(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5647851
(24)【登録日】2014年11月14日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】内視鏡装置、内視鏡装置のプロセッサ、内視鏡装置の絞り制御部
(51)【国際特許分類】
A61B 1/06 20060101AFI20141211BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
A61B1/06 A
G02B23/26 B
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-228590(P2010-228590)
(22)【出願日】2010年10月8日
(65)【公開番号】特開2012-81001(P2012-81001A)
(43)【公開日】2012年4月26日
【審査請求日】2013年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】井芹 洋輝
【審査官】
原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−167550(JP,A)
【文献】
特開2007−195850(JP,A)
【文献】
特開2009−201887(JP,A)
【文献】
特開2006−122131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
G02B 23/24−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を照明する光源と、
1フレームもしくは1フィールド期間に合わせて前記光源の光路上で回転し、間欠的に光量低減もしくは遮光するロータリーシャッタと、
被写体像の明るさを適正な明るさで維持するように、前記ロータリーシャッタを回転制御する制御手段とを備え、
前記制御手段が、被写体への照射光量が限界光量を超えない場合、回転周期が1フレーム期間に従う回転速度で回転させ、被写体への照射光量が限界光量を超える場合、前記ロータリーシャッタの回転周期が1フレーム期間よりも長くなるように、前記ロータリーシャッタの回転速度を変更して、光透過期間が1フレーム期間を超えず、かつ、光量低減もしくは遮光期間が1フレーム期間を超えるように、前記ロータリーシャッタを回転させることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記限界光量が、前記内視鏡装置のプロセッサに接続されるビデオスコープの種類に応じて定められることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記制御手段が、光量低減もしくは遮光期間の途中で前記ロータリーシャッタの回転速度を低下させることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記制御手段が、1フレーム期間における限界照射時間で連続して限界フレーム数以上照射する場合、限界光量を超えると推定することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
スコープ先端部に設けられた撮像素子から1フレームもしくは1フィールド間隔で読み出される画素信号に基づいて、画像信号を生成する画像処理手段をさらに有し、
前記画像処理手段が、前記ロータリーシャッタの回転速度を変更する間、光量低減もしくは遮光期間中に得られた画像信号を使用しない、もしくは補間処理することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の内視鏡装置。
【請求項6】
被写体像の明るさを示す輝度を検出する輝度検出手段と、
1フレームもしくは1フィールド期間に合わせて光源の光路上で回転し、間欠的に光量低減もしくは遮光するロータリーシャッタを、検出された輝度に基づいて回転制御し、被写体像の明るさを適正な明るさで維持する制御手段とを備え、
前記制御手段が、被写体への照射光量が限界光量を超えない場合、回転周期が1フレーム期間に従う回転速度で回転させ、被写体への照射光量が限界光量を超える場合、前記ロータリーシャッタの回転周期が1フレーム期間よりも長くなるように、前記ロータリーシャッタの回転速度を変更して、光透過期間が1フレーム期間を超えず、かつ、光量低減もしくは遮光期間が1フレーム期間を超えるように、前記ロータリーシャッタを回転させることを特徴とする内視鏡装置のプロセッサ。
