(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アフォーカルレンズの前記凸レンズの直径が75mm以上200mm以下であり、前記凹レンズの直径及び前記テレセントリックレンズの対角視野の直径が70mm以下であることを特徴とする請求項1記載の微小凹凸欠陥検査機用の簡易テレセントリックレンズ装置。
【背景技術】
【0002】
従来から一般的に行われているディスプレイ用各種光学フィルムの欠陥検査方法は、幅が数百mm〜数mのウェブ状フィルムを搬送している間に、ライン状照明装置と複数のラインセンサとを用いて、被検査面を撮影し、この撮影画像に基づき欠陥を特定している。このウェブ状フィルムの欠陥検査方法では、デジタルカメラや携帯電話用などの比較的小さなサイズにカットされ、加工された後の検査対象品の場合には、そのまま検査することができない。しかも、小型加工時に品質欠陥が発生した場合には、これらを事後的に検査することができない。このため、デジタルカメラや携帯電話用に広く使われている比較的小型の液晶用偏光フィルムの加工工程で生ずる気泡、キズ、異物等の微小な欠陥を加工後に検査する際は、高輝度LEDや蛍光灯、ハロゲンランプ、メタルハライドランプなどの強い光を検査対象の小型フィルムに照射し、欠陥界面からの散乱光または回折光を目視検査する方法が広く行われていた。
【0003】
しかしながら、透明フィルム加工後の各種欠陥には、微小な凹凸状欠陥も存在することがある。しかも、その凹凸状欠陥に異物がないことが多く、この場合は強い光を照射しても欠陥界面からの散乱光がなく、屈折光等の異常光も非常に小さいため、目視検査で見逃す可能性が高い。このような透明フィルム加工後の各種欠陥を検査する装置は実用化されておらず、透明フィルムからの透過光を暗視野照明方法でオペレータが目視検査して、微小凹凸欠陥を検出している。このため、検査には熟練を要するとともに、検査時間が長くなるという問題もあった。
【0004】
ところで、光学ガラスの脈理など、透明体の屈折率不均一性を可視化する方法として、シュリーレン法が知られている。シュリーレン法は透明体に平行光を透過させ、透過後の光を凸レンズまたは凹面鏡で集光し、その焦点付近にナイフエッジを置き、集光後に広がった光をスクリーンに投影するなどして像を観察するものである。このシュリーレン法では、屈折率が均一な透明体エリア(正常な透明体エリア)を透過した平行光は、凸レンズまたは凹面鏡の焦点を通る。また、屈折率の不均一性部分を透過した光は、平行光と進行方向が異なる。したがって、ナイフエッジにより屈折した光あるいは透明体をそのまま透過した平行光のいずれかをカットすることで、不均一部分を可視化させて検出することができる。
【0005】
また、シュリーレン法ではなく、特許文献1及び2に記載されているように、被検査対象物である試料を透過、または反射した平行光をそのままテレセントリックレンズで受光する方法も知られている。しかしながら、この方法では一度に検査可能なサイズが受光用テレセントリックレンズの視野(ほぼ口径に近い)以下となる。このため8型(対角線200mm)近くまで大型化傾向のあるモバイル用途の液晶ディスプレイに加工された試料全体を一度に画像検査する場合、試料とほぼ同じ口径の大型テレセントリックレンズが必
要になる。このような大口径テレセントリックレンズは非常に高価で、かつ重く、フォーカス、デフォーカスのために光軸上で移動することも容易ではない。また、これら特許文献1,2の方法では、テレセントリックレンズを用いるものの、本発明のようにデフォーカスにより欠陥を顕在化するという技術的思想の開示はない。
【0006】
一方、特許文献3には、デフォーカスして透明体の欠陥を見やすくする方法が記載されているが、この場合のデフォーカスは光学的ローパスフィルタの役割を利用してブラウン管に存在するマトリックスパターンをぼかして、背景ノイズを減らすものである。したがって、偏光フィルムのように、もともとパターンのない無地の検査対象におけるデフォーカスによる輝度増減現象や欠陥面積の拡大現象を利用する本発明とは基本的に異なる技術的思想である。
【0007】
