(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例1に係るカーボンナノチューブ構造体の製造方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例1に係るカーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【
図3】
図2中のカーボンナノチューブフィルムのカーボンナノチューブセグメントの構造を示す図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る相互に交差した複数のカーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【
図5】本発明の実施例1に係る非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤである。
【
図6】発明の実施例1に係るねじれ状カーボンナノチューブワイヤである。
【
図7】本発明の実施例1に係るカーボンナノチューブが異なる方向に配列されたカーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【
図8】本発明の実施例1に係るカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されたカーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【
図9】本発明の実施例1に係る綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
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図10】本発明の実施例1に係るカーボンナノチューブ構造体の構造を示す図である。
【
図11】本発明の実施例1に係る湾曲したカーボンナノチューブ構造体の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図12】本発明の実施例1に係るカーボンナノチューブ構造体の側面の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図13】本発明の実施例1に係るカーボンナノチューブ構造体の上面の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図14】本発明の実施例1に係るカーボンナノチューブ構造体の上面の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図15】本発明の実施例1に係るカーボンナノチューブ構造体の底面の走査型電子顕微鏡写真である。
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図16】本発明の実施例1に係るカーボンナノチューブ構造体の底面の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図17】本発明の実施例2に係るカーボンナノチューブ構造体の製造方法のフローチャートである。
【
図18】本発明の実施例2に係るカーボンナノチューブ構造体の構造を示す図である。
【
図19】本発明の実施例2に係るカーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブ層の懸架の一部の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図20】本発明の実施例3に係るカーボンナノチューブ構造体の製造方法のフローチャートである。
【
図21】本発明の実施例4に係るカーボンナノチューブ構造体の製造方法のフローチャートである。
【
図22】本発明の実施例5に係る電界放出表示装置の構造を示す図である。
【
図23】本発明の実施例5に係る電界放出表示装置の写真である。
【
図24】本発明の実施例5に係る電界放出表示装置の試験結果である。
【
図25】本発明の実施例5に係る電界放出表示装置の試験結果である。
【
図26】本発明の実施例5に係る電界放出表示装置の試験結果である。
【
図27】本発明の実施例5に係る電界放出表示装置の試験結果である。
【
図28】本発明の実施例6に係る電界放出表示装置の構造を示す図である。
【
図29】本発明の実施例7に係る電界放出表示装置の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明のカーボンナノチューブ構造体の製造方法について説明する。
【0015】
(実施例1)
図1を参照すると、本実施例のカーボンナノチューブ構造体の製造方法は、成長面105を有する基板101を提供するステップS11と、複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ層102を成長面105に設置し、カーボンナノチューブ層102を通じて成長面105の一部を露出させるステップS12と、触媒を堆積して、カーボンナノチューブ層102の表面に第一触媒104を形成し、成長面105に第二触媒106を形成するステップS13と、CNT成長工程でカーボンナノチューブを成長し、該CNT成長工程で成長面105にカーボンナノチューブアレイ110を成長し、カーボンナノチューブ層102の表面に複数のカーボンナノチューブクラスター108を成長するステップS14と、を含む。
【0016】
ステップS11において、基板101は、滑らかで、且つ平坦である。成長面105は、平面または曲面であることができる。成長面105は、機械研磨方法又は電気化学研磨方法によって研磨処理する。成長面105の平滑度は300nmである。これにより、触媒層を、直接的に基板101に均一に形成することができる。基板101の材料は、シリコン、二酸化ケイ素、石英、サファイア又はセラミックである。基板101のサイズ、形状及び厚さは、実際の応用に応じて選択することができる。本実施例において、基板101は、4インチのシリコンウエハである。
【0017】
ステップS12において、カーボンナノチューブ層102は、成長面105に設置される。カーボンナノチューブ層102は、マクロの層状構造体であり、且つ自立構造を有するものである。ここで、自立構造を有するとは、支持体材を利用せず、カーボンナノチューブ層102を独立して利用することができるという形態である。即ち、カーボンナノチューブ層102を対向する両側から支持して、カーボンナノチューブ層102の構造を変化させずに、カーボンナノチューブ層102を懸架させることができることを意味する。
