特許第5647911号(P5647911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立マクセル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5647911-美容機器 図000002
  • 特許5647911-美容機器 図000003
  • 特許5647911-美容機器 図000004
  • 特許5647911-美容機器 図000005
  • 特許5647911-美容機器 図000006
  • 特許5647911-美容機器 図000007
  • 特許5647911-美容機器 図000008
  • 特許5647911-美容機器 図000009
  • 特許5647911-美容機器 図000010
  • 特許5647911-美容機器 図000011
  • 特許5647911-美容機器 図000012
  • 特許5647911-美容機器 図000013
  • 特許5647911-美容機器 図000014
  • 特許5647911-美容機器 図000015
  • 特許5647911-美容機器 図000016
  • 特許5647911-美容機器 図000017
  • 特許5647911-美容機器 図000018
  • 特許5647911-美容機器 図000019
  • 特許5647911-美容機器 図000020
  • 特許5647911-美容機器 図000021
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5647911
(24)【登録日】2014年11月14日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】美容機器
(51)【国際特許分類】
   A45D 1/00 20060101AFI20141211BHJP
【FI】
   A45D1/00 509A
   A45D1/00 C
   A45D1/00 502B
   A45D1/00 503B
   A45D1/00 504B
   A45D1/00 505E
   A45D1/00 506A
   A45D1/00 507B
   A45D1/00 509Z
   A45D1/00 503A
【請求項の数】1
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-20118(P2011-20118)
(22)【出願日】2011年2月1日
(65)【公開番号】特開2012-157593(P2012-157593A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2013年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】日立マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】岡村 武則
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 敬介
【審査官】 二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2002/0121448(US,A1)
【文献】 米国特許第04308878(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0108831(US,A1)
【文献】 特開昭58−92311(JP,A)
【文献】 特開2007−90055(JP,A)
【文献】 実開昭63−83101(JP,U)
【文献】 特開昭58−92313(JP,A)
【文献】 特開平11−235224(JP,A)
【文献】 特開昭63−222706(JP,A)
【文献】 特開昭63−226514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
髪処理用の加熱部(17)を備えている本体部(1)と、本体部(1)に装着した状態において加熱部(17)の外面を覆う筒状の保護キャップ(2)とを備えており、
横臥姿勢で載置面(T)に載置した状態の保護キャップ(2)の外面に、載置面(T)上に載置される載置部(25)と、本体部(1)を支持する受止部(26)とが設けられており、
保護キャップ(2)が本体部(1)の載置台を兼ねており、
保護キャップ(2)の周壁に、内外方向へ弾性変形可能な弾性腕(31)が設けられており、
弾性腕(31)の遊端の外面に載置部(25)を構成する接脚体(32)が設けられており、
本体部(1)を受止部(26)で支持する状態において、弾性腕(31)が弾性変形してクッション機能を発揮できることを特徴とする美容機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪処理用の加熱部を有し、さらに、髪処理部の外面を覆う保護キャップを備えている美容機器に関する。本発明に係る美容機器としては、ストレートアイロン、ヘアセッター、ロールアイロンなどの機器が対象となる。
【背景技術】
【0002】
この種の美容機器として、例えば特許文献1の携帯用のヘアカーラー(ヘアセッター)が公知である。そこでは、本体部の一端に髪処理部を設け、髪処理部の外面を覆う筒状の保護キャップを本体部に対して着脱できるようにしている。髪処理部には電熱部と、電熱部に対して接離する髪押えアームとが設けてあり、保護キャップは、不使用状態の電熱部と髪押えアームの周囲空間を覆って保護する。
【0003】
本発明に係る保護キャップは、その周面に設けたリブ状の突起を載置面に接触させて、キャップ本体の周面を載置面から浮き離れた状態で支持するが、この種の突起を備えた美容機器は、例えば特許文献2に開示されている。そこでは、グリップを兼ねるホルダーの一端に設けられる加熱棒と、加熱棒に対して接離揺動する髪押え板とでヘアアイロンを構成している。ホルダーの加熱棒側の端部には周回状の鍔が設けてあり、この鍔を載置面に接触させて、加熱棒を載置面から浮き離れた状態で支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−235224号公報(段落番号0023、図1
