(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係るコンバインの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0017】
〔
参考例〕
図1は、
参考例に係るコンバインの側面図である。
図2は、
図1に示すコンバインの平面図である。なお、以下の説明では、本
参考例に係るコンバイン1の通常の使用態様時における前後方向、左右方向、上下方向を、各部位においてもそれぞれ前後方向、左右方向、上下方向として説明する。具体的には、前後方向は、コンバイン1の長さ方向であり、左右方向は幅方向、上下方向は高さ方向である。このうち、前方は、刈り取り作業時におけるコンバイン1の進行方向であり、左方は、前方に向かって左手方向であり、下方は、重力が作用する方向である。なお、これらの方向は、説明をわかりやすくするために便宜上定義したものであり、これらの方向によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
<コンバインの全体構成>
作業車両の一例であるコンバイン1は、機体フレーム2と、機体フレーム2の前方側に取り付けられた刈取装置7と、機体フレーム2の下方側に取り付けられた走行装置3と、機体フレーム2の後方側に取り付けられた脱穀装置5とを有している。また、コンバイン1には、動力源となるエンジン20(
図7参照)が搭載されている。
【0019】
走行装置3は、左右一対の履帯4を有し、左右一対の履帯4には、エンジン20から動力が伝達される。左右一対の履帯4は、エンジン20から動力が伝達されることで周回し、走行装置3は、周回する左右一対の履帯4により、コンバイン1を走行させる。
【0020】
刈取装置7は、穀稈を分草する分草具7aと、分草された穀稈を引き起こす引起し装置7bと、引き起こされた穀稈の根元を切断する刈刃7cとを有している。刈取装置7は、圃場に立毛する穀稈を分草具7aで分草し、分草した穀稈を引起し装置7bで引き起こし、引き起こした穀稈を刈刃7cで刈り取る。
【0021】
さらに、刈取装置7には、刈刃7cの上方の後方側に、刈刃7cによって刈り取った穀稈を搬送する刈取穀稈搬送装置15が配設されている。この刈取穀稈搬送装置15は、刈り取った穀稈の株元側を搬送する株元搬送装置15aと、穀稈の穂先側を搬送する穂先搬送装置15bと、を備えている。また、刈取穀稈搬送装置15の後方には、穀稈供給搬送装置である穀稈搬送装置10が配設されており、刈刃7cで刈り取り、刈取穀稈搬送装置15で搬送された穀稈は、穀稈搬送装置10により脱穀装置5に向けて搬送する。この穀稈搬送装置10は、機体フレーム2の幅方向における左端寄りの位置に配設されている。
【0022】
刈取装置7の後方側において左右方向の一方側、具体的には、刈取装置7の後方側における右側には、操縦室となるキャビン6が設けられている。キャビン6には、運転席6Sと、運転席6Sの前方側に設けられた走行操作レバー6H及び操作パネル等の操作装置6Cと、各種情報を表示可能なモニタ6Dとが設けられている。また、キャビン6には、各種操作レバー及び計器類が配設されている。
【0023】
<脱穀装置>
図3は、
図1に示すコンバインの内部構造を示す側面図である。
図4は、
図1に示すコンバインの内部構造を示す平面図である。脱穀装置5は、穀稈搬送装置10により穀稈が後方に搬送される過程で、刈取装置7により刈り取った穀稈から穀粒を切離し、藁等の夾雑物と穀粒とを分離するものである。脱穀装置5は、脱穀部5aと、脱穀部5aの下方に配置された選別部5bとを有している。このうち、脱穀部5aは、前部左側に配置された扱室5Iと、扱室5Iの右方に配置された第二処理室5Kと、第二処理室5Kの後方に配置された排塵処理室5Eとを含んで構成される。扱室5Iは、キャビン6の左方に位置し、扱室5Iには、前後方向に延在する回転軸を中心に回転可能な円柱形状の扱胴5Rが配置されている。扱胴5Rは、回転動作により、扱室5I内に搬送されてきた穀稈の穂先部から穀粒を脱粒する。なお、第二処理室5Kには二番処理胴5Hが、排塵処理室5Eには排塵処理胴5Dが、それぞれ前後方向に延在する回転軸を中心に回転可能に配置されている。
【0024】
一方、選別部5bは、扱室5Iの下方に揺動可能に配置された選別棚5Cと、選別棚5Cの下方空間にそれぞれ配置された唐箕5Fと、唐箕5Fの後方に配置された第2唐箕5Mと、一番回収部5G及び二番回収部5Jと、選別棚5Cの後方に配置された排塵ファン5Lとを含んで構成されている。選別部5bは、脱穀部5aで脱粒された穀粒を含む被処理物(扱胴5Rが脱穀したもの)から夾雑物を除去して、穀粒を回収する。即ち、選別棚5Cの揺動運動と、唐箕5F及び第2唐箕5Mによる選別風、及び排塵ファン5Lによる吸引の作用とにより、脱穀部5aから送られてきた被処理物から穀粒を選別し、一番回収部5G及び二番回収部5Jで回収する。回収した穀粒は、グレンタンク8(
図2)に搬送され、貯蔵される。なお、脱穀装置5を通過し、穀粒が扱ぎ取られた穀稈(排藁)は、穀稈搬送装置10の後方側に配置された排藁搬送装置(図示省略)によって、コンバイン1の後方側に配置されている排藁切断装置へ搬送される。排藁切断装置は、排藁搬送装置に投入された排藁を切断し、例えば、圃場に放出する。
【0025】
<グレンタンク、穀粒排出オーガ>
キャビン6の後方側には、脱穀装置5が脱穀した穀粒を一時的に貯蔵するためのグレンタンク8(
図2)が配置されている。グレンタンク8の後方側には、内部に貯蔵された穀粒を外部へ排出する穀粒排出オーガ9(
図1、2)が設けられている。穀粒排出オーガ9は、グレンタンク8に接続された揚穀筒9aと、揚穀筒9aに接続された伸縮可能な搬送筒9bと、グレンタンク8、揚穀筒9a及び搬送筒9bの内部に設けられた複数の螺旋軸(図示省略)とを有している。搬送筒9bには、穀粒を排出する排出口が設けられ、穀粒排出オーガ9は、搬送筒9bを適宜伸縮させつつ、昇降及び旋回させることで、排出口を所定の場所に位置させる。そして、穀粒排出オーガ9は、複数の螺旋軸を回転させることで、グレンタンク8の内部から揚穀筒9aへ穀粒を搬送し、揚穀筒9aから搬送筒9bへ穀粒を搬送することで、搬送筒9bへ搬送された穀粒は、搬送筒9bに設けられた排出口を介して外部に排出される。
【0026】
<穀稈搬送装置>
図5は、
図1に示すコンバインの内部構造を示す側面図である。穀稈搬送装置10は、刈取装置7から脱穀装置5へ向けて刈り取った穀稈を搬送している。穀稈搬送装置10は、グレンタンク8(
図2)が配置されている側とは反対側、即ち、左側部に配置されている。穀稈搬送装置10は、挟扼杆11(
図1)と、フィードチェン13(
図4、
図5)とを含んで構成される。穀稈搬送装置10は、刈取装置7によって刈り取った穀稈を、挟扼杆11とフィードチェン13との間に送り込む。フィードチェン13は、扱胴5Rの回転中心軸と交差する方向で、且つ、扱室5Iの一方側(左側)に配置される。挟扼杆11は、フィードチェン13における穀稈を搬送する側の部位に対向する位置に配設されており、コイルスプリング(図示省略)によって、フィードチェン13側へ向けて付勢されるように配設されている。このような構造により、挟扼杆11は、穀稈にフィードチェン13へ向かう力を付与する。このため、挟扼杆11とフィードチェン13との間に送り込まれた穀稈は、挟扼杆11とフィードチェン13とに挟み込まれ、フィードチェン13によって脱穀装置5に搬送される。
