(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(第1実施形態)
図1乃至
図5を参照して本発明の第1実施形態について説明する。
【0015】
太陽電池モジュール1は、表面側カバー2、裏面側カバー3、複数の太陽電池4、及び充填材7を有する。複数の太陽電池4は、導電性の接続部材5によって電気的に接続されている。
【0016】
表面側カバー2はガラス、透光性プラスチック等の透光性を有する部材から構成され、受光した太陽光を太陽電池4側に透過する。裏面側カバー3は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルム、Al箔等の金属箔を間に挟んで積層した樹脂フィルム、或いはガラス等の部材からなる。裏面側カバー3は透光性を有していても良いし、非透光性を有していても良い。
【0017】
充填材7は、表面側カバー2と複数の太陽電池4との間、裏面側カバー3と太陽電池4との間、および隣接する太陽電池4,4間を充填する。充填材7は、例えばエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)等の樹脂からなる。尚、本発明において、表面側カバー2と複数の太陽電池4との間に充填される充填材7と、裏面側カバー3と太陽電池4との間に充填される充填材7とは、同じ材料から構成されていても良いし、異なる材料から構成されていても良い。
【0018】
接続部材5は、例えば表面が半田層によって被覆された銅箔を用いて構成することができるが、本発明における接続部材5の形態はこれに限るものではない。
【0019】
また、太陽電池モジュール1は全体として平板状をなし、必要に応じて外周にアルミニウム等の金属からなる枠体8が取り付けられる。また、太陽電池モジュール1の出力を外部に取出すための端子ボックス14が、裏面側カバー3の表面に取り付けられる。
【0020】
直線状に配列された複数の太陽電池4は、接続部材5によって互いに電気的に直列接続され、全体としてライン状とされた太陽電池群6を構成する。本実施形態の太陽電池モジュール1は、6つの太陽電池群6を有する。これらの太陽電池群6は、互いに並列配置されている。従って、太陽電池モジュール1において、複数の太陽電池4はマトリクス状に配列されている。
【0021】
隣り合って配置された太陽電池群6,6の間は、渡り配線9,10,11によって電気的に直列接続されている。第1の渡り配線9はストリップ状の形状をなし、第2の渡り配線10及び第3の渡り配線11はL字状の形状をなす。第2の渡り配線10及び第3の渡り配線11は、L次状とされた配線の先端に、端子ボックス14内に収容されたバイバスダイオードに接続するための端子部を有している。第1乃至第3の渡り配線9,10,11は、接続部材5と同様に、表面が半田層によって被覆された銅箔を用いて構成することができるが、これに限定されるものではない。
【0022】
以上のように構成することにとって、本実施形態にあっては全ての太陽電池4が電気的に直列接続されている。また、電気的に直列接続された複数の太陽電池4のうち、両端に位置する太陽電池4,4には、出力を外部に取出すためのL字状の取出し配線12,13が電気的に接続されている。この取出し配線12,13も、接続部材5と同様に、表面が半田層によって被覆された銅箔を用いて構成することができるが、これに限定されるものではない。
【0023】
なお、第2の渡り配線10と取出し配線12が交差する部分には、これらの部材10,12の間の不所望の短絡を防止するために、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の絶縁フィルムやEVA等の絶縁樹脂などの絶縁部材を介在させている。同様に、第3の渡り配線11と取出し配線13が交差する部分にも、これらの部材11,13の間の不所望の短絡を防止するために、絶縁部材を介在させている。
【0024】
また、第2及び第3の渡り配線10,11と取出し配線12,13の先端部分は裏面側カバー3を貫通して端子ボックス14内に導かれている。端子ボックス内14において、取出し配線12と第2の渡り配線10との間、第2の渡り配線10と第3の渡り配線11との間、および第3の渡り配線11と取出し配線13との間には、夫々バイパスダイオードが接続されている。