【0018】
カーボンナノチューブ層102は、複数のカーボンナノチューブからなり、好ましくは複数のカーボンナノチューブのみからなる。複数のカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。複数のカーボンナノチューブの長さ及び直径は、実際の応用に応じて選択することができる。カーボンナノチューブ層102の厚さは、1nm〜100μmである。例えば、カーボンナノチューブ層102の厚さは、10nm、100nm、200nm、1μm、10μmまたは50μmであることができる。また、カーボンナノチューブ層102は、複数の間隙を有する。複数の間隙は、カーボンナノチューブ層102の厚さ方向に沿って、カーボンナノチューブ層102に並列する。これによって、カーボンナノチューブ層102が成長面105に設置された後、成長面105の一部は、複数の間隙を通じて露出される。前記カーボンナノチューブ層102は、大きな比表面積(例えば、100m
2/g以上)を有する。該カーボンナノチューブ層102の単位面積当たりの熱容量は、0(0は含まず)〜2×10−4J/cm2・Kであるが、好ましくは、0(0は含まず)〜1.7×10−6J/cm2・Kであり、本実施例では、1.7×10−6J/cm2・Kである。
【0019】
カーボンナノチューブ層102における間隙は、隣接するカーボンナノチューブが、相互に交差して形成された孔であり、又は、カーボンナノチューブの長軸方向に沿って延伸し、相互に平行し、隣接する二つのカーボンナノチューブ間のギャップである。該孔及び該ギャップは、同時にカーボンナノチューブ層102に形成されることもできる。各々の間隙のサイズは、2nm〜100μmである。(ここで、間隙のサイズとは、孔の直径またはギャップの幅である。)例えば、間隙のサイズは、10nm、50nm、100nm、500nm、1μm、5μm、10μmまたは50μmであることができる。複数の間隙が存在することにより、触媒を堆積するステップS13において、一部の触媒は、カーボンナノチューブ層102の表面に堆積されて第一触媒104を形成し、他の触媒は、複数の間隙を通じて成長面105に堆積されて第二触媒106を形成する。間隙のサイズが100μm以下である場合、カーボンナノチューブアレイ110を形成することができ、且つカーボンナノチューブアレイ110は、カーボンナノチューブ層102を突き上げて、カーボンナノチューブ層102を成長面105から離れさせる。逆に、間隙のサイズが極めて大きい場合、カーボンナノチューブアレイ110は、間隙を貫通して、カーボンナノチューブ層102を突き上げない。本実施例において、間隙のサイズは、50nm〜100nmである。成長面105に十分な第二触媒106を堆積するために、カーボンナノチューブ層102のデューティ比は、95:5〜5:95であり得る。例えば、9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8、または1:9である。本実施例において、カーボンナノチューブ層102のデューティ比は、1:4〜4:1である。ここで、デューティ比とは、ステップS12において、カーボンナノチューブ層102を成長面105に設置した後、成長面105の、カーボンナノチューブ層102で被覆された面積と、成長面105の露出された面積との比を指す。
【0020】
カーボンナノチューブ層102に、複数のカーボンナノチューブが配向して、又は配向せずに配置されている。複数のカーボンナノチューブの配列方式により、カーボンナノチューブ層102は、非配向型のカーボンナノチューブ層及び配向型のカーボンナノチューブ層の二種類に分類される。本実施例における非配向型のカーボンナノチューブ層は、カーボンナノチューブが異なる方向に沿って配置されるか又は絡み合っている。配向型のカーボンナノチューブ層は、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列している。または、配向型のカーボンナノチューブ層において、配向型のカーボンナノチューブ層が二つ以上の領域に分割される場合、各領域における複数のカーボンナノチューブは、同じ方向に沿って配列されている。この場合、異なる領域におけるカーボンナノチューブの配列方向は異なる。
【0021】
カーボンナノチューブ層102としては、以下の(一)〜(四)のものが挙げられる。
【0022】
(一)ドローン構造カーボンナノチューブフィルム
カーボンナノチューブ層102は、
図2に示すように、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムはドローン構造カーボンナノチューブフィルム(drawn carbon nanotube film)であり、超配列カーボンナノチューブアレイから引き出して得られたものである。単一のカーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って、端と端とが接続されている。即ち、単一のカーボンナノチューブフィルムは、分子間力で長軸方向端部同士が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。
図2及び
図3を参照すると、単一のカーボンナノチューブフィルムは、複数のカーボンナノチューブセグメント143を含む。複数のカーボンナノチューブセグメント143は、長軸方向に沿って分子間力で端と端とが接続されている。各カーボンナノチューブセグメント143は、相互に平行に、且つ分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブ145を含む。カーボンナノチューブセグメント143は、任意の長さ、厚さ、均一性及び形状を有する。ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの厚さは、0.5nm〜100μmであり、その幅は、超配列カーボンナノチューブアレイのサイズに対応する。ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは、優れた光透過性を有する。単一のドローン構造カーボンナノチューブフィルムの光透過率は、90%以上に達する。ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、特許文献1に掲載されている。