【特許文献2】特開昭58−092309号公報(第2頁右下欄、図8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のヘアカーラーの保護キャップは、不使用状態の電熱部と髪押えアームの周囲空間を覆って、電熱部および髪押えアームが他物と接触するのを防止できる。しかし、電熱部を加熱した状態においてヘアカーラーを横臥姿勢で載置すると、電熱部が載置面に接触して、載置面が過熱状態に陥るおそれがあるため、使用を一時的に中断したい場合のヘアカーラーの置き場に困る。その点、特許文献2のヘアアイロンによれば、加熱された状態の加熱棒を載置面から浮き離れた状態で支持できるので、ヘアアイロンの使用を一時的に中断することができる。しかし、横臥姿勢で載置した状態における加熱棒と載置面の距離がごく僅かでしかないため、載置面に可燃物がある状況でヘアアイロンを長時間放置する場合に、可燃物が過熱され焼け焦げるおそれがあり安全性に問題がある。
【0006】
本発明の目的は、保護キャップを美容機器の本体部の載置台として利用でき、たとえ加熱状態の本体部であっても過熱状態に陥ることもなく安全に、しかも安定した状態で支持できる美容機器を提供することにある。
本発明の目的は、本体部に付随する電源コードを、保護キャップを利用して整然と巻込み収納できる美容機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る美容機器は、髪処理用の加熱部17を備えている本体部1と、本体部1に装着した状態において加熱部17の外面を覆う筒状の保護キャップ2とを備えている。図4に示すように、横臥姿勢で載置面Tに載置した状態の保護キャップ2の外面に、載置面T上に載置される載置部25と、本体部1を支持する受止部26とを設け、保護キャップ2が本体部1の載置台を兼ねていることを特徴とする。
【0008】
保護キャップ2の周面に、本体部1を保護キャップ2の周面から浮き離れた状態で支持する複数の受止めリブ38・39・40を形成する(図1参照)。
【0009】
載置部25が受止めリブ38で構成する(図9参照)。
【0010】
保護キャップ2の周面に、本体部1のずれ動きを防ぐずれ防止構造を設ける。
【0011】
ずれ防止構造は、保護キャップ2の周面に設けた凹部56で構成する(図12参照)。
【0012】
ずれ防止構造は受止めリブ39・40で構成する(図1参照)。
【0013】
本体部1の加熱部17の近傍に、ずれ防止構造と係合して本体部1のずれ動きを防ぐずれ止め突起43・44を設ける(図4参照)。
【0014】
装填口23に臨む保護キャップ2の周壁に、内外方向へ弾性変形可能な弾性腕31を設ける。本体部1を保護キャップ2に装填した状態において、ずれ止め突起44が弾性腕31と係合して、保護キャップ2の分離を規制できるようにする(図7参照)。
【0015】
弾性腕31の遊端の外面に載置部25を構成する接脚体32を設ける。本体部1を受止部26で支持する状態において、弾性腕31が弾性変形してクッション機能を発揮できるようにする(図9参照)。
【0016】
保護キャップ2の外面に、本体部1から導出された電源コード20を巻込み収納するコード巻装構造を設ける。
【0017】
コード巻装構造は、保護キャップ2の一端に設けた第1巻装部27と、保護キャップ2の他端に設けた第2巻装部28とで構成する(図10参照)。
【0018】
第1巻装部27と第2巻装部28に巻込んだ電源コード20の一部が弾性腕31の外面と対向して、弾性腕31の外向きの弾性変形を規制する(図10参照)。
【0019】
図16に示すように、コード巻装構造は、保護キャップ2の周面の一端寄りに設けた第1巻装突起63と、保護キャップ2の周面の他端寄りに設けた第2巻装突起64とで構成する。
【0020】
保護キャップ2の外面に、電源コード20の差込プラグ21を保持するプラグ保持構造を設ける。
【0021】
プラグ保持構造は、差込プラグ21の近傍の電源コード20が掛止される掛止フック48で構成する(図10参照)。
【0022】
プラグ保持構造を、保護キャップ2の外面のブラケット68に設けたプラグ穴67で構成し、差込プラグ21のプラグ刃22をプラグ穴67に差込んで固定できるようにする(図18参照)。
【0023】
装填口23と対向する保護キャップ2の内奥部に、加熱部17の熱を保護キャップ2の外へ放出するための放熱開口24を形成する。
【発明の効果】
【0024】
本発明においては、本体部1と、筒状の保護キャップ2とで美容機器を構成し、保護キャップ2の外面に載置部25と受止部26とを設けて、保護キャップ2を載置面Tに横臥姿勢で載置したのち、その受止部26に加熱状態の本体部1を載置できるようにした。このように、保護キャップ2を本体部1の載置台として利用すると、本体部1の加熱部17を、載置面Tから少なくとも保護キャップ2の高さ寸法分だけ離すことができるので、載置面Tが過熱状態に陥るおそれのない、安全性に優れた美容機器が得られる。また、保護キャップ2を本体部1の載置台として利用するので、別途、載置台を用意する場合に比べて、美容機器の全体構造を簡素化して製造に要するコストを削減できる。
【0025】
保護キャップ2の周面に複数の受止めリブ38・39・40を形成すると、各リブ38・39・40で本体部1を受止めることにより、本体部1を保護キャップ2の周面から浮き離れた状態で支持して、両者1・2の接触面積を小さくできる。したがって、本体部1に設けた加熱部17の熱が保護キャップ2の側へ伝導するのを抑制でき、たとえ本体部1が長時間にわたって放置されるような場合であっても、保護キャップ2が高温になるのを解消できる。周面に形成した複数の受止めリブ38・39・40で保護キャップ2の構造強度を向上し堅牢度を向上できる利点もある。