【0025】
本実施形態に係る太陽電池4は、単結晶シリコン基板或いは多結晶シリコン基板等の結晶半導体基板を有する結晶太陽電池である。太陽電池4の例としては、n型単結晶シリコン基板とこの基板表面に形成されたp型非晶質半導体層とを有するヘテロ接合型の結晶太陽電池や、p型多結晶シリコン基板とこの基板表面に熱拡散により形成されたn型領域とを有するホモ接合型の結晶太陽電池が挙げられる。また、ヘテロ接合型の結晶太陽電池として、n型単結晶シリコン基板p型非晶質シリコン層との間に、実質的に発電に寄与しない程度の厚みを有するi型非晶質シリコン層を介在させたHIT接合型の太陽電池を用いても良い。
【0026】
図4及び
図5に示すように、太陽電池4は、表裏両面から受光可能な両面受光型の構成を有している。尚、
図4中破線で挟まれた領域は、接続部材5が配される領域を示す。
【0027】
表面電極40は、太陽電池4の表面の略全域に配された複数本のフィンガー電極40aを有する。フィンガー電極40aは略直線状の形状を有しており、複数本のフィンガー電極40aは所定の間隔(例えば2mm間隔)を隔てて互いに平行に配列されている。フィンガー電極40aの幅は、50μm〜120μmの範囲、好ましくは50μm〜100μmの範囲である。また、フィンガー電極40aの厚みは、20μm〜60μmの範囲である。複数のフィンガー電極40aは、受光により太陽電池4内で生成されるキャリア(電子または正孔)のうち、一方のキャリアを収集する。
【0028】
また表面電極40、全てのフィンガー電極40aと交差するように配された、バスバー電極40bを有する。バスバー電極40aは、複数のフィンガー電極40aによって収集されたキャリアを集電する。バスバー電極40bは、複数の直線がジグザグ状に連結されたジグザグ線状の形状を有する。バスバー電極40bの厚さは20μm〜80μmの範囲である。バスバー電極40bはフィンガー電極40と同一の工程で形成することができる。この場合、バスバー電極40bの厚さは、フィンガー電極40aの厚さと同程度或いは若干大きい厚さとなる。また、バスバー電極40bの幅は、フィンガー電極40aと同程度の幅か或いは若干広めの幅に形成される。バスバー電極40bの幅は、50μm〜200μmの範囲、好ましくは80μm〜150μmの範囲である。またフィンガー電極40aの線幅Whfとバスバー電極40bの線幅Whbの比Whf/Whbは0.3〜2.5の範囲であり、好ましくはフィンガー電極40aの幅とバスバー電極40bの線幅の差は、例えば、絶対値で100μm以内である。
【0029】
また、ジグザグ線状のバスバー電極40bの各頂点(連結点)は、接続部材5が配される領域(破線の間に挟まれる領域)の外方に位置する。従って、接続部材5を接続したときに、ジグザグ線状のバスバー電極40bの各頂点(連結点)及びその近傍は、接続部材5から露出する。換言すると、バスバー電極40bの頂点の間の幅(バスバー電極40bが配される領域の幅:
図4のWr)は、接続部材5の幅(
図4のWs)よりも大きい。バスバー電極40bが配される領域の幅は、機械誤差により接続部材5の配置位置がずれた場合においても、確実にバスバー電極40b上に接続部材5が配置されるように設定される。例えば接続部材5の幅Wsが1.0mm〜1.2mmの場合、バスバー電極40bが配される領域の幅Wrは1.6mm〜1.8mmにされる。
【0030】
尚、フィンガー電極40aの数及びバスバー電極40bの数は、太陽電池4の大きさ、物性等によって適宜設定することができる。例えば
図4においてバスバー電極40bの数は2であるが、これに限らずバスバー電極40bの数は3以上であっても良い。
【0031】
また、表面電極40は、遮光ロスを低減し太陽電池4への光入射を十分に行うためフィンガー電極40aの幅をできるだけ狭くするのが好ましい。このため、表面電極40の形成をスクリーン印刷で行う場合には、フィンガー電極
40aの延在方向を印刷方向とするのが好ましい。また、バスバー電極40bの印刷かすれを防止するために、バスバー電極40bの線幅をフィンガー電極40aの線幅より大きくすることが好ましい。例えば、フィンガー電極40aの線幅Whfとバスバー電極40bの線幅Whbの比Whf/Whbを、0.3以上1未満とすることが好ましい。