【0023】
図4を参照すると、カーボンナノチューブ層102は、積層された複数のカーボンナノチューブフィルムを含むことができる。この場合、隣接するカーボンナノチューブフィルムは、分子間力で結合されている。隣接するカーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、それぞれ0°〜90°の角度で交差している。隣接するカーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが0°を超える角度で交差する場合、カーボンナノチューブ構造体に複数の微孔が形成される。微孔の直径は、10μm以下である。本実施例において、カーボンナノチューブ層102におけるドローン構造カーボンナノチューブフィルムの数量は、16枚以下であることが好ましい。これによって、ステップS13において、十分な第二触媒106を成長面105に堆積させた後、炭素原料ガスを成長面105に拡散させることで、カーボンナノチューブアレイ110を成長面105に成長させることができる。
【0024】
(二)カーボンナノチューブワイヤ
カーボンナノチューブ層102が一本のカーボンナノチューブワイヤからなる場合、該カーボンナノチューブワイヤを曲げて、一定の面積を有する平面形状のカーボンナノチューブ層102(図示せず)を形成することができる。カーボンナノチューブ層102が数本のカーボンナノチューブワイヤからなる場合、該数本のカーボンナノチューブワイヤは、相互に平行して配列される。または、数本のカーボンナノチューブワイヤは、相互に交叉して網状のカーボンナノチューブ構造体(図示せず)を形成する。カーボンナノチューブ層102におけるカーボンナノチューブワイヤは、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ又はそれらの組み合わせのいずれか一種からなることができる。
【0025】
図5を参照すると、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。カーボンナノチューブセグメントは、同じ長さ及び幅を有する。さらに、各カーボンナノチューブセグメントに、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。複数のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブワイヤの中心軸に平行に配列されている。カーボンナノチューブセグメントの長さ、厚さ、均一性及び形状は制限されない。一本の非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの長さも制限されず、その直径は、0.5nm〜100μmである。
【0026】
図6を参照すると、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの長手方向に沿って、対向する両端に相反する力を印加することにより、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成することができる。ここで、複数のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブワイヤの中心軸を軸に、螺旋状に配列されている。好ましくは、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。さらに、各カーボンナノチューブセグメントに、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。カーボンナノチューブセグメントの長さ、厚さ、均一性及び形状は制限されない。一本のねじれ状カーボンナノチューブワイヤの長さは制限されず、その直径は、0.5nm〜100μmである。カーボンナノチューブワイヤの製造方法は、特許文献3及び特許文献4に掲載されている。
【0027】
更に、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを有機溶剤に浸漬させることにより、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの強靭性及び機械強度を高めることができる。ねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、自立構造を有するドローン構造カーボンナノチューブフィルムから得られるので、該ねじれ状カーボンナノチューブワイヤも自立構造を有する。ねじれ状カーボンナノチューブワイヤにおいて、隣接するカーボンナノチューブ22は、間隙を有するので、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、複数の微孔を有する。複数の微孔のサイズは、10μm以下である。
【0028】
(三)プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム
カーボンナノチューブ層102は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは、プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム(pressed carbon nanotube film)である。単一のカーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは、等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。カーボンナノチューブフィルムは、押し器具を利用することにより、所定の圧力をかけてカーボンナノチューブアレイを押し、該カーボンナノチューブアレイを圧力で倒すことにより形成された、シート状の自立構造を有するものである。カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの配列方向は、押し器具の形状及びカーボンナノチューブアレイを押す方向により決められている。
【0029】
