特許第5648859号(P5648859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5648859
(24)【登録日】2014年11月21日
(45)【発行日】2015年1月7日
(54)【発明の名称】急性腎不全の検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/493 20060101AFI20141211BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20141211BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20141211BHJP
【FI】
   G01N33/493 AZNA
   G01N33/53 D
   G01N33/68
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-519703(P2011-519703)
(86)(22)【出願日】2010年5月25日
(86)【国際出願番号】JP2010058809
(87)【国際公開番号】WO2010150613
(87)【国際公開日】20101229
【審査請求日】2013年5月24日
(31)【優先権主張番号】特願2009-152448(P2009-152448)
(32)【優先日】2009年6月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504224153
【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(72)【発明者】
【氏名】池田 正浩
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−175630(JP,A)
【文献】 池田 直子, 園田 紘子, 池田 正浩,「尿中アクアポリン(AQP)の急性腎不全診断マーカーとしての有用性の検討」,日本腎臓学会誌,2007年 4月25日,Vol. 49, No. 3,p. 257
【文献】 園田 紘子, 押川 さやか, 菅野 陽介, 池田 直子, 伊藤 勝昭, 池田 正浩,「尿中AQP1および2の急性腎不全診断マーカーとしての有用性の検討」,日本薬理学雑誌,2007年 2月 1日,Vol. 129, No. 2,p. 33P
【文献】 Trairak Pisitkun, Rong-Fong Shen, and Mark A. Knepper,"Identification and proteomic profiling of exosomes in human urine",Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,2004年 9月 7日,Vol. 101, No. 36,p. 13368-13373
【文献】 石橋 賢一,「アクアポリン水チャネルと疾患」,医学のあゆみ,医歯薬出版株式会社,2006年 3月 4日,Vol. 216, No. 9,p. 705-711
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/493
G01N 33/53
G01N 33/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CiNii
医中誌WEB
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤性急性腎不全の検出方法であって、
薬剤投与から24時間以上が経過した被験体の尿中のアクアポリン2の量を測定するステップ、
前記被験体の尿中のアクアポリン2の量を、健常検体の尿中のアクアポリン2の量と比較するステップ、及び
前記被験体の尿中のアクアポリン2の量が、健常検体の尿中のアクアポリン2の量と比較して有意に少ないときに、被験体が薬剤性急性腎不全に罹患していると示されるステップ、
を含む、前記方法。
【請求項2】
薬剤性急性腎不全が抗がん剤により引き起こされたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アクアポリン2の量の測定に用いる尿サンプルが、尿から得られたエキソゾーム画分である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
被験体がヒトである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
アクアポリン2の測定が、アクアポリン2に特異的に結合する抗体又はその断片を用いた免疫学的測定法により行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
アクアポリン2に特異的に結合する抗体又はその断片を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法において用いるための薬剤性急性腎不全の検出薬。