【0026】
載置部25を受止めリブ38で構成すると、受止めリブ38の突出寸法分だけ保護キャップ2を載置面Tから浮き離れた状態で支持して、両者2・Tの接触面積を小さくできる。したがって、保護キャップ2の熱が載置面Tの側へ伝導するのを抑制して、載置面Tが過熱状態になる危険性をさらに低減できる。
【0027】
保護キャップ2の周面にずれ防止構造を設けると、保護キャップ2に載置した状態の本体部1に誤って接触した場合などに、本体部1が保護キャップ2の周面に沿ってずれ動くのを防止して、本体部1を安定した状態で支持できる。したがって、保護キャップ2からずれ落ちた本体部1の加熱部17が使用者の肌に接触して火傷を負ったり、可燃物が加熱部17の熱を受けて過熱状態に陥り、あるいは耐熱性に劣るプラスチック成形品が熱変形するなどの、加熱部17に由来する事故を良く防止できる。
【0028】
保護キャップ2の周面に設けた凹部56を要素にしてずれ防止構造を構成すると、本体部1を凹部56に載置するだけで、本体部1のずれ動きを防止できる。また、凹部56自体が受止部26として機能するので、構造の無駄を省いて保護キャップ2の製造コストを削減できる。
【0029】
保護キャップ2の周面に設けた受止めリブ39・40を利用してずれ防止構造を構成すると、加熱部17の熱が保護キャップ2へ伝導するのを抑制しながら、同時に受止めリブ39・40で本体部1のずれ動きを規制できる。したがって、保護キャップ2の構造をさらに簡素化して製造コストを削減できる。
【0030】
本体部1の加熱部17の近傍にずれ止め突起43・44を設け、このずれ止め突起43・44を保護キャップ2に設けたずれ防止構造に係合させると、さらに確実に本体部1のずれ動きを防ぐことができる。とくに、ずれ防止構造が受止めリブ39・40、あるいは凹み部分で構成してある場合には、受止めリブ39・40とずれ止め突起43・44、あるいは凹み部分とが係合しあって本体部1のずれ動きを規制するので、本体部1が外力を受けてずれ動くのを確実に防止できる。
【0031】
本体部1を保護キャップ2に装填した状態において、ずれ止め突起44を保護キャップ2の弾性腕31と係合させると、保護キャップ2が本体部1から分離しようとするのをずれ止め突起44で規制できる。したがって、収納時や美容機器の取り扱い時に、保護キャップ2が脱落して加熱部17や髪処理部15が露出するのを防止でき、加熱部17および髪処理部15の保護を適確に行なえる。
【0032】
弾性腕31の遊端の外面に設けた接脚体32を利用して載置部25を構成すると、弾性腕31が弾性変形することでクッション機能を発揮できる。たとえば、本体部1を保護キャップ2に載置するとき、誤って本体部1を保護キャップ2に対して衝撃を伴う状態で載置してしまうことがあるが、こうした場合に、弾性腕31が弾性変形して本体部1の衝突衝撃を吸収できる。したがって、本体部1が衝撃を伴う状態で載置されるような場合であっても、本体部1あるいは保護キャップ2の表面が傷ついたり、保護キャップ2の一部が破損するのを防止できる。
【0033】
保護キャップ2の外面にコード巻装構造を設けると、本体部1から導出された電源コード20をコード巻装構造に巻込むことにより、本体部1と保護キャップ2と電源コード20の三者をコンパクトにまとめた状態で収納し、あるいは取り扱うことができる。また、保護キャップ2が本体部1から分離するのを、コード巻装構造に巻込んだ電源コード20で規制できるので、保護キャップ2を紛失することがない。
【0034】
保護キャップ2の一端に設けた第1巻装部27と、保護キャップ2の他端に設けた第2巻装部28とでコード巻装構造を構成すると、保護キャップ2の長手方向に沿って電源コード20を巻込むことができる。したがって、コード巻装構造に巻付けるときの、電源コード20の巻付け回数を少なくして、電源コード20を収納する手間を省くことができるうえ、電源コード20の巻姿が肥大化するのを避けてコンパクトにできる。
【0035】
両巻装部27・28に電源コード20を巻込んだ状態において、その一部を弾性腕31の外面と対向させると、弾性腕31が外向きに弾性変形するのを電源コード20で規制できる。したがって、電源コード20をコード巻装構造から取り外さない限りは、ずれ止め突起44と弾性腕31との係合状態を維持し続けて、保護キャップ2が本体部1から脱落するのを防止できる。
【0036】
保護キャップ2の周面の一端寄りに設けた第1巻装突起63と、他端寄りに設けた第2巻装突起64とでコード巻装構造を構成すると、図17に示すように電源コード20を保護キャップ2の表面の一側にまとめた状態で整然と巻付けることができる。また、保護キャップ2の表面の一側にコード巻装構造を配置するので、電源コード20の巻付け収納を簡便かつ迅速に行なえる。
【0037】
保護キャップ2の外面にプラグ保持構造が設けてあると、電源コード20をコード巻装構造に巻付けたのち、差込プラグ21をプラグ保持構造に装着することにより、電源コード20が解離するのを防止できる。したがって、電源コード20の巻姿を維持したコンパクトな状態のままで美容機器を収納し保管できる。
【0038】
プラグ保持構造が掛止フック48で構成してあると、コード巻装構造から食み出た電源コード20の長さが大小に異なる場合であっても、電源コード20を掛止フック48に支障なく装着して、電源コード20の解離を確実に防止できる。さらに、ユーザーの好みや必要に応じて、電源コード20の任意の位置を掛止フック48に装着できる。
【0039】
プラグ保持構造をブラケット68に設けたプラグ穴67で構成すると、プラグ刃22をプラグ穴67に差込むことにより、コード巻装構造に巻付けた電源コード20の解離を防止できる。また、プラグ刃22を保護キャップ2のブラケット68に固定するので、美容機器を取扱う際にプラグ刃22をブラケット68で保護することができ、たとえば、プラグ刃22が他物に衝突して変形するのを防止できる。
【0040】
