(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、熱によって気化または膨張して気体を発生させる物質を内包した熱可塑性樹脂粒子からなる熱膨張性マイクロカプセルを1〜15質量部含有する請求項1または2に記載の空気入りスタッドレスタイヤ用ゴム組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔タイヤ用ゴム組成物〕
本発明の空気入りスタッドレスタイヤ用ゴム組成物(以下、単に「本発明のゴム組成物」ともいう。)は、平均ガラス転移温度が−50℃以下のジエン系ゴムと、シリカと、両末端にメルカプト基を有するポリサルファイドポリマーとを含有し、上記シリカの含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して5〜80質量部であり、上記ポリサルファイドポリマーの含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して2〜50質量部であり、上記シリカと上記ポリサルファイドポリマーとの質量比(シリカ/ポリサルファイドポリマー)が0.5〜7であ
り、上記シリカと上記ポリサルファイドポリマーとが会合体を形成している、空気入りスタッドレスタイヤ用のゴム組成物である。
以下に、本発明のゴム組成物が含有する各成分について詳細に説明する。
【0013】
<ジエン系ゴム>
本発明のゴム組成物に含有するジエン系ゴムは、平均ガラス転移温度が−50℃以下となるものを用いる。−50℃以下であると、低温時においてもタイヤの硬度を低く保つことができ、氷上性能(特に、氷上摩擦力)が良好となる。また、平均ガラス転移温度は、氷上性能がより良好となる理由から、−55℃以下であるのがより好ましい。
ここで、ガラス転移温度は、デュポン社製の示差熱分析計(DSC)を用い、ASTM D3418−82に従い、昇温速度10℃/minで測定した値である。
また、平均ガラス転移温度は、ガラス転移温度の平均値であり、ジエン系ゴムを1種のみ用いる場合は、そのジエン系ゴムのガラス転移温度をいうが、後述するようにジエン系ゴムを2種以上併用する場合は、ジエン系ゴム全体(各ジエン系ゴムの混合物)のガラス転移温度をいい、各ジエン系ゴムのガラス転移温度と各ジエン系ゴムの配合割合から平均値として算出することができる。
【0014】
上記ジエン系ゴムは、主鎖に二重結合を有するものであれば特に限定されず、その具体例としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記ジエン系ゴムは、その分子量やミクロ構造は特に限定されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていてもよく、エポキシ化されていてもよい。
これらのうち、タイヤの氷上摩擦力がより良好となる理由から、NR、BRを用いるのが好ましく、これらを併用するのがより好ましい。
【0015】
本発明においては、タイヤの強度が良好となる理由から、上記ジエン系ゴムの20質量%以上がNRであるのが好ましく、40質量%以上がNRであるのがより好ましい。
【0016】
また、本発明においては、BRは、0℃近辺においてもゴムの硬度を適切に保ち、耐摩耗性(耐寒性)を維持できる理由から、シス含有量が95%以上の高シスポリブタジエンゴムであるのが好ましく、この高シスポリブタジエンゴムを35〜70質量%を配合することが好ましい。
【0017】
<シリカ>
本発明のゴム組成物に含有するシリカは特に限定されず、その具体例としては、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、タイヤの耐摩耗性が向上し、また、氷上摩擦力がより良好となり、更に、破壊特性も改善され、ウェットグリップ性と低転がり抵抗性との両立効果にも優れる理由から、湿式シリカが好ましい。
【0018】
本発明においては、上記シリカの含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して5〜80質量部であり、10〜70質量部であるのが好ましい。
【0019】
<ポリサルファイドポリマー>
本発明のゴム組成物に含有するポリサルファイドポリマーは、主鎖にジスルフィド結合を有し、両末端にメルカプト基を有するポリマーである。
【0020】
上記ポリサルファイドポリマーとしては、具体的には、例えば、下記式(1)で示されるポリマー等が挙げられる。
HS−(A−S
x)
m−ASH (1)
(式中、Aはオキシアルキレン基であり、xは1〜5の整数であり、mは1〜50の整数である。)
【0021】
上記式(1)中、Aで示されるオキシアルキレン基としては、具体的には、例えば、−CH
2OCH
2−、−C
2H
4OC
2H
4−、−C
2H
4OCH
2OC
2H
4−、−C
3H
6OC
3H
6−、−C
4H
8OC
4H
8−等が挙げられる。
また、上記式(1)中、xは1〜3の整数であるのが好ましく、mは6〜50の整数であるのが好ましい。
【0022】
また、上記ポリサルファイドポリマーは、通常、常温で流動性を有し、その数平均分子量は、500〜250000であるのが好ましく、1000〜10000であるのがより好ましい。
【0023】
このようなポリサルファイドポリマーとしては、市販品を用いることができ、例えば、下記第1表に挙げるもの(いずれも東レチオコール社製)等を用いることができる。
