(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1ワード線と、前記第1ワード線と交差する第1ビット線と、前記第1ワード線と前記第1ビット線の交点に配置され、論理値によってライト時の所要時間が異なる第1記憶素子と、
第1バイアスノードと、
前記第1ビット線と前記第1バイアスノードとの間に接続され、前記第1記憶素子のライト動作の際に前記第1ビット線と前記第1バイアスノードとの間を導通する第1スイッチ回路と、
前記第1バイアスノードに接続され、活性化時に前記第1バイアスノードに第1ライト電流を印加する第1電流供給回路と、
前記第1バイアスノードに接続され、活性化時に前記第1バイアスノードに第2ライト電流を印加する第2電流供給回路と、
第1及び第2論理値のいずれか一方の論理値を示すライトデータを一時的にラッチする第1ラッチ回路と、
第1ライト制御回路と、を備え、
前記第1ライト制御回路は、前記第1ラッチ回路がラッチするライトデータの前記第1論理値に応じて、前記第1電流供給回路を活性化し、前記第2電流供給回路を非活性化し、さらに、前記第1ラッチ回路がラッチするライトデータの前記第2論理値に応じて、前記第1電流供給回路を非活性化し、前記第2電流供給回路を活性化し、
前記第1ライト制御回路は、第1乃至第3のパルスを周期的に有する第1制御信号を受けることに応じて、前記第1ライト電流の印加時間及び前記第2ライト電流の印加時間のそれぞれを制御する、ことを特徴とする半導体装置。
第2ワード線と、前記第2ワード線と交差する第2ビット線と、前記第2ワード線と前記第2ビット線の交点に配置され、論理値によってライト時の所要時間が異なる第2記憶素子と、
第2バイアスノードと、
前記第2ビット線と前記第2バイアスノードとの間に接続され、前記第2記憶素子のライト動作の際に前記第2ビット線と前記第2バイアスノードとの間を導通する第2スイッチ回路と、
前記第2バイアスノードに接続され、活性化時に前記第2バイアスノードに第3ライト電流を印加する第3電流供給回路と、
前記第2バイアスノードに接続され、活性化時に前記第2バイアスノードに第4ライト電流を印加する第4電流供給回路と、
前記第1及び第2論理値のいずれか一方の論理値を示すライトデータを一時的にラッチする第2ラッチ回路と、
第2ライト制御回路と、を備え、
前記第2ライト制御回路は、前記第2ラッチ回路がラッチするライトデータの前記第1論理値に応じて、前記第3電流供給回路を活性化し、前記第4電流供給回路を非活性化し、さらに、前記第2ラッチ回路がラッチするライトデータの前記第2論理値に応じて、前記第3電流供給回路を非活性化し、前記第4電流供給回路を活性化し、
前記第2ライト制御回路は、第4乃至第6のパルスを周期的に有する第2制御信号を受けることに応じて、前記第3ライト電流の印加時間及び前記第4ライト電流の印加時間のそれぞれを制御する請求項1記載の半導体装置。
前記第1ラッチ回路及び前記第1ライト制御回路は、第1カラム選択信号の所定論理値を受けることに応じて、共通に選択され、前記第2ラッチ回路及び前記第2ライト制御回路は、前記第1カラム選択信号と位相の異なる第2カラム選択信号の所定論理値を受けることに応じて、共通に選択されることを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体装置。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータやサーバなどには、階層的に構築された種々の記憶装置が用いられる。下層の記憶装置は安価で且つ大容量であることが求められ、上層の記憶装置には高速アクセスが求められる。最も下層の記憶装置としては、一般的にハードディスクドライブや磁気テープなどの磁気ストレージが用いられる。磁気ストレージは不揮発性であり、しかも、半導体メモリなどに比べて極めて大容量のデータを安価に保存することが可能であるが、アクセススピードが遅く、しかも、多くの場合ランダムアクセス性を有していない。このため、磁気ストレージには、プログラムや長期的に保存すべきデータなどが格納され、必要に応じてより上層の記憶装置に転送される。
【0003】
メインメモリは、磁気ストレージよりも上層の記憶装置である。一般的に、メインメモリにはDRAM(Dynamic Random Access Memory)が用いられる。DRAMは、磁気ストレージに比べて高速アクセスが可能であり、しかも、ランダムアクセス性を有している。また、SRAM(Static Random Access Memory)などの高速半導体メモリよりも、ビット単価が安いという特徴を有している。