保護キャップ2の内奥部に放熱開口24を設けると、使用直後の本体部1を保護キャップ2に装填した状態において、加熱部17から保護キャップ2の内部へ放出された熱を、放熱開口24から効果的に放出できる。したがって、加熱部17の熱が保護キャップ2の内部に籠るのを解消でき、使用直後の美容機器の取扱いを安全に行える。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明に係る保護キャップを載置台として使用する状態の平面図である。
図2】本体部と保護キャップを分離した状態の正面図である。
図3】本発明に係る保護キャップの縦断正面図である。
図4】本体部を保護キャップに載置した状態を示す使用状態説明図である。
図5】本体部を保護キャップに装填した状態の側面図である。
図6図5におけるA−A線断面図である。
図7図5におけるB部の拡大断面図である。
図8図1におけるC−C線断面図である。
図9】保護キャップを載置台として使用する状態の一部を破断した正面図である。
図10】電源コードを巻付け収納した状態の美容機器の正面図である。
図11】本発明の別実施例に係る美容機器の分解正面図である。
図12】本発明別の別実施例に係る保護キャップの平面図である。
図13図12におけるD−D線断面図である。
図14】本発明の別実施例に係る保護キャップの要部のみの断面図である。
図15】本発明の別実施例に係る保護キャップの要部のみの正面図である。
図16】本発明の別実施例に係る保護キャップの使用状態を示す平面図である。
図17図16に係る保護キャップに本体部を装填した状態の正面図である。
図18】本発明の別実施例に係る保護キャップの要部のみの正面図である。
図19】本発明の別実施例に係る保護キャップの使用例を示す正面図である。
図20図19に係る保護キャップの使用例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(実施例) 図1ないし図8は本発明をストレートアイロン(美容機器)に適用した実施例を示す。なお、この実施例における前後、左右、上下とは、図2および図5に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2においてストレートアイロンは、本体部1と、本体部1に着脱される保護キャップ2とで構成してある。本体部1は、左右に対向配置した第1挟み腕11と第2挟み腕12の基端どうしを揺動軸13で連結して構成してある。各挟み腕11・12の下半部はグリップ14になっており、上半部の対向面に髪処理部15が設けてある。一対の髪処理部15に髪を挟んで、加熱しながら毛先側へ向かってしごくことにより、縮れ毛やくせ毛をまっすぐに伸ばすことができる。
【0043】
両挟み腕11・12は揺動軸13のまわりに揺動開閉でき、図示していないばねで開き勝手に付勢されて、自由状態において図1に想像線で示す開放姿勢に保持される。開放姿勢になっている両挟み腕11・12を握り込むことにより、髪処理部15の対向面のそれぞれに設けた加熱ブロック16で髪を挟んで加熱できる。加熱ブロック16の内部にはPCTヒーター(加熱部)17が配置してある。第2挟み腕12の前面の基端寄りには、電源スイッチ18と温度調整ボタン19が設けてある。符号20は本体部1の下端から導出された電源コード、符号21は電源コード20の導出端に固定した差込プラグ、符号22はプラグ刃である。
【0044】
保護キャップ2は、四角筒状のプラスチック成形品からなり、その下端に本体部1を装填するための装填口23が開口してある。装填口23と対向する上端の内奥部に、放熱開口24が形成してある。保護キャップ2は、使用途中の本体部1を載置するための載置台を兼ねており、図4および図9に示すように横臥姿勢で載置面Tに載置した状態において、キャップ周面に載置面T上に載置される載置部25と、本体部1を支持する受止部26とが設けてある。また、放熱開口24をJ字状に凹ませて第1巻装部27を形成し、装填口23に臨む周壁を外側方へ膨出して第2巻装部28を形成している。このように本実施例では、保護キャップ2の上端(一端)と下端(他端)の一側に設けた第1、第2の巻装部27・28で、電源コード20を巻込み収納するコード巻装構造を構成している。
【0045】
装填口23に臨む保護キャップ2の前後の周壁には弾性腕31・31が設けられ、同腕31の下端(遊端)の外面に長方形状の接脚体32が膨出してある。弾性腕31は、保護キャップ2の周壁に形成したスリット33で区分されており、内外方向へ弾性変形できる。図2に示すように接脚体32は、装填口23より下方に突出されており、その外面の接脚面34は保護キャップ2の周面より外方へ膨出してある(図9参照)。接脚体32の上縁の左右には係合凹部35が形成してある。
【0046】
保護キャップ2の周面には、本体部1を保護キャップ2の周面から浮き離れた状態で支持する受止めリブの一群が形成してある。詳しくは、放熱開口24の近傍のキャップ周面に周回状に形成される第1受止めリブ(受止めリブ)38と、保護キャップ2の前後面の左隅に沿って形成される上下方向の第2受止めリブ(受止めリブ)39・39と、第1受止めリブ38より下方のキャップ周面に周回状に形成される一群の第3受止めリブ(受止めリブ)40とがキャップ周面に形成してある。第3受止めリブ40は、弾性腕31の外面にも形成してある。第1〜第3の各受止めリブ38・39・40のキャップ周面からの膨出寸法は、第3受止めリブ40が最も小さく、第2受止めリブ39が最も大きい。キャップ周面に各受止めリブ38・39・40の一群を設けることにより、後述するずれ止め突起43・44を受け入れる凹み部分が多数形成される。
【0047】
本体部1を保護キャップ2に装填した状態において、保護キャップ2を本体部1に対して安定した状態で保持固定するために、両者1・2の間に保持構造を設けている。さらに、使用途中の本体部1を保護キャップ2に載置した状態において、本体部1がずれ動くのを防ぐために、両者1・2の間にずれ防止構造を設けている。
【0048】