図7を参照すると、単一のカーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、配向せずに配置されている。該カーボンナノチューブフィルムは、等方的に配列されている複数のカーボンナノチューブを含む。隣接するカーボンナノチューブは、分子間力で相互に引き合い、接続する。該カーボンナノチューブフィルムは平面等方性を有する。該カーボンナノチューブフィルムは、平面を有する押し器具を利用して、カーボンナノチューブアレイが成長された基板に垂直な方向に沿ってカーボンナノチューブアレイを押すことにより形成される。
【0030】
図8を参照すると、単一のカーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは配向して配列されている。該カーボンナノチューブフィルムは、同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブを含む。ローラー形状を有する押し器具を利用して、同じ方向に沿ってカーボンナノチューブアレイを同時に押した場合、基本的に同じ方向に配列されたカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。また、ローラー形状を有する押し器具を利用して、異なる方向に沿って、カーボンナノチューブアレイを同時に押した場合、異なる方向に沿って、選択的な方向に配列されたカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。
【0031】
カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの傾斜の程度は、カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブと該カーボンナノチューブフィルムとの表面は、角度αを成し、該角度αは、0°以上15°以下であるが、好ましくは、カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、該カーボンナノチューブフィルムの表面に平行する。圧力が大きくなるほど、傾斜の程度も大きくなる。カーボンナノチューブフィルムの厚さは、カーボンナノチューブアレイの高さ及び該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。即ち、カーボンナノチューブアレイの高さが高くなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が小さくなるほど、カーボンナノチューブフィルムの厚さも厚くなる。これとは逆に、カーボンナノチューブアレイの高さが低くなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が大きくなるほど、カーボンナノチューブフィルムの厚さは薄くなる。
【0032】
(四)綿毛構造カーボンナノチューブフィルム
カーボンナノチューブ層102は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは綿毛構造カーボンナノチューブフィルム(flocculated carbon nanotube film)である。
図9を参照すると、単一のカーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブは、絡み合い、等方的に配列されている。カーボンナノチューブ層102において、複数のカーボンナノチューブは均一に分布されている。複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されている。単一のカーボンナノチューブの長さは、100nm以上であり、100nm〜10cmであることが好ましい。カーボンナノチューブ構造体は、自立構造の薄膜の形状に形成されている。ここで、自立構造とは、支持体材を利用せず、カーボンナノチューブ構造体を独立して利用することができるという形態である。複数のカーボンナノチューブは、分子間力で接近して、相互に絡み合って、カーボンナノチューブネット状に形成されている。複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されて、多くの微小な穴が形成されている。ここで、単一の微小な穴の直径は10μm以下になる。カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブは、相互に絡み合って配置されるので、該カーボンナノチューブ構造体は柔軟性に優れ、任意の形状に湾曲して形成させることができる。用途に応じて、カーボンナノチューブ構造体の長さ及び幅を調整することができる。カーボンナノチューブ構造体の厚さは、0.5nm〜1mmである。
【0033】
ステップS13において、電子ビーム蒸着法、マグネトロンスパッタリング法、プラズマ蒸着法、電着法または化学気相成長法によって触媒を堆積する。カーボンナノチューブ層102は、複数の間隙を有するので、触媒の一部は、カーボンナノチューブ層の表面に堆積されて第一触媒104を形成し、触媒の他の一部は、複数の間隙を透過して成長面105に堆積されて第二触媒106を形成する。
【0034】
触媒は、遷移元素からなり、例えば、Fe、Co、Ni、Pt及びはPdの中の一種または多種である。触媒の沈着率は、0.5nm以下である。触媒の厚さは、1nm〜30nmである。本実施例において、触媒は層状に形成される。該触媒層の厚さは、5nm〜10nmである。さらに、触媒層が形成された基板101を真空中でアニーリングすることで、触媒層は、複数の触媒粒子になる。
【0035】
さらに、第一触媒104及び第二触媒106は、パターン化された触媒層であることもできる。即ち、第一触媒104は、カーボンナノチューブ層102の一部のみに堆積され、第二触媒106は、成長面105の一部のみに堆積される。例えば、触媒を堆積させる場合、パターン化されたマスクによってカーボンナノチューブ層102の一部を遮蔽することによって、パターン化された第一触媒104及び第二触媒106が形成される。従って、パターン化されたカーボンナノチューブアレイ110及びカーボンナノチューブクラスター108が形成される。
【0036】
ステップS14において、化学気相成長法によってカーボンナノチューブを成長させる。本実施例において、ステップS14は、一つの表面にカーボンナノチューブ層102が設置された基板101を反応室に配置するサブステップS141と、炭素源ガス及び不活性ガスを反応室に導入するサブステップS142と、基板101を300℃〜1200℃に加熱するサブステップS143と、を含む。
