(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5648110
(24)【登録日】2014年11月14日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】電磁ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
F16D 65/56 20060101AFI20141211BHJP
F16D 49/16 20060101ALI20141211BHJP
F16D 65/16 20060101ALI20141211BHJP
F16D 121/16 20120101ALN20141211BHJP
F16D 121/22 20120101ALN20141211BHJP
F16D 125/40 20120101ALN20141211BHJP
F16D 125/60 20120101ALN20141211BHJP
【FI】
F16D65/56 C
F16D65/56 K
F16D65/56 J
F16D49/16 A
F16D65/56 S
F16D65/16
F16D121:16
F16D121:22
F16D125:40
F16D125:60
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-199201(P2013-199201)
(22)【出願日】2013年9月26日
【審査請求日】2014年7月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592200730
【氏名又は名称】サツマ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100140361
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 幸二
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】杉山 義則
【審査官】
城臺 仁美
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭50−011896(JP,Y1)
【文献】
特開昭55−051138(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第02346828(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D49/00−71/04
F16D41/00−47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の可動リンクを付勢してブレーキを制動動作させる弾性体と、
励磁により弾性体に反して両可動リンクを回動させてブレーキを開放させる電磁石と、
ディスクの電磁石に対する接離に応じて動作してブレーキを制動動作・開放動作させる操作軸と、
電磁石−ディスク間の電磁石ストロークが一定値を超えて大きくなれば、自動的に電磁石ストロークを小さく調整するストローク調整機構とを備え、
ストローク調整機構は、操作軸の一端部に螺着したラチェットナットと、ラチェットナットに回転自在に装着されたラチェットと、操作軸の他端部とラチェットとを連結して電磁石ストロークを操作軸の動きに応じてラチェットに伝達するワイヤ部材とを備え、
ラチェットナットの外周には複数の係合歯が形成されている一方、ラチェットは凹部内に収容されて係合歯に係合可能な係合部材を備え、
周方向の所定位置に形成された係合歯のピッチを他の係合歯のピッチよりも大きく形成したことを特徴とする電磁ブレーキ装置。
【請求項2】
左右の可動リンクを付勢してブレーキを制動動作させる弾性体と、
励磁により弾性体に反して両可動リンクを回動させてブレーキを開放させる電磁石と、
ディスクの電磁石に対する接離に応じて動作してブレーキを制動動作・開放動作させる操作軸と、
電磁石−ディスク間の電磁石ストロークが一定値を超えて大きくなれば、自動的に電磁石ストロークを小さく調整するストローク調整機構とを備え、
ストローク調整機構は、操作軸の一端部に螺着したラチェットナットと、ラチェットナットに回転自在に装着されたラチェットと、操作軸の他端部とラチェットとを連結して電磁石ストロークを操作軸の動きに応じてラチェットに伝達するワイヤ部材とを備え、
ラチェットナットの外周には複数の係合歯が形成されている一方、ラチェットは中心よりオフセット配置された凹部と該凹部内に収容されて係合歯に係合可能な係合部材とを備え、