保護キャップ2の本体部1に対する保持構造は、保護キャップ2の前後壁の内面に設けた左右一対のガイドリブ42と、先に説明した係合凹部35と、本体部1の加熱ブロック16の近傍に設けた合計8個のずれ止め突起43・44とで構成する。図3に示すように、ガイドリブ42は、放熱開口24からスリット33の近傍にわたって平行に設けてある。ずれ止め突起43・44のうち、上端寄りのずれ止め突起43は、加熱ブロック16の上端近傍の両挟み腕11・12の前面および後面に配置してあり、下方のずれ止め突起44は、加熱ブロック16の下端近傍の両挟み腕11・12の前面および後面に配置してある。
【0049】
図4図7図8に示すように、両ずれ止め突起43・44は山形に形成されて、その先端43a・44aが丸めてある。本体部1を保護キャップ2に装填した状態では、上方の4個のずれ止め突起43がガイドリブ42で受止められて(図3図6参照)、がた付きを生じる余地のない状態で保持されている。また、下方の4個のずれ止め突起44の先端44aは、図5図7に示すように、前後の接脚体32の係合凹部35にそれぞれ係合して、保護キャップ2が本体部1から分離するのを規制している。つまり、係合凹部35とずれ止め突起44とで、保護キャップ2が本体部1から分離するのを規制するロック構造を構成している。なお、本体部1を保護キャップ2に装填する過程では、下方のずれ止め突起44の先端44aは、接脚体32の内面に接当して弾性腕31を弾性変形させながら接脚体32を乗り越えたのち、係合凹部35と係合する。
【0050】
載置状態において本体部1のずれ動きを防ぐずれ防止構造は、先に説明した第2受止めリブ39および第3受止めリブ40と、本体部1に設けたずれ止め突起43・44で構成する。図1に示すように、本体部1は載置面Tに対して横臥姿勢にした保護キャップ2の上面に載置される。その場合には、揺動軸13側の端部を載置面Tに置き、さらに両挟み腕11・12の下面の任意の位置を保護キャップ2の上周面に載置できるが、好適な載置姿勢として以下の姿勢が推奨される。
【0051】
詳しくは図4に示すように、本体部1の重心の近傍に位置する下方のずれ止め突起44が、上面に位置する第2受止めリブ39で支持された状態で本体部1を載置する。この載置状態においては、本体部1が載置面Tに沿って保護キャップ2から遠ざかる向きに滑る傾向がある。しかし、図8に示すように、左右のずれ止め突起44が第2受止めリブ39に掛止されているので、本体部1が保護キャップ2の筒中心軸と交差する向きへ滑ることはない。
【0052】
また、本体部1は保護キャップ2の筒中心軸に沿って左右方向へ遊動することができるが、本体部1が遊動する間もなく左右のずれ止め突起44が間近に位置する第3受止めリブ40で受止められる(図1参照)ので、それ以上本体部1が遊動することはない。したがって、図4に示す載置姿勢によれば、保護キャップ2に載置した本体部1を安定した状態で保持できる。また、第2受止めリブ39に掛止するずれ止め突起44によって、加熱ブロック16を保護キャップ2から浮き離れた状態で支持できるので、加熱ブロック16の熱が保護キャップ2へ伝導するのを極力避けることができる。
【0053】
以上の説明から理解できるように、保護キャップ2に設けられて本体部1を支持する受止部26は、基本的に第2受止めリブ39と第3受止めリブ40とで構成する。しかし、本体部1は、その両挟み腕11・12の任意の位置を保護キャップ2に載置でき、その場合には、第3受止めリブ40のみで両挟み腕11・12の下面を支持することがある。また、上方のずれ止め突起43を保護キャップ2の上周面で支持し、第3受止めリブ40で本体部1の横移動を規制することがある。したがって本体部1にずれ止め突起43・44が設けてある本実施例の受止部26は、保護キャップ2の上周面と第2受止めリブ39と第3受止めリブ40を含むことになる。因みに、本体部1にずれ止め突起43・44が設けてない場合には、第3受止めリブ40が受止部26として機能することになる。
【0054】
図9に示すように、保護キャップ2を載置面T上に載置した状態においては、接脚体32の接脚面34が載置面Tで支持され、さらに下面側に位置する第1受止めリブ38の接脚面34が載置面Tで支持されて、保護キャップ2を載置面Tから浮き離れた状態で支持する。このように、保護キャップ2を浮き離れた状態で支持すると、保護キャップ2の熱が載置面Tへ伝導するのを極力避けることができる。
【0055】
本体部1を保護キャップ2に載置するとき、誤って本体部1を保護キャップ2に対して衝撃を伴う状態で載置してしまうことがあるが、こうした場合には、載置面Tで支持されている弾性腕31がキャップ内面側へ弾性変形して、本体部1の衝突衝撃を吸収する。つまり、弾性腕31はクッション体として機能して、本体部1あるいは保護キャップ2の表面が傷ついたり、キャップの一部が破損するのを防止できる。以上の説明から理解できるように、本実施例における保護キャップ2の載置部25とは、それぞれ載置面Tで支持される弾性腕31に設けた接脚体32と、第1受止めリブ38とで構成してある。
【0056】
因みに、保護キャップ2は図1に示すように放熱開口24を左向きにした状態と、放熱開口24を右向きにした状態で載置面Tに載置できるが、いずれの場合にも載置台として使用できるようにするために、載置部25および受止部26を前後一対ずつ設けている。詳しくは、保護キャップ2の前後面のそれぞれに第2受止めリブ39を設けて、保護キャップ2の載置姿勢が右向きか左向きかとは無関係に、受止部26で本体部1を支持できるようにしている。同様に、保護キャップ2の前後面のそれぞれに弾性腕31および接脚体32を設けて、保護キャップ2の載置姿勢が右向きか左向きかとは無関係に、載置部25を載置面Tで支持できるようにしている。
【0057】
