【実施例】
【0022】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
【0023】
<ロールパン生地混捏時の油中水型乳化油脂組成物の練り込み性評価法>
実施例、比較例で得られた製パン用油中水型乳化油脂組成物を15℃に温調し、ミキサー内へ投入後、目視で生地中に油中水型乳化油脂組成物の塊が見られなくなる時点まで混捏し、その時間を基に練り込み性について評価した。その際の評価基準は以下の通りである。◎:低速で3分間,高速で1分間混捏、○:低速で3分間,高速で3分間、△:低速で3分間,高速で5分間、×:低速で3分間,高速で6分間。
【0024】
<ロールパンのソフトさ評価法>
実施例、比較例で得られた油中水型乳化油脂組成物を用いて作製したロールパンを、10人からなる熟練のパネラーに試食してもらって官能評価を行い、以下のようにまとめた。◎:8人以上が柔らかいと評価、○:6〜7人が柔らかいと評価、△:4〜5人が柔らかいと評価、×:0〜3人が柔らかいと評価。
【0025】
<ロールパンの歯切れ評価法>
実施例、比較例で得られた油中水型乳化油脂組成物を用いて作製したロールパンを10人からなる熟練のパネラーに試食してもらって官能評価を行い、以下のようにまとめた。◎:8人以上が歯切れが良いと評価、○:6〜7人が歯切れが良いと評価、△:4〜5人が歯切れが良いと評価、×:0〜3人が歯切れが良いと評価。
【0026】
<ロールパンの口ごなれ評価法>
実施例、比較例で得られた油中水型乳化油脂組成物を用いて作製したロールパンを10人からなる熟練のパネラーに試食してもらって官能評価を行い、以下のようにまとめた。◎:8人以上が口ごなれが良いと評価、○:6〜7人が口ごなれが良いと評価、△:4〜5人が口ごなれが良いと評価、×:0〜3人が口ごなれが良いと評価。
【0027】
(実施例1) 製パン用油中水型乳化油脂組成物の作製
表1に示す配合に従って、製パン用油中水型乳化油脂組成物を作製した。即ち、まずは所定量の水に各水相成分を加えて均一に分散した後、加熱殺菌して水相とした。各油相成分を所定量調合して油相とした。前記油相部と水相部を乳化し、得られた乳化液をピストンポンプにて75kg/hrの流量で送液した後、フロン冷媒量を調整しながら急冷捏和装置にて捏和して、出口温度を24℃として油中水型乳化油脂組成物を得た。この油中水型乳化油脂組成物をワイヤーホイップ付きのミキサーにて中速で6分間撹拌し、比重0.5g/mlの製パン用油中水型乳化油脂組成物を得た。
【0028】
【表1】
【0029】
(実施例2及び実施例3) 製パン用油中水型乳化油脂組成物の作製
表1に示す配合に従って、製パン用油中水型乳化油脂組成物を作製した。即ち、配合を変えた以外は実施例1と同様にして得た乳化液をピストンポンプにて75kg/hrの流量で送液した後、フロン冷媒量を調整しながら急冷捏和装置にて捏和して、出口温度を20℃として油中水型乳化油脂組成物を得た。この油中水型乳化油脂組成物をワイヤーホイップ付きのミキサーにて中速で4分間撹拌し、比重0.7g/mlの製パン用油中水型乳化油脂組成物を得た。
【0030】
(実施例4及び実施例5) 製パン用油中水型乳化油脂組成物の作製
表1に示す配合に従って、製パン用油中水型乳化油脂組成物を作製した。即ち、配合を変えた以外は実施例1と同様にして得た乳化液をピストンポンプにて75kg/hrの流量で送液した後、フロン冷媒量を調整しながら急冷捏和装置にて捏和して、出口温度を17℃として油中水型乳化油脂組成物を得た。この油中水型乳化油脂組成物をワイヤーホイップ付きのミキサーにて中速で5分間撹拌し、比重0.7g/mlの製パン用油中水型乳化油脂組成物を得た。
【0031】
(比較例1及び比較例2) 製パン用油中水型乳化油脂組成物の作製
表1に示す配合に従って、製パン用油中水型乳化油脂組成物を作製した。即ち、配合を変えた以外は実施例1と同様にして得た乳化液をピストンポンプにて75kg/hrの流量で送液した後、フロン冷媒量を調整しながら急冷捏和装置にて捏和して、出口温度を18℃として油中水型乳化油脂組成物を得た。該油中水型乳化油脂組成物は含気処理を行わずに比重はそのままで製パン用油中水型乳化油脂組成物とした。
【0032】
(比較例3) 製パン用油中水型乳化油脂組成物の作製
