【実施例1】
【0023】
図1〜
図5は、本発明の第1実施例を示すファンの各図である。まず、
図1〜
図3に示すファンの構成について説明すると、1はドラム状に形成された樹脂製の羽根車、2はファンの外郭をなす扁平状のケーシングで、羽根車1はケーシング2の内部において、回転軸3を中心に回動自在な状態で収容保持される。ケーシング2は、その上面と側面をなすケース部材4と、その下面をなすカバー部材5とを組み合わせて構成され、ケース部材4の下部開口を覆うようにカバー部材5が装着される。ケーシング2の上面には、羽根車1の軸方向上部に対向して吸気口7が設けられ、またケーシング2の側面には、羽根車1の外周方向側部に対向して排気口8が設けられる。つまり、吸気口7と排気口8は羽根車1の周囲にあって、互いに直交する位置に開口して設けられている。
【0024】
前記羽根車1は、中央にカップ状のボス部11を有する主板12と、主板12の外周部より軸方向すなわち垂直に配置した複数枚の同一形状をなす羽根13と、各羽根13の上端を連結するリング状の上側シュラウド14と、羽根車1ひいては羽根13の軸方向の中間部に位置し、各羽根13を連結するようにリング状に形成される板状の第1整流板15と、を備えて構成される。ボス部11の中央には回転軸3の上端が嵌合され、そこからケーシング2の下面に向けて垂直に延びる回転軸3が、カバー部材5に設けた軸受要素(図示せず)に軸支される。また、ボス部11の内周部には、着磁されたマグネット16を有する金属製のロータフレーム17が嵌合され、ロータフレーム17に対向して、回転軸3の周囲に図示しないステータ(固定子)が装着される。このステータには給電用のリード線18が接続されており、ステータとマグネット16との電磁気的作用によって、ロータフレーム17に取付けられた羽根車1が、回転軸3を中心に回転するようになっている。
【0025】
前述した羽根車1の主板12は、ボス部11の外周側面を基端として、そこから下方に向けて羽根車1の外周方向に広がる傾斜した連結部21と、この連結部21の先端に設けられ、その上面に複数枚の羽根13を等間隔に配置する下側シュラウド22をそれぞれ備えている。なお連結部21は、
図1に示すように、ボス部11と下側シュラウド22との間を部分的に連結するスポーク状のものでもよいし、
図2や
図3に示すように、ボス部11と下側シュラウド22との間を隙間なく連結する漏斗状のものでもよい。
図1に示すものでは、複数の連結部21間に開口23が形成されるので、この開口23に対向してケース部材4にも吸気口(図示せず)を設けて、開口23を通してケーシング2の下側から羽根車1に空気を取り入れる構成としてもよい。いずれにせよ、羽根13はボス部11の外周側面を取り囲むように、ボス部11から間隔を有して羽根車1の外周に設けられる。
【0026】
板状の上側シュラウド14と下側シュラウド22は、何れも回転軸3と直交するように、羽根13の上端と下端にそれぞれ水平に配置される。第1整流板15は、この上側シュラウド14と下側シュラウド22との間に、各羽根13を横切るように配置されており、水平に配置された上側シュラウド14や下側シュラウド22とは異なり、羽根車1の外周に向けて下向きに傾斜して設けられている。
【0027】
次に、上記構成におけるモータの作用について説明する。リード線18を介して図示しないステータの巻線に通電すると、マグネット16との電磁気的作用によってロータフレーム17に取付けられた羽根車1に回転力が発生し、ケーシング2の吸気口7から入る空気の流れが、羽根車1の遠心力により回転軸3に沿った方向から羽根車1の外周方向に転換され、各羽根13の間を通過してケーシング2の排気口8から送出される。
【0028】
このときのケーシング2内部における空気の流れをより詳しく説明すると、羽根車1の回転に伴い、吸気口7からケーシング2の内部に取り込まれた空気は、吸気口7に向けて突き出したボス部11を避けるようにして、ボス部11の外周側面と羽根13との間に形成される羽根車1の空気取り入れ口25から、回転軸3に沿って下向きに進入する。空気取り入れ口25に進入した空気は、羽根車1の遠心力が作用して、羽根車1の外周方向へと次第にその流れの向きを変えながら流れて行くが、その流れの一部は、隣接する羽根13の間を通過する際に、第1整流板15によって羽根13の下側に向かうことなく羽根13の上側に誘導され、羽根車1の外周端から空洞状のケーシング2内を通って排気口8に送り出される(
