(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特開2009−222297号公報のパネルラジエータでは、上部及び下部横パイプが上枠及び下枠で覆われているが、この上枠及び下枠は1対の側枠同士の間に挟持されているため、容易には着脱できない。
【0005】
本発明は、上部及び下部のヘッダーと、上下方向に延設された合成樹脂製放熱管と、各ヘッダーを覆うカバーとを有するパネルラジエータであって、該カバーを容易に着脱することができるパネルラジエータを提供することを目的とする。
【0006】
また、上記特開2009−222297号公報のパネルラジエータでは、上部及び下部横パイプが側枠同士の間に挟持され、固定されている。そのため、パネルラジエータの左右の幅員を変えるには、横パイプとして長さの異なるものを製作する必要があり、幅員の異なるパネルラジエータを製作する場合、コスト高となり製作日数も長くなる。
【0007】
本発明は、その一態様において、上部及び下部のヘッダーと、上下方向に延設された合成樹脂製放熱管と、各ヘッダーを覆うカバーとを有するパネルラジエータであって、幅員の異なるパネルラジエータを容易に製作することができるパネルラジエータとその立設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(請求項1)のパネルラジエータは、上下方向に設置される枠状のフレームと、該フレームの上部に設置されるか又は該フレームの上部を構成している上部ヘッダーと、該フレームの下部に設置されるか又は該フレームの下部を構成している下部ヘッダーと、該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に架設された合成樹脂製の複数の放熱管とを有するパネルラジエータにおいて、該放熱管が挿通された挿通孔を有し、該上部ヘッダーと下部ヘッダーとの間に配置され、該フレームに取り付けられた透明又は半透明のスルーパネル
(20)が設けられており、該上部ヘッダーを覆う上部カバーと、該下部ヘッダーを覆う下部カバーとがそれぞれ設けられており、
該フレームは、縦材(4A)としてパネルラジエータの正面視において左辺に位置する左縦材、右辺に位置する右縦材、及び該左縦材と右縦材との間に位置する少なくとも1本の中間縦材とを備えており、各縦材の上端同士及び下端同士が横材又は前記ヘッダーによって連結されており、各縦材(4A)は、略円筒状であり、外周面の4等分位置に溝部(4a〜4d)が設けられており、各縦材のパネルラジエータ面方向の両側面の溝部(4b,4d)に該スルーパネル(20)の側辺部が係合しており、前記上部カバー(16)及び下部カバー(17)は、それぞれ、隣接する縦材間に跨る幅を有した長方形のパネル部(41)と、該パネル部(41)の一方の側端面に設けられた凸条部(45)及び他方の側端面に設けられた凹条部(44)と、パネル部(41)の左右の側辺部に沿って上下方向に延設されたリブ部(43)とを有したパネルカバー(40)を備えており、隣接するパネルカバー(40)の凸条部(45)と凹条部(44)とが係合しており、各パネルカバー(40)のリブ部(43)が縦材(4A)のパネル厚み方向に対峙する溝部(4a,4c)に係合しており、該左縦材及び右縦材の外面のうち、パネル面方向の外向きの半周面は、半円筒状のサイドカバー(30)で覆われており、該サイドカバー(30)は、半円筒形状部(31)と、この半円筒形状部(31)の内周面のうち円弧方向の中間部において上下方向に延設された2条のリブ(32,32)と、半円筒形状部(31)の長手方向に延在する一方の端面に設けられた凸条部33と、他方の端面に設けられた凹条部(34)とを有しており、凸条部(33)がパネルカバー(40)の凹条部(44)に係合し、凹条部(34)がパネルカバー(40)の凸条部(43)に係合し、リブ部(32)が縦材(4A)の溝部(4b又は4d)に係合していることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2のパネルラジエータは、請求項1において、前記上部カバーはスルーパネルの上端部から上部ヘッダーまでを覆い、前記下部カバーは、スルーパネルの下端部から下部ヘッダーまでを覆っていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項
3のパネルラジエータは、請求項1
又は2において、少なくとも一部の前記放熱管の外面が着色されていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明(請求項
