(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取得手段は、前記第1の航行スケジュールデータが示す航行スケジュールおよび前記第2の航行スケジュールデータが示す航行スケジュールとの間で、前記開始時刻、前記終了時刻および前記到着時刻のうちの少なくとも1つが異なる航行スケジュールにおける、前記停泊する1以上の港の各々に関する当該港における停泊の開始時刻、当該停泊の終了時刻、および前記目的地の港への到着時刻を示す第3の航行スケジュールデータを取得し、
前記出力手段は、前記第2の航行スケジュールデータが示す前記開始時刻、前記終了時刻および前記到着時刻のうちの少なくとも1つの時刻と、前記第3の航行スケジュールデータが示す当該少なくとも1つの時刻に対応する時刻との差を示すデータを出力する
請求項1に記載の装置。
前記取得手段は、前記第2の航行スケジュールデータが示す航行スケジュールとの間で、前記開始時刻、前記終了時刻および前記到着時刻のうちの少なくとも1つが異なる航行スケジュールを示す第4の航行スケジュールデータを取得し、
前記算出手段は、前記第4の航行スケジュールデータ、前記距離データおよび前記速度別燃料消費量データに基づき、前記基準地から前記航行における次の港までの移動と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の移動の各々とにおける航行速度を算出し、当該算出した航行速度に基づき前記基準地から前記目的地の港までの航行に伴う燃料消費量を第3の航行燃料消費量として算出し、
前記算出手段は、前記第2の航行燃料消費量と前記第3の航行燃料消費量を比較し、
前記出力手段は、前記算出手段により行われた前記比較の結果を示すデータを出力する
請求項1または2に記載の装置。
前記速度別燃料消費量データは、前記船舶の航行速度と、前記船舶が同一の航行速度で航行する場合に燃料消費量に影響を与える気象または海象に関する要素との組み合わせに応じた燃料消費量を示し、
前記取得手段は、前記航行における前記要素を示す要素データを取得し、
前記算出手段は、前記基準地から前記航行における次の港までの移動と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の移動の各々とにおける航行速度と、前記要素データが示す気象または海象に関する要素との組み合わせに応じた燃料消費量を、前記速度別燃料消費量データに従い特定し、当該特定した燃料消費量に基づき前記航行燃料消費量を算出する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
前記出力手段は、前記算出手段が前記航行燃料消費量の算出において特定した、前記基準となる地点から前記航行における次の港までの移動と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の移動の各々に関する燃料消費量を示すデータを出力する
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
港を経由して行われる船舶の航行においては、経由する港における停泊場所の利用可能な時間帯の割り当てを受ける必要がある。この時間帯はバースウインドウ(Berth Window, B/W)と呼ばれる。バースウィンドウは、例えば、船舶の運航管理者(またはその代理として港における荷役等の業務を請け負う船舶代理店)が港湾管理事業者に希望の時間帯を提示し、港湾管理事業者からその割り当てを受ける形で決定される。
【0006】
バースウィンドウが定まれば船舶の港間の移動時間が概ね定まる。港間の移動時間が定まれば、港間の移動における航行速度が概ね定まる。港間の移動における航行速度が定まれば、港間の移動に要する燃料消費量が概ね定まる。従って、経由する港の各々に関し割り当てられるバースウィンドウに応じて、船舶の航行全体に要する燃料消費量が増減することになる。
【0007】
また、経由する港における船舶の停泊の時間帯は、バースウィンドウの範囲内である程度、調整可能である。例えば、バースウィンドウの開始時刻にすぐさま着岸して停泊を開始し、バースウィンドウの終了時刻より前に荷役等を終えて離岸して次の港へ向かう場合と、バースウィンドウの終了時刻から荷役等に要する時間だけ前の時刻に着岸して停泊を開始し、荷役等を終えてバースウィンドウの終了時刻の間際に離岸して次の港へ向かう場合とでは、その港の前後の区間における移動時間に違いが生じる。その結果、バースウィンドウ内における停泊の時間帯に応じても、船舶の航行全体に要する燃料消費量が増減することになる。
【0008】
従って、運航管理者や操船者等が、燃料消費量を可能な限り低減するような港における停泊の時間帯を知ることができれば、そのような停泊の時間帯をカバーするようなバースウィンドウの割り当てを受ける、既に割り当てられているバースウィンドウの範囲内で停泊の時間帯を調整する、もしくは可能であれば既に割り当てられているバースウィンドウを変更してもらうことで、燃料消費量の低減を図ることができる。
【0009】
上記のような事情に鑑み、本発明は、1以上の港を経由して行われる船舶の航行において、運航管理者や操船者等のユーザが燃料消費量の低減の観点から港における望ましい停泊の時間帯を特定することを可能とする手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、出発地の港から目的地の港に至る船舶の航行であって、前記航行の航路上の基準地から前記目的地の港に至る区間内に前記船舶が停泊する1以上の港がある航行に関し、前記基準地に前記船舶がいる時刻である基準時刻
と、前記基準地から前記航行における次の港までの距離と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の各々の距離とを示す距離データと、前記船舶の航行速度に応じた単位航行距離当たりの燃料消費量を示す速度別燃料消費量データとを取得する
とともに、前記停泊する1以上の港の各々に関する当該港における停泊の開始時刻、当該停泊の終了時刻、および前記目的地の港への到着時刻を第1の航行スケジュールデータとして示す第1の航行スケジュールデータと、前記第1の航行スケジュールデータが示す開始時刻、終了時刻および到着時刻のうちの少なくとも一部が異なる第2の航行スケジュールを示す第2の航行スケジュールデータとを取得する取得手段と、前記
第1の航行スケジュールデータおよび前記距離データに基づき前記基準地から前記航行における次の港までの移動と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の移動の各々とにおける航行速度を算出し、当該算出した航行速度、前記距離データ、および前記速度別燃料消費量データに基づき前記基準地から前記目的地の港までの航行に伴う燃料消費量を
第1の航行燃料消費量として算出
し、前記第2の航行スケジュールデータ、前記距離データおよび前記速度別燃料消費量データに基づき、前記基準地から前記航行における次の港までの移動と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の移動の各々とにおける航行速度を算出し、当該算出した航行速度に基づき前記基準地から前記目的地の港までの航行に伴う燃料消費量を第2の航行燃料消費量として算出する算出手段と、前記
第1の航行燃料消費量
および前記第2の航行燃料消費量を示すデータを出力する出力手段とを備える装置を提供する。
【0012】
また、上記の装置において、前記取得手段は、
前記第1の航行スケジュールデータが示す航行スケジュールおよび前記第2の航行スケジュールデータが示す航行スケジュールとの間で、前記開始時刻、前記終了時刻および前記到着時刻のうちの少なくとも1つが異なる航行スケジュールにおける、前記停泊する1以上の港の各々に関する当該港における停泊の開始時刻、当該停泊の終了時刻、および前記目的地の港への到着時刻を示す