図3の空気流S1を参照)。一方、空気取り入れ口25に進入した他の空気は、第1整流板15によって羽根13の上側に向かうことなく羽根13の下側に誘導され、羽根車1の外周端から同様にケーシング2内を通って排気口8に送り出される(
図3の空気流S2を参照)。
【0029】
このように、各羽根13の軸方向の中間部に第1整流板15を設けただけの構成でありながら、羽根車1の上側から進入する風の一部を、羽根13の上側にも誘導して、吸気口7から取り込んだ風を排気口8において局所的に偏らせることなく均一に分布させることが可能になる。また、第1整流板15は水平にではなく、羽根車1の外周に向けて下向きになるように設けられるので、空気取り入れ口25から羽根13の上側および下側に区画してそれぞれ誘導される風が、途中で第1整流板15に突き当たって大きく阻害されることなく、第1整流板15に沿ってスムーズに案内されながら流れる。
【0030】
実験では、このような構造の第1整流板15を設けたことにより、低域回転域において約2dB(7%)の騒音改善効果が認められ、また実負荷領域(風速:0.22m
3/min,静圧)において、約1dB(43dB→42dB)の騒音改善効果が認められた。
【0031】
図4は、上記実施例の好ましい変形例となるファンの要部断面図である。同図において、ここでは羽根13の下端を基準として、ボス部11の軸方向に沿った上端までの高さをh1とし、各羽根13の上端までの高さをh2とすると、ボス部11の高さは羽根13の高さの2/3以下に形成される。その他の構成は、
図1〜
図3に示したファンと共通である。
【0032】
本例においても、羽根車1の回転に伴い、吸気口7からケーシング2の内部に取り込まれた空気が、吸気口7に向けて突き出したボス部11を避けるようにして、ボス部11の外周側面と羽根13との間に形成される羽根車1の空気取り入れ口25から、回転軸3に沿って下向きに進入する。その際、ボス部11の高さh1を羽根13の高さh2の2/3以下に抑制することで、吸気口7から羽根13への風の流れに対するボス部11の抵抗分を低減して、羽根部1により大きな空気取り入れ口25を形成することができ、ファンを実機に組込んだ時の騒音をより低減することが可能になる。なお、その後の空気の流れについては、
図1〜
図3の実施例で説明した通りであるので、ここでは省略する。
【0033】
実験では、
図4に示すような構造のボス部11としたことにより、低域回転域において約3dB(7%)の騒音改善効果が認められ、また実負荷領域(風速:0.22m
3/min,静圧)において、約2dB(43dB→41dB)の騒音改善効果が認められた。
【0034】
図5は、上記実施例のさらに好ましい変形例となるケース部材4の下部開口側から見た斜視図である。同図において、ケース部材4の内側面には、排気口8の近傍に向かい合うようにして、薄板状の第2整流板29が設けられている。第2整流板29はケース部材4と一体的に、且つ羽根車1から排気口8に向かう風の抵抗を極力受けないように、回転軸3に沿って略垂直に形成される。ここでは、ケース部材4に第2整流板29を設けているが、代わりに若しくは追加してカバー部材5に設けてもよく、要するにケーシング2を構成する部材に一乃至複数設けられていればよい。その他の構成については、上記
図1〜
図4の各例と共通である。
【0035】
前述したように、第1整流板15を挟んで羽根13の上側から送り出される空気と、羽根13の下側から送り出される空気が、ケーシング2内を通って排気口8に送り出されるが、それらの羽根車1の外周端からの各空気は、第2整流板29によって全て排気口8へ向かう流れに整えられる。したがって、上記の各例よりもさらに羽根車1の軸方向の流速分布を改善できる他、排気口8に向かう外周方向の流速分布も改善できる。なお、その他の空気の流れについては、
図1〜
図4の各例で説明した通りであるので、ここでは省略する。
【0036】
以上のように本実施例のファンは、羽根車1と、羽根車1の軸方向に吸気口7を設け、羽根車1の外周方向に排気口8を設けたケーシング2とを有してなり、羽根車1の軸方向の中間部に第1整流板15を配置し、この第1整流板15は羽根車1の外周に向けて下向きに設けられている。
