(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5648145
(24)【登録日】2014年11月14日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】くさび緊結式足場における緊結装置
(51)【国際特許分類】
E04G 7/32 20060101AFI20141211BHJP
E04G 7/34 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
E04G7/32 A
E04G7/34 303A
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-149660(P2014-149660)
(22)【出願日】2014年7月23日
【審査請求日】2014年7月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592178303
【氏名又は名称】東阪工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】坂本 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】行本 努
【審査官】
津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−140769(JP,A)
【文献】
特開2010−068582(JP,A)
【文献】
特開2014−090044(JP,A)
【文献】
特開2009−023551(JP,A)
【文献】
特開2008−280742(JP,A)
【文献】
特開2008−280741(JP,A)
【文献】
特許第5264008(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 7/32
E04G 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱の所定高さの外周に固着せられた受け金具と、2つの支柱間に渡される管状腕木材の端部に設けられた係止金具とよりなり、受け金具は、平面からみてコ形で中央壁が前下がりに傾斜せしめられており、係止金具は、上端に上方突出状頭を有する縦長板状本体の前側が大半垂直であってその中程に所要長さの前方開口凹部または長孔が設けられ、縦長板状本体の後側が受け金具の傾斜中央壁の傾斜角度と同じ角度で前下がりに傾斜せしめられ、その中程に所要長さの後方開口凹部が設けられ、後方開口凹部の下寄り部分は前下がりに傾斜せしめられて下端がL状窪みとなされ、傾斜部分に続く上方に1または2の円弧状窪みが形成せられているくさびと、管状腕木材の外径と受け金具の長さとを加えた長さより若干長く受け金具に挿入したさい受け金具より下端が突出する長さを有し、前側が垂直であって後側が受け金具の傾斜中央壁の傾斜角度と同じ角度で前下がりに傾斜せしめられ、管状腕木材の前端上下部に形成せられた平面視コ形凹部の下側から上凹部の縁に向かって嵌め入れられ、上下の平面視コ形凹部の縁に固着せられたくさび案内部材とよりなり、受け金具に嵌め入れられた状態におけるくさび案内部材の後壁の管状腕木材の前端下部の丁度上の位置に上貫通孔が、くさびをくさび案内部材にその下端どうしが一致するところまで嵌め入れた状態でくさびのL状窪みと対応する位置に下貫通孔があけられており、前側に開口したV形で下側斜め部分が前方に延長せられかつ下端に垂直部が形成せられた板ばねの下側斜め前方延長部が上貫通孔を前方に貫通せしめられ、この板ばねの上端がくさび案内部材の後壁に受け止められ、同板ばねの下端垂直部に後くさび抜け止めピンが後方突出状に取り付けられてその先端がくさび案内部材の後壁の下貫通孔に嵌め入れられ、後くさび抜け止めピンの頭がくさびのL状窪みに嵌るように取り付けられ、受け金具の傾斜中央壁のくさび案内部材の後壁の下貫通孔に対応する位置に後くさび抜け止めピンが嵌る貫通孔があけられており、くさびの上昇位置において、前方開口凹部または長孔の下端に在るようにくさび案内部材の左右の壁に前くさび抜け止めピンが渡し止められているくさび緊結式足場における緊結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、くさび緊結式足場における緊結装置に関する。
【0002】
なお、この明細書において、支柱と腕木材との関係において、前とは緊結する支柱のある側を、後ろとは緊結する腕木材のある側をいうものとする。