【0027】
図6は、
図5のA部詳細図である。穀稈搬送装置10が有するフィードチェン13は、フィードチェンレール14によって支持されている。即ち、フィードチェン13は、刈取装置7側から脱穀装置5側にかけて前後方向に延在するフィードチェンレール14上を摺動しながら、フィードチェンレール14よって支持されている。
【0028】
<引継搬送装置>
穀稈搬送装置10の前端付近には、刈取装置7で刈り取られた穀稈を穀稈搬送装置10よりも先に受け取って穀稈搬送装置10へ受け渡す引継搬送装置16が配設されている。この引継搬送装置16は、機体左右方向視において一部が穀稈搬送装置10と重なって配設されており、詳しくは、穀稈搬送装置10よりも機体内側に位置している。
【0029】
このように側面視において穀稈搬送装置10と重なって配設されている引継搬送装置16は、穀稈搬送装置10の前端付近では、穀稈搬送装置10が有するフィードチェン13よりも上方に位置している。引継搬送装置16において、このように穀稈搬送装置10よりも上方に位置している部分は、上方側の軌跡(搬送作用域)が、後方に向かうに従って穀稈搬送装置10の軌跡(搬送作用域)に近付き、所定の位置で穀稈搬送装置10の軌跡よりも下方に位置するように形成されている。これにより、刈取穀稈搬送装置15で搬送された穀稈は、穀稈搬送装置10の上方に位置する引継搬送装置16で受け取り、引継搬送装置16で後方に搬送することにより、穀稈搬送装置10に受け渡すことが可能になっている。
【0030】
引継搬送装置16は、エンジン20から伝達される動力によって周回しながら穀稈を刈取穀稈搬送装置15から受け取って穀稈搬送装置10に向けて搬送することにより刈取装置7側から脱穀装置5側に搬送するシンクロチェン17を備えている。引継搬送装置16は、機体左右方向視におけるシンクロチェン17の一部が、フィードチェン13と重なって配設されている。このシンクロチェン17は、シンクロチェンレール(図示省略)によって支持されている。即ち、シンクロチェン17は、前後方向に延在するシンクロチェンレール上を摺動しながら、シンクロチェンレールよって支持されている。
【0031】
<動力伝達経路>
図7は、
図1に示すコンバインの動力伝達経路の一部を示す模式図である。動力源であるエンジン20には、出力軸20Sが設けられ、出力軸20Sには、複数のエンジン出力プーリ20Pが取り付けられている。なお、複数のエンジン出力プーリ20Pからは、走行装置3、脱穀装置5、刈取装置7、穀粒排出オーガ9及び穀稈搬送装置10を駆動するための動力が出力される。
【0032】
複数のエンジン出力プーリ20Pからは、脱穀装置5及び穀稈搬送装置10を駆動するための動力が出力される。コンバイン1は、脱穀装置5へ動力を伝達するための脱穀動力伝達シャフト38を有する。脱穀動力伝達シャフト38には、一端側(
図7における左側)から順に、複数の入力プーリ38a、処理胴出力プーリ38b、複数の扱胴出力プーリ38c、刈取出力プーリ38f、回収部出力プーリ38d、及び唐箕出力プーリ38eが取り付けられている。
【0033】
複数のエンジン出力プーリ20Pと複数の入力プーリ38aとには、複数の第1伝達ベルト37が掛け回されている。第1伝達ベルト37は無端のベルトである。このため、エンジン20から発生した動力は、各エンジン出力プーリ20Pと各第1伝達ベルト37と各入力プーリ38aとを介して、脱穀動力伝達シャフト38に伝達される。
【0034】
各エンジン出力プーリ20Pと各入力プーリ38aとの間には、脱穀クラッチ81が設けられている。脱穀クラッチ81を接続すると、エンジン出力プーリ20Pと入力プーリ38aとの間で動力が伝達され、脱穀クラッチ81の接続を解除すると、エンジン出力プーリ20Pと入力プーリ38aとの間における動力の伝達が遮断される。
【0035】
二番処理胴5H及び排塵処理胴5Dは、処理胴出力プーリ38bから伝達される動力で駆動される。処理胴出力プーリ38bには、無端の第2伝達ベルト60を介して、処理胴駆動プーリ61aが連結されている。処理胴駆動プーリ61aは、処理胴駆動シャフト61の一端部に取り付けられている。処理胴駆動シャフト61の他端部には、第1傘歯車61bが取り付けられており、第1傘歯車61bは、第2傘歯車62aと噛み合っている。第2傘歯車62aは、処理胴回転シャフト62に取り付けられ、処理胴回転シャフト62には、二番処理胴5H及び排塵処理胴5Dが取り付けられている。このため、脱穀動力伝達シャフト38に伝達されたエンジン20の動力は、処理胴出力プーリ38b、第2伝達ベルト60、処理胴駆動プーリ61a、処理胴駆動シャフト61、第1傘歯車61b、第2傘歯車62a及び処理胴回転シャフト62を介して、二番処理胴5H及び排塵処理胴5Dに伝達されることで、二番処理胴5H及び排塵処理胴5Dを回転させる。これにより、二番処理胴5H及び排塵処理胴5Dは、エンジン20の動力が直接伝達されるため、コンバイン1の走行速度に関わらず一定の速度(回転速度)で駆動される。
【0036】
扱胴5Rは、扱胴出力プーリ38cから伝達される動力で駆動される。扱胴出力プーリ38cには、無端の第3伝達ベルト63を介して、扱胴駆動プーリ64aが連結されている。扱胴駆動プーリ64aは、第1扱胴駆動シャフト64の一端部に取り付けられている。第1扱胴駆動シャフト64の他端部には、第1減速ギヤ64bが取り付けられており、第1減速ギヤ64bは、第2減速ギヤ65aと噛み合っている。第2減速ギヤ65aは、第2扱胴駆動シャフト65の一端部に取り付けられている。第2扱胴駆動シャフト65の他端部には、第3傘歯車65bが取り付けられており、第3傘歯車65bは、第4傘歯車66aと噛み合っている。第4傘歯車66aは、扱胴回転シャフト66に取り付けられ、扱胴回転シャフト66には、扱胴5Rが取り付けられている。このため、脱穀動力伝達シャフト38に伝達されたエンジン20の動力は、扱胴出力プーリ38c、第3伝達ベルト63、扱胴駆動プーリ64a、第1扱胴駆動シャフト64、第1減速ギヤ64b、第2減速ギヤ65a、第2扱胴駆動シャフト65、第3傘歯車65b、第4傘歯車66a及び扱胴回転シャフト66を介して、扱胴5Rに伝達されることで、扱胴5Rを回転させる。これにより、扱胴5Rも、エンジン20の動力が直接伝達されるため、コンバイン1の走行速度に関わらず一定の速度(回転速度)で駆動される。
【0037】
唐箕5Fは、唐箕出力プーリ38eから伝達される動力で駆動される。唐箕出力プーリ38eには、無端の第4伝達ベルト67を介して、唐箕駆動プーリ68aが連結されている。唐箕駆動プーリ68aは、唐箕回転シャフト68の一端部に取り付けられており、唐箕回転シャフト68には、唐箕5Fが取り付けられている。このため、脱穀動力伝達シャフト38に伝達されたエンジン20の動力は、唐箕出力プーリ38e、第4伝達ベルト67、唐箕駆動プーリ68a、唐箕回転シャフト68を介して、唐箕5Fに伝達されることで、唐箕5Fを回転させる。これにより、唐箕5Fは、エンジン20の動力が直接伝達されるため、コンバイン1の走行速度に関わらず一定の速度(回転速度)で駆動される。
【0038】