【0037】
このようにすると、羽根車1の回転に伴って吸気口7から吸い込んだ風の一部を、第1整流板15によって羽根車1の吸気口7に向かう上側から排気口8へも誘導できると共に、残りの風を第1整流板15を挟んで羽根車1の吸気口7とは反対に向かう下側に導びいて、その風の流れを大きく阻害することなく排気口8へ誘導することができる。その結果、第1整流板15の一側である上側と他側である下側で、それぞれ風の流れを適切に調整して、排気口8での流速分布を均一にすることが可能になり、ファンを実機に組込んだ時の騒音低減に寄与することができる。
【0038】
また本実施例の変形例では、羽根車1がボス部11の周囲に複数の羽根13を配置してなり、ボス部11の高さh1は羽根13の高さh2の2/3以下となるように形成されている。
【0039】
このように、ボス部11の高さh1を羽根13の高さh2の2/3以下に抑制すると、吸気口7から羽根13への風の流れに対するボス部11の抵抗分を低減でき、実機組込み時における騒音をより低減することが可能になる。
【0040】
さらに本実施例の別な変形例では、ケーシング2の内部に第2整流板29を設けている。このように、ケーシング2の内部にも別な第2整流板29を設けることで、羽根車1の軸方向の流速分布を改善できる他、排気口8に向かう外周方向の流速分布も改善できる。
【実施例2】
【0041】
図6〜
図10は、本発明の第2実施例を示すファンの各図である。
図6〜
図8に示すファンの構成について、特に第1実施例との相違点を説明すると、ケーシング2は、第1実施例と同様にケース部材4とカバー部材5とを組み合わせて構成されるが、ここでのケース部材4はケーシング2の側面と下面を形成し、またカバー部材5はケーシング2の上面を形成している。またケース部材4の中央には、カバー部材5に向けて上方に突出する筒状のスリーブ31が一体的に形成され、そのスリーブ31内に回転軸3を軸支する軸受要素32が嵌合される。勿論、それに代わって、ケーシング2を第1実施例で示したような構成にしても構わないし、逆に本実施例で示したスリーブ31や軸受要素32を含めたケーシング2の構成を、第1実施例に適用させても構わない。
【0042】
回転軸3の周囲において、スリーブ31の外周には、ボス部11で覆われるようにステータ33が装着される。このステータ31とマグネット16との電磁気的作用によって、ロータフレーム17に取付けられた羽根車1が回転軸3を中心に矢印Rの方向(羽根車1の上面からみて反時計方向)に回転するようになっている。
【0043】
羽根車1は、リング状の上側シュラウド14と下側シュラウド22との間に羽根13を配置してなるものの、前記第1整流板15に代わって、リング状の中間シュラウド34が設けられており、この中間シュラウド34とボス部11の外周側面との間を複数本のスポーク状の連結部21で連結している。連結部21は、羽根車1の軸方向の中間部に位置して、ボス部11の外周側面から中間シュラウド34に向けて四方水平に延びており、羽根車1の主板12は、ボス部11,連結部21および中間シュラウド34により構成される。また、ボス部11と中間シュラウド34との間には、連結部21を除く部分で開口33が形成される。本実施例の羽根車1はその上部と下部にそれぞれ空気取り入れ口25,35が設けられている関係で、ケーシング2の上面のみならず下面にも、対向する空気取り入れ口25に空気を導く吸気口7,37が設けられる。なお、連結部21におけるスポークの形状については問わない。
【0044】
図8に示すように、本実施例の羽根車1は、各羽根13の上側シュラウド14に連結する部位13Aに対して、下側シュラウド22に連結する部位13Bを矢印Rの回転方向にずらして配置し、全ての羽根13をひねらせたことに特徴を有している。つまり、各羽根13は回転軸3の方向に沿って、上側シュラウド14や下側シュラウド22と垂直にではなく、下側シュラウド22に連結する部位13Bが上側シュラウド14に連結する部位13Aよりも矢印Rの回転方向に向かうように、回転軸3の方向に対して傾斜して配置される。ここでは、曲面のない平面だけで形成された平板状の各羽根13を、ボス部11の周囲にねじった状態で配置したり、少なくとも回転方向に向かう面または回転方向の反対側になる面を曲面に形成したねじれ板状の各羽根13を、ボス部11の周囲にさらにねじった状態で配置したりしてもよく、要はケーシング2内の空気流S(