【0032】
また、主な受光を行う面側となる表面電極40は、低抵抗で且つ太陽電池の受光を良好にするため、バスバー電極40bを幅狭とし、更には、後述する裏面電極41に比べ、フィンガー電極40a、バスバー電極40bの幅、即ち面積を小さくし、厚みを大きくすることが好ましい。
【0033】
裏面電極41は、太陽電池4の裏面の略全域に配置されたる複数本のフィンガー電極41aとバスバー電極41bを有する。フィンガー電極41aは略直線状の形状を有しており、複数本のフィンガー電極41aは所定の間隔(例えば1mm間隔)を隔てて互いに平行に配列されている。裏面側のフィンガー電極41bは受光ロスを考慮する必要が少ないため、表面側のフィンガー電極40aと同程度の幅、もしくは広い幅に形成される。フィンガー電極41aは、例えば50μm〜200μmの幅に形成される。また、フィンガー電極41aの厚さは、5μm〜60μmの範囲である。また、裏面側のフィンガー電極41aの数は、遮光ロスを考慮する必要がないため、表面側のフィンガー電極40aの数よりも多く形成される。このようにすることで、フィンガー電極41aの抵抗損失を低減することができる。尚、複数のフィンガー電極41aは、受光により太陽電池4内で生成されるキャリア(電子または正孔)のうち、他方のキャリアを収集する。
【0034】
バスバー電極41bは、全てのフィンガー電極40aと交差するように配されは、複数のフィンガー電極41aによって収集されたキャリアを集電する。裏面側のバスバー電極41bは、フィンガー電極41aより広い幅で直線状に形成されている。また、バスバー電極41bの幅Wubは、接続部材5の幅Wsよりも大きい。例えば接続部材5の幅Wsが1.0mm〜1.2mmの場合、バスバー電極41bが配される領域の幅Wubは1.6mm〜1.8mmにされる。
【0035】
尚、裏面側のバスバー電極41bの数は、表面側のバスバー電極40bの数と同じであり、太陽電池4の表裏の互いに対向する位置に配されている。また、表面側のバスバー電極40bが配される領域の幅Wrと裏面側のバスバー電極41bが配される領域の幅Wubは同程度の大きさである。
【0036】
尚、裏面電極41は、受光量が素子特性に及ぼす影響が表面電極40に比べ小さいため、表面電極40よりも厚みを薄くし、フィンガー電極41a、バスバー電極41bの幅、即ち面積を大きくして低抵抗化してもよい。
【0037】
また、太陽電池4は、表面電極40の下地にインジウム酸化物や酸化亜鉛等の透光性導電酸化物からなる透明導電膜を有していても良い。また、裏面電極41の下地にインジウム酸化物や酸化亜鉛等の透光性導電酸化物からなる透明導電膜を有していても良い。
【0038】
上記フィンガー電極40a,41a及びバスバー電極40b,41bは、抵抗損失を低減するため、金属を含む。例えばフィンガー電極40a,41a及びバスバー電極40b,41bは、樹脂型或いはセラミック型の導電性ペーストや金属あるいは合金によって構成することができる。また、フィンガー電極40a,41a及びバスバー電極40b,41bは、スクリーン印刷やオフセット印刷等の印刷法、スパッタ法、蒸着法或いはメッキ法等の方法によって形成することができる。
【0039】
配線材5は、隣り合う太陽電池4,4のうち一方の太陽電池4の表面側のバスバー電極40bと他方の太陽電池4の裏面側のバスバー電極41bとに樹脂接着剤15によって接続される。具体的に、配線材5は細長形状を有し、長手方向の一端部側がバスバー電極40bの表面上に樹脂接着剤15によって接続され、他端部側がバスバー電極41bの表面上に樹脂接着剤15によって接続される。樹脂接着剤15中の樹脂成分によって、配線材5は太陽電池4の表面または裏面に機械的に接続される。また配線材5の表面がバスバー電極40bの表面またはバスバー電極41bの表面と直接接触することにより、配線材5はバスバー電極40b、41bに電気的に接続される。
【0040】
