等しい円柱状形状を有する基台部43(
図4(A)参照)が一体に形成されている。基台部43は、
図4(A)に示すように、先端部42と対向する端面側に開口を備える凹部43aを、その中心軸方向に備える。一方、先端部42の基台部43と対向する端面には、
図4(A)に示すように、基台部43の凹部43aと嵌合する突部42aが形成されている。そして、この実施形態では、芯体4は、一体に構成される芯体本体部41及び基台部43と、先端部42とを、2色成形により結合させた構成とする。
【0060】
この例の場合、芯体本体部41及び基台部43は、芯体本体部41が、フェライトコア6の貫通孔6aを挿通して基板ホルダー3の感圧用部品7に結合して、先端部42に印加される圧力(筆圧)を、感圧用部品7に十分に伝達することができるように、硬質の材料の例としての樹脂、例えばポリカードネート、合成樹脂やABS(acrylonitrile−butadiene−styrene)樹脂等からなる。
【0061】
一方、先端部
42は、電子機器200の表示画面200Dに接触しても、表示画面200Dを傷つけることがないように、芯体本体部41及び基台部43よりも軟質の弾性材料、例えばエラストマー、好ましくは熱硬化性エラストマーで構成する。
【0062】
次に、筆圧検出用モジュールを構成する基板ホルダー3のホルダー部3a及び感圧用部品7について説明する。この例の筆圧検出用モジュールは、冒頭で特許文献1を用いて説明したものと同様に、芯体4に印加される筆圧に応じて静電容量が変化する容量可変コンデンサを用いた場合である。
【0063】
この例の感圧用部品7は、
図1(A)に示すように、誘電体71と、端子部材72と、保持部材73と、導電部材74と、弾性部材75との複数個の部品からなる。端子部材72は、感圧用部品7で構成される容量可変コンデンサの第1の電極を構成する。また、導電部材74と弾性部材75とは電気的に接続されて、前記容量可変コンデンサの第2の電極を構成する。
【0064】
一方、基板ホルダー3のホルダー部3aは、
図4(C)に示すように、中空部を備える筒状体34により構成され、感圧用部品7を、その中空部内において軸心方向に並べて収納する構成とされている。
【0065】
感圧用部品7のうち、ホルダー部3a内で、軸心方向に移動しない部品である誘電体71と、端子部材72は、ホルダー部3aを構成する筒状体34の側周面の一部に形成された軸心方向に直交する方向を開口とする開口部35を通じて、当該筒状体34内に挿入されて、
図4(C)に示すように収納される。
【0066】
なお、筒状体34の側周面の壁部37との連結部には、軸心方向に、端子部材72の厚さより若干大きい所定の幅を有するスリット38a、38bが形成されており、端子部材72は、当該端子部材72に形成されている張り出し部72a,72bが、この筒状体34のスリット38a,38bに嵌合することで、軸心方向には移動しないように筒状体34内で係止される。
【0067】
また、筒状体34の内壁には、スリット38a,38bと軸心方向に隣り合う位置において、筒状体34の開口部35が形成されている部分の内径よりも大きい内径の凹溝39(
図4(A)参照)が形成されている。誘電体71は、凹溝39に嵌合する外形を有し、凹溝39の軸心方向の幅に対応した厚さを有する板状体の構成とされており、開口部35を通じて筒状体34の凹溝39に挿入して嵌合させられることで、嵌合状態では、筒状体34内で軸心方向には移動しないようにされる。
【0068】
また、ホルダー部3aを構成する筒状体34は、その軸心方向の芯体4側は開口36aとされている。一方、ホルダー部3aを構成する筒状体34のプリント基板載置台部3b側は、壁部37により閉塞されている。
【0069】
そして、保持部材73に対して、その軸心方向に、弾性部材75を介して導電部材74が結合されたものが、開口36側から筒状体34内に挿入される。そして、保持部材73の円柱状形状部73aの側周面に形成されている係合突部73e及び73fが、ホルダー部3aを構成する筒状体34の側周面に形成されている係合孔34a及び34b(
図4(B)及び(C)参照)に係合することで、保持部材73が筒状体34に対して係止する。ただし、保持部材73は、筒状体34の中空部内に収納された状態において、筒状体34の中空部内を、その軸心方向に移動可能となるように、係合突部73e、73f及び係合孔34a及び34bは構成されている。
【0070】
容量可変コンデンサの第1の電極の役割を果たす端子部材72は、リード部72dを備える。このリード部72dは、ホルダー部3a内に収納されたときに、筒状体34の壁部37を跨いで、プリント基板載置台部3b上に載置されているプリント基板8の基板面8aのランド部8b(
図4(C)参照)に半田付け接続される。
【0071】
なお、端子部材72は、誘電体71と端子部材72とがホルダー部3a内に収納されたときに、誘電体71の開口側端部
を押さえるようにするL字状突起72eを備える。
【0072】
保持部材73は、その軸心方向の芯体4側となる側に、芯体4の芯体本体部41を圧入嵌合させる凹穴73bが設けられている円柱状形状部73aと、凹穴73b側とは軸心方向の反対側に、導電部材74を嵌合する凹穴73dが設けられているリング状突部73cとを備えている。