図6を参照)をスムーズに、流れ方向が局所的に偏らないように各羽根13がねじられて配置されればよい。
【0045】
また
図6に示すように、本実施例の羽根車1は、上側シュラウド14と下側シュラウド22との間に中間シュラウド33を配設しているが、これらの各部を成形する際の型構造を容易にするために、下側シュラウド22の内周径が上側シュラウド14の外周径とほぼ同一で、上側シュラウド14の内周径が中間シュラウド33の外周径とほぼ同一に形成される。好ましくは、回転軸3の方向に移動する可動型(図示せず)の開閉を支障なく行えるように、下側シュラウド22の内周径が上側シュラウド14の外周径よりも若干大きく、上側シュラウド14の内周径が中間シュラウド33の外周径よりも若干大きく形成される。
【0046】
また変形例として、上側シュラウド14の内周径が下側シュラウド22の外周径とほぼ同じで(好ましくは、下側シュラウド22の外周径よりも若干大きく)、下側シュラウド22の内周径が中間シュラウド33の外周径とほぼ同じに(好ましくは、中間シュラウド33の外周径よりも若干大きく)形成してもよい。上側シュラウド14,下側シュラウド22,中間シュラウド33は、本実施例のようにリング状でなくてもよいが、中間シュラウド33の外側形状を上側シュラウド14または下側シュラウド22の内側形状とほぼ同一に形成することで、入れ子などの特別な型構造を必要とせずに、簡単な型構造にて中間シュラウド33を上側シュラウド14または下側シュラウド33と一体的に形成することが可能になる。なお、それ以外の構成は第1実施例と共通であるため、ここではその説明を省略する。
【0047】
次に、上記構成におけるモータの作用について説明する。リード線18を介してステータ33の巻線に通電すると、マグネット16との電磁気的作用によってロータフレーム17に取付けられた羽根車1に回転力が発生し、ケーシング2の吸気口7,37から羽根車1の空気取り入れ口25,35にそれぞれ入る空気の流れが、羽根車1の遠心力により回転軸3に沿った方向から羽根車1の外周方向に転換され、各羽根13の間を通過して各吸気口7,37に直交する方向に設けたケーシング2の排気口8から送出される。
【0048】
図6には、このときのケーシング2内における空気流Sが矢印の向きで示されている。羽根車1の空気取り入れ口25,35から外周側の羽根13に向かう空気は、中間シュラウド33により羽根13の上部と下部にそれぞれ整流されながら各羽根13の間を通過する。このとき、羽根車1の回転方向において、羽根13は上側シュラウド14に連結する部位13Aよりも、下側シュラウド22に連結する部位13Bが先に到達するため、吸気口7からの空気が、ケーシング2内の上面側に導かれることなく全て羽根車1の空気取り入れ口25に誘導され、従来例のような片寄り渦流S’(
図11を参照)の発生を防止できる。そして、羽根13を囲むケーシング2内の上下の風の分布を均一化するように調整できるので、片寄り渦流S’の発生や、ケーシング2内の上面側への無駄な流れをなくすることができる。
【0049】
図9は、従来例と本実施例における風量−静圧特性を比較したものである。同図において、風量と静圧の関係はどの領域においても従来例と本実施例で殆ど違いが見られないが、同じ静圧(=0Pa)において、従来例のファンの騒音レベルは37.5dBAであるのに対して、本実施例におけるファンの騒音レベルは36.4dBAに低減改善されている。つまり本実施例のファンでは、羽根13を回転軸3に沿ってではなく、意図的にひねって配置することで、ケーシング2の各吸気口7,37から吸い込まれた空気を、偏りなくスムーズに羽根車1の空気取り入れ口25,35に誘導して、同じ風量−静圧特性で騒音の低減を図ることが可能になる。
【0050】