樹脂接着剤15は樹脂を含む。また樹脂接着剤15は、絶縁性または導電性を有する。導電性を有する樹脂接着剤15として、樹脂中に導電性粒子を含む樹脂接着剤が挙げられる。この例として、異方性導電接着剤が挙げられる。尚、導電性粒子を含む導電性の樹脂接着剤15を用いた場合には、導電性粒子を介しても配線材5はバスバー電極40b、41bに電気的に接続される。
【0041】
本実施形態において、接続部材5は銅箔等の金属からなる本体の表面に被覆層5aを有する。この被覆層5aは、半田や錫或いは銀等の導電性の材料からなる。
【0042】
図5が、被覆層5aが半田等の軟質層からなる場合を示す例である。半田は例えば230〜260℃の融点を有する。エポキシ系樹脂及び導電性粒子であるニッケル粒子を含む樹脂接着剤15は、約180℃の硬化点を有する。樹脂接着剤15を硬化させる温度において、バスバー電極40bは被覆層5aよりも固い。このような状態で、接続部材5を太陽電池4に対し相対的に押圧すると、バスバー電極40bの先端が被覆層5a中にめり込むようにして、バスバー電極5aが接続部材5の表面と直接接触する。このようにして接続部材5とバスバー電極40bとは電気的に接続される。
【0043】
接続部材5の表面のうち太陽電池4の表面に対向する表面とバスバー電極40bの側面に跨るように樹脂接着剤15が存在する。このようにして、接続部材5は太陽電池4の表面に機械的に接続される。さらに、接続部材5の表面のうち太陽電池4の表面に対向する表面からバスバー電極40bの側面を覆って太陽電池4の表面に跨るように樹脂接着剤15が存在する。このようにすることで、接続部材5の接着強度を向上させることができる。尚、
図5においては接続部材5の側面にも樹脂接着剤15が存在する。このようにすることで、接続部材5の接着強度をさらに向上させることができる。
【0044】
また、太陽電池4の裏面においては、接続部材5の表面の被覆層5aの表面が、バスバー電極41bの表面に直接接触する。このようにして接続部材5とバスバー電極41bとは電気的に接続される。また、接続部材5の側面とバスバー電極41bの表面に跨るように樹脂接着剤15が存在する。このようにして、接続部材5は太陽電池4の裏面に機械的に接続される。また、接続部材5の側面からバスバー電極41bの表面を覆ってバスバー電極41bの側面に跨るように樹脂接着剤15が存在する。このようにすることで、接続部材5の接着強度を向上させることができる。さらに、接続部材5の側面からバスバー電極41bの表面及びバスバー電極41bの側面を覆って太陽電池4の裏面に跨るように樹脂接着剤15が存在する。このようにすることで、接続部材5の接着強度をさらに向上させることができる。
【0045】
尚、
図5に示すのは被覆層5aとして半田層のような軟質層を用いた場合の例であるが、本発明はこれに限定されるものではない。被覆層5aとしては銀のように半田より固いものを用いることもできるし、被覆層5aを備えない接続部材5を用いることもできる。この場合、バスバー電極の先端が被覆層5a中にめり込むことなく接続部材5の表面に直接接触する。或いは、バスバー電極の先端が変形した形状で接続部材5の表面に直接接触する。或いは、接続部材5の表面の一部がバスバー電極にめり込む形状でバスバー電極に直接接触する。このような場合も、本発明に含まれる。
【0046】
本実施形態では、接続部材5を太陽電池4に相対的に押圧して接続する工程において、表面及び電極のバスバー電極40b、41bへの押圧が垂直に加わらずに不均一になり、太陽電池に及ぼす押圧が狭い範囲に印加される場合でも、表面のバスバー電極40bおよび裏面1のバスバー電極41bが補強部材の機能を果たすため、太陽電池4の割れやクラックの発生を低減でき、製造歩留まりを向上させることができる。
【0047】
特に本発明は、太陽電池4を構成する基板の厚みが小さいときに効果が顕著になり、例えば200μm以下の厚みを有する結晶シリコン基板でも勿論適用でき、150μm以下の厚みを有する結晶シリコン基板でもよく、更には100μm以下の厚みを有する結晶シリコン基板でも、良好な製造歩留りを有する。
【0048】
また、バスバー電極40bの領域幅Wr、バスバー電極41bの領域幅Wubが接続部材5の幅Wsより大きい。このため接続部材5を配置する際の機械的精度が低くても確実に接続部材5をバスバー電極40b、41bの表面上に配することができる。このため、製造時間を低減でき、製造コストを低減することができる。