第3の航行スケジュールデータを取得し、前記出力手段は、前記第2の航行スケジュールデータが示す前記開始時刻、前記終了時刻および前記到着時刻のうちの少なくとも1つの時刻と、前記
第3の航行スケジュールデータが示す当該少なくとも1つの時刻に対応する時刻との差を示すデータを出力する、という構成としてもよい。
【0013】
また、上記の装置において、前記取得手段は、前記第2の航行スケジュールデータが示す航行スケジュールとの間で、前記開始時刻、前記終了時刻および前記到着時刻のうちの少なくとも1つが異なる航行スケジュールを示す
第4の航行スケジュールデータを取得し、前記算出手段は、前記
第4の航行スケジュールデータ、前記距離データおよび前記速度別燃料消費量データに基づき、前記基準地から前記航行における次の港までの移動と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の移動の各々とにおける航行速度を算出し、当該算出した航行速度に基づき前記基準地から前記目的地の港までの航行に伴う燃料消費量を第3の航行燃料消費量として算出し、前記算出手段は、前記第2の航行燃料消費量と前記第3の航行燃料消費量を比較し、前記出力手段は、前記算出手段により行われた前記比較の結果を示すデータを出力する、という構成としてもよい。
【0014】
また、上記の装置において、前記速度別燃料消費量データは、前記船舶の航行速度と、前記船舶が同一の航行速度で航行する場合に燃料消費量に影響を与える気象または海象に関する要素との組み合わせに応じた燃料消費量を示し、前記取得手段は、前記航行における前記要素を示す要素データを取得し、前記算出手段は、前記基準地から前記航行における次の港までの移動と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の移動の各々とにおける航行速度と、前記要素データが示す気象または海象に関する要素との組み合わせに応じた燃料消費量を、前記速度別燃料消費量データに従い特定し、当該特定した燃料消費量に基づき前記航行燃料消費量を算出する、という構成としてもよい。
【0015】
また、上記の装置において、前記取得手段は、前記出発地の港から前記基準地までの移動に伴う燃料消費量である基準地前燃料消費量を示す燃料消費量データを取得し、前記算出手段は、前記航行燃料消費量と前記燃料消費量データが示す基準地前燃料消費量とを加算して、前記出発地の港から前記目的地の港までの航行に伴う燃料消費量である全航行燃料消費量を算出する、という構成としてもよい。
【0016】
また、上記の装置において、前記出力手段は、前記算出手段が前記航行燃料消費量の算出において特定した、前記基準となる地点から前記航行における次の港までの移動と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の移動の各々に関する燃料消費量を示すデータを出力する、という構成としてもよい。
【0017】
また、本発明は、出発地の港から目的地の港に至る船舶の航行であって、前記航行の航路上の基準地から前記目的地の港に至る区間内に前記船舶が停泊する1以上の港がある航行に関し、コンピュータに、前記基準地に前記船舶がいる時刻である基準時刻
と、前記基準地から前記航行における次の港までの距離と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の各々の距離とを示す距離データと、前記船舶の航行速度に応じた単位航行距離当たりの燃料消費量を示す速度別燃料消費量データとを取得する
とともに、前記停泊する1以上の港の各々に関する当該港における停泊の開始時刻、当該停泊の終了時刻、および前記目的地の港への到着時刻を第1の航行スケジュールデータとして示す第1の航行スケジュールデータと、前記第1の航行スケジュールデータが示す開始時刻、終了時刻および到着時刻のうちの少なくとも一部が異なる第2の航行スケジュールを示す第2の航行スケジュールデータとを取得する処理と、前記
第1の航行スケジュールデータおよび前記距離データに基づき前記基準地から前記航行における次の港までの移動と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の移動の各々とにおける航行速度を算出し、当該算出した航行速度、前記距離データ、および前記速度別燃料消費量データに基づき前記基準地から前記目的地の港までの航行に伴う燃料消費量を
第1の航行燃料消費量として算出
し、前記第2の航行スケジュールデータ、前記距離データおよび前記速度別燃料消費量データに基づき、前記基準地から前記航行における次の港までの移動と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の移動の各々とにおける航行速度を算出し、当該算出した航行速度に基づき前記基準地から前記目的地の港までの航行に伴う燃料消費量を第2の航行燃料消費量として算出する処理と、前記
第1の航行燃料消費量
および前記第2の航行燃料消費量を示すデータを出力する処理とを実行させるためのプログラムを提供する。
【0018】
また、本発明は、出発地の港から目的地の港に至る船舶の航行であって、前記航行の航路上の基準地から前記目的地の港に至る区間内に前記船舶が停泊する1以上の港がある航行に関し、コンピュータに、前記基準地に前記船舶がいる時刻である基準時刻
と、前記基準地から前記航行における次の港までの距離と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の各々の距離とを示す距離データと、前記船舶の航行速度に応じた単位航行距離当たりの燃料消費量を示す速度別燃料消費量データとを取得する
とともに、前記停泊する1以上の港の各々に関する当該港における停泊の開始時刻、当該停泊の終了時刻、および前記目的地の港への到着時刻を第1の航行スケジュールデータとして示す第1の航行スケジュールデータと、前記第1の航行スケジュールデータが示す開始時刻、終了時刻および到着時刻のうちの少なくとも一部が異なる第2の航行スケジュールを示す第2の航行スケジュールデータとを取得する処理と、前記
第1の航行スケジュールデータおよび前記距離データに基づき前記基準地から前記航行における次の港までの移動と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の移動の各々とにおける航行速度を算出し、当該算出した航行速度、前記距離データ、および前記速度別燃料消費量データに基づき前記基準地から前記目的地の港までの航行に伴う燃料消費量を
第1の航行燃料消費量として算出
し、前記第2の航行スケジュールデータ、前記距離データおよび前記速度別燃料消費量データに基づき、前記基準地から前記航行における次の港までの移動と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の移動の各々とにおける航行速度を算出し、当該算出した航行速度に基づき前記基準地から前記目的地の港までの航行に伴う燃料消費量を第2の航行燃料消費量として算出する処理と、前記
第1の航行燃料消費量
および前記第2の航行燃料消費量を示すデータを出力する処理とを実行させるためのプログラムを持続的に記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【0019】
また、本発明は、出発地の港から目的地の港に至る船舶の航行であって、前記航行の航路上の基準地から前記目的地の港に至る区間内に前記船舶が停泊する1以上の港がある航行に関し、装置が、前記基準地に前記船舶がいる時刻である基準時刻
と、前記基準地から前記航行における次の港までの距離と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の各々の距離とを示す距離データと、前記船舶の航行速度に応じた単位航行距離当たりの燃料消費量を示す速度別燃料消費量データとを取得する