また、特許文献4には、試料を透過または反射した平行光を凸レンズまたは凹面鏡で収束させ、この光束を、画角のあるレンズで受光する例が記載されている。しかし、画角のある受光用レンズでデフォーカスして、CCDカメラ等で撮像すると、レンズがテレセントリックでないため、試料全体の画像の大きさが変わる。したがって、画像検査用としては好ましくないこともあり、汎用性が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、例えばデジタルカメラや携帯電話用の偏光フィルムのような最終製品サイズにカットされた小型の透明フィルム等の被検査物に含まれる微小な凹凸欠陥を目視などにより、確実且つ迅速に検出することができない点である。このため、本発明では、被検査物の微小凹凸欠陥を顕在化させて、短時間に、容易にしかも確実に検査する方法及び装置に用いられる視野サイズの大きいテレセントリックレンズ装置を簡単な構成で提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の
微小凹凸欠陥検査機用の簡易テレセントリックレンズ装置は、
被検査物からの平行光を撮像装置により撮影して前記被検査物の微小な凹凸欠陥を顕在化させて表示部に表示する微小凹凸欠陥検査機用の簡易テレセントリックレンズ装置であって、前記被検査物からの平行光を集光する凸レンズ、及び前記凸レンズにより集光された光束を縮小平行光にする凹レンズを
有し、前記微小凹凸欠陥検査機のフレームに固定されるアフォーカルレンズと、前記アフォーカルレンズにより縮小平行光とされた平行光束が入射され
、前記撮像装置に取り付けられる縮小平行光用テレセントリックレンズと、前記縮小平行光用テレセントリックレンズを
前記撮像装置と共に前記平行光束の光軸方向に移動自在に保持するレンズ保持部とを有することを特徴とする。
【0011】
なお、前記アフォーカルレンズの前記凸レンズの直径が75mm以上200mm以下であり、前記凹レンズの直径及び前記テレセントリックレンズの対角視野の直径が70mm以下であることが好ましい。また、前記アフォーカルレンズの平行光収束用凸レンズを、同じ焦点距離で口径を異ならせて複数有し、いずれか一つを選択的にセットすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被検査物からの平行光を集光する凸レンズ、及び凸レンズにより集光された光束を縮小平行光にする凹レンズからなるアフォーカルレンズを有するため、アフォーカルレンズにより縮小平行光とされた平行光束を縮小平行光用テレセントリックレンズで受けることができる。したがって、被検査物の平行光を直接にテレセントリックレンズに入れる場合に比べて、用いるテレセンリックレンズや撮像装置の小型化が図れる。したがって、その分だけ、低廉なテレセントリックレンズ装置の使用が可能になり、装置全体の製造コストを安価に抑えることができる。また、機械的にもシンプルで安価なシステム構成が可能になる。
【0013】
被検査物のサイズが大きくなれば、被検査物を透過または反射する光束径も大きくなるので、アフォーカルレンズの凸レンズ口径も大きくなり、重量も重くなる。そこで、アフォーカルレンズは固定し、撮像用の小型テレセントリックレンズのみを光軸上で独立して移動可能なようにアフォーカルレンズから分離することにより、光軸上で空間的に分離された小型テレセントリックレンズ及び撮像装置を光軸上で移動することが可能になる。したがって、アフォーカルレンズも一緒に移動させる必要がなくなり、小型化が図れ、フォーカスやデフォーカスが容易に行える。また、移動対象が小型テレセントリックレンズやこれに光学的に連結されて一体化される撮像装置だけとなるので、レンズ移動装置の大型化や強度増加対策が不要になり、その分だけ構成が簡単になり、製造コストを下げることができる。
【0014】
被検査物を透過または反射した平行光をテレセントリックレンズで受光し、これをデフォーカスして凹凸欠陥の輝度増減効果や面積増大効果により、微小凹凸欠陥が顕在化されることにより、顕在化された微小凹凸欠陥をディスプレイ上で確認することが可能になる。したがって、初心者でも容易に迅速且つ正確に、微小凹凸欠陥の検出が可能になる。また、ディスプレイに表示する代わりに、または表示することに加えて、例えばしきい値を用いて2値化処理することにより、微小凹凸欠陥の自動検出も可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、本発明の簡易テレセントリックレンズ装置を用いた被検査物の微小凹凸欠陥検査装置10は、矩形箱状のフレーム11の鉛直方向で下部から上部に向かって順に、照明部12、試料台13、アフォーカルレンズ14、受光用の小型テレセントリックレンズ15を有するCCDカメラ(撮像装置)16を配置して構成されている。CCDカメラ16は、レンズ移動部17によって、光軸19方向(鉛直方向)で移動自在とされ