【0049】
また、表面電極40は幅狭である細線状のフィンガー電極40aおよび幅狭である細線状のバスバー電極40bで構成されており、また裏面電極41は幅狭である細線状のフィンガー電極41aを含むため、電極の材料量を少なくできる。更に、裏面電極41の厚みを小さくすることで、電極の材料量をより少なくできる。
【0050】
また、バスバー電極40bはジグザグ状、即ち鋸刃状等の直線状でない非直線状の形状を有する。このため、バスバー電極40bが細線の直線状である場合より、接続部材5とバスバー電極40bが接する部分が増える構成が可能である。このため、表面電極40と接続部材5との間の良好な電気的接続が得られ、また、接する部分が増えることに加え、不所望に印加される外力が分散するため、太陽電池4の割れやクラックの発生を抑制でき、機械的接続の信頼性が高くなる。
【0051】
また、バスバー電極40bの領域幅Wrが接続部材5の幅Wsより大きいので、樹脂接着剤15が広がってもその広がりをバスバー電極40bの張り出した部分では当該部分内までに押さえることが容易になる。
(太陽電池モジュールの製造方法)
以下に本実施形態に係る太陽電池モジュールの製造方法を説明する。
【0052】
まず、表面および裏面に透明電極膜を備えた太陽電池4を準備する。
【0053】
次に、この太陽電池4の表面側の透明電極膜上に、スクリーン印刷によりエポキシ系熱硬化型銀ペーストを印刷し、200℃で1時間加熱してこれを硬化させて表面電極40を形成する。その後、同様に、太陽電池4の裏面側の透明電極膜上に、スクリーン印刷によりエポキシ系熱硬化型銀ペーストを印刷し、200℃で1時間加熱してこれを硬化させて裏面電極41を形成する。
【0054】
次に、複数の接続部材5を準備し、各接続部材5の一方の表面上の太陽電池4と対向する部分および他の表面上の太陽電池4と隣り合う太陽電池4と対向する部分に約30μmの厚みになるようにディスペンサーを用いてペースト状の樹脂接着剤15を塗布する。尚、樹脂接着剤15としてはペースト状のものに限らずフィルム状のものを用いても良い。
【0055】
次に、隣り合う太陽電池4、4の一方の太陽電池4の表面電極40のバス
バー電極40b上と他方の太陽電池4の裏面電極41のバスバー電極41b上とに樹脂接着剤15が塗布された面が対向するように接続部材5を配置し、約2MPaの圧力で押圧しながら、200℃で1時間加熱して接着剤15を硬化させる。このようにして、太陽電池4の表面および裏面に夫々接続部材5が接続される。この工程を繰り返し、複数の太陽電池群6を作製する。
【0056】
次に、複数の太陽電池群6を第1乃至第3の渡り配線9,10,11により電気的に直列接続する。そして、両端の太陽電池4,4の夫々取出し配線12,13を接続する。このようにして、全ての太陽電池4に配線した構造体を作製した後、表面側カバー2、充填材7となる充填材シート、構造体、充填材7となる充填材シート、裏面側カバー3の順に積層し、真空状態で、150℃で10分間加熱圧着する。その後、150℃で1時間加熱することで、前記充填材を完全に硬化させる。
【0057】
最後に、端子ボックス14および必要に応じて枠体8をとりつけ、太陽電池モジュール1を完成する。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、第1実施形態との相違点を主に説明する。
【0058】
図6に示すように、第2実施形態において、第1実施形態と異なる点は、表面電極140のバスバー電極140bの領域幅Wrが接続部材5の幅Wsと同じまたは狭い点にある。また、裏面電極41のバスバー電極41bの幅Wubは、接続部材5の幅Ws以上、好ましくはWsより大きく且つ表面電極140のバスバー電極140bの領域幅Wr以上、好ましくはWrより大きく構成されている。
【0059】
例えばバスバー電極140bの領域幅Wrは0.6mm〜1mmの範囲とされ、バスバー電極41bの領域幅Wubは1〜1.6mmの範囲、例えば1.6mmとされる。その他の点は第1実施形態と同じである。
【0060】