とともに、前記停泊する1以上の港の各々に関する当該港における停泊の開始時刻、当該停泊の終了時刻、および前記目的地の港への到着時刻を第1の航行スケジュールデータとして示す第1の航行スケジュールデータと、前記第1の航行スケジュールデータが示す開始時刻、終了時刻および到着時刻のうちの少なくとも一部が異なる第2の航行スケジュールを示す第2の航行スケジュールデータとを取得するステップと、前記装置が、前記
第1の航行スケジュールデータおよび前記距離データに基づき前記基準地から前記航行における次の港までの移動と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の移動の各々とにおける航行速度を算出し、当該算出した航行速度、前記距離データ、および前記速度別燃料消費量データに基づき前記基準地から前記目的地の港までの航行に伴う燃料消費量を
第1の航行燃料消費量として算出
し、前記第2の航行スケジュールデータ、前記距離データおよび前記速度別燃料消費量データに基づき、前記基準地から前記航行における次の港までの移動と当該港から前記目的地の港に至るまでの港間の移動の各々とにおける航行速度を算出し、当該算出した航行速度に基づき前記基準地から前記目的地の港までの航行に伴う燃料消費量を第2の航行燃料消費量として算出するステップと、前記装置が、前記
第1の航行燃料消費量
および前記第2の航行燃料消費量を示すデータを出力するステップとを備える方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、1以上の港における停泊を伴う船舶の航行に関し、港における停泊の開始時刻および終了時刻に応じて変化する航行に要する燃料消費量が算出され、当該算出された燃料消費量を示すデータが出力されるため、船舶の運航管理者や操船者等のユーザは、停泊の時間帯と燃料消費量との関係を把握することができる。その結果、ユーザは、船舶の航行において、燃料消費量の低減の観点から望ましい停泊の時間帯を特定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[1.実施形態]
以下に本発明の一実施形態にかかる停泊時間帯決定支援システム1の構成および処理を説明する。停泊時間帯決定支援システム1は、船舶が1以上の港における停泊を含む航行を行うにあたり、経由する港(以下、「経由港」という)における停泊の時間帯(以下、「停泊時間帯」という)、すなわち、停泊の開始時刻または終了時刻を変更した場合に、変更の前後における燃料消費量を運航管理者等のユーザに示すことにより、ユーザが燃料消費量の低減の観点から望ましい停泊時間帯を特定することを可能とするシステムである。
【0023】
なお、停泊時間帯決定支援システム1においては、停泊時間帯を着港時刻から出港時刻までの時間帯とする。従って、港内操船の時間は停泊の時間帯に含まれるものとする。
【0024】
また、以下の説明において、航路上において互いに隣り合う港間の航路を「区間航路」という。
【0025】
図1は、停泊時間帯決定支援システム1の全体構成を模式的に示した図である。停泊時間帯決定支援システム1は、例えば運航管理者により操作される航行管理サーバ装置11と、船舶9に配置されて例えば操船者により操作される船舶端末装置12と、航行管理サーバ装置11からの送信要求に応じて航行管理サーバ装置11に対し現在および将来の気象・海象に関するデータ(以下、「気象・海象データ」という)を送信する気象海象データ配信サーバ装置13を備えている。
【0026】
航行管理サーバ装置11は、船舶9の航行スケジュールを管理するとともに、Webサーバ機能を備え、船舶端末装置12からの運航スケジュールの閲覧等を可能とするサーバ装置である。なお、航行管理サーバ装置11は運航管理者等のユーザにより直接操作される端末装置としても機能する。また、航行管理サーバ装置11により管理される航行スケジュールは、航路上の港におけるバースウィンドウおよび停泊時間帯により特定される航行スケジュールを意味する。
【0027】
船舶端末装置12は、船舶9において計測または操船者等により入力される燃料消費量等の実績を示す各種データ(以下、「実績データ」という)を航行管理サーバ装置11に送信するとともに、ブラウザ機能を備え、航行管理サーバ装置11にアクセスして運航スケジュールの表示等を行う。なお、航行管理サーバ装置11と船舶端末装置12は通信衛星8を介してデータ通信を行う。
【0028】
また、
図1においては、船舶9が出発地の港Aを出港した後、経由港として港B、港C、港D、港Eにその順で寄港し荷積み・荷下ろし等を行い、目的地の港Aに着港する、という航行Rを行う様子が例示されている。
【0029】
航行管理サーバ装置11、船舶端末装置12および気象海象データ配信サーバ装置13のハードウェア構成は、他の装置との間でデータ通信を行う通信手段を備えた一般的なコンピュータである。
図2は、航行管理サーバ装置11、船舶端末装置12および気象海象データ配信サーバ装置13のハードウェアとして用いられるコンピュータ10の構成を示した図である。
【0030】
コンピュータ10は、OSやアプリケーションプログラム等のプログラムに従い各種演算を行うとともに他の構成部を制御するCPU101と、上記プログラム及び各種データを記憶するメモリ102と、他の装置との間で各種データの送受信を行うインタフェース(Interface)である通信I/F103と、例えばキーボードやマウス等の操作装置やディスプレイ(表示装置)等との間で各種データの入出力を行うインタフェースである入出力I/F104を備えている。
【0031】
船舶端末装置12は、機能構成部として、例えば船舶9の燃料消費量および航行距離を計測するセンサ群により生成される計測結果を示すデータを取得するとともに操船者等のユーザにより入力される喫水、トリム、着港時刻、出港時刻を示すデータを取得する取得手段と、取得手段により取得されたデータを実績データとして船舶端末装置12に送信する送信手段(いずれも図示略)を備える。また、船舶端末装置12は、航行管理サーバ装置11から送信されてくる全航行に伴う燃料消費量等を示す出力データを受信する受信手段と、受信手段により受信された出力データの内容をディスプレイ等に出力する出力手段(いずれも図示略)を備える。すなわち、船舶端末装置12のハードウェアであるコンピュータ10は、本実施形態にかかる船舶端末装置12用のアプリケーションプログラムに従う処理を実行することにより、上記の取得手段、送信手段、受信手段、出力手段を備える装置として機能する。
【0032】
気象海象データ配信サーバ装置13は、機能構成部として、現在および将来の時間帯における、ある海域の気象・海象に関する条件(風速、風向、波高等)を示す気象・海象データを様々な時間帯および海域の組み合わせに関し記憶する記憶手段と、航行管理サーバ装置11から海域および時間帯を指定する送信要求データを受信する受信手段と、受信手段により受信された送信要求データにより指定される海域および時間帯の組み合わせに応じた気象・海象データを記憶手段に記憶されている気象・海象データの中から検索する検索手段と、検索手段により検索された気象・海象データを要求元の航行管理サーバ装置11に送信する送信手段(いずれも図示略)を備える。すなわち、気象海象データ配信サーバ装置13のハードウェアであるコンピュータ10は、本実施形態にかかる気象海象データ配信サーバ装置13用のアプリケーションプログラムに従う処理を実行することにより、上記の記憶手段、受信手段、検索手段、送信手段を備える装置として機能する。
【0033】
図3は、航行管理サーバ装置11の機能構成を示したブロック図である。すなわち、航行管理サーバ装置11のハードウェアであるコンピュータ10は、本実施形態にかかる航行管理サーバ装置11用のアプリケーションプログラムに従う処理を実行することにより、
図3に示す構成部を備える装置として機能する。
【0034】