【表1】
【0024】
一方、上記ポリサルファイドポリマーとしては、主鎖中に、−(R
1O)
n−(ここでR
1は炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは6〜200の整数である。)で示されるポリエーテル単位と、−C
2H
4OCH
2OC
2H
4S
x−および−CH
2CH(OH)CH
2S
x−(ここでxは1〜5の整数である。)で示されるポリサルファイド単位とを有し、かつ、末端に−C
2H
4OCH
2OC
2H
4SHおよび/または−CH
2CH(OH)CH
2SHで示されるチオール基(メルカプト基含有基)を有するポリサルファイドポリエーテルポリマーも好ましく挙げられる。
このようなポリサルファイドポリエーテルポリマーとしては、具体的には、例えば、チオコールLP−282(東レチオコール社製)等が挙げられる。
【0025】
本発明においては、上記ポリサルファイドポリマーの含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して2〜50質量部であり、5〜40質量部であるのが好ましい。
【0026】
本発明においては、上記シリカと上記ポリサルファイドポリマーとを上述した質量部で用い、かつ、上記シリカと上記ポリサルファイドポリマーとの質量比(シリカ/ポリサルファイドポリマー)を0.5〜7とすることより、耐摩耗性を維持し、氷上摩擦力に優れたタイヤを作製することができる。
ここで、上記シリカは、上記ポリサルファイドポリマーの表面で水素結合および/または加水分解縮合反応による結合を形成することにより、
図1に示すように、ポリサルファイドポリマー11とシリカ12との会合体10が形成されてい
る。
そして、この会合体がタイヤのトレッド部の表面に凹凸を形成させることにより、アルミナ、ガラス粒子、植物性粒状体等を用いて凹凸を形成させた場合と比較して、トレッド部からの剥落し難くなり、耐摩耗性を維持しつつ氷上摩擦力に優れたタイヤになると考えられる。
【0027】
また、本発明においては、上記シリカと上記ポリサルファイドポリマーとの質量比(シリカ/ポリサルファイドポリマー)は、上記会合体の形成が促進され、氷上摩擦力により優れたタイヤを作製できる理由から、0.5〜6であるのが好ましく、2.5〜5であるのがより好ましい。
【0028】
<シランカップリング剤>
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上記シリカ、特に、上記ポリサルファイドポリマーと会合せずに残存したシリカを分散させ、加硫後の引張強さ、切断時伸び等の物性を向上させる観点から、上記シリカ100質量部に対して、シランカップリング剤を0.1〜10質量部含有するのが好ましく、1〜10質量部含有するのがより好ましい。
上記シランカップリング剤は特に限定されないが、含硫黄シランカップリング剤が好ましく、その具体例としては、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシラン、ビス−(3−ビストリエトキシシリルプロピル)−テトラスルフィド、ビス−(3−ビストリエトキシシリルプロピル)−ジスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
<熱膨張性マイクロカプセル>
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、氷上摩擦力により優れたタイヤを作製できる理由から、熱によって気化または膨張して気体を発生させる物質を内包した熱可塑性樹脂粒子からなる熱膨張性マイクロカプセルを含有するのが好ましい。
ここで、上記熱膨張性マイクロカプセルは、上記物質の気化または膨張開始温度以上の温度(例えば、140〜190℃、好ましくは150〜180℃)で加熱することにより、上記熱可塑性樹脂からなる外殻中に気体が封入されたマイクロカプセルとなる。
また、上記熱膨張性マイクロカプセルの粒子径は特に限定されないが、膨張前において、5〜300μmであるのが好ましく、10〜200μmであるのがより好ましい。
このような熱膨張性マイクロカプセルは、例えば、スウェーデンのEXPANCEL社製の商品名「エクスパンセル091DU−80」や「エクスパンセル092DU−120」、松本油脂製薬社製の商品名「マツモトマイクロスフェアーF−85」や「マツモトマイクロスフェアーF−100」等として入手可能である。
【0030】
本発明においては、上記熱膨張性マイクロカプセルの殻材は、主成分となる単量体がニトリル系単量体(I)であり、分子中に不飽和二重結合とカルボキシル基を有する単量体(II)、2以上の重合性二重結合を有する単量体(III)、および、必要に応じて膨張特性を調整するために上記単量体と共重合可能な単量体(IV)から重合した熱可塑性樹脂から構成される。
【0031】
ニトリル系単量体(I)としては、具体的には、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル、および、これらの混合物等が挙げられる。
これらのうち、アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルであるのが好ましい。