【0073】
導電部材74は、導電性を有すると共に弾性変形可能な弾性部材からなるものとされており、例えば、シリコン導電ゴムや、加圧導電ゴムにより構成される。導電部材74は、保持部材73のリング状突部73cの凹穴73dに嵌合する突部74aを備える。また、弾性部材75は、例えば導電性を有するコイルバネで構成され、弾性を有する巻回部75aと、この巻回部75aの一端部に端子片75bを有し、巻回部75aの他端部に接続部75cを有している。
【0074】
弾性部材75は、保持部材73のリング状突部73cをその巻回部75a内に収納するようにして、保持部材73の軸心方向に組み合わされる。そして、導電部材74の突部74aが、保持部材73のリング状突部73cの凹穴73dに嵌合される。このとき、弾性部材75の接続部75cは、保持部材73のリング状突部73cのスリット部からリング状突部73cに形成されている凹穴73dの底部に挿入するようにされる(
図4(A)及び
図4(B)参照)。したがって導電部材74の径小部74bが保持部材73のリング状突部73cに圧入嵌合されたときには、導電部材74の径小部74bの端面が、導電性を有する弾性部材75の接続部75cと接触して、電気的に接続される状態となる。
【0075】
そして、弾性部材75の端子片75bは、筒状体34内に挿入された時には、誘電体71、端子部材72及び壁部37を跨いで、プリント基板載置台部3b上に載置されているプリント基板8の基板面8aの導電パターンに、半田付け接続されるように構成されている。
【0076】
以上のようにして感圧用部品7を、ホルダー部3aを構成する筒状体34内に収納した後、筒状体34の開口36aには、
図4(A)及び(B)に示すように、落下対策用部材9を圧入嵌合する。この落下対策用部材9は、
図4(A)及び(B)に示すように、筒状体34の開口36a側の部分36の内径にほぼ等しい、あるいは若干小さい外径の円柱状部9bを備える。そして、落下対策用部材9は、その円柱状部9bを、筒状体34の開口36a側の部分36内に圧入嵌合することで、ホルダー部3aに結合する。
【0077】
また、落下対策用部材9には、軸心方向において、円柱状部9bの反対側に、フェライトコア6の断面形状に対応した凹部9cが形成されている。フェライトコア6は、その芯体4の先端部42側とは反対側の端部が、この落下対策用部材9の凹部9c内に圧入嵌合されることで、ホルダー部3aに、落下対策用部材9を介して結合する。そして、落下対策用部材9は、フェライトコア6の貫通孔6aに連通するように構成された貫通孔9aを有する。
図4(A)の例では、貫通孔9aの径は、フェライトコア6の貫通孔6aよりも大きいものとされている。
【0078】
次に、以上のように基板ホルダー3にフェライトコア6を結合した状態において、芯体4の芯体本体部41を、フェライトコア6の貫通孔6aに挿通させる。すると、芯体4の芯体本体部41の端部は、フェライトコア6の貫通孔6a及び落下対策用部材9の貫通孔9aを通して、保持部材73側に突出する。この芯体4の芯体本体部41の端部は、ホルダー部3aに収納されている保持部材73の円柱状形状部73aの凹穴73bに圧入嵌合される。この場合に、芯体4を円柱状形状部73aの凹穴73bに圧入嵌合させた状態においても、芯体4の芯体本体部41は、
図4(A)に示すように、フェライトコア6
から芯体4の先端部42側にも露呈する状態とされていて、芯体4の先端部42に印加される圧力(筆圧)によって、芯体4が、弾性部材75の偏倚力に抗して、軸心方向にケースキャップ2b側に変位可能とされている。
【0079】
芯体4は、保持部材73の円柱状形状部73aの凹穴73bに圧入嵌合した後、この凹穴73bから引き抜くことが可能である。したがって、前述したように、芯体4は、交換が可能である。
【0080】
以上のようにして、ケースキャップ2bに結合された基板ホルダー3のプリント基板載置台部3bにプリント基板8が載置され、ホルダー部3aに感圧用部品7が収納され、さらに、ホルダー部3aにフェライトコア6が結合されると共に、芯体4が結合されることで、モジュール部品が形成される。
【0081】
次に、このモジュール部品を、芯体4の先端部42がケース本体2aの開口部21から外部に突出するようにして、ケース本体2aの中空部内に挿入する。そして、ケース本体2aとケースキャップ2bとを結合することで、位置指示器1が完成となる。
【0082】
この位置指示器1において、芯体4の先端部42に圧力が印加されると、その圧力に応じて、芯体4は、軸心方向にケース本体2a内の方向に変位する。そして、この芯体4の変位により、芯体本体部41が結合されているホルダー部3a内の保持部材73が弾性部材75の弾性偏倚力に抗して、誘電体71側に変位する。その結果、保持部材73に嵌合されている導電部材74が、誘電体71側に変位し、導電部材74と誘電体71との間の距離、さらには、導電部材74と誘電体71との接触面積が、芯体4に印加される圧力に応じて変化する。
【0083】
