(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5647780
(24)【登録日】2014年11月14日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】処置用オーバーチューブ及び処置システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20141211BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
A61B1/00 300B
A61B1/00 320C
G02B23/24 A
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2009-241658(P2009-241658)
(22)【出願日】2009年10月20日
(65)【公開番号】特開2011-87647(P2011-87647A)
(43)【公開日】2011年5月6日
【審査請求日】2012年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083286
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135493
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 大介
(72)【発明者】
【氏名】内藤 直幸
【審査官】
遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−46274(JP,A)
【文献】
特開2000−166936(JP,A)
【文献】
特開平6−296695(JP,A)
【文献】
特開2002−65595(JP,A)
【文献】
特開昭54−86991(JP,A)
【文献】
特開2005−95590(JP,A)
【文献】
特表2008−526360(JP,A)
【文献】
特開2000−37347(JP,A)
【文献】
特開平6−319682(JP,A)
【文献】
特開2008−253780(JP,A)
【文献】
特開昭64−24215(JP,A)
【文献】
特開昭60−185532(JP,A)
【文献】
特開2005−204728(JP,A)
【文献】
特表2008−536552(JP,A)
【文献】
特開平3−228742(JP,A)
【文献】
特表2010−503476(JP,A)
【文献】
特開2005−103140(JP,A)
【文献】
特開2007−260278(JP,A)
【文献】
特開2009−101077(JP,A)
【文献】
特開2005−296258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
G02B 23/24 − 23/26
A61B 17/00 − 17/94
A61B 19/00 − 19/12
A61F 2/95 − 2/97
A61M 25/00 − 25/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡を挿通させる内視鏡挿通チャンネルを複数有する可撓部と、該可撓部の先端部の外周面に長手方向に離間した位置に装着され、それぞれ独立して膨脹、収縮制御される一対のバルーンとを備え、
前記内視鏡挿通チャンネルは、前記可撓部の先端部の先端面に開口した第1の内視鏡挿通チャンネルと、前記一対のバルーンの間であって、前記可撓部の先端部の外周面に開口した第2の内視鏡挿通チャンネルとを有し、
前記第2の内視鏡挿通チャンネルは、該第2の内視鏡挿通チャンネルから送り出される内視鏡の先端部を、前記一対のバルーンのうちの先端側のバルーン方向に向け、かつ該先端側のバルーンに接触させることなく該先端側のバルーンを越える方向に導くように方向が定められていること、を特徴とする処置用オーバーチューブ。
【請求項2】
請求項1記載の処置用オーバーチューブにおいて、前記第2の内視鏡挿通チャンネルは、前記可撓部内に位置する部分が、前記可撓部内を導かれた前記内視鏡先端部を前記先端側のバルーンに接触させることなく該先端側のバルーンを越える方向に導く方向制御部を有する硬質のガイドパイプにより形成されている処置用オーバーチューブ。
【請求項3】
請求項2記載の処置用オーバーチューブにおいて、前記ガイドパイプは、前記可撓部に固定された環状部分と一体に形成されている処置用オーバーチューブ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項記載の処置用オーバーチューブにおいて、前記第1の内視鏡挿通チャンネルは、前記可撓部の先端面から突出したガイドパイプを備えていて、該ガイドパイプは、前記第2の内視鏡挿通チャンネルから送り出された前記内視鏡先端部側に広く開口されている処置用オーバーチューブ。