【0037】
サブステップS141において、反応室は、石英管状炉に設置された石英管である。さらに、サブステップS142の前に、反応室を真空排気する。
【0038】
サブステップS142において、不活性ガスを反応室に導入し、所定時間が経過した後、該反応室に炭素源ガス及びキャリヤガスを導入する。不活性ガスは、窒素ガス、アルゴンガスまたは他の不活性ガスである。炭素源ガスは、メタン、エタン、アセチレンまたはエチレンである。キャリヤガスは、水素ガスである。
【0039】
本実施例において、不活性ガスは、アルゴンガスであり、炭素源ガスは、アセチレンである。アルゴンガスの流量は、30sccm〜200sccmであり、水素ガスの流量は、30sccm〜300sccmである。反応室の圧力は、2トル〜760トルである。炭素源ガスの流量と水素ガスとの流量の比は、0.1%〜10%である。反応気体において、炭素源ガスの含量によって、無定形炭素の堆積速度が決定される。即ち、炭素源ガスとキャリヤガスとのモル比が小さいほど、無定形炭素の堆積速度は遅くなる。本実施例において、炭素源ガスの流量と水素ガスとの流量の比は、0.5%以下である。これにより、無定形炭素の堆積速度は遅くなり、きれいな表面を有する複数のカーボンナノチューブが成長される。成長された複数のカーボンナノチューブは、強い分子間力で結合されている。
【0040】
サブステップS143において、加熱温度は、500℃〜700℃であることが好ましい。炭素源ガス及び不活性ガスを5分間〜60分間反応室に導入することで、カーボンナノチューブアレイ110及びカーボンナノチューブクラスター108が同時に成長する。カーボンナノチューブアレイ110は、第二触媒106を介して成長し、カーボンナノチューブクラスター108は、第一触媒104を介して成長する。
【0041】
具体的には、カーボンナノチューブアレイ110において、複数のカーボンナノチューブは、基板101の成長面に垂直に成長する。カーボンナノチューブアレイ110は、カーボンナノチューブ層102を、成長面105から離れる方向に突き上げる。これにより、カーボンナノチューブ層102は、カーボンナノチューブアレイ110の一つの表面に配置される。カーボンナノチューブアレイ110における複数のカーボンナノチューブは、相互に平行している。複数のカーボンナノチューブの高さは、200μm〜900μmである。該複数のカーボンナノチューブの、成長面105に隣接する端部は、一つの平面に形成される。該複数のカーボンナノチューブの、カーボンナノチューブ層102に隣接する端部は、カーボンナノチューブ層102におけるカーボンナノチューブと絡み合っている。
【0042】
カーボンナノチューブクラスター108には、複数のカーボンナノチューブが無秩序に配列されている。カーボンナノチューブクラスター108は、クラスターグラスのような構造体である。本明細書において、カーボンナノチューブクラスター108は、直接カーボンナノチューブ層102の表面に成長した、クラスターグラスのようなカーボンナノチューブ構造体である。カーボンナノチューブ構造体において、複数のカーボンナノチューブが相互に絡み合っている。カーボンナノチューブクラスター108において、複数のカーボンナノチューブの長さ及び延伸方向は、不同であることができる。本実施例において、カーボンナノチューブ構造体における複数のカーボンナノチューブの長さは、10μm〜900μmである。カーボンナノチューブクラスター108における複数のカーボンナノチューブと、カーボンナノチューブ層102の複数のカーボンナノチューブと、カーボンナノチューブアレイ110におけるカーボンナノチューブの一部とは相互に絡み合っている。これによって、カーボンナノチューブクラスター108、カーボンナノチューブ層102、及びカーボンナノチューブアレイ110は、自立構造体を形成する。これにより、カーボンナノチューブアレイ110は、カーボンナノチューブ層102に強固に固定される。
【0043】
さらに、本実施例において、ステップS14の後、カーボンナノチューブ構造体を除去するステップS15を含むこともできる。ステップS15において、カーボンナノチューブクラスター108、カーボンナノチューブ層102及びカーボンナノチューブアレイ110は、自立構造体を形成するので、カーボンナノチューブクラスター108、カーボンナノチューブ層102及びカーボンナノチューブアレイ110を、基板101から一体として剥離することができる。本実施例において、カーボンナノチューブ層102を剥離することによって、カーボンナノチューブクラスター108及びカーボンナノチューブアレイ110は、容易に剥離される。
【0044】
図10を参照すると、本実施例において、
図1の製造方法によって形成されたカーボンナノチューブ構造体100は、カーボンナノチューブクラスター108、カーボンナノチューブ層102及びカーボンナノチューブアレイ110を含む。
【0045】
カーボンナノチューブアレイ110は、第一表面111及び該第一表面111に対向する第二表面113を有する。カーボンナノチューブアレイ110は、複数の第一カーボンナノチューブ115からなる。複数の第一カーボンナノチューブ115は、相互に平行に配列されている。複数の第一カーボンナノチューブ115は、第一表面111から第二表面113へ延伸している。カーボンナノチューブ層102は、第一表面111に設置される。カーボンナノチューブ層102は、複数の第二カーボンナノチューブ103を含む。複数の第二カーボンナノチューブ103は、分子間力で結合され、自立構造体を形成する。カーボンナノチューブクラスター108は、第三カーボンナノチューブ107からなり、カーボンナノチューブ層102の表面に設置される。前記第三カーボンナノチューブ107と、前記複数の第二カーボンナノチューブ103と、前記複数の第一カーボンナノチューブ115の、前記カーボンナノチューブ層102に隣接する端部の一部とは、相互に絡み合っている。これによって、カーボンナノチューブクラスター108、カーボンナノチューブ層102及びカーボンナノチューブアレイ110は、自立構造体を形成する。本実施例において、第三カーボンナノチューブ107、複数の第二カーボンナノチューブ103及び複数の第一カーボンナノチューブ115は、相互に絡み合っている。単一の第三カーボンナノチューブ107は、少なくとも第一部(図示せず)及び第二部(図示せず)を有する。第一部が複数の第二カーボンナノチューブ103の表面に絡み合い、第二部が複数の第一カーボンナノチューブ115の、カーボンナノチューブ層102に隣接する端部の一部に相互に絡み合っている。