【0004】
最も上層の記憶装置は、MPU(Micro Processing Unit)に内蔵された内蔵キャッシュメモリである。内蔵キャッシュメモリは、MPUのコアと内部バスを介して接続されることから、極めて高速なアクセスが可能である。しかしながら、確保できる記録容量は極めて少ない。尚、内蔵キャッシュとメインメモリとの間の階層を構成する記憶装置として、2次キャッシュや3次キャッシュなどが使用されることもある。
【0005】
DRAMがメインメモリとして選択される理由は、アクセス速度とビット単価のバランスが非常に良いからである。しかも、半導体メモリの中では大容量であり、近年においては1ギガビットを超える容量を持つチップも開発されている。しかしながら、DRAMは揮発性メモリであり、電源を切ると記憶データが失われてしまうため、プログラムや長期的に保存すべきデータの格納には適していない。また、電源投入中も、データを保持するためには定期的にリフレッシュ動作を行う必要があるため、消費電力の低減に限界があるとともに、コントローラによる複雑な制御が必要であるという課題を抱えている。
【0006】
大容量の不揮発性半導体メモリとしては、フラッシュメモリが知られている。しかしながら、フラッシュメモリは、データの書き込みやデータの消去に大電流が必要であり、しかも、書き込み時間や消去時間が非常に長いというデメリットを有している。したがって、メインメモリとしてのDRAMを代替することは不適切である。その他、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)やFRAM(Ferroelectric Random Access Memory)等の不揮発性メモリが提案されているが、DRAMと同等の記憶容量を得ることは困難である。
【0007】
一方、DRAMに代わる半導体メモリとして、相変化材料を用いて記録を行うPRAM(Phase change Random Access Memory)が提案されている(特許文献1,2参照)。PRAMは、記録層に含まれる相変化材料の相状態によってデータを記憶する。つまり、相変化材料は、結晶相における電気抵抗とアモルファス相における電気抵抗が大きく異なっていることから、これを利用して、データを記録することができる。
【0008】
相状態の変化は、相変化材料に書き込み電流を流し、これにより相変化材料を加熱することによって行われる。データの読み出しは、相変化材料に読み出し電流を流し、その抵抗値を測定することによって行われる。読み出し電流は、相変化を生じさせないよう、書き込み電流よりも十分小さな値に設定される。このように、相変化材料の相状態は、高熱を印加しない限り変化しないことから、電源を切ってもデータが失われることはない。
【0009】
相変化材料をアモルファス化(リセット)するためには、書き込み電流の印加によって相変化材料を融点以上の温度に加熱し、その後急速に冷却する必要がある。一方、相変化材料を結晶化(セット)するためには、書き込み電流の印加によって相変化材料を結晶化温度以上、融点未満の温度に加熱し、その後徐々に冷却する必要がある。このため、PRAMは、リセット動作に比べてセット動作に必要な時間が長いという特徴を有している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の好ましい実施形態による半導体記憶装置の回路図である。
【0019】
図1に示す半導体記憶装置は、ワード線WL1〜WLmと、ワード線WL1〜WLmと交差するビット線BL1〜BLnと、ワード線とビット線の交点に配列されたメモリセルMC(1,1)〜MC(m,n)とを備えたマトリクス状のメモリである。
【0020】
ワード線WL1〜WLmの選択はロウセレクタ11によって行われ、ワード線WL1〜WLmのいずれか一つが活性状態とされる。また、ビット線BL1〜BLnには、それぞれ書き込み電流を供給するライトドライバWD1〜WDnが接続されている。ライトドライバWD1〜WDnの動作は、それぞれ書き込み制御回路WC1〜WCnによって制御される。書き込み制御回路WC1〜WCnには、
図1に示すように、ライトデータDataが共通に供給される。
【0021】
カラムセレクタ12は、書き込み制御回路WC1〜WCnにそれぞれ対応するカラム選択信号CS1〜CSnを生成する回路であり、これによって、書き込み制御回路WC1〜WCnの選択が行われる。カラムセレクタ12には、クロック信号CLKが供給されており、これによりカラムセレクタ12はクロック信号CLKに同期した動作を行う。