周方向の所定位置に形成された係合歯のピッチを他の係合歯のピッチよりも大きく形成したことを特徴とする電磁ブレーキ装置。
【請求項3】
周方向の所定位置に等間隔に配置された係合歯は矩形状に形成され、上辺の平坦部の長さ分だけ他の係合歯よりもピッチが大きい
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の電磁ブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンの巻上、走行、各種産業機械の停止用などに使用される電磁ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4に基づき従来の電磁ブレーキ装置を説明する。この電磁ブレーキ装置1は、電源ONでブレーキが開放し、電源OFFでブレーキが加わる無励磁作動タイプのドラム形電磁ブレーキ装置として構成されている。
【0003】
すなわち、電磁ブレーキ装置1は、連結ピン3で回動自在に連結されたリンク構造からなり、制動ばね6の反発力(スプリング力)によって連結ボルト7が矢印P方向に拘引されて可動リンク4,5が内方向に付勢され、ドラム8が各可動リンク4,5のライニング9により締め付けられて制動されている。
【0004】
一方、電磁石11を励磁するとディスク(吸着板)12が矢印Q方向に吸引される。このとき連結ボルト7が矢印Q方向に押し出されるため、各ライニング9の閉め付けが開放され、ドラム8が回転を開始する。この電磁ブレーキ装置1と同様な電磁ブレーキ装置が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−30537
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ブレーキの開放・制動を繰り返すことにより、左右のライニング9が摩耗していくため、制動時における可動リンク4,5の内方向への傾斜角度が増加し、電磁石11−ディスク12間の距離、即ち電磁石ストロークS(mm)が大きくなる。
【0007】
これにより動作音が大きくなったり、ブレーキの開放動作が遅くなるなどの症状が現れるので、電磁ストロークSを規定値に戻す作業が必要となる。この作業は、ナット13を人手で締め込んで連結ボルト7の軸部19に螺入させてストローク調整しなければならず、効率的ではない。
【0008】
そこで、人手で行っていた電磁ブレーキ装置における電磁石ストロークSの調整作業を自動化するストローク自動調整機構が提案されている。
図5に基づき概略を説明すれば、電磁石ストロークSがラチェット歯35の寸法(ピッチ)Aを越えて大きくなれば、制動時にラチェット33が矢印C方向に回転してフック39が次のラチェット歯に係合する。一方、開放動作時にラチェット33が矢印D方向に回転したときにラチェットナット33が同方向に回転し、ラチェットナット33が軸部19に螺入して電磁石ストロークSを調整している。
【0009】
ところが、電磁ブレーキ装置の制動動作・開放動作は速いため、
図5のストローク調整機構では、衝撃によってフック39に亀裂が発生しやすい。これでは部品交換の頻度が高く、コスト抑制が困難なおそれがある。
【0010】
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、電磁石ストローク自動調整機能において部品の耐久性を向上させてコストの抑制を図ることを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで本発明のストローク調整機構の一態様は、操作軸の一端部に螺着したラチェットナットと、ラチェットナットに回転自在に装着されたラチェットと、操作軸の他端部とラチェットとを連結して電磁石ストロークを操作軸の動きに応じてラチェットに伝達するワイヤ部材とを備え、ラチェットナットの外周には複数の係合歯が形成されている一方、ラチェットは中心よりオフセット配置された凹部と該凹部内に収容されて係合歯に係合可能な係合部材とを備える。
【0012】
このストローク調整機構によれば、電磁石ストロークが係合歯の寸法を超えて大きくなれば、制動動作時に操作軸が拘引されてワイヤ部材が押し出されることで係合部材が次の係合部材に係止する。一方、開放動作時に操作軸が押し出されてワイヤ部材が拘引されることでラチェットを一方向に回転させる。このラチェットの一方向の回転に応じてラチェットナットが同方向に回転し、ラチェットナットが操作軸の一端部に螺入することで操作軸を引寄せて電磁石ストロークを調整する。
【0013】
このとき係合部材がラチェットの中心よりオフセットして配置されるため、係合歯による係合部材に対する衝撃を凹部の溝壁で受け止めることができる。これにより係合部材に無理な力がかからず、その磨耗や亀裂の発生を抑えることが可能となる。