また、ニトリル系単量体(I)の共重合比は、35〜95質量%であるのが好ましく、45〜90重量%であるのがより好ましい。
【0032】
分子中に不飽和二重結合とカルボキシル基を有する単量体(II)としては、具体的には、例えば、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、イタコン酸、スチレンスルホン酸又はナトリウム塩、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、および、これらの混合物等が挙げられる。
単量体(II)の共重合比は、4〜60質量%であるのが好ましく、10〜50重質量%であるのがより好ましい。単量体(II)の共重合比が4重量%以上であると、高温領域においても膨張性を十分に維持することができる。
【0033】
2以上の重合性二重結合を有するモノマー(III)としては、具体的には、例えば、芳香族ジビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等)、メタクリル酸アリル、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、重量平均分子量が200のポリエチレングリコール(PEG#200)ジ(メタ)アクリレート、重量平均分子量が400のポリエチレングリコール(PEG#400)ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、および、これらの混合物等が挙げられる。
単量体(III)の共重合比は、0.05〜5質量%であるのが好ましく、0.2〜3質量%であるのがより好ましい。単量体(III)の共重合比がこの範囲であると、高温領域においても膨張性を十分に維持することができる。
【0034】
必要に応じて使用することができる共重合可能な単量体(IV)としては、具体的には、例えば、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、スチレンスルホン酸またはそのナトリウム塩、α−メチルスチレン、クロロスチレンなどスチレン系モノマー、アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミドなどを例示することができる。
単量体(IV)は任意成分であり、これを添加するときは、共重合比は、0.05〜20質量%であるのが好ましく、1〜15重量%であるのがより好ましい。
【0035】
上記熱膨張性マイクロカプセル中に含まれる熱により気化して気体を発生する物質としては、具体的には、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、石油エーテルなどの炭化水素類;塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロルエチレンなどの塩素化炭化水素;等のような液体、または、アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、トルエンスルホニルヒドラジド誘導体、芳香族スクシニルヒドラジド誘導体等のような固体が挙げられる。
【0036】
本発明においては、上記熱膨張性マイクロカプセルの含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して1〜15質量部であるのが好ましく、1〜10質量部であるのがより好ましい。
【0037】
本発明のゴム組成物には、上述した成分の他に、シリカ以外のフィラー(例えば、カーボンブラック等)、老化防止剤、軟化剤、加工助剤、亜鉛華、ステアリン酸、加硫剤、加硫促進剤等のタイヤ用ゴム組成物に一般的に用いられている各種の添加剤を配合することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
なお、本発明においては、軟化剤として通常配合されるオイル(特に、アロマオイル)の一部または全部を上述したポリサルファイドポリマーで置換してもよい。ここで、一部を置換する場合、ポリサルファイドポリマーと併用するオイルとしては、芳香族系プロセス油、ナフテン系プロセス油、パラフィン系プロセス油等が挙げられ、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜60質量部配合されることが好ましい。
【0038】
本発明のゴム組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等)を用いて、混練する方法等が挙げられる。なお、上記シリカおよび上記ポリサルファイドポリマーは、上述した会合体の形成を促進させる観点から、これらを予め混合した混合物を他の成分と混練することが好ましい。
また、本発明のゴム組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
【0039】
〔タイヤ〕
本発明の空気入りスタッドレスタイヤ(以下、単に「本発明のタイヤ」ともいう。)は、本発明のタイヤ用ゴム組成物から構成されるトレッド部を有する空気入りスタッドレスタイヤである。
図2に、本発明のタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明のタイヤは
図2に示す態様に限定されるものではない。
【0040】