これにより、第1の電極を構成する端子部材72と、第2の電極を構成する導電部材74との間で形成される容量可変コンデンサの静電容量が、芯体4に印加される圧力に応じて変化する。この容量可変コンデンサの静電容量の変化が、位置指示器1から位置検出装置202に伝達されることで、位置検出装置202では、位置指示器1の芯体4に印加される筆圧を検出する。
【0084】
この第1の実施形態の位置指示器1と電磁誘導結合により位置検出及び筆圧検出を行う位置検出装置202の回路構成は、例えば特開2005-10844号公報や特開2007-164356号公報に記載された構成を用いるなど、従来から知られているものを適用可能であるので、この明細書では、その詳細な説明は省略する。
【0085】
上述した位置指示器1においては、磁性体コアの例としてのフェライトコア6を扁平形状としたことにより、このフェライトコア6を収納するケース本体2aの形状も扁平とすることができるので、当該位置指示器1を収納する電子機器の筐体が薄型化になっても、当該薄型化に対応することができる。
【0086】
そして、フェライトコア6は扁平形状としたので、電子機器の筐体の薄型化により短い長さに制約される方向とは直交する方向には、広がりを持たせることができ、断面積をその分だけ大きくすることができる。そのため、位置指示器1の細型化によるコイルの断面積の減少分を、扁平の長手方向の長さ分により補うようにすることできて、位置指示器の筐体の細型化を、位置検出装置のセンサとの間における信号の送受信の劣化を防止しながら、実現することができるという効果がある。
【0087】
また、フェライトコア6は、信号の送受信に関わる芯体4の先端部42側の端部にテーパ部65が形成されているので、位置指示器1と位置検出装置202のセンサとの間でやり取りする磁束を、テーパ部65で絞られた円環状平面67の部分に集中させることができる。このため、位置検出装置202のセンサで、位置指示器1により指示された位置検出を良好に行うことができると共に、筆圧検出特性も良好なものとすることができるという効果を奏する。
【0088】
さらに、フェライトコア6の横断面を扁平形状としたことにより、フェライトコア6の中心軸位置に、芯体4の芯体本体分41を挿通する貫通孔6aが存在していても、当該横断面の長手方向の肉厚部を厚くすることができるため、位置指示器が落下したときの衝撃により位置指示器の筐体にストレスが掛かることに起因する磁性体コアの破損を生じにくくすることができるという効果もある。
【0089】
次に、この発明による位置指示器の第2の実施形態を、
図5〜図
9を参照して説明する。第1の実施形態の位置指示器1は、筆圧検出用として容量可変コンデンサを用いた場合であるが、この第2の実施形態の位置指示器1Bは、筆圧検出のために、共振回路を構成するコイルのインダクタンス値の変化を検出する場合である。
【0090】
この第2の実施形態の位置指示器1Bも、第1の実施形態と同様に、
図2に示した電子機器200に搭載されている位置検出装置202Bと共に使用されるものである。ただし、この第2の実施形態の位置指示器1Bが、筆圧検出を、共振回路のコイルのインダクタンス値の変化を利用することに対応して、位置検出装置202Bは、位置検出装置202とは、筆圧検出の方法が異なる。なお、この第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同一部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下の第2の実施形態の説明において、第1の実施形態の各部と対応するが、第1の実施形態とは異なる部分には、同一参照符号にサフィックスBを付加して示す。
【0091】
図5は、この第2の実施形態の位置指示器1Bの全体の概要を示すものである。この
図5は、説明のために、上述の第1の実施形態の場合の
図1と同様に、位置指示器1Bのケース2Bのケース本体2Baのみを破断して、その内部を示したものである。
【0092】
そして、この第2の実施形態においては、ケース本体2Baの中空部内に、第1の実施形態と同様に、芯体4Bと、コイル5Bが巻回されているフェライトコア6Bと、感圧用部品(筆圧検出用部品)7Bと、プリント基板8Bとを保持した、例えば樹脂により構成される基板ホルダー3Bが収納される。基板ホルダー3Bの長手方向の端部は、第1の実施形態の基板ホルダー3と同様に、基板ホルダー3Bの結合部3Bcにおいてケースキャップ2Bbに結合されている。
【0093】
この第2の実施形態の位置指示器1Bにおいては、フェライトコア6Bには貫通孔は設けられず、芯体4Bはフェライトコア6Bに挿脱自在に結合される。この場合に、この第2の実施形態では、芯体4Bは、後述するように、台座部材45を介して、フェライトコア6Bに挿脱自在に装着されて結合される。そして、芯体4Bに筆圧が印加されたときには、芯体4Bとフェライトコア6Bとが一体に変位して、感圧用部品7Bに圧力を伝達するように構成されている。
【0094】
図6は、この第2の実施形態におけるフェライトコア6Bの構成を説明するための図である。
図6(A)は、フェライトコア6Bの斜視図、また、
図6(B)は、
図6(A)のC−C線断面図であり、
図3(E)に対応する断面図である。
【0095】
この