【請求項7】
被写体像の明るさを示す輝度を検出する輝度検出手段と、
1フレームもしくは1フィールド期間に合わせて光源の光路上で回転し、間欠的に光量低減もしくは遮光するロータリーシャッタを、検出された輝度に基づいて回転制御し、被写体像の明るさを適正な明るさで維持する制御手段とを備え、
前記制御手段が、被写体への照射光量が限界光量を超えない場合、回転周期が1フレーム期間に従う回転速度で回転させ、被写体への照射光量が限界光量を超える場合、前記ロータリーシャッタの回転周期が1フレーム期間よりも長くなるように、前記ロータリーシャッタの回転速度を変更して、光透過期間が1フレーム期間を超えず、かつ、光量低減もしくは遮光期間が1フレーム期間を超えるように、前記ロータリーシャッタを回転させることを特徴とする内視鏡装置の絞り制御部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スコープによって器官内壁などの被写体を撮像し、観察画像をモニタに表示する電子内視鏡装置に関し、特に、観察画像の明るさ調整処理に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡装置では、絞りを用いて被写体への照明光量を増減させ、被写体像の明るさを適正な明るさで維持する明るさ調整処理が行われる。ロータリーシャッタを用いた内視鏡装置では、遮光部と開口部から構成されるロータリーシャッタを1フレーム期間周期で回転させ、照射期間を調整する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−195850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロータリーシャッタを使用した調光処理の場合、1フレーム期間内で遮光と照明が交互に切り替わる。そのため、スコープの光学特性、あるいは観察状況によって比較的大きな照射光量を必要とする場合、長期間に渡り、大きな照射光量で間欠的に被写体を照明することになる。
【0005】
一方、スコープ先端部には撮像素子、ライドガイド先端部などの熱源が存在し、スコープ先端部は発熱しやすい。それに伴うノイズや部品故障等を防ぐため、照射光量は十分抑えなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内視鏡装置は、ロータリーシャッタを使用して明るさ調整処理を実行する内視鏡装置であって、被写体を照明する光源と、1フレーム期間もしくは1フィールド期間(1フレーム/フィールド期間)に合わせて光源の光路上で回転し、間欠的に光量低減もしくは遮光するロータリーシャッタと、ロータリーシャッタを回転制御する制御手段とを備える。
【0007】
ロータリーシャッタは様々な機構で構成可能であり、1枚のロータリーシャッタで位相制御してもよく、あるいは2枚のロータリーシャッタを対にして回転させ、一方のロータリーシャッタの相対的位置(位相)を調整して光量増減させてもよい。また、ある期間完全に遮光するように構成してもよく、あるいは全体的光量を低減させる構成でもよい。
【0008】
本発明では、被写体への照射光量が限界光量を超える場合、制御手段は、1フレーム期間を超えた時間間隔で間欠的光量低減もしくは遮光を行うように、ロータリーシャッタの回転を調整する。これによって、遮光もしくは光量低減期間が長くなり、非常に大きな照射光量による照明が数フレーム期間続くことが防止される。
【0009】
限界光量については、様々な判断手法が適用可能である。限界光量は、内視鏡装置の構造、観察状況によって異なる。ランプの強度が大きい場合、必然的に照射光量は多くなる。また、スコープ特性として、内部に設けられたライトガイド(光ファイバ束)の減衰率が大きい場合、照射時間を長くするように明るさ調整処理されるため、照射光量が大きくなる。
【0010】
観察状況については、スコープ先端部が観察部位と接近している場合、あるいは、電子シャッタ機能によって露光時間を短くした場合、照射光量が多くなる。さらに、血管、病変部強調のために、特定の狭帯域波長の光を照射して分光画像を生成する場合にも、照射光量が多くなる。
【0011】
このような装置の特性、観察状況に基づいて様々な限界光量をあらかじめ設定し、メモリなどに記憶させておくことにより、装置、観察状況に適した限界光量に基づいて明るさ調整処理をすることが可能である。一定光量で照明がある程度の期間が続く場合、限界光量を推定することが容易となる。例えば、1フレーム期間における限界照射時間で連続して限界フレーム数以上照射する場合、限界光量を超えると推定するのがよい。
