【実施例】
【0043】
次に製造例及び実施例をもって本発明をより詳細に説明する。本発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。
【0044】
製造例1〜13
表1及び表2に示す組成の表面処理微粒子金属酸化物を下記の製造方法により調製した。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
(注1)MT−100SA(テイカ社製)
(注2)MZ−500(テイカ社製)
(注3)KF−9901(信越化学社製)
(注4)KF−96(100cs)(信越化学社製)
【0048】
(製造方法)
イソプロピルアルコール100部と成分3〜6を混合し、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)中で成分1、2と混合する。その後、減圧下、60℃でイソプロピルアルコールを回収し、粉砕して表面処理微粒子金属酸化物を得た。
【0049】
実施例1及び比較例1〜6;微粒子金属酸化物分散組成物
表3に示す組成の微粒子金属酸化物分散組成物を下記の製造方法により調製し、各試料について、「分散性」、「経時での安定性」、「のびの良さ」について評価を行い、その結果も併せて表3に示した。
【0050】
【表3】
【0051】
(製造方法)
全ての成分1〜8を均一に混合し、アシザワ(株)製のビーズミル(LMZ−0.6)にてジルコニアビーズ3mmを用い、ビーズ゛充填率60%、アジテーター回転数2000rpmにて5時間分散させ、微粒子金属酸化物分散組成物を得た。
【0052】
(評価方法1)分散性
粉体の分散が良好であれば微粒子金属酸化物分散組成物の粘度は低くなるので、微粒子金属酸化物分散組成物を製造後、30℃恒温槽にて1日保管した後に、B型粘度計にて分散組成物の粘度を測定し、分散性を下記の基準に従って判断した。
【0053】
(微粒子金属酸化物分散組成物の分散性に関する評価基準)
(評価) :(判定)
粘度値が0mPa・s以上、2000mPa・s未満 ;◎
粘度値が2000mPa・s以上、6000mPa・s未満 ;○
粘度値が6000mPa・s以上、14000mPa・s未満 ;△
粘度値が14000mPa・s以上 ;×
【0054】
(評価方法2)経時での安定性
微粒子金属酸化物分散組成物の安定性が良好であれば次に示す加速試験前後の微粒子金属酸化物分散組成物の粘度変化は小さく、安定性が悪い場合は加速試験前後の粘度変化が大きくなる。ここでの加速試験とは50℃恒温槽に4週間保管することである。分散組成物を製造後、30℃恒温槽にて1日保管した後にB型粘度計で測定した粘度値と、50℃恒温槽に4週間保管した後30℃の恒温槽に1日保管した後に測定した粘度値を比較し、下記の基準に従って判断した。
【0055】
(微粒子金属酸化物分散組成物の経時での安定性に関する評価基準)
(評価) :(判定)
粘度変化が0mPa・s以上、±1000mPa・s未満 ;◎
粘度変化が±1000mPa・s以上、±2000mPa・s未満; ;○
粘度変化が±2000mPa・s以上、±4000mPa・s未満 ;△
粘度変化が±4000mPa・s以上 ;×
【0056】
(評価方法3)のびの良さ
微粒子金属酸化物分散組成物について化粧品評価専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人に各試料を使用してもらい、下記絶対評価基準にて6段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
【0057】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6点:非常に良好
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:5点を超える
○:3.5点を超える5点以下
△:2点を超える3.5点以下
×:2点以下
【0058】
表3に示したように、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートで表面処理した微粒子金属酸化物とポリヒドロキシステアリン酸と流動パラフィンを配合した実施例1の微粒子金属酸化物分散組成物は、「分散性」、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全項目において優れた微粒子金属酸化物分散組成物であった。一方、ポリヒドロキシステアリン酸を含まない比較例1、ポリヒドロキシステアリン酸のかわりに、ステアリン酸イヌリンを配合した比較例2、パルミチン酸デキストリンを配合した比較例3、セスキイソステアリン酸ソルビタンを配合した比較例4、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマーを配合した比較例5、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体を配合した比較例6の微粒子金属酸化物分散組成物は、実施例1に比べ、「分散性」、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全項目に劣っていた。
【0059】
実施例2〜18及び比較例7〜12;微粒子金属酸化物分散組成物
表4〜7に示す組成の微粒子金属酸化物分散組成物を上記と同様の製造方法により調製し、各試料について、「分散性」、「経時での安定性」、「のびの良さ」について評価を行い、その結果も併せて表4〜7に示した。
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