【請求項5】
請求項4記載の処置用オーバーチューブにおいて、前記可撓部は先端部に硬質部を備えていて、前記ガイドパイプは前記硬質部と一体に形成されている処置用オーバーチューブ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項記載の処置用オーバーチューブにおいて、前記可撓部には、前記一対のバルーンを膨縮させる流体を送る流体路が設けられていて、この流体路は、可撓部の後端部に接続された接続管に連通している処置用オーバーチューブ。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項記載の処置用オーバーチューブにおいて、前記可撓部の先端面には、鉗子チャンネルが設けられている処置用オーバーチューブ。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項記載の処置用オーバーチューブと、
前記処置用オーバーチューブの第1の内視鏡挿通チャンネルに挿通される第1の内視鏡と、
前記処置用オーバーチューブの第2の内視鏡挿通チャンネルに挿通される第2の内視鏡と、
前記処置用オーバーチューブの可撓部の先端部の外周面に長手方向に離間した位置に装着され、それぞれ独立して膨脹、収縮制御される前記一対のバルーンを独立して膨脹、収縮操作する操作手段と、を備えたことを特徴とする処置システム。
【請求項9】
請求項8に記載の処置システムにおいて、前記処置用オーバーチューブは、前記鉗子チャンネルから送出される、先端部にバルーンを有するバルーンカテーテルを備えた処置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバルーンを有し、複数の内視鏡を併用できる処置用オーバーチューブ及び処置システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡を用いて被検体内の管腔内の病変部を処置するシステムとして、複数個のバルーンを具備した処置用オーバーチューブが知られている(特許文献1、2)。この処置用オーバーチューブでは、先端面に開けられた内視鏡挿通チャンネルから、内視鏡の先端部が押し出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−253780号公報
【特許文献2】特開2002−186579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の処置用オーバーチューブは、内視鏡挿通チャンネルが先端のみに配置されている。したがって、例え複数のチャンネルが設けられていたとしても、内視鏡の進出方向が同一であり、チャンネル間の間隔が狭く、複数の内視鏡によって腸管の内面及び外面の両面にアクセスするような手術手技を行うには適していなかった。さらに腸管に穴を開けるような手技では、腹腔内に送気しての気腹や、腸管の方を膨らませることも困難であった。
【0005】
本発明は、従来の処置用オーバーチューブの問題に鑑みてなされたものであって、複数の内視鏡の使用を可能にし、気腹の際に腸管も膨らませることが可能な処置用オーバーチューブ及び処置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成する本発明は、内視鏡を挿通させる内視鏡挿通チャンネルを複数有する可撓部と、該可撓部の
先端部の外周面に
長手方向に離間した位置に装着され、それぞれ独立して膨脹、収縮制御される一対のバルーンとを備え、前記内視鏡挿通チャンネルは、前記可撓部の
先端部の先端面に開口した第1の内視鏡挿通チャンネルと、前記一対のバルーンの間であって、前記可撓部の
先端部の外周面に開口した第2の内視鏡挿通チャンネルとを有し、前記第2の内視鏡挿通チャンネルは、
該第2の内視鏡挿通チャンネルから送り出され
る内視鏡
の先端部
を、前記一対のバルーンのうちの先端側のバルーン
に接触しないで
該バルーンを越える方向に
導くように形成されていることに特徴を有する。
【0007】
前記第2の内視鏡挿通チャンネルは、前記可撓部内に位置する部分が、前記可撓部内を導かれた前記内視鏡先端部を前記先端側のバルーン
に接触
させることなく該先端側のバルーンを越える方向に導く方向制御部を有する硬質のガイドパイプにより形成するのが実際的である。
好ましくは、前記ガイドパイプを、前記可撓部に固定された環状部分と一体に形成する。
【0008】
好ましい実施形態では、前記第1の内視鏡挿通チャンネルは、前記可撓部の先端面から突出したガイドパイプを備えていて、該ガイドパイプは、前記第2の内視鏡挿通チャンネルから送り出された前記内視鏡先端部側に広く開口する。前記可撓部は先端部に硬質部を備えていて、前記ガイドパイプは前記硬質部と一体に形成する。