【0046】
図4を参照すると、本実施例において、カーボンナノチューブ層102は、二枚の積層されたドローン構造カーボンナノチューブフィルムを含む。単一のドローン構造カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数の第二カーボンナノチューブが長手方向に沿って、分子間力で端と端とが接続されている。二枚の積層されたカーボンナノチューブフィルムは、分子間力で結合されている。二枚の積層されたカーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、90°の角度で交差している。
【0047】
本実施例において、走査型電子顕微鏡(SEM)によってカーボンナノチューブ構造体100を観察する。ここで、カーボンナノチューブ構造体100の、カーボンナノチューブ層102に隣接する側を底部と定義する。また、カーボンナノチューブ構造体100の、カーボンナノチューブ層102から離れる側を頂部と定義する。
図11〜
図16は、カーボンナノチューブ構造体100のSEM写真である。
図11に示すように、カーボンナノチューブ構造体100は、自立構造体である。カーボンナノチューブ構造体100は、柔軟であり、アーク形又は他の任意の形状に湾曲することができる。
図12を参照すると、カーボンナノチューブアレイ110は、カーボンナノチューブ層102の表面に設置されている。カーボンナノチューブアレイ110における第一カーボンナノチューブ115の端部は、カーボンナノチューブ層102に隣接する。
図13は、カーボンナノチューブアレイ110における第一カーボンナノチューブ115の端部を示している。
図14に示すように、カーボンナノチューブアレイ110における第一カーボンナノチューブ115は、相互に平行して配列される。
図15を参照すると、第一カーボンナノチューブ115の延伸方向は、カーボンナノチューブフィルム102における第二カーボンナノチューブ103の延伸方向に垂直である。
図16を参照すると、カーボンナノチューブクラスター108における複数の第三カーボンナノチューブ107が相互に絡み合っている。
【0048】
(実施例2)
図17を参照すると、本実施例のカーボンナノチューブ構造体200の製造方法は、複数の孔203を有する成長面205を有する基板201を提供するステップS21と、複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ層202を成長面205上に設置し、カーボンナノチューブ層202を通じて成長面205の一部を露出させるステップS22と、カーボンナノチューブ層202の表面に第一触媒204を堆積し、成長面205に第二触媒206を堆積するステップS23と、成長面205にカーボンナノチューブアレイ210を成長し、カーボンナノチューブ層202の表面に複数のカーボンナノチューブクラスター208を成長させてカーボンナノチューブ構造体200を形成するステップS24と、基板からカーボンナノチューブ構造体200を剥離するステップS25と、を含む。
【0049】
本実施例のカーボンナノチューブ構造体200の製造方法は、実施例1のカーボンナノチューブ構造体100の製造方法に比べて、次の異なる点がある。本実施例の基板201の成長面205には、複数の開孔203を有し、該複数の孔203は、基板201を貫通する貫通孔または止まり穴であることができる。複数の開孔203の形状は、円形、正方形、長方形または三角形であることができる。また、複数の開孔203は、アレイに配列されることができる。ステップS25は、オプショナルステップである。即ち、カーボンナノチューブ構造体200の製造方法において、ステップS25を含まなくてもよい。
【0050】
複数の孔203が、基板201を貫通する貫通孔である場合、該複数の孔203に対応する成長面205の領域には触媒を堆積できない。従って、カーボンナノチューブアレイ210を成長させることはできない。即ち、基板201の成長面205には、孔203がない領域のみに、カーボンナノチューブアレイ210が成長する。複数の孔203が止まり穴である場合、第二触媒206の一部は、該複数の止まり穴の底部に堆積する。これによって、複数の止まり穴の底部から成長したカーボンナノチューブアレイは、成長面205に成長したカーボンナノチューブアレイより高さが低い。従って、複数の止まり穴の底部から成長したカーボンナノチューブアレイは、カーボンナノチューブ層202に接触して固定することができない。ステップS15において、複数の止まり穴の底部から成長したカーボンナノチューブアレイは、基板201に残る。これによって、パターン化されたカーボンナノチューブアレイ210が得られる。
【0051】
図18を参照すると、本実施例のカーボンナノチューブ構造体200は、カーボンナノチューブクラスター208、カーボンナノチューブ層202及びカーボンナノチューブアレイ210を含む。実施例1のカーボンナノチューブ構造体100と比べて、本実施例のカーボンナノチューブ構造体200の異なる点は、カーボンナノチューブアレイ210がパターン化されたカーボンナノチューブアレイである。
【0052】
本実施例において、カーボンナノチューブ層202は、二枚の積層されたドローン構造カーボンナノチューブフィルムからなる。二枚の積層されたカーボンナノチューブフィルムは、分子間力で結合されている。本実施例において、走査型電子顕微鏡(SEM)によってカーボンナノチューブ構造体100におけるカーボンナノチューブ層202の、複数の孔に対する領域を観察する。二枚の積層された記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、90°の角度で交差している。
図19を参照すると、複数のクラスター状のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ層202の表面の所定の領域に絡み合っている。該領域には、カーボンナノチューブアレイ210は形成されない。
【0053】
(実施例3)