航行管理サーバ装置11は、機能構成部として、まず、船舶9が様々な航行条件の下で様々な航行速度で航行した場合の燃費(例えば、単位航行距離当たりの燃料消費量、ton/mile)を示す速度別燃料消費量データ、様々な航路に関し出発地、経由地および目的地の港を示す航路データ、様々な港間の距離を示す距離データ、を予め記憶するとともに、船舶端末装置12から受信される実績データ、気象海象データ配信サーバ装置13から受信される気象・海象データ、ユーザの入力に従い生成される航行管理データ(後述)等を記憶する記憶手段110を備える。
【0035】
記憶手段110に記憶される各種データの構成の説明に先立ち、それらのデータの入力や表示が行われる航行管理画面を以下に説明する。
図4は、航行管理画面の全体構成を示した図である。航行管理画面は、例えば航行管理サーバ装置11に接続されたディスプレイに表示される。
【0036】
航行管理画面は、大きく以下のエリアA01〜A05の領域に区分される。
エリアA01:管理対象の航行を識別する航行ID等の基本情報と、計画当初の航行スケジュール(以下、「オリジナル計画」という)に関する各種データの入力または表示を行うためのエリア。
エリアA02:現在設定されている航行スケジュール(以下、「現行計画」という)に関する各種データの入力または表示を行うエリア。
エリアA03:現行計画に対し仮の変更を行った航行スケジュール(以下、「変更計画」という)に関する各種データの入力または表示を行うエリア。
エリアA04:航行の進行に伴い既に確定した出港時刻等の情報、現行計画に従った場合の燃料消費量、現行計画に従った場合の燃料消費量を基準とした変更計画に従った場合の燃料消費量の増減等の表示を行うエリア。
【0037】
なお、航行管理画面には多数の入力欄や表示欄、ボタン等の操作子、グラフ等が配置されている。以下、これらの入力欄等を総称して「オブジェクト」という。
【0038】
図5は、航行管理画面のエリアA01を示した図である。エリアA01の第1段には、管理対象の航行を識別する航行ID、航行する船舶の名称(船舶名)、航路名の入力欄と、5つのボタン、すなわち、「オリジナル→現行」ボタン、「現行→変更」ボタン、「変更→現行」ボタン、「グラフ」ボタン、「自動変更」ボタンが配置されている。
【0039】
「オリジナル→現行」ボタンは、ユーザが、オリジナル計画に関するデータ(エリアA01の第2段〜第5段のデータ)を現行計画に関するデータ(エリア02の第1段および第6段〜第8段)に反映させるためのボタンである。また、「現行→変更」ボタンは、ユーザが、現行計画に関するデータ(エリアA02)を変更計画に関するデータ(エリアA03)に反映させるためのボタンである。また、「変更→現行」ボタンは、ユーザが、変更計画に関するデータ(エリアA03)を現行計画に関するデータ(エリアA02)に反映させるためのボタンである。また、「グラフ」ボタンは、ユーザがグラフ表示画面(後述)を表示させるためのボタンである。
【0040】
「自動変更」ボタンは、ユーザが航行管理サーバ装置11に変更計画の自動設定を行わせるためのボタンである。ユーザが「自動変更」ボタンをクリック等すると、航行管理サーバ装置11により、推定される全航行に伴う燃料消費量が所定の規則に従う範囲内で最小となるような停泊時間帯が自動的に特定され、特定されたそれらの停泊時間帯の開始時刻および終了時刻を示す値がエリアA03(変更計画)の対応する入力欄に自動入力される。
【0041】
エリアA01の第2段には、航路上の港の名称の表示欄が設けられている。この表示欄の個数とそれらに表示される港の名称は、エリアA01の第1段の航路名の入力欄に入力された名称に基づき、航路データに従い自動的に設定される。
【0042】
エリアA01の第3段〜第5段には、オリジナル計画に関する各種データの入力または表示のためのオブジェクトが配置されている。
【0043】
エリアA01の第3段には、港毎に、オリジナル計画におけるバースウィンドウ(B/W)の開始時刻と終了時刻を入力するためのオブジェクトとして、左右2つの入力欄と1つのバーが設けられている。なお、出発港(出発地の港。航行Rの場合、A港)に関しては、バースウィンドウは出港時刻の許容時間帯を、また目的港(目的地の港。航行Rの場合、A港)に関しては、バースウィンドウは着港時刻の許容時間帯を意味する。ユーザは左の入力欄に開始時刻を、右の入力欄に終了時刻を数値で入力する。また、ユーザはバーの左端を左右方向にドラッグすることで開始時刻を、バーの右端を左右方向にドラッグすることで終了時刻を、各々変更することができる。
【0044】
エリアA01の第4段には、経由港に関し港毎に、オリジナル計画における停泊時間帯の開始時刻(着港時刻)と終了時刻(出港時刻)を入力するためのオブジェクトとして、左右2つの入力欄と1つのバーが設けられている。これらのオブジェクトの役割や動作は、第3段のバースウィンドウのオブジェクトの役割や動作と同様である。
【0045】
また、エリアA01の第4段には、出発港に関してはオリジナル計画における出港時刻を、目的港に関してはオリジナル計画における着港時刻を入力するためのオブジェクトとして、入力欄と左右に移動可能なノブが設けられている。ユーザは入力欄に直接、出港時刻または着港時刻を入力する。また、ユーザはノブを左右方向にドラッグすることで出港時刻または着港時刻を変更することができる。
【0046】
エリアA01の第5段には、経由港に関し港毎に、オリジナル計画における停泊時間の入力欄が設けられている。停泊時間の入力欄は、各々、第4段の対応する港の停泊時間帯の入力欄の値と連動して変化する。すなわち、ユーザが停泊時間帯の入力欄の値を変更すると、変更後の値に応じて停泊時間の入力欄の値が自動的に変更される。また、ユーザが停泊時間の入力欄の値を変更すると、停泊時間帯の終了時刻の入力欄の値が自動的に変更される。ただし、ユーザが停泊時間帯の開始時刻からバースウィンドウの終了時刻までの時間よりも長い停泊時間を入力した場合、停泊時間帯の開始時刻の入力欄の値も自動的に変更される。
【0047】
なお、停泊時間帯はバースウィンドウの外にはみ出すことは許可されない。従って、停泊時間帯をバースウィンドウの範囲を超えて変更したい場合、ユーザはまずバースウィンドウを変更した後、停泊時間帯を変更する必要がある。また、ユーザが、例えば停泊時間帯の開始時刻より後にバースウィンドウの開始時刻を変更したり、停泊時間帯の終了時刻より前にバースウィンドウの終了時刻を変更すると、停泊時間帯の開始時刻および終了時刻は、バースウィンドウの変更に伴い、例えば停泊時間を維持しつつ全体として後または前に移動するように変更される。
【0048】
図6は、航行管理画面のエリアA02を示した図である。エリアA02の第1段には、オリジナル計画に関するエリアA01の第2段と同様に、航路上の港の名称の表示欄が設けられている。
【0049】
エリアA02の第2段には、区間航路毎に、区間航路の航行距離の表示欄が設けられている。これらの表示欄に表示される航行距離は、第2段に設定されている港の名称に基づき、距離データに従い自動的に設定される。
【0050】
エリアA02の第3段と第4段には、区間航路毎に、区間航路を移動する際の船舶の喫水と、区間航路を移動する際の船舶のトリムの入力欄が各々設けられている。運航管理者等のユーザは、例えば区間航路を輸送する貨物の総重量等に基づき喫水やトリムを推定し、それらの推定値をこれらの入力欄に入力する。
【0051】
エリアA02の第5段には、区間航路毎に、区間航路を移動する際に船舶が遭遇する気象・海象に関する条件を示す矢印が表示される。具体的には、区間航路毎に左から風、波、潮に対応する計3つの矢印が表示される。左の矢印は、その方向が風向を示し、その長さが風速を示す。中央の矢印は、その方向が波向を示し、その長さが波高を示す。また、右の矢印は、その方向が潮向を示し、その長さが潮速を示す。なお、矢印の方向は、例えば船舶の進行方向を右方向とした場合の船舶に対する方向である。
【0052】