図10は、上記実施例の代替例となる羽根車1の斜視図である。ここでの羽根車1は、各羽根13の上側シュラウド14に連結する部位13Aに対して、下側シュラウド22に連結する部位13Bを矢印Rの回転方向の反対にずらして配置し、全ての羽根13をひねらせたことに特徴を有している。つまり、各羽根13は回転軸3の方向に沿って、上側シュラウド14や下側シュラウド22と垂直にではなく、上側シュラウド14に連結する部位13Aが下側シュラウド22に連結する部位13Bよりも矢印Rの回転方向に向かうように、回転軸3の方向に対して傾斜して配置される。この場合も、曲面のない平面だけで形成された平板状の各羽根13を、ボス部11の周囲にねじった状態で配置したり、少なくとも回転方向に向かう面または回転方向の反対側になる面を曲面に形成したねじれ板状の各羽根13を、ボス部11の周囲にさらにねじった状態で配置したりしてもよい。当該羽根13以外は、上記
図6〜8に示すファンと同一の構成を有するので、説明は省略する。
【0051】
そして、上記実施例と同様に羽根車1に回転力が発生すると、ケーシング2の吸気口7,37から羽根車1の空気取り入れ口25,35にそれぞれ入る空気の流れが、羽根車1の遠心力により回転軸3に沿った方向から羽根車1の外周方向に転換され、各羽根13の間を通過して各吸気口7,37に直交する方向に設けたケーシング2の排気口8から送出される。
【0052】
ここで、羽根車1の空気取り入れ口25,35から外周側の羽根13に向かう空気は、中間シュラウド33により羽根13の上部と下部にそれぞれ整流されながら各羽根13の間を通過するが、羽根車1の回転方向において、羽根13は下側シュラウド22に連結する部位13Bよりも、上側シュラウド14に連結する部位13Aが先に到達するため、各吸気孔7,37から空気取り入れ口25,35にそれぞれ導かれる空気の量を適切に調整することができる。そして、羽根13を囲むケーシング2内の風の分布を任意の位置に調整することで、ファンにダクトなどを取り付けた状態で、騒音の低減を図ることが可能になる。
【0053】
以上のように本実施例のファンは、一側シュラウドである上側シュラウド14と他側シュラウドである下側シュラウド22との間に複数の羽根13を配置したファンにおいて、上側シュラウド14側の部位13Aに対して下側シュラウド22側の部位13Bを矢印Rに示す回転方向にずらして、羽根13を羽根車1の周方向に並べて配置している。
【0054】
このようにすると、羽根13を上側シュラウド14および下側シュラウド22に対して垂直にではなく、上側シュラウド14側の部位13Aに対して下側シュラウド22側の部位13Bを、矢印Rに示す回転方向にずらしてひねることで、羽根13を囲むケーシング2内の上下の風の分布を均一化するように調整して、渦流の発生や無駄な流れをなくし、風量−静圧特性がほぼ同等のまま騒音の低減を図ることが可能になる。
【0055】
また代替例として、上側シュラウド14側の部位13Aに対して下側シュラウド22側の部位13Bを矢印Rに示す回転方向とは反対の方向にずらして、羽根13を羽根車1の周方向に並べて配置してもよい。
【0056】
この場合も、羽根13を上側シュラウド14および下側シュラウド22に対して垂直にではなく、上側シュラウド14側の部位13Aに対して下側シュラウド22側の部位13Bを、矢印Rに示す回転方向の反対にずらしてひねることで、羽根13を囲むケーシング2内の上下の風の分布を任意の位置に調整することができ、例えばダクトなどを取り付けた状態での騒音の低減を図ることが可能になる。
【0057】
また本実施例では、上側シュラウド14と下側シュラウド22との間に中間シュラウド33を配設し、この中間シュラウド33の外側形状を上側シュラウド14または下側シュラウド22の内側形状とほぼ同一に形成している。
【0058】
このようにすれば、中間シュラウド33の外側形状を上側シュラウド14または下側シュラウド22の内側形状とほぼ同一に形成することで、入れ子などの特別な型構造を用いることなく中間シュラウド33を配設することができ、ファンを製造する上での型構造を容易にすることができる。
【0059】
なお、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、第1整流板15を羽根車1の全周にわたって設けるのではなく、周方向で部分的に間隔を有して設けてもよい。また、
図4に示すボス部11の特徴を第2実施例に組み込んでもよいなど、第1実施例と第2実施例の各部の特徴を適宜組み合わせたファンを構成してもよい。