ている。また、CCDカメラ16の出力は、液晶パネルからなる表示部18に送られて、試料台13にセットされた試料30の撮影画像が表示部18の表示面18aに表示される。なお、CCDカメラの撮像デバイスは、CCDの他にCMOSやその他のものを用いてよい。
【0017】
照明部12は、高輝度拡散LED光源21、ピンホールプレート22、コリメート用凸レンズ23、及びこれらを収納する円筒状の鏡筒24から構成されており、試料台13の試料30に向けて平行光を照射する。
【0018】
試料台13は、台本体31と、この台本体31に設けられ、試料30のサイズに合わせて形成される段付きの開口部13aと、台本体31を光軸19方向に移動自在に保持する台移動部32とを備えている。開口部13aには試料30が載置される。なお、台本体31は、試料30の被検査面30aが上を向いて、平行光に垂直になるように、試料30を保持することができるものであればよく、試料30の保持方法は単なる載置の他に挟持等であってもよく、特に限定されない。
【0019】
台移動部32は、ラックアンドピニオン方式のシフト機構から構成されており、ピニオン(図示せず)と同軸で取り付けられた操作ダイヤル33を回動させることにより、ラック(図示せず)を介して台本体31を鉛直方向に移動させる。これにより、試料台13上にセットされた試料30の被検査面30aに対しフォーカス及びデフォーカスする際の粗調整を行うことができる。
【0020】
アフォーカルレンズ14は、集光用凸レンズ35と、この集光用凸レンズ35で集光された光束を平行光にする凹レンズ36と、これらを光軸19に沿って配置するレンズ鏡筒38とから構成されている。
【0021】
受光用の小型テレセントリックレンズ15は、例えば、対角視野が53mmで0.17倍の市販品を用いており、これを1/1.8型のCCDカメラ16に一体的に取り付けている。
【0022】
レンズ移動部17は、取り付けブラケット40、ラックアンドピニオン方式のシフト機構41、及び取り付け台42から構成されており、ピニオン(図示せず)と同軸で取り付けられた操作ダイヤル44を回動させることにより、ラック(図示せず)を介して小型テレセントリックレンズ15とCCDカメラ16とを一体的に鉛直方向に移動させる。これにより、試料台13上にセットされた試料30の被検査面30aに対しフォーカス及びデフォーカスする際の微調整を行うことができる。
【0023】
CCDカメラ16で撮影された試料30の被検査面30aの画像は表示部18に表示される。
図2は液晶表示パネルからなる表示部18の表示画像50の一例を示している。
図2の表示画像50では、被検査面30aの中央部の左側に微小凸欠陥51が、中央部の右側に微小凹欠陥52が見られる。これらの微小凹凸欠陥51,52は、試料30を目視により直接に観察する場合には、訓練を重ねた熟練者には目視可能であるが、初心者にとっては目視が困難であり見落としてしまいがちである。被検査面30aにフォーカスした
図2の画像では、微小凸欠陥51及び微小凹欠陥52も表示画像50上に顕在化されておらず、表示画像50上では確認することができない。
図2では、目視による確認が不可能な見えない状態を破線で表示してある。なお、図示の都合上、
図2では、微小凸欠陥51及び微小凹欠陥52を図示するために拡大し誇張して表示している。実際には微小凸欠陥51及び微小凹欠陥52は、直径が200μm〜800μm程度の微小なものである。
【0024】
図1に示すように、操作ダイヤル33,44を回して試料台13並びに小型テレセント
リックレンズ15及びCCDカメラ16の位置を光軸19上で変えると、
図3に示すように、被検査面30aがデフォーカスして撮像される。これによって、
図3に示す表示部18の表示画像53において、被検査面30aの中央部に対し左側の微小凸欠陥51は明るくなり、また右側の微小凹欠陥52は暗くなり、且つその部分の面積が拡大されることにより顕在化される。したがって、被検査面30aがデフォーカスして撮像された表示画像53では、微小な凸欠陥51及び凹欠陥52が実線で表示したように目視可能になる。
【0025】