一番回収部5G及び二番回収部5Jは、回収部出力プーリ38dから伝達される動力で駆動される。回収部出力プーリ38dには、無端の第5伝達ベルト90を介して、一番回収部駆動プーリ91a及び二番回収部駆動プーリ92aが連結されている。一番回収部駆動プーリ91aは、一番回収部5Gを駆動するための一番回収部駆動シャフト91に取り付けられている。二番回収部駆動プーリ92aは、二番回収部5Jを駆動するための二番回収部駆動シャフト92に取り付けられている。このため、脱穀動力伝達シャフト38に伝達されたエンジン20の動力は、回収部出力プーリ38d、第5伝達ベルト90、一番回収部駆動プーリ91a及び一番回収部駆動シャフト91を介して、一番回収部5Gに伝達されることで、一番回収部5Gを駆動させる。また、脱穀動力伝達シャフト38に伝達されたエンジン20の動力は、回収部出力プーリ38d、第5伝達ベルト90、二番回収部駆動プーリ92a、二番回収部駆動シャフト92を介して、二番回収部5Jに伝達されることで、二番回収部5Jを駆動させる。
【0039】
また、一番回収部駆動プーリ91aと二番回収部駆動プーリ92aとの間には、第2唐箕駆動プーリ93aが設けられ、第2唐箕駆動プーリ93aは、第5伝達ベルト90に連結されている。第2唐箕駆動プーリ93aは、第2唐箕回転シャフト93に取り付けられ、第2唐箕回転シャフト93には、第2唐箕5Mが取り付けられている。このため、脱穀動力伝達シャフト38に伝達されたエンジン20の動力は、回収部出力プーリ38d、第5伝達ベルト90、第2唐箕駆動プーリ93a及び第2唐箕回転シャフト93を介して、第2唐箕5Mに伝達されることで、第2唐箕5Mを回転させる。
【0040】
ここで、一番回収部駆動シャフト91には、搬送駆動プーリ91bが取り付けられ、搬送駆動プーリ91bからは、穀稈搬送装置10を駆動するための動力が取り出される。搬送駆動プーリ91bは、第6伝達ベルト95を介して、ギヤボックス100の変速入力プーリ101aに連結されている。
【0041】
<ギヤボックス>
図8は、
図7に示すギヤボックスの詳細図である。ギヤボックス100は、エンジン20からの動力を変速してフィードチェン13へ向けて出力するフィードチェン変速装置として機能すると共に、エンジン20からの動力を遮断可能なクラッチとして機能する。
【0042】
ギヤボックス100は、第6伝達ベルト95に連結された変速入力プーリ101aを有し、変速入力プーリ101aは、ギヤボックス入力軸101の一端部に取り付けられている。ギヤボックス入力軸101の他端部には、入力ギヤ101bが取り付けられており、入力ギヤ101bは、排塵ファン出力ギヤ102aと噛み合っている。排塵ファン出力ギヤ102aは、排塵ファン回転シャフト102に取り付けられ、排塵ファン回転シャフト102には、排塵ファン5Lが取り付けられている。このため、一番回収部駆動シャフト91に伝達されたエンジン20の動力は、搬送駆動プーリ91b、第6伝達ベルト95、変速入力プーリ101a、ギヤボックス入力軸101、入力ギヤ101b、排塵ファン出力ギヤ102a及び排塵ファン回転シャフト102を介して、排塵ファン5Lに伝達されることで、排塵ファン5Lを回転させる。これにより、排塵ファン5Lも、エンジン20の動力が直接伝達されるため、コンバイン1の走行速度に関わらず一定の速度(回転速度)で駆動される。
【0043】
また、排塵ファン出力ギヤ102aは、変速入力ギヤ103aと噛み合っている。変速入力ギヤ103aは、変速軸103の一端部に取り付けられている。この変速軸103には、高速側伝動ギヤ103bと低速側伝動ギヤ103cとが回転自在に取り付けられている。高速側伝動ギヤ103bは、変速入力ギヤ103a側に設けられ、低速側伝動ギヤ103cは、高速側伝動ギヤ103bを挟んで、変速入力ギヤ103aの反対側に設けられている。高速側伝動ギヤ103bと低速側伝動ギヤ103cとの間の変速軸103には、移動体103dが設けられ、移動体103dは、変速軸103と一体的に回転するように取り付けられる一方で、変速軸103の軸方向に移動可能となっている。高速側伝動ギヤ103bの軸方向の移動体103dと対向する面には、高速側クラッチ爪104が設けられ、低速側伝動ギヤ103cの軸方向の移動体103dと対向する面には、低速側クラッチ爪105が設けられる。また、移動体103dの軸方向の高速側伝動ギヤ103bと対向する面には、高速側クラッチ爪104に係合可能な第1クラッチ爪106が設けられ、移動体103dの軸方向の低速側伝動ギヤ103cと対向する面には、低速側クラッチ爪105に係合可能な第2クラッチ爪107が設けられる。
【0044】
このため、移動体103dが高速側伝動ギヤ103b側の高速側変速位置に移動すると、高速側クラッチ爪104と第1クラッチ爪106とが係合状態となる一方で、低速側クラッチ爪105と第2クラッチ爪107とが非係合状態となり、高速側伝動ギヤ103bは、移動体103d及び変速軸103と一体となって回転する。一方で、移動体103dが低速側伝動ギヤ103c側の低速側変速位置に移動すると、低速側クラッチ爪105と第2クラッチ爪107とが係合状態となる一方で、高速側クラッチ爪104と第1クラッチ爪106とが非係合状態となり、低速側伝動ギヤ103cは、移動体103d及び変速軸103と一体となって回転する。なお、移動体103dが高速側変速位置と低速側変速位置との間の中立位置に位置すると、移動体103dの第1クラッチ爪106及び第2クラッチ爪107は、高速側クラッチ爪104及び低速側クラッチ爪105と非係合状態となるため、変速軸103からの動力は、高速側伝動ギヤ103b及び低速側伝動ギヤ103cへ伝達されずに遮断される。
【0045】
変速軸103に取り付けられる高速側伝動ギヤ103bは、高速側出力ギヤ112aと噛み合っている。また、高速側伝動ギヤ103bと同様に変速軸103に取り付けられる低速側伝動ギヤ103cは、低速側出力ギヤ112bと噛み合っている。高速側出力ギヤ112a及び低速側出力ギヤ112bは、ギヤボックス出力軸113に一体に設けられている。このため、高速側出力ギヤ112aまたは低速側出力ギヤ112bに動力が伝達されることで、ギヤボックス出力軸113が回転する。
【0046】
このように構成されるギヤボックス100のギヤボックス出力軸113には、フィードチェン駆動プーリ113aが設けられている。フィードチェン駆動プーリ113aには、フィードチェン13が巻き掛けられている。このため、ギヤボックス100のギヤボックス入力軸101に伝達されたエンジン20の動力は、ギヤボックス100において変速され、変速された動力は、ギヤボックス出力軸113からフィードチェン13に伝達されることで、フィードチェン13を駆動(周回)させる。
【0047】
刈取装置7と引継搬送装置16は、刈取出力プーリ38fから伝達される動力で駆動される。刈取出力プーリ38fには、無端の第7伝達ベルト120を介して、無段変速入力プーリ132が連結されている。無段変速入力プーリ132は、無段変速装置130の入力軸である無段変速入力軸131の一端部に取り付けられている。この無段変速装置130は、HST(Hydraulic Static Transmission)等からなる無段変速機構を有して構成されており、無段変速入力軸131から入力された駆動力を、任意の変速比で無段階で変速して、無段変速出力軸133やシンクロ出力軸135から出力することが可能になっている。
【0048】
