(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ホース接続口金を形成する一側面と、この一側面に平行な他側面とが、前記外パイプに取り付けられた2つの止め輪の間に挟み込まれていることを特徴とする請求項3に記載の金型用冷却パイプ。
前記ホース接続口金または前記外パイプの一端に、前記内パイプのみを抜き出すことのできる開口が設けられていることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の金型用冷却パイプ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の
図1に開示された金型用冷却パイプAでは、内パイプ2の一端側開口2cが入水室10内に突出している。そのため、入水室10内に突出している内パイプ2の周辺部に、冷却水がとどこおってとまる(とまって動かなくなる)部分(以下、「淀み」という。)ができ、冷却水の流速および流量が低下してしまうといった問題点があった。
また、上記特許文献1の
図1に開示された金型用冷却パイプAでは、外パイプ(アウターパイプ)1の一端側に形成された雄ねじ部が、ホース接続口金7の一端側に形成された接続穴にねじ込まれ、内パイプ(インナーパイプ)2の一端側に取り付けられた止水栓15が、ホース接続口金7の中央に形成された貫通穴14にねじ込まれることにより、外パイプ1および内パイプ2がホース接続口金7にそれぞれ固定されている。そのため、外パイプ1を交換する際には、外パイプ1を、内パイプ2を交換する際には、外パイプ1および内パイプ2を、特殊な工具を用いて何度も回転させて取り外さなければならず、取り外すのに手間が掛かり、作業性が良くないといった問題点もあった。
【0005】
一方、上記特許文献2の
図1に開示された冷却用パイプAでは、入水室10内に収容された保持管8の連通孔18を介して冷却水が内パイプa2内に浸入するようになっている。そのため、入水室10内に収容された保持管8の周辺部に淀みができ、冷却水の流速および流量が低下してしまうといった問題点があった。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、入水室内における淀みをなくすことができ、冷却水の流速および流量を増加させることができて、金型の冷却効率を向上させることができる金型用冷却パイプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係る金型用冷却パイプは、外パイプと、この外パイプの内部空間内に同一軸線を有して配置された内パイプと、これら外パイプおよび内パイプの一端側に配置されることにより冷却水の往路と復路とが形成され、前記往路に通じる入水接続口および前記復路に通じる出水接続口が形成されたホース接続口金とを備え、前記ホース接続口金の長手方向軸線上に、前記入水接続口に連通する入水室と、前記出水接続口に連通する出水室とが形成され、前記外パイプの一端側開口が前記出水室に連通して接続されるとともに、前記入水室内に、軸方向に延在する
とともに前記内パイプの一端が挿入された軸方向孔部と、この軸方向孔部に接続されるとともに軸方向孔部に対して直交する方向に延在する入水孔部とが形成されたインブッシュが、前記入水室内に導かれた冷却水を前記入水孔部内に導く、前記入水室の内周面と前記インブッシュの外周面との間に形成された隙間を除いた、前記入水室内のその他の部分全体を埋め尽くすようにして収容されてなり、
前記入水孔部の一端側開口が前記入水接続口に近接する位置に設けられるとともに、前記入水孔部の他端側開口が前記入水接続口の反対側の位置に設けられており、前記内パイプの一端側開口が、前記軸方向孔部と前記入水孔部とが交差する面上またはこの面よりも軸方向孔部側に位置している。
【0008】
本発明に係る金型用冷却パイプによれば、例えば、
図5および
図6に示すように、入水室内における淀みがなくなり、冷却水の流速および流量を増加させることができて、金型の冷却効率を向上させることができる。
【0009】
上記金型用冷却パイプにおいて、前記外パイプおよび前記内パイプが、前記ホース接続口金に対して着脱自在に構成されているとさらに好適である。