なお、操作ダイヤル44の操作によるデフォーカス位置の微調整の前に、操作ダイヤル33の操作によるデフォーカス位置の粗調整が行われる。この粗調整による移動範囲は例えば100mm以上300mm以下である。また、微調整による移動範囲は例えば5mm以上100mm以下である。操作ダイヤル33,44毎に1回転当たりの送り量を異ならせて試料台13の送り量をテレセントリックレンズ15及びCCDカメラ16の送り量よりも大きくすることにより、フォーカス位置及びデフォーカス位置に迅速且つ正確にセットすることができる。
【0026】
図4及び
図5は、試料30の中央部に対し左側に異物欠陥がある場合の表示画像55,56の一例である。
図4は、試料30の被検査面30aにフォーカスした時の被検査面30aの表示画像55であり、
図5はデフォーカスした時の同じく表示画像56である。このように微小異物欠陥57については、被検査面30aをフォーカスした時に微小異物欠陥57として目視により特定することができる。また、デフォーカスしたときは、微小異物欠陥57はボケて表示されるものの、微小凹凸欠陥51,52のように顕著な輝度変化や面積変化は見られない。
【0027】
したがって、
図6の一覧表や
図7のグラフに示すように、欠陥部分のフォーカス時とデフォーカス時との微小欠陥部分のボケ具合や輝度変化状態、サイズ変化状態の変化具合によって、微小凸欠陥51、微小凹欠陥52、微小異物欠陥57を判定することができる。すなわち、フォーカス時には輝度が地のときと同じである所定値A1であり、デフォーカス時には輝度が上がり且つ欠陥部を示す輝度エリアの面積も増大する。この場合には、微小凸欠陥51と判定する。また、フォーカス時には輝度が地のときと同じであり、デフォーカス時には輝度が地の部分に比較して下がり且つ欠陥部を示す輝度エリアの面積が増大する。この場合には微小凹欠陥52と判定する。また、フォーカス時及びデフォーカス時ともに、輝度の変化、及び欠陥部を示す輝度エリアの面積の変化が微小凹凸欠陥51,52に比べて極めて小さいときに、微小異物欠陥57と判定する。
【0028】
なお、微小凹凸欠陥51,52や微小異物欠陥57の検査時には、フォーカス時とデフォーカス時との画像を見比べることでこれら欠陥の検出を容易に行っているが、あるサイズ域の微小欠陥を対象にして検査する場合には、その微小欠陥を顕在化させるデフォーカス位置にテレセントリックレンズ及び撮像装置並びに試料台13をレンズ移動部17及び台移動部32により固定して、撮像を行ってもよい。このようにすることで、ある特定のサイズ域の微小欠陥のみを顕在化することができる。
【0029】
アフォーカルレンズ14の凸レンズ35は、安価な単レンズであっても、本発明で有効に実施可能であるが、用途によってはアクロマティックレンズやトリプレットが好適な場合もあり、このような場合にも本発明を実施することができる。
【0030】
図8に示すように、同じ焦点距離で口径が異なる複数(例えば3個)の凸レンズ71,72,73を有するレンズターレット74を用いて、各凸レンズ71〜73を交換可能に保持することにより、汎用性が向上する。例えば、アフォーカルレンズ14のある形が出来た場合、同じ焦点距離を有する口径の異なる凸レンズ71〜73のいずれかに交換することで、撮像視野を簡単に変更することができる。これにより、アフォーカルレンズ14
の凹レンズ36および撮像用の小型テレセントリックレンズ15を交換すること無しに、視野を試料30のサイズに簡単に合わせることができ、安価で汎用性の高い検査装置を提供することができる。ただし、照明部12が同じであれば受光画像の明るさは視野の大きさによって当然に変わるので、補正が必要になる場合がある。この場合には、カメラ側や液晶表示パネル側で周知の補正方法によって簡単且つ容易に補正が可能であるが、光源21の発光輝度を変化させることで補正してもよい。
【0031】
なお、ターレット方式のように複数の凸レンズを回転変位により光軸に選択的にセットする代わりに、スライド方式で複数の凸レンズを光軸に選択的にセットしてもよい。また、単に複数の凸レンズを個別に用意しておき、これらの一つを選択的に光軸にセットしてもよい。
【0032】
アフォーカルレンズ14の凸レンズ35は、実用面を考慮すると、デジタルカメラや携帯電話用、各種モバイルディスプレイ用にカットされた偏光フィルムの全体を視野に入れる場合、直径75mm以上200mm以下が望ましい。直径が200mm以下であればモバイル型ディスプレイ最終製品サイズの大半をカバーすることができる。直径が75mm未満では昨今のモバイル用途ディスプレイが大型化しつつあるとき、その用途がかなり限定されてきてしまい、好ましくない。