【0014】
本発明のストローク調整機構の他の態様は、操作軸の一端部に螺着したラチェットナットと、ラチェットナットに回転自在に装着されたラチェットと、操作軸の他端部とラチェットとを連結して電磁石ストロークを操作軸の動きに応じてラチェットに伝達するワイヤ部材とを備え、ラチェットナットの外周には複数の係合歯が形成されている一方、ラチェットは凹部内に収容されて係合歯に係合可能な係合部材を備え、周方向の所定位置に形成された係合歯のピッチが他の係合歯のピッチよりも大きく形成されている。
【0015】
したがって、制動動作・開放動作時の衝撃による振動でストロークの自動調整が必要以上に行われることがなく、過剰な自動調整を防止することができる。
【0016】
本発明のストローク調整機構のさらに他の態様は、操作軸の一端部に螺着したラチェットナットと、ラチェットナットに回転自在に装着されたラチェットと、操作軸の他端部とラチェットとを連結して電磁石ストロークを操作軸の動きに応じてラチェットに伝達するワイヤ部材とを備え、ラチェットナットの外周には複数の係合歯が形成されている一方、ラチェットは中心よりオフセット配置された凹部と該凹部内に収容されて係合歯に係合可能な係合部材とを備え、周方向の所定位置に形成された係合歯のピッチが他の係合歯のピッチよりも大きく形成されている。
【0017】
したがって、係合歯による係合部材に対する衝撃を凹部の溝壁で受け止めることができる。これにより係合部材に無理な力がかからず、その磨耗や亀裂の発生を抑えることが可能となる。また、制動動作・開放動作時の衝撃による振動でストロークの自動調整が必要以上に行われることがなく、過剰な自動調整を防止することもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電磁石ストロークSの自動調整機能において部品の耐久性が向上し、部品交換頻度が抑えられ、コストの抑制に貢献することができる。また、電磁ブレーキの衝撃的動作による過剰調整を防止する対策によって、確実に必要なストロークSが一定に保たれる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る電磁ブレーキ装置の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1および
図2に基づき本発明の実施形態に係る電磁ブレーキ装置を説明する。ここでは本発明は背景技術の電磁ブレーキ装置1と同様に無励磁作動タイプのドラム形電磁ブレーキに適用されている。
【0021】
この電磁ブレーキ装置15は、専用操作箱により直流瞬時強励磁回路として操作する交流操作直流電磁ブレーキに関し、主にクレーンの巻上、走行、各種産業機械の停止用などに使用されている。なお、図中、電磁ブレーキ装置1と同一の構成は同一符号を付している。
【0022】
≪構成例≫
電磁ブレーキ装置15は、
図1に示すように、電磁ブレーキ装置1と同様にベースリンク2の両端部にピン3で回動自在に枢着された左右の可動リンク4,5のリンク構造を基礎とする。ここでは各リンク2,4,5は、それぞれ前後一対のリンクプレートを連結させて構成されている。
【0023】
具体的には電磁ブレーキ装置15は、各可動リンク4,5にピン16で枢着された左右のブレーキシュー17と、各ブレーキシュー17のブレーキドラム8との接触面に貼り付けられたライニング9と、一方の可動リンク4のリンクプレート間に設置された軸受18と、軸受18に軸部19が挿通された連結ボルト7と、連結ボルト7を付勢するコイルばね21と、連結ボルト7の軸部外周に螺着してコイルばね21を規制するナット22と、連結ボルト7の頭部20に一端部が連結された駆動軸23と、他方の可動リンク5の各リンクプレートに溶着された取付板24と、取付板24に連結ボルト7の軸部19と平行に枢着された一対のロッド25と、各ロッド25の先端部に支持されたばね規制板26と、ばね規制板26と連結ボルト7の頭部20との間に弾装された制動ばね27と、駆動軸23の他端部に取り付けられたディスク(吸着板)12と、取付板24に取り付けられた電磁石11とを備えている。この電磁石11は、鉄心28および電磁コイル29により構成され、鉄心28は取付板24に取り付けられている。
【0024】
ただし、電磁ブレーキ装置15は、連結ボルト7の軸部19に装着されたストローク調整機構30と、ナット22−規制板26間において連結ボルト7の軸部外周に螺着したワイヤ連結部材31と、両者30,31間を連結するワイヤ32が追加されている点で電磁ブレーキ装置1と相違している。すなわち、ワイヤ連結部材31の下端部にワイヤ32の一端部32aが連結されている一方、ワイヤ32の他端部32bがストローク自動調整機構30と連結されている。なお、ワイヤ32の一端部32aは、ばね規制板26の下端部にも連結されている。