エリアA02の第5段に表示される矢印が示す気象・海象に関する条件は、航行管理サーバ装置11が気象海象データ配信サーバ装置13から取得した気象・海象データが示す値であり、ユーザによる入力や編集はできない。
【0053】
エリアA02の第6段〜第8段には、エリアA01の第3段〜第5段の各々の同様のオブジェクトが配置されており、現行計画に関するバースウィンドウ、停泊時間帯、停泊時間の入力および表示に用いられる。
【0054】
エリアA02の第9段には、現行計画に従った場合における各港への着港時刻および各港からの出港時刻の、オリジナル計画からのズレ(時間差)を表示する表示欄が設けられている。第9段の表示欄には、エリアA01の第4段において設定されているオリジナル計画の各港に関する出港時刻および着港時刻と、エリアA02の第7段において設定されている現行計画の対応する出港時刻および着港時刻との差が自動的に算出されて表示される。
【0055】
図7は、航行管理画面のエリアA03を示した図である。エリアA03に配置されているオブジェクトの構成は、第1段の右端に「抜港」ボタンおよび「港追加」ボタンが配置されている点を除き、エリアA02と同じである。エリアA03のオブジェクト(「抜港」ボタンおよび「港追加」ボタンを除く)の役割や動作は、エリアA02の対応するオブジェクトの役割や動作と同様である。ただし、エリアA03のオブジェクトのうち、バースウィンドウの開始時刻と終了時刻、停泊時間帯の開始時刻と終了時刻、そして停泊時間は、各々、エリアA01に配置されている「自動変更」ボタンがクリック等された際に実行される自動変更機能(後述)において自動変更の対象から除外する(以下、「ロック」という)ことができる。具体的には、例えばユーザはそれらの入力欄に対し右クリックを行いポップメニューを表示させ、ポップアップメニューに表示される「ロック」をクリック等することで、その入力欄の値を自動変更の対象から除外し、ポップアップメニューに表示される「アンロック」をクリック等することで、その除外を解除することができる。なお、ロックされた入力欄とロックされていない(アンロックされた)入力欄は、例えば枠線の色が異なるなど異なる態様で表示される。
【0056】
例えば、目的港の着港時刻の遅れがオリジナル計画から最大半日まで許容される場合、運航管理者等のユーザは、エリアA03の第6段(バースウィンドウの設定のためのオブジェクト)において、目的港のバースウィンドウの終了時刻をオリジナル計画の目的港の着港時刻から12時間だけ後の時刻に設定し、ロックする。その後、ユーザによる「自動変更」ボタンに対する操作に応じて自動変更機能によりエリアA03に自動設定される変更計画においては、目的港の着港時刻がオリジナル計画から最大半日の遅れの範囲内で設定されたものとなる。
【0057】
「抜港」ボタンは、変更計画において抜港を行うためのボタンである。ユーザは、第1段の港(出発港および目的港を除く)の名称の表示欄のいずれかをクリック等して選択した後、「抜港」ボタンをクリック等することにより、選択した港を経由港から除外(抜港)することができる。
【0058】
例えば、出発地の港(A港)を第1港とした場合の第4港であるD港が抜港された場合、第5港であったE港と第6港であったA港が各々、変更計画において第4港と第5港となり、エリアA03においてD港に関するオブジェクトの表示が消えるとともに、E港およびA港(目的地の港)に関するオブジェクトの表示位置が港1つ分だけ左に移動することになる。その際、第3港(C港)と新たに第4港となったE港との間の区間航路の距離は、距離データに従い更新される。また、その区間航路の気象・海象(風・波・潮)のパラメータを示す矢印の表示は、新たに気象海象データ配信サーバ装置13から取得された気象・海象データに基づき更新される。また、その区間航路の喫水およびトリムの値は、抜港前の第3港と第4港の間の区間航路における喫水およびトリムの値がそのまま用いられる。
【0059】
「港追加」ボタンは、変更計画において経由港を追加するためのボタンである。ユーザは、第1段の港(出発港を除く)の名称の入力欄のいずれかをクリック等して選択した後、「港追加」ボタンをクリック等することにより、選択した港の前に新たな経由港を追加することができる。
【0060】
例えば、第4港であるD港が選択された後に「港追加」ボタンがクリック等されると、エリアA03におけるD港〜A港に関するオブジェクトの表示位置が港1つ分だけ右に移動し、第4港の位置には新たな港に関するオブジェクトが表示される。新たに追加されたオブジェクトのうち、第1段の港の名称の表示欄は、追加直後はユーザによる入力を受け付ける。ユーザがその欄に新たな経由港の名称として、例えばX港を示す「X」を入力したとする。その入力に伴い、第3港(C港)と新たに第4港となったX港との間の区間航路の距離、およびX港と新たに第5港となったD港との間の区間航路の距離は、距離データに従い更新される。また、それらの区間航路の気象・海象(風・波・潮)のパラメータを示す矢印の表示は、新たに気象海象データ配信サーバ装置13から取得された気象・海象データに基づき更新される。また、それらの区間航路の喫水およびトリムの値は、港追加前の第3港と第4港の間の区間航路における喫水およびトリムの値がそのまま用いられる。
【0061】
なお、港追加が行われた直後には、追加された港に関するバースウィンドウ、停泊時間帯および停泊時間の入力欄は空欄となる。従って、ユーザは港を追加した場合、変更計画を完成させるために、追加した港におけるバースウィンドウ、停泊時間帯および停泊時間に関する各データの入力を行う必要がある。
【0062】
さらに、ユーザは、例えばエリア03の第1段の港の名称の入力欄(出発港および目的港を除く)を左右方向にドラッグすることにより、港の経由の順序を変更することもできる。港の順序が変更された場合に、それらの港の間の区間航路に関するデータが更新される手順は上述した抜港もしくは港追加の場合と同様である。
【0063】
図8は、航行管理画面のエリアA04を示した図である。航行管理画面のエリアA04の第1段には、船舶が出発地の港を出港した後、航行の進行に伴い既に確定した停泊時間帯の開始時刻(出港時刻)および終了時刻(着港時刻)を表示する表示欄が設けられている。また、第2段には、区間航路の移動において既に消費した燃料の量(燃料消費量の実績)を表示する表示欄が設けられている。これらの表示欄に表示される値は航行管理サーバ装置11が船舶端末装置12から受信した実績データに従い表示され、ユーザによる入力や編集はできない。なお、第1段の停泊時間帯の開始時刻の表示欄は、船舶がまだその港に着港していない場合、空欄となる。同様に、第1段の停泊時間帯の終了時刻の表示欄は、船舶がまだその港から出港していない場合、空欄となる。また、第2段の燃料消費量の表示欄は、船舶がまだその区間航路に達してしていない場合、空欄となる。ただし、船舶が移動中の区間航路に関しては、第2段の燃料消費量の表示欄には、その区間航路における現時点までの燃料消費量の実績が表示される。
【0064】
エリアA04の第3段には、区間航路の各々と、全航行に関し、現行計画に従った場合の燃料消費量に対する、変更計画に従った場合の燃料消費量の増減が棒グラフと数値で表示される。これらの表示は、エリアA02およびエリアA03において設定されているデータに従い航行管理サーバ装置11が自動計算した燃料消費量に基づき行われ、ユーザによる入力や編集はできない。
【0065】
ユーザは、エリアA01の第2段〜第5段のオブジェクトに対し入力を行うことにより、オリジナル計画に関するデータを設定することができる。その後、ユーザは、エリアA01の「オリジナル→現行」ボタンをクリック等することにより、エリアA01において設定したデータを、エリアA02の対応するオブジェクトにコピーすることができる。これにより、オリジナル計画が現行計画に反映されることになる。
【0066】