【0009】
より実際的には、前記可撓部には、前記一対のバルーンを膨縮させる流体を送る流体路を設け、この流体路を可撓部の後端部に接続された接続管に連通させる。また、前記可撓部先端面には、鉗子チャンネルを設けるのが実際的である。
【0010】
別の観点からなる処置システムに関する本発明は、前記処置用オーバーチューブと、
前記処置用オーバーチューブの第1の内視鏡挿通チャンネルに挿通される第1の内視鏡と、前記処置用オーバーチューブの第2の内視鏡挿通チャンネルに挿通される第2の内視鏡と、
前記処置用オーバーチューブの可撓部の先端部の外周面に長手方向に離間した位置に装着され、それぞれ独立して膨脹、収縮制御される前記一対のバルーンを独立して膨脹、収縮操作する操作手段とを備えたことに特徴を有する。
前記処置用オーバーチューブは、前記鉗子チャンネルから送出される、先端部にバルーンを有するバルーンカテーテルを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の処置用オーバーチューブによれば、第1、第2バルーンにより腸管等内に固定された状態で、第1、第2バルーンの間から第2の内視鏡を第1の内視鏡とは異なる方向に進めることができるので、腸管に穴を開ける手技でも、気腹させた際に気体が逃げることが無く、内視鏡周辺の空間を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の処置用オーバーチューブを使用した処置システム全体構成の実施形態を示す図である。
【
図2】同実施形態の処置用オーバーチューブを、メインスコープ、サブスコープ、バルーンカテーテルを挿通した状態で示す斜視図である。
【
図3】同実施形態の処置用オーバーチューブを示す斜視図である。
【
図4】同実施形態の処置用オーバーチューブの、(A)は先端面を示す正面図、(B)は後端面を示す背面図である。
【
図5】同実施形態の処置用オーバーチューブの使用状態を示す側面図である。
【
図6】同実施形態の処置用オーバーチューブの使用状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明の実施形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。本発明の処置用オーバーチューブ及びこれを使用した処置システムの実施形態は、処置用オーバーチューブ100と、メインスコープ(第1の内視鏡)200及びサブスコープ(第2の内視鏡)300と、バルーンカテーテル400と、3本のシリンジ125、126、430を備えている。メインスコープ200及びサブスコープ300は電子内視鏡であって、それぞれ、可撓性の体内挿入部210、310、操作部220、320、及びユニバーサルケーブル230、330を備えている。
【0014】
メイン、サブスコープ200、300は体内挿入部210、310の先端部211、311にビデオカメラを内蔵した電子内視鏡であって、各ユニバーサルケーブル230、330は、公知の内視鏡プロセッサ(図示せず)に接続され、ビデオカメラで撮影した映像は、モニタ(図示せず)に表示される。各操作部220、320には、体内挿入部210、310の先端部211、311の湾曲機構を上下、左右に湾曲操作する操作ノブ221、321、送気送水制御する送気送水バルブ222、322、吸引を制御するサクションバルブ223、323、画像記録、拡大など画像系を制御する制御スイッチ224、324、鉗子を抜き差しする鉗子口(鉗子栓)225、325などが備えられている。
【0015】
処置用オーバーチューブ100は、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、フッ素系樹脂、シリコンなどの樹脂により、全体が円筒形に形成された長尺の可撓部110と、可撓部110の先端部に形成された筒状の先端部111と、後端部に形成された筒状のコネクタ部116を備えている。先端部111及びコネクタ部116は厚く又は硬質の樹脂で形成されていて、先端部111の先端面にメインスコープ用チャンネル112a及び鉗子チャンネル113aが設けられている。
【0016】
可撓部110には、先端部111近傍の外周面に、サブスコープ用チャンネル114aが設けられている。そうしてこのサブスコープ用チャンネル114a
を挟んで長手方向に離間した位置に、第1バルーン121及び第2バルーン122が装着されている。第1バルーン121及び第2バルーン122は、軟質樹脂、例えばシリコン、ラテックス、ポリウレタン、ナイロンなどの熱可塑性樹脂で形成されていて、可撓部110の外周面に固定されている。