図20を参照すると、本実施例のカーボンナノチューブ構造体300の製造方法は、複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ層302と、第一触媒304とを提供し、第一触媒304を前記複数のカーボンナノチューブの表面に堆積するステップS31と、成長面305を有する基板301及び第二触媒306を提供し、第二触媒306を成長面305に堆積するステップS32と、カーボンナノチューブ層302を第二触媒306が堆積された成長面305に設置するステップS33と、成長面305にカーボンナノチューブアレイ310を成長させると同時に、カーボンナノチューブ層302の表面に複数のカーボンナノチューブクラスター308を成長させるステップS34と、カーボンナノチューブ層302、カーボンナノチューブアレイ310及びカーボンナノチューブクラスター308を基板301から剥離するステップS35と、を含む。
【0054】
本実施例のカーボンナノチューブ構造体300の製造方法は、実施例1のカーボンナノチューブ構造体100の製造方法と比べて、次の異なる点がある。本実施例において、第一触媒304をカーボンナノチューブ層302の表面に堆積するステップS31と、第二触媒306を成長面305に堆積するステップS32とは、別々に行われる。ステップS35は、オプショナルである。
【0055】
第一触媒304及び第二触媒306は、別々に堆積されるので、カーボンナノチューブ層302の厚さは、500μm以上である。カーボンナノチューブ層302の厚さが、500μm以上である場合、第一触媒304は、カーボンナノチューブ層302の、成長面305に隣接する表面に堆積することが好ましい。さらに、基板301に形成された第二触媒層306を真空中でアニーリングした後、触媒層は、複数の触媒粒子になる。ここで、アニーリング温度は、700℃〜900℃であり、アニーリング時間は、30分間〜90分間である。
【0056】
本実施例において、第一触媒304をカーボンナノチューブ層30の表面に堆積するステップを省略することができる。即ち、表面に第一触媒304が無いカーボンナノチューブ層302を直接成長面305に設置する。これによって、カーボンナノチューブ層302にカーボンナノチューブクラスター308が成長することはできない。従って、カーボンナノチューブアレイ110において、複数のカーボンナノチューブの、カーボンナノチューブ層302に隣接する端部の一部と、カーボンナノチューブ層302における複数のカーボンナノチューブとが相互に絡み合っている。
【0057】
(実施例4)
図21を参照すると、本実施例のカーボンナノチューブ構造体400は、成長面405を有する基板401を提供するステップS41と、成長面405にカーボンナノチューブアレイ410を成長させるステップS42と、複数の第一カーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ層402と、第一触媒404とを提供し、カーボンナノチューブ層402の表面に第一触媒404を堆積するステップS43と、カーボンナノチューブ層402をカーボンナノチューブアレイ410の、成長面405に隣接する表面とは反対の表面に設置するステップS44と、カーボンナノチューブ層402の表面に複数のカーボンナノチューブクラスター408を成長するステップS45と、カーボンナノチューブ層402、カーボンナノチューブアレイ410及び複数のカーボンナノチューブクラスター408を基板401から剥離するステップS46と、を含む。
【0058】
本実施例のカーボンナノチューブ構造体400の製造方法は、実施例1のカーボンナノチューブ構造体100の製造方法と比べて、次の異なる点がある。本実施例において、カーボンナノチューブアレイ410を成長させるステップと、複数のカーボンナノチューブクラスター408を成長させるステップとは別々に行われる。ステップS46は、オプショナルである。
【0059】
本実施例のカーボンナノチューブ構造体400の製造方法は、次の優れた点がある。第一に、複数のカーボンナノチューブクラスター408を成長させることによって、カーボンナノチューブアレイ410及びカーボンナノチューブ層402を強固に固定することができる。これによって、カーボンナノチューブアレイ410及びカーボンナノチューブ層402の間の電気的接触を増加できる。第二に、複数のカーボンナノチューブクラスター408を成長させることによって、カーボンナノチューブアレイ410及びカーボンナノチューブ層402を強固に固定することができるので、カーボンナノチューブクラスター408、カーボンナノチューブアレイ410及びカーボンナノチューブ層402を、一体として成長面405から剥離することができる。該カーボンナノチューブ構造体の製造方法は簡単であるため、大量生産に適する。第三に、複数のカーボンナノチューブクラスター408を成長させることによって、カーボンナノチューブアレイ410及びカーボンナノチューブ層402を強固に固定することができるので、カーボンナノチューブ構造体400が大きな電界力を受けることができ、カーボンナノチューブ構造体400を電界放出表示装置などの領域に応用することができる。
【0060】
(実施例5)
図22を参照すると、本実施例の電界放出表示装置50は、カーボンナノチューブ構造体500と、二つの電極512と、陽極電極514と、を含む。二つの電極512は、間隔をあけて設置され、カーボンナノチューブ構造体500にそれぞれ電気的に接続される。陽極電極514は、カーボンナノチューブ構造体500と間隔あけて対向するように設置される。カーボンナノチューブ構造体500は、実施例のカーボンナノチューブ構造体100、200、300、400のいずれかの一種である。カーボンナノチューブ構造体500は、カーボンナノチューブクラスター508、カーボンナノチューブ層502及びカーボンナノチューブアレイ510を含む。
【0061】
具体的には、二つの電極512は、間隔をあけて設置される。また、カーボンナノチューブ構造体500におけるカーボンナノチューブ層502は、二つの電極512の表面に設置される。二つの電極512によって、カーボンナノチューブ層502は懸架される。カーボンナノチューブアレイ510における複数のカーボンナノチューブは、陽極電極514に垂直な方向に延伸している。さらに、電場を制御するために、電界放出表示装置50は、ゲート電極(図示せず)を有する。ゲート電極は、陽極電極514及びカーボンナノチューブ構造体500の間に設置される。電極512は、金属などの導電材料からなり、その形状は制限されない。陽極電極514は、導電層であり、例えば、金属層、ITO層またはカーボンナノチューブ層である。また、該陽極電極514の厚さもは制限されない。