本実施形態では、第1の実施形態に比べ製造上の精度が必要となるが、セル割れの抑制ができると共に、第1実施形態に比べて電極材料をより少なくできる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について、第1実施形態との相違点を主に説明する。
【0061】
図7に示すように、太陽電池4は表面に、略表面全域を覆うように配置される複数本の幅狭の直線状のフィンガー電極40aと、これと接続される2本の幅狭の波形状のバスバー電極240bを含む表面電極40を有する。また、太陽電池4は裏面に、略裏面全域を覆うように配置される複数本の幅狭の直線状のフィンガー電極41aと、これと接続される2本の幅広の帯状のバスバー電極41bを含む裏面電極41を有する。
【0062】
本実施形態が第1実施形態と相違する点は、表面電極40のバスバー電極40aが波形状である点であり、その他は第1実施形態と同じである。
【0063】
本実施形態でも、第1実施形態と同様の効果が得られる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について、第1実施形態との相違点を主に説明する。
【0064】
図8に示すように、太陽電池4は表面に、略表面全域を覆うように配置される複数本の幅狭の直線状のフィンガー電極40aとこれと接続される2本の幅狭の直線状のバスバー電極340bを含む表面電極40を有する。また、太陽電池4は裏面に、略裏面全域を覆うように配置される複数本の幅狭の直線状のフィンガー電極41aとこれと接続される2本の幅広の帯状のバスバー電極41bを含む裏面電極41を有する。
【0065】
本実施形態が第1実施形態と相違する点は、表面電極40のバスバー電極が直線状である点であり、バスバー電極340bの領域幅Wrは幅Whbと同じとなる。
【0066】
本実施形態では、表面電極40のバスバー電極340bは、フィンガー電極40aと同様に細線状であり、その幅Whbは導電性接続部材5の幅Wsより小さく構成されている。
【0067】
また、裏面電極41は、バスバー電極41bの幅Wubが、バスバー電極340bの領域幅Wrより大きく且つ導電性接続部材5の幅Ws以上であり、好ましくは導電性接続部材5の幅Wsより大きく構成されている。
【0068】
本実施形態は、第1実施形態に比べ、電極材料の低減が図れ、セル割れの抑制ができる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について、第1実施形態との相違点を主に説明する。
【0069】
図9に示すように、太陽電池4は表面に、略表面全域を覆うように配置される複数本の幅狭の直線状のフィンガー電極40a、40a・・・とこれと接続される2本1組となる幅狭の直線状のバスバー電極440b、440b2つを含む表面側電極40を有する。また、太陽電池4は裏面に、略裏面全域を覆うように配置される複数本の幅狭の直線状のフィンガー電極41a、41a・・・とこれと接続される2本の幅広の帯状のバスバー電極41bを含む裏面電極41を有する。
【0070】
本実施形態が第1実施形態と相違する点は、表面電極40のバスバー電極440bが2本1組となる幅狭の直線状である点であり、その他は第1実施形態と同じである。
【0071】
本実施形態も、電極材料の量を抑制でき、セル割れの抑制ができる。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態について、第1実施形態との相違点を主に説明する。
【0072】
本実施形態が第1実施形態と異なる点は、
図10に示すように、表面電極40が3つのバスバー電極40b、40b、40bを有すると共に、裏面電極41が3つのバスバー電極41b、41b、41bを有する点である。
【0073】
本実施形態は、第1実施形態と同様の効果が得られる他、バスバー電極が表面および裏面それぞれ3つ備えるので、集電効率が増す効果が得られる。
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態について、第1実施形態との相違点を主に説明する。
【0074】
本実施形態が第1実施形態と異なる点は、
図11に示すように、表面電極40がバスバー電極を有しない、バスバーレス構造である点であり、その他は同一である。
【0075】