【請求項7】
アクアポリン2に特異的に結合する抗体又はその断片を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法において用いるための薬剤性急性腎不全の検出キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、急性腎不全の非侵襲的な早期診断方法に関する。より具体的には、本発明は、被験体中の尿中アクアポリン2の量を測定するステップを含む、急性腎不全の診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
急性腎不全(ARF)は、ヒトでは死亡率が50%を超える重篤な疾患で、急激なGFRの低下と窒素代謝物の体内蓄積に特徴付けられる症候群の総称である。現在のところ特異的な治療薬は無く、また、軽度な急性腎不全における早期診断方法も確立していない。ARFは、出血などによる腎血流量の低下が原因となる腎前性ARF、尿細管細胞死を伴う腎実質性ARF、及び尿路閉塞による腎後性ARFの3つに分類される。この中で、腎実質性ARFの発症原因としては、腎臓が一時的な虚血に陥り、その後血流が再開することによっておきる腎虚血再灌流(IR)傷害及び薬物などによる尿細管への直接傷害が重要であり、これらの傷害により急性尿細管壊死が引き起こされる。また、壊死した尿細管上皮細胞は基底膜から脱落し、尿細管閉塞の原因ともなる。
【0003】
現在までに確立されている急性腎不全の診断用マーカーとしては、血清クレアチニンが挙げられる。しかし、クレアチニンの急性腎不全に対する特異性は低く、また、クレアチニンを用いて急性腎不全を早期に検出することはできない。近年、いくつかの急性腎不全の早期診断マーカーの候補物質が報告された。そのような物質には、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL;Neutrophil gelatinase−associated lipocalin)、インターロイキン−18、腎臓傷害分子−1(Kidney injury molecule−1)、フェツイン−A(Fetuin−A)などが含まれる。しかしながら、これらの物質はいずれも、腎臓において特異的な機能を担っているタンパク質ではなく、炎症などによって腎臓以外の細胞においても発現量が変化することが知られている。したがって、これらの物質は、他の疾患においてもその尿中排泄量が変化すると考えられ、急性腎不全に対する特異性は低いと予想される。
【0004】
水分子を透過させる膜タンパク質分子として発見されたアクアポリン(AQP)は、現在では同じタンパク質分子ファミリーに属する分子種として、水分子のみを透過させる“アクアポリン”(アクアポリン0、アクアポリン1、アクアポリン2、アクアポリン4、アクアポリン5、アクアポリン8)、水分子だけでなくグリセロールなどの中性子も一部透過させる“アクアグリセロポリン”(アクアポリン3、アクアポリン7、アクアポリン9)、水分子以外にも陰イオンを透過させるアクアポリン6、輸送される物質が明らかにされていないアクアポリン11及びアクアポリン12の13種類の分子種が報告されている。“アクアポリン”に属する分子種は、目の水晶体、腎臓、脳、涙腺などに分布し、そこで水分代謝を調節し、“アクアグリセロポリン”は脂肪細胞に分布して脂質代謝に関与していることが明らかにされている。
【0005】
腎臓においては、近位尿細管及びヘンレの細い下行脚の上皮細胞にアクアポリン1が、近位尿細管の上皮細胞にアクアポリン11が、近位直尿細管(特にS3セグメント)の上皮細胞にアクアポリン7が、集合管の主細胞にアクアポリン2、アクアポリン3、及びアクアポリン4が、集合管のα間在細胞にアクアポリン6が、近位尿細管及び集合管の上皮細胞にアクアポリン8がそれぞれ部位特異的に発現していることが知られている。アクアポリン1は近位尿細管上皮細胞の管腔側(尿が面している側)及び基底側(血管と面している側)の両方の細胞膜に発現しており、それぞれの膜における水輸送に関与していると考えられている。アクアポリン2は集合管主細胞の管腔側の細胞膜とその付近の細胞内小胞に発現しており、バソプレシンによって細胞が刺激されると、その管腔側細胞質における発現量が増加し、水分の再吸収が促進する。アクアポリン3及びアクアポリン4は主細胞の基底側の細胞膜に発現しており、アクアポリン2によって細胞内に輸送された水を血管へと輸送すると考えられている。アクアポリン6は集合管のα間在細胞の細胞質内に発現しており、その局在と陰イオンを透過させることから小胞の酸性化に関与しているのではないかと推察されている。アクアポリン8と新規アクアポリンであるアクアポリン11はそれぞれが発現している上皮細胞の細胞質に、アクアポリン7は近位直尿細管の刷子縁に発現していることが報告されているが、それらの腎における役割は明らかにされていない。またアクアポリン1が欠損しているヒトでは尿の濃縮障害が、アクアポリン11のノックアウトマウスでは嚢胞腎がおこることが報告されている。