このうち、無段変速出力軸133には、一端に無段変速出力プーリ134が取り付けられており、無段変速出力プーリ134は、刈取装置7が有する刈取入力プーリ138に、無端の第8伝達ベルト125を介して連結されている。この刈取入力プーリ138は、刈取装置7の入力軸である刈取入力軸137の一端に取り付けられている。このため、無段変速装置130に伝達されたエンジン20の動力は、無段変速装置130で無段階で変速され、変速された動力は、無段変速出力軸133から刈取入力軸137に伝達されることで、刈取装置7を駆動させる。
【0049】
また、シンクロ出力軸135には、引継搬送装置16のシンクロチェン17に対して駆動力を伝達するシンクロスプロケット136が一端に取り付けられている。これにより、無段変速装置130に入力された駆動力は、引継搬送装置16に対して出力することができる。このため、無段変速装置130に伝達されたエンジン20の動力は、無段変速装置130で無段階で変速され、変速された動力は、シンクロ出力軸135からシンクロチェン17に伝達されることで、シンクロチェン17を駆動(周回)させる。
【0050】
また、複数のエンジン出力プーリ20Pのうち、一部のエンジン出力プーリ20Pは、走行装置3が有する走行用ミッション140の入力軸に取り付けられる走行用入力プーリ141に、第9伝達ベルト145を介して連結されている。これにより、エンジン20で発生した動力の一部は、走行用ミッション140に伝達可能になっている。このため、走行用ミッション140に伝達されたエンジン20の動力は、コンバイン1の走行状態に応じて走行用ミッション140で変速して走行用ミッション140から出力し、履帯4を回転させることにより、コンバイン1の走行用の動力として用いられる。
【0051】
また、エンジン20は、エンジン20において出力軸20Sが配設される側の反対側に、第2の出力軸である第2出力軸20Tを有しており、エンジン20で発生した動力は、この第2出力軸20Tからも出力可能になっている。穀粒排出オーガ9は、この第2出力軸20Tから出力される動力により、駆動可能になっている。
【0052】
<規制部材>
図9は、
図1のB−B断面図である。
図10は、
図9のC−C矢視図である。引継搬送装置16が有するシンクロチェン17の上方には、シンクロチェン17で搬送する穀桿をシンクロチェン17に抑え付ける部材である規制部材150が配設されている。この規制部材150は、シンクロチェン17の上方に、シンクロチェン17が配設される方向に沿って延在しており、即ち、規制部材150は、シンクロチェン17の上方で、前後方向に延在する棒状の部材として設けられている。このように設けられる規制部材150は、シンクロチェン17に沿った向きで配設された状態における前端が、刈取装置7のフレームである刈取装置フレーム160に設けられる規制部材支持部161に支持されている。
【0053】
詳しくは、規制部材150は、シンクロチェン17に沿った向きで配設された状態における前端が、左右方向における機体外側に折り曲げられており、この機体左右方向に向かって形成される部分は、規制部材150の回動軸151になっている。即ち、回動軸151は、機体左右方向におけるシンクロチェン17が位置する側から、フィードチェン13が位置する側に向かって延びている。規制部材支持部161は、穀稈搬送装置10が有するフィードチェン13の前方に配設されており、略円筒形の形状で形成されて円筒形の内側に回動軸151を入り込ませることにより、回動軸151を回動可能に支持している。つまり、規制部材支持部161は、規制部材150を回動可能に支持している。
【0054】
また、規制部材150は、シンクロチェン17に沿った向きで配設された状態における後端が、穀稈搬送装置10が有する挟扼杆11の前端よりも後方に位置している。即ち、規制部材150によって回動可能に支持されている規制部材150は、フィードチェン13の前端よりも前側になる位置から、挟扼杆11の前端よりも後ろ側になる位置にかけて、シンクロチェン17の上方でシンクロチェン17に沿って配設されている。
【0055】
図11は、
図10のD部詳細図である。規制部材150には、長さ方向における中間部に、規制部材150を手動で回動させる際の取っ手であるハンドル部153が設けられている。このハンドル部153は、規制位置X1に位置づけられた状態の規制部材150における挟扼杆11よりも前方に位置する部位と連結されると共に、規制部材150から斜め上後方に延びて形成されている。換言すると、ハンドル部153は、規制部材150をシンクロチェン17に沿った向きにした状態、即ち、規制部材150を前後方向に延在する向きにした状態における、規制部材150の前端と後端との間の部分から、斜め上方に突出して設けられている。詳しくは、ハンドル部153は、規制部材150を前後方向に延在する向きにした状態における回動軸151側の端部寄りの位置から、上方に向かいつつ後方に向かう斜め方向に向かって、規制部材150から突出して設けられている。
【0056】
規制部材150は、このハンドル部153を手動で操作して回動軸151を中心として回動させることにより、手扱ぎ作業を規制する規制位置X1と、手扱ぎ作業を許容する開放位置X2との間で回動させることができる。即ち、規制部材150は、規制位置X1と開放位置X2に切替可能に設けられている。このうち、規制位置X1は、規制部材150が規制部材支持部161から後方に延びて、シンクロチェン17の上方からシンクロチェン17に接触する第1位置になっている。また、開放位置X2は、規制部材150が規制部材支持部161から上方に延びて、シンクロチェン17から大きく上方に離間する第2位置になっている。
【0057】
その際に、ハンドル部153は、規制部材150を規制位置X1にした際に先端部分が挟扼杆11の前端近傍に位置するように設けられており、機体左右方向視において、挟扼杆11の前端付近とフィードチェン13との間に、ハンドル部153の先端部分が位置するように形成されている。つまり、ハンドル部153は、規制部材150が規制位置X1に位置づけられた状態での機体左右方向視において後端部が、フィードチェン13での穀稈の搬送方向における挟扼杆11の上流側の端部とフィードチェン13との間に位置するように形成されている。さらに、ハンドル部153は、規制部材150を規制位置X1にした際に、後端部が、機体左右方向において挟扼杆11よりも機体内側で、且つ、防塵カバー165(
図9)よりも機体内側に位置するように形成されている。
【0058】
また、規制部材150には、回動する規制部材150に対して、規制位置X1や開放位置X2に位置させる付勢力を付与する付勢手段であるスプリング170が引っ掛けられている。詳しくは、規制部材150には、回動軸151の近傍で、規制部材150を規制位置X1にした場合における下方側の位置に、引っ張りバネからなるスプリング170の一端を引っ掛ける規制部材側引掛け部155が設けられている。即ち、規制部材側引掛け部155は、規制部材150におけるスプリング170の係合部になっている。
【0059】
一方、刈取装置フレーム160には、スプリング170の他端を引っ掛ける支持部側引掛け部162が、規制部材支持部161よりも下方で、且つ、前方の位置に形成されている。即ち、支持部側引掛け部162は、刈取装置フレーム160におけるスプリング170の係合部になっている。スプリング170は、両端が、規制部材側引掛け部155と支持部側引掛け部162とに引っ掛けられており、これにより、規制部材側引掛け部155と支持部側引掛け部162とは、互いに近付く方向の付勢力が、スプリング170から付与されている。