【0017】
第1、第2バルーン121、122には、独立した流体路(送気送水路)が可撓部110を貫通して連通されている。各流体路は可撓部110の壁内に又は壁に沿って形成されて、コネクタ部116の外周部から引き出された流体チューブ(接続管)123、124に連結されている。流体チューブ123、124には、チューブ125a、126aを介してシリンジ125、126が接続され、シリンジ125、126によって流体の送出吸引が制御される。なお、流体としては、通常は生理食塩水が使用される。
【0018】
コネクタ部116の後端面には、メインスコープ用チャンネル112b、鉗子チャンネル113b及びサブスコープ用チャンネル114bが設けられている。メインスコープ用チャンネル112aと112b、鉗子チャンネル113aと113b、サブスコープ用チャンネル114aと114bとはそれぞれ、ガイドチューブにより連通されているが、サブスコープ用チャンネル114aと114bを連通するガイドチューブ131を
図5に示した。なお、符号150は、可撓部110を挿通自在にガイドするマウスピースである。
【0019】
メインスコープ用チャンネル112aは、先端部111の先端面から突出形成されたメインスコープガイドパイプ112により構成されていて、このメインスコープガイドパイプ112は、先端部111と一体に形成され、サブスコープ用チャンネル114a側に広く開口されていて、送り出されたメインスコープ200の先端部211を、サブスコープ用チャンネル114aから送り出されたサブスコープ300の先端部311方向に湾曲させやすくガイドする。
【0020】
鉗子チャンネル113aは、先端部111のメインスコープガイドパイプ112に隣接した位置に形成されている。この鉗子チャンネル113aから、バルーンカテーテル400の先端部410が送り出される。
バルーンカテーテル400には、先端部410のバルーン420を膨縮操作するためのシリンジ430がチューブ431を介して接続されている。図1では、鉗子チャンネル113aから送り出された先端部410のバルーン420を
シリンジ431によって膨らませた状態を示している。このバルーン420と第1バルーン121とで管腔を閉鎖して送気し、閉鎖した部分の管腔を膨らませることができる。
【0021】
サブスコープ用チャンネル114aは、硬質材料で形成されたサブスコープガイドパイプ114により構成されている。サブスコープガイドパイプ114は、環状部115と一体に形成されている。環状部115は、可撓部110の内径と同一の外径の円筒状に形成され、可撓部110に嵌合され、固定されている。なお、
環状部115には、サブスコープガイドパイプ114との接続部分にサブスコープ用チャンネル114a
が開けられている。
【0022】
サブスコープガイドパイプ114は、環状部115
内において斜め後方に延びて、
方向制御部となる湾曲部分を介して可撓部110の長手方向とほぼ平行に延びている。サブスコープガイドパイプ114の平行部分に、可撓部110内を挿通されたガイドチューブ131が接続されている。ガイドチューブ131の他端部は、他方のサブスコープ用チャンネル114bに接続されている。
【0023】
サブスコープ用チャンネル114bに先端部311から挿入されたサブスコープ300は、ガイドチューブ131にガイドされて可撓部110に沿って進み、サブスコープガイドパイプ114に到達すると、サブスコープガイドパイプ114の湾曲
部分に沿って進行方向を徐々に可撓部110の外周面から突出する方向に変えて、サブスコープガイドパイプ114の開口から送り出される。
サブスコープガイドパイプ114の開口から送り出されたときの先端部311の方向は、そのまま進むと、第1バルーン121に接触せずに第1バルーン121を越えることができる方向である。つまり、サブスコープガイドパイプ114は、第1バルーン121と第2バルーン122の間に位置させて、送り出されるサブスコープ300をその先端が、膨らませたバルーン121に接触しない方向に送り出すことができる傾斜に設定されている。
【0024】
環状部115と可撓部110の結合手段は、環状部も可撓部と一体に形成し、環状部となる部分にサブスコープガイドパイプを形成してから、環状部となる部分を熱硬化等により曲がり難くなるように加工してもよい。
【0025】
サブスコープガイドパイプ114及びサブスコープガイドパイプ114を支持する部分は、サブスコープ300の方向を制御し、支持するので、可撓部110よりも曲がり難い方が好ましい。そこで、サブスコープガイドパイプ114を硬質とし、硬質の環状部115を介して可撓部110に支持させたが、この実施形態に限定されない。
【0026】