【0022】
図1に示すように、ライトドライバWD1〜WDnは、それぞれセット用トランジスタ21及びリセット用トランジスタ22によって構成されている。いずれのトランジスタもPチャンネル型のMOSトランジスタである。セット用トランジスタ21のソースはセット電位配線Vsetに接続され、リセット用トランジスタ22のソースはリセット電位配線Vresetに接続されている。これらトランジスタ21,22のドレインは、YスイッチY1〜Ynを介して、対応するビット線BL1〜BLnに共通接続されている。YスイッチY1〜Ynには、選択信号Yselが共通に供給される。
【0023】
これにより、選択信号Yselが活性化した状態でセット用トランジスタ21がオンすると、対応するビット線BL1〜BLnにセット電流が供給される。一方、選択信号Yselが活性化した状態でリセット用トランジスタ22がオンすると、対応するビット線BL1〜BLnにリセット電流が供給されることになる。
【0024】
セット用トランジスタ21のゲートに供給されるセットパルス31と、リセット用トランジスタ22のゲートに供給されるリセットパルス32は、対応する書き込み制御回路WC1〜WCnによって生成される。
【0025】
図1に示すように、書き込み制御回路WC1〜WCnには、ライトデータData及びカラム選択信号CS1〜CSnの他、タイミング信号生成回路13によって生成されるタイミング信号TS及びタイミング選択信号SELが供給される。これら信号のうち、ライトデータData、タイミング信号TS及びタイミング選択信号SELについては、書き込み制御回路WC1〜WCnに対して共通に供給される。これに対し、カラム選択信号CS1〜CSnについては、書き込み制御回路WC1〜WCnに対してそれぞれ個別に供給される。
【0026】
タイミング信号TSは5本のタイミング信号TS1〜TS5からなり、タイミング選択信号SELは5本のタイミング選択信号SEL1〜SEL5からなる。
【0027】
図2は、本発明による半導体記憶装置がPRAMである場合におけるメモリセルMCの回路図である。
【0028】
図2に示すように、本発明による半導体記憶装置がPRAMである場合、メモリセルMCは相変化材料からなる不揮発性記憶素子PCと選択トランジスタTrによって構成され、これらがビット線BLとソース電位VSSとの間に直列接続されることになる。
【0029】
不揮発性記憶素子PCを構成する相変化材料としては、2以上の相状態を取り、且つ、相状態によって電気抵抗が異なる材料であれば特に制限されないが、いわゆるカルコゲナイド材料を選択することが好ましい。カルコゲナイド材料とは、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、インジウム(In)、セレン(Se)等の元素を少なくとも一つ以上含む合金を指す。一例として、GaSb、InSb、InSe、Sb
2Te
3、GeTe等の2元系元素、Ge
2Sb
2Te
5、InSbTe、GaSeTe、SnSb
2Te
4、InSbGe等の3元系元素、AgInSbTe、(GeSn)SbTe、GeSb(SeTe)、Te
81Ge
15Sb
2S
2等の4元系元素が挙げられる。
【0030】
カルコゲナイド材料を含む相変化材料は、アモルファス相(非晶質相)及び結晶相のいずれかの相状態をとることができ、アモルファス相では相対的に高抵抗状態、結晶相では相対的に低抵抗状態となる。
【0031】
選択トランジスタTrは、NチャンネルMOSトランジスタによって構成され、そのゲート電極は対応するワード線WLに接続されている。これにより、ワード線WLが活性化すると、ビット線BLとソース電位VSSとの間に不揮発性記憶素子PCが接続された状態となる。
【0032】
既に説明したとおり、相変化材料をアモルファス化(リセット)するためには、書き込み電流の印加によって相変化材料を融点以上の温度に加熱し、その後急速に冷却する必要がある。一方、相変化材料を結晶化(セット)するためには、書き込み電流の印加によって相変化材料を結晶化温度以上、融点未満の温度に加熱し、その後徐々に冷却する必要がある。
図3は、これを説明するためのグラフである。曲線aは、不揮発性記憶素子PCを構成する相変化材料をアモルファス化(リセット)する場合の加熱方法を示しており、曲線bは、不揮発性記憶素子PCを構成する相変化材料を結晶化(セット)する場合の加熱方法を示している。