【0010】
このような金型用冷却パイプによれば、外パイプのみ、内パイプのみ、またはホース接続口金のみを交換することができ、ランニングコストの低減化を図ることができる。
【0011】
上記金型用冷却パイプにおいて、前記外パイプおよび前記内パイプが、前記ホース接続口金に対して軸方向に摺動自在に構成されているとさらに好適である。
【0012】
このような金型用冷却パイプによれば、外パイプおよび内パイプを、ホース接続口金に対して軸方向に摺動(スライド)させるだけで、ホース接続口金から迅速、かつ、容易に取り外したり、ホース接続口金に迅速、かつ、容易に取り付けることができる。
【0013】
上記金型用冷却パイプにおいて、前記ホース接続口金を形成する一側面と、この一側面に平行な他側面とが、前記外パイプに取り付けられた2つの止め輪の間に挟み込まれているとさらに好適である。
【0014】
このような金型用冷却パイプによれば、止め輪と止め輪とによって、外パイプおよび内パイプの軸方向への移動が拘束され、外パイプおよび内パイプの軸方向への移動を防止することができる。
【0015】
上記金型用冷却パイプにおいて、前記ホース接続口金または前記外パイプの一端に、前記内パイプのみを抜き出すことのできる開口が設けられているとさらに好適である。
【0016】
このような金型用冷却パイプによれば、インナーパイプのみを交換することができ、作業性を大幅に向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る金型用冷却パイプによれば、入水室内における淀みをなくすことができ、冷却水の流速および流量を増加させることができて、金型の冷却効率を向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施形態に係る金型用冷却パイプについて、
図1から
図6を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係る金型用冷却パイプを示した部分縦断面図、
図2は
図1の各部品を分解して示した分解縦断面図、
図3は内パイプの一端に接続されたインブッシュを示した縦断面図、
図4は
図3に対して直交する断面にて切断した縦断面図、
図5はインブッシュを通過して内パイプへと冷却水が流れる様子を示した縦断面図、
図6は
図5と同様に冷却水が流れる様子を示した横断面図である。
【0020】
図1および
図2に示すように、金型用冷却パイプ1は、外パイプ(アウターパイプ)3と、外パイプ3の内部空間内に同一軸線を有して配置された内パイプ(インナーパイプ)5と、これら外パイプ3および内パイプ5に接続されるホース接続口金(ケース)11とを備えている。
【0021】
外パイプ3の先端部には、金型に接続する際に用いられる金型接続用雄ねじ部3cが形成されている。一方、外パイプ3の基端部には、ホース接続口金11の雌ねじ孔11aと接続するための雄ねじ部3aが形成されている。また、外パイプ3の基端部には、外パイプ3を回転させるための二面幅が形成された六角部3bが設けられている。
【0022】
ホース接続口金11には、冷却水の往路に通じる入水接続口7と、冷却水の復路に通じる出水接続口9とが形成されている。入水接続口7には、ホース接続口金11の内部に形成された入水室7aが接続されている。この入水室7aには、内パイプ5の基端側に設けられたインブッシュ8が収納される。
なお、
図1および
図2中の符号12は、六角部3bの内側面に接するようにして配置されたOリング(シールリング)であり、符号8cは後述する収容溝、符号13は収容溝8c内に収容されるOリング(シールリング)である。
【0023】
図3および
図4に示すように、インブッシュ8は、軸方向に延在する軸方向孔部8aと、この軸方向孔部8aに接続されるとともに軸方向孔部8aに対して直交する方向に延在する入水孔部8bとが形成されている。
【0024】
内パイプ5の一端は、軸方向孔部8a内に挿入されている。内パイプ5の一端側開口5aは、軸方向孔部8aと入水孔部8bとが交差する面上またはこの面よりも軸方向孔部8a側に位置している。すなわち、内パイプ5の一端側開口5aは、入水孔部8b内に突出していない。内パイプ5とインブッシュ8とは、ろう付けによって固定されている。