【0025】
ストローク調整機構30は、
図2に示すように、連結ボルト7の軸部19に螺着したラチェットナット33と、ラチェットナット33に回転自在に装着されたラチェット34とを備えている。
【0026】
ラチェットナット33の外周の周方向の90度毎に矩形状のラチェット歯35bが4つ形成され、ラチェット歯35b間に三角形状のラチェット歯35a群がラチェットナット33の外周の周方向に沿って等間隔に形成されている。このラチェット歯35aの上部は鋭角状に形成されている一方、ラチェット歯35bの上部は平坦に形成されている。このラチェット歯35bの上部は約1mmの長さに設定され、ラチェット歯35bのピッチ(寸法)Gはラチェット歯35aのピッチAよりも大きくなっている。
【0027】
ラチェット34は、二枚の金属盤を連結して構成され、各金属盤の各連通孔36に図示省略のボルト軸部が挿通されてナットを締結して連結されている。この各金属盤のそれぞれの中央部に形成された取付穴37にラチェットナット33が挿通されている。
【0028】
このうち一方(軸受18側)の金属盤の取付穴37には内周縁に凹部38が形成され、凹部38にはキータイプの係合部材40が遊嵌して収容されている。この係合部材40はスプリングプランジャー41に付勢され、係合部材40の下部(ラチェットナット33側)には一対の爪部40aが形成されている。
【0029】
このとき凹部38はラチェット34の中心Oから距離Lをオフセットして配置されているため、一方の爪部40a(中心O側の一方の爪部40a)がラチェット歯35a,35bのいずれかに係合可能となっている。ただし、通常状態では一方の爪部40aはラチェット歯35aと係合しているものとする。
【0030】
したがって、一方の爪部40aは、ラチェット34の矢印C方向の回転量がピッチAを超えれば、ラチェット歯35aを超えて次のラチェット歯35aに係合する一方、ラチェット34が矢印D方向に回転すれば、ラチェットナット33を同方向に連れ回りさせる。
【0031】
また、他方(軸受18の反対側)の金属盤の外周縁部にはワイヤ32の他端部32bが連結具44を介して連結されている。ここでは連結具44にはワイヤ32の他端部32bが連結され、先端部44aが金属板34bの外周縁部にボルト止めされている。
【0032】
したがって、ラチェット34は、ワイヤ32の他端部32bが矢印E方向に押し出されれば矢印C方向に回転する一方、ワイヤ32の他端部32bが矢印F方向に拘引されれば矢印D方向に回転する。
【0033】
≪動作例≫
電磁ブレーキ装置15によれば、制動ばね27が前記頭部20−ばね規制板26間の距離を広げる方向に付勢するため、連結ボルト7の軸部19が
図1中の矢印P方向に拘引され、可動リンク4がピン3を中心に時計回りの方向に付勢される。これと同時に取付板24がばね規制板26およびロッド25により矢印Q方向に拘引され、可動リンク5が反時計回りに付勢される。したがって、ブレーキシュー17間の距離が縮まって左右のライニング9によってブレーキドラム8が締め付けられ、ブレーキドラム8の回転が阻止される(制動状態)。
【0034】
一方、電磁石11が励磁されるとディスク12は、鉄心28に吸引されるため、駆動軸23が矢印Q方向に押し出され、前記両者20−26間の距離が縮められる。このとき連結ボルト7は、矢印Q方向に押し出されるため、可動リンク4がピン3を中心に反時計回りの方向に回動する。これと同時に取付板24がばね規制板26およびロッド25により矢印P方向に押し出され、可動リンク5がピン3を中心に時計回りの方向に回動する。
【0035】
したがって、ブレーキシュー17間の距離が広がって、左右のライニング9がブレーキドラム8から引き離される。これにより各ライニング9の締付力が低下し、ブレーキが開放されてブレーキドラム8が回転を開始する(開放状態)。このブレーキの開放−制動を繰り返すと、各ライニング9が摩耗するため、電磁石ストロークS(電磁石29−ディスク12間の距離)が大きくなる。
【0036】
その際、ストローク調整機構30によれば、制動動作時に連結ボルト7が矢印P方向に拘引されるとワイヤ32の一端部32aは、電磁石ストロークSに応じて同方向に押し出される。一方、開放動作時に連結ボルト7が矢印Q方向に押し出されるとワイヤ32の一端部32aは、電磁石ストロークSに応じて同方向に拘引される。
【0037】