4)のパネルラジエータの立設方法は、請求項1ないし
3のいずれか1項のパネルラジエータを天井と床との間に立設するパネルラジエータの立設方法であって、アジャスターボルトを前記フレームから突出させることにより、前記上部カバー及び下部カバーを有しないパネルラジエータを突っ張らせた状態で天井及び床に固定し、その後、該上部カバー及び下部カバーをそれぞれ装着することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のパネルラジエータ及びその立設方法では、上部ヘッダー及び下部ヘッダーを覆う上部カバー及び下部カバーがそれぞれ複数個のパーツを着脱可能に結合した組立式カバーであるので、容易に着脱することができる。
【0017】
本発明によれば、パネルラジエータをカバーなしの状態で立設し、その後カバーを装着することにより、パネルラジエータを容易に立設することができる。また、既設のパネルラジエータからカバーを取り外し、上部ヘッダーや下部ヘッダーをメンテナンスすることも容易である。
【0018】
このパネルラジエータは、壁に沿った位置だけでなく、壁から離隔した位置に間仕切り状に設置することもできる。パネルラジエータを間仕切り状に設置した場合には、パネルラジエータユニットの両側の部屋を暖房することができる。
【0019】
このパネルラジエータにスルーパネルを設け、このスルーパネルに放熱管を挿通配置することにより美観が向上する。
【0020】
なお、このスルーパネルを透明又は半透明とすることにより、放熱管から輻射される遠赤外線の透過率が高くなり、暖房効率が向上する。また、少なくとも一部の放熱管外面を着色することにより、独得の美観が付与される。
【0021】
本発明において、パネルラジエータのフレームを、左縦材、右縦材、中間縦材とで構成し、これらの縦材の上端同士及び下端同士がヘッダー又は横材で連結した場合、中間縦材の本数を容易に変えることにより幅員を容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】カバーを装着した状態のパネルラジエータ及びその設置構造を示す斜視図である。
【
図2】カバーを取り外した状態におけるパネルラジエータ及びその設置構造を示す斜視図である。
【
図3】温水通水停止時における、カバーを取り外した状態のパネルラジエータの構成を示す、下方から見上げた状態の斜視図である。
【
図4】温水通水時における、カバーを取り外した状態のパネルラジエータの構成を示す、下方から見上げた状態の斜視図である。
【
図5】(a)図は縦材の水平断面図、(b)図は縦材の斜視図である。
【
図6】(a)図は
図1のVI−VI線に沿う断面図、(b)図はスルーパネルの拡大断面図である。
【
図8】下部ヘッダーと縦材との取り付け方法を示す分解斜視図である。
【
図9】(a)図は、縦材とアジャスターボルトとの係合関係を示す斜視図、(b)図は同縦断面図である。
【
図11】(a)図はカバーの平面図、(b)図は
図10のXI−XI線断面図である。
【
図16】(a)図はカバーの組み付け状況を示す水平断面図、(b)図は
図1のXVI−XVI線断面図である。
【
図17】中間縦材へのカバーの取り付け状況を示す水平断面図であり、(a)図は分解図、(b)図は組付け図である。
【
図18】別の実施の形態におけるカバーを装着した状態のパネルラジエータ及びその設置構造を示す斜視図である。
【
図19】
図18のカバーを取り外した状態におけるパネルラジエータ及びその設置構造を示す斜視図である。
【
図20】温水通水停止時における、
図18のカバーを取り外した状態のパネルラジエータの構成を示す、下方から見上げた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0024】
第1図の通り、床1と天井2との間にパネルラジエータ3が立設されている。このパネルラジエータ3は、第2図〜第4図に示される通り、長方形枠状のフレーム4と、該フレーム4の上部に設置された上部ヘッダー5と、フレーム4の下部に設置された下部ヘッダー6と、該上部ヘッダー5と下部ヘッダー6との間に架設された放熱管7と、フレーム4の上部及び下部から突設されたアジャスターボルト8と、上部ヘッダー5をフレーム4の上部アングル4Bに吊支しているバネ(この実施の形態ではコイルバネ)10と、放熱管7が挿通された透明又は半透明のスルーパネル20等を備えている。
【0025】