図6に示すように、この第2の実施形態におけるフェライトコア6Bは、前記貫通孔6aの代わりに、芯体4Bを挿脱自在に結合するための凹穴6Baが形成されている点を除くと、第1の実施形態におけるフェライトコア6と同様に構成されている。凹穴6Baは、フェライトコア6Bの中心軸方向の芯体4Bの先端部側の端部に設けられている。この凹穴6Baの内径は、後述するように、芯体4Bの芯体本体部41Bの径よりも若干大きな値に選定されている。
【0096】
次に、
図7は、この第2の実施形態における芯体4Bの構成を説明するための図である。
図7(A)は、この第2の実施形態の芯体4Bを、その軸心方向に、先端部42Bとは反対側から見た図、
図7(B)は、芯体4Bの側面図、
図7(C)は、
図7(A)におけるD−D線断面図である。また、
図7(D)は、この第2の実施形態の芯体4Bの組立構成図である。更に、
図7(E)は、
図5に示した第2の実施形態の位置指示器1Bにおける芯体4B近傍の拡大断面図である。
【0097】
この第2の実施形態においては、芯体4Bは、
図7(A)〜(E)に示すように、第1の実施形態の芯体4と同様に、芯体本体部41Bと、先端部42Bとからなり、芯体本体部41Bは、先端部42Bと結合される基台部43Bを備えている。そして、第1の実施形態の芯体4と同様にして、2色成形により、先端部42Bが、芯体本体部41Bと一体の基台部43Bに対して溶着、特に熱溶着されて結合される。この場合に、
図7(C)に示すように、基台部43Bの嵌合凹部43Baに、先端部42Bの突部42Baが嵌合するようにして、基台部43Bと先端部42Bとが2色成形により結合されて、芯体4Bが形成される。
【0098】
この第2の実施形態においても、先端部42Bは、弾性材料、例えば熱可塑性のエラストマーで構成され、基台部43B及びこの基台部43Bと一体の芯体本体部41Bとは、硬質の樹脂、例えばPOM(polyoxymethylene;ポリアセタール)樹脂とされる。基台部43B及び芯体本体部41Bは、ABS樹脂で構成してもよい。
【0099】
この第2の実施形態の芯体4Bにおいては、芯体本体部41Bは、フェライトコア6Bを軸心方向に挿通せずに、フェライトコア6Bに嵌合して結合されるため、その軸心方向の長さが、第1の実施形態の場合の芯体4よりは短い。また、台座部材45を介して、フェライトコア6Bに結合されるようにされるために、この芯体本体部
41Bの断面形状が、第1の実施形態の場合の芯体4とは異なる。
【0100】
芯体本体部41Bは、この例では、
図7(A)に示すように、全体として四角柱形状を有すると共に、その4角柱の4個の側面により形成される4個の角部41Ba,41Bb,41Bc,41Bdのそれぞれが、中心軸方向に沿って矩形状に切り欠かれた形状を有する。すなわち、芯体本体部41Bの断面は、2個の長方形をその重心位置を同じにした状態で、互いの長辺方向が直交するように十字型に交差させた形状に等しい(
図7(A)参照)。
【0101】
そして、芯体本体部41Bは、
図7(B)〜(E)に示すように、その先端側に向かって徐々に細くなるように形成されている。すなわち、
図7(C)に示すように、芯体本体部41Bの基台部43Bとの結合部位置における、互いに対向する側面間の距離Taよりも、芯体本体部41Bの先端側における、互いに対向する同じ側面間の距離Tbの方が小さくなるように、芯体本体部41Bは形成されている。そして、この芯体本体部41Bの軸心方向の長さd2(
図7(C)参照)は、台座部材45の高さ(厚さ)d3(
図8(B)参照)よりも大きく選定されていると共に、フェライトコア6Bの凹穴6Baの深さと等しい、あるいは深さより短く選定されている。
【0102】
次に、台座部材45について説明する。
図8は、台座部材45の構成例を示す図で、
図8(A)は、その軸心方向から見た上面図、
図8(B)は、
図8(A)におけるE−E線断面図である。
【0103】
台座部材45は、
図8(A)及び(B)に示すように、高さ(厚さ)がd3(d3<d2)の中空円柱(リング状円板)である。ここで、台座部材45の高さ(厚さ)d3は、例えば0.3〜0.4mmとされている。台座部材45の外周円の径R5は、芯体4Bの先端部42Bの径R2よりも大きい値とされている。
【0104】
この台座部材45の中心位置には、断面形状が、当該台座部材45の外周円と同心円の円形であって、径がR6の貫通孔45aを有する。この例では、この台座部材45は、POM樹脂やABS樹脂からなる芯体4Bの基台部43B及び芯体本体部41Bよりも硬度が大である材料、例えばポリカーボネートで構成されている。
【0105】
台座部材45は、この例では、フェライトコア6Bの芯体4B側の円環状平面67に、軸心方向の一方の板面が接着材により接着されて固定される。フェライトコア6Bの芯体4B側の円環状平面67の中央に形成されている凹穴6Baの径は、
図7(E)に示すように、台座部材45の貫通孔45aと同じ径R6、あるいは径R6よりわずかに大きい径とされている。そして、この凹穴6Baの深さd4は、芯体4Bの芯体本体部41Bの軸心方向の長さd2から台座部材45の高さd3を差し引いた長さよりも大きくされている(d4>d2−d3)。台座部材45は、その貫通孔45aの中心位置と、フェライトコア6Bの凹穴6Baの中心位置とが一致するように位置合わせして、フェライトコア6Bに接着される。