【0060】
このため、規制部材支持部161によって回動自在に支持される規制部材150は、規制位置X1の位置に近い状態の場合には、スプリング170から付与される付勢力により、規制部材150はシンクロチェン17に近付く方向の力が付与される。換言すると、規制部材150は、規制位置X1の位置に近い状態の場合には、スプリング170は、規制部材150をシンクロチェン17に押し付ける付勢力を規制部材150に対して付与する。これにより、規制部材150は、後端寄りの位置がシンクロチェン17に接触してシンクロチェン17に押し付けられた状態になり、この状態が規制位置X1になる。
【0061】
一方、規制部材150が規制位置X1から開放位置X2の方向に回動し、規制部材150と一体となって規制部材側引掛け部115も回動した場合には、規制部材側引掛け部115と支持部側引掛け部162とに引っ掛けられているスプリング170も、開放位置X2の方向に回動する。この場合、スプリング170は、左右方向視において回動軸151の位置よりも規制位置X1寄りに位置する状態では、当該スプリング170の付勢力は、規制部材150を規制位置X1の方向に回動させる方向に作用する。
【0062】
これに対し、スプリング170が、左右方向視において回動軸151の位置よりも開放位置X2寄りに位置する状態になった際には、当該スプリング170の付勢力は、規制部材150を開放位置X2の方向に回動させる方向に作用する。これにより、規制部材150は、開放位置X2の位置に近い状態の場合には、スプリング170から付与される付勢力により、開放位置X2側の方向に回動する。
【0063】
また、刈取装置フレーム160には、規制部材支持部161の近傍に、規制部材150の回動状態を検知する規制部材検出手段であるスイッチ180が設けられている。このスイッチ180は、コンバイン1の各部を制御する制御装置(図示省略)に接続されており、規制部材150の回動状態の検出結果を、制御装置に伝達することが可能になっている。このような機能を有するスイッチ180は、刈取装置フレーム160における規制部材支持部161の近傍に設けられるスイッチ支持部材185に取り付けられることにより、規制部材支持部161の近傍に配設されている。
【0064】
図12は、
図11のE−O−E矢視図である。
図13は、
図12のF−F矢視図である。スイッチ180は、他の部材が当接することにより、部材を検出する部分であるセンサ部181を有している。スイッチ180は、このセンサ部181が、規制部材支持部161の上方の位置で、後方に面する向きで配設されている。また、スイッチ180は、規制部材150の回転支点である規制部材支持部161よりも、機体左右方向における機体外側に配設されている。
【0065】
規制部材150には、規制部材支持部161の近傍に、このセンサ部181に当接するセンサプレート156が設けられている。センサプレート156は、規制部材150が規制位置X1の状態である場合における規制部材側引掛け部155の上面側に設けられており、即ち、規制部材150が開放位置X2の状態である場合における規制部材側引掛け部155の前面側に設けられている。スイッチ180は、規制部材150が開放位置X2の状態である場合に、規制部材側引掛け部155の前面側に位置するセンサプレート156に、後方に面しているセンサ部181が当接することにより、規制部材150を検出することが可能になっている。即ち、センサプレート156は、規制部材150が開放位置X2に位置する状態のときにスイッチ180に接触する検出部材として設けられており、スイッチ180は、センサプレート156が接触することにより、規制部材150が開放位置X2に位置することを検出することができるように設けられている。
【0066】
スプリング170から規制部材150に付与される付勢力により、規制部材150が開放位置X2側の方向に回動した際には、規制部材150は、スイッチ180のセンサ部181にセンサプレート156が当接することにより、回動が停止する。規制部材150は、この状態が開放位置X2になる。
【0067】
これらのように構成されるスイッチ180は、フィードチェン13の近傍に配設される供給挟持杆ホルダ168よりも下方に配設されている。詳しくは、刈取装置フレーム160には、フィードチェン13の前方に供給挟持杆ホルダ168が配置されており、スイッチ180は、この供給挟持杆ホルダ168の下面(
図12のLの位置)よりも下方に上面が位置するように配設されている。スイッチ180は、この位置で、下面側が規制部材支持部161に取り付けられることにより、規制部材支持部161に支持されている。なお、供給挟持杆ホルダ168は、左右方向における機体内側に延伸する挟持杆(図示省略)を保持している。この挟持杆は、刈取穀稈搬送装置15の株元搬送装置15aとともに、穀稈を挟持する部材である。
【0068】
さらに、スイッチ180には、上面側に、スイッチ180のカバーであるカバープレート186が取り付けられている。このカバープレート186は、スイッチ180の左右方向における両側面のうち、機体外側の側面から上面にかけて覆うように折り曲げられた板状の部材からなり、これらの機体側面から上面にかけて覆うように、スイッチ180に取り付けられている。即ち、カバープレート186は、前後方向から見た形状がL字状となって、スイッチ180に取り付けられている。
【0069】
本
参考例に係るコンバイン1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。コンバイン1の運転時は、作業者が走行操作レバー6Hや、操作装置6Cに設けられる各種操作手段を操作することにより、コンバイン1を走行させたり、穀稈の刈り取りを行ったりする。このように、コンバイン1が運転する際には、動力源であるエンジン20が駆動し、エンジン20で発生した動力が、出力軸20Sや第2出力軸20Tから出力されて各動作部に伝達されることにより、コンバイン1は所望の動作を行う。
【0070】
また、コンバイン1は、走行しながら穀稈の刈り取りも行う通常の運転と、走行を停止させて行う手扱ぎ作業の運転とを切り替えることが可能になっており、通常の運転状態と、手扱ぎ作業状態との切り替えは、規制部材150を回動操作することにより行う。即ち、通常の運転状態と、手扱ぎ作業状態との切り替えは、規制部材150を回動させ、規制位置X1、または開放位置X2のいずれかに位置させることにより行う。
【0071】
まず、コンバイン1を、通常の運転状態で運転させる際には、ハンドル部153を操作することにより、規制部材150を規制位置X1に位置させる。この状態では、センサプレート156はスイッチ180のセンサ部181に接触せず、スイッチ180は規制部材150の接触を検出することなく、OFFの状態になる。スイッチ180が接続される制御装置は、スイッチ180がOFFの場合は、走行しながら穀稈の刈り取りも行う通常の運転状態でコンバイン1が駆動するように、各部を制御する。
【0072】