このようにバスバーレス構造であっても、樹脂からなる接着剤を柔軟な状態で、表面側電極40又は/及び裏面電極41のバスバー電極41bと導電性接続部材5とを押圧して接続する工程において、表面電極40、裏面電極41のバスバー電極41bへの押圧が垂直にかからず不均一になり、太陽電池に及ぼす押圧が狭い範囲に集中される場合、導電性接続部材5の幅Wsの値以上、好ましくはWsの値より大きい幅を有する裏面側電極41のバスバー電極41bが補強部材の機能を果たすため、セル割れを低減でき、製造歩留まりがよくなる。
【0076】
本実施形態でも、第1実施形態と同様の効果が得られる。
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態について、第1実施形態との相違点を主に説明する。
【0077】
本実施形態が第1実施形態と異なる点は、
図12に示すように、隣り合う太陽電池4、4は、互いに極性が逆となる素子構成を有しており、接続部材5、5、・・・は隣り合う太陽電池4、4の表面側電極40、40どうしおよび太陽電池4、4の裏面電極41、41どうしを電気的に直列接続している。
【0078】
本実施形態でも、電極材料の量を抑えることが可能で且つ製造歩留りが良好である。
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態について、第1実施形態との相違点を主に説明する。
【0079】
本実施形態が第1実施形態と異なる点は、
図13に示すように、隣り合う2つの太陽電池4、4を1組として電気的に並列配置する点である。
【0080】
本実施形態でも、電極材料の量を抑えることが可能で且つ製造歩留りが良好である。
(第10実施形態)
次に、本発明の第10の実施の形態に係る太陽電池システムを説明する。
【0081】
本実施形態の太陽電池システムは、第1実施形態乃至第9実施形態の太陽電池モジュール1の複数を、例えば個人住宅の屋根の上に、固定用ビスを用いて夫々屋根面に留め付け、また隣り合う太陽電池モジュールを互いに係合させて、水下側(軒側)から水上側(棟側)に向けて段葺きに(階段状に)設置すると共に、これらを制御等するための制御システムで構成されてなる太陽電池システムである。
【0082】
本実施形態の太陽電池システムは、電極材料の量を抑えることが可能で且つ製造歩留りが良好である。
【0083】
上述の太陽電池システムでは、例えば個人住宅用としたが、本発明はこれに限ることなく、また太陽電池モジュールの設置方法も適宜変更可能である。
【0084】
上記各実施形態の太陽電池は、所謂HIT太陽電池を用いて説明したが、単結晶太陽電池や多結晶太陽電池などの種々の太陽電池に適宜利用可能であり、また両面受光型のほか、片面受光型へも適用が可能である。
【0085】
上記多結晶太陽電池または単結晶太陽電池は、例えば、P型多結晶またはP型単結晶からなるシリコン基板の表面から所定の深さまでn+層が形成されてpn接合が形成され、該シリコン基板の裏面から所定の深さまでp+層が形成され、前記n+層上に表面電極40が形成され、前記p+層上に裏面電極41が形成された太陽電池でもよい。
【0086】
上記各実施形態とも、裏面電極はフィンガー電極とバスバー電極とで構成された電極であったが、例えば、裏面電極が、他の構造の電極、例えば全面金属膜で覆われる電極とこの上に形成されるバスバー電極とで構成されるものへも適用が可能である。
【0087】
更に、本発明の太陽電池モジュールは、上記各実施形態に限定されず、例えば、枠体を備えない構成であってもよい。
【0088】
また、本発明の太陽電池モジュールは、両面受光型太陽電池モジュールであってよく、例えば、表面側カバー及び裏面側カバーともガラス板であってもよい。
【0089】
更に、上記各実施形態では、表面電極および裏面電極のバスバー電極はそれぞれ2〜3つであるが、適宜その数を変更してもよい。
1 太陽電池モジュール
4 太陽電池
5 接続部材
40 表面電極(主面側電極)
40a フィンガー電極
40b、140b、240b、340b、440b バスバー電極(接続電極)
41 裏面電極(主面側電極)
41a フィンガー電極(集電電極)
41b、141b、241b、341b、441b バスバー電極(接続電極)