【0025】
インブッシュ8の一端部外周面には、周方向に沿って収納溝(周溝)8cが形成されており、この収納溝8c内にはOリング13が配置されている。このOリング13は、入水室7aの内周壁に対して液密に当接している。
なお、
図3および
図4中の符号14は、内パイプ5とインブッシュ8とを接合するろうを示している。
【0026】
図5および
図6には、インブッシュ8を通過する冷却水の流れが実線矢印で示されている。
図5および
図6に示すように、冷却水は、インブッシュ8の入水孔部8bを通り内パイプ5の内部空間へと導かれる。また、
図1に示すように、内パイプ5は、出水室9aを貫通して入水室7a側まで延在している。
【0027】
出水接続口9は出水室9aと連通されており、外パイプ3内の流路と連通している。内パイプ5の基端部(図において右側)は、六角穴ホローねじ10によって押圧された状態で固定されている。ホース接続口金11の一端部に形成されて、六角穴ホローねじ10の外周面に形成された雄ねじ部と螺合する雌ねじ部の内径は、インブッシュ8の一端部外周面の外径よりも大きく、雌ねじ部の内側(半径方向内側)に形成された開口11aを介して、内パイプ5のみを交換することができるようになっている。
なお、
図5中の符号15は、六角レンチ(図示せず)の先端部が挿入される平面視六角形の六角穴である。
【0028】
このように構成された金型用冷却パイプ1において、入水接続口7に供給された冷却水は、入水室7a、入水孔部8b、内パイプ5の一端側開口5aを通って内パイプ5の内部空間に導かれ、内パイプ5の先端から放出されて金型を冷却した後、外パイプ3の内周面と内パイプ5の外周面との間、出水室9aを通って出水接続口9から外部に排出される。
【0029】
本実施形態に係る金型用冷却パイプ1によれば、
図5および
図6に示すように、入水室7a内における淀みがなくなり、冷却水の流速および流量を増加させることができて、金型の冷却効率を向上させることができる。
【0030】
また、本実施形態に係る金型用冷却パイプ1によれば、外パイプ3および内パイプ5が、ホース接続口金11に対して着脱自在に構成されているので、外パイプ3のみ、内パイプ5のみ、またはホース接続口金11のみを交換することができ、ランニングコストの低減化を図ることができる。
【0031】
さらに、本実施形態に係る金型用冷却パイプ1によれば、ホース接続口金11の一端部に、内パイプ5のみを抜き出すことのできる開口11aが設けられているので、内パイプ5のみを交換することができ、作業性を大幅に向上させることができる。
【0032】
本発明の第2実施形態に係る金型用冷却パイプについて、
図7から
図9を参照しながら説明する。
図7は本実施形態に係る金型用冷却パイプを示した部分縦断面図、
図8は
図7の各部品を分解して示した分解縦断面図、
図9は止め輪の平面図である。
本実施形態に係る金型用冷却パイプ21の内パイプ5およびインブッシュ8は、上述した第1実施形態のものと同様である。したがって、以下、内パイプ5およびインブッシュ8以外の構成を主として説明する。
【0033】
図7および
図8に示すように、本実施形態に係る金型用冷却パイプ21は、外パイプ(アウターパイプ)23と、外パイプ23の内部空間内に同一軸線を有して配置された内パイプ5と、これら外パイプ23および内パイプ5に接続されるホース接続口金(ケース)31とを備えている。
【0034】
外パイプ23の先端部23aには、金型Bに接続する際に用いられる金型接続用雄ねじ部23dが形成されている。また、外パイプ23の基端部(一端部)23bには、外パイプ3を回転させるための二面幅が形成された六角部23cが設けられている。
【0035】
ホース接続口金31には、冷却水の往路に通じる入水接続口27と、冷却水の復路に通じる出水接続口29とが形成されている。入水接続口27には、ホース接続口金31の内部に形成された入水室27aが接続されている。また、ホース接続口金31には、長手方向にわたって装着用穴31aが貫通状に形成されている。この装着用穴31a内に外パイプ23が先端側から挿入されるようになっている。
【0036】