また、ユーザは、エリアA01の「現行→変更」ボタンをクリック等することにより、エリアA02において設定したデータを、エリアA03の対応するオブジェクトにコピーすることができる。これにより、現行計画が変更計画に反映され、変更計画が初期化されることになる。その後、ユーザはエリアA03のオブジェクトに対する入力(編集)操作を行うことにより、変更計画を修正する。
【0067】
なお、変更計画の修正の際、ユーザは、エリアA04の第3段に表示される、現行計画に従った場合の燃料消費量に対する、変更計画に従った場合の燃料消費量の増減を確認しながら、コストを意識しつつ変更計画の修正を行うことができる。また、ユーザは、エリアA03の第8段に表示される、変更計画における出港時刻および着港時刻のオリジナル計画に対する時間差を確認しながら、変更の可否を意識しつつ変更計画の修正を行うことができる。
【0068】
ユーザは、エリアA03において、必要に応じて変更計画の修正を繰り返し、望ましい変更計画を決定した後、エリアA01の「変更→現行」ボタンをクリック等することにより、エリアA03において設定したデータを、エリアA02の対応するオブジェクトにコピーすることができる。これにより、変更計画が現行計画に反映され、現行計画が変更されることになる。
【0069】
また、ユーザは、エリアA01の「グラフ」ボタンをクリック等することにより、
図9に示すようなグラフ表示画面をポップアップ表示させることができる。グラフ表示画面においては、現行計画と変更計画の各々に従って航行が行われた場合に、横軸に示される港の各々に着港した時点における累積燃料消費量が折れ線グラフで示される。ユーザは必要に応じてグラフ表示画面を表示させ、変更計画の修正を行う際の参考とすることができる。
【0070】
以上が航行管理画面の説明である。続いて、航行管理サーバ装置11の記憶手段110に記憶される各種データの説明を行う。
【0071】
図10Aおよび
図10Bは、航行管理データのデータ構造を示した図である。航行管理データは、区間航路の各々に応じたデータを含む区間航路航行管理テーブル(
図10A)と、港の各々に応じたデータを含む港航行管理テーブル(
図10B)で構成される。これらのテーブルには、航行管理画面において表示されるデータ(自動計算されて表示されるデータを除く)が各々、対応するデータレコード(行)のデータフィールド(列)に格納されている。
【0072】
図11は、航路データのデータ構造を示した図である。航路データは、様々な航路の各々に関し、当該航路を識別する航路名を示すデータと、当該航路上の港の名称によりその航路を示すデータ(例えば、航行Rの航路を示す「A−B−C−D−E−A」等)で構成されている。
【0073】
図12は、距離データのデータ構造を示した図である。距離データは、様々な2つの港の組み合わせの各々に関し、当該組み合わせを示すデータ(例えば、A港とB港を示す「A−B」等)と、当該組み合わせの港間の距離を示すデータで構成されている。
【0074】
図13は、速度別燃料消費量データのデータ構造を示した図である。速度別燃料消費量データには、船舶9の航行条件を定めるパラメータとして、例えば、風速、風向、波高、波向、潮速、潮向、喫水、トリム、の項目が設けられている。また、速度別燃料消費量データには、航行速度の項目と燃費の項目が設けられている。速度別燃料消費量データは、風速等の項目に示される航行条件の下で航行速度の項目に示される航行速度で航行が行われた場合に、燃費の項目に示される燃費で燃料の消費がなされることを示す。
【0075】
速度別燃料消費量データは、例えば、船舶9の物理シミュレーションモデル(既知の技術であるため、その説明を省略)に対し、パラメータ(風向〜航行速度)の様々な組み合わせを入力し、コンピュータにより算出された燃費を記録することにより生成されたデータである。
【0076】
図14は、航行管理サーバ装置11からの送信要求に応じて気象海象データ配信サーバ装置13から航行管理サーバ装置11に送信されて航行管理データ(
図10Aおよび
図10B)の対応するデータフィールドに格納される気象・海象データのデータ構造を示した図である。気象・海象データは、既述のように、現在および将来の特定の時間帯における特定の海域の気象・海象に関するパラメータ(風速、風向、波高等)の値を示すデータである。気象海象データ配信サーバ装置13は、様々な時間帯と海域の組み合わせに関する気象・海象データを格納したデータベースを管理しており、航行管理サーバ装置11から、時間帯および海域を指定する送信要求データを受信すると、その送信要求データに応じて、指定された時間帯および海域の気象・海象データを要求元の航行管理サーバ装置11に送信する。
【0077】
図15は、船舶端末装置12から航行管理サーバ装置11に送信されて航行管理データ(
図10Aおよび
図10B)の対応するデータフィールドに格納される実績データのデータ構造を示した図である。実績データには、港を出港する前に船舶端末装置12から航行管理サーバ装置11に送信される、喫水およびトリムを示すデータ(
図15(a))と、港を出港する時に船舶端末装置12から航行管理サーバ装置11に送信される、出港時刻を示すデータ(
図15(b))と、区間航路を移動中に所定時間の経過毎に船舶端末装置12から航行管理サーバ装置11に送信される、燃料消費量と航行距離を示すデータ(
図15(c))と、港に着港した時に船舶端末装置12から航行管理サーバ装置11に送信される、着港時刻を示すデータ(
図15(d))がある。
【0078】
喫水およびトリムを示すデータ(
図15(a))は、例えば、港において荷積みが完了した時点で操船者等が船首および船尾の喫水ゲージを目視して特定した値を船舶端末装置12に入力したデータであり、喫水、トリムに加え、その後に行われる移動の区間航路を示すデータ(「A−B」(A港からB港までの区間航路を示す)等)を含む。
【0079】
出港時刻を示すデータ(
図15(b))は、操船者等が港を出港した時刻を船舶端末装置12に入力したデータであり、出港した港を示すデータ(「A」(A港を示す)等)のを含む。
【0080】
燃料消費量と航行距離を示すデータ(
図15(c))は、船舶9に設けられたセンサ群により計測され、船舶端末装置12に自動的に入力された累積燃料消費量および累積航行距離を示すデータであり、計測が行われた時刻を示すデータを含む。
【0081】
着港時刻を示すデータ(
図15(d))は、操船者等が港に着港した時刻を船舶端末装置12に入力したデータであり、着港した港を示すデータ(「B」(B港を示す)等)を含む。
【0082】
以上が記憶手段110に記憶される各種データの説明である。
図3を参照しつつ航行管理サーバ装置11の機能構成の説明を続ける。
【0083】
航行管理サーバ装置11は、船舶端末装置12から送信されてくる実績データを取得し、気象海象データ配信サーバ装置13から送信されてくる気象・海象データを取得し、航行管理画面においてユーザが入力したデータ(変更指示データ)を航行管理サーバ装置11から取得し、それらのデータを記憶手段110の航行管理データに記憶させるとともに、記憶手段110から速度別燃料消費量データおよび航行管理データ(後述する変更手段115により更新されたものを含む)を読み出すことにより取得する取得手段111を備える。
【0084】
また、航行管理サーバ装置11は、取得手段111により取得された各種データに基づき、現行計画および変更計画の各々に関し、区間航路の移動の各々および全航行における燃料消費量を算出する算出手段112を備える。
【0085】
算出手段112は、移動が未完了の区間航路の各々の航行速度を算出する速度算出手段1121と、区間航路の各々の移動に伴う燃料消費量を算出する区間燃料消費量算出手段1122と、全航行に伴う燃料消費量を算出する全航行燃料消費量算出手段1123と、現行計画に関する燃料消費量と変更計画に関する燃料消費量、もしくは異なる変更計画の各々に関する燃料消費量を比較する比較手段1124を備える。
【0086】
速度算出手段1121は、移動が未完了の区間航路の各々に関し、航行管理データ(