表4〜7に示したように、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートで表面処理した微粒子金属酸化物とポリヒドロキシステアリン酸と流動パラフィンを配合した実施例1〜16の微粒子金属酸化物分散組成物は、「分散性」、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全項目において優れた微粒子金属酸化物分散組成物であった。一方、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートで表面処理した微粒子金属酸化物のかわりに、(ジメチコン/メチコン)コポリマーで表面処理した微粒子金属酸化物を配合した比較例7、ジメチルポリシロキサンで表面処理した微粒子金属酸化物を配合した比較例8、トリメチルシロキシケイ酸で表面処理した微粒子金属酸化物を配合した比較例9、表面処理を何もしていない微粒子金属酸化物を配合した比較例10はいずれも、実施例1に比べ「分散性」、「経時での安定性」、「のびの良さ」の項目に劣っていた。
また、流動パラフィンのかわりにオクタン酸セチルを配合した実施例17、トリオクタン酸グリセリルを配合した実施例18の微粒子金属酸化物分散組成物も、「分散性」、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全項目において優れた微粒子金属酸化物分散組成物であった。一方、流動パラフィンのかわりに、ジメチルポリシロキサンを配合した比較例11、デカメチルシクロペンタシロキサンを配合した比較例12は「分散性」、「経時での安定性」、「のびの良さ」の全ての項目に劣っていた。
【0065】
実施例19〜21及び比較例13〜15;油中水型乳化化粧料
表8に示す組成の油中水型乳化化粧料を下記の製造方法により調製し、各試料について、「化粧料における経時での安定性」、「化粧料におけるのびの良さ」について評価を行い、その結果も併せて表8に示した。
【0066】
【表8】
【0067】
(製造方法)
成分(1)〜(9)を均一に混合したものに、成分(10)〜(14)を均一に混合したものを加え乳化し、脱泡して油中水型乳化化粧料を得た。
【0068】
(評価方法4)化粧料における経時での安定性
化粧料の安定性が良好であれば次に示す加速試験前後の化粧料の粘度変化は小さく、安定性が悪い場合は加速試験前後の粘度変化が大きくなる。ここでの加速試験とは50℃恒温槽に4週間保管することである。化粧料を製造後、30℃恒温槽にて1日保管した後にB型粘度計で測定した粘度値と、50℃恒温槽に4週間保管した後30℃の恒温槽に1日保管した後に測定した粘度値を比較し、下記の基準に従って判断した。
【0069】
(化粧料における経時での安定性に関する評価基準)
(評価) :(判定)
粘度変化が0mPa・s以上、±10000mPa・s未満 ;◎
粘度変化が±10000mPa・s以上、±20000mPa・s未満; ;○
粘度変化が±20000mPa・s以上、±40000mPa・s未満 ;△
粘度変化が±40000mPa・s以上 ;×
【0070】
(評価方法5)化粧料におけるのびの良さ
化粧料について化粧品評価専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人に各試料を使用してもらい、下記絶対評価基準にて6段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
【0071】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6点:非常に良好
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:5点を超える
○:3.5点を超える5点以下
△:2点を超える3.5点以下
×:2点以下
【0072】
表8に示したように、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートで表面処理した微粒子金属酸化物とポリヒドロキシステアリン酸と流動パラフィンを含有する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した実施例19は、「化粧料における経時での安定性」、「化粧料におけるのびの良さ」の全項目において優れていた。イソプロピルトリイソステアロイルチタネート及び(ジメチコン/メチコン)コポリマーで表面処理した微粒子金属酸化物とポリヒドロキシステアリン酸と流動パラフィンを含有する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した実施例20、21も、「化粧料における経時での安定性」、「化粧料におけるのびの良さ」の全項目において優れていた。ポリヒドロキシステアリン酸を含有せず、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートで表面処理した微粒子金属酸化物と流動パラフィンのみで構成する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した比較例13は、不均一な乳化状態であり、「化粧料における経時での安定性」、「化粧料におけるのびの良さ」の全項目において劣っていた。表面処理を何もしていない微粒子金属酸化物とポリヒドロキシステアリン酸と流動パラフィンを含有する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した比較例14は、流動性が無く、「化粧料における経時での安定性」、「化粧料におけるのびの良さ」の全項目において劣っていた。流動パラフィンの替わりにシリコーン油を含有した微粒子金属酸化物分散組成物を配合した比較例15は、不均一な乳化状態であり、「化粧料における経時での安定性」、「化粧料におけるのびの良さ」の全項目において劣っていた。
【0073】
実施例22〜24及び比較例16〜18;水中油型乳化化粧料
表9に示す組成の水中油型乳化化粧料を下記の製造方法により調製し、各試料について、「化粧料における経時での安定性」、「化粧料におけるのびの良さ」について評価を行い、その結果も併せて表9に示した。
【0074】
【表9】
【0075】
(製造方法)
成分(1)〜(8)を均一に混合したものに、成分(9)〜(15)を均一に混合したものを加え乳化し、脱泡して水中油型乳化化粧料を得た。
【0076】