【0006】
本発明者らのグループは、急性腎不全において、尿中に含まれるアクアポリン1タンパク質の尿中排泄量が、非常に早期から特異的に減少することを世界に先駆けて発見し、その診断的価値を見出した(特許文献1)。
【0007】
特許文献2には、薬剤の細胞傷害可能性をmRNA量で評価する方法が記載され、腎臓をターゲットにする場合にアクアポリン2を使用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−175630号公報
【特許文献2】特表2006−512074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
急性腎不全に対する、非侵襲的で感度のよい新規な診断方法が、いまだ所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、腎虚血性急性腎不全モデル及び薬剤性急性腎不全モデルで、尿中エキソゾームに含まれるアクアポリン2の排泄量が対照と比較して顕著に変化していることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は、以下の特徴を有する。
【0012】
〔1〕被験体の尿中のアクアポリン2の量を測定するステップを含む、急性腎不全の診断方法。
【0013】
〔2〕以下のステップ:
被験体の尿中のアクアポリン2の量を測定するステップ、及び
被験体の尿中のアクアポリン2の量を、対照の尿中のアクアポリン2の量と比較するステップ
を含み、被験体の尿中のアクアポリン2の量が、対照の尿中のアクアポリン2の量と比較して有意に少ないときに、被験体が急性腎不全に罹患している、又は対照と比較してより重度の急性腎不全であることが示される、上記〔1〕に記載の方法。
【0014】
〔3〕アクアポリン2の量の測定に用いる尿サンプルが、尿から得られたエキソゾーム画分である、上記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
【0015】
〔4〕被験体がヒトである、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の方法。
【0016】
〔5〕急性腎不全が薬剤により引き起こされたものである、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の方法。
【0017】
〔6〕アクアポリン2の測定が、アクアポリン2に特異的に結合する抗体を用いた免疫学的測定法により行われる、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の方法。
【0018】
〔7〕アクアポリン2に特異的に結合し得る抗体を含有する、急性腎不全の診断薬。
【0019】
〔8〕アクアポリン2に特異的に結合し得る抗体を含有する、急性腎不全の診断用キット。
【0020】
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願第2009−152448号の明細書及び/又は図面に記載される内容を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ヒト、イヌ(予測)、ウシ、ラット及びマウスのアクアポリン2のアミノ酸配列のアライメントを示す。
図2】虚血性腎不全モデルにおける、モデル作製後の血中クレアチニン濃度の変化。モデル作製後6時間、30時間、96時間に採血し、測定した。白カラムが対照群、黒カラムが虚血性腎不全モデル群。**は対照群との間にP<0.01で有意差があったことを示す。カッコ内の数字は例数を示す。
図3】虚血性腎不全モデルにおける、モデル作製後の尿中エキソゾームに含まれるアクアポリン2タンパク質排泄量の変化。モデル作製後6時間、30時間、96時間、480時間に採尿して測定した。黒カラムは対照群に対する%値で表わしている。**は対照群との間にP<0.01で有意差があったことを示す。
図4】薬剤性腎不全モデルにおける、モデル作製後の血中クレアチニン濃度の変化。モデル作製後24時間ごとに、168時間まで採血し、測定した。Vehが対照群(溶媒投与群)、Cisが薬剤性腎不全モデル群。*、**はそれぞれ対照群との間にP<0.05、P<0.01で有意差があったことを示す。
図5】薬剤性腎不全モデルにおける、モデル作製後の尿中エキソゾームに含まれるアクアポリン2タンパク質排泄量の変化。モデル作製後12時間、それ以降は24時間ごとに、168時間まで採尿して測定した。値は対照群(溶媒投与群)に対する%値で表わしている。**は対照群との間にP<0.01で有意差があったことを示す。
図6】慢性腎不全モデルにおける、モデル作製後の尿中タンパク質排泄量の変化。モデル作製後4日以降、1日ごとに、7日まで採尿し、測定した。黒四角が対照群(溶媒投与群)、黒菱形が慢性腎不全モデル群。*、**はそれぞれ対照群との間にP<0.05、P<0.01で有意差があったことを示す。