図3に示すように放熱開口24は、J字状の開口縁に沿って平行に配置した6個のリブ枠47で覆われており、本体部1の内部の熱は放散できるが、指がキャップ内に入り込むのは規制できる構造となっている。リブ枠47、および隣接するリブ枠47間のスリットは、第1巻装部27に巻き付けられた電源コード20のずれを規制する構造としても機能している。放熱開口24に臨む保護キャップ2の上端の前後中央には、電源コード20の差込プラグ21を保持する掛止フック(プラグ保持構造)48が形成してある。第2巻装部28は、膨出壁の開口縁に凹み形成したU字状の巻装凹部49と、同凹部49の間に形成される規制壁50とで横臥M字状に構成してある。電源コード20が巻装凹部49から食み出るのを防ぐために、規制壁50は装填口23よりも下方へ突出してある。
【0058】
不使用状態の本体部1は、図5に示すように保護キャップ2に装填してその髪処理部15の外面を覆う。この装填状態においては、上方のずれ止め突起43がガイドリブ42で受止められ、下方のずれ止め突起44の先端44aが接脚体32の係合凹部35にそれぞれ係合している。つまり、ずれ止め突起44が弾性腕31と係合して、保護キャップ2の分離を規制している。
【0059】
本体部1を装填したのち、図10に示すように、電源コード20を第1巻装部27と第2巻装部28とに巻き掛け、差込プラグ21の近傍の電源コード20を掛止フック48に掛止した状態で収納する。この状態では、電源コード20が保護キャップ2の前後周面を斜めに横切って、電源コード20の一部が第3受止めリブ40に接当して弾性腕31の外面と対向する。そのため、弾性腕31が外向きに弾性変形するのを電源コード20で規制でき、これによりずれ止め突起44の先端44aと係合凹部35との係合状態が解除されるのを阻止して、保護キャップ2が本体部1から分離するのを確実に防止できる。
【0060】
図11は本発明をロールアイロン(美容機器)に適用した別実施例を示す。図11においてロールアイロンは、本体部1と、本体部1に着脱される保護キャップ2とで構成する。本体部1の下半部はグリップ14になっており、上半部は髪処理部15になっている。髪処理部15は、丸棒状のロール軸51と、ロール軸51と協同して髪を挟み保持する押えアーム52と、ロール軸51の内部に配置したヒーター(加熱部)17とで構成する。押えアーム52は、揺動軸53を中心にして揺動開閉でき、図示していないばねで閉じ勝手に付勢してある。符号54は押えアーム52を開閉操作するハンドルである。グリップ14の上端の周面には、前後一対のずれ止め突起44が設けてある。髪巻き軸51に髪を巻き付けて押えアーム52で挟み、髪を加熱しながら毛先側へ向かってしごくことにより髪をカールすることができる。
【0061】
保護キャップ2の基本構造は、実施例1で説明した保護キャップ2と概ね同じであるが、次の点が異なる。弾性腕31を規制壁50と対向するキャップ周壁にのみ設け、その接脚体32に、ずれ止め突起44と係合する係合凹部35を設けた。この実施例においては、接脚体32を利用して載置部25を構成できないので、装填口23側の下面に接脚体32に相当する脚構造を設けるとよい。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付して、その説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
【0062】
図12図13は保護キャップ2のさらに別の実施例を示す。そこでは、ずれ防止構造を保護キャップ2の周面に設けた左右2個所の受凹部(凹部)56で構成して、本体部1が左右方向へずれ動くのを規制できるようにした。この受凹部56は受止部26を兼ねている。また、図13で示すように、保護キャップ2の下面に接脚リブ(接脚体)57を突設して、接脚リブ57と接脚体32が載置部25を構成するようにした。
【0063】
図14は保護キャップ2のさらに別の実施例を示す。そこでは、ずれ防止構造を保護キャップ2の周面の左右2個所に設けた突起58と、突起58に対応して両挟み腕11・12に形成した凹部59とで構成した。このように、互いに係合する突起58と凹部59とでずれ防止構造を構成すると、保護キャップ2に載置した状態の本体部1が、保護キャップ2から遠ざかる向きに滑り移動し、あるいは左右方向へ滑り移動するのを同時に防ぐことができる。
【0064】
図15は保護キャップ2のさらに別の実施例を示す。そこでは、一方のスリット33に連続する左右方向に平坦な段落部61と、規制壁50とで第2巻装部28を構成するようにした。このように、第1巻装部27および第2巻装部28は、電源コード20を巻掛けることができる構造であればよく、巻装凹部49のように凹み形成する必要はない。
【0065】
図16図17は保護キャップ2のさらに別の実施例を示す。そこでは、コード巻装構造を、保護キャップ2の周面の一端寄りに設けた第1巻装突起63と、保護キャップ2の周面の他端寄りに設けた第2巻装突起64とで構成した。第1巻装突起63、および第2巻装突起64はそれぞれL字状の突起からなり、保護キャップ2を載置面Tに載置した状態において、横向きに突出する壁が互いに逆向きに突出するように配置してある。また、この実施例ではコード巻装構造を、保護キャップ2の前面に配置するので、保護キャップ2の端部に籠状の通気キャップ65を固定して、通気キャップ65の周面の全体に一群のスリットからなる放熱開口24を形成した。掛止フック48は通気キャップ65と一体に形成した。不使用時の電源コード20は、図17に示すように、第1巻装突起63と第2巻装突起64に巻掛けたのち、差込プラグ21の近傍の電源コード20を掛止フック48に掛止した状態で収納する。
【0066】
図18は保護キャップ2のさらに別の実施例を示す。そこでは、プラグ保持構造を、差込プラグ21のプラグ刃22が差込み保持されるプラグ穴67で構成した。詳しくは、先の通気キャップ65の前面に板状のブラケット68を突設し、ブラケット68に形成した一対のプラグ穴67にプラグ刃22を差込み固定できるようにした。
【0067】