【0012】
限界光量に達したときのロータリーシャッタの制御については、回転速度を落として一定速度で周期的に回転させるようにすることが可能である。例えば制御手段は、ロータリーシャッタの回転周期が1フレーム期間よりも長くなるように、ロータリーシャッタの回転速度を変更させればよい。特に、光量低減もしくは遮光期間の途中でロータリーシャッタの回転速度を低下させることにより、遮光もしくは光量減少期間が最初に長時間化させることができる。
【0013】
限界光量に達して遮光期間、光量減少期間が1フレーム期間を超える場合、そのフレーム期間の画像信号を直接映像に使用すると観察画像が乱れることになる。したがって、フレームレートを落としてその期間の画像信号を使わないようにするのがよい。あるいは、前後のフレームの画像信号に基づいて補間処理などを行うようにしてもよい。
【0014】
本発明の内視鏡用明るさ調整装置は、被写体像の明るさを示す輝度を検出する輝度検出手段と、1フレーム/フィールド期間に合わせて光源の光路上で回転し、間欠的に光量低減もしくは遮光するロータリーシャッタを、検出された輝度に基づいて回転制御し、被写体像の明るさを適正な明るさで維持する制御手段とを備え、制御手段が、被写体への照射光量が限界光量を超える場合、1フレーム期間を超えた時間間隔で間欠的光量低減もしくは遮光を行うように、ロータリーシャッタの回転を調整する。
【0015】
本発明のプログラムは、内視鏡装置を、被写体像の明るさを示す輝度を検出する輝度検出手段と、1フレーム/フィールド期間に合わせて光源の光路上で回転し、間欠的に光量低減もしくは遮光するロータリーシャッタを、検出された輝度に基づいて回転制御し、被写体像の明るさを適正な明るさで維持する制御手段として機能させ、被写体への照射光量が限界光量を超える場合、1フレーム期間を超えた時間間隔で間欠的光量低減もしくは遮光を行うように、ロータリーシャッタの回転を調整する制御手段として機能させる。
【発明の効果】
【0016】
このように本発明によれば、ロータリーシャッタを使用して明るさ調整するとき、スコープ先端部、観察部位への熱の影響を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態である電子内視鏡装置のブロック図である。
【
図3】絞り制御部において実行される明るさ調整処理のフローチャートである。
【
図4】ロータリーシャッタの制御量決定処理を示した
図3のサブルーチンである。
【
図5】ロータリーシャッタの回転状態を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照して本実施形態である電子内視鏡装置について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態である電子内視鏡装置のブロック図である。
図2は、ロータリーシャッタの概略的平面図である。
【0020】
電子内視鏡装置は、その挿入部分が体内へ挿入されるビデオスコープ10と、プロセッサ30とを備え、ビデオスコープ10はプロセッサ30に着脱自在に接続される。プロセッサ30には、モニタ(図示せず)が接続されている。
【0021】
プロセッサ30は、キセノンランプなどの光源装置32を備え、光源装置32から放射された照明光は、集光レンズ31を介してビデオスコープ10内に設けられたライトガイド12に入射し、ライトガイド12を通ってスコープ先端部10Tから被写体(観察対象)に向けて照射される。
【0022】
被写体に反射した照明光は、スコープ先端部10Tに設けられた対物レンズ13を通り、これによって被写体像がCCDなどのイメージセンサ14の受光面に形成される。イメージセンサ14では、1フレーム分の画像信号がイメージセンサ14から所定のフレーム時間間隔(例えば1/30秒間隔)で読み出される。イメージセンサ14には、Cy、Ye、G、MgあるいはR、G、Bから成る色要素をモザイク配列させた補色フィルタが配設されている。
【0023】
読み出された画像信号は、AD変換回路15によってデジタル化された後、画像処理回路16へ送られる。画像処理回路16では、画像信号に対してホワイトバランス処理、ガンマ補正処理などの信号処理が施される。これにより、R、G、Bの画像信号が生成され、プロセッサ30の画像処理回路33へ送られる。