【背景技術】
【0003】
本願出願人が先に提案したくさび緊結式足場における緊結装置が、下記特許文献1に開示されている。
【0004】
この緊結式足場における緊結装置は、支柱の所定高さの外周に固着せられた受け金具と、2つの支柱間に渡される腕木材の端部に前側が露出するように埋入付設せられかつ受け金具に係止せられる係止金具とよりなり、受け金具は、平面からみてコ形で中央壁が前下がりに傾斜せしめられており、係止金具は、緊結のため降下せしめられるさいに支柱と接する垂直部を備えた前縁と受け金具の中央壁と略同じ斜度で前下がりに傾斜した後縁を有する縦長板状のくさびと、一部が腕木材から下方に突出しかつ平面からみて受け金具に嵌る大きさのコ形で中央壁が受け金具と同じ斜度で前下がりに傾斜せしめられており、くさびが上下動自在に挿入せられているくさび案内部材と、くさびとくさび案内部材の中央壁の間に介在せられて上端部がくさび案内部材の上部に前後揺動自在に取付けられ、かつ下端部に後方に突出した抜け止め突起が設けられるとともに、押しばねでくさび側に付勢せられている揺動バーを備えており、くさび案内部材の両側壁にくさび脱出阻止バーが渡し止められ、くさび脱出阻止バーが横断しかつくさびの上下動に必要な縦長さで緊結解除時くさび脱出阻止バーが接する後縁を備えた縦長孔または前向き切欠部がくさびに形成せられ、くさび案内部材の腕木材のから下方が受け金具への挿入部となされ、くさび案内部材の中央壁における挿入部分には、前後貫通状抜け止め突起収納部が形成せられ、くさび案内部材の挿入部が受け金具に挿入されて受け金具の上端に腕木材の端部が受け止められた状態において、受け金具の中央壁に抜け止め突起収納孔に対応して抜け止め突起受け入れ部が形成せられ、抜け止め突起受け入れ部は、係止金具が受け金具から上方に抜けようとしたさい抜け止め突起が引っ掛かる上縁を有しており、揺動バーが、緊結時ばね力に抗して後方に揺動して抜け止め突起を受け金具の抜け止め突起受け入れ部に押し入れ、緊結解除時ばね力により前方に揺動して抜け止め突起を受け金具の抜け止め突起受け入れ部から引き出すように、くさび案内部材の中央壁とくさびとの間隔が定められているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−280743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示の装置によれば、受け金具の上端に腕木材の端部が直接受けられており、くさび作用により腕木材がぐらつくことがないので、腕木材はしっかりと水平に保たれ、しかも、薄鋼板製の床付き布わくを使用してこれに風圧が下から加わったとしても、係止金具側の抜け止め突起が受け金具の抜け止め突起受け入れ部の上縁に引っ掛かるので上に抜ける危険性がなく、エキスパンドメタル製でなく薄鋼板製の床付き布わくを使用できるという利点があるが、構造が若干複雑である。
【0007】
本発明の目的は、構造が簡単なくさび緊結式足場における緊結装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明によるくさび緊結式足場における緊結装置は、支柱の所定高さの外周に固着せられた受け金具と、2つの支柱間に渡される管状腕木材の端部に設けられた係止金具とよりなり、受け金具は、平面からみてコ形で中央壁が前下がりに傾斜せしめられており、係止金具は、上端に上方突出状頭を有する縦長板状本体の前側が大半垂直であってその中程に所要長さの前方開口凹部または長孔が設けられ、縦長板状本体の後側が受け金具の傾斜中央壁の傾斜角度と同じ角度で前下がりに傾斜せしめられ、その中程に所要長さの後方開口凹部が設けられ、後方開口凹部の下寄り部分は前下がりに傾斜せしめられて下端がL状窪みとなされ、傾斜部分に続く上方に1または2の円弧状窪みが形成せられているくさびと、管状腕木材の外径と受け金具の長さとを加えた長さより若干長く受け金具に挿入したさい受け金具より下端が突出する長さを有し、前側が垂直であって後側が受け金具の傾斜中央壁の傾斜角度と同じ角度で前下がりに傾斜せしめられ、管状腕木材の前端上下部に形成せられた平面視コ形凹部の下側から上凹部の縁に向かって嵌め入れられ、上下の平面視コ形凹部の縁に固着せられたくさび案内部材とよりなり、受け金具に嵌め入れられた状態におけるくさび案内部材の後壁の管状腕木材の前端下部の丁度上の位置に上貫通孔が、くさびをくさび案内部材にその下端どうしが一致するところまで嵌め入れた状態でくさびのL状窪みと対応する位置に下貫通孔があけられており、前側に開口したV形で下側斜め部分が前方に延長せられかつ下端に垂直部が形成せられた板ばねの下側斜め前方延長部が上貫通孔を前方に貫通せしめられ、この板ばねの上端がくさび案内部材の後壁に受け止められ、同板ばねの下端垂直部に後くさび抜け止めピンが後方突出状に取り付けられてその先端がくさび案内部材の後壁の下貫通孔に嵌め入れられ、