【0033】
図3に示すように、PRAMでは、リセット動作に比べてセット動作に必要な時間が長くなる。
【0034】
図4は、タイミング信号TS1〜TS5及びタイミング選択信号SEL1〜SEL5の波形図である。
【0035】
図4に示すように、タイミング信号TS1〜TS5はいずれもクロック信号CLKに同期した信号であり、互いにjクロックずつ位相の異なる信号である。本実施形態においてはj=1であり、したがって、タイミング信号TS1〜TS5の位相は互いに1クロックずつずれている。
【0036】
タイミング信号TS1〜TS5は、3つのパルスが繰り返し現れる波形を有している。タイミング信号TS1を例として具体的に説明すると、クロック信号CLKのアクティブエッジ#1、#2及び#5に同期したパルスP1〜P3からなるパルス群Pが繰り返される。このため、1つのパルス群Pは5クロックの期間を使用する。したがって、タイミング信号TS1〜TS5の位相を互いに1クロックずつずらすことにより、クロック信号CLKの全てのアクティブエッジは、いずれかのパルス群Pの開始タイミングとなる。
図4に示す例で言えば、クロック信号CLKのアクティブエッジ#1〜#5は、それぞれタイミング信号TS1〜TS5のパルス群Pの開始タイミングとなる。また、クロック信号CLKのアクティブエッジ#6〜#10も、それぞれタイミング信号TS1〜TS5のパルス群Pの開始タイミングとなる。
【0037】
パルスP1からパルスP3までの期間は、相変化材料を結晶化(セット)するための期間に相当し、本実施形態では4クロックである。また、パルスP1からパルスP2までの期間は、相変化材料をアモルファス化(リセット)するための期間に相当し、本実施形態では1クロックである。
【0038】
図4に示すように、タイミング選択信号SEL1〜SEL5は、それぞれタイミング信号TS1〜TS5のパルス群Pの開始に先立つワンショットパルス波形を有している。したがって、これらタイミング選択信号SEL1〜SEL5の位相も互いに1クロックずつずれており、5クロックごとに活性化されることになる。
【0039】
次に、書き込み制御回路WC(WC1〜WCn)の回路構成について説明する。
【0040】
図5は、書き込み制御回路WC(WC1〜WCn)の構成を示すブロック図である。
【0041】
図5に示すように、書き込み制御回路WCは、ライトデータラッチ回路41、セレクター42、シフトレジスタ43及びライトパルス発生部44によって構成されている。書き込み制御回路WCに供給される信号のうち、ライトデータDataはライトデータラッチ回路41に供給され、タイミング信号TS及びタイミング選択信号SELはセレクター42に供給される。カラム選択信号CS(CS1〜CSn)については、全てのブロック41〜44に供給される。
【0042】
図6は、ライトデータラッチ回路41の回路図である。
【0043】
図6に示すように、ライトデータラッチ回路41は、いわゆるトランスペアレントラッチ回路(又はスルーラッチ回路)と呼ばれる回路によって構成されている。トランスペアレントラッチ回路は2つの入力端D,Gを有しており、入力端Gに供給される信号がローレベルからハイレベルに変化したタイミングにて、入力端Dに供給される信号をラッチする。入力端Gに供給される信号がハイレベルである期間は、ラッチした論理レベルを出力端Qから出力するが、入力端Gに供給される信号がローレベルになると、入力端Dに供給される信号をそのまま出力端Qから出力する。つまり、入力端Gに供給される信号がローレベルである場合には、入力信号をスルーする回路である。
【0044】
そして、
図6に示すように、入力端DにはライトデータDataが供給され、入力端Gには対応するカラム選択信号CS(CS1〜CSn)が供給される。出力端Qは、内部信号51としてライトパルス発生部44に供給される。
【0045】
図7は、セレクター42の回路図である。
【0046】
図7に示すように、セレクター42は、5つのトランスペアレントラッチ回路61〜65と、これらに対応する5つのトランスファーゲート71〜75によって構成されている。トランスペアレントラッチ回路61〜65の機能は、既に説明したとおりである。
【0047】
トランスペアレントラッチ回路61〜65の入力端Dには、タイミング選択信号SEL1〜SEL5がそれぞれ供給されている。また、トランスペアレントラッチ回路61〜65の入力端Gには、対応するカラム選択信号CS(CS1〜CSn)が共通に供給されている。
【0048】