図23を参照すると、本実施例において、二つの電極512は、それぞれ平行に設置されたニッケル棒である。カーボンナノチューブ構造体500は、この二つのニッケル棒で懸架されている。
【0062】
電界放出表示装置50を作動する場合、圧力が10
5Pa以下の真空雰囲気中に置く。具体的には、カーボンナノチューブ構造体500を接地し、陽極電極514に正電圧を印加する。これによって、カーボンナノチューブ構造体500及び陽極電極514の間に電位差を形成する。電場力の作用下で、カーボンナノチューブアレイ510から電子を放出することができる。カーボンナノチューブクラスター508は、カーボンナノチューブ層502とカーボンナノチューブアレイ510とを強固に固定させるので、カーボンナノチューブアレイ510の複数のカーボンナノチューブは、大きい電場力を受けることができるため、該カーボンナノチューブアレイ510から抜き出されない。さらに、電界放出表示装置50を作動する場合、二つの電極512に電圧を印加することによって、電流がカーボンナノチューブ構造体500に流れる。電流は、カーボンナノチューブアレイ510における複数のカーボンナノチューブを加熱することができる。複数のカーボンナノチューブを加熱することによって、カーボンナノチューブアレイ510で吸収された気体を除去することができる。これによって、カーボンナノチューブアレイ510は、電子を安定して放出することができる。二つの電極512によって、カーボンナノチューブ層502は懸架され、且つ、カーボンナノチューブの単位面積当たりの熱容量は小さいので、電界放出表示装置50は、素速い熱反応速度を有する。
【0063】
本実施例において、熱パルス信号を利用してカーボンナノチューブ構造体500を加熱する。
図24〜
図27は、本実施例の電界放出表示装置50の試験結果の図である。電界放出表示装置50の試験の温度条件は、それぞれ室温及び1240Kである。試験において、電界放出表示装置50の長さは8mmであり、幅は2mmであり、厚さは100μmであり、電気抵抗は400Ωである。
図24を参照すると、室温または1240Kにおいて電界放出表示装置50を400Vの電圧に印加すると電流が流れる。1240Kの温度下において、電流は平滑な曲線であり、電流は安定であることは明確である。
図25を参照すると、熱パルス信号によって電界放出表示装置50を84ミリ秒加熱すると、該電界放出表示装置50の温度は1193℃に達する。しかしながら、電界放出表示装置50に熱パルス信号を提供しない場合、42ミリ秒後には、該電界放出表示装置50は1193℃から室温まで冷却される。試験において、加熱電圧は30.8Vであり、加熱温度は1193℃であり、熱パルス幅tと熱パルスの周期Tとの比は、5%、10%、30%、50%、70%及び90%である。
図26及び
図27を参照すると、パルス電流で電界放出表示装置50を加熱する時、熱パルス幅tと熱パルスの周期Tとの比は、10%で、且つパワーが0.3Wである場合、電界放出表示装置50は、吸着気体を含まず、安定な電子を放出することができる。
【0064】
(実施例6)
図28を参照すると、電界放出表示装置60は、絶縁基板616と、カーボンナノチューブ構造体600と、二つの電極612と、陽極電極614と、を含む。カーボンナノチューブ構造体600は、絶縁基板616の表面に設置される。二つの電極512は、間隔をあけて設置され、それぞれカーボンナノチューブ構造体600に電気的に接続される。陽極電極614は、カーボンナノチューブ構造体600と間隔をあけて、且つ対向するように設置される。カーボンナノチューブ構造体600は、カーボンナノチューブクラスター608、カーボンナノチューブ層602及びパターン化されたカーボンナノチューブアレイ610を含む。さらに、カーボンナノチューブ構造体600は、実施例カーボンナノチューブ構造体100、200、300、400のいずれかの一種である。
【0065】
実施例5の電界放出表示装置50と比べて、本実施例の電界放出表示装置60は、次の異なる点がある。本実施例において、カーボンナノチューブ構造体600は、絶縁基板616の表面に設置され、二つの電極612は、カーボンナノチューブ構造体600の、絶縁基板616に隣接する表面とは反対の表面に設置され、カーボンナノチューブ構造体600の少なくとも一部は、二つの電極612及び絶縁基板616の間に設置される。二つの電極612によって、カーボンナノチューブ構造体600は、絶縁基板616の表面に強く固定される。
【0066】
(実施例7)
図29を参照すると、電界放出表示装置70は、円柱状の絶縁基板716と、カーボンナノチューブ構造体700と、陽極電極714と、を含む。カーボンナノチューブ構造体700は、円柱状の基板716の表面に設置される。陽極電極714と、カーボンナノチューブ構造体700とは、間隔をあけて設置される。
【0067】
実施例6の電界放出表示装置60と比べて、本実施例の電界放出表示装置70は、次の異なる点がある。本実施例において、絶縁基板716は、円柱状である。カーボンナノチューブ構造体700は、円柱状の基板716の外表面に設置される。陽極電極714は、中空の管状体であり、該中空の管状体は、カーボンナノチューブ構造体700の、円柱状の基板716に隣接する表面とは反対の表面に設置される。絶縁基板716は、円柱体、三角プリズムまたは直角プリズムであることがでる。本実施例において、絶縁基板716は、円柱体である。カーボンナノチューブ構造体700は、円柱状の基板716の外表面に設置される。陽極電極714は、石英管であり、該石英管の内表面または外表面にITO層が被覆される。カーボンナノチューブ構造体700における複数のカーボンナノチューブアレイ710は、絶縁基板716から陽極電極714への方向に延伸する。複数のカーボンナノチューブアレイ710の延伸方向は、陽極電極714に垂直である。カーボンナノチューブ構造体700は、柔軟であるので、該カーボンナノチューブ構造体700は、任意の形状で円柱状の基板716の外表面に設置される。さらに、電界放出表示装置70は、二つの電極(図示せず)を含む。二つの電極は、絶縁基板716の対向する端部に設置され、且つカーボンナノチューブ構造体700に電気的に接続される。