図7】慢性腎不全モデルにおける、モデル作製後の尿中エキソゾームに含まれるアクアポリン2タンパク質排泄量の変化。値は対照群(溶媒投与群)に対する%値で表わしている。*は対照群との間にP<0.05で有意差があったことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明者らは、尿中にタンパク質が排泄される場合に、エキソゾームと呼ばれる小胞に含まれてタンパク質が排泄されている過程があることに着目した(Pisitkun T,Shen RF,Knepper MA.(2004).Identification and proteomic profiling of exosomes in human urine.Proc Natl Acad Sci USA.,101,13368−13373)。尿に面している細胞に存在するエキソゾームは、直径100nm以下で、細胞活動の一つであるエキソサイトーシス機構によって尿中へ排出される。エキソゾームに含まれているタンパク質の種類は、尿全体のタンパク質の種類に比べて少なく、タンパク質の由来はそれらが発現している腎臓の細胞である。本発明者らは、尿中エキソゾームタンパク質を腎臓病の診断に役立てられるのではないかと考え検討した。その結果、腎虚血性急性腎不全モデル及び薬剤性急性腎不全モデルで、尿中エキソゾームに含まれるアクアポリン2の排泄量が対照と比較して顕著に変化していることを見出した。
【0023】
したがって、本発明は、被験体の尿中のアクアポリン2の量を測定するステップを含む、急性腎不全の診断方法に関する。
【0024】
本発明において「被験体」とは急性腎不全を発症しうる動物であれば限定されないが、ヒトが特に好ましい。ヒト以外の被験体としては、例えば、サル、チンパンジー等の非ヒト霊長類や、イヌ、ウシ、マウス、ラット、モルモット等の他の哺乳動物が挙げられる。ヒト以外の動物を被験体とした場合に得られる情報(判定結果)は、当該非ヒト動物の急性腎不全の診断にも利用され得るが、むしろそれをヒトの急性腎不全の診断法の確立に利用できる点で有用である。図1に示す通り、アクアポリン2のアミノ酸配列は種を超えて保存性が高い。また、ラットなどの疾患モデル動物で見られた尿中アクアポリン排泄量の変化が、患者においても見られることが報告されている。よって、非ヒト動物での実験結果はヒトに対しても外挿可能であると言える。
【0025】
本発明の方法では、被験体の尿サンプル又は尿に由来するサンプルを測定対象として用いる。尿サンプルは、被験体から侵襲性なく採取することができる。上記のとおり、本発明者らは急性腎不全モデルの尿中エキソゾームにおいてアクアポリン量が変化することを実証した。したがって、本発明の方法に用いるサンプルとして、被験体の尿から得られたエキソゾーム画分を用いることができる。さらに、本発明者らは、全尿においてもアクアポリン2の測定が可能なことを確認した。したがって、本発明の方法に用いるサンプルとして、全尿も好適に用いることができる。
【0026】
尿中エキソゾーム画分は、例えば、以下のようにして得ることができる:回収した尿を1,000gで10分間遠心し、続いてその上清を17,000gで15分間遠心し、さらにその上清を200,000gで60分間遠心する。得られた沈殿をエキソゾーム画分として分離する。エキソゾーム画分のタンパク質は、4×サンプルバッファー(0.5M Tris−HCl、8%SDS、50%グリセロール、0.01%ブロモフェノールブルー、0.2M DTT)と混合し、37℃で30分間インキュベートすることにより可溶化してサンプルとすることができる。
【0027】
あるいは、例えば以下のようにして得られる尿中タンパク質を、本発明の方法においてサンプルとして用いることができる:氷上で尿にタンパク質分解酵素阻害剤溶液を加えた後、遠心(1,000g、10分間、4℃)し上清を得る。上清の一部を10倍希釈した後、化学分析器を用いて尿中のクレアチニン濃度を測定する。残る上清から、以下に述べる、フィルター法又は超遠心法の2種類の方法を用いて、尿中タンパク質を分離する。
【0028】
フィルター法:クレアチニン3mgを含む尿を遠心ろ過チューブ(Millipore.Carrigtwohill.co.)に入れ、液量が200μL以下になるまで遠心(4,000g、4℃)する。その後、総計の液量が300μLになるように4×Laemmliサンプルバッファー(62.5mM Tris−HCl、25%グリセロール、2%SDS、0.01%ブロモフェノールブルー、0.4M DTT)を加えて、37℃で30分間インキュベートしてサンプルとする。
【0029】
超遠心法:クレアチニン3mgを含む尿を遠心(200,000g、60分間、4℃)する。そのペレットに5倍希釈したタンパク質分解酵素阻害剤溶液50μLを加えて溶解し、25μLの4×Laemmliサンプルバッファー(62.5mM Tris−HCl、25%グリセロール、2%SDS、0.01%ブロモフェノールブルー、0.4M DTT)と混合後、37℃で30分間インキュベートしてサンプルとする。
