【実施例1】
【0029】
以下、この発明を濾過装置に実施した実施例1を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、この発明の実施例1の概略構成を示す斜視図であり、
図2は、
図1の頂部の拡大による斜視図であり、
図3は、
図1の底面側からみた底部の拡大による斜視図であり、
図4は、同実施例1の概略構成を示す縦断面図であり、
図5は、
図4の要部拡大の縦断面図であり、
図6は、同実施例1の拡大による平面図であり、
図7は、同実施例1のバルブユニットの上部の固定状態を説明する要部拡大による断面図であり、
図8は、同実施例1のバルブユニットの下部の固定状態を説明する要部拡大による断面図である。
【0030】
図1および
図4を参照して、この実施例1の濾過装置1は、合成樹脂製の容器2と、架台3と、容器2内の水の流れを切換えるバルブユニット4とを備えている。
【0031】
容器2は、第一開口5および第二開口6を形成している(
図4参照)。容器2の高さは、濾過装置1の濾過層長の1.3倍以上となる。架台3は、容器2を支持固定するものである。バルブユニット4は、第一開口5および第二開口6間の丁度中間部より下方において容器2と離間して配置され、第一開口5および第二開口6に対してそれぞれ第一連通手段7,第二連通手段8を介して連通接続され、架台3に支持固定されている。
【0032】
また、容器2は、円筒状で合成樹脂製とし、内部からの水圧に耐えるようにガラスにて耐圧用のコーティング(図示省略)を施している。
【0033】
そして、容器2内には、通水工程において原水を濾過処理して処理水とする水処理材としての濾材9を第一開口5と第二開口6との間に収容している。符号10,11はそれぞれ第一開口5,第二開口6に装着した濾材の流出を防止する有底円筒状の第一フィルター,第二フィルターである。
【0034】
濾過装置1は、下降流で原水を濾過する通水工程を行い、上昇流で濾材9の逆洗工程を行うように構成されている。第一開口5は、通水工程時原水の入口となり、逆洗工程時逆洗排水の出口となる。また、第二開口6は、通水工程時処理水の出口となり、逆洗工程時逆洗排水の入口となる。逆洗水は、この実施例1では、原水を用いて行うが、処理水タンク(図示省略)に貯留の処理水を用いて行うことができる。
【0035】
バルブユニット4は、金属製の複数のバルブから構成され、通水工程と再生工程で通水工程時とで容器2内の水の流れを切換えるように構成されている。
【0036】
すなわち、通水工程では、原水管(原水ライン)12から流入する原水を第一連通手段7を介して第一開口5から第一フィルター10を通して容器2内へ導き、濾材9を通過して、第二フィルター11,第二開口6,第二連通手段8を介してバブルユニット4へ導き、処理水管(処理水ライン)13から流出する水の流れを形成する。
【0037】
また、逆洗工程では、原水管12から流入する逆洗水としての原水を第二連通手段8を介して第二開口6から第二フィルター11を通して容器2内へ導き、濾材9を通過して、第一フィルター10,第一開口5,第一連通手段7を介してバブルユニット4へ導き、排水管(排水ライン)14から流出する水の流れを形成する。このバルブユニット4は、公知の構成のものとすることができる。
【0038】
第一連通手段7および第二連通手段8は、この実施例1では、配管の長さを除き、同じ構成としているので、第一連通手段7について説明し、第二連通手段8については、同じ構成要素に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0039】
図4を参照して、第一連通手段7は、いずれも合成樹脂製の結合補助部材15,第一エルボ16,ジョイント17,第一配管18,第二エルボ19,第二配管20,第一接続フランジ21,第二接続フランジ22,第三配管23から構成されている。第一連通手段7の第二配管20および第三配管23は、第二連通手段8のそれらよりも長さを短くすることで、バルブユニット4を第一開口5および第二開口6の丁度中間よりも上方に変移させている。これにより、組み立て、メンテナンス性を考慮したバルブユニットの高さに最適化させている。
【0040】
結合補助部材15は、第一開口5と第一エルボ16との連結部を構成する。
図5および
図6を参照して、結合補助部材15は、第一開口5および第二開口6にそれぞれ一体的に形成した第三接続フランジ24に接合され多数(実施例1では12組)のボルト25およびナット26にて固定され、中央に開口(符号省略)を有する筒状の連結孔部27を形成している。この連結孔部27には、平行螺子からなる雌螺子部28と、螺子を形成していないシール面部29とが形成されている。雌螺子部28は、第一フィルター10,第二フィルター11を螺合して固定するための螺子部を兼ねている。
【0041】