後くさび抜け止めピンの頭がくさびのL状窪みに嵌るように取り付けられ、受け金具の傾斜中央壁のくさび案内部材の後壁の下貫通孔に対応する位置に後くさび抜け止めピンが嵌る貫通孔があけられており、くさびの上昇位置において、前方開口凹部または長孔の下端に在るようにくさび案内部材の左右の壁に前くさび抜け止めピンが渡し止められているものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載のくさび緊結式足場における緊結装置において、くさびの上方突出状頭の幅が下から上にかけて次第に広くなされているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によるくさび緊結式足場における緊結装置は、支柱の所定高さの外周に固着せられた受け金具と、2つの支柱間に渡される管状腕木材の端部に設けられた係止金具とよりなり、受け金具は、平面からみてコ形で中央壁が前下がりに傾斜せしめられており、係止金具は、上端に上方突出状頭を有する縦長板状本体の前側が大半垂直であってその中程に所要長さの前方開口凹部または長孔が設けられ、縦長板状本体の後側が受け金具の傾斜中央壁の傾斜角度と同じ角度で前下がりに傾斜せしめられ、その中程に所要長さの後方開口凹部が設けられ、後方開口凹部の下寄り部分は前下がりに傾斜せしめられて下端がL状窪みとなされ、傾斜部分に続く上方に1または2の円弧状窪みが形成せられているくさびと、管状腕木材の外径と受け金具の長さとを加えた長さより若干長く受け金具に挿入したさい受け金具より下端が突出する長さを有し、前側が大半垂直であって後側が受け金具の傾斜中央壁の傾斜角度と同じ角度で前下がりに傾斜せしめられ、管状腕木材の前端上下の平面視コ形部に形成せられた平面視コ形凹部の下側から上凹部の縁に向かって嵌め入れられ、上下凹部の縁に固着せられたくさび案内部材とよりなり、受け金具に嵌め入れられた状態におけるくさび案内部材の後壁の管状腕木材の前端下部の丁度上の位置に上貫通孔が、くさびをくさび案内部材にその下端どうしが一致するところまで嵌め入れた状態でくさび案内部材の後壁のくさびのL状窪みと対応する位置に下貫通孔があけられており、前側に開口したV形で下側斜め部分が前方に延長せられかつ下端に垂直部が形成せられた板ばねの下側斜め前方延長部が上貫通孔を前方に貫通せしめられ、この板ばねの上端がくさび案内部材の後壁に受け止められ、同板ばねの下端垂直部に後くさび抜け止めピンが後方突出状に取り付けられてその先端がくさび案内部材の後壁の下貫通孔に嵌め入れられ、
後くさび抜け止めピンの頭がくさびのL状窪みに嵌るように取り付けられ、受け金具の傾斜中央壁のくさび案内部材の後壁の下貫通孔に対応する位置に後くさび抜け止めピンが嵌る貫通孔があけられており、くさびの上昇位置において、前方開口凹部または長孔の下端に在るようにくさび案内部材の左右の壁に前くさび抜け止めピンが渡し止められているものであるから、くさびの上方突出状頭をハンマーで叩いてくさびを押し下げると、板ばねの下端垂直部にあるくさび抜け止めピンの頭がくさびのL状窪みから抜けてその上の前下が
り傾斜面で後方に押されつつその上の円弧窪みで止まる。その結果、くさび抜け止めピンの先端は、くさび案内部材後壁の下貫通孔から受け金具の傾斜中央壁の貫通孔に移動し、これによりくさびが降下状態に保たれる。その結果、くさび作用により腕木材がぐらつくことがないので、腕木材はしっかりと水平に保たれ、しかも薄鋼板製の床付布わくを使用してこれに風圧が下から加わったとしても、係止金具が受け金具から上に抜ける危険性はない。したがって、構造が簡単であるにも関わらずエキスパンドメタル製でなく薄鋼板製の床付き布わくを使用できるという利点がある。また、車等の走行による振動が足場に加わったとしても、くさびが浮き上がって緩むというおそれもない。
【0011】
請求項2の発明によるくさび緊結式足場における緊結装置は、くさびの上方突出状頭の幅が下から上にかけて次第に広くなされているものであるから、くさびの上方突出状頭をハンマーで叩き易く、くさびをくさび案内部材の所定位置まで入れやすい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】支柱に腕木材を緊結する直前の状態を示す水平断面図である。