また、トランスファーゲート71〜75の入力端には、タイミング信号TS1〜TS5がそれぞれ供給されている。トランスファーゲート71〜75の動作はそれぞれトランスペアレントラッチ回路61〜65の出力信号によって制御され、対応するトランスペアレントラッチ回路61〜65の出力端Qがハイレベルとなり、反転出力端/Qがローレベルとなると、対応するタイミング信号TS1〜TS5を通過させる。トランスファーゲート71〜75の出力は共通接続され、内部信号52としてシフトレジスタ43に供給される。
【0049】
このような回路構成により、対応するカラム選択信号CS(CS1〜CSn)がローレベルからハイレベルに変化すると、トランスペアレントラッチ回路61〜65にタイミング選択信号SEL1〜SEL5がそれぞれラッチされる。したがって、いずれか一つのトランスペアレントラッチ回路61〜65にハイレベルがラッチされ、対応するトランスファーゲート71〜75をオンさせる。これにより、出力される内部信号52は、タイミング信号TS1〜TS5のいずれかと同じ波形となる。
【0050】
図8は、シフトレジスタ43の回路図である。
【0051】
図8に示すように、シフトレジスタ43は、3つのリセット機能付きラッチ回路81〜83によって構成されている。これらリセット機能付きラッチ回路81〜83は、クロック端Cに供給される信号がローレベルからハイレベルに変化したタイミングで入力端Dに供給される信号を取り込み、これを出力端Qから出力する回路である。また、リセット端Rに供給される信号がハイレベルになると、ラッチしたデータをゼロにリセットする。
【0052】
これら3つのリセット機能付きラッチ回路81〜83は、
図8に示すようにカスケード接続され、初段のラッチ回路81の入力端Dには、対応するカラム選択信号CS(CS1〜CSn)が供給される。また、クロック端Cには内部信号52が共通に供給され、リセット端Rには後述する内部信号56が共通に供給される。
【0053】
そして、これらリセット機能付きラッチ回路81〜83の出力端Qから出力される信号は、それぞれ内部信号53〜55としてライトパルス発生部44に供給される。
【0054】
内部信号53〜55の波形は、
図9に示されている。
【0055】
上述の通り、クロック端Cに供給される内部信号52は、タイミング信号TS1〜TS5のいずれかと同じ波形である。このため、
図9に示すように、内部信号52は3つのパルスP1〜P3を有している。したがって、カラム選択信号CS(CS1〜CSn)のレベルは、パルスP1〜P3に同期してリセット機能付きラッチ回路81〜83に順次と取り込まれる。これにより、内部信号53〜55は、パルスP1〜P3に同期して順次ハイレベルとなる。
【0056】
図10は、ライトパルス発生部44の回路図である。
【0057】
図10に示すように、ライトパルス発生部44は、内部信号53〜55を受けてそれぞれワンショットパルス103〜105を生成するワンショットパルス生成部93〜95と、ワンショットパルス103,105を受けるSRラッチ111と、ワンショットパルス103,104を受けるSRラッチ112とを含んでいる。
【0058】
ワンショットパルス生成部93〜95は、対応する内部信号53〜55を遅延させるディレイ素子と、ディレイ素子の出力を反転させるインバータと、対応する内部信号53〜55とインバータの出力を受けるNAND回路によって構成されている。かかる構成により、ワンショットパルス生成部93〜95は、
図9に示すように、対応する内部信号53〜55がローレベルからハイレベルに変化したタイミングにて、ディレイ分だけローレベルとなるワンショットパルス103〜105を生成する。
【0059】
また、ライトパルス発生部44には、ワンショットパルス105から内部信号56を生成するリセット回路部96がさらに設けられている。リセット回路部96は、ワンショットパルス105を遅延させるディレイ素子と、ディレイ素子の出力を反転させるインバータによって構成されている。これにより生成される内部信号56の波形は
図9に示す通りとなり、ディレイ分だけ遅れたワンショットパルス波形となる。
図8に示した通り、内部信号56はリセット機能付きラッチ回路81〜83のリセット端Rに供給され、ラッチされたデータをゼロにリセットする。
【0060】
SRラッチ111は、ワンショットパルス103が活性化するとセットされ、ワンショットパルス105が活性化するとリセットされる回路である。また、SRラッチ112は、ワンショットパルス103が活性化するとセットされ、ワンショットパルス104が活性化するとリセットされる回路である。したがって、SRラッチ111,112の出力である内部信号121,122の波形は、