【0030】
本明細書においてアクアポリン2とは、典型的にはアクアポリン2の成熟体または完全体であり、糖鎖修飾されたアクアポリン2分子も包含される。糖鎖の種類、結合位置などは限定されない。アクアポリン2のアミノ酸配列は被験体の動物種により若干異なる。一例として、配列表には、配列番号1としてヒト(Homo sapiens)由来アクアポリン2を、配列番号2としてイヌ(Canis familiaris)由来アクアポリン2を、配列番号3としてウシ(Bos taurus)由来アクアポリン2を、配列番号4としてラット(Rattus norvegicus)由来アクアポリン2を、配列番号5としてマウス(Mus musculus)由来アクアポリン2を、それぞれ示す。
【0031】
アクアポリン2の測定は、アクアポリン2に特異的に結合し得る抗体を用いて行なうことが好ましい。このような抗体としては、測定しようとする動物種のアクアポリン2又はその部分配列を含むポリペプチドを抗原として用い、常法により作製された抗体を好適に使用できる。
【0032】
抗体はポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよい。また抗体はアクアポリン2に特異的に結合し得る限り断片として使用することもできる。抗体の断片としては、例えば、Fab断片、F(ab’)断片、単鎖抗体(scFv)等が挙げられる。
【0033】
モノクローナル抗体は例えば次の手順で作製することができる。
【0034】
上記の抗原を、動物に対して、抗原の投与により抗体産生が可能な部位に、それ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与する。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。用いられる動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギなどの哺乳動物が挙げられる。抗血清中の抗体価の測定は常法により行うことができる。
【0035】
抗原を免疫された動物から抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。融合操作は既知の方法、例えば、Nature 256:495(1975)記載の方法に従い実施することができる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)などが挙げられる。骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、SP2/0などが挙げられる。
【0036】
モノクローナル抗体の選別は、公知の方法あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができるが、通常はHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地などで行なうことができる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0037】
モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナル抗体の分離精製と同様の、例えば塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例えば、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相あるいはプロテインAまたはプロテインGなどを用いた特異的精製法による免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
【0038】
一方、ポリクローナル抗体は例えば次の手順で作製することができる。
【0039】
ポリクローナル抗体は、例えば、抗原とキャリアとの複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に哺乳動物に免疫を行ない、該免疫動物から活性型ハプトグロビンに対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造できる。ポリクローナル抗体の作製に使用する抗原はモノクローナル抗体の作製におけるのと同様である。抗原とキャリアとの複合体を形成する際に、キャリアの種類および抗原とキャリアとの混合比は、キャリアに架橋させた抗原に対して抗体が効率よくできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよい。キャリアとしては、例えば、ウシ血清アルブミン、ウシサイログロブリン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン等が用いられる。また、抗原とキャリアのカップリングには、種々の縮合剤を用いることができ、具体的にはグルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