【0033】
また、アフォーカルレンズ14の凹レンズ36を口径70mm以下とし、これに対応する撮像用の小型テレセントリックレンズ15の対角視野も直径70mm以下とすることにより、一般市販の比較的安価なレンズの採用が可能になる。この組み合わせにより、微小凹凸欠陥51,52の検査目的や用途によっては、高価で重い大口径テレセントリックレンズ代用の安価なテレセントリックレンズとしても使用可能となる。
【0034】
なお、上記実施形態では、微小凹凸欠陥51,52をデフォーカスにより顕在化させて表示部18に被検査面30aを表示させ、この表示画像50,53を目視し微小凹凸欠陥51,52として検出しているが、これに代えて、または加えて、周知の画像処理部によりしきい値を用いて2値化処理し、2値化処理にて欠陥と判定された画素が連続してなるエリアが所定面積以上であるときに、微小凹凸欠陥51,52であると自動判別してもよい。そして、画像処理部による微小凹凸欠陥51,52の判定処理では、所定の輝度を超えたときに例えば微小凸欠陥51と判定し、逆に所定の輝度以下のときに、例えば微小凹欠陥52と判定する。
【0035】
デフォーカシングは、被検査面30aに対し後ろ側の他に、被検査面30aに対し前側で行ってもよい。この場合には、微小凹欠陥52のときにデフォーカス位置で輝度が上がり、微小凸欠陥51のときにデフォーカス位置で輝度が下がる。
【0036】
微小凹凸欠陥51,52の検査では、ある一定範囲内の微小凹凸欠陥51,52が顕在化されるデフォーカス位置で固定したが、これに代えて、試料30毎にフォーカス位置からデフォーカス位置へと徐々に変化させながら表示画像の変化を観察して微小凹凸欠陥51,52を検査してもよい。また、操作ダイヤル33,44を手動で回してデフォーカスする代わりに、モータを用いて自動的にフォーカス及びデフォーカスを行ってもよい。また、透過光を用いて被検査面を照明して微小凹凸欠陥を検出するようにしたが、この他に被検査面に同軸落射または疑似同軸落射による平行光を照射させて反射させ、この反射光を用いて、微小凹凸欠陥を検出してもよい。
【0037】
デフォーカスは、試料台13の光軸方向移動による粗調整と、テレセントリックレンズ及びCCDカメラ16の光軸方向移動による微調整とにより行うようにしたが、これに限られず、試料台13の移動、またはテレセントリックレンズ15及びCCDカメラ16の
移動のみで行ってもよい。
【0038】
上記実施形態では、被検査面30aは試料30の全面としているが、これは、ほぼ全面であっても、あるいは一部であってもよい。一部の場合には、周知の二次元移動装置により、試料30を平面上で二次元方向に移動させて、試料30の全面を走査すればよい。
【実施例1】
【0039】
以下、実施例にて本発明を具体的に説明する。
図1に示すように、高輝度拡散LED光源21からの放射光をピンホールプレート22の直径0.5mmのピンホールを介して通過させ、この通過した放射光を口径が100mmで焦点距離が300mmのコリメート用凸レンズ23にて平行光にする。コリメート用凸レンズ23から光軸19上で250mm離れた位置に、口径が100mmで焦点距離が300mmの平行光集光用の凸レンズ35を配置し、さらにこの凸レンズ35から光軸方向で200mm離れた位置に、口径が50mmで焦点距離が100mmの凹レンズ36を配置し、縮小平行光とする。この縮小平行光を市販の対角視野の直径が53mm、0.17倍の小型テレセントリックレンズ(株式会社ヴイ・エス・テクノロジー社製のVS−TCM017−1/1.8”)15で受光し、1/1.8型のCCDカメラ16で撮像した。このとき、台移動部32により試料台13を光軸方向で移動させて粗調整を行った。その後に、ラックアンドピニオンによる手動式のレンズ移動部17によりテレセントリックレンズ15及びCCDカメラ16を光軸方向で移動させて微調整を行った。これら粗調整及び微調整により、フォーカス位置及びデフォーカス位置にセットした。
【0040】
図2〜
図4に示すように、得られた撮像画像は、検査対象である対角線長さが90mmの3.5型の偏光フィルムからなる試料30のほぼ全体を1視野に入れて撮影することができた。
【0041】
図2に示すように、検査対象透明フィルム面にフォーカスしたときには、微小凹凸欠陥51,52があっても、レンズ効果が発揮されないので、異物のない凹凸欠陥として殆ど認識することができない。撮像用の小型テレセントリックレンズ15をフォーカス位置から光軸19上で移動してデフォーカスすると、