図9に示すとおりとなる。つまり、SRラッチ111の出力である内部信号121は、パルスP1からパルスP3までの期間、つまり、k
1クロックに亘ってハイレベルとなり、SRラッチ112の出力である内部信号122は、パルスP1からパルスP2までの期間、つまり、k
2クロックに亘ってハイレベルとなる。
【0061】
図10に示すように、内部信号121,122は、それぞれNAND回路131,132に供給される。NAND回路131には、内部信号121のほか、対応するカラム選択信号CS(CS1〜CSn)と、内部信号51の反転信号が供給される。また、NAND回路132には、内部信号122のほか、対応するカラム選択信号CS(CS1〜CSn)と、内部信号51が供給される。内部信号51は、
図6を用いて説明したように、ライトデータDataを対応するカラム選択信号CS(CS1〜CSn)によってラッチした信号である。
【0062】
このような回路構成により、ライトデータDataがローレベルであれば、NAND回路131は、内部信号121に同期してセットパルス31を発生する。一方、ライトデータDataがハイレベルであれば、NAND回路132は、内部信号122に同期してリセットパルス32を発生する。
【0063】
以上が、本実施形態による半導体記憶装置の主要部の回路構成である。次に、本実施形態による半導体記憶装置を用いた書き込み制御動作について説明する。
【0064】
図11は、本実施形態による書き込み制御動作を説明するためのタイミング図である。尚、
図11では、図面の見やすさを考慮して、タイミング信号TS1〜TS5及びタイミング選択信号SEL1〜SEL5については、実際に書き込み動作に用いられる部分のみを表示し、その前後のパルスについては省略してある。
【0065】
図11に示すように、外部からACTコマンドに応答してロウアドレスが供給され、WRITコマンドに応答してカラムアドレスが供給されると、これに応答して所定のワード線WLが活性化されるとともに、選択信号Yselが活性化される。そして、クロック信号CLKに同期して外部からライトデータが連続的に供給される。
【0066】
そして、ライトデータD1,D2,D3・・・・に対応するカラム選択信号CS1,CS2,CS3・・・が順次活性化し、これにより、書き込み制御回路WC1,WC2,WC3・・・内では、それぞれタイミング信号TS1,TS2,TS3・・・が選択される。このような選択は、上述の通り、書き込み制御回路WC内のセレクター42にて行われる。
【0067】
図11に示す例では、ライトデータDataのうち、1番目及び3番目のデータD1,D3が「0」であり、2番目のデータD2が「1」である。このため、書き込み制御回路WC1,WC3は、タイミング信号TS1,TS3に同期して、パルスP1からパルスP3までの期間、つまり、4クロック(=k
1)に亘ってセットパルス31を活性化する。一方、書き込み制御回路WC2は、タイミング信号TS2に同期して、パルスP1からパルスP2までの期間、つまり、1クロック(=k
2)に亘ってリセットパルス32を活性化する。
図11において、セットパルス31又はリセットパルス32が活性化している期間にはハッチングが施されている。
【0068】
これにより、ビット線BL1,BL3は、4クロックに亘ってセット電位配線Vsetに接続されることになる。その結果、メモリセルMCに含まれる不揮発性記憶素子PCには、
図3の曲線bに示す温度履歴が与えられ、その結果、相変化材料が結晶化する。一方、ビット線BL2は、1クロックに亘ってリセット電位配線Vresetに接続されることになる。これにより、メモリセルMCに含まれる不揮発性記憶素子PCには、
図3の曲線aに示す温度履歴が与えられ、その結果、相変化材料がアモルファス化する。
【0069】
このように、所定のワード線WLが活性化された状態で、カラムセレクタ12を用いて1クロックごとに所定の書き込み制御回路を順次選択し、結晶化すべきメモリセルに対しては4クロックに亘ってセット電流を与え、アモルファス化すべきメモリセルに対しては1クロックに亘ってリセット電流を与えている。これにより、外部からは、ライトデータDataの論理レベルにかかわらず、1クロックで1つのライト動作が完了するように見える。したがって、シンクロナスDRAMのように、クロック信号CLKに同期した書き込み動作を行うメモリとの互換性を確保することが可能となる。