【
図2】支柱に腕木材を緊結する直前の状態を示すくさび案内部材を含む腕木材の前端部を切り欠いた
図1の側面図である。
【
図3】係止金具を受け金具に入れただけの状態を示す受け金具およびくさび案内部材を含む腕木材の前端部を切り欠いた側面図である。
【
図4】
図3の状態からくさびをくさび案内部材に最後まで入れた状態を示す受け金具およびくさび案内部材を含む腕木材の前端部を切り欠いた側面図である。
【
図5】
図4のV−V線にそう断面図で、受け金具の一部が切り欠かれている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1ないし
図5に示すくさび緊結式足場における緊結装置は、支柱(1)の所定高さの外周に固着せられた受け金具(2)と、2つの支柱(1)間に渡される腕木材(3)の端部に設けられた係止金具(4)とよりなり、受け金具(2)は、平面からみてコ形で中央壁(5)が前下がりに傾斜せしめられており、係止金具(4)は、上端に上方突出状頭(6)を有する縦長板状本体(7)の前側の下部が僅かに後下がりに傾斜せしめられている以外大半垂直であってその中程に所要長さの前方開口凹部(8)が設けられ、縦長板状本体(7)の後側が受け金具(2)の傾斜中央壁(5)の傾斜角度と同じ角度で前下がりに傾斜せしめられ、その中程に所要長さの後方開口凹部(9)が設けられ、後方開口凹部(9)の下寄り部分は前下がりに傾斜せしめられて下端がL状窪み(10)となされ、傾斜部分に続く上方に2つの円弧状窪み(11)が形成せられているくさび(12)と、管状腕木材(3)の外径と受け金具(2)の長さとを加えた長さより若干長く受け金具(2)に挿入したさい受け金具(2)より下端が突出する長さを有し、前側が垂直であって後側が受け金具(2)の傾斜中央壁(5)の傾斜角度と同じ角度で前下がりに傾斜せしめられ、管状腕木材(3)の前端上下に形成せられた平面視コ形凹部(13)(14)の下側から上凹部(13)の縁に向かって嵌め入れられ、上下の平面視コ形凹部(13)(14)の縁に固着せられたくさび案内部材(15)とよりなり、受け金具(2)に嵌め入れられた状態におけるくさび案内部材(15)の後壁(16)の管状腕木材(3)の前端下部の丁度上の位置に上貫通孔(17)が、くさび(12)をくさび案内部材(15)にその下端どうしが一致するところまで嵌め入れた状態でくさび案内部材(15)の後壁(16)のくさび(12)のL状窪み(10)と対応する位置に下貫通孔(18)があけられており、前側に開口したV形で下側斜め部分が前方に延長せられかつ下端に垂直部(19)が形成せられた板ばね(20)の下側斜め前方延長部(21)が上貫通孔(17)を前方に貫通せしめられ、この板ばね(20)の上端がくさび案内部材(15)の後壁(16)に受け止められ、同板ばね(20)の下端垂直部(19)に後くさび抜け止めピン(22)が後方突出状に取り付けられてその先端がくさび案内部材(15)の後壁(16)の下貫通孔(18)に嵌め入れられ、
後くさび抜け止めピン(22)の頭(23)がくさびのL状窪み(10)に嵌るように取り付けられ、受け金具(2)の傾斜中央壁(5)のくさび案内部材(15)の後壁(16)の下貫通孔(18)に対応する位置に後くさび抜け止めピン(22)が嵌る貫通孔(24)があけられており、くさび(12)の上昇位置において、前方開口凹部(8)の下端にあるようにくさび案内部材(15)の左右の壁(25)にピン(26)が渡し止められているものである。
【0014】
縦長板状本体(7)の前側に形成せられている上記前方開口凹部(8)の代わりにこれは長孔であってもよい。またL状窪み(10)に続く上方に2つの円弧窪み(11)が形成せられているが、これはくさび(12)を2段階に降下できるようにしたからであり、円弧窪み(10)は1つであってもよい。くさび案内部材(15)の上端前半は上コ形凹部(13)より若干上方に突出しており、くさび案内部材(15)の上端後半は同上端前半より低く、上コ形凹部(13)の縁裏側に位置している。
【0015】
支柱(1)に腕木材(3)を緊結するには、まず、
図2に示すように、くさび(12)をその下端がくさび案内部材(15)の下端に一致するまでくさび案内部材(15)に入れる。このとき、後くさび抜け止めピン(22) の頭(23)がくさび(12)のL状窪み(10)に嵌まっており、その先端がくさび案内部材(15)の後壁(16)の下貫通孔(18)に嵌め入れられている状態となる。この状態のまま、
図3に示すように、くさび(12) およびくさび案内部材(15)よりなる係止金具(4)を支柱(1)に固着せられた受け金具(2)に入れる。つぎに、くさび(12)の上方突出状頭(6)をハンマーで叩く。すると、