【0040】
抗原とキャリアとの複合体は、免疫される動物に対して、抗体産生が可能な部位に、それ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なうことができる。用いられる動物としては、モノクローナル抗体作製の場合と同様の哺乳動物が挙げられる。ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取することができる。抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の手順で行なうことができる。
【0041】
本発明の方法は、被験体からの尿中のアクアポリン2の量を評価するステップを含む。アクアポリン2の量は、標準サンプルとの比較などにより絶対量を測定してもよい。しかし、必ずしもアクアポリン2の絶対的な量を測定する必要はなく、対照となる尿中のアクアポリン2の量との相対的な関係を明らかにできれば評価としては十分である。
【0042】
アクアポリン2の量の評価方法としては、典型的には、上記の抗アクアポリン2抗体を用いた免疫学的測定法が挙げられる。免疫学的測定法としては、特に制限はなく、従来公知の方法、例えば酵素免疫測定法(EIA法)、ラテックス凝集法、免疫クロマトグラフィー法、ウエスタンブロット法、放射免疫測定法(RIA法)、蛍光免疫測定法(FIA法)、ルミネッセンス免疫測定法、スピン免疫測定法、抗原抗体複合体形成に伴う濁度を測定する比濁法、抗体固相膜電極を利用し抗原との結合による電位変化を検出する酵素センサー電極法、免疫電気泳動法などを採用することができる。これらの中でもEIA法またはウエスタンブロット法が好ましい。なお、EIA法には、競合的酵素免疫測定法や、サンドイッチ酵素結合免疫固相測定法(サンドイッチELISA法)等が包含される。
【0043】
ウエスタンブロット法を本発明の免疫学的測定法として採用する場合、例えば次のようにして尿中のアクアポリン2を検出することができる。ドデシル硫酸ナトリウム含有ポリアクリルアミドゲル上に検体である尿由来タンパク質サンプルを添加し、一定の電圧をかけて電気泳動を行い、泳動によりゲル上で分離されたタンパク質をPVDF(ポリビリニデンジフルオライド)膜のようなブロッティング用メンブレンに電気的にトランンスファーする。このメンブレンをスキムミルク等でブロッキング処理した後に、上記抗アクアポリン2抗体をメンブレンと反応させ、次いで化学発光物質、蛍光物質、あるいは酵素(西洋ワサビペルオキシダーゼ等)で標識した二次抗体を結合させ、更に標識物質に応じた検出操作を行う。メンブレン上にアクアポリン2が存在する場合には検出することができる。なお、ウエスタンブロット法による具体的な検出方法は後記実施例に記載されている。
【0044】
本発明では尿中のアクアポリン2の量を測定し、かかる量の減少を指標として急性腎不全を診断する。
【0045】
本発明において「診断」とは、典型的には、被験体が急性腎不全に罹患しているか否かの判定(狭義の診断)を意味するが、これには限定されず、急性腎不全の重症度の判定、治療の効果の判定、および治療後に急性腎不全を再発する危険性が存在するか否かの判定をも包含する概念(広義の診断)である。好ましくは、本発明において「診断」とは、in vitroでの急性腎不全の検出を意味する。実施例に示すように尿中のアクアポリン2の量は早期の急性腎不全においても顕著に減少することから、本発明の方法は急性腎不全の早期診断に有用であるといえる(なおこの場合、「診断」は狭義の意味で用いられる)。また尿をサンプルとして使用することから、被験体にとって負荷がほとんどない、非侵襲的な方法であるといえる。
【0046】
被験体が急性腎不全に罹患しているか否かの判定の際には、健常検体の尿試料中におけるアクアポリン2の量を基準とすることができる。治療の効果の判定の際には、治療前の被験体から採取された尿試料中のアクアポリン2の量を基準値とすることもできる。本発明では、比較対象となるこれらの検体を「対照」と称する。したがって、本発明の方法において対照には、正常個体から得た尿のプール、急性腎不全の発症が疑われる前の当該被験体から得られた尿サンプル、治療前の当該被験体から得られた尿サンプルなどが含まれる。
【0047】
好ましい態様において、本発明は、被験体の尿中のアクアポリン2の量を測定するステップに加えて、被験体の尿中のアクアポリン2の量を対照の尿中のアクアポリン2の量と比較するステップをさらに含み、ここで、被験体の尿中のアクアポリン2の量が、対照の尿中のアクアポリン2の量と比較して有意に少ないときに、被験体が急性腎不全に罹患している、あるいは対照と比較してより重度の急性腎不全であると判断される。
【0048】