別の実施形態では、サブスコープガイドパイプの出口周辺に可撓部110の外周面形状に沿ったフランジ部を形成し、可撓部110に開けた穴からガイドパイプを挿入して、フランジ部と穴の周辺領域とを接着等により固定してもよい。
【0027】
本実施形態の処置システムの使用状態を、
図6示した。ここでは、処置台に仰向けに寝た患者が咥えたマウスピース150から、処置用オーバーチューブ100を挿入した。挿入の際は、処置用オーバーチューブ100の第1、第2バルーン121、122は収縮させてあり、メインスコープ200の先端部211をメインスコープ用チャンネル112aから突出させて、術者が、メインスコープ200のビデオカメラで撮影した映像を観察しながら、オーバーチューブ100を所定位置まで挿入する。
【0028】
オーバーチューブ100を所定位置まで挿入させたら、先端部にバルーン420を備えたバルーンカテーテル400をバルーン420を収縮させた状態で、鉗子チャンネル113bから挿入して鉗子チャンネル113aから突出させる。バルーン420が所望位置まで届くと、バルーン420を膨脹させて腸管内面に接触させ、固定する。また、第1、第2バルーン121、122は、適宜膨脹させて固定する。
【0029】
サブスコープ300は、
体内挿入部310をサブスコープ用チャンネル114bから挿入し、サブスコープ用チャンネル114aから突出させる。そうしてサブスコープ300の鉗子チャンネルを通した切開具を使用して腸管に穴を開けて、そこから先端部
311を腹腔内に進出させるとともに、サブスコープ300の送気チャンネルを利用して腹腔内を膨らませる。そうして、腸管の外面の診断、治療等を行う。
【0030】
オーバーチューブ100が第1、第2バルーン121、122によって腸管に固定されるので、サブスコープ300が安定し、確実な操作が可能になる。腹腔内の気体は、腸管が第1、第2バルーン121、122によって閉鎖されているので気体は抜けず、気腹状態が維持される。
【0031】
一方、メインスコープ200が送り出された腸管内空間は、バルーン420、第1バルーン121によって膨らんでいる。この膨らんだ空間を利用して、メインスコープ200の鉗子チャンネルから針状メス240を送り出して、腸管内面の手術を行うことができる。また、この腸管内はバルーン420、第1バルーン121によって密閉されているので、送気チャンネルから空気を送り込むことで、バルーン420、第1バルーン121間の腸壁を膨らませることもできる。
【0032】
以上説明したように実施形態によれば、バルーン420を膨脹させた状態で第1、第2バルーン121、122を膨縮させることによって、以下の効果が得られる。
第1バルーン121を膨らませることで、腸管に穴Dを開けたときに、経路Bから空気が抜けることを防ぎ、体腔内の気圧が維持される。第2バルーン122を膨らませることで、穴Cを開けたときに、経路Aから空気が抜けることを防ぎ、体腔内の気圧が維持される。
第1、第2バルーン121、122の両方を膨らませることで、腸管に穴C、Dを開けても経路A、経路Bから空気が抜けず、腸管内の空間Eが維持される。
第1バルーン121、バルーン420の両方が膨らんでいることによって、穴Dが開放し、腸管内及び体腔内の気圧が平衡状態になっても、第1バルーン121、バルーン420により腸管にテンションがかかっているので、重力により腸管が落ち込むことなく、空間Eの維持が出来る
。
【0033】
以上本発明について図示実施形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施形態に限定されない。例えば、サブスコープ用チャンネルは、第1、第2バルーンの間に周方向又は軸方向に位置を異ならせて2本以上設けてもよい。また、可撓部にバルーンを3個以上設けて、各バルーンの間にサブスコープ用チャンネルを設けてもよい。
【符号の説明】
【0034】
100 処置用オーバーチューブ
110 可撓部
111 先端部
112 メインスコープガイドパイプ
112a 112b メインスコープ用チャンネル(第1の内視鏡挿通チャンネル)
113a 113b 鉗子チャンネル
114 サブスコープガイドパイプ
114a 114b サブスコープ用チャンネル(第2の内視鏡挿通チャンネル)
115 環状部
116 コネクタ部
121 第1バルーン
122 第2バルーン
125 126 シリンジ(操作手段)
131 ガイドチューブ
150 マウスピース
200 メインスコープ
210 310 体内挿入部
211 311 先端部
220 320 操作部
221 321 操作ノブ
222 322 送気送水バルブ
223 323 サクションバルブ
224 324 制御スイッチ
225 325 鉗子口(鉗子栓)
230 330 ユニバーサルケーブル
300 サブスコープ
310 先端部
400 バルーンカテーテル
420 バルーン
430 シリンジ