フレーム4は、好ましくはアルミ等の軽金属よりなるものであり、正面視の左側の縦材4A、右側の縦材4A、及びそれらの間の中間縦材4Aと、隣り合う該縦材4A,4Aの上端同士の間に架設された上部アングル4Bと、縦材4A,4Aの下端同士の間に架設された下部ヘッダー6とにより構成されている。この実施の形態では、中間縦材は2本設けられており、合計4本の縦材が配設されている。隣り合う縦材4A,4A間にそれぞれ上部アングル4B、上部ヘッダー5、下部ヘッダー6、及びスルーパネル20が配置されている。
【0026】
この縦材4Aの水平断面形状について、第5図を参照して説明する。この縦材4Aはアルミ等の押出材よりなる略々円筒状であるが、外周面の4等分位置(第5図(a)の上、右、下、左)に溝部4a,4b,4c,4dが設けられている。溝部4a〜4d間の筒状体外周部は、円弧状部4eとなっている。溝部4b,4dは、第6図(a)のようにパネルラジエータ3のパネル面方向に対峙しており、該溝部4b,4dにスルーパネル20の側縁が係合する。溝部4a,4cは、パネル厚み方向に対峙している。該溝部4a,4cの入口側、すなわち、縦材4Aの外周面側の両縁部には、この外周面を延長した形状の張出片4f,4fが設けられている。
【0027】
この張出片4f,4fを利用してタオルハンガーなどの付属品を取付けることができる。
【0028】
第5図において、各溝部4a〜4dの内周面側から、縦材4Aの求心方向に(すなわち、軸心位置に向かって)リブ4g,4h,4i,4jが突設されている。各リブ4g〜4jの突出方向の先端は、縦材4Aの軸心かつ等半径に位置している。リブ4g〜4jの先端で囲まれるスペースが第9図(b)のアジャスターボルト8の挿入スペース4sである。第9図の通り、アジャスターボルト8の先端を該スペース4sに挿入し、アジャスターボルト8の途中のナット8Nと縦材4Aの端面との間に圧縮コイルバネ8Sが介在される。
【0029】
溝4a,4bと円弧状部4eとの間、溝4b,4cと円弧状部4eとの間、溝4c,4dと円弧状部4eとの間、溝4d,4aと円弧状部4eとの間が、それぞれビスの挿入スペース4tとなっている。このスペース4tにビスをねじ込むことにより、上部アングル4Bと下部ヘッダー6がそれぞれ縦材4A,4Aの上端及び下端に連結固定される。
【0030】
下部ヘッダー6の取付構造を第8図に示す。なお第8図は、この取付状況を示す下方から見上げた斜視図である。下部ヘッダー6の長手方向の両端から突片6tが突設され、この突片6tのビス挿通孔6hにテクスビス6gが挿通され、スペース4tにねじ込まれる。これにより、下部ヘッダー6が縦材4A,4Aの下端に固定されている。図示は省略するが、縦材4A,4Aの上端に対して上部アングル4Bの両端が同様にビス留めされる。
【0031】
第2図〜第4図の通り、正面視の右側の下部ヘッダー6には、床1の開口11を通過した循環往側の温水循環配管口の一端が接続され、左側の下部ヘッダー6には循環戻側の温水循環配管13の一端が接続されている。この配管12,13はポリブテン、架橋ポリエチレン等の合成樹脂よりなり、その他端はボイラや分岐ヘッダー(図示略)に接続されている。
【0032】
正面視で右側から1番目と2番目、2番目と3番目及び3番目と4番目(最左側)の下部ヘッダー6同士は、それぞれ合成樹脂製若しくは金属製の中継配管14によって接続されている。1つの下部ヘッダー16は、正面側の右半側に温水が導入される。この温水は、下部ヘッダー6の右半側に連なる各放熱管7を上昇し、上部ヘッダー5の右半側に入り、次いで、上部ヘッダー5の左半側からそれに連なる各放熱管7を流下し、下部ヘッダー6の左半側に流入し、中継配管14を介して隣接する下部ヘッダー6に流入する。
【0033】
ただし、温水循環配管12,13を各下部ヘッダー6にそれぞれ接続し、温水循環配管12からの温水が下部ヘッダー6の右半側からそれに連なる放熱管7を流れ、上部ヘッダー5の右半側から左半側へ流れ、該左半側に連なる放熱管7を通って、下部ヘッダー6の左半側に流入し、次いで温水循環配管13からボイラー等へ戻るようにしてもよい。
【0034】
放熱管7は、この実施の形態ではポリブテン、架橋ポリエチレン等の合成樹脂チューブよりなり、スルーパネル20に挿通され、上部ヘッダー5及び下部ヘッダー6に接続されている。
【0035】
第3図及び第4図に明示される通り、上部ヘッダー5は、上部アングル4Bよりも所定距離下方に位置しており、上部ヘッダー5と上部アングル4Bとの間には、所定の間隙があいている。この上部アングル4Bに対し上部ヘッダー5がコイルバネ10によって吊り支えられており、温水を放熱管7に通水して放熱管7が熱膨張により伸長したときの伸びを吸収するように構成されている。第7図の通り、フレーム4の縦材4Aの上端部の溝部4b又は4dに対し、バネ10の約半分が配置され、溝部4b又は4dに沿って上下方向に伸縮可能とされている。