すなわち、本発明の方法では、典型的には、被験体の尿中のアクアポリン2の量を測定し、当該量と、対照の尿中のアクアポリン2の量とを対比し、前者が後者より少ないときに、被験体が急性腎不全に罹患している、あるいは対照と比較してより重度の急性腎不全患者であると判断される。ここで、急性腎不全に対する治療効果の判定においては、対照として治療前の当該被験体から取得したサンプルを用い、治療後の被験体から得られたサンプル中のアクアポリン2の量が対照(すなわち、治療前)よりも増加していれば、治療効果が認められると判定することができる。
【0049】
対照の尿中のアクアポリン2の量の測定は、被験体の尿中のアクアポリン2の量の測定と同様の手順で行うことができる。対照の尿中のアクアポリン2の量は、被験体の尿の測定のたびに測定してもよいし、事前に測定しておいてもよい。
【0050】
好ましい実施形態において、本発明により診断される腎不全は、薬剤により引き起こされたものである。薬剤により引き起こされる腎不全、すなわち薬剤性腎不全は、抗癌剤(例えばシスプラチンなど)、非ステロイド性抗炎症薬、高血圧治療薬、抗生物質、抗菌剤、造影剤などの種々の薬剤により尿細管が傷害されることによって引き起こされる可能性がある。好ましくは、本発明により診断される腎不全は、抗癌剤、特にシスプラチンにより引き起こされたものである。
【0051】
本発明はまた、アクアポリン2に特異的に結合し得る抗体を含む、急性腎不全の診断薬に関する。
【0052】
本発明の診断薬は、必要な試薬とともにキット化することもできる。例えば診断キットには、抗アクアポリン2抗体、標識化された二次抗体、検出のための試薬等の必要な構成要素が含まれ得る。
【0053】
キットにはさらに、バッファー、洗浄液、使用説明書等が含まれていてもよい。
【0054】
これらの診断薬又は診断キット中の抗体は、本明細書に開示する、尿中のアクアポリン2の量を指標とした急性腎不全の診断方法のために使用される。
【0055】
本発明を以下の実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はそれらの実施例によって制限されないものとする。
【実施例】
【0056】
1.実験方法
(1)虚血性腎不全モデル
ラットを麻酔した後に開腹し、右腎動脈を露出させた。次にその動脈にクリップをかけ、60分間血流を遮断した後に血液を再灌流させた(虚血性腎不全モデル群)。偽手術群(対照群)では、クリップによる血流遮断以外は同様の手術を行った。
【0057】
(2)薬剤性腎不全モデル
ラットに、抗癌剤であるシスプラチン(7.5mg/kg)(SIGMA−Aldrich CO.,MO,USA)を投与し、薬剤性腎不全モデルを作製した。対照群には同容量の生理食塩水を投与した。
【0058】
(3)慢性腎不全モデル
ラットにピューロマイシンアミノヌクレオシド(150mg/kg)(SIGMA−Aldrich CO.,MO,USA)を投与し、タンパク尿を呈する、慢性腎不全モデルを作製した。対照群には同容量の生理食塩水を投与した。
【0059】
(4)サンプル調製
上述の方法により作製したモデル動物から、任意の時点において(例えば投与前、投与1日後、3日後、7日後など)、採尿および採血を行った。
【0060】
代謝ケージを用いて尿を集め、尿量の測定を行った。その後、エキソゾームの分離を行った。具体的には、集めた尿をまず1,000gで10分間遠心し、続いてその上清を17,000gで15分間遠心し、さらにその上清を200,000gで60分間遠心し、得られた沈殿をエキソゾーム画分として分離した。エキソゾーム画分のタンパク質は4×サンプルバッファー(0.5M Tris−HCl、8%SDS、50%グリセロール、0.01%ブロモフェノールブルー、0.2M DTT)と混合し、37℃で30分間インキュベートし可溶化してサンプルとした。
【0061】
血液をヘパリンと混濁した後、12,000rpmで10分間遠心することで血漿を分離した。富士ドライケムスライド(CRE−PIII、富士写真フイルム株式会社、Tokyo)を用いて血漿中のクレアチニン値と尿素窒素値を測定した。尿中タンパク質濃度はブラッドフォード・プロテインアッセイキット(Bio Rad Laboratories社製、Tokyo)により測定し、尿量を乗じて一定時間当たりの総排泄量を求めた。
【0062】
(5)アクアポリン2の測定