図19図20は保護キャップ2のさらに別の実施例を示す。そこでは、放熱開口24の近傍のキャップ周面に2個の第1受止めリブ38を周回状に形成し、その前後面に接脚リブ71を突接した。また、弾性腕31の接脚体32を、長方形状のベース部72と、ベース部72の外面に突設される2個の接脚リブ73とで構成した。両接脚リブ71・73は、図20に示すように楔状に形成されて、第2受止めリブ39の側へ向かって下り傾斜する接脚面34を備えている。このように、両接脚リブ71・73に下り傾斜する接脚面34を設けると、保護キャップ2を載置面Tに載置した状態において、保護キャップ2の下面と載置面Tとの対向隙間を接脚面34の傾斜角度の分だけ大きくできる。したがって、保護キャップ2から載置面Tへの熱伝導量をさらに小さくできる。
【0068】
上記のように保護キャップを備えた美容機器は、以下の実施形態で実施することができる。
髪処理用の加熱部17を備えている本体部1と、本体部1に装着した状態において加熱部17の外面を覆う筒状の保護キャップ2とを備えており、
保護キャップ2の外面に、本体部1から導出された電源コード20を巻込み収納するコード巻装構造が設けてある美容機器(実施形態1)。
【0069】
コード巻装構造が、保護キャップ2の一端に設けた第1巻装部27と、保護キャップ2の他端一側に設けた第2巻装部28とで構成してある美容機器(実施形態2)。
【0070】
保護キャップ2の一端を第2巻装部28の側へ向かって凹ませて第1巻装部27が形成されており、
第1巻装部27の凹み縁に沿って、複数のリブ枠47で区分される放熱開口24が形成してある美容機器(実施形態3)。
【0071】
第2巻装部28が、第1巻装部27の側へ向かって凹む一対の巻装凹部49と、両巻装凹部49の間に配置される規制壁50とで構成されており、
規制壁50の突端が、保護キャップ2の装填口23より突出する状態で形成してある美容機器(実施形態4)。
【0072】
第1巻装部27の近傍に、電源コード20の差込プラグ21を保持するプラグ保持構造が設けてある美容機器(実施形態5)。
【0073】
プラグ保持構造が、第1巻装部27の周縁から突設された掛止フック48で構成してある美容機器(実施形態6)。
【0074】
装填口23に臨む保護キャップ2の周壁に、内外方向へ弾性変形可能な弾性腕31が設けられており、
本体部1を保護キャップ2に装填した状態において、互いに係合して保護キャップ2の分離を規制するロック構造が本体部1と弾性腕31との間に設けられており、
第1巻装部27と第2巻装部28に巻込んだ電源コード20の一部が弾性腕31の外面と対向して、弾性腕31の外向きの弾性変形を規制している美容機器(実施形態7)。
【0075】
電源コード20が弾性腕31の外面に接当して弾性腕31の外向きの弾性変形を規制している美容機器(実施形態8)。
【0076】
弾性腕31の外面に複数の受止めリブ40が突設されており、
電源コード20が受止めリブ40に接当して弾性腕31の外向きの弾性変形を規制している美容機器(実施形態9)。
【0077】
保護キャップ2の周面に、本体部1を保護キャップ2の周面から浮き離れた状態で支持する複数の受止めリブ38・39・40が形成してある記載の美容機器(実施形態10)。
【0078】
保護キャップ2と本体部1との間に、保護キャップ2に載置した本体部1のずれ動きを防ぐずれ防止構造が設けられており、
ずれ防止構造が、本体部1に設けたずれ止め突起43・44と、保護キャップ2の周面に設けた凹み部分とで構成してある美容機器(実施形態11)。
【0079】
弾性腕31の遊端の外面に載置部25を構成する接脚体32が設けられており、
接脚体32は、ベース部72と、ベース部72の外面に突設される接脚リブ73とで構成されており、
本体部1を受止部26で支持する状態において、弾性腕31が弾性変形してクッション機能を発揮できる美容機器(実施形態12)。
【0080】
以上のように構成した実施形態1〜12の美容機器は、それぞれ以下の作用効果を発揮できる。
実施形態1の美容機器によれば、本体部1から導出された電源コード20をコード巻装構造に巻込むことができるので、本体部1と保護キャップ2と電源コード20の三者をコンパクトにまとめた状態で収納し、あるいは取り扱うことができる。また、保護キャップ2が本体部1から分離するのを、コード巻装構造に巻込んだ電源コード20で規制できるので、保護キャップ2を紛失することがなく、全体として本体部1に付随する電源コード20を、保護キャップ2を利用して整然と巻込み収納できる美容機器が得られる。
【0081】
保護キャップ2の一端に設けた第1巻装部27と、保護キャップ2の他端に設けた第2巻装部28とでコード巻装構造を構成する実施形態2の美容機器によれば、保護キャップ2の長手方向に沿って電源コード20を巻込み収納できる。したがって、コード巻装構造に巻付けるときの、電源コード20の巻付け回数を少なくして、電源コード20を収納する手間を省くことができるうえ、電源コード20の巻姿が肥大化するのを避けてコンパクトにできる。
【0082】
第1巻装部27の凹み縁に沿ってリブ枠47で区分される放熱開口24を形成する実施形態3の美容機器によれば、電源コード20を第1巻装部27に巻付けるとき、リブ枠47および隣接するリブ枠47間の隙間が電源コード20の滑止めとして機能する。したがって、第1巻装部27に対する電源コード20の巻付け作業を、確実かつ円滑に行える。また、使用直後の本体部1を保護キャップ2に装填した状態において、加熱部17から保護キャップ2の内部へ放出された熱を、放熱開口24から効果的に放出できる。したがって、加熱部17の熱が保護キャップ2の内部に籠るのを解消して、使用直後の美容機器の取扱いを安全に行える。
【0083】
一対の巻装凹部49と規制壁50で第2巻装部28を構成し、規制壁50の突端を保護キャップ2の装填口23より突出する実施形態4の美容機器によれば、第2巻装部28に巻付けた電源コード20が、同巻装部28から分離するのを規制壁50で規制できる。また、装填口23より外方へ突出する規制壁50をガイドにして、電源コード20を第2巻装部28に巻付けることができるので、電源コード20の保護キャップ2に対する巻付け作業を簡便に行うことができる。
【0084】