【0036】
放熱管7が挿通されたスルーパネル20は、ポリカーボネート等の透明又は半透明な合成樹脂よりなる。このスルーパネル20は、第6図(b)、第16図及び第17図の通り、平行な1対の主板面21,21と、該主板面21,21同士を接続するリブ部22とを有したハーモニカ形断面形状となっており、隣接するリブ部22同士の間が放熱管7の挿通孔23となっている。リブ部22は主板面21と垂直である。挿通孔23は、縦材4Aと平行方向に延在する。挿通孔23は、方形断面形状である。
【0037】
図示は省略するが、前記上部ヘッダー5には、下面側にタケノコ形(すなわち、先細状のテーパ部が多段に連設された形状)のノズル状の接続部が突設されている。放熱管7の上端をこの接続部に差し込み、バンドを外嵌させて締め付け、抜け止めする。また、各放熱管7の下端にジョイントが装着され、このジョイントが下部ヘッダー6のユニオン継手部に差し込まれ、クリップによって連結される。
【0038】
前述の通り、この実施の形態では4本の縦材4Aが立設されているので、合計3枚のスルーパネル20が配設され、各スルーパネル20の上側、下側にそれぞれ上部ヘッダー5及び下部ヘッダー6が配置されている。ただし、縦材4Aの本数は3本又は5本以上であってもよく、従って、それらの間に配置されるスルーパネル20も2枚又は4枚以上であってもよい。一般に、縦材4Aをn(nは3以上の整数)本立設した場合、上部ヘッダー5、上部アングル4B、下部ヘッダー6及びスルーパネル20は(n−1)個ずつ設置される。
【0039】
パネルラジエータ3を床1と天井2との間に間仕切り状に立設するには、ヘッダー5,6、スルーパネル20、放熱管7、アジャスターボルト8及びコイルバネ10を備えたフレーム4を部屋のパネルラジエータ設置予定位置にて起立させる。なお、下側のアジャスターボルト8と床1との間、及び上側のアジャスターボルト8と天井2との間には、ゴム、合成樹脂等よりなる固定座9又はパッキンを介在させるのが好ましい。次いで、パネルラジエータ3が鉛直となるように支えた状態で、アジャスターボルト8のナット8Nを回して縦材4Aからの突出長さを増大させ、パネルラジエータ3を床1と天井2との間で突っ張らせて固定する。
【0040】
次いで、温水循環配管12,13を下部ヘッダー6に接続する。その後、フレーム4の上部にカバー16を取り付け、フレーム4の下部にカバー17を取り付け、各ヘッダー5,6を隠蔽する。
【0041】
次に、上部カバー16及び下部カバー17の構成について説明する。これらのカバー16,17は同一構造のものであり、使用状態が上向きであるか下向きであるかにおいてのみ相違するので、下部カバー17について説明する。
【0042】
第10〜16図の通り、カバー17は1対のサイドカバー30と、複数対(この実施の形態では3対)のパネルカバー40とからなる8パーツの組み合せ方式のものである。
【0043】
サイドカバー30は、半円筒形状部31と、この半円筒形状部31の内周面のうち円弧方向の中間部において上下方向に延設された2条のリブ32,32と、半円筒形状部31の長手方向に延在する一方の端面に設けられた凸条部33と、他方の端面に設けられた凹条部34とを有する。
【0044】
パネルカバー40は、縦材4A,4A間に跨がる幅を有した長方形のパネル部41と、該パネル部41の上辺から張り出す張出部42と、パネル部41の左右の側辺部に沿ってそれぞれ上下方向に延設されたリブ部43とを有する。張出部42の長手方向の両端側は四分円弧状の湾曲部42aとなっている。この湾曲部42aは、縦材4Aの円弧状部4eに係合する形状及び大きさとなっている。パネル部41の一方の側端面には凹条部44が設けられ、他方の側端面には凸条部45が設けられている。なお、パネル部41に、その剛性を高めるために、適宜のリブを設けてもよい。
カバー17をパネルラジエータ3に装着するには、パネルカバー40をパネルラジエータ3の正面側において隣接縦材4A,4Aに跨がるように配置し、第17図の如く、湾曲部42aを縦材4Aの円弧状部4eに係合させると共に、リブ部43を縦材4Aの溝部4cに係合させる。パネルラジエータの反対側においても、パネルカバー40を隣接縦材4A,4A間に跨がるように同様に配置し、リブ部43を縦材4Aの溝部4aに係合させる。なお、隣接するパネルカバー40の凹条部44と凸条部45とを係合させる。