表9に示したように、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートで表面処理した微粒子金属酸化物とポリヒドロキシステアリン酸と流動パラフィンを含有する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した実施例22は、「化粧料における経時での安定性」、「化粧料におけるのびの良さ」の全項目において優れていた。イソプロピルトリイソステアロイルチタネート及び(ジメチコン/メチコン)コポリマーで表面処理した微粒子金属酸化物とポリヒドロキシステアリン酸と流動パラフィンを含有する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した実施例23、24は、「化粧料における経時での安定性」、「化粧料におけるのびの良さ」の全項目において優れていた。ポリヒドロキシステアリン酸を含有せず、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートで表面処理した微粒子金属酸化物と流動パラフィンのみで構成する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した比較例16は、不均一な乳化状態であり、「化粧料における経時での安定性」、「化粧料におけるのびの良さ」の全項目において劣っていた。イソプロピルトリイソステアロイルチタネートで表面処理をしていない微粒子金属酸化物とポリヒドロキシステアリン酸と流動パラフィンを含有する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した比較例17は、「化粧料における経時での安定性」において劣っていた。流動パラフィンの替わりにシリコーン油を含有する微粒子金属酸化物分散組成物を配合した比較例18は、不均一な乳化状態であり、「化粧料における経時での安定性」、「化粧料におけるのびの良さ」の全項目において劣っていた。
【0077】
実施例25:油中水型乳化日焼け止め化粧料
(成分) (%)
1.2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)
アニリノ]−1,3,5−トリアジン 1
2.メトキシケイヒ酸オクチル 7
3.イソノナン酸イソノニル 5
4.トリイソステアリン酸ジグリセリル 5
5.部分架橋型オルガノポリシロキサンエラストマー (注7) 5
6.実施例10の微粒子金属酸化物分散組成物 10
7.軽質流動イソパラフィン 15
8.PEG−30ジポリヒドロキシステアリン酸 8
9.精製水 残部
10.グリセリン 10
11.塩化ナトリウム 1
12.防腐剤 適量
13.香料 適量
(注7):KSG43(信越化学工業社製)
【0078】
(製造方法)
A:成分1〜4を90℃に加温して溶解し混合する。
B:Aに成分5〜8、13を加え混合する。
C:成分9〜12を溶解する。
D:BにCを加え乳化する。
E:脱泡して油中水型乳化日焼け止め化粧料を得た。
【0079】
実施例25は、経時での安定性に優れ、のびの良い使用性の油中水型乳化日焼け止め化粧料であった。
【0080】
実施例26:油中水型乳化下地
(成分) (%)
1.パルミチン酸デキストリン 2
2.酸化チタン 3
3.微粒子酸化亜鉛 3
4.(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー (注8) 2
5.PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン (注9) 1
6.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 1
7.デカメチルシクロペンタシロキサン 10
8.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエイト 3
9.実施例6の微粒子金属酸化物分散組成物 15
10.デカメチルシクロペンタシロキサン 3
11.PEG−30ジポリヒドロキシステアリン酸 3
12.ジイソステアリン酸ポリグリセリル 2
13.精製水 残部
14.エタノール 5
15.1,2−ペンタンジオール 1
(注8):KP−540(信越化学社製)
(注9):KF−6028(信越化学社製)
【0081】
(製造方法)
A:成分1〜7を90℃に加温し、3本ロ−ラーで分散する。
B:Aに成分8〜12を加え90℃に加温し分散する。
C:Bを45℃まで冷却する。
D:成分13〜15を混合する
E:CにDを加え乳化する。
F:脱泡して油中水型乳化下地を得た。
【0082】
実施例26は、経時での安定性に優れ、のびの良い使用性の油中水型乳化下地であった。
【0083】
実施例27:水中油型乳化美容液
(成分) (%)
1.ジカプリン酸プロピレングリコール 3
2.ジメチルポリシロキサン(2cs) 5
3.実施例6の微粒子金属酸化物分散組成物 20
4.メチルトリメチコン 5
5.ステアリン酸 1.5
6.セタノール 1.5
7.モノステアリン酸グリセリル 1
8.ブチレングリコール 10
9.セチルリン酸 1
10.モノステアリン酸ポリエチレングリコール(55E.O.) 0.5
11.精製水 残部
12.キサンタンガム 0.2
13.エタノール 5
14.1,2−ペンタンジオール 1
【0084】
(製造方法)
A:成分1〜7を75℃に加温し混合する。
B:成分8〜14を75℃に加温し混合する。
C:BにAを加え乳化する。
D:Cを30℃まで冷却する。
E:Dを脱泡して水中油型乳化美容液を得た。
【0085】
実施例27は、経時での安定性に優れ、のびの良い使用性の水中油型乳化美容液であった。
【0086】
実施例28:木材用ラッカー
(成分) (%)
1.H1/4硝化綿 7.5
2.イソプロピルアルコール 22.5
3.酢酸ブチル 残部
4.酢酸エチル 15
5.ブタノール 10
6.トルエン 25
7.実施例1の微粒子金属酸化物分散組成物 3
【0087】
(製造方法)
成分1〜7を25℃で混合して木材用ラッカーを得た。
【0088】
実施例28は、経時での安定性に優れ、のびの良い木材用ラッカーであった。