【0106】
この第2の実施形態においても、
図5及び
図7(E)に示すように、第1の実施形態と同様に、ケース本体2Baの軸心方向の一端側に、芯体4Bの先端部42Bを外部に突出させるための開口部21Bを備える。この場合に、ケース本体2Baの中空部は、
図7(E)に示すように、第1の実施形態と同様に、開口部21Bの径
R3よりも大きい径を有し、この中空部を構成する内壁面の開口部21B側には段部22Bが形成されている。
【0107】
そして、
図5及び
図7(E)に示すように、ケース本体2Baの中空部内の開口部21B側において、フェライトコア6Bに接着された台座部材45の端面が段部22Bと係合し、かつ、台座部材45の貫通孔45aの中心位置と、ケース本体2Baの開口部21Bの中心位置とが一致するように、フェライトコア6Bが、ケース本体2Ba内に配設される。
【0108】
この場合に、台座部材45の外径R5
(図8参照)は、図7(E)に示すように、位置指示器1のケース本体2Baの開口部21Bが形成されている側の中空部の径R4よりも小さく、且つ、ケース本体2Baの開口部21Bの径R3よりは大きいものとされている。すなわち、台座部材45の外径R5は、R3<R5<R4とされている。したがって、台座部材45は、ケース本体2Bの開口部21Bから脱落してしまうことはなく、ケース本体2B内の段部22Bにより係止する。
【0109】
台座部材45の貫通孔45aの径R6は、芯体4Bの芯体本体部41Bが圧入嵌合される径とされている。すなわち、この例では、
図7(A)に示すように、芯体本体部41Bの断面の形状において、4つの角部の切り欠き部41Ba〜41Bdのうちの対角にある切り欠き部、
図7(A)の例では、切り欠き部41Bbと切り欠き部41Bdとの間の最も長い対角線距離をD1、最も短い対角線距離をD2としたときに、貫通孔45aの径R6は、
D2<R6<D1 ・・・ (式1)
に選定されている。ここで、芯体本体部41Bは、その先端側ほど細くなるような形状とされており、切り欠き部41Bbと切り欠き部41Bdとの間の最も長い対角線距離D1は、芯体本体部41Bの基台部43Bとの結合部における値であり、また、最も短い対角線距離D2は、芯体本体部41Bの先端部における値である。
【0110】
以上のように、台座部材45の貫通孔45aの形状が円形とされ、芯体本体部41Bの断面形状が角部を有する形状とされると共に、台座部材45の貫通孔45aの径R
6と、芯体本体部41Bの大きさの寸法関係が定められた結果、芯体本体部41Bが、
図9(A)に示すように、台座部材45の貫通孔45a内に挿入されると、台座部材45よりも硬度が小さい芯体本体部41Bが一部変形をすることにより、芯体本体部41Bは、
図9(B)に示すように台座部材45と嵌合して、台座部材45に圧入保持される状態となる。
【0111】
もしも、台座部材45の貫通孔45aの断面が円形であると共に、芯体本体部41Bの断面形状が円形である場合に、上述したように、芯体本体部41Bを先端ほど細くなるように形成したときには、台座部材45の貫通孔45aと芯体本体部41Bとが円形の線で接触するので、弾性変形ができずに、芯体本体部41Bを基台部43Bとの結合部(付け根部)まで、台座部材45の貫通孔45a内に押し込めない場合がある。特に、この実施形態のように、細い芯体本体部41Bの付け根まで押し込んでしっかりと嵌合するように、貫通孔45aを高精度で形成することは非常に困難である。
【0112】
これに対して、この例の芯体本体部41Bの断面形状は、複数個の角部を有する形状とされていると共に、台座部材45の貫通孔45aの断面形状は、円形であって、形状が異なる。
【0113】
そして、この例の芯体本体部41Bは、
図7(A)に示すように、4つの角部の切り欠き部41Ba〜41Bdを有するので、芯体本体部41Bを台座部材45の円形の貫通孔45aに挿入すると、貫通孔45aの内壁面と、8点で接触するようになる。この接触位置は、
図7(C)にも示したように、芯体本体部41Bは、先端ほど細くなるように構成されているので、芯体本体部41Bの基台部43Bとの結合部よりも手前の位置となる。
【0114】
しかし、その位置から更に、芯体本体部41Bを、基台部43Bとの結合部まで、貫通孔45aに圧入すると、芯体本体部41Bの材質は、台座部材45の材質よりも硬度が小さいことと、芯体本体部41Bの、台座部材45の貫通孔45aとの接触部が、前記8点の角部であるので変形が容易となるため、前記圧入により、当該角部がつぶれるように変形し、芯体本体部41Bは、台座部材45の貫通孔45aと、しっかりと嵌合する。これにより、芯体4Bは、台座部材45により圧入保持される。
【0115】
ただし、以上のようにしてしっかりとした保持状態において、芯体4Bに対して、台座部材45から引き抜くような力を与えると、台座部材45による芯体4Bの芯体本体部41Bとの圧入保持は解除され、芯体4Bは、容易に台座部材45から引き抜くことができる。よって、この第2の実施形態の位置指示器1Bにおいても、芯体4Bは交換可能となっている。
【0116】