外パイプ23には、入水接続口27からの冷却水を導くための入水孔部23gが形成されている。この入水孔部23gには、内パイプ5の基端部に設けられたインブッシュ8が収納されている。インブッシュ8の構成は
図3および
図5と同様なので、その説明を省略する。
【0037】
装着用穴31a内に外パイプ23を装着した状態で、外パイプ23はホース接続口金31に対して周方向に回転自在となっている。外パイプ23とホース接続口金31との軸方向の移動は、止め輪(C形止め輪)33によって拘束されている。この止め輪33は、
図9に示すように、一端が開放されたC字形状となっており、外パイプ23に対して取り外し可能となっている。
【0038】
出水接続口29は出水室29aと連通されており、出水室29aは、外パイプ23内に形成された出水孔23eの開口23fを介して外パイプ23内の流路と連通している。内パイプ5の基端部(図において左側)は、六角穴ホローねじ40によって押圧された状態で固定されている。外パイプ23の基端部23bに形成されて、六角穴ホローねじ40の外周面に形成された雄ねじ部と螺合する雌ねじ部の内径は、インブッシュ8の一端部外周面の外径よりも大きく、雌ねじ部の内側(半径方向内側)に形成された開口23hを介して、内パイプ5のみを交換することができるようになっている。
【0039】
なお、出水室29aは、外パイプ23の基端部23b側の外周面に設けられたOリング(シールリング)35と、Oリング(シールリング)37とによって密封(密閉)されている。また、入水室27aは、外パイプ23の基端部23b側の外周面に設けられたOリング(シールリング)37と、Oリング(シールリング)39とによって密封(密閉)されている。
図8に示すように、Oリング35は、外パイプ23の外周面に周方向に沿って形成された溝(周溝)41内に収容され、Oリング37は、外パイプ23の外周面に周方向に沿って形成された溝(周溝)43内に収容されており、Oリング39は、外パイプ23の外周面に周方向に沿って形成された溝(周溝)45内に収容されている。
また、止め輪33はそれぞれ、溝41よりも先端部23aの側に位置する外パイプ23の外周面に周方向に沿って形成された溝(周溝)47内、および溝45よりも基端部23bの側に位置する外パイプ23の外周面に周方向に沿って形成された溝(周溝)49内に収容されている。
【0040】
このように構成された金型用冷却パイプ21において、入水接続口27に供給された冷却水は、入水室27a、入水孔部23g、内パイプ5の一端側開口5aを通って内パイプ5の内部空間に導かれ、内パイプ5の先端から放出されて金型を冷却した後、外パイプ23の内周面と内パイプ5の外周面との間に形成された出水孔23e、開口23f、出水室29aを通って出水接続口29から外部に排出される。
【0041】
本実施形態に係る金型用冷却パイプ21によれば、外パイプ23および内パイプ5が、ホース接続口金31に対して軸方向に摺動自在に構成されているので、外パイプ23および内パイプ5を、ホース接続口金31に対して軸方向に摺動(スライド)させるだけで、ホース接続口金31から迅速、かつ、容易に取り外したり、ホース接続口金31に迅速、かつ、容易に取り付けることができる。
【0042】
また、本実施形態に係る金型用冷却パイプ21によれば、ホース接続口金31を形成する一側面31b(
図7参照)と、この一側面31bに平行な他側面31c(
図7参照)とが、外パイプ23に取り付けられた2つの止め輪33の間に挟み込まれ、止め輪33と止め輪33とによって、外パイプ23および内パイプ5の軸方向への移動が拘束されることになるので、外パイプ23および内パイプ5の軸方向への移動を防止することができる。
【0043】
さらに、本実施形態に係る金型用冷却パイプ21によれば、外パイプ23の一端部23bに、内パイプ5のみを抜き出すことのできる開口23hが設けられているので、内パイプ5のみを交換することができ、作業性を大幅に向上させることができる。
その他の作用効果は、上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0044】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。