これによりワイヤ32の他端部32bは、制動動作時に電磁ストロークSに応じて矢印E方向に押し出される一方、開放動作時に電磁石ストロークSに応じて矢印F方向に拘引される。このとき通常状態では一方の爪部40aはラチェット歯35aと係合しているため、電磁石ストロークSがピッチAを超えていれば、制動動作時にラチェット34が該電磁ストロークSに応じて矢印C方向に回転する。これにより一方の爪部40aがラチェット歯35aを乗り越えて順次、次のラチェット歯35a,35bに係合する。
【0038】
また、開放動作時に移行すれば、ラチェット34が電磁ストロークSに応じて矢印D方向に回転する。この回転時にラチェットナット33は、ラチェット34と同方向に連れ回りするため、連結ボルト7の軸部19に螺入し、連結ボルト7を矢印Q方向に引寄せる。
【0039】
この場合、凹部38がラチェット34の中心Oからオフセットして配置されているため、一方の爪部40aに加わる応力を中心から同じ高さHの溝壁38aで受け止めることができる。これにより一方の爪部40aに無理な応力がかかることがなく、該爪部40aの磨耗や亀裂発生を抑制することができる。この点でストローク調整機構30の部品の耐久性を向上させ、コストの抑制に貢献できる。
【0040】
この制動時・開放時の動作を繰り返して行うことにより、ディスク12の位置が矢印Q方向に自動調整され、電磁石ストロークSが規定のストロークに戻すことが可能となる。この場合にピッチGはピッチAよりも長く、特にラチェット歯35bの上部が平坦に形成されていることから、制動・開放動作に一方の爪部40aはラチェト歯34bを越え難くなっている。したがって、制動・開放動作時の振動により自動調整が必要以上に行われることがなく、過剰な自動調整を抑制することができる。
【0041】
このようなストローク調整機構30は、既存の電磁ブレーキ装置のナット13をラチェットナット33およびラチェット34のラチェット機構に交換し、ワイヤ32を追加すればよく、省スペースで衝撃に強い自動調整装置が提供できる。
【0042】
さらに、ストローク調整機構30は、構造的にも簡易な自動調整装置なため、電磁ブレーキ装置15のコストの高騰を抑えることもできる。なお、ピッチA,Gの具体的値は使用などに応じて定めることができ、電磁石ストロークSとの相関関係を考慮して定めることが好ましい。
【0043】
≪その他・他例≫
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載された範囲内において変形して実施することができる。例えばラチェット歯35bの個数は仕様に応じて変更することができる。すなわち、ラチェット歯35bは複数個を等間隔に形成すればよく、ラチェットナット33の外周の周方向の60度の位置に6つ形成することもできる。この場合も各ラチェット歯35b間にラチェット歯35a群が形成される。
【0044】
また、本発明は、ドラム形の電磁ブレーキ装置だけではなく、ディスク形の電磁ブレーキ装置にも適用することができる。
図3に基づき説明すれば、前記電磁ブレーキ装置55は、可動板58に溶着された取付板24に電磁石ユニットが取り付けられている。この電磁石ユニット59内には取付板24に取り付けられた図示省略の電磁石およびディスクが収容されている。
【0045】
そして、制動ばね27のスプリング力によって、パッド56を図示省略のブレーキディスクに押し付けて制動する一方、電磁石の励磁によりディスク(吸着板)が吸引されるため、制動ばね27のスプリング力に反してパットが離れてブレーキが開放される。このときワイヤ32の一端部32aは一方の可動板58に連結され、ストローク調整機構30が電磁ブレーキ装置15と同様に電磁石−ディスク間の電磁石ストロークSを自動調整する。
【符号の説明】
【0046】
6…制動ばね(弾性体)
11…電磁石
12…ディスク
15…電磁ブレーキ装置
19…連結ボルトの軸部(操作軸)
30…ストローク調整機構
32…ワイヤ
33…ラチェットナット(ナット)
34…ラチェット
35a,35b…ラチェット歯(係合歯)
38…凹部
40…係合部材
【要約】 (修正有)
【課題】ストローク調整機構の部品の耐久性を向上させてコストの抑制を図る。
【解決手段】ストローク調整機構30は、連結ボルトの軸部19に螺着したラチェットナット33とラチェットナット33に回転自在に装着されたラチェット34とを有している。このラチェットナット33の外周には複数のラチェット歯35a,35bが形成されている一方、ラチェット34は中心線よりオフセットした位置に形成された凹部38と、凹部38内に遊嵌されてラチェット歯35a,35bに係合可能な係合部材40とを備える。このラチェット歯35bのピッチGはラチェット歯35aのピッチAよりも大きく設定されている。
【選択図】
図2