以上のようにして、上述した第2の実施形態によれば、芯体4Bを、直接にフェライトコアに圧入させるのでなく、台座部材45を用いて芯体4Bを保持するようにする構成することで、芯体4Bが挿脱可能になる位置指示器1Bを実現できる。この場合に、この第2の実施形態によれば、フェライトコア
6Bには、第1の実施形態の場合のような芯体本体部41を挿通させる貫通孔6aを設ける構成とする必要はないので、貫通孔6aを設ける必要がない分、フェライトコア
6Bを細くすることが容易となり、位置指示器1Bは、より細型化の構成とすることができる。
【0117】
[基板ホルダー3B及び感圧用部品7Bの構成]
図
5に示すように、基板ホルダー3Bは、第1の実施形態の基板ホルダー3と同様に、芯体4B側に感圧用部品ホルダー部3Ba(以下、ホルダー部3Baと略称する)を備えると共に、芯体4B側とは反対側において、このホルダー部3Baに連続するように形成されているプリント基板載置台部3Bbを備える。
【0118】
そして、この第2の実施形態の感圧用部品7Bは、フェライトチップ701と、コイルバネ702と、弾性体、この例ではシリコンゴム703とで構成されている。なお、フェライトコア6Bは、第1の磁性体の一例であり、フェライトチップ701は、第2の磁性体の一例である。
【0119】
そして、ホルダー部3Baには、感圧用部品7Bを構成するフェライトチップ701、コイルバネ702及びシリコンゴム703が、プリント基板載置台部3Bb側から芯体4B側に向かう方向に沿う軸線方向に、順次並べられて保持される。更に、基板ホルダー3Bのプリント基板載置台部3Bbには、プリント基板8Bが載置される。
【0120】
この第2の実施形態の位置指示器1Bにおいては、プリント基板8Bの基板面8Baには、サイドスイッチ11と、コンデンサ12及び13と、その他の部品及び導体パターンが、第1の実施形態と同様にして設けられている。しかし、この第2の実施形態においては、第1の実施形態とは異なり、プリント基板8Bには、IC14及びその周辺回路は設けられない。なお、図
5に示すように、この第2の実施形態においても、プリント基板載置台部3Bbに載置されて係止されている状態では、プリント基板8Bは、ケース本体2Baの内壁面とは接触せずに離間している状態となっている。
【0121】
フェライトコア6Bは、コイル5Bの巻回部分よりも径が大きい鍔部6Bbを、芯体4B側とは反対側に備え、この鍔部6Bbの部分がホルダー部3Baで係止されることにより、基板ホルダー3Bに対して係止されて保持される。
【0122】
この第2の実施形態においては、位置指示器1Bの使用者により、芯体4Bの先端部42Bに押圧力(筆圧)が印加されると、その押圧力に応じて、芯体4Bが結合されているフェライトコア6Bの鍔部6Bbの端面が、コイルバネ702の偏倚力に抗して、フェライトチップ701側に偏倚して接近する。すると、これに応じてコイル5Bのインダクタンスが変化し、共振回路のコイル5Bから送信される電波の位相(共振周波数)が変化する。
【0123】
そして、更に、押圧力が大きくなると、フェライトチップ701の端面が、シリコンゴム703に当接し、このシリコンゴム703を弾性偏倚させる。これにより、シリコンゴム703の弾性係数に応じた変化特性で、コイル5Bのインダクタンスが変化し、共振回路のコイル5Bから送信される電波の位相(共振周波数)が変化する。
【0124】
なお、この第2の実施形態において、コイルバネ702は、シリコンゴム703よりも弾性係数の小さなものとされている。すなわち、コイルバネ702の弾性係数をk1とし、シリコンゴム703の弾性係数をk2とすると、k1<k2という関係になっている。したがって、コイルバネ702の方が小さな押圧力で弾性変形し、シリコンゴム703はコイルバネ702よりも大きな押圧力を加えないと弾性変形しない。
【0125】
この第2の実施形態の位置指示器1Bと電磁誘導結合により位置検出及び筆圧検出を行う位置検出装置202Bの回路構成は、例えば特開2010-129920号公報に記載された構成を用いるなど、従来から知られているものを適用可能であるので、この明細書では、その詳細な説明は省略する。
【0126】
なお、上述の第2の実施形態では、筆圧を検出するために共振回路のコイルのインダクタンスを変える方法として、第1の磁性体としてのフェライトコアを第2の磁性体としてのフェライトチップに対して筆圧の印加に応じて移動させる構成であるため、芯体4Bは、台座部材45を介して第1の磁性体としてのフェライトコア6Bに嵌合する構成であった。
【0127】
しかし、筆圧を検出するために共振回路のコイルのインダクタンスを変える方法として、第2の磁性体としてのフェライトチップを、コイルが巻回される第1の磁性体としてのフェライトコアに対して筆圧の印加に応じて移動させる構成もある。その場合には、フェライトチップをフェライトコアと芯体の先端部との間に配置する構成と、フェライトチップを、フェライトコアの芯体の先端部とは反対側に配置する構成との両方の形態が可能である。
【0128】
この発明は、このようにフェライトチップを移動させるようにする位置指示器にも適用できる。
【0129】
