【実施例】
【0036】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0037】
実施例1(Li
2Fe
0.5Mn
0.5SiO
3.975F
0.05の合成)
LiOH・H
2O 4.20g(0.1mol)、Na
4SiO
4・nH
2O13.98g(0.05mol)、NH
4F0.09g(0.0025mol)に超純水75cm
3を加えて混合した(この時のpHは約13)。この水分散液にFeSO
4・7H
2O 6.95g(0.025mol)、MnSO
4・5H
2O 6.03g(0.025mol)を添加し、混合した。得られた混合液をオートクレーブに投入し、150℃で12hr水熱反応を行った。反応液をろ過後、凍結乾燥した。凍結乾燥(約12時間)して得られた粉末8.4gにグルコース(炭素濃度として10%)及び超純水10cm
3を加え、還元雰囲気下で600℃で1hr焼成した。
【0038】
実施例2(Li
2Fe
0.2Mn
0.8SiO
3.975F
0.05の合成)
LiOH・H
2O 4.20g(0.1mol)、Na
4SiO
4・nH
2O13.98g(0.05mol)、NH
4F0.09g(0.0025mol)に超純水75cm
3を加えて混合した(この時のpHは約13)。この水分散液にFeSO
4・7H
2O 2.78g(0.01mol)、MnSO
4・5H
2O 9.64g(0.04mol)を添加し、混合した。得られた混合液をオートクレーブに投入し、150℃で12hr水熱反応を行った。反応液をろ過後、凍結乾燥した。凍結乾燥(約12時間)して得られた粉末8.4gにグルコース(炭素濃度として10%)及び超純水10cm
3を加え、還元雰囲気下で600℃で1hr焼成した。
【0039】
実施例3(Li
2FeSiO
3.975F
0.05の合成)
LiOH・H
2O 4.20g(0.1mol)、Na
4SiO
4・nH
2O13.98g(0.05mol)、NH
4F0.09g(0.0025mol)に超純水75cm
3を加えて混合した(この時のpHは約13)。この水分散液にFeSO
4・7H
2O 13.90g(0.05mol)を添加し、混合した。得られた混合液をオートクレーブに投入し、150℃で12hr水熱反応を行った。反応液をろ過後、凍結乾燥した。凍結乾燥(約12時間)して得られた粉末8.4gにグルコース(炭素濃度として10%)及び超純水10cm
3を加え、還元雰囲気下で600℃で1hr焼成した。
【0040】
実施例4(Li
2MnSiO
3.95F
0.1の合成)
LiOH・H
2O 4.20g(0.1mol)、Na
4SiO
4・nH
2O13.98g(0.05mol)、NH
4F0.09g(0.0025mol)に超純水75cm
3を加えて混合した(この時のpHは約13)。この水分散液にMnSO
4・5H
2O 12.05g(0.05mol)を添加し、混合した。得られた混合液をオートクレーブに投入し、150℃で12hr水熱反応を行った。反応液をろ過後、凍結乾燥した。凍結乾燥(約12時間)して得られた粉末8.4gにグルコース(炭素濃度として10%)及び超純水10cm
3を加え、還元雰囲気下で600℃で1hr焼成した。
【0041】
実施例5(Li
2CoSiO
3.975F
0.05の合成)
LiOH・H
2O 4.20g(0.1mol)、Na
4SiO
4・nH
2O13.98g(0.05mol)、NH
4F0.09g(0.0025mol)に超純水75cm
3を加えて混合した(この時のpHは約13)。この水分散液にCoSO
4・7H
2O 14.06g(0.05mol)を添加し、混合した。得られた混合液をオートクレーブに投入し、150℃で12hr水熱反応を行った。反応液をろ過後、凍結乾燥した。凍結乾燥(約12時間)して得られた粉末8.4gにグルコース(炭素濃度として10%)及び超純水10cm
3を加え、還元雰囲気下で600℃で1hr焼成した。
【0042】
比較例1(Li
2Fe
0.5Mn
0.5SiO
4の合成)
LiOH・H
2O 4.20g(0.1mol)、Na
4SiO
4・nH
2O13.98g(0.05mol)に超純水75cm
3を加えて混合した(この時のpHは約13)。この水分散液にFeSO
4・7H
2O 6.95g(0.025mol)、MnSO
4・5H
2O 6.03g(0.025mol)を添加し、混合した。得られた混合液をオートクレーブに投入し、150℃で12hr水熱反応を行った。反応液をろ過後、凍結乾燥した。凍結乾燥(約12時間)して得られた粉末8.4gにグルコース(炭素濃度として10%)及び超純水10cm
3を加え、還元雰囲気下で600℃で1hr焼成した。
【0043】
比較例2(Li
2Fe
0.2Mn
0.8SiO
4の合成)
LiOH・H
2O 4.20g(0.1mol)、Na
4SiO
4・nH
2O13.98g(0.05mol)に超純水75cm
3を加えて混合した(この時のpHは約13)。この水分散液にFeSO
4・7H
2O 2.78g(0.01mol)、MnSO
4・5H