【0045】
次いで、第16図の如く、サイドカバー30を左端側及び右端側の各縦材4Aの外面に重ね合わせ、凸条部33をパネルカバー40の凹条部44に係合させ、凹条部34をパネルカバー40の凸条部43に係合させ、さらに、リブ部32を縦材4Aの溝部4b又は4dに係合させる。サイドカバー30は、左右の縦材4Aの外面のうち、パネル面方向の外向きの半周面を覆う。
【0046】
カバー16は、カバー17を上下逆にすること以外は同様にしてパネルラジエータ3に装着される。
【0047】
第1図の通り、上部カバー16は天井2からスルーパネル20の上端部付近までを覆い、下部カバー17は床1からスルーパネル20の下端部付近までを覆う。パネルカバー40に張出部42が設けられており、この張出部42がスルーパネル20に当接するか又は近接することにより、カバー16,17内が隠蔽される。
【0048】
このように構成されたパネルラジエータ3にあっては、ヘッダー5,6がカバー16,17で隠蔽され、また、放熱管7が透明又は半透明のスルーパネル20で覆われるので、美観に優れる。この放熱管7の少なくとも一部を、外面が青、赤、緑又はこれらの中間色などの有彩色となっているカラー放熱管とすることにより、独得の美観が醸し出される。
【0049】
このパネルラジエータ3の放熱管7に温水を循環通水することにより、熱がパネルラジエータ3の両面から輻射される。スルーパネル20が透明又は半透明であるので、放熱管7からの遠赤外線が効率よく部屋内に放射される。
【0050】
温水を通水することにより、第4図のように放熱管7が熱膨張して伸長し、また温水通水を停止すると、第3図のように放熱管7が縮んで短くなるが、この放熱管7の伸縮はバネ10によって吸収される。この実施の形態では、上部ヘッダー5の両端を吊支するバネ10がそれぞれ溝4b,dに収容されているので、上部ヘッダー5の揺れ動きが防止される。
【0051】
この実施の形態では、下部ヘッダー6が固定状態となっているので、下部ヘッダー6と温水循環配管12,13との接続部に放熱管7の熱膨張による応力が負荷されず、この接続部の耐久性が良好である。
【0052】
既設のパネルラジエータ3のヘッダー5,6のメンテナンス等を行う場合には、サイドカバー30をパネルカバー40から離反させることにより、カバー16,17を容易に取り外すことができる。また、既設のパネルラジエータ3からカバー16又は17を取り外し、最左端又は最右端の縦材4Aに平行に新たな縦材4Aを配置すると共に、この縦材4A,4A間にヘッダー5,6、スルーパネル20、上部アングル4Bを配置してパネルラジエータ3の幅員を増大させることができる。同様に、既設のパネルラジエータ3から縦材4A及びヘッダー5,6、スルーパネル20、上部アングル4Bを取り外して、該パネルラジエータ3の幅員を小さくすることもできる。
【0053】
パネルラジエータ3は、2本の縦材4A,4Aと1個ずつの上部ヘッダー5、下部ヘッダー6及びスルーパネル20にて構成されてもよい。第18図〜第22図は、かかる構成を示すものであり、第18,19,20図は前記実施の形態の第1,2,3図に相当し、第21図は第6図(a)に相当し、第22図は第10図に相当する。第18図〜第21図の通り、2本の縦材4A,4A間の上部と下部に上部ヘッダー5と下部ヘッダー6が1個ずつ配置され、それらの間に1枚のスルーパネル20が配置され、スルーパネル20に放熱管7が挿通されている。スルーパネル20の左右両側辺が左側縦材4Aの溝部4bと右側縦材4Aの溝部4dに係合している。上部ヘッダー5からスルーパネル20の上部にかけて、また、下部ヘッダー6からスルーパネル20の下部にかけてそれぞれカバー17が設けられている。この場合、カバー17は、第22図の通り、1対のサイドカバー30,30と1対のパネルカバー40,40とからなる4パーツの組み合せ式のものである。
【0054】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の態様とされてもよい。例えば、1対のヘッダー5,6間の放熱管7の本数は図示以外でもよい。上部ヘッダー5を縦材4A,4A間に架設し、下部ヘッダー6を上下動可能にバネによって支えてもよい。
【0055】
なお、特に本発明を限定するものではないが、前記バネ10としては、線径1mmのピアノ線を直径(外径)8.6mmに巻回したものであって、40mm変形(伸長)時の引張荷重が5kgfであるものを用いることができる。
【0056】
本発明のパネルラジエータは壁に沿って立設されてもよい。