前者のフェライトチップをフェライトコアと芯体の先端部との間に配置する構成の場合には、芯体4Bは、台座部材45を介して第2の磁性体としてのフェライトチップに嵌合する構成とする。その場合には、フェライトチップの台座部材を接合する端面には、芯体4Bの芯体本体部41Bが挿入される凹穴が形成されるが、フェライトチップが第1の磁性体としてのフェライトコアの芯体側に設けられる場合には、第1の磁性体としてのフェライトコアには、芯体の芯体本体部を挿入するための凹穴は形成する必要はない。
【0130】
また、後者の場合には、芯体の先端部に印加される圧力を、フェライトチップに伝達するために、第1の実施形態と同様にして、フェライトコアには貫通孔を設ける必要がある。そして、後者の構成の場合にも、芯体は、台座部材45を介して第2の磁性体としてのフェライトチップに嵌合する構成とすることができる。なお、後者の構成の場合には、台座部材を用いずに、芯体の芯体本体部をフェライトチップに着脱自在に圧入嵌合する構成とすることもできる。
【0131】
以上説明した第2の実施形態の位置指示器1Bも、前述した第1の実施形態と同様の効果を奏し、位置指示器の筐体の細型化を、位置検出装置のセンサとの間における信号の送受信の劣化を防止しながら、実現することができる。しかも、この第2の実施形態の場合には、フェライトコアには、貫通孔を設ける必要がないので、位置指示器が落下したときの衝撃に基づく破損を生じにくく、より細型化(扁平化)が可能である。
【0132】
[第3の実施形態]
上述した第1の実施形態では、筆圧の検出方法として、共振回路を構成するコンデンサの静電容量を可変にするが、その静電容量の可変の方法として、軸心方向に並べた複数個の部品からなる感圧用部品7の一部を、芯体の先端部に印加される圧力に応じて軸心方向に移動させる機構的な構成であった。しかし、共振回路を構成するコンデンサの静電容量を可変にする構成としては、上述の例に限られる訳ではなく、例えば、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical System)と呼ばれる半導体デバイスにより、感圧用部品を構成するようにすることもできる。第3の実施形態の位置指示器は、感圧用部品として、このMEMSを用いる場合である。
【0133】
図10は、このMEMSを用いた感圧用部品の一例を説明するための断面図である。なお、この感圧用部品を、以下、静電容量方式圧力センシング半導体デバイス(以下、圧力センシングデバイスという)と呼ぶ。
【0134】
この圧力センシングデバイスは、例えば、MEMS技術により製作されている半導体デバイスとして構成される圧力感知チップ800を、例えば立方体あるいは直方体の箱型のパッケージ810内に封止したものである。圧力感知チップ800は、印加される圧力を、静電容量の変化として検出するものである。
【0135】
この例の圧力感知チップ800は、縦及び横の長さが、例えば1.5mm、高さが0.5mmの直方体形状とされている。この例の圧力感知チップ800は、
図10に示すように、第1の電極801と、第2の電極802と、第1の電極801及び第2の電極802の間の絶縁層(誘電体層)803とからなる。第1の電極801および第2の電極802は、この例では、単結晶シリコン(Si)からなる導体で構成される。
【0136】
そして、この絶縁層803の第1の電極801と対向する面側には、この例では、当該面の中央位置を中心とする円形の凹部804が形成されている。この凹部804により、絶縁層803と、第1の電極801との間に空間805が形成される。
【0137】
以上のような構成の圧力感知チップ800においては、第1の電極801と第2の電極802との間に静電容量Cdが形成される。そして、第1の電極801の第2の電極802と対向する面とは反対側の上面801a側から第1の電極801に対して圧力が印加されると、第1の電極801は、空間805側に撓み、第1の電極801と、第2の電極802との間の距離が短くなり、静電容量Cdの値が大きくなるように変化する。第1の電極801の撓み量は、印加される圧力の大きさに応じて変化する。したがって、静電容量Cdは、圧力感知チップ800に印加される圧力の大きさに応じた可変容量となる。
【0138】
そして、この例では、パッケージ810の圧力感知チップ800で圧力を受ける第1の電極801の面801a
側には、圧力感知チップ800で圧力を受ける部分の面積をカバーするような凹部811が設けられており、この凹部811内に、弾性部材812が充填される。そして、パッケージ810には、上面810aから弾性部材812の一部にまで連通する連通穴813が形成されている。
【0139】
そして、
図10に示すように、圧力感知チップ800のパッケージ810からは、圧力感知チップ800の第1の電極801と接続される第1のリード端子821が導出されると共に、圧力感知チップ800の第2の電極802と接続される第2のリード端子822が導出される。第1のリード端子821及び第2のリード端子822は、プリント基板において、フェライトコアに巻回されているコイルと共振回路を構成するように電気的に接続される。
【0140】