図10Aおよび
図10B)が示す航行距離を、航行管理データが示す航行時間(当該区間航路の出発地の港の停泊時間帯の終了時刻から当該区間航路の目的地の港の停泊時間帯の開始時刻までの時間)で除算することにより、当該区間航路の航行速度を算出する。
【0087】
区間燃料消費量算出手段1122は、まず、移動が未完了の区間航路の各々に関し、航行管理データが示す風速、風向等の気象・海象に関するパラメータの値と、喫水およびトリムの値と、当該区間航路の航行速度との組み合わせに応じた燃費を、速度別燃料消費量データ(
図13)に従い特定する。続いて、区間燃料消費量算出手段1122は、船舶が現在移動中の区間航路に関しては、船舶の現在の位置から当該区間航路の目的地の港までの距離(区間航路の残航の距離)を算出し、当該区間航路に関し特定した燃費に乗じることにより、当該区間航路の残航の移動に伴う燃料消費量を算出する。また、区間燃料消費量算出手段1122は、その他の移動が未完了の区間航路に関しては、航行管理データが示す航行距離を当該区間航路に関し特定した燃費に乗じることにより、当該区間航路の移動に伴う燃料消費量を算出する。
【0088】
全航行燃料消費量算出手段1123は、航行管理データが示す既に確定している燃料消費量(基準地前燃料消費量)と、区間燃料消費量算出手段1122により算出された移動が未完了の区間航路(移動中の区間航路についてはその残航)の移動に伴う燃料消費量の各々(区間燃料消費量)を合算した値(航行燃料消費量)とを加算して、全航行に伴う燃料消費量を全航行燃料消費量として算出する。
【0089】
比較手段1124は、区間燃料消費量算出手段1122により変更計画に関し区間航路毎に算出された燃料消費量から現行計画に関し区間航路毎に算出された燃料消費量を減算することにより、計画を変更した場合の各区間航路の移動に伴う燃料消費量の増減値を算出する。また、比較手段1124は、全航行燃料消費量算出手段1123により変更計画に関し算出された燃料消費量から現行計画に関し算出された燃料消費量を減算することにより、計画を変更した場合の全航行に伴う燃料消費量の増減値を算出する。比較手段1124により算出されたこれら値は航行管理画面のエリアA04(
図8)の第3段に表示される。
【0090】
また、航行管理サーバ装置11は、算出手段112により算出された各種データの内容を示す出力データを生成する出力データ生成手段113を備える。出力データ生成手段113は、算出手段112により算出された各種データに従い、例えば、航行管理画面(
図4)やグラフ表示画面(
図9)の表示を指示するデータ(例えば、HTML等で記述されたデータや画像データ)を出力データとして生成する。
【0091】
また、航行管理サーバ装置11は、出力データ生成手段113により生成された出力データを出力する出力手段114を備えている。出力手段114は、例えば画像データの形式の出力データを航行管理サーバ装置11に接続されたディスプレイに出力する。また、出力手段114は、HTML等で記述された出力データを、航行管理サーバ装置11において別途実行されているブラウザに出力する。この場合、出力データはブラウザにより解釈されて画像データに変換された後、航行管理サーバ装置11に接続されたディスプレイに出力されることになる。ディスプレイに出力された出力データの内容は、航行管理サーバ装置11のユーザである運航管理者等により閲覧可能となる。
【0092】
また、出力手段114は、例えば出力データを通信I/F103に対し出力し、通信衛星8を介して船舶端末装置12に送信する。この場合、出力データは船舶端末装置12に受信され、船舶端末装置12においてブラウザにより解釈されて画像データに変換された後、船舶端末装置12に接続されたディスプレイに出力される。ディスプレイに出力された出力データの内容は、船舶端末装置12のユーザである操船者等により閲覧可能となる。
【0093】
さらに、航行管理サーバ装置11は、記憶手段110に記憶されている航行管理画面の内容を変更する変更手段115を備える。変更手段115はまず、ユーザにより航行管理画面においてデータの変更が行われた場合、取得手段111により取得された当該変更の内容を示す変更指示データに従い、航行管理データの更新を行う。また、変更手段115は、取得手段111が気象海象データ配信サーバ装置13から取得した気象・海象データ(
図13)や船舶端末装置12から取得した実績データ(
図15)に従い、航行管理データの更新を行う。
【0094】
なお、気象・海象データは、所定時間(例えば30分程度)の経過毎に取得手段111により気象海象データ配信サーバ装置13から取得される他、ユーザが航行管理画面においてデータの変更を行い、区間航路の移動の時間帯に変更が生じた場合にも、取得手段111により気象海象データ配信サーバ装置13から取得される。
【0095】
変更手段115により、変更指示データ、気象・海象データ、もしくは実績データに従った航行管理データの更新が行われた場合、算出手段112は更新後の航行管理データに従い、区間航路の各々および全航路の航行に伴う燃料消費量を現行計画と変更計画の各々に関し再計算し、その結果を出力データ生成手段113に引き渡す。その結果、ディスプレイに表示される航行管理画面やグラフ表示画面の内容が更新される。
【0096】
また、変更手段115は、自動変更機能が実行される際に、変更計画における停泊時間帯の開始時刻および終了時刻の各々を、バースウィンドウおよび停泊時間帯の開始時刻および終了時刻に対しユーザにより設定されたロックにより制限される範囲内において、例えば所定の変化量(時間変化量)だけ順次変更することで、停泊時間帯の様々な組み合わせを生成する。変更手段115は記憶手段110に航行管理データの複製を多数生成させ、それらの複製の各々に、停泊時間帯の組み合わせの各々を反映させる。
【0097】
取得手段111は、自動変更機能において、変更手段115により生成された停泊時間帯の様々な組み合わせに応じた航行管理データの複製の各々に従い、気象海象データ配信サーバ装置13から気象・海象データを取得して変更手段115に引き渡す。変更手段115は受け取った気象・海象データを対応する航行管理データの複製に反映させる。
【0098】
算出手段112は、自動変更機能において、変更手段115により生成された停泊時間帯の様々な組み合わせに応じた航行管理データの複製の各々に従い、変更計画における全航行に伴う燃料消費量を順次、算出する。算出手段112の比較手段1124は、全航行燃料消費量算出手段1123により順次算出される燃料消費量(停泊時間帯の様々な組み合わせに応じたもの)を順次比較し、その値が最小となるものを特定する。
【0099】
変更手段115は、比較手段1124により最小と特定された燃料消費量の算出に用いられた航行管理データの複製の内容を、航行管理データ(複製元のオリジナル)に反映させる。これにより、燃料消費量の低減の観点から望ましいと推定される停泊時間帯が変更計画に関する航行管理画面のエリアA03に自動的に提示されることになる。
【0100】
以上のように、停泊時間帯決定支援システム1によれば、運航管理者や操船者等のユーザは、経由港における停泊を伴う船舶の航行の開始前およびその途中において、例えば、航行管理画面のエリアA03の第7段に示されるバーの左端もしくは右端をドラッグする等の操作により、停泊時間帯を現行計画のものから変更した場合の燃料消費量の増減を知ることができる。その際、オリジナル計画における着港時刻(停泊時間帯の開始時刻)および出港時刻(停泊時間帯の終了時刻)に対する、変更計画におけるそれらの時刻の時間差も自動的に表示(エリアA03の第9段)されるため、ユーザは変更計画における着港時刻および出港時刻の変更が許容範囲内のものであるか否かを容易に判断することができる。
【0101】