図2において、符号1はビード部を表し、符号2はサイドウォール部を表し、符号3は本発明のタイヤ用ゴム組成物から構成されるトレッド部を表す。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、トレッド3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
【0041】
本発明のタイヤは、例えば、本発明のゴム組成物に用いられたジエン系ゴム、加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤の種類およびその配合割合に応じた温度で加硫または架橋し、トレッド部等を形成することにより製造することができる。
【実施例】
【0042】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜6および比較例1〜5)
下記第2表に示す成分を、下記第2表に示す割合(質量部)で配合した。
具体的には、まず、下記第2表に示す成分のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分を、2リットルの密閉型ミキサーで5分間混練し、150℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。
次に、得られたマスターバッチに硫黄および加硫促進剤をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。
次に、得られたゴム組成物をランボーン摩耗用金型(直径63.5mm、厚さ5mmの円板状)中で、170℃で15分間加硫して加硫ゴムシートを作製した。
【0043】
<氷上摩擦係数指数>
上記で作製した加硫ゴムシートを偏平円柱状の台ゴムにはりつけ、インサイドドラム型氷上摩擦試験機にて、測定温度:−1.5℃、荷重:5.5kg/cm
3、ドラム回転速度:25km/時間の条件で、氷上摩擦係数を測定した。
氷上摩擦係数指数は、比較例1の氷上摩擦係数を100として、次式により指数化したものであり、数値が大きいほどゴムと氷の摩擦力が良好であることを示す。
氷上摩擦係数指数=(試料の氷上摩擦係数/比較例1の氷上摩擦係数)×100
【0044】
<耐摩耗性>
上記で作製した加硫ゴムシートを、ランボーン摩耗試験機(株式会社岩本製作所製)を使用して、JIS K6264に準拠し、荷重4.0kg、スリップ率30%の条件にて測定し、試料の摩耗量を計測した。
耐摩耗性は、比較例1の摩耗量を100として、次式により指数化したものであり、数値が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
耐摩耗性=(比較例1の摩耗量/試料の摩耗量)×100
【0045】
【表2】
【0046】
上記第2表中の各成分は、以下のものを使用した。
・天然ゴム:RSS#3(ガラス転移温度:−72℃)
・ブタジエンゴム:Nipol BR 1220(ガラス転移温度:−54℃、日本ゼオン社製)
・カーボンブラック:シースト6(東海カーボン社製)
・シランカップリング剤:Si69(デグサ社製)
・酸化亜鉛:酸化亜鉛3種(正同化学工業社製)
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸(日本油脂社製)
・老化防止剤:N−フェニル−N′−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(サントフレックス6PPD、フレキシス社製)
・ワックス:パラフィンワックス(大内新興化学工業社製)
・アロマオイル:ダイアナプロセスAH−20(出光興産社製)
・硫黄:金華印油入微粉硫黄(鶴見化学工業社製)
・加硫促進剤:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(ノクセラーCZ−G、大内新興化学工業社製)
・熱膨張マイクロカプセル:マイクロスフェアーF100(松本油脂製薬社製)
【0047】
・シリカ:Nipsil AQ(日本シリカ工業社製)
・ポリサルファイドポリマー:チオコールLP32(東レチオコール社製)
・シリカ/ポリサルファイドポリマー:上記シリカと上記ポリサルファイドポリマーとを上記第2表中の質量部で混練し、予め混合物としたもの。
【0048】
上記第2表に示す結果から、ポリサルファイドポリマーを少量配合した比較例2のゴム組成物では、比較例1のゴム組成物と同等程度の性能になることが分かった。
また、ポリサルファイドポリマーを過剰に配合する場合、シリカおよびポリサルファイドポリマーを別々に配合しても、予め調製した混合物を配合しても、比較例1のゴム組成物よりも耐摩耗性が劣ることが分かった(比較例3および4)。
更に、シリカおよびポリサルファイドポリマーをいずれも所定量配合しても、これらの質量比(シリカ/ポリサルファイドポリマー)が0.5を下回る場合、意外にも、比較例1のゴム組成物よりも耐摩耗性が劣ることが分かった(比較例5)。
これに対し、ジエン系ゴムに対して、シリカとポリサルファイドポリマーとを特定量併用したゴム組成物は、比較例1のゴム組成物と比較すると、耐摩耗性は5%程度の低減で維持され、かつ、氷上摩擦力が向上していることが分かった(実施例1〜6)。
特に、熱膨張マイクロカプセルを配合して調製した実施例6のゴム組成物は、同じ組成の実施例2や実施例5と比較しても、氷上摩擦力が格段に向上していることが分かった。