また、この状態では、ハンドル部153がシンクロチェン17に沿ってシンクロチェン17の上方で、且つ、ハンドル部153の先端部分が、左右方向視において挟扼杆11の前端付近とフィードチェン13との間に位置する状態になる。これにより、フィードチェン13に対して上方からは、ハンドル部153が邪魔をして穀稈を載せることができない状態になる。このため、規制部材150を規制位置X1に位置させた状態では、作業者が手刈りした穀稈をフィードチェン13に手作業で載せ、フィードチェン13によって脱穀装置5へ供給して処理する手扱ぎ処理(手扱ぎ作業)を行うことができなくなる。
【0073】
コンバイン1を、通常の運転状態で運転させる際には、エンジン20で発生した動力を走行用ミッション140に伝達することにより、走行用ミッション140を作動させ、コンバイン1を走行させる。また、エンジン20で発生した動力は、走行時における駆動力以外にも用いられる。例えば、エンジン20で発生した動力の一部は、無段変速装置130を介して刈取装置7に伝達され、刈取装置7の駆動に用いられる。刈取装置7の駆動時には、穀稈を刈刃7cで刈り取り、刈り取った穀稈を刈取穀稈搬送装置15によって穀稈搬送装置10に向けて搬送する。その際に、刈取穀稈搬送装置15は、穀稈の株元側が機体幅方向における左側に位置し、穂先側が機体幅方向における右側に位置する横向きになるように、穀稈を穀稈搬送装置10に向けて搬送しつつ、立った状態の穀稈を徐々に寝かせる方向に向きを変更する。
【0074】
これにより、刈り取った穀稈が穀稈搬送装置10側に供給される際には、穀稈は横向きの姿勢で供給されるが、穀稈搬送装置10の前端付近では、穀稈搬送装置10の上方に引継搬送装置16が位置している。このため、穀稈搬送装置10側に供給される穀稈は、まず引継搬送装置16に供給される。この引継搬送装置16と穀稈搬送装置10とは、共に穀稈を横向きの姿勢で搬送することが可能になっている。
【0075】
ここで、刈取穀稈搬送装置15や穀稈搬送装置10の搬送速度について説明する。刈取穀稈搬送装置15は、無段変速装置130を介して刈取装置7に伝達された動力によって駆動するが、無段変速装置130は、コンバイン1の走行時の速度に応じて無段階で変速比が変化するように制御装置によって制御される。このため、無段変速装置130から伝達される動力によって駆動する刈取穀稈搬送装置15は、コンバイン1の走行時の速度に応じて無段階で搬送速度が変化する。
【0076】
これに対し、穀稈搬送装置10は、ギヤボックス100を介して伝達された動力によって駆動するが、ギヤボックス100は、高速と低速との2段階で変速を行うことができるように構成されている。このため、穀稈搬送装置10は、ギヤボックス100を介して伝達される動力で駆動することにより、搬送速度が2段階で変化する。このように、刈取穀稈搬送装置15と穀稈搬送装置10とでは、搬送速度に差があるため、刈取穀稈搬送装置15から穀稈搬送装置10への穀稈の搬送の引継ぎを、円滑に行うことができるように、引継搬送装置16を介在させて引継ぎを行う。
【0077】
具体的には、引継搬送装置16は、刈取穀稈搬送装置15と同様に無段変速装置130を介して伝達された動力によって駆動するため、引継搬送装置16も、コンバイン1の走行時の速度に応じて無段階で搬送速度が変化する。このため、引継搬送装置16は、搬送速度が刈取穀稈搬送装置15とほぼ等速になっている。これにより、刈取穀稈搬送装置15から引継搬送装置16への穀稈の受け渡しは、円滑に行われる。
【0078】
また、引継搬送装置16が有するシンクロチェン17の上方側の部分の軌跡は、穀稈搬送装置10の前端付近では、穀稈搬送装置10が有するフィードチェン13の上方側の部分の軌跡よりも上方に位置し、後方に向うに従ってフィードチェン13の軌跡に近付き、さらに、フィードチェン13の軌跡よりも下方に位置するように形成されている。引継搬送装置16と穀稈搬送装置10とでは、搬送速度が異なっているが、引継搬送装置16の軌跡が、搬送方向における後方に向かうに従って穀稈搬送装置10の軌跡に近付くことにより、引継搬送装置16で搬送する穀稈は、徐々に穀稈搬送装置10に受け渡される。
【0079】
ここで、規制部材150が規制位置X1に位置する場合は、規制部材150は、スプリング170が付与される付勢力により、シンクロチェン17に押し付けられている。刈取穀稈搬送装置15から引継搬送装置16へ受け渡される穀稈は、規制部材150とシンクロチェン17との間から受け渡され、引継搬送装置16で搬送されるが、この引継搬送装置16で搬送される穀稈は、規制部材150によってシンクロチェン17の方向に押し付けられながら搬送される。このため、引継搬送装置16から穀稈搬送装置10に受け渡される穀稈も、規制部材150によってシンクロチェン17の方向に押し付けられた状態で受け渡されるため、双方の間で穀稈を受け渡す部分で、穀稈が滞ることなく、確実に穀稈搬送装置10に受け渡される。
【0080】
穀稈搬送装置10に受け渡された穀稈は、挟扼杆11とフィードチェン13とに挟まれながら、フィードチェン13によって後方に搬送され、脱穀装置5に供給される。脱穀装置5に供給された穀稈は、脱穀装置5により脱穀される。これらにより、コンバイン1は、走行をしながら刈取装置7で穀稈を刈り取り、脱穀装置5で脱穀を行う。
【0081】
これらに対し、コンバイン1の走行を停止させた状態で、手扱ぎ作業を行う場合には、ハンドル部153を操作することにより、規制部材150を開放位置X2に位置させる。規制部材150を開放位置X2に位置させると、センサプレート156がスイッチ180のセンサ部181に接触することにより、スイッチ180は規制部材150の接触を検出し、スイッチ180はてONの状態になる。スイッチ180が接続される制御装置は、スイッチ180がONの場合は、手扱ぎ作業が可能な状態でコンバイン1が駆動するように、各部を制御する。
【0082】
具体的には、制御装置は、コンバイン1を走行させる駆動力を出力しないように、走行用ミッション140を制御する。また、制御装置は、ギヤボックス100を制御することにより、変速段を低速側に切り替え、フィードチェン13を低速で駆動させる。これにより、フィードチェン13は、穀稈の搬送速度が減速する。このように、規制部材150が開放位置X2に位置することをスイッチ180で検出されると、フィードチェン13による穀稈の搬送速度が、通常運転時の搬送速度に対して減速する。さらに、制御装置は、無段変速装置130を制御することにより、刈取装置7への動力の伝達は遮断し、シンクロチェン17は、低速で駆動するフィードチェン13の搬送速度に近い搬送速度になるように駆動させる。
【0083】
また、規制部材150を開放位置X2に位置する状態では、フィードチェン13における挟扼杆11の前端部分付近の上方は、開放された状態になる。このため、駆動するフィードチェン13に対してこの部分から、作業者が手刈りした穀稈を手作業で載せることにより、穀稈をフィードチェン13に供給する。この穀稈は、挟扼杆11とフィードチェン13とに挟まれながら、フィードチェン13によって後方に搬送されて脱穀装置5に供給され、脱穀装置5により脱穀される。これにより、コンバイン1は、走行が停止した状態で、手作業でフィードチェン13に供給された穀稈を、脱穀装置5で脱穀する。
【0084】
以上の