図4に示すように、くさび(12)の下端がくさび案内部材(15)の下端より突出し、その上端がくさび案内部材(15)の上端と一致する。このさい、後くさび抜け止めピン(22) の頭(23)がくさび(12)のL状窪み(10)から抜けて上斜め後方に移動し、その上の円弧窪み(11)に嵌るとともに、後くさび抜け止めピン(22)が後方に押されてくさび案内部材(15)の後壁(16)の下貫通孔(18)に嵌る。その結果、係止金具(4)は受け金具(2)に固定せられる。そして、くさび(12)の縦長板状本体(7)の前縁が支柱(1)に)に密接することによりくさび(12)は降下状態に保たれる。その結果、くさび作用により腕木材(3)がぐらつくことがないので、腕木材(3)はしっかりと水平に保たれる。
【0016】
支柱(1)に緊結された腕木材(3)を外すには、受け金具(2)の下方に突出したくさび(12) の下端部をハンマーで上に叩けば、くさび(12)は上にあがるので、くさび抜け止めピン(22)の頭(23)がくさび(12)の円弧窪み(11)からくさびのL状窪み(10)に移動し、
後くさび抜け止めピン(22)が受け金具(2)の傾斜中央壁(5)の貫通孔(24)から抜けるので、係止金具(4)は受け金具(2)から自由になる。そこで、受け金具(2)から腕木材(3)の端部に設けられた係止金具(4)を上へ抜けばよい。
【符号の説明】
【0017】
(1) 支柱
(2) 受け金具
(3) 腕木材
(4) 係止金具
(5) 受け金具の中央壁
(6) くさびの上方突出状頭
(7) くさびの縦長板状本体
(8) くさびの前方開口凹部
(9) くさびの後方開口凹部
(10) くさびのL状窪み
(11) くさびの円弧状窪み
(12) くさび
(13) (14) 管状腕木材(3)の平面視コ形凹部
(15) くさび案内部材
(16) くさび案内部材の後壁
(17) くさび案内部材の上貫通孔
(18) くさび案内部材の下貫通孔
(19) 板ばねの下端垂直部
(20) 板ばね
(21) 板ばねの下側斜め前方延長部
(22) 後くさび抜け止めピン
(23) くさび抜け止めピンの頭
(24) 受け金具の傾斜中央壁の貫通孔
(25) くさび案内部材の左右の壁
(26) 前くさび抜け止めピン
【要約】
【課題】 構造が簡単なくさび緊結式足場における緊結装置を提供する。
【解決手段】くさび緊結式足場における緊結装置は、支柱の所定高さの外周に固着せられた受け金具と、2つの支柱間に渡される管状腕木材の端部に設けられた係止金具とよりなり、受け金具は、平面からみてコ形で中央壁が前下がりに傾斜せしめられており、係止金具は、上端に上方突出状頭を有する縦長板状本体の前側が大半垂直であってその中程に所要長さの前方開口凹部または長孔が設けられ、縦長板状本体の後側が受け金具の傾斜中央壁の傾斜角度と同じ角度で前下がりに傾斜せしめられ、その中程に所要長さの後方開口凹部が設けられ、後方開口凹部の下寄り部分は前下がりに傾斜せしめられて下端がL状窪みとなされ、傾斜部分に続く上方に1または2の円弧状窪みが形成せられているくさびと、管状腕木材の外径と受け金具の長さとを加えた長さより若干長く受け金具に挿入したさい受け金具より下端が突出する長さを有し、前側が垂直であって後側が受け金具の傾斜中央壁の傾斜角度と同じ角度で前下がりに傾斜せしめられ、管状腕木材の前端上下部に形成せられた平面視コ形凹部の下側から上凹部の縁に向かって嵌め入れられ、上下の平面視コ形凹部の縁に固着せられたくさび案内部材とよりなり、受け金具に嵌め入れられた状態におけるくさび案内部材の後壁の管状腕木材の前端下部の丁度上の位置に上貫通孔が、くさびをくさび案内部材にその下端どうしが一致するところまで嵌め入れた状態でくさびのL状窪みと対応する位置に下貫通孔があけられており、前側に開口したV形で下側斜め部分が前方に延長せられかつ下端に垂直部が形成せられた板ばねの下側斜め前方延長部が上貫通孔を前方に貫通せしめられ、この板ばねの上端がくさび案内部材の後壁に受け止められ、同板ばねの下端垂直部に後くさび抜け止めピンが後方突出状に取り付けられてその先端がくさび案内部材の後壁の下貫通孔に嵌め入れられ、その頭がくさびのL状窪みに嵌るように取り付けられ、受け金具の傾斜中央壁のくさび案内部材の後壁の下貫通孔に対応する位置に後くさび抜け止めピンが嵌る貫通孔があけられており、くさびの上昇位置において、前方開口凹部または長孔の下端に在るようにくさび案内部材の左右の壁に前くさび抜け止めピンが渡し止められているものである。
【選択図】
図4