【0024】
画像処理回路33では、輪郭強調処理、スーパーインポーズ処理などが画像信号に対して施される。映像信号がモニタに出力されることにより、観察画像がリアルタイムの動画像としてモニタに表示される。SDRAM47、EEPROM48には、画像などが一時的に格納される。
【0025】
プロセッサ制御部40は、画像処理回路33などへ制御信号を出力し、プロセッサ30全体の動作を制御する。スコープ10が接続されると、プロセッサ制御部40はスコープ10内に設けられたスコープ制御部17と相互通信し、スコープ特性(解像度、スコープ種類)に関するデータを取得する。
【0026】
モニタに表示される被写体像の明るさは、一対のロータリーシャッタ42、43によって調整される。ロータリーシャッタ42は、
図2に示すように円盤状板に半円状の穴を形成したシャッタであり、遮光部42Aと透過部42Bから構成されている。ロータリーシャッタ43も同様に遮光部43A、透過部43Bから構成されており、ロータリーシャッタ42と同軸的に対面配置されている。
【0027】
ロータリーシャッタ42、43は、モータ46によって1フレーム期間を周期として回転する。光源装置32から放射される光の光路Lには、ロータリーシャッタ42、43の回転によって遮光部42Aと透過部42Bが交互に通過し、これによって被写体へ照射される光量が調整される。
【0028】
ロータリーシャッタ43は、ロータリーシャッタ42に対して相対的に位相(回転位置)をずらしながら回転可能である。ロータリーシャッタ42、43が一定速度で回転する間、ロータリーシャッタ43の位相を早め、あるいは遅くすることによって透過部42B、透過部43B両方を通過する照明光の光量が変化する。
【0029】
DSP(Digital Signal Processor)などで構成される絞り制御部44は、モータ46へ駆動信号を出力し、ロータリーシャッタ42、43の回転を制御する。画像処理回路33から読み出される1フレーム分の輝度信号から被写体像の明るさ(平均輝度値など)が算出されると、絞り制御部40は、参照輝度値との比較に基づいて、光量増減を行う。具体的には、ロータリーシャッタ43の位相を変化させ、1フレーム期間内における遮光時間を増加、あるいは減少させることによって、明るさ調整を行う。
【0030】
さらに、被写体への照射光量が限度量を超える場合、ロータリーシャッタ42の回転速度を低下させて1フレーム期間を超える周期で遮光を間欠的に行う。プロセッサ制御部40に設けられたメモリ(図示せず)には、限界光量に関するデータが格納されており、接続されるスコープと関連付けられて記憶されている。
【0031】
以下、
図3〜
図5を用いて、明るさ調整処理について説明する。
【0032】
図3は、絞り制御部において実行される明るさ調整処理のフローチャートである。明るさ調整処理は、1フレーム期間の時間間隔で割り込み処理される。
図4は、ロータリーシャッタの制御量決定処理を示した
図3のサブルーチンである。
図5は、ロータリーシャッタの回転状態を示すタイミングチャートである。
【0033】
ステップS101では、限界光量時の明るさ調整処理を行っているか否かが判断される。限界光量のとき、後述するように、数フレーム期間に渡って間欠的遮光する。そのため、輝度検出をせず、ステップS103へ進む。
【0034】
一方、限界光量時ではない場合、1フレーム期間ごとに輝度検出を行う。ステップS102では、順次生成される1フレーム分の画像信号に基づいて被写体像の輝度値が算出される。ここでは、平均輝度値が求められる(S103)。そして、輝度値に基づいてロータリーシャッタ42、43の制御量が算出される(S104)。映像を表示し続ける間、光量調整が繰り返される(S105)。
【0035】
図4を用いて、ステップS103におけるロータリーシャッタ42、43の制御量の設定について詳述すると、まず、今現在、1フレーム期間内に被写体へ照射されている光量を検出する(S201)。これは、ロータリーシャッタ43の相対的位置に基づいて検出される。
【0036】
ステップS202では、検出された照射光量による明るさ調整が数フレーム期間続いたとき、限界光量を超えるか否かを判断する。限界光量は、被写体への照明光によって観察部位に熱の影響が及ぶ恐れがある光量を表す。ここでは、1フレーム当たりの限度照射時間(照射光量)と、その限度照射光量を続けるフレーム数(ここでは、10フレーム)との積を限界光量として定める。
【0037】