図3に示すように、微小凹凸欠陥51,52のレンズ効果により欠陥画像の輝度及び面積が変化する現象が観察される。これら欠陥画像の輝度及び面積が顕著に変化する位置をデフォーカス位置として固定する。
【0042】
図6及び
図7に示すように、微小凸欠陥51と微小凹欠陥52ではレンズ効果が異なり、輝度変化方向がそれぞれ反対になる。したがって、明るい部分を凸欠陥51と判定することができ、反対に暗い部分は凹欠陥52と判定することができる。このように、凸欠陥51か凹欠陥52かの判別を容易に行うことができる。各欠陥51,52は、暗と明に分かれ、且つそのサイズが顕著に拡大していることが判る。
【0043】
図4及び
図5は、透明フィルムの異物欠陥サンプルについて同様な検査を行ったときの撮像画像の一例を示している。
図6に示すように、被検査面30aにフォーカスして撮像した時には、地の部分と異なり微小異物欠陥部分が暗くなっており目視にてこの部分の識別が可能である。そして、デフォーカスしていくと、この微小異物欠陥部分はぼけていく。このように、微小異物欠陥57はデフォーカス時にボケがみられるが、顕著な輝度変化や面積変化はみられないことにより、微小凹凸欠陥51,52か微小異物欠陥57かを簡単に判別することができる。したがって、欠陥検査に基づき原因を探求する際に、微小凹凸欠陥51,52か微小異物欠陥57かを判別することができるため、故障原因を探求する際の重要な情報源を得ることができる。
【0044】
図6は、欠陥画像部分の輝度および画像面積(ピクセル数)を計数した相対値を縦軸に
とり、各欠陥の輝度及び面積をフォーカス時とデフォーカス時とに分けて示したものである。このグラフからも明らかなように、フォーカス時には微小凹凸欠陥51,52は、ほとんど見えなくなるので、判定閾値を越える欠陥面積はゼロに近いが、デフォーカス時には欠陥部面積は顕著に拡大していることが判る。また、凹欠陥と凸欠陥では輝度変化の方向が逆になっていることも判る。
【0045】
本発明の簡易テレセントリックレンズ装置を用いた被検査物の微小凹凸欠陥検査方法は、被検査物の被検査面に平行光を照射し、この照射により前記被検査面から透過または反射した光をテレセントリックレンズでデフォーカスして撮像装置により撮像し、前記被検査物の微小な凹凸欠陥の輝度増減現象および欠陥面積の拡大現象により前記凹凸欠陥を顕在化させて表示部に表示している。
【0046】
本発明の簡易テレセントリックレンズ装置を用いた被検査物の微小凹凸欠陥検査方法は、被検査物の被検査面に平行光を照射する平行光照明部と、前記平行光照明部により照明された前記被検査面からの平行光を集光する凸レンズ及び前記凸レンズにより集光された光束を縮小平行光にする凹レンズからなるアフォーカルレンズと、前記アフォーカルレンズにより縮小平行光とされた平行光束を撮像するための小型テレセントリックレンズを有する撮像部と、前記撮像部を前記平行光束の光軸方向に移動自在に保持して前記被検査面をデフォーカス撮影するデフォーカス部とを有し、前記アフォーカルレンズ及び小型テレセントリックレンズとを同一光軸上で分割して配置し、前記小型テレセントリックレンズを前記平行光束の光軸方向に移動自在に構成している。なお、前記被検査物を保持する試料台を前記平行光束の光軸方向に移動自在に保持し、前記試料台による光軸方向移動によってデフォーカスの粗調整を行い、前記撮像部による光軸方向移動によってデフォーカスの微調整を行うことが好ましい。
【0047】
本発明の被検査物の微小凹凸欠陥検査装置は、被検査物の被検査面に平行光を照射する平行光照明部と、この平行光照明部により照明された前記被検査面からの平行光を集光する凸レンズ、及び前記凸レンズにより集光された光束を縮小平行光にする凹レンズからなるアフォーカルレンズと、前記アフォーカルレンズにより縮小平行光とされた平行光束を撮像するための小型テレセントリックレンズを有する撮像部と、前記撮像部を前記平行光束の光軸方向に移動自在に保持して前記被検査面をデフォーカス撮影するデフォーカス部と、前記撮像部により撮像されたデフォーカス画像を表示する表示部とを備えている。なお、前記デフォーカス部は、前記平行光束の光軸方向に移動自在であり前記被検査物を保持する試料台を有し、前記試料台による光軸方向移動によってデフォーカスの粗調整を行い、前記撮像部による光軸方向移動によってデフォーカスの微調整を行うことが好ましい。