【0070】
また、本実施形態による半導体記憶装置では、タイミング信号TS1〜TS5を用いていることから、クロック信号CLKの周波数が高められた場合であっても、セットパルスのパルス幅を確保することが可能となる。例えば、クロック信号CLKの周波数が2倍に高められた場合には、パルスP1からパルスP3までのクロック数を2倍とすれば、セットパルスの実際のパルス幅を確保することができる。このため、クロック信号CLKの周波数にかかわらず、セット動作/リセット動作を正しく実行することが可能となる。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0072】
例えば、上記実施形態では、k
1クロックを規定するパルスP1からパルスP3までの期間にてセット動作を行い、k
2クロックを規定するパルスP1からパルスP2までの期間にてリセット動作を行っているが、セット動作/リセット動作を行う期間を規定する方法としては、これに限定されるものではない。
【0073】
したがって、
図12に示すように、クロック信号CLKのアクティブエッジ#1、#4及び#5に同期したパルスP1〜P3からなるパルス群を用い、k
1クロックを規定するパルスP1からパルスP3までの期間にてセット動作を行い、k
2クロックを規定するパルスP2からパルスP3までの期間にてリセット動作を行っても構わない。
【0074】
さらには、
図13に示すように、クロック信号CLKのアクティブエッジ#1、#2、#3及び#5に同期したパルスP1〜P4からなるパルス群を用い、k
1クロックを規定するパルスP1からパルスP4までの期間にてセット動作を行い、k
2クロックを規定するパルスP2からパルスP3までの期間にてリセット動作を行っても構わない。
【0075】
また、上記実施形態では、カラムセレクタ12自体が並列に活性化するカラム選択信号CS1〜CSnを生成しているが、カラムセレクタ12自体はカラム選択信号CS1〜CSnの活性化始点となるタイミング信号のみを生成し、これを伸張することによって所定幅のカラム選択信号CS1〜CSnを生成しても構わない。
図14はこのような動作に必要な回路を示すブロック図であり、
図15はその動作をn=5まで示すタイミング図である。
【0076】
図14に示す回路は、カラムセレクタ12aとパルス幅調整回路PW1〜PWnによって構成される。カラムセレクタ12aは原信号CS1a〜CSnaを生成する回路であり、原信号CS1a〜CSnaはそれぞれパルス幅調整回路PW1〜PWnによってパルス幅が伸張され、これによってカラム選択信号CS1〜CSnが生成される。
【0077】
図15に示すように、カラムセレクタ12aによって生成される原信号CS1a〜CSna(図ではCS1a〜CS5aを表示)はjクロックごとに活性化し、そのパルス幅もjクロックである。つまり、原信号CS1a〜CSnaは排他的に活性化し、2以上の原信号が並列に活性化することはない。そして、これら原信号CS1a〜CSnaを受けるパルス幅調整回路PW1〜PWnは、対応する原信号の活性化に応答してカラム選択信号CS1〜CSnの活性化を開始し、k
1クロックに亘って活性化状態を維持する。
【0078】
カラム選択信号CS1〜CSnをこのような方法によって生成すれば、カラムデコーダ12aなどの動作を高速化することが可能となる。また回路設計も容易となる。
【0079】
また、上記実施形態ではj=1とし、1クロックごとに書き込み制御回路を順次選択しているが、DDR型のシンクロナスDRAMのように、クロック信号CLKの両エッジに同期してライトデータが供給される場合にはj=0.5とし、0.5クロックごとに書き込み制御回路を順次選択すればよい。つまり、jは整数でなくても構わない。
【0080】
図16は、j=0.5とした場合の動作の一例を示すタイミング図であり、ライトレイテンシを2クロックに設定した例を示している。
図16に示す例では、タイミング信号TS1のパルスP1がクロック信号CLKの半サイクル#1に同期し、パルスP2が半サイクル#3に同期し、パルスP3が半サイクル#9に同期している。このようなタイミング信号TS1,TS2・・・を半サイクルずつずらして生成すれば、外部から見てDDR型のシンクロナスDRAMと同様の動作を実現することが可能となる。
【0081】
さらに、上記実施形態では、jクロックごとに書き込み制御回路WC1〜WC5を順次選択することにより、複数のビット線に対するライト動作を並列に実行しているが、本発明においてこのような並列動作を行うことは必須ではない。