すなわち、1フレーム期間ある所定以上の光量で照射し、その光量で間欠的な照射を連続的に行ったときに許容量を超える場合、そのトータル光量を限界光量として定める。限界光量は、スコープの種類によって異なり、接続されているスコープの種類に応じた限界光量が設定されている。
【0038】
スコープ先端部を移動させることなく観察部位までの距離が一定である場合、実質的に同じ照射光量が維持されると考えてよい。したがって、ステップS202では、同じ照射光量で一定期間間欠的な照射を行うことが前提とし、検出された照射光量とあらかじめ設定されたフレーム数との積を算出し、それを限界光量とを比較する。1フレーム期間の限度照射時間(限度照射光量)、その光量で連続照射する期間(連続フレーム数)は、あらかじめスコープの種類に応じてメモリに格納されている。
【0039】
1フレーム期間における限度照射光量に達していない、あるいは限界光量を超えない場合、通常の明るさ調整処理が行われる。すなわち、適正な明るさに応じた参照輝度値と検出輝度値との差に基づいて、ロータリーシャッタ43の位相が調整される。このとき、ロータリーシャッタ42、43の周期は1フレーム期間に従う。
【0040】
一方、限界光量を超えると推定される場合、絞り制御部44は、ロータリーシャッタ42、43の回転速度を同じように低下させ、回転周期を1フレーム期間超える周期に変更する(S204)。具体的には、遮光期間の方が光透過期間より長くするように、遮光タイミングで回転速度を低下させる。
【0041】
図5は、ロータリーシャッタ42の回転周期を示したタイミングチャートである。ここでは、4フレーム期間で1回転させるように、遮光期間に入ってからロータリーシャッタ42、43の回転速度を同時に落としている。これにより、3フレーム期間に渡って遮光状態が続く。この速度変更後の周期で、調光処理が続けられる。
【0042】
画像処理回路33では、限界光量を超えた場合、フレームレートを落とし、それとともに遮光期間に得られる画像信号を使用せずに出力しない。これにより、光透過期間の画像信号に基づいた観察画像が表示される。
【0043】
限界光量のため回転速度を落として明るさ調整処理が行われると、ステップS201では、数フレーム期間のうちの照射期間に照射される光量が検出される。そして、その光量で明るさ調整処理が繰り返される期間を定め、総光量が限界光量を超えるか否かを判断する。限界光量に達しないと判断されると、通常の光量制御に戻る。
【0044】
このように本実施形態によれば、ロータリーシャッタ42、43の回転制御によって被写体像の明るさ調整処理が行われる。通常、1フレーム期間を周期として回転しながら間欠的に遮光して光量調整を行う。そして、スコープ先端部、観察部位に熱の影響を及ぼす限界光量に達すると推定されると、ロータリーシャッタ42、43の回転速度を低下させて周期を長くし、1フレーム期間を超えるように遮光期間が定められる。
【0045】
遮光期間が長くなるため、光量が多い状態が連続的に持続することを防ぎ、スコープ先端部、観察部位への熱の影響が抑えられる。また、ロータリーシャッタの回転速度を遮光期間に突入しているタイミングで落とすため、即座に遮光期間が1フレーム期間以上に渡ることになり、効果的な明るさ調整処理を行うことができる。
【0046】
ロータリーシャッタの回転速度低下については、
図5のように4フレーム周期に限定されず、観察状況等に応じて適宜定めればよい。また、速度変更(周期変更)する代わりに速度を連続的に変化させながら遮光期間、光透過期間を変更してもよい。さらに、ロータリーシャッタの構造についても、1枚のロータリーシャッタで構成し、電子シャッタによる露光時間とロータリーシャッタの位相制御で光量調整してもよい。
【0047】
限界光量の設定については、スコープ種類(ファイバスコープ、大口径スコープ、細径スコープ)だけでなく、高速電子シャッタ使用時、あるいは分光画像用信号処理などの画像信号処理の特性に従って定めることも可能である。また、連続フレーム数も、それらの特性に応じて複数設定すること(10フレーム、60フレーム、3000フレーム)が可能である。
【0048】
ロータリーシャッタ速度低下の場合、低光量状態で得られる画像信号を、その前後の高光量で得られた画像信号に基づいて補間処理し、観察画像を生成してもよい。あるいは、画素欠陥、熱雑音ノイズ、FPNの判断など、他の目的にしようしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 ビデオスコープ
42、43 ロータリーシャッタ
44 絞り制御部