尿のエキソゾームサンプルについて、定法に従ってSDS−PAGEを行い、ゲル内のタンパク質をセミドライタイプ(KS−8460、マリソル、Tokyo)のブロッティング装置を用いてポリビニリデンジフルオリド(PVDF)メンブレンにトランスファーした。トランスファー後、TBS中にてローテーターで振盪しながら洗浄(15分、2回)し、5%スキムミルク、Tween−20を含むTBS(5% SM−TTBS)でブロッキング(一晩、4℃)した。ブロッキング後、1.6% SM−TTBSで1:4000に希釈した一次抗体(抗アクアポリン2抗体、Alomone labs、Israel)を60分間反応させた(室温)。反応後、TTBSで一次抗体を洗浄(5分間、2回)し、1.6% SM−TTBSで1:4000に希釈した二次抗体(抗ウサギIgG抗体)を反応させた後、TTBSで洗浄(5分間、4回)し、最後にTBS(10分間、1回)で洗浄した。SuperSignal(登録商標)West Femto Maximam Sensitivity Subatrate(PIERCE社、IL)を用いてバンドを可視化し、ポラロイドカメラ(ECLTM−mini Camera、Amersham International plc.、Tokyo)で撮影した。
【0063】
(6)尿中タンパク質の測定
尿中タンパク質の場合は、一定量の尿中クレアチニンを含有するサンプル中に含まれるタンパク質量を定量化し、対照群の値の平均値を100%として定量化した。各データは、平均値±標準誤差(SEM)で示した。平均値を、スチューデントt検定により比較した。
【0064】
2.結果
(1)虚血性腎不全モデルにおける検討
図2にモデル作製後の血中クレアチニン濃度の変化、図3に尿中エキソゾームに含まれるアクアポリン2タンパク質排泄量についての結果をそれぞれ示す。
【0065】
図2のモデル群において血中クレアチニン濃度が有意に増加していたことから、モデル作製が成功していたことがわかる。また、図3に示されているように、腎不全発症後6時間において尿中エキソゾームに含まれるアクアポリン2タンパク質排泄量が有意に減少していた。このことから、尿中エキソゾームに含まれるアクアポリン2タンパク質排泄量が虚血性腎不全の早期診断マーカーになりうる可能性が考えられた。この時、モデル作製後6時間において、腎臓におけるアクアポリン2タンパク質量および遺伝子発現量が減少していたことから(データは示していない)、腎内のタンパク質合成量の減少を反映して、尿中エキソゾームに含まれるアクアポリン2タンパク質排泄量が減少したものと考えられた。
【0066】
(2)薬剤性腎不全モデルにおける検討
図4に、モデル作製後の血中クレアチニン濃度の変化、図5に尿中エキソゾームに含まれるアクアポリン2タンパク質排泄量についての結果をそれぞれ示す。
【0067】
図4のモデル群において、血中クレアチニン濃度は、シスプラチン投与後48時間以降から次第に増加し、投与後120時間にピークを迎え、その後減少した。一方、図5に示されているように、尿中エキソゾームに含まれるアクアポリン2タンパク質排泄量は、投与後24時間から168時間にわたって持続的に減少していた。
【0068】
これらのことから、尿中エキソゾームに含まれるアクアポリン2タンパク質排泄量は、薬剤性腎不全において、早期の診断マーカーになるとともに、その後の回復期においても腎不全が存在していれば、その腎不全を検出できるという非常に有用なマーカーになりうることが考えられた。また、データは示していないが、腎臓におけるアクアポリン2タンパク質量および遺伝子発現量のいずれにおいても、尿中エキソゾームに含まれるアクアポリン2タンパク質排泄量の減少との間には相関関係がみられなかった。
【0069】
(3)慢性腎不全モデルにおける検討
図6にモデル作製後の尿中タンパク質排泄量の変化を示す。ピューロマイシンアミノヌクレオシド投与後、5日目以降に有意なタンパク質排泄量の増加がみられた。データは示していないが、このとき血中クレアチニン濃度は変化していなかった。したがって、今回のモデルは尿中タンパク質排泄量増加を伴う、軽度な慢性腎不全のモデルと考えられた。
【0070】
図7に尿中エキソゾームに含まれるアクアポリン2タンパク質排泄量についての結果を示す。図6から分かるように、ピューロマイシンアミノヌクレオシド投与後5日目に、尿中エキソゾームに含まれるアクアポリン2タンパク質排泄量のわずかな減少が見られたが、他の時点では、有意な変化は見られなかった。以上から、尿中エキソゾームに含まれるアクアポリン2タンパク質排泄量は、尿中タンパク質排泄量増加を伴う軽度な慢性腎不全の診断マーカーになり得るものの、急性腎不全に対してより特異的にマーカーとして用いることができることが示された。
【0071】
(4)結論
上記の結果から、尿中エキソゾームに含まれるアクアポリン2タンパク質排泄量が、虚血性または薬剤性腎不全の有用な診断マーカーになると考えられた。とくに、薬剤性腎不全、その中でもシスプラチン投与に起因する薬剤性腎不全に対しての早期診断マーカーとして有用であることが示された。
【産業上利用可能性】
【0072】
本発明は、急性腎不全の新規な診断方法に関する。したがって、本発明は、医療・健康科学分野での利用可能性を有する。
【0073】
本発明によれば、急性腎不全を、非侵襲的に、感度よく、安定して診断するための方法が提供される。
【0074】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書に取り入れるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]