実施形態5の美容機器においては、第1巻装部27の近傍にプラグ保持構造を設けるので、電源コード20をコード巻装構造に巻付けたのち、差込プラグ21をプラグ保持構造に装着することにより、電源コード20が解離するのを防止できる。したがって、電源コード20をコード巻装構造に巻付けたコンパクトな状態のままで美容機器を収納し保管できる。
【0085】
プラグ保持構造を掛止フック48で構成する実施形態6の美容機器によれば、コード巻装構造から食み出た電源コード20の長さが大小に異なる場合であっても、電源コード20を掛止フック48に支障なく装着して、電源コード20の解離を確実に防止できる。さらに、ユーザーの好みや必要に応じて、電源コード20の任意の位置を掛止フック48に装着できる。
【0086】
保護キャップ2の分離を規制するロック構造を本体部1と保護キャップ2との間に設ける実施形態7の美容機器によれば、保護キャップ2が本体部1から分離するのをロック構造で規制できる。したがって、収納時や美容機器の取り扱い時に、保護キャップ2が脱落して加熱部17や髪処理部15が露出するのを防止でき、加熱部17および髪処理部15の保護を適確に行なえる。また、第1巻装部27と第2巻装部28に巻込んだ電源コード20の一部を弾性腕31の外面と対向させると、弾性腕31が外向きに弾性変形するのを電源コード20で規制できる。したがって、電源コード20をコード巻装構造から取り外さない限りは、ずれ止め突起44と弾性腕31との係合状態を維持し続けて、保護キャップ2が本体部1から脱落するのを防止できる。
【0087】
実施形態8の美容機器においては、コード巻装構造に巻付けた電源コード20を弾性腕31の外面に接当させて、弾性腕31の外向きの弾性変形を規制できる。したがって、電源コード20がコード巻装構造に緩めに巻付けられているような場合であっても、弾性腕31が外向きに弾性変形するのを確実に防止して、ロック構造が外力を受けてロック解除状態に切換わるのを防止できる。
【0088】
さらに、弾性腕31の外面に複数の受止めリブ40を突設する実施形態9の美容機器によれば、コード巻装構造に巻付けた電源コード20で受止めリブ40を押えて、弾性腕31の外向きの弾性変形を規制できる。このように、電源コード20を受止めリブ40で受止めるようにすると、電源コード20を保護キャップ2の周面から浮き離れた状態で巻装できる。したがって、使用直後の本体部1を保護キャップ2に装填した状態において、加熱部17の熱が保護キャップ2の周囲壁を介して電源コード20に伝導されるのを防止して、電源コード20の劣化を解消できる。
【0089】
保護キャップ2の周面に複数の受止めリブ38・39・40を形成する実施形態10の美容機器によれば、各リブ38・39・40で本体部1を受止めることにより、本体部1を保護キャップ2の周面から浮き離れた状態で支持して、両者1・2の接触面積を小さくできる。したがって、本体部1に設けた加熱部17の熱が保護キャップ2の側へ伝導するのを抑制でき、たとえ本体部1が長時間にわたって放置されるような場合であっても、保護キャップ2が高温になるのを解消できる。周面に形成した複数の受止めリブ38・39・40で保護キャップ2の構造強度を向上し堅牢度を向上できる利点もある。
【0090】
本体部1に設けたずれ止め突起43・44と、保護キャップ2の周面に設けた凹み部分とでずれ防止構造を構成する実施形態11の美容機器によれば、保護キャップ2に載置した状態の本体部1に誤って接触した場合などに、本体部1が保護キャップ2の周面に沿ってずれ動くのを防止して、本体部1を安定した状態で支持できる。また、ずれ止め突起43・44と凹み部分とが係合しあって本体部1のずれ動きを規制するので、本体部1が外力を受けて載置位置からずれ落ちるのを確実に防止できる。したがって、保護キャップ2からずれ落ちた本体部1の加熱部17が使用者の肌に接触して火傷を負ったり、可燃物が加熱部17の熱を受けて過熱状態に陥って焼け焦げ、あるいは耐熱性に劣るプラスチック成形品が熱変形するなどの、加熱部17に由来する事故を良く防止できる。
【0091】
弾性腕31の遊端にベース部72と接脚リブ73とからなる接脚体32を設け、この接脚体32で載置部25を構成する実施形態12の美容機器によれば、弾性腕31が弾性変形することでクッション機能を発揮できる。たとえば、本体部1を保護キャップ2に載置するとき、誤って本体部1を保護キャップ2に対して衝撃を伴う状態で載置してしまうことがあるが、こうした場合に、弾性腕31が弾性変形して本体部1の衝突衝撃を吸収できる。したがって、本体部1が衝撃を伴う状態で載置されるような場合であっても、本体部1あるいは保護キャップ2の表面が傷ついたり、保護キャップ2の一部が破損するのを防止できる。また、接脚リブ73の突出寸法分だけ保護キャップ2を載置面Tから浮き離れた状態で支持して、両者2・Tの接触面積を小さくできる。したがって、保護キャップ2の熱が載置面Tの側へ伝導するのを抑制して、載置面Tが過熱状態に陥る危険性をさらに低減できる。
【0092】
上記の実施例では美容機器の適用例として、ストレートアイロンとロールアイロンを例示したが、本発明は髪処理部15の構造や機能とは無関係に、髪処理部15に加熱部17を備えている美容機器の全てに適用できる。
【0093】
図1から図10で説明した保護キャップ2においては、その前後面の左隅に沿って第2受止めリブ39を形成したがその必要はなく、例えば、保護キャップ2の前後面の左右中央に第2受止めリブ39を配置することができる。弾性腕31および接脚体32は、少なくとも載置面Tで支持される側のキャップ周面の1個所に設けてあれば足りる。ずれ止め突起43・44は軸状に形成できる。
【符号の説明】
【0094】
1 本体部
2 保護キャップ
17 加熱部
23 装填口
25 載置部
26 受止部
27 第1巻装部
28 第2巻装部
31 弾性腕
32 接脚体
35 係合凹部
38 受止めリブ(第1受止めリブ)
39 受止めリブ(第2受止めリブ)
40 受止めリブ(第3受止めリブ)
43 ずれ止め突起
44 ずれ止め突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20