また、自動変更機能を用いると、燃料消費量の観点から望ましいと推定される停泊時間帯が自動的に提示される。その際、ユーザは変更したくない(または変更できない)停泊時間帯やバースウィンドウに関してはそれらをロック対象として指定することで、自動変更機能における変更の対象から除外することができる。
【0102】
従って、停泊時間帯決定支援システム1によれば、ユーザは様々な状況下において、燃料消費量の低減の観点から望ましい停泊時間帯を特定することができる。
【0103】
[変形例]
上述した実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形することができる。以下にそれらの変形の例を示す。
【0104】
(1)上述した実施形態においては、速度別燃料消費量データは船舶9に関し物理シミュレーションモデルを用いて生成されたデータであるものとしたが、速度別燃料消費量データの生成の方法はこれに限られない。例えば、船舶9が過去に行った航行において実測されたパラメータと燃費とを統計的に処理することにより生成されたデータや、物理シミュレーションモデル等を用いて生成されたデータを、船舶9が過去に行った航行において実測されたパラメータと燃費とを統計的に処理して得られたデータにより補正して生成されたデータ等であってもよい。
【0105】
(2)上述した実施形態において、速度別燃料消費量データは
図13に示されるように表形式のデータであるものとしたが、例えば風速〜航行速度の値を変数とし燃費を算出する関数式を示すデータなど、航行条件に関する様々なパラメータの組み合わせに応じた燃費を示すデータであれば如何なるデータであってもよい。
【0106】
(3)上述した実施形態においては、速度別燃料消費量データ(
図13)および気象・海象データ(
図14)に、気象・海象に関するパラメータとして、風速、風向、波高、・・・といった項目が設けられているものとしたが、例えば波周期を加えるなど、これらの項目は任意に変更可能である。また、速度別燃料消費量データに、例えば船体汚れやプロペラ汚れといった船舶9の燃費に影響を与える、気象・海象とは無関係なパラメータを項目として設ける構成としてもよい。また、気象・海象に関するパラメータは必ずしも必要ではない。なお、気象・海象に関するパラメータが用いられない場合、気象海象データ配信サーバ装置13は不要となる。
【0107】
(4)上述した実施形態においては、港間の航路を1つの区間航路とし、この区間航路に関し航行時間、航行距離、航行速度、燃料消費量等の算出等が行われるものとした。これに代えて、港間の航路を複数の区間航路に分割し、分割した複数の区間航路の各々に関し航行時間、航行距離、航行速度、燃料消費量等の算出等が行われる構成としてもよい。その場合、例えば気象・海象データに従い算出される区間航路に応じたパラメータの平均値も分割された各区間航路に関し算出されて用いられるため、より精度の高い燃料消費量の推定が可能となる。
【0108】
(5)上述した実施形態においては、航行速度は対地船速であるものとしたが、対地船速に代えて対水船速が航行速度として用いられてもよい。また、上述した実施形態においては、燃費は単位移動距離当たりの燃料消費量(ton/mile)であるものとしたが、単位時間当たりの燃料消費量(ton/day)が燃費として用いられてもよい。
【0109】
(6)上述した実施形態においては、速度別燃料消費量データ、航路データ、距離データは航行管理サーバ装置11が備える記憶手段110に予め記憶されているものとしたが、これに代えて、航行管理サーバ装置11に直接、もしくはネットワークを介して接続される記憶装置に記憶されているものを取得手段111が取得して用いる構成としてもよい。
【0110】
(7)上述した実施形態においては、航行管理サーバ装置11が船舶端末装置12と異なる装置として構成されるものとしたが、航行管理サーバ装置11を船舶端末装置12と統合した一つの装置として構成してもよい。その場合、上述した航行管理サーバ装置11が行う処理は、船舶9に配置された船舶端末装置12において行われることになる。また、上述した実施形態においては、気象海象データ配信サーバ装置13が航行管理サーバ装置11と異なる装置として構成されるものとしたが、気象海象データ配信サーバ装置13を航行管理サーバ装置11と統合した一つの装置として構成してもよい。
【0111】
(8)上述した実施形態においては、船舶が航行中において、船舶が現在いる地点は実績データにより示される累積航行距離と航行管理データにより示される各区間航路の航行距離に基づき特定されるものとしたが、船舶の現在いる地点を特定する方法はこれに限られない。例えば、船舶9がGPSを備えている場合は、GPSにより測定された船舶9の緯度経度を示す位置データを実績データとして船舶端末装置12から航行管理サーバ装置11に送信し、航行管理サーバ装置11において受信した位置データに基づき、船舶が現在いる時点を特定する構成としてもよい。また、燃料消費量の算出においては、船舶の現在いる地点そのものが特定できなくても、残航の航行距離が特定できればよい。従って、船舶端末装置12が航行管理サーバ装置11に対し位置データを送信する代わりに、船舶端末装置12において位置データに基づき、現在移動中の区間航路の残航の距離を算出し、その算出結果を示すデータを実績データとして航行管理サーバ装置11に送信する構成としてもよい。さらに、操船者等が現在移動中の区間航路の残航を船舶端末装置12に手入力し、手入力された残航を示すデータが実績データとして航行管理サーバ装置11に送信される構成としてもよい。
【0112】
(9)上述した実施形態において例示した航行Rの航路は出発地の港と目的地の港が同じ(A港)である、いわゆるラウンドトリップの航路であるが、停泊時間帯決定支援システム1により管理される航行の航路はラウンドトリップの航路に限られない。
【0113】
(10)上述した実施形態においては、港内操船の時間を停泊時間に含めるものとしたが、例えば、港内操船の時間を区間航路の移動時間に含めたり、停泊時間と移動時間に案分したりする構成としてもよい。
【0114】
(11)上述した実施形態においては、自動変更機能において、全航行に伴う燃料消費量を最小とする停泊時間帯が変更計画として提示される構成が採用されているが、これに代えて、例えば、燃料消費量がユーザにより指定された閾値以下となる条件下にて目的地の港への着港時刻が最も速くなる停泊時間帯が変更計画として提示される構成とするなど、自動変更における最適化のための目的関数やその際の制約条件は様々に変更可能である。
【0115】
(12)上述した実施形態においては、航行管理サーバ装置11、船舶端末装置12および気象海象データ配信サーバ装置13は、一般的なコンピュータに、アプリケーションプログラムに従った処理を実行させることにより実現される構成が採用されている。これに代えて、航行管理サーバ装置11、船舶端末装置12および気象海象データ配信サーバ装置13の少なくとも一つが、いわゆる専用装置として構成されてもよい。
【0116】
本発明は、航行管理サーバ装置11に例示される装置、コンピュータを航行管理サーバ装置11として機能させるプログラム、当該プログラムを持続的に記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体、航行管理サーバ装置11が実行する処理の方法、の各々として把握される。
経由港における停泊を含む船舶の航行に関し、端末装置が生成する航行管理画面においてユーザが各港における停泊時間帯を入力すると、端末装置は、入力された停泊時間帯により定まる港間の航行速度と、当該港間の航行において船舶が遭遇する気象・海象のパラメータとに基づき、当該港間の航行における燃費を特定し、当該港間の航行に伴う燃料消費量を算出する。端末装置により算出された港間の航行の各々に伴う燃料消費量と、それらの合計である全航行に伴う燃料消費量は航行管理画面に表示される。ユーザは変更計画に関する停泊時間帯を変更することにより、変更前と変更後の計画に従った航行が行われた場合の燃料消費量を比較しながら停泊時間帯の変更を検討することができる。