2O 9.64g(0.04mol)を添加し、混合した。得られた混合液をオートクレーブに投入し、150℃で12hr水熱反応を行った。反応液をろ過後、凍結乾燥した。凍結乾燥(約12時間)して得られた粉末8.4gにグルコース(炭素濃度として10%)及び超純水10cm
3を加え、還元雰囲気下で600℃で1hr焼成した。
【0044】
比較例3(Li
2FeSiO
4の合成)
LiOH・H
2O 4.20g(0.1mol)、Na
4SiO
4・nH
2O13.98g(0.05mol)に超純水75cm
3を加えて混合した(この時のpHは約13)。この水分散液にFeSO
4・7H
2O 13.90g(0.05mol)を添加し、混合した。得られた混合液をオートクレーブに投入し、150℃で12hr水熱反応を行った。反応液をろ過後、凍結乾燥した。凍結乾燥(約12時間)して得られた粉末8.4gにグルコース(炭素濃度として10%)及び超純水10cm
3を加え、還元雰囲気下で600℃で1hr焼成した。
【0045】
比較例4(Li
2MnSiO
4の合成)
LiOH・H
2O 4.20g(0.1mol)、Na
4SiO
4・nH
2O13.98g(0.05mol)に超純水75cm
3を加えて混合した(この時のpHは約13)。この水分散液にMnSO
4・5H
2O 12.05g(0.05mol)を添加し、混合した。得られた混合液をオートクレーブに投入し、150℃で12hr水熱反応を行った。反応液をろ過後、凍結乾燥した。凍結乾燥(約12時間)して得られた粉末8.4gにグルコース(炭素濃度として10%)及び超純水10cm
3を加え、還元雰囲気下で600℃で1hr焼成した。
【0046】
比較例5(Li
2CoSiO
4の合成)
LiOH・H
2O 4.20g(0.1mol)、Na
4SiO
4・nH
2O13.98g(0.05mol)に超純水75cm
3を加えて混合した(この時のpHは約13)。この水分散液にCoSO
4・7H
2O 14.06g(0.05mol)を添加し、混合した。得られた混合液をオートクレーブに投入し、150℃で12hr水熱反応を行った。反応液をろ過後、凍結乾燥した。凍結乾燥(約12時間)して得られた粉末8.4gにグルコース(炭素濃度として10%)及び超純水10cm
3を加え、還元雰囲気下で600℃で1hr焼成した。
【0047】
試験例1
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた凍結乾燥粉末のX線回折を行った。得られたX線回折図を
図1〜
図10に示す。
図1〜
図10から明らかなように、実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた粉末はオリビン型シリケート化合物の単一相であり、高純度であることが判明した。
【0048】
試験例2
実施例1、3、4及び比較例1、3、4で得られた焼成物のSEM像を
図11〜
図16に示す。実施例の焼成物は粒子径が小さく、均一であることがわかる。
【0049】
試験例3
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた焼成物を用い、リチウムイオン二次電池の正極を作製した。実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた焼成物、ケッチェンブラック(導電剤)、ポリフッ化ビニリデン(粘結剤)を重量比75:15:10の配合割合で混合し、これにN−メチル−2−ピロリドンを加えて充分混練し、正極スラリーを調製した。正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体に塗工機を用いて塗布し、80℃で12時間の真空乾燥を行った。その後、φ14mmの円盤状に打ち抜いてハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスし、正極とした。
次いで、上記の正極を用いてコイン型リチウムイオン二次電池を構築した。負極には、φ15mmに打ち抜いたリチウム箔を用いた。電解液には、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比1:1の割合で混合した混合溶媒に、LIPF
6を1mol/lの濃度で溶解したものを用いた。セパレータには、ポリプロピレンなどの高分子多孔フィルムなど、公知のものを用いた。これらの電池部品を露点が−50℃以下の雰囲気で常法により組み込み収容し、コイン型リチウム二次電池(CR−2032)を製造した。
製造したリチウムイオン二次電池を用いて定電流密度での充放電を4サイクル行った。このときの充電条件は電流0.1CA(33mA/g)、電圧4.5Vの定電流定電圧充電とし、放電条件は電流0.1CA、終止電圧1.5Vの定電流放電とした。温度は全て30℃とした。
実施例1〜5及び比較例1〜5の正極材で構築した電池の充放電曲線を
図17〜
図26に示す。
図17〜
図26より、本発明の正極材料を用いたリチウムイオン電池は、比較例のそれに比べて優れた電池特性を有することがわかる。