表1に示す配合に従って、製パン用油中水型乳化油脂組成物を作製した。即ち、配合を変えた以外は実施例1と同様にして得た乳化液をピストンポンプにて75kg/hrの流量で送液した後、フロン冷媒量を調整しながら急冷捏和装置にて捏和して、出口温度を24℃として油中水型乳化油脂組成物を得た。該油中水型乳化油脂組成物は含気処理を行わずに比重はそのままで製パン用油中水型乳化油脂組成物とした。
【0033】
(比較例4) 製パン用油中水型乳化油脂組成物の作製(先行技術との比較(特開平8−196198号公報実施例8準拠))
表1に示す配合に従って、製パン用油中水型乳化油脂組成物を作製した。即ち、配合を変えた以外は実施例1と同様にして得た乳化液をピストンポンプにて75kg/hrの流量で送液した後、フロン冷媒量を調整しながら急冷捏和装置にて捏和して、出口温度を17℃として油中水型乳化油脂組成物を得た。該油中水型乳化油脂組成物は含気処理を行わずに比重はそのままで製パン用油中水型乳化油脂組成物とした。
【0034】
(比較例5)製パン用油中水型乳化油脂組成物の作製
表1に示す配合に従って、製パン用油中水型乳化油脂組成物を作製した。即ち、実施例1と同様にして得られた乳化液をピストンポンプにて75kg/hrの流量で送液した後、フロン冷媒量を調整しながら急冷捏和装置にて捏和して、出口温度を24℃として油中水型乳化油脂組成物を得た後、この油中水型乳化油脂組成物をワイヤーホイップ付きのミキサーにて中速で3分間撹拌し、比重0.8g/mlの製パン用油中水型乳化油脂組成物を得た。
【0035】
(実施例6〜10、比較例6〜10) 製パン試験
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた製パン用油中水型乳化油脂組成物を用いて、表2に示す配合に従ってロールパンの製パン試験を行った。
【0036】
【表2】
【0037】
ロールパン生地は、横型ミキサー(オシキリ社製HMミキサー)を用いて以下のように作製した。中種生地は、小麦粉、砂糖、イースト、イーストフード、水を横型ミキサーに投入し、低速で3分間、高速で3分間混捏し、捏ね上げ温度25℃の中麺生地とした。この中麺生地を28℃で2時間30分恒温槽に静置して中種生地を得た。油中水型乳化油脂組成物を除く本捏配合材料と中種生地を横型ミキサーに入れ、低速で3分間、高速で3分間混捏した後、15℃に温調された油中水型乳化油脂組成物を横型ミキサーに入れ、低速で3分間混捏後、油中水型乳化油脂組成物の塊が生地中に無いかを確認しながら高速で6分間混捏し、捏ね上げ温度27℃の本捏生地を得た。得られた本捏生地を28℃の恒温槽にて、30分間フロアータイムをとった後、70gずつの生地に分割した。分割後、28℃で20分間のベンチタイムをとり、モルダーにて生地を伸ばした後、カールして展圧し、棒状の成型物を得た。この成型物を天板の上に8個置き、温度:38℃、湿度:80%で60分間最終発酵を行った。最終発酵後、200℃のオーブンで10分間焼成し、各種評価に用いるロールパンを得た。ロールパンの各種評価結果及びロールパン生地混捏時の練り込み性評価結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
実施例1〜5で得られた油中水型乳化油脂組成物の生地混捏時の練り込み性はいずれも低速3分高速3分の混捏で生地中に油中水型乳化油脂組成物の塊が見られず、練り込み性は良好であった。比較例5の油中水型乳化油脂組成物は生地に十分に分散しなかったため、結果的に比較例10のロールパンは歯切れ、口ごなれにおいて実施例1より目減りした。比較例3の生地混捏時の練り込み性は非常に悪く、低速3分高速6分の混捏で小さな油中水型乳化油脂組成物の塊が生地中に見られ、比較例8のロールパンの内相に穴あきが見られた。ロールパンの口ごなれは実施例6〜10のいずれのロールパンも良好となり、比較例7のロールパンで最も悪い結果となった。歯切れは実施例6、実施例7のロールパンで大変良い結果となり、比較例6〜8で悪い結果となった。ソフトさは実施例7、実施例8のロールパンで大変良好となり、比較例6、比較例8で悪い結果となった。ソフトさ、歯切れ、口ごなれの全てにおいて最も良好であったのは実施例7のロールパンであった。