第3の実施形態の位置指示器においては、この圧力センシングデバイスを、フェライトコアと芯体の先端部との間に配置する構成と、フェライトコアの芯体の先端部とは反対側に配置する構成との両方の形態が可能である。
【0141】
前者の、圧力センシングデバイスをフェライトコアと芯体の先端部との間に配置する構成の位置指示器の場合には、芯体の芯体本体部を、圧力センシングデバイスの連通穴813に挿入し、弾性部材812により弾性的に保持させる構成とする。これにより、圧力感知チップ800の静電容量は、芯体の先端部に印加される圧力に応じて
変化する。この場合には、フェライトコアには、芯体の芯体本体部を挿入するための凹穴は形成する必要はない。
【0142】
また、後者の、圧力センシングデバイスをフェライトコアの芯体の先端部とは反対側に配置する構成の位置指示器の場合には、芯体の先端部に印加される圧力を、圧力センシングデバイスに伝達するために、第1の実施形態と同様にして、フェライトコアには貫通孔を設ける構成とする。そして、この後者の構成の場合、芯体の芯体本体部を、フェライトコアの貫通孔を挿通させた後、圧力センシングデバイスの連通穴813に挿入し、弾性部材812により弾性的に保持させるようにして、圧力感知チップ800の静電容量が、芯体の先端部に印加される圧力に応じて
変化するようにする。
【0143】
なお、後者の構成の位置指示器の場合には、フェライトコアに、芯体の芯体本体部を挿通させる貫通孔を設けない構成とすることもできる。すなわち、第2の実施形態と同様にして、芯体を、フェライトコアの凹部に台座部材45を介して嵌合させるようにする。そして、フェライトコアの軸心方向の芯体側とは反対側に、圧力センシングデバイスの連通穴813に挿入する突部を形成するようにする。この構成によれば、芯体の先端部に印加された圧力は、フェライトコアを通じて圧力センシングデバイスに伝達されることで、圧力センシングデバイスの静電容量が変わり、芯体の先端部に印加された圧力を検出することができる。
【0144】
以上説明した第3の実施形態の位置指示器も、前述した第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の効果を奏し、位置指示器の筐体の細型化を、位置検出装置のセンサとの間における信号の送受信の劣化を防止しながら、実現することができる。しかも、この第3の実施形態の場合には、感圧用部品を小型の半導体素子であるMEMSを用いるので、第1の実施形態や第2の実施形態の感圧用部品のような複数個の部品を用いる必要がなく、構成を簡単にすることができるという効果がある。
【0145】
[その他の実施形態及び変形例]
上述した第1及び第2の実施形態に例を示したフェライトコア6及び6Bの横断面形状は、扁平形状の長手方向に沿う方向の平面61P及び62Pを備え、これらの2平面61P,62P間を、曲面63C及び64Cで連結する構成であったが、フェライトコアは、このような形状に限られるものではないことは言うまでもない。
【0146】
例えば、
図11に、第1の実施形態に適用される、中心軸位置に貫通孔を有するフェライトコアのいくつかの例を示す。
図11(A)の例のフェライトコア6Cは、横断面形状が楕円形の柱状のもので、その中心軸位置に貫通孔6Caが設けられている。
【0147】
また、
図11(B)の例のフェライトコア6Dは、横断面形状が長方形の柱状のもので、その中心軸位置に貫通孔6Daが設けられている。この
図11(B)の例の横断面形状が長方形の柱状の場合には、角部を有する形状の場合には、その角部からの漏洩磁束が問題となるので、
図11(B)の例のように、4つの角部は、曲面形状に形成されて角部が生じないようにされている。
【0148】
上述の実施形態で用いたフェライトコアの横断面の形状は、横断面において中心軸位置を通る長手方向の直線を中心として線対称であると共に、当該長手
方向の直線に直交する方向の直線を中心として線対称である形状とした。しかし、フェライトコアの横断面形状は、そのような形状に限定される訳ではないことは言うまでもない。
【0149】
図11(C)のフェライトコア6Eは、横断面において中心軸位置を通る長手方向の直線Laに対して非対称となっている場合であり、その中心軸位置には貫通孔6Eaが設けられている。また、
図11(D)のフェライトコア6Fは、横断面において中心軸位置を通る長手方向の直線Laに直交する方向の直線Lbに対して非対称となっている場合であり、その中心軸位置には貫通孔6Faが設けられている。
【0150】
なお、フェライトコアの横断面の形状は、
図11に挙げた例に限らず、その他種々の形状が可能であることは言うまでもない。
【0151】
なお、磁性体コアは、上述の実施形態では、全てフェライトコアとしたが、フェライトコアに限らないことは言うまでもない。
【解決手段】筒状の筐体内に、筐体の軸心方向を中心軸方向として設けられる柱状の磁性体コアを備える。この柱状の磁性体コアには、その中心軸を中心としてコイルが巻回される。筒状の筐体の軸心方向の一端側に形成されている開口から、先端部が外部に露呈するように芯体が設けられる。磁性体コアは、扁平な横断面形状であると共に、当該磁性体コアの中心軸方向の、芯体の先端部側に、芯体の先端部に向かって先細となるように形成されたテーパ部を備える。