一方、第一エルボ16には、容器側端部16Aに雌螺子部28に螺合される雄螺子部30と、環状の第一シール部材31が嵌め込まれる環状の第一凹部32とが形成されている。そして、第一エルボ16は、シール部材31を凹部32に嵌め込んだ状態で雄螺子部30を結合補助部材15の雌螺子部28に螺合すると、第一シール部材31がシール面部29に圧接するように構成されている。こうして、第一エルボ16は、結合補助部材15および第三接続フランジ24に対して回動自在に連結される。
【0042】
また、結合補助部材15には、第三接続フランジ24との接合部に、環状の第二凹部33と、この第二凹部33に嵌め込まれる環状の第二シール部材34とが設けられ、結合補助部材15と第三接続フランジ24と間の接合部の気密性を保持している。
【0043】
前記ジョイント17は、プレハブジョイントと称される公知のジョイントで、一端が第一エルボ16の配管接続側端部16Bと接着により結合され、他端が第一配管18に接着により結合される。そして、中央の大径のナット部(符号省略)を回すことにより、第一エルボ16と第一配管18とを連結するとともに、ナット部を反対方向へ回すことにより連結を外すことができるように構成されている。
【0044】
第一接続フランジ21,第二接続フランジ22は、それぞれ第二配管20の端部,第三配管23の端部が接着により結合され、両者は、ボルト,ナット(いずれも符号省略)により、連結される。第三配管23の他端は、バルブユニット4に接続されている。
【0045】
図1を参照して、架台3は、基台40と、この基台40に下端が固定される3本の支柱41,41,41と、各支柱41を連結する連結体42,42,42とで構成されている。
【0046】
そして、容器2は、その底面に固着した円筒上の固定脚43により、基台40にボルト(図示省略)により固定されている。固定脚43には、第二連通手段8が挿通される挿通用開口44を3箇所形成している。
【0047】
この容器2は、各支柱41間に巻き付けられる支持ベルトと、この支持ベルトによる容器2の締め付け度合いを調整する締付具(いずれも図示しない)とを含む水平方向支持手段(図示省略)により、容器2の水平方向外周を各支柱41に支持するように構成している。
【0048】
バルブユニット4の架台3への支持手段45は、
図1を参照して、基台40と連結体42との間に架設される一対のコ字上の第一支持部材46、46と、この第一支持部材46,46間に架設される複数の第二支持部材47A,47Bとから構成されている。バルブユニット4は、第二支持部材47に着脱自在に螺子で固定している。
【0049】
第二支持部材47A,47Bによるバルブユニット4の支持固定の構成を
図7および
図8に基づき説明する。各第二支持部材47A,47Bは、第一支持部材46A,46B間に架設されるL字型金具からなるベース部材48A,48Bと、案内溝(隙間)49A,49Bを形成するように、これに溶接固定されるL字型金具からなるレール部材50A,50Bとから構成されている。なお、
図1では、ベース部材48A,48B,レール部材50A,50Bなどの構成要素を図示省略している。
【0050】
一方、バルブユニット4の上下には、L字型金具からなる固定部材51A,51Bがボルト52およびナット53により固定されている。上下のレール部材50A,50B間の間隔は、上下の固定部材51A,51Aを取り付けたバルブユニット4がレール部材50A,50Bの横から前記案内溝49A,49B内へと差し込み可能となるように構成されている。
【0051】
そして、下の固定部材51Bの下端が下のレール部材50B上に乗っかった状態でバルブユニット4を左右にスライドするとき、上下の固定部材51A,51Bの垂直片は、バルブユニット4が倒れてこないように引っ掛けの役目をなすように構成されている。
【0052】
符号54は、バルブユニット4を所定の固定位置(ベース部材48A,48Bに螺子穴として形成した固定穴55と固定部材51に形成した固定穴56とが合致する位置)にスライドさせた状態で、ベース部材48A,48Bに固定部材51A,51Bを固定するための螺子である。
【0053】
この実施例1では、ベース部材48A,48Bとレール部材50A,50Bとで案内溝49A,49Bを形成しているが、凹上のレール部材にて案内溝49A,49Bを形成することができる。
【0054】
つぎに、この実施例1の組み立て方法と作用、効果とについて
図1〜
図8に従い説明する。
【0055】
まず、固定脚43を取り付けた容器2の第一開口5および第二開口6に対し、結合補助部材15と、ジョイント17の連結を外した上体の半分を連結しておく。この状態の容器2を基台40に載置固定する。そして、各支柱41を基台40に固定する。ついで、各連結体42を各支柱41間に連結固定して、架台3の組み立てを完成する。その後、前記水平方向支持手段により容器2を支持する。