参考例に係るコンバイン1は、シンクロチェン17に対して規制位置X1と開放位置X2との間で回動する規制部材150を設け、規制部材150が開放位置X2に位置することをスイッチ180で検出した場合には、フィードチェン13での穀稈の搬送速度を減速している。これにより、手扱ぎ作業を行う際には、規制部材150を回動させて開放位置X2に位置させるのみで、フィードチェン13の搬送速度を低下させることができる。この結果、手扱ぎ作業時の安全性を容易に高めることができる。
【0085】
また、規制部材150の回動状態をスイッチ180で検出することのみで手扱ぎ作業の状態に切り替えることができるので、手扱ぎ作業の状態に切り替え可能な構成を、最小限の部品で構成することができる。この結果、製造コストを抑えることができる。また、手扱ぎ作業は、規制部材150をシンクロチェン17の上方から退避させた開放位置X2で行うことができるので、手扱ぎ作業時の空間を広く確保することができる。この結果、手扱ぎ作業を容易に行うことができる。
【0086】
また、規制位置X1に位置する規制部材150には、当該規制部材150をシンクロチェン17に押し付ける付勢力がスプリング170によって付与されているため、コンバイン1を走行させながら穀稈の刈り取りも行う通常の運転作業時に、振動によって規制部材150が開放位置X2に回動することを抑制することができる。この結果、スイッチ180での誤検知を抑制することができ、コンバイン1の誤作動を抑制することができる。
【0087】
また、規制部材150に連結されるハンドル部153は、規制部材150が規制位置X1の状態での後端部が、挟扼杆11の前端部とフィードチェン13との間に位置するため、通常の運転作業時は、ハンドル部153が邪魔をして穀稈をフィードチェン13上に載せることができないようになっている。また、手扱ぎ作業を行う際には、ハンドル部153を掴んで規制部材150を開放位置X2まで回動させることができるので、容易に手扱ぎ作業の状態にすることができる。さらに、通常の運転作業時における、穀稈をフィードチェン13上に載せることを規制する部材として、このハンドル部153を用いるので、部品点数を抑えることができる。これらの結果、手扱ぎ作業を行わない通常の運転作業時の安全性の向上と、手扱ぎ作業の容易性の向上とを、低コストで両立することができる。
【0088】
また、ハンドル部153は、後端部が、機体左右方向において挟扼杆11や防塵カバー165より機体内側に位置するため、ハンドル部153を曲げなしで構成することができる。この結果、より容易にハンドル部153を設けることができる。
【0089】
また、スイッチ180は、規制部材支持部161よりも機体左右方向における機体外側に配設されているため、多量稈において搬送通路を確保すると共に、詰まり時などにおいてのスイッチ180の破損を防止することができる。また、規制部材150には、規制部材側引掛け部155に、規制部材150が開放位置X2に位置する状態のときにスイッチ180に接触するセンサプレート156が設けられているため、規制部材150に関わる部材を、全て一体で構成することができる。これにより、フィードチェンガイドを単独でオープン可能にすることができる。これらの結果、搬送性能を確保すると共に、耐久性やメンテナンス性を向上させることができる。
【0090】
また、スイッチ180は、供給挟持杆ホルダ168の下面よりも下方に上面が位置するように配設されているため、スイッチ180を固定したまま、供給挟持杆ホルダ168及びこれに取り付けられる挟持杆の保守点検を行うことができる。この結果、メンテナンス性を向上させることができる。
【0091】
また、スイッチ180には、機体左右方向における機体外側面と上面とを覆うカバープレート186が設けられているため、他の部材がスイッチ180に衝突することを防止してスイッチ180を保護したり、稈や雑草が引っ掛かることを防止したりすることができる。この結果、耐久性やメンテナンス性を向上させることができる。
【0092】
〔変形例〕
なお、上述したコンバイン1では、ハンドル部153が、機体左右方向において挟扼杆11や防塵カバー165より機体内側に位置するように構成されているが、ハンドル部153は、これ以外の形状で形成されていてもよい。
図14は、
参考例に係るコンバインの変形例であり、
本発明に係るコンバインの実施形態の説明図である。ハンドル部153は、例えば
図14に示すように、規制部材150を規制位置X1にした際に、後端部が、機体左右方向において挟扼杆11よりも機体外側で、且つ、防塵カバー165よりも機体外側に位置するように形成されていてもよい。ハンドル部153を、挟扼杆11や防塵カバー165よりも機体外側に位置するように形成することにより、規制部材150を規制位置X1した際に、ハンドル部153はフィードチェン13の上方に位置することになるため、手扱ぎ作業を行わない通常の運転作業時に、より確実に穀稈をフィードチェン13上に載せることができないようにすることができる。この結果、通常の運転作業時の安全性を、より確実に向上させることができる。
【0093】
また、上述したコンバイン1では、フィードチェン13は、2段変速のギヤボックス100を介して動力が伝達され、刈取装置7と引継搬送装置16は、無段変速装置130を介して動力が伝達されるように構成されているが、動力の伝達経路は、これ以外で構成されていてもよい。
図15は、
参考例に係るコンバインの変形例であり、動力伝達経路の一部を示す模式図である。フィードチェン13は、例えば、無段変速装置130を介して動力が伝達されるように構成されていてもよい。この場合、無段変速装置130の無段変速出力軸133の一端に、フィードチェン13に対して駆動力を伝達する無段変速出力スプロケット205が取り付けられている。これにより、無段変速装置130に入力された駆動力は、穀稈搬送装置10に対して出力することができる。このため、無段変速装置130に伝達されたエンジン20の動力は、無段変速装置130で無段階で変速され、変速された動力は、無段変速出力軸133からフィードチェン13に伝達されることで、フィードチェン13を駆動(周回)させる。この場合、第6伝達ベルト95と変速入力プーリ201aとを介してギヤボックス入力軸201に動力が伝達されることにより、動力が入力されるギヤボックス200は、複数の有段変速機構が備えられていなくてもよい。
【0094】
また、このように無段変速装置130からフィードチェン13に対して動力が伝達される構成にする場合は、刈取装置7と引継搬送装置16とには、走行用ミッション140を介して動力が伝達されるように構成してもよい。具体的には、走行用ミッション140の出力軸に取り付けられるミッション出力プーリ210と、刈取入力軸137に取り付けられる刈取入力プーリ220とには、第10伝達ベルト212を巻き掛ける。これにより、刈取装置7は、走行用ミッション140を介して伝達されるエンジン20の動力によって駆動する。なお、ミッション出力プーリ210と刈取入力プーリ220との間には、刈取クラッチ211が設けられており、刈取クラッチ211の接続と解放とを切り替えることにより、走行用ミッション140から刈取装置7への動力の伝達状態を切り替えることができる。
【0095】
刈取入力軸137には、さらに刈取出力プーリ221を取り付け、シンクロ軸226に取り付けられるシンクロ入力プーリ225と刈取出力プーリ221との間に、第11伝達ベルト222を巻き掛ける。さらに、シンクロ軸226には、シンクロチェン17に動力を伝達するシンクロスプロケット227が取り付ける。これにより、刈取装置7に伝達されたエンジン20の動力は、シンクロ軸226を介してシンクロチェン17に伝達されることで、シンクロチェン17を駆動(周回)させる。これらのように、動力伝達経路は、
参考例以外の経路で構成されていてもよい。
【0096】
また、上述した
参考例では、刈取装置7の分草具7aに設けられるデバイダカバー230については、特に明記していないが、刈り取り作業時には分草具7aに大きな力が作用するため、デバイダカバー230に補強を施してもよい。
図16は、
参考例に係るコンバインの変形例であり、分草具の側面詳細図である。
図17は、
図16のG−G矢視図である。
図18は、
図16のH−H断面図である。デバイダカバー230には、例えば、
図16〜
図18に示すように、上面の左右方向中央付近に、上方に突出した凸状リブ231を前後方向に亘って設けてもよい。この凸状リブ231は、デバイダカバー230の左右方向における中央付近で絞るように曲げて上方に突出するように形成する。これにより、デバイダカバー230の強度を向上させることができるため、畦や土中への突っ込み時の破損を抑制することができ、分草具7aでの稈の分離作用を向上させることができる。
【0097】
また、デバイダカバー230の補強は、凸状リブ231以外で行ってもよい。
図19は、
参考例に係るコンバインの変形例であり、分草具の側面詳細図である。
図20は、
図19のJ−J矢視図である。
図21は、
図19のK−K断面図である。デバイダカバー230には、例えば、
図19〜
図21に示すように、上面の左右方向中央付近に、デバイダカバー230の表面から凹んだ凹状リブ232を前後方向に亘って設けてもよい。この凹状リブ232は、デバイダカバー230の左右方向における中央付近で絞るように曲げて表面から凹ませ、溝状に形成する。これによってもデバイダカバー230の強度を向上させることができるため、畦や土中への突っ込み時の破損を抑制することができ、分草具7aでの稈の分離作用を向上させることができる。
【0098】
また、デバイダカバー230の補強は、1つのデバイダカバー230に複数設けてもよい。
図22は、
参考例に係るコンバインの変形例であり、分草具の側面詳細図である。
図23は、
図22のL−L矢視図である。
図24は、
図22のM−M断面図である。デバイダカバー230には、例えば、
図22〜
図24に示すように、前後方向に亘って設けられる凸状リブ231を、左右方向に離間させて2本設けてもよい。
【0099】
図25は、
参考例に係るコンバインの変形例であり、分草具の側面詳細図である。
図26は、
図25のN−N矢視図である。
図27は、
図25のP−P断面図である。同様に、
図25〜
図27に示すように、前後方向に亘って設けられる凹状リブ232を、左右方向に離間させて2本設けてもよい。これらのように、1つのデバイダカバー230に、凸状リブ231や凹状リブ232を複数設けることにより、デバイダカバー230の強度を、より確実に向上させることができる。
【0100】
また、デバイダカバー230を補強するために形成される凸状リブ231は、高さが変化するように形成してもよい。
図28は、
参考例に係るコンバインの変形例であり、分草具の側面詳細図である。
図29は、
図28のQ−Q断面図である。
図30は、
図28のR−R断面図である。凸状リブ231は、例えば、
図28〜
図30に示すように、前方から後方に向かうに従って高くなるように形成してもよい。つまり、凸状リブ231は、前端位置での高さHaが最も低く、後端位置での高さHbが最も高くなるように形成してもよい。このため、この場合は、前後方向における中間位置でも高さが変化し、前端寄りの位置での高さHqよりも、後端寄りの位置での高さHrの方が高くなる。これにより、デバイダカバー230における前方側での稈の引っ掛かりを軽減しつつ、デバイダカバー230の強度を向上させることができ、分草具7aでの稈の分離作用を向上させることができる。
【0101】
また、デバイダカバー230を補強するために形成される凸状リブ231は、直線状以外の形状で形成されていてもよい。
図31は、
参考例に係るコンバインの変形例であり、分草具の側面詳細図である。
図32は、
図31のS−S矢視図である。凸状リブ231は、例えば、
図31、
図32に示すように、平面視において、後方が開いたV字状の形状で形成されていてもよい。
【0102】
図33は、
参考例に係るコンバインの変形例であり、分草具の側面詳細図である。
図34は、
図33のT−T矢視図である。または、凸状リブ231は、例えば、
図33、
図34に示すように、平面視において、前方が開いたV字状の形状で形成されていてもよい。これらのように凸状リブ231をV字状の形状で形成することにより、デバイダカバー230における前方側での稈の引っ掛かりを軽減しつつ、デバイダカバー230の強度を向上させることができ、分草具7aでの稈の分離作用を向上させることができる。
【0103】
また、デバイダカバー230を補強するために形成される凸状リブ231は、直線を組み合わせた形状以外の形状で形成されていてもよい。
図35は、
参考例に係るコンバインの変形例であり、分草具の側面詳細図である。
図36は、
図35のU−U矢視図である。凸状リブ231は、例えば、
図35、
図36に示すように、平面視において菱形状の形状で形成されていてもよい。
【0104】
図37は、
参考例に係るコンバインの変形例であり、分草具の側面詳細図である。
図38は、
図37のV−V矢視図である。または、凸状リブ231は、例えば、
図37、
図38に示すように、平面視において矢型状の形状で形成されていてもよい。これらのように凸状リブ231を、直線を組み合わせた形状以外の形状で形成することにより、デバイダカバー230における前方側での稈の引っ掛かりを軽減しつつ、デバイダカバー230の強度を向上させることができ、分草具7aでの稈の分離作用を向上させることができる。
【0105】
また、コンバイン1は、上述した
参考例、及び変形例で用いられている構成等を適宜組み合わせてもよく、または、上述した構成以外を用いてもよい。コンバイン1の構成に関わらず、シンクロチェン17の上方に回動可能な規制部材150を設け、規制部材150が開放位置X2に位置することをスイッチ180で検出した場合にはフィードチェン13での穀稈の搬送速度を減速することにより、手扱ぎ作業時の安全性を容易に高めることができる。
【解決手段】コンバイン1に、刈取装置7で刈り取られた穀稈を脱穀装置5に供給するフィードチェン13と、機体左右方向視において一部がフィードチェン13と重なって配設され、且つ、刈取装置7で刈り取られた穀稈をフィードチェン13へ受け渡すシンクロチェン17と、シンクロチェン17の上方からシンクロチェン17に接触する規制位置X1と、シンクロチェン17から上方に離間する開放位置X2に切替可能な規制部材150と、規制部材150をシンクロチェン17に押し付ける付勢力を規制部材150に対して付与するスプリング170と、規制部材150が、開放位置X2に位置することを検出するスイッチ180と、を備え、規制部材150が開放位置X2に位置することをスイッチ180で検出されると、フィードチェン13による穀稈の搬送速度が減速する。