【0056】
一方、バルブユニット4に対し、第一連通手段7および第二連通手段8のジョイント17の片半分と、第一配管18,第二エルボ19,第二配管20,第一接続フランジ21,第二接続フランジ22,第三配管23をこれらが同一平面状となるように連結しておく。
【0057】
この状態で、バルブユニット4を支持手段45に固定する。この固定につき説明する。まず、上下の固定部材51A,51Bを取り付けたバルブユニット4をレール部材50A,50Bの横から案内溝49A,49B内へと差し込むことにより、バルブユニット4をレール部材50A,50Bに引っ掛ける。これにより、バルブユニット4は、レール部材50B上に載置して支持される。この状態で、バルブユニット4を、固定穴55と固定部材51に形成した固定穴56とが合致するまで、横方向へスライドさせる。そして、螺子54を固定穴56にねじ込むことで、バルブユニット4を支持手段45に固定する。
【0058】
ついで、第一エルボ16を回転させて、ジョイント17により結合することにより、バルブユニット4が第一開口5および第二開口6の間に連通接続される。こうして、バルブユニット4の連結作業を完了する。
【0059】
なお、前記のバルブユニット4に対する第一連通手段7および第二連通手段8の連結と、バルブユニット4を支持手段45への固定との順序は逆にすることができる。すなわち、バルブユニット4を支持手段45に固定してから、第一連通手段7および第二連通手段8のジョイント17の片半分から第三配管23の接続を行うことができる。
【0060】
つぎに、この実施例1の作用効果を説明する。一般に、容器2を合成樹脂製とした場合、ボルト25を挿通するための第三接続フランジ24のボルト挿通孔(符号省略)の位置が第一開口5と第二開口6とで回転方向へずれる。第一エルボ16が回転できないように第一開口5および第二開口6に連結してシール性を保持する構造のものであると、第一開口5の第一エルボ16の中心軸と第二開口6の第一エルボ16の中心軸とがずれることになり、バルブユニット4の第一エルボ16への連結ができなくなる。連結するために、第一エルボ16を回転するとシール性が低下する。
【0061】
この実施例1によれば、第一連通手段7および第二連通手段8は、それぞれ第一開口5,第二開口6への連結部に第一エルボ16を備え、各第一エルボ16は、容器2側の連結部において回動自在で環状の第一シール部材31によりシールされている。その結果、仮に第三接続フランジ24のボルト挿通孔の位置が第一開口5と第二開口6とで回転方向へずれても、各第一エルボ16を回動することによりバルブユニット4の装置への組み立てを容易に行うことができる。この場合、前記ずれは、最大360度/12(ボルト25の本数)=30度となるので、第一エルボ16の回動は、一方の第一エルボ16のみ回動すると、最大30度だけで済むことになる。ボルト25の本数は、第二シール材34を均等に圧接できる本数とする。そして、第一エルボ16を回転させても第一シール部材31によるシール性に変化が無いので、所期のシール性を確保することができる。
【0062】
また、この実施例1によれば、容器2の上端部に第一開口5を、容器2の下端部に第二開口6を形成して、水の入口と出口とを別に設ける構成としているので、水の入口および出口の通路面積を大きくできる。その結果、水の入口および出口の通路面積が狭くなることによる濾過装置1の濾過性能の低下を防止することができる。
【0063】
また、バルブユニット4は、従来のように容器2の上端で支持することなく、前記架台3に支持手段45を用いて支持固定するように構成しているので、容器2および第一エルボ16の合成樹脂化による対荷重の低下に拘わらず、バルブユニット4を支障なく支えることができる。
【0064】
また、バルブユニット4を第一開口5と第二開口6との中間部で支持している。その結果、大容量の濾過装置1で、容器2の高さが高くなっても第一連通手段7、第二連通手段8およびバルブユニット4の組み付けおよびメンテナンスを容易に行うことができる。また、水の入口と出口とを上端開口に形成されることに伴い必要となる集水管を必要としないので、濾過装置1の大容量化に伴い長くなった集水管の出し入れを行う必要がなくなるので、この点からも濾過装置の組み立ておよびメンテナンスを容易に行うことができる。
【0065】
さらに、バルブユニット4を平行に左右方向へ移動自在とするレール部材50A,50Bを有する支持手段45により、バルブユニット4を支持しているので、重量の重いバルブユニット4支持固定作業を容易に行うことができる。そして、固定部材51A,51Bが案内溝49A,49Bに係合状態に支持されているので、重いバルブユニット4の組み立ておよびメンテナンス作業を一人で行えるとともに、螺子54を外してもバルブユニット4が